JP2021008589A - 導電性組成物、および導電膜 - Google Patents

導電性組成物、および導電膜 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性に優れる導電性組成物であって、バインダー樹脂と導電性の炭素材料との混合比率、および導電性の炭素材料として黒鉛と黒鉛以外との炭素の混合比率をある特定の範囲にすることで、導電性、密着性、耐久性が特異的に優れる導電性組成物および導電膜を提供すること。【解決手段】バインダー樹脂(A)と、炭素材料(B)と、硬化剤(C)とを含有する導電性組成物であって、炭素材料(B)が、黒鉛(B−1)および黒鉛以外の炭素材料(B−2)を含み、炭素材料(B)の含有率が、導電性組成物の固形分100質量%中、65〜85質量%であり、黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、75〜99質量%であることを特徴とする導電性組成物によって、上記課題は解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、バインダー樹脂と、炭素材料と、硬化剤とを含有する導電性組成物に関する。
近年、エレクトロニクスの発達は目覚ましいものがあり、各種電子機器で使用される導電性材料についても製品の小型・軽量化、低コスト化、様々な使用環境下での高寿命化が求められるようになってきている。例えば、電子機器の基盤配線や電子機器を接続する配線を製造する場合、導電性が良好な導電性組成物が必要となるが、銀や銅等の金属フィラーを用いる導電性組成物が一般的であり、コストの点で大きな課題が今なお解決出来ていない。一方、金属を用いない導電性カーボンを用いた導電性組成物も様々な検討がなされているが、導電性が不十分なため、帯電防止用途等の半導電性用途での使用に限られてきた。さらに、導電性組成物共通の根本的な課題もある。フィラーの分散、フィラー同士の接着、導電性組成物の基材への密着のために組成物中に樹脂成分が必要となることが多いが、そのような有機材料は、屋外環境での温湿度環境下で劣化し、導電性組成物としての特性を経時で低下させることが問題となっていた。
導電性の炭素材料は、今日までに様々なグラファイトやカーボンナノチューブ等の体積抵抗率の低い良好な導電材料も検討されてきた。これら導電性の良好な炭素材料の体積抵抗率は、10−2Ω・cm未満と高い導電性を示すが、導電性に優れた炭素材料は比表面積が大きいものも多く、樹脂や溶剤に均一混合・分散することが困難なこともあり、導電性の炭素材料や樹脂や溶剤等を含む導電性組成物から得られた塗膜や成形物中の炭素材料間の接触に不良が生じ、その導電性を十分に発現できないことが問題であった(特許文献1〜3)。
そこで、特許文献4〜18には、塗膜中の炭素材料間の導電ネットワークを発達させるため、グラファイトとカーボンブラックを併用してバインダー中に分散した導電性組成物が開示されている。
特許文献17、18には、樹脂と導電性の炭素材料の混合比率、グラファイトとカーボンブラックの混合比率と導電性の相関について開示されている。樹脂と導電性の炭素材料の混合比率、およびグラファイトとカーボンブラックの混合比率で塗膜や成形物中の炭素材料間の接触状態が変化し、所定の条件において導電性が極大値を取ることが示されているが、検討条件は幅広い上に離散的で、網羅的に検証されてはいなかった。
また、特許文献19、20には、炭素繊維やカーボンナノチューブを併用した導電性組成物の開示もされている。導電ネットワークの強化による導電性の向上は見られたが、樹脂や溶剤に対する導電性の炭素材料の分散性に関しては改善の余地があり、塗膜の体積抵抗率においても10−2Ω・cmオーダーに留まることが多かった。
そこで、分散性の改良に向けて、特許文献21では分散方法の変更が、特許文献22、23では有機溶剤系組成物の分散剤の利用が、特許文献24、25では水系組成物における水系分散剤の利用が開示されている。しかしながら、分散性は改良されたものの、絶縁材料である分散剤を添加したり、微細化により導電性の炭素材料にダメージを与えたりすることで、導電性の低下を招くという課題があった。
特開平3−7740号公報 特開2001−60413号公報 特開2002−20515号公報 特開昭54−36343号公報 特開昭62−88260号公報 特開昭62−88261号公報 特開昭62−199663号公報 特開昭63−125580号公報 特開昭64−56777号公報 特開平1−101373号公報 特開平1−184901号公報 特開平2−284968号公報 特開平5−65366号公報 特開平7−33883号公報 特開平7−41609号公報 特開平7−53813号公報 特開2001−102010号公報 特開2003−238881号公報 特開平6−122785号公報 特開2004−221071号公報 特開平2−204317号公報 特開2001−254013号公報 特開2013−119577号公報 特開2004−10705号公報 特開2015−128006号公報
本発明の目的は、導電性に優れる導電性組成物であって、バインダー樹脂、炭素材料の混合比率と、炭素材料として黒鉛と黒鉛以外の炭素の混合比率をある特定の範囲にすることで、導電性、密着性、耐久性が特異的に優れる導電性組成物および導電膜を提供することである。
すなわち、本発明は、バインダー樹脂(A)と、炭素材料(B)と、硬化剤(C)とを含有する導電性組成物であって、
炭素材料(B)が、黒鉛(B−1)および黒鉛以外の炭素材料(B−2)を含み、
炭素材料(B)の含有率が、導電性組成物の固形分100質量%中、65〜85質量%であり、
黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、75〜99質量%であることを特徴とする導電性組成物に関する。
また、硬化剤(C)の含有率が、バインダー樹脂(A)100質量%に対して、0.5〜20質量%であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、80〜99質量%であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、90〜97.5質量%であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、炭素材料(B)の含有率が、導電性組成物の固形分100質量%中、70〜80質量%であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、前記の導電性組成物を用いて得られる導電膜に関する。
バインダー樹脂(A)と導電性の炭素材料(B)と硬化剤(C)とを含む導電性組成物において、導電性の炭素材料として黒鉛と黒鉛以外の炭素の混合比率が、特定の範囲にあることにより、バインダー樹脂の耐久性や導電性組成物により形成される導電膜中の炭素材料同士の接触や結着性が良好なため、優れた導電ネットワークを形成し、導電性と耐久性に優れた導電膜を提供出来る。
<導電性組成物>
本発明の導電性組成物は、バインダー樹脂(A)と、炭素材料(B)と、硬化剤(C)と、必要に応じて溶剤とを含有する。
また、導電性組成物の適正粘度は、導電性組成物の塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
まず、バインダー樹脂(A)について説明する。
バインダー樹脂は、ポリウレタン系、ポリアミド系、アクリロニトリル系、アクリル系、ブタジエン系、ポリビニルブチラール系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリスチレン系、EVA系、エポキシ系、ポリフッ化ビニリデン系及びシリコン系樹脂等からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。特に、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系が好ましい。ただし、これらの樹脂に限定されるわけではない。バインダー樹脂は1種単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
バインダー樹脂は、バインダー樹脂が基材に適用された後に、硬化(架橋)反応を受ける、硬化性樹脂とすることもできる。
つまり、バインダー樹脂は、自己硬化性のものを選択したり後述する硬化剤と組み合わせたりして、導電性組成物を基材上に印刷したり塗工したりした後、硬化(架橋)させることもできる。
バインダー樹脂としては、体積抵抗率と基材への密着性および耐久性の観点からポリウレタン樹脂が好ましい。導電性組成物を基材上に印刷したり塗工したりした後、(熱)プレスする際、樹脂分が軟化し、印刷・塗工時の導電膜の平面的なパターン形状をほぼ維持しつつ、厚み方向に流動すると、空隙を減らし導電性の炭素材料(B)同士の接触を増やせるので、得られる導電膜の体積抵抗率の低下が期待できる。従って、バインダー樹脂としては、(熱)プレスの際、適度に軟化・流動するものが好ましい。
<ポリウレタン樹脂>
ポリウレンタン樹脂の合成方法としては特に限定はされないが例えば、ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とを反応させたり、ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とカルボキシル基を有するジオール化合物(c)とを反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)を得たり、前記ウレタンプレポリマー(d)にポリアミノ化合物(e)をさらに反応させたり、あるいは前記3つの場合において、必要に応じて反応停止剤を反応させて得られるものなどが挙げられる。
ポリオール化合物(a)としては、一般にポリウレタン樹脂を構成するポリオール成
分として知られている、各種のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、またはこれらの混合物等が使用できる。
ポリエーテルポリオール類としては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体などが挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ダイマージオール等の飽和および不飽和の低分子ジオール類、ならびにn−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸類、またはこれらの無水物類を、脱水縮合して得られるポリエステルポリオール類や、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール類としては、1)ジオールまたはビスフェノールと炭酸エステルとの反応物、および、2)ジオールまたはビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンとの反応物が使用できる。炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。また、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2,2,8,10−テトラオキソスピロ〔5.5〕
ウンデカン等が挙げられる。また、ビスフェノールとしては、ビスフェノールAやビスフェノールF、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類等が挙げられる。
上記ポリオール化合物の数平均分子量(Mn)は、導電性組成物を製造する際のポリウレタン樹脂の溶解性、形成される導電膜の耐久性や基材に対する接着強度等を考慮して適宜決定されるが、通常は580〜8000の範囲が好ましく、さらに好ましくは1000〜5000である。
上記ポリオール化合物は、単独で用いても、2種類以上併用してもよい。更に、ポリウ
レタン樹脂の性能が失われない範囲内で、上記ポリオール化合物の一部を低分子ジオール類、例えば前記ポリオール化合物の製造に用いられる各種低分子ジオールに替えることもできる。
ジイソシアネート化合物(b)としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族イソシアネート、またはこれらの混合物を使用できるが、特にイソホロンジイソシアネートが好ましい。芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
カルボキシル基を有するジオール化合物(c)としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。特に反応性、溶解性の点からジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。
ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とカルボキシル基を有するジオール化合物(c)とを反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)を得る際の条件は、イソシアネート基を過剰にする他にとくに限定はないが、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.05/1〜3/1の範囲内であることが好ましい。更に好ましくは1.2/1〜2/1である。また、反応は通常常温〜150℃の間で行なわれ、更に製造時間、副反応の制御の面から好ましくは60〜120℃の間で行なわれる。
ポリアミノ化合物(e)は、鎖延長剤として働くものであり、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン、ノルボルナンジアミンの他、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するアミン類も使用することができる。なかでも、イソホロンジアミンが好適に使用される。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)とポリアミノ化合物(e)を反応させてポリウレタン樹脂を合成するときに、得られるポリウレタン樹脂の分子量を調整する為に反応停止剤を併用することができる。反応停止剤としては、ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のジアルカノールアミン類や、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が使用できる。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)と、ポリアミノ化合物(e)、および必要に応じて反応停止剤を反応させる際の条件はとくに限定はないが、ウレタンプレポリマーの両末端に有する遊離のイソシアネート基を1当量とした場合、ポリアミノ化合物(e)および反応停止剤中のアミノ基の合計当量が0.5〜1.3の範囲内であることが好ましい。更に好ましくは0.8〜0.995の範囲内である。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、塗工性や取扱い性の観点から、5000〜200000の範囲が好ましい。
ポリウレタン樹脂の合成時には、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、カーボネート系溶剤、水等から選ばれる一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンベンゼン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサンノン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、およびこれらモノエーテル類の酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびこれらモノエーテル類の酢酸エステル等が挙げられる。
脂肪族系溶剤としては、n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。
カーボネート系溶剤としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ
−n−ブチルカーボネート等が挙げられる。
<ポリアミド樹脂>
バインダー樹脂としては、体積抵抗率と基材への密着性および耐久性の観点からポリアミド樹脂が好ましい。体積抵抗率は、(熱)プレス中の樹脂分が流動しやすいため良好な結果となる。
本発明に用いられるポリアミド樹脂とは、基本的に二塩基酸とジアミンの重縮合、アミノカルボン酸の重縮合、或いはラクタムの開環重合などの各種反応で得られるアミド結合を有する高分子の総称であり、各種の変性ポリアミドをはじめ、一部水素添加された反応物で製造されたもの、他のモノマーが一部共重合された製造物、或いは各種添加剤などの他の物質が混合されたものなどを含む広い概念である。
本発明に用いられるポリアミド樹脂は上記のような条件が満たされれば特に限定されないが、ダイマー酸を主成分とする二塩基酸とポリアミン類とを縮合重合させて得られるダイマー酸変性ポリアミド樹脂が好ましい。ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を製造する際のダイマー酸としては、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸などに含まれる天然の一塩基性不飽和脂肪酸を重合したダイマー酸が工業的に広く用いられるが、原理的には、飽和脂肪族、不飽和脂肪族、脂環式、或いは芳香族などの各種ジカルボン酸などであってもよい。
当該ダイマー酸の市販品としては、ハリダイマー200、300(ハリマ化成社製)、バーサダイム228、216、エンポール1018、1019、1061、1062(コグニス社製)などが挙げられる。さらに、水素添加されたダイマー酸も使用でき、水添ダイマー酸の市販品としてはプリポール1009(クローダジャパン株式会社製)、エンポール1008(コグニス社製)などが挙げられる。
上記ダイマー酸以外に、適当な柔軟性を有するポリアミド樹脂にするため、二塩基酸として各種のジカルボン酸を用いることができる。ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、(無水)コハク酸、(無水)マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸などが用いられる。
さらに、二塩基酸としてフェノール性水酸基を有するものも使用できる。フェノール性水酸基を有する二塩基酸を使用することによって、ポリアミド樹脂の側鎖にフェノール性水酸基を導入することができ、硬化剤との反応に利用することができる。
フェノール性水酸基を有する二塩基酸としては、
2−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシイソフタル酸、
2,5−ジヒドロキシイソフタル酸、2,4−ジヒドロキシイソフタル酸、4,6−ジヒドロキシイソフタル酸等のジヒドロキシイソフタル酸、
2−ヒドロキシテレフタル酸、2,3−ジヒドロキシテレフタル酸、2,6−ジヒドロキシテレフタル酸等のジヒドロキシテレフタル酸、
4−ヒドロキシフタル酸、3−ヒドロキシフタル酸等のヒドロキシフタル酸、
3,4−ジヒドロキシフタル酸、3,5−ジヒドロキシフタル酸、4,5−ジヒドロキシフタル酸、3,6−ジヒドロキシフタル酸等のジヒドロキシフタル酸などが挙げられる。
更にこれらの酸無水物や例えば多塩基酸メチルエステルのようなエステル誘導体なども挙げられる。
なかでも、共重合性、入手の容易さなどの点から、5−ヒドロキシイソフタル酸が好ましい。
さらに、加熱時に適当な流動性を有するポリアミド樹脂にするため、必要に応じて各種のモノカルボン酸を用いる。モノカルボン酸としては、具体的には、プロピオン酸、酢酸、カプリル酸(オクタン酸)、ステアリン酸、オレイン酸などが用いられる。
上記ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を製造する際の反応物としてのポリアミン類は、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族などの各種ジアミン、トリアミン、ポリアミンなどである。上記ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p−又はm−キシレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、2,2−ビス−(4−シクロヘキシルアミン)、ポリグリコールジアミン、イソホロンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−ビス−(2’−アミノエチル)ベンゼン、N−エチルアミノピペラジン、ピペラジンなどが挙げられる。
また、トリアミンにはジエチレントリアミンなどが挙げられ、ポリアミンにはトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げられる。さらに、二量体化された脂肪族のニトリル基を変換して水素還元して得られたダイマージアミンも使用することができる。
また、ポリアミン化合物としては、炭素数20〜48の環状または非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物のカルボシキル基をアミノ基に転化した化合物が挙げられ、市販品の例としては例えば、クローダジャパン株式会社製の「プリアミン1071」「プリアミン1073」「プリアミン1074」「プリアミン1075」や、コグニスジャパン株式会社製の「バーサミン551」などが挙げられる。
ジアミンにはアルカノールアミンを併用してもよい。アルカノールアミンにはエタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、ブタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール等が挙げられる。また、酸素を骨格に有するポリエーテルジアミンを用いることができる。このポリエーテルは一般式H2N−R1−(RO)n−R2−NH2 (式中、nは2〜100の整数であり、R1、R2は炭素原子数が1〜14個であるアルレン基または2価の脂環式炭化水素基であり、Rは炭素原子数が1〜10個であるアルキレン基または2価の脂環式炭化水素基である。アルキレン基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。)で表すことができる。このエーテルジアミンとしてはポリオキシプロピレンジアミン等が挙げられ、市販品としてはジェファーミン類(サンテクノケミカル社製)がある。また、ビス−(3−アミノプロピル)−ポリテトラヒドロフランも挙げることができる。
上記ポリアミン類とダイマー酸或いは各種ジカルボン酸とは常法により加熱縮合され、脱水を伴ったアミド化工程によりダイマー酸変性ポリアミド樹脂をはじめとする各種ポリアミド樹脂が製造される。一般に、反応温度は100〜300℃程度、反応時間は1〜8時間程度である。
<ポリエステル樹脂>
バインダー樹脂としては、体積抵抗率と基材への密着性の観点からポリエステル樹脂が好ましい。体積抵抗率は、(熱)プレス中の樹脂分が流動しやすいため良好な結果となる。
ポリエステル樹脂は、単量体として多価カルボン酸と多価アルコールより構成される重合体である。ポリエステル樹脂は、公知のものが採用でき、具体的には、樹脂の凝集力の確保の点から、重量平均分子量が1000〜100000であることが好ましい。また、密着の観点から、ガラス転移温度が−10℃〜200℃であることが好ましい。
ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を選択し使用できる。一方、ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、脂肪族グリコール、エーテルグリコール類、3価以上のポリアルコール等が挙げることができ、これらの中から1種、又はそれ以上を選び使用できる。
ポリエステル樹脂の市販品としてはバイロン(東洋紡株式会社製、「バイロン」は登録商標)、ポリエスター(日本合成化学工業株式会社製、「ポリエスター」は登録商標)、テスラック(日立化成ポリマー株式会社製、「テスラック」は登録商標)などが挙げられる。
次に、炭素材料(B)について説明する。
本発明の導電性組成物における導電性の炭素材料(B)は、黒鉛(B−1)および黒鉛以
外の炭素材料(B−2)を含有することを特徴とする。
また、炭素材料(B)の含有率が、導電性組成物の固形分100質量%中、65〜85質量%であり、70〜80質量%であることが好ましい。
炭素材料(B)の含有率が85質量%を越える場合では、樹脂分が不足して、導電膜の密着性が低下し、密着不良となる。一方で、炭素材料(B)の含有率が65質量%未満の場合には、導電膜中の炭素材料間の接触が減り、導電性が不良となる。
炭素材料(B)の含有率が70〜80質量%の場合では、導電性組成物により形成される導電膜中の導電ネットワーク形成が良好な状態で、高い密着性を発現することができる。
黒鉛(B−1)としては、例えば人造黒鉛や天然黒鉛等を使用することが出来る。人造黒
鉛としては、無定形炭素の熱処理により、不規則な配列の微小黒鉛結晶の配向を人工的に行わせたものであり、一般的には石油コークスや石炭系ピッチコークスを主原料として製造される。天然黒鉛としては、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等を使用することが出来る。また、鱗片状黒鉛を化学処理等した膨張黒鉛(膨張性黒鉛ともいう)や、膨張黒鉛を熱処理して膨張化させた後、微細化やプレスにより得られた膨張化黒鉛等を使用することも出来る。これらの黒鉛の中でも、配線シートの導電膜に用いる場合は、導電性の観点で鱗片状黒鉛、膨張化黒鉛、および薄片化黒鉛等の薄片状黒鉛が好ましい。
これら黒鉛の表面は、本発明の導電性組成物の特性を損なわない限りにおいてバインダー樹脂との親和性を増すために、表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、シランカップリング処理、および酸化処理等が施されていてもよい。
また、用いる黒鉛の平均粒径は、2〜100μmが好ましく、特に、20〜50μmが好ましい。
黒鉛の平均粒径が2μm未満では、黒鉛粒子のアスペクト比が低下し、黒鉛粒子間の接触が、点接触になりやすくなるため、導電ネットワークを十分に形成できない。一方で、黒鉛の平均粒径が100μm以上では、黒鉛粒子間の空隙が大きくなり、導電ネットワーク中の黒鉛以外の炭素材料間で形成する導電パスの割合が多くなり、導電性の低下を引き起こす。
本発明でいう平均粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販の黒鉛としては、例えば、薄片状黒鉛として、日本黒鉛工業社製のCMX、CPB、UP−5、UP−10、UP−20、UP−35N、CSSP、CSPE、CSP、CP、CB−150、CB−100、ACP、ACP−1000、ACB−50、ACB−100、ACB−150、SP−10、SP−20、J−SP、SP−270、HOP、GR−15、LEP、F#1、F#2、F#3、中越黒鉛社製のCX−3000、FBF、BF、CBR、SSC−3000、SSC−600、SSC−3、SSC、CX−600、CPF−8、CPF−3、CPB−6S、CPB、96E、96L、96L−3、90L−3、CPC、S−87、K−3、CF−80、CF−48、CF−32、CP−150、CP−100、CP、HF−80、HF−48、HF−32、SC−120、SC−80、SC−60、SC−32、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50、西村黒鉛社製の10099M、PB−99等が挙げられる。球状天然黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のCGC−20、CGC−50、CGB−20、CGB−50が挙げられる。土状黒鉛としては、日本黒鉛工業社製の青P、AP、AOP、P#1、中越黒鉛社製のAPR、S−3、AP−6、300Fが挙げられる。人造黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のPAG−60、PAG−80、PAG−120、PAG−5、HAG−10W、HAG−150、中越黒鉛社製のRA−3000、RA−15、RA−44、GX−600、G−6S、G−3、G−150、G−100、G−48、G−30、G−50、SECカーボン社製のSGP−100、SGP−50、SGP−25、SGP−15、SGP−5、SGP−1、SGO−100、SGO−50、SGO−25、SGO−15、SGO−5、SGO−1、SGX−100、SGX−50、SGX−25、SGX−15、SGX−5、SGX−1が挙げられる。これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、本発明中の導電性組成物に占める黒鉛(B−1)の含有率は、炭素材料(B)100質量%中、75〜99質量%であり、特に、炭素材料(B)100質量%中、80〜99質量%であることが好ましく、さらには炭素材料(B)100質量%中、90〜97.5質量%であることが好ましい。
黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中75質量%未満の場合では、過剰量の黒鉛以外の炭素材料(B−2)による黒鉛粒子の配向性の低下および導電ネットワークの大部分を黒鉛以外の炭素材料が占めることで、特異的な高い導電性が発現しなくなる。一方で、黒鉛の含有率が炭素材料(B)100質量%中99質量%を超える場合には、黒鉛粒子による平面方向の導電性が支配的となり、導電膜の導電性は頭打ちする。
黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、80質量%以上である場合は、導電膜のピンホールが少なく良好な塗膜が形成できる。
黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、90〜97.5質量%である場合、黒鉛粒子による平面方向の高い導電性に加え、適切な量の黒鉛以外の炭素材料(B−2)によって、黒鉛由来の平面方向の導電性を阻害せずに垂直方向の導電ネットワークが強化され、非常に高い導電性を発現できる。
黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、90質量%以下である場合、導電膜のムラが少ない塗膜を得ることができる。
(黒鉛以外の炭素材料(B−2))
黒鉛以外の炭素材料としては、特に限定されるものではないが、粒径および比表面積の観点からカーボンブラックがより好ましい。それ以外にも、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することが出来る。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、体積抵抗率を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。比表面積が20m2/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m2/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のトーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、コロンビヤン社製のRaven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、500
0ULTRA、ConductexSCULTRA、Conductex975ULTRA、PUERBLACK100、115、205、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のMONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li等のファーネスブラック)、ライオン社製のEC−300J、EC−600JD等のケッチェンブラック、電気化学工業社製のデンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等のアセチレンブラックが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることが出来る。また、カーボンナノチューブには、グラフェンシートが一層でナノメートル領域の直径を有するチューブを形成する単層カーボンナノチューブと、グラフェンシートが多層である多層カーボンナノチューブがある。そのため、多層カーボンナノチューブの直径は、典型的な単層カーボンナノチューブの0.7−2.0nmに対して、30nmと大きい値を示す。
市販の導電性炭素繊維やカーボンナノチューブとしては、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名城ナノカーボン社製のEC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5−P等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T等が挙げられる。
次に、硬化剤(C)について説明する。
硬化剤(C)は、バインダー樹脂(A)が含有する反応性の官能基と反応するものであれば特に限定されない。バインダー樹脂を硬化させることで、樹脂の物理的強度や化学的耐性が向上し、導電膜の耐久性が良化する。さらに、硬化時の導電膜の体積収縮の効果により、導電性が良化する。
反応性の官能基としては、例えば水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、無水マレイン酸等の酸無水物基、チオール基等が挙げられるが特に限定されるものではない。
硬化剤としては、例えば、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、ブロックイソシアネート基含有化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、ベンゾオキサジン化合物、フェノール樹脂、マレイミド化合物、β―ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物、及び金属キレート等が挙げられ、導電膜の耐久性の観点からは、アジリジン化合物とエポキシ基含有化合物が好ましく、導電性の観点からは、アジリジン化合物が好ましい。アジリジン化合物は、カルボキシル基、フェノール性水酸基、酸無水物等を含有するバインダー樹脂との反応性が非常に良く、導電膜の乾燥直後から硬化が開始することで、硬化収縮が顕著に起きるため、フィラー同士の接触が密になり、他の硬化剤を使用する場合よりも極端に導電性が向上する。
<エポキシ基含有化合物>
エポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有するものを好ましく用いることができる。エポキシ基有化合物としては、例えば、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、又は環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を用いることができる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、又はテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、又はテトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、又はジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシシクロヘキシルメチル−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、又はビス(エポキシシクロヘキシル)アジペートなどが挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、前記化合物の一種を単独で、若しくは二種以上を組み合わせて用いることができる。エポキシ基含有化合物としては、耐久性の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、又はテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンを用いることが好ましい。
<アジリジン化合物>
本発明におけるアジリジン化合物としては、分子内にアジリジン基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。
アジリジン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)ブチレート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−(2−メチル)アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリス[3−(1−アジリジニル)−2−メチルプロピオネート]、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラ[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、ジフェニルメタン−4,4−ビス−N,N’−エチレンウレア、1,6−ヘキサメチレンビス−N,N’−エチレンウレア、2,4,6−(トリエチレンイミノ)−Syn−トリアジン、ビス[1−(2−エチル)アジリジニル]ベンゼン−1,3−カルボン酸アミド等が挙げられる。
特に、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]は、良好な耐久性と導電性が得られるため、本発明において好ましく使用される。
<カルボジイミド基含有化合物>
カルボジイミド基含有化合物としては、日清紡績株式会社のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、03、05、07、09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
<イソシアネート化合物>
本発明において(C)として用いるイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。1分子中にイソシアネート基を1個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
また、1,6−ジイソシアナトヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸4,4’−ジフェニルメタン、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸トルエン、2,4−ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のジイソシアン酸エステル化合物と水酸基、カルボキシル基、アミド基含有ビニルモノマーとを等モルで反応せしめた化合物もイソシアン酸エステル化合物として使用することができる。
1分子中にイソシアネート基を2個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
また、1分子中にイソシアネート基を3個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、芳香族ポリイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられ、前記で説明したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。
<ブロック化イソシアネート化合物>
本発明において化合物(C)として用いるブロック化イソシアネート化合物しては、前記イソシアネート基含有化合物中のイソシアネート基がε−カプロラクタムやMEKオキシム等で保護されたブロック化イソシアネート基含有化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、前記イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基を、ε−カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。特に、イソシアヌレート環を有し、MEKオキシムやピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体は、本発明に使用した場合、保存安定性は勿論のこと、ポリイミドや銅に対する接着強度や半田耐熱性に優れるため、非常に好ましい。
<ベンゾオキサジン化合物>
ベンゾオキサジン化合物としては、Macromolecules,36,6010(2003)記載の「P−a」、「P−alp」、「P−ala」、「B−ala」、Macromolecules,34,7257(2001)記載の「P−appe」、「Bappe」、四国化成株式会社製「B−a型ベンゾオキサジン」、「F−a型ベンゾオキサジン」、「B−m型ベンゾオキサジン」などが挙げられる。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂としては、フェノール、クレゾール類、およびビスフェノール類等の化合物とホルムアルデヒドとの付加化合物、またはその部分縮合物が挙げられる。具体的には、フェノール樹脂、クレゾール樹脂、t−ブチルフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンクレゾール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、テトラキスフェノール樹脂、ビスフェノールA樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール樹脂のレゾール型樹脂やノボラック型樹脂が挙げられる。その他、ナフトール系化合物、トリスフェノール系化合物、フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。中でも、フェノール樹脂のレゾール型樹脂は、耐熱性および硬化性の面で非常に優れており、本発明において好適に用いることができる。
<マレイミド化合物>
マレイミド化合物としては、分子中にマレイミド基を少なくとも1個有しているもので、例えば、フェニルマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−s−ブチル−3,4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス[1−(4−マレイミドフェノキシ)フェノキシ]−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどがあり、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
<β−ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物>
β−ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド(エムスケミー社製Primid XL-552)をはじめとする種々の化合物を挙げることができる。
<金属キレート>
金属キレートとしては、金属アルコキシドとβ-ジケトンやケトエステル(アセト酢酸エチル等)等のキレート化剤と反応したキレート化合物を挙げることができ、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート、チタンキレート等を挙げることができる。
本発明において、硬化剤(C)は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用しても良い。硬化剤(C)の使用量は、本発明の導電性組成物の用途等を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、硬化剤(C)の含有率が、バインダー樹脂(A)100質量%に対して、0.5〜20質量%であることが好ましい。0.5%以下であると架橋性が良好となり、導電性、耐久性ともに良化傾向になり、20%以下であると、インキのポットライフが良好となる。
次に、溶剤について説明する。導電性組成物中のバインダー樹脂(A)と、導電性の炭素材料(B)と、硬化剤(C)とを均一に混合する場合、溶剤を適宜用いることが出来る。そのような溶剤としては、有機溶剤や水を挙げることが出来る。
有機溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの内から導電性組成物の組成に応じ適当なものが使用できる。また、溶剤は2種以上用いてもよい。
尚、スクリーン印刷などの導電性組成物に一定以上の粘性が要求される印刷塗工方式を採用する場合、有機溶剤の25℃の時の粘度は、30mPa・s〜75000mPa・sが好ましい。30mPa・s未満であると、高導電発現のため、樹脂含有量が少ないことから
、塗工に適した粘性および導電性の炭素材料の良好な分散性が得られず、塗工性が不十分となり、75000mPa・sを越えると、粘度が高すぎるために炭素材料の分散性が著
しく低下する。例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1、3−ブチレングリコール、イソボルニルシクロヘキサノール
が挙げられる。ここで示すところの高粘度溶剤は、二種以上用いて良いし、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコールのような25℃の時の粘度が30mPa・s
未満の低粘度溶剤と併用して使用することも可能である。
次に、その他の成分について説明する。本発明の導電性組成物には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、ラジカル補足剤、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、増粘剤、顔料分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
(分散機・混合機)
導電性組成物を得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
(導電膜)
本発明の導電膜とは、基材上に導電性組成物から形成された導電膜を有するものである。
(シート状基材)
導電膜成形に使用するシート状基材の形状は特に限定されないが、絶縁性の樹脂フィルムが好ましく、各種用途にあったものを適宜選択することができる。
例えば、材質としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド、ポリ塩ビニル、ポリアミド、ナイロン、OPP(延伸ポリプロピレン)、CPP(未延伸ポリプロピレン)などが挙げられるが特に限定されることはない。
また、形状としては、一般的には平板上のフィルムが用いられるが、表面を粗面化したものや、プライマー処理したもの、穴あき状のもの、及びメッシュ状の基材も使用できる。
シート状基材上に導電性組成物を塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行ってもよく、導電膜を軟化させてプレスしやすくするため、加熱しながら行ってもよい。導電膜の厚みは、一般的には0.1μm以上、1mm以下であり、好ましくは1μm以上、200μm以下である。
(導電膜の体積抵抗率)
本発明の導電膜の体積抵抗率は、1×10−2Ω・cm未満であることが好ましい。体積抵抗率は、1×10−2Ω・cm未満であることで、電池の電極、集電体や、電池、電子機器の配線等として好適に利用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「質量部」を表し、Mwは重量平均分子量、Tgはガラス転移温度を意味する。
<バインダー樹脂A−1の合成>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、テレフタル酸とアジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとから得られるポリエステルポリオール((株)クラレ製「クラレポリオールP−2011」、Mn=2011)455.5部、ジメチロールブタン酸16.5部、イソホロンジイソシアネート105.2部、トルエン140部を仕込み、窒素雰囲気下90℃3時間反応させ、これにトルエン360部を加えてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、イソホロンジアミン19.9部、ジ−n−ブチルアミン0.63部、2−プロパノール294.5部、トルエン335.5部を混合したものに、得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液969.5部を添加し、50℃で3時間続いて70℃2時間反応させ、トルエン126部、2−プロパノール54部で希釈し、Mw=61,000、酸価=10mgKOH/g、ウレタンプレポリマーの両末端に有する遊離のイソシアネート基に対してポリアミノ化合物および反応停止剤中のアミノ基の合計当量は0.98である、ポリウレタン樹脂A−1の溶液を得た。
<バインダー樹脂A−2の合成>
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、多塩基酸化合物としてプリポール1009を156.2g、5−ヒドロキシイソフタル酸を5.5g、ポリアミン化合物としてプリアミン1074を146.4g、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で、1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、重量平均分子量24000、酸価13.2mgKOH/g、水酸基価5.5mgKOH/g、ガラス転移温度−32℃のポリアミド樹脂A−2を得た。
なお、樹脂の評価は下記の通りに行った。
<重量平均分子量(Mw)の測定方法>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶剤(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
<酸価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<水酸基価の測定方法>
水酸基価は、水酸基含有樹脂1g中に含まれる水酸基の量を、水酸基をアセチル化させたときに水酸基と結合した酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)で表したものである。水酸基価は、JISK0070に準じて測定した。本発明において、水酸基価を算出する場合には、下記式に示す通り、酸価を考慮して計算する。
<水酸基価の測定>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.05}/S]+D
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<ガラス転移温度の測定方法>
溶剤を乾燥除去したバインダー樹脂で、メトラー・トレド(株)製「DSC−1」を使用し、−80〜150℃まで2℃/分で昇温して測定した。
<バインダー樹脂の調整>
実施例、比較例で使用するバインダー樹脂を以下に示す溶剤を使用して固形分率20%の溶液に調整した。混合溶剤の組成比は質量比で記載されている。
・バインダー樹脂A−1−1の溶液:バインダー樹脂A−1の溶液をトルエン/メチルエチルケトン/2−プロパノール(1/1/1)で希釈してバインダー樹脂A−1−1の溶液を得た。
・バインダー樹脂A−2−1の溶液:バインダー樹脂A−2をトルエン/2−プロパノール(2/1)で希釈してバインダー樹脂A−2−1の溶液を得た。
・バインダー樹脂A−3−1の溶液:バインダー樹脂A−3:バイロンUR3500(東洋紡株式会社製、ポリウレタン樹脂)をトルエン/メチルエチルケトン(1/1)で希釈してバインダー樹脂A−3−1の溶液を得た。
・バインダー樹脂A−4−1の溶液:バインダー樹脂A−4:バイロンGK130(東洋紡株式会社製、ポリエステル樹脂)をトルエン/メチルエチルケトン(1/1)で希釈してバインダー樹脂A−4−1の溶液を得た。
<硬化剤の調整>
実施例、比較例で使用する硬化剤を以下に示す溶剤を使用して固形分率50%の溶液に調整した。混合溶剤の組成比は質量比で記載。
・硬化剤C−1−1の溶液:硬化剤C−1(アジリジン化合物 ケミタイトPZ−33:株式会社日本触媒製)をトルエンで希釈して硬化剤C−1−1の溶液を得た。
・硬化剤C−2−1の溶液:硬化剤C−2(エポキシ化合物 TETRAD-X:三菱ガス化学株式会社製)をトルエンで希釈して硬化剤C−2−1の溶液を得た。
・硬化剤C−4−1の溶液:硬化剤C−4(イソシアネート化合物 タケネートD−110N:三井化学株式会社社製)を酢酸エチルで希釈して硬化剤C−4−1の溶液を得た。
<導電性組成物および導電膜>
(実施例1)
バインダー樹脂としてA−1−1の溶液を120部(樹脂固形分24部)、導電性の炭素材料としてB−1−1:鱗片状黒鉛CPB(日本黒鉛社製)を70部、黒鉛以外の炭素材料としてB−2−1:ケッチェンブラックEC−300J(ライオンスペシャリティケミカルズ社製)を6部、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2−プロパノール(1/1/1)を204部、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行った後、硬化剤としてC−1−1の溶液を0.4部(硬化剤固形分0.2部)を添加して、導電性組成物(1)を得た。そして、この導電性組成物(1)を、シート状基材となる厚さ125μmのPENフィルム上にドクターブレードを用いて塗布した後、加熱乾燥し、導電膜の厚みが60μmとなるよう調整した。最後に、塗膜を150℃の環境下で硬化させた。なお、前記導電膜中に含まれる導電性の炭素材料は76質量%である。
得られた導電膜は以下の方法にて評価した。評価結果を表1に示す。
(導電膜の体積抵抗率)
導電膜の体積抵抗率は、ロレスタGP(三菱化学アナリテック社製)を用いて4端子法
で測定(JIS−K7194)して判定した。評価結果を表1に示す。
◎◎:「体積抵抗率が3.5×10−3Ω・cm未満(非常に極めて良好)」
◎〇:「体積抵抗率が3.5×10−3Ω・cm以上、4×10−3Ω・cm未満(非常に極めて良好)」
◎:「体積抵抗率が4×10−3Ωcm以上、5×10−3Ω・cm未満(極めて良好)」
○:「体積抵抗率が5×10−3Ω・cm以上、1×10−2Ω・cm未満(良好)」
○△:「体積抵抗率が1×10−2Ω・cm以上、5×10−2Ω・cm未満(使用可能)」
△:「体積抵抗率が5×10−2Ω・cm以上、1×10−1Ω・cm未満(不良)」
×:「体積抵抗率が1×10−1Ω・cm以上(極めて不良)」
(導電膜の密着性)
上記で作製した導電膜に、ナイフを用いて導電膜表面から基材に達する深さまでの切込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本の碁盤目の切込みを入れた。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、導電膜の脱落の程度を目視判定で判定した。評価結果を表1に示し、評価基準を下記に示す。
○:「剥離なし(実用上問題のないレベル)」
○△:「わずかに剥離(問題はあるが使用可能レベル)」
△:「半分程度剥離」
×:「ほとんどの部分で剥離」
<塗工性評価>
導電性組成物は、下記に示す塗工性評価によって評価した。導電膜を、目視で観察し、塗工ムラ(ムラ:塗面の濃淡により評価)およびピンホール(導電膜が塗布されていない欠陥の有無により評価)について、下記の基準で判定した。評価結果を表1に示す。
(ムラ)
○:導電膜の濃淡が確認されない(良好)。
△:導電膜の濃淡が1〜3箇所あるが極めて微小領域である(実用上問題なし)。
×:導電膜の濃淡が4箇所以上確認される、または濃淡の縞の長さが5mm以上のもの1個以上(不良)。
(ピンホ−ル)
○:ピンホールが1つも確認されない(良好)。
△:ピンホールが1〜3個あるが極めて微小である(実用上問題なし)。
×:ピンホールが4箇所以上確認される、または直径1mm以上のピンホールが1個以上(極めて不良)。
<耐久性評価>
耐久性の優劣を耐湿熱試験後の体積抵抗率の上昇率で評価した。
その方法を以下に示す。
作製した塗膜を小型環境試験器(エスペック株式会社:型番SH−661)に投入し、温度60℃、相対湿度90%で5000時間放置した後、室温環境に戻してから、体積抵抗率の測定を行った。
実用上「○」以上なら問題ない。(体積抵抗率の測定方法は前述と同様)
◎:体積抵抗率の上昇率が10%未満
〇:体積抵抗率の上昇率が10%以上20%未満
△:体積抵抗率の上昇率が20%以上
(実施例2〜実施例34、比較例1〜比較例14)
表1に示す組成比で、導電性組成物(1)と同様の方法により、導電性組成物(2)〜(34)、(a)〜(n)を得た。
実施例14は、バインダー樹脂の種類が実施例1と異なるため、導電性組成物作製時の希釈溶剤をトルエン/2−プロパノール(2/1)とした。
実施例15〜17は、バインダー樹脂の種類が実施例1と異なるため、導電性組成物作製時の希釈溶剤をトルエン/メチルエチルケトン(1/1)とした。
実施例で使用した材料を下記に示す。
〈バインダー樹脂(A)〉
・A−1:ポリウレタン樹脂(酸価:10mgKOH/g)
・A−2:ポリアミド樹脂(酸価13.2mgKOH/g、水酸基価5.5mgKOH/g)
・A−3:ポリウレタン樹脂 バイロンUR3500(酸価:35mgKOH/g、水酸基価:10mgKOH/g、東洋紡株式会社製)
・A−4:ポリエステル樹脂 バイロンGK130(水酸基価:19mgKOH/g、東洋紡株式会社製)

〈炭素材料(B)〉
〈黒鉛(B−1)〉
・B−1−1:鱗片状黒鉛CPB(日本黒鉛社製)平均粒径20μm(カタログ)
・B−1−2:薄片化黒鉛UP−20(日本黒鉛社製)平均粒径20μm(カタログ)
・B−1−3:膨張化黒鉛GR15(日本黒鉛社製)平均粒径15μm(カタログ)
・B−1−4:球状黒鉛CGB−50(日本黒鉛社製)平均粒径50μm(カタログ)
・B−1−5:人造黒鉛PAG−5(日本黒鉛社製)平均粒径30μm(カタログ)

〈黒鉛以外の炭素材料(B−2)〉
・B−2−1:ケッチェンブラックEC−300J(ライオンスペシャリティケミカルズ社製)
・B−2−2:ケッチェンブラックEC−600JD(ライオンスペシャリティケミカルズ社製)
・B−2−3:ファーネスブラック#3050B(三菱化学社製)
・B−2−4:デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)
・B−2−5:カーボンナノチューブVGCF−H(昭和電工社製)
〈硬化剤(C)〉
・C−1:アジリジン化合物 ケミタイトPZ−33 (固形分100質量%、株式会社日本触媒製)
・C−2:エポキシ化合物 TETRAD-X(固形分100質量%、三菱化ガス化学株式会社製)
・C−3:カルボジイミド化合物 カルボジライトV−03(固形分50質量%、日清紡ケミカル株式会社製)
・C−4:イソシアネート化合物 タケネートD−110N(固形分75質量%、三井化学株式会社社製)
表1に示すように、本発明の導電膜では、従来以上に密着性と導電性、耐久性を改善し、両立することが出来た。比較例1、2より、バインダー樹脂の混合量が少ないと導電性は良好だが、基材との密着性が低下することが確認された。一方で、比較例3、4より、バインダー樹脂の混合量が多くなるほど導電膜の密着性は向上するが、それに比例して炭素材料間に介在するバインダー樹脂が増えることで炭素材料間での接触を阻害し、導電性の低下を引き起こすことが確認された。
しかし、バインダー樹脂の混合量が多い場合でも、実施例6、7のように所定の範囲内に抑え、かつ、黒鉛以外の炭素材料を適切に混合することで、密着性を維持したまま、高い導電性を発現できることがわかった。これは黒鉛以外の炭素材料が黒鉛粒子間に適量介在することで、黒鉛の導電ネットワークを維持したまま、強化できたためだと考えられる。さらに、比表面積が大きい黒鉛以外の炭素材料が導電膜中に存在する余分なバインダー樹脂をトラップし、導電ネットワークの阻害を防いだことも理由として考えられる。
一方で、比較例6、8と実施例4、5を比較すると、黒鉛以外の炭素材料の混合量が多すぎる場合も、所定の導電性を発現できないことが確認された。これは過剰量の黒鉛以外の炭素材料による黒鉛粒子間の導電ネットワーク形成を阻害する上に、導電ネットワークの大部分を黒鉛以外の炭素材料が占めたことによる抵抗上昇が原因と考えられる。
また、比較例5、7と実施例4、5を比較すると、黒鉛の混合量が多すぎる場合も、バインダー樹脂との混合比によって、所定の導電性または密着性が発現できないことが確認された。この理由は以下のように考えられる。バインダー樹脂が多い場合では、黒鉛以外の炭素材料の混合量が少ない事から、バインダー樹脂による黒鉛粒子間の導電ネットワーク形成の阻害が大きく、導電性が頭打ちしてしまうためだと考えられる。一方で、バインダー樹脂が少ない場合では、導電膜の構成要素の大部分を黒鉛が占めるため、バインダー樹脂由来の密着性が発現しないためと考えられる。
また、比較例13は、バインダー樹脂量や黒鉛や黒鉛以外の炭素材料の比率が適切な範囲内にあるため、比較的良好な導電性が得られているが、バインダー樹脂を硬化していないため、耐久性が不十分な結果となっている。
以上の通り、バインダー樹脂と炭素材料と硬化剤とからなる導電膜においては、導電膜中のバインダー樹脂、黒鉛、黒鉛以外の炭素材料の混合比率を選択的に制御することで、炭素材料間で優れた導電ネットワーク形成を可能にし、優れた導電性と密着性と耐久性を発現することが分かった。
本発明の導電性組成物は、炭素材料としては、非常に優れた導電性を有するため、RFIDアンテナ、配線材料、平面発熱体、電極材料を含む幅広い応用分野に適用可能である。

Claims (7)

  1. バインダー樹脂(A)と、炭素材料(B)と、硬化剤(C)とを含有する導電性組成物であって、
    炭素材料(B)が、黒鉛(B−1)および黒鉛以外の炭素材料(B−2)を含み、
    炭素材料(B)の含有率が、導電性組成物の固形分100質量%中、65〜85質量%であり、
    黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、75〜99質量%であることを特徴とする導電性組成物。
  2. 硬化剤(C)の含有率が、バインダー樹脂(A)100質量%に対して、0.5〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性組成物。
  3. 黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、80〜99質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性組成物。
  4. 黒鉛(B−1)の含有率が、炭素材料(B)100質量%中、90〜97.5質量%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の導電性組成物。
  5. 炭素材料(B)の含有率が、導電性組成物の固形分100質量%中、70〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の導電性組成物。
  6. 硬化剤(C)が、アジリジン化合物、またはエポキシ基含有化合物を含むことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の導電性組成物。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の導電性組成物を用いて得られる導電膜。
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