JP2005129480A - ポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】有機電解液二次電池、特にリチウムイオン電池のセパレータ用フィルムの自己消化性、安全性、薄膜性、耐熱性、強度、電解液に対する寸法安定性を向上させる
【解決手段】空孔率が5%以上であるポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質フィルムに関し、特に有機電解液二次電池中において、対向配置される正極および負極間で電解液とともに使用される電池セパレータ用の多孔質の高分子フィルムに関し、特に、ポリフェニレンスルフィド多孔質フィルムに関する。
高容量、高電圧、高エネルギー密度の達成が可能な電池として、種々の有機電解液二次電池が知られている。この有機電解液二次電池(例えば、リチウムイオン電池)においては、対向配置される正極および負極間に、電解液とともに、両極間にイオンの流通が可能な多孔性高分子フィルムがセパレータとして設けられている。
有機電解液二次電池、例えば、リチウムイオン電池においては、電池中に不安定な金属が存在しており、ショートや引火等を生じる危険性があるため、特に溶融した金属リチウムは反応性に富むため、安全性を確保するために、電池中の温度がリチウムの融点である186℃になる前に回路を遮断する必要がある。従来この対策として、電池内のセパレータに、リチウムの融点よりも低融点である厚みが約25μm程度の多孔性ポリエチレンフィルムあるいはポリプロピレンフィルムが使用されており、リチウムが溶融する以前にセパレータフィルムを溶融させ、該溶融により空孔が潰れて絶縁体となるような機能(シャットダウン特性)を持たせることが広く知られている。例えば、ポリエチレンフィルムがリチウムの融点よりも低温度で上記シャットダウン特性を有することを指摘し、該フィルムを使用した、防爆型二次電池である(特許文献1参照)。
また、近年においては、実質的に引火点をもたない電解液を使用する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
一方、ポリエチレンやポリプロピレンでは耐熱性がないために、耐熱性と強度のある薄膜化セパレータとして、ポリエステル、ポリアミドさらにはポリイミドポリマーを用いたセパレーターが提案されている(特許文献3参照)。
特開平3−203160号公報 特開平8−111238号公報 特開平11−250890号公報
しかし、このようなセパレータとして使われているポリエチレンフィルムあるいはポリプロピレンフィルムには、耐熱性・機械特性などに劣り、さらにポリエステル、ポリアミド、ポリイミドフィルムでも低融点ポリマーと同様に難燃性がないために場合によっては発火の恐れがあるという問題がある。すなわち、このようなフィルムを単に薄膜化すると、局部的に強度が不十分な箇所や、とくに高温時にセパレータとしての形態保持性が不十分になる箇所の生じる恐れがあるばかりか、電池中で引火・発火等の不都合が生じる恐れがあるので、安心して使用できない。
また、特許文献2においても、自ら発火するセパレーターを用いる限り引火等に対する安全性には不安があった。 さらに、有機電解液二次電池としては、一層の小型化、あるいは、同じサイズであっても一層の高容量化、高電圧化等が求められつつあり、これらに用いるセパレータフィルムとして、より一層の薄膜性、耐熱性、強度、電解液に対する寸法安定性を兼ね備えた多孔性のフィルムが要求されている。
そこで、本発明の課題は、かかる発火などの安全性に対する要求や、リチウムイオン電池のセパレータ用フィルムの薄膜性、耐熱性、強度、電解液に対する寸法安定性を格段に向上させることにある。
上記課題を解決するために、本発明は、ポリフェニレンスルフィド(以下、「PPS」と略記することがある)を主たる構成成分とし、空孔率が5%以上であるPPSフィルムである。
また、好ましくは該空孔が連続気泡であるPPS多孔質フィルムであり、該PPS多孔質フィルムの厚みとしては、シャットダウン特性の観点から20μm未満が好ましいが、薄膜化による電解液の増量の観点から、より好ましくは5μm未満であり、該平均空孔径としてはシャットダウン特性の観点から0.1〜6μm以下の連続空孔であることが好ましいものである。
本発明のPPSフィルムにおいては、主成分として80重量%以上のPPSを含むことが好ましく、融点が240℃〜290℃の範囲にあることが好ましい。このような本発明のフィルムは、特に有機電解液二次電池に好ましく用いられ、なかでもリチウムイオン電池のセパレータ用フィルムとして好適である。そして、少なくとも100℃以下において引火しない電解液、より好ましくは実質的に引火点をもたない電解液とともに使用されることが好ましい。本発明のフィルムをセパレータ用フィルムとして用いた場合には、従来のポリエチレンフィルムあるいはポリプロピレンフィルムに比べ格段に高い安全性、高い強度、耐熱性、電解液に対する寸法安定性を有するので、所定のイオン透過性をもたせながら、フィルム自身を大幅に薄膜化することが可能になる。特に、前記のような100℃において引火しない電解液、中でも、実質的に引火点を持たない電解液とともに、PPS多孔質フィルムを電池セパレータ用フィルムに用いることにより、大幅に薄膜化することが可能になる。したがって、20μm未満の厚みであっても、優れた特性のセパレータ用フィルムが得られる。そして、リチウムイオン等の電池の蓄電容量の大幅な向上、大幅な安全性向上、小型化を可能にしたものである。
本発明の電池セパレータ用多孔性高分子フィルムによれば、所望の空孔、空孔率を有しつつ、強度の高いセパレータ用フィルムが得られる。また、フィルムが自己消化性で安全性が高く、かつ、電池の小型化、高容量化に好適な電池セパレータ用多孔性高分子フィルムを得ることができる。
以下に、本発明について、好ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明に係る多孔質フィルムは、PPSを主成分とした多孔質フィルムからなるフィルムであって特にセパレータ用フィルムとして好適に用いられるものである。本発明でいうPPSフィルムとは、ベンゼンと硫黄Sを主結合鎖とする高分子の総称であるが、耐熱性、機械特性等の点からポリパラフェニレンスルフィドを主構成成分とするものが好ましい。PPSポリマー重合に関する代表的な特許としては、特許第2924202号,分岐構造を有したPPSとしては特許第1410170号,特許第1590812号、結晶化抑制PPSとしては特許第2611379号、二軸延伸方法としては特許第1330538号などがある。
本発明におけるPPSには、その特性を損ねない範囲で他の共重合成分を含有してもよく、共重合成分としては、例えば、メタフェニレンスルフィドモノマー成分、オルトフェニレンスルフィドモノマー成分、3官能分岐成分、スルフォン成分、スルフォン酸成分などがあげられる。なお、これらの共重合成分を2種以上を併用してもよく、またブレンドして使用してもよい。
本発明のフィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲で添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、核剤などを配合してもよい。
本発明におけるフィルムを特に電池セパレータ用として用いる際には、その空孔は、電池特性を向上させる点から貫通している連続空孔であることが好ましい。フィルムに空孔を付与する方法としては特に限定は無いが、例えば、(1)延伸時に非相溶界面でボイドを発生させる方法、(2)可溶性粒子のみをフィルムから抽出除去する方法、(3)フィルムに機械的に孔あけ処理を行う方法などの方法があるが、本発明の場合、空孔の微細化、空孔率の高さから(2)の抽出法が特に好ましい。なお、機械的・電気的に穴をあける方法として、鋭い角部を有する多数のモース硬度5以上の粒子を付着したロールを用いて機械的に貫通孔を形成する方法、1対の放電電極間にPPSフィルムを挿入して放電処理を施して空孔を形成する方法などがある。高硬度粒子付着ロールを用いて貫通孔を形成する場合は、高硬度粒子の粒子径や付着量を任意に設定することにより、好ましい大きさおよび空孔率を満たす空孔を含有した多孔質フィルムを得ることができる。また、放電処理による空孔形成法においては、一方の放電電極として表面に金属粒体を付着させた電極を用いるか、あらかじめエンボス処理により表面に微細な窪みを形成したPPSに放電処理を行い窪み部分にのみ貫通孔を形成する方法をとることにより、好ましい大きさ、空孔率を満たす空孔を含有した多孔質フィルムを得ることができる。これら空孔を付与する方法はフィルム製膜においてインラインでもオフラインでも良く、またその方法も上記例示に限定されない。
さらに空孔率の高い微細な連続空孔を付与する方法として、PPSポリマーに相溶する可溶性樹脂や可溶性低分子化合物をPPSにブレンドしておき、製膜後、PPSが溶けたり膨潤したりしない溶媒で、しかも可溶性樹脂あるいは可溶性低分子化合物のみを溶解する溶媒で可溶性樹脂あるいは可溶性低分子化合物を抽出して連続空孔を得るのが良い。ここでいうPPSは溶けないが、溶剤に溶けやすい可溶性樹脂と溶媒の組み合わせの代表としては、「石油樹脂」とベンゼン、トルエン、キシレンなどのBTX溶剤、「メタフェニレンスルフィドオリゴマー」とnーメチルピロリドン(NMP)溶剤、「ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸とそのエステル、ポリエチレイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアミジン、ポリグリセリン、ポリビニルフェノール、ポリジオキソラン、ポリビニルアセトアミド、ポリビニルピロリドン、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、変性澱粉、変性セルロールなどで代表される有機水溶性高分子や、ポリ塩化アルミ、ポリ硫酸鉄、トリポリ燐酸ナトリウム、水ガラスの様な無機水溶性高分子」と温水、さらに可溶性低分子化合物としての「食塩などで代表されるアルカリ金属とハロゲン化合物や、水酸化カルシウム、水酸化アルミの様な水酸化物、フッ化水素水溶性塩など」と水などの組合せがあげられる。この中で特に好ましい組合せは、食塩を含有したPPS樹脂を水で抽出する方法である。PPSの重合工程で、反応残査・副生成物として食塩が生成することから、わざわざ食塩を添加しなくても食塩を含有したPPS樹脂が得られること、さらにこれらの抽出廃棄物を回収することなく、そのまま下水に放水する事が出来るために製造工程が簡略化できて特に好ましい。
フィルムは、その製膜工程中で機械特性、熱特性を向上させることを目的として延伸が行われることが多いが、本発明の場合、特に微多孔質フィルムを製造するときには、PPSフィルムに結晶融点が少なくとも高温と低温の2個以上生成するような原料・製膜条件で延伸することにより、石油樹脂のような被抽出物をPPSフィルムから抽出しても、膨潤したり、変形したり、機械特性の低下などを起こすことなく、容易に短時間で石油樹脂を除去することが出来るので非常に好ましい。具体的には、通常のPPS樹脂よりもトリクロルベンゼンの様な3官能モノマーを多く用いたり、出来たPPSポリマーを酸化架橋させたりして、PPSの分岐度・架橋度を多くして、溶融時でも伸長粘度が立ち上がるような特殊PPS原料を用いて、これを該PPS樹脂の融点以上で、なるべく融点に近い低温で溶融させた溶融状態で、空中で高度に溶融配向をさせる。例えば、長手方向に10〜20倍、幅方向に4〜10倍程度に同時二軸延伸をさせる。この時、リングダイを用いるのが好ましいが、通常のTダイの場合には長手方向のみの配向となる。この様にして溶融配向させたPPSフィルムには高温側の融点と低温側の融点とが存在する構造となる。なお、通常の固相状態での延伸倍率は面倍率で4〜20倍の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは9〜16倍の範囲である。
本発明のPPSフィルムは二軸配向されたものが優れた機械特性、薄膜化、耐熱性など優れているので好ましい。二軸配向とは、構成高分子の主鎖が長手方向、幅方向の二軸方向に配向・配列したものであり、広角X線回折による極点図形や屈折率の面内分布などの異方性から判定できる。フィルム構成としては、単層、必要によっては少なくとも2層に共押出し、互いに異なる組成のA/Bの2層、B/A/BあるいはA/B/Cの3層、さらには(A/B)n(n≧2)の多層積層構成であってもよく、積層厚み比も任意に設定してよい。更に電解液との濡れ性を向上させる点から、基材となるPPSフィルムの表面活性化処理、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、コーティング処理、オゾン処理などの任意の表面処理をすることが望ましい。
本発明においては、フィルムの空孔率が5%以上であることが必要であり、好ましくは8%以上、更に好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上である。空孔率が上記範囲であることにより、放電特性やサイクル特性、イオンの透過性を付与できる。空孔率が5%未満の場合、イオンの充分な透過性を付与できない。なお、特に限定されないが、好ましくは、90%以下、より好ましくは65%以下である。
本発明においては、薄膜化、電池組立工程適性向上、短絡を防止する点から、空孔が付与されたフィルムの強度が長手方向で98MPa以上であることが好ましく、より好ましくは147MPa以上、更に好ましくは196MPa以上490MPa以下である。
本発明では、電池内部の電解液に溶出した作用物質微粒子や金属の通過を抑止する点から、空孔の平均大きさは6μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは、0.03〜0.5μmである。径が上記上限値を越えると、電池内部の電解液に溶出した作用物質微粒子や金属の通過を抑止できず、電池内部の短絡が発生するなどの問題となることがある。
本発明のフィルムを特にセパレータ用フィルムとして用いる場合には、その厚みは0.5〜20μmであることがリチウム電池の小型化の点から好ましく、より好ましくは1〜15μmであり、更に好ましくは2〜12μmであり、とくに好ましくは5μm未満のものである。フィルムの厚みが上記上限値を越えると電池中に占めるフィルムの容積が大きくなり、リチウム電池の小型化が困難となる。また厚みが上記下限値未満であると、フィルムの製膜が不安定となるばかりか、特にセパレータ用フィルムとした際のフィルム強度を維持できなくなる。
本発明においては、電池特性の劣化を防止する点から、フィルムが電解液中で80℃、20日間の環境下で膨潤率が5%以下であることが好ましく、よりこの好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。膨潤率が5%を越える場合、電池特性の劣化が著しく起こる。
そして、本発明のPPS多孔質フィルムは、特に少なくとも100℃においては水酸化リチウム、水酸化カリの様な水系電解液や、非水電解質にリチウム塩が溶解されたもので、非水電解質としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシカーボネート、ジエトキシエタン、γブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸メチルなどの酢酸エステル、酪酸エステル、蟻酸メチル、などがあり、リチウム塩としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCl、LiBr、などが挙げられる。
また、実質的に引火点をもたない電解液とともに使用されることも好ましい。ここで、実質的に引火点をもたないとは、可燃性液体から発生する可燃性蒸気が小さな炎を近づけたときに瞬間的に発火する最低温度を引火点をいう。従って、このような可燃性蒸気が出ない様な電解液のことであり、このような電解液としては上記のような水系電解質や、酢酸エステル、酪酸エステル、蟻酸メチルなどが挙げられる。

以下、本発明について、実施例を用いて具体的に説明する。
〔物性の測定方法ならびに効果の評価方法〕
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)フィルム厚み
フィルム長手方向に約100mmの試験片を10枚とり、これを全て重ねあわせて厚みを測定した。測定には芯棒の径が約6.35mm,測定長さ25mm以下のJIS−B7502(1994年)(外側マイクロメーター)の測定圧力500±100gのマイクロメーターを用いた。測定子の先端が約0.05mm/秒の速度で進む速さでスピンドルを回転させ、測定面が試験片の測定箇所の表面に軽く接触したのち、ラチェットが3回音をたてたときの、またはフィクション・ストップが働いたときの目盛りを読んだ。10箇所についての測定値の平均値を求め、さらにこれを試験片の重ね合わせ枚数で除した値をもって厚さとした。厚み測定には上記マイクロメータの他に同等以上の精度を有する測定器を用いてもよい。
(2)フィルムの平均空孔径
フィルムロールの任意の箇所より、50mm角の試験片をとり、光学顕微鏡にて拡大した表面の一部を1点任意に選択し、写真に撮影し、撮影後の画像にある任意の空孔10点をとり、その面積から相当直径を求め平均空孔径とした。イメージ・アナライザーを用いると便利である。
(3)フィルム空孔率の測定方法
JIS−P8117(1998年)に規定された方法にしたがって、(株)安田精機製作所製のガーレー式デンソメーターを用いて測定した。サンプルは、50×130mmに切り出し、JIS−P8111(試験用紙の前処置)の条件に一致させて準備し、10枚以上の試験を行い、異常値を捨て残りを平均してフィルムの空孔率を測定した。
(4)フィルム破断強度
JIS−K7127(1989年)に規定された方法にしたがって、東洋測器(株)製の引張試験機を用いて、25℃、65%RHにて測定した。サンプルは測定方向に長さ200mm、幅10mmの短冊状に切り出し、初期引張チャック間距離は100mmとし、引張速度は300mm/分とした。
(5)フィルムの融点
パーキングエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II型を用いて測定した。フィルム試料10mgをアルミ製パンに封入し、室温から300℃まで10℃/分で昇温し吸熱ピークの温度から融点を求めた。
(6)電池特性
A.電解液の調製
LiC49SO3をリン酸トリメチルに溶解させたのち、プロピレンカーボネートを加えて混合し、プロピレンカーボネートとリン酸トリメチルとの体積比が1:2の混合溶媒にLiC49SO3を0.6モル/リットル溶解させた有機電解液を調製した。このようにして得られた有機電解液の引火点を調べるため、この電解液を所定の温度まで加熱して液面近傍に火を近づけ、引火するかどうかを調べた。100℃、150℃、200℃のいずれの温度のテストでも引火せず、この電解液の引火点は200℃以上であることが分かった。
B.電池の作成
リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)に黒鉛とポリフッ化ビニリデンとを加え、溶剤で分散させたスラリーを、厚さ10μmの正極集電体のアルミニウム箔の両面に均一に塗布して乾燥し、圧縮成形して帯状の正極を作製した。正極の厚みは40μmであった。コークスと、粘着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを混合して負極合剤とし、これを溶剤で分散させてスラリーにした。この負極合剤スラリーを、負極集電体としての厚さが10μmの帯状の銅箔の両面に均一に塗布して乾燥し、圧縮成形して帯状の負極前駆体を作製した。負極前駆体の処理液として、LiC49SO3をリン酸トリメチルに溶解させたのち、エチレンカーボネートを加えて混合することにより、処理液を調製した。負極前駆体の両側に処理液を含浸させたセパレータを介してリード体を圧着したLiフォイルで鋏み込み、ホルダーに入れ、負極前駆体を正極、Li極を負極として、放電および充電を行った。その後、分解し、負極前駆体をジメチルカーボネートで洗浄し、乾燥して、負極を作製した。負極の厚みは50μmであった。次に、上記の帯状正極を、各実施例のセパレータ用フィルムを介して、上記シート状負極と重ね、渦巻状に巻回して渦巻状電極体としたのち、内径13mmの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および負極のリード体の溶接を行った後、有機電解液を電池ケース内に注入した。電池ケースの開口部を封口し、電池の予備充電を行い、筒形の有機電解液二次電池を作製した。
C.電池容量
作成した各二次電池について、35mAで電圧2.7〜4.1Vの範囲で放充電させ、1サイクル目の放電容量を調べた。比較例1の電池の放電容量を基準として、次のランクで評価し、ランクC以上を合格とした。
A:1.21倍以上
B:1.18倍以上1.21倍未満
C:1.10倍以上1.18倍未満
D:1.02倍以上1.10倍未満
E:1.02倍未満
実施例1
比重20g/m2程度の顆粒状のPPS原料と平均粒径0.8μmの合成球形シリカを酸素が実質的に存在しない窒素雰囲気下で、φ30mmベント式二軸押出機のホッパーに供給し、300℃で溶融混練し、粒子濃度0.1重量%含有するPPS原料ペレットを作製した。次いで、これを二軸ベント押出機を用いて、ベントポートで真空に減圧しながら290℃で溶融押出しを行い、静電印加キャスト法を用いて、表面温度20℃の金属キャスティングドラム上に巻き付けて、冷却、固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをロール/ロール間で長手方向に95℃で4倍延伸した後、テンターを用いて、100℃で幅方向に3.5倍延伸し、しかる後に、幅方向に5%弛緩させながら275℃で6秒間熱処理を行い、厚み8μmの二軸配向PPSフィルムを得た。
このPPSフィルムを、50〜60μmの粒径で鋭い角部を有する多数の合成ダイアモンド粒子が表面に電着された鉄製ロールとシリコーンゴム製ロール間を圧力下で通過させた。得られたフィルムの特性は、平均空孔径8μm、空孔率12%、融点270℃、破断強度35kg/mm2で、電池容量Bであり、優れた容量特性を有するものであった。
実施例2
PPS樹脂に、ベンゼンに可溶な石油樹脂(エスコレッツ樹脂)を20重量%混合させて実施例1のように二軸延伸PPSフィルムを得た。該延伸フィルムをベンゼンに浸積させて石油樹脂を溶解・抽出させて平均空孔径0.8μmで、空孔率38%、融点270℃、破断強度30kg/mm2の厚さ4μの連続空孔PPS多孔質膜を得た。該PPS多孔質フィルムを用いて電池容量を評価したところ評価はAであった。
実施例3
PPS原料として、トリクロルベンゼン/ジクロルベンゼン=20/80の比率にした以外は通常のPPS樹脂重合方法全く同様にしてn−メチルピロリドンNMP中で重合して、PPSパウダーを得た。このPPS樹脂を空気中で200℃に6時間加熱させ、揮発成分除去すると共にPPS樹脂を酸化架橋させた。かくして得られた伸長粘度の大きなPPS樹脂に石油樹脂としてガラス転移温度が140℃のエスコレッツ(エクソン)を18重量%添加し、そのPPS樹脂の融点276℃以上で、なるべく融点に近い低温の285℃で溶融させ、リングダイから押し出された溶融体を、長手方向に15倍、幅方向に6倍に同時二軸延伸して、溶融配向させた。この様にして溶融配向させたPPSフィルムには高温側の融点である283℃と低温側の融点262℃との2つが存在する2相構造となっている。石油樹脂はPPSに超微分散している。該PPSフィルムをベンゼンに浸析して石油樹脂を抽出して、平均孔径0.08μm、空孔率55%、破断強度205MPaのフィルム厚さ18μmの多孔質PPSフィルムを得た。該PPS多孔質フィルムを用いて電池容量を評価したところ評価はAであった。
実施例4
ジクロルベンゼンと水硫化ナトリウムと水酸化ナトリウムをnーメチルメチルロリドンNMP中で常法により重合反応させ、PPSポリマーを重合生成させ、この時、PPSポリマー以外の副生成物である食塩、水、NMPも生成するので、溶媒のNMP、水を除去することにより、食塩を含有したPPS樹脂を得ることが出来る。この時の食塩の大部分は水に溶けて除去されるので、PPSポリマー中に残存する食塩は5%程度である。かくして得られた食塩含有PPS樹脂を、一軸押出機の供給して、290℃で溶融させ、口金からシート状にして押出し、該溶融体シートに静電荷を印可させながら冷却ドラムに密着固化させ未延伸シートを得た。この未延伸シートをロール/ロール間で長手方向に95℃で3倍延伸した後、テンターを用いて、100℃で幅方向に3倍延伸し、しかる後に、幅方向に5%弛緩させながら275℃で6秒間熱処理を行い、厚み8μmの二軸配向PPSフィルムを得た。かくして得られた食塩含有二軸配向PPSフィルムを85℃に加熱された温水中で食塩を抽出して、厚さ5μmの微多孔性二軸配向PPSフィルムを得た。
得られたフィルムの特性は、平均空孔径0.1μm、空孔率32%、融点270℃、破断強度28kg/mm2の難燃性で、電池容量はAであり、優れた容量特性を有するものであった
実施例5
実施例3で得た食塩5%含有PPSポリマーに、水溶性無機化合物として水酸化カルシウムを10重量%添加混合する以外は実施例3と同様にして厚さ8ミクロンの二軸配向PPSフィルムを得た。かくして得られたフィルム特性は、平均空孔径0.2μm、空孔率45%、破断強度25kg/mm2の難燃性であり、電池容量もAであり、優れた容量特性を有していた。
比較例1
多孔質素材としてポリプロピレンPPを用いた厚さ12ミクロンの多孔質膜(”セルガード”2500セラニーズ社製、平均空孔径0.8μm、空孔率15%、融点160℃)を用いて電池容量をテストしたところEランクであり、実用に供しないことが判った。

Claims (8)

  1. 空孔率が5%以上であるポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム。
  2. 該空孔が連続気泡である請求項1のポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム。
  3. 電池セパレータ用に用いられる請求項1または2のポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム。
  4. 平均空孔径が6μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム。
  5. 厚みが20μm未満である請求項1〜4のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム。
  6. 空孔が可溶性樹脂を抽出することにより形成された請求項1〜5のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド多孔質フィルム。
  7. 少なくとも100℃において引火しない電解液と請求項1〜6のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド多孔質フィルムとからなる電池。
  8. 実質的に引火点をもたない電解液と請求項1〜6のいずれかに記載のポリフェニレンスルフィド多孔質フィルムとからなる電池。
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