JP2022099330A - 導電性組成物及び導電膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた分散性を有し良好な導電ネットワークを形成することが可能であり、導電性及び耐久性に優れた導電性組成物及び導電膜を提供する。【解決手段】導電性炭素材料とバインダー樹脂とを含む導電性組成物であって、導電性炭素材料は、導電材と、導電材より比表面積が大きい導電助剤とを含む。導電助剤は、ホウ素含有炭素材料を含む導電性組成物及び導電性組成物により形成された塗膜を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性組成物、及び導電膜に関し、詳細には、ホウ素含有炭素材料を導電助剤として含有する導電性組成物、及びそれを用いて得られる導電膜に関する。
近年、エレクトロニクスの発達は目覚ましいものがあり、各種電子機器で使用される導電性材料についても製品の小型・軽量化、低コスト化、様々な使用環境下での高寿命化が求められている。例えば、電子機器の基盤配線や電子機器を接続する配線を製造する場合、導電性が良好な導電性組成物が必要となるが、銀や銅等の金属フィラーを用いる導電性組成物が一般的であり、コストや耐久性等の点で大きな課題となっている。一方、金属を用いない導電性の炭素材料を用いた導電性組成物についても様々な検討がなされているが、導電性が不十分なため、帯電防止用途等の半導電性用途での使用に限られてきた。
また、導電性の炭素材料について、今日までに様々なグラファイトやカーボンナノチューブ等の体積抵抗率の低い良好な導電材料が検討されてきた。これら導電性の良好な炭素材料の体積抵抗率は、10-2Ω・cm未満と高い導電性を示すが、導電性に優れた炭素材料は比表面積が大きいものが多く、樹脂や溶剤に均一混合・分散することが困難である。それゆえ、導電性の炭素材料や樹脂、溶剤等を含む導電性組成物から得られた塗膜や成形物中の炭素材料間の接触に不良が生じ、その導電性を十分に発現できていない(特許文献1~3)。
この課題を解決するため、塗膜中の炭素材料間の導電ネットワークを発達させ、グラファイトとカーボンブラックとを併用してバインダー中に分散した導電性組成物が開示されている(特許文献4)。しかしながら、この方法ではグラファイトに対して導電助剤となるカーボンブラックの導電性が低く、またカーボンブラックの比表面積が大きいために混合及び分散が難しく、導電性及び耐久性が良好な塗膜を得ることが難しいといった課題がある。
特開平3-7740号公報 特開2001-60413号公報 特開2002-20515号公報 特開2003-238881号公報
本発明の目的は、優れた分散性を有し良好な導電ネットワークを形成することが可能な導電性組成物、及び優れた導電性と耐久性を有する導電膜を提供することである。
すなわち、本発明は、導電性炭素材料(A)とバインダー樹脂(B)とを含む導電性組成物であって、導電性炭素材料(A)が、導電材と、導電材より比表面積が大きい導電助剤とを含み、導電助剤が、ホウ素含有炭素材料(A-1)を含む導電性組成物に関する。
また、本発明は、導電性炭素材料(A)100質量%中、ホウ素含有炭素材料(A-1)を0.1~50質量%含む請求項1に記載の導電性組成物に関する。
また、本発明は、ホウ素含有炭素材料(A-1)の比表面積が5~700m/gであることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、ホウ素含有炭素材料(A-1)のX線回折による平均面間隔d002面が0.34nm以上であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、ホウ素含有炭素材料(A-1)のホウ素含有量が0.005~15mol%であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、導電材が炭素材料(A-2)を含み、炭素材料(A-2)が黒鉛を含むことを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、炭素材料(A-2)がホウ素を含有することを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、炭素材料(A-2)のホウ素含有量が0.005~15mol%であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
また、本発明は、前記の導電性組成物を用いて得られる導電膜に関する。
本発明により、優れた分散性を有し良好な導電ネットワークを形成することが可能な導電性組成物、及び優れた導電性と耐久性を有する導電膜を提供することができる。
本発明の導電性組成物は、導電性炭素材料(A)とバインダー樹脂(B)とを含み、導電性炭素材料(A)が、導電材と、導電材より比表面積が大きい導電助剤とを含み、導電助剤が、ホウ素含有炭素材料(A-1)を含むことを特徴とする。導電材と、ホウ素含有炭素材料を含み導電材より比表面積が大きい導電助剤とを組み合わせて用いることで、混合及び分散性に優れた樹脂組成物が得られると同時に、塗膜中の炭素材料間の導電性ネットワークの強化やパッキング性を高めることが可能となり、優れた導電性や耐久性を発揮することができる。
以下、本発明について詳細を説明する。
<導電性炭素材料(A)>
導電性炭素材料(A)は、導電材と、前記導電材より比表面積が大きい導電助剤とを含む。本明細書において導電材とは、導電性に寄与する炭素材料(導電性フィラー)を意味し、導電助剤とは、導電材より比表面積が大きい導電性フィラーであり、導電材と共に使用することで導電材の接触や結着を向上させ、塗膜の高導電化に寄与するものである。
導電材及び導電助剤は、導電性炭素材料であって上記を満たすものであれば特に限定されない。
<導電助剤>
[ホウ素含有炭素材料(A-1)]
導電助剤は、ホウ素含有炭素材料(A-1)を含むものである。ホウ素含有炭素材料(A-1)とは、炭素原子が六角網状に共有結合した網平面を形成した炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなり、それらの構成単位間に物理的・化学的な相互作用(結合)を有し、少なくともホウ素元素が炭素元素の一部を置換するようにドープされており、場合によって窒素元素やリン元素等のヘテロ元素や、卑金属元素等が含まれる炭素材料である。
ホウ素含有炭素材料(A-1)は後述するように、ホウ素ドープすることによってキャリア密度及び/又は移動度が向上するため、粉体の体積抵抗率はホウ素ドープされていない炭素材料に比較して小さくなる。
また、ホウ素含有炭素材料(A-1)は、ホウ素ドープされていない炭素材料に比較して、表面状態が変化し、例えば、樹脂及び溶剤に対する濡れ性が高く、比表面積が小さくなる傾向がある。そのため、原料自体の導電性が向上することに加え、混合及び分散性に優れた樹脂組成物が得られることから、塗膜中の炭素材料間の導電性ネットワークを強化すると考えられる。さらに、濡れ性が改善することで、バインダー樹脂との相互作用が変化し、導電助剤であるホウ素含有炭素材料(A-1)が樹脂表面に露出し、導電材の接触抵抗を低減すると考えられる。これらの作用により、ホウ素含有炭素材料(A-1)を導電助剤として用いることで、導電性に極めて優れた塗膜を形成することができると考えられる。
また、上記のようにホウ素含有炭素材料(A-1)は樹脂や溶剤に対する濡れ性が改善していることで、特に分散の難しい高比表面積の導電助剤の分散性が改善し、均一に分散した樹脂組成物を形成できる。そのため、塗膜の均一性や導電材のパッキング性がさらに高まり(導電材が密に充填され)、耐久性も向上したと考えられる。
ホウ素含有炭素材料(A-1)の表面状態の変化は、例えばゼータ電位の変化により確認することができ、炭素材料(A-1)と樹脂と溶剤とを混合した組成物の場合は、ホウ素のドープによりゼータ電位が下がる(マイナス電位の絶対値が大きくなる)ほど、樹脂及び溶剤に対する濡れ性が高くなるものと思われる。ゼータ電位はJIS Z8836:2017準拠した方法で求めることができる。
ホウ素含有炭素材料(A-1)の含有量は、導電性及び耐久性の観点から、導電性炭素材料(A)100質量%を基準とした場合に、0.1~50質量%の範囲で含むことが好ましい。また、10~30質量%の範囲で含むことがより好ましい。
ホウ素含有炭素材料(A-1)の質量比が0.1質量%以上であると、導電ネットワークが十分に形成され導電性や耐久性に優れる。ホウ素含有炭素材料(A-1)の質量比が50質量%以下であると、炭素材料(A-2)同士の接触が阻害されず、導電性に優れる。
ホウ素含有炭素材料(A-1)は特に限定されないが、カーボンブラック、活性炭、黒鉛、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等)、カーボンナノホーン、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン等が挙げられる。比表面積及び粒子径の観点からカーボンブラックが好ましい。
ホウ素含有炭素材料(A-1)の比表面積は、具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)であり、好ましくは5m2/g以上、700m2/g以下、より好ましくは20m2/g以上、500m2/g以下、更に好ましくは20m2/g以上、300m2/g以下、特に好ましくは110m2/g以上、300m2/g以下である。比表面積が5m2/g以上であると、塗膜において十分な導電性を得ることができる。700m2/g以下であると、混合や分散が容易になり、導電性や耐久性が良好な塗膜を得ることができる。また、上記範囲であると、ホウ素ドープによる樹脂及び溶剤に対する濡れ性向上の効果が得られやすい。
(X線回折測定)
X線回折(XRD)測定では、CuKα線をX線源として得られるホウ素ドープ炭素材料のXRD図において、回折角(2θ)が24.0~27.0°付近に現れる(002)面回折ピークの確認により、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料であることを確認できる。また、得られたピークより算出された平均面間距離d002は、好ましくは0.33nm以上、さらに好ましくは0.34nm以上である。一般的な炭素材料の平均面間距離d002は、小さい方が導電性に優れる傾向があるが、ホウ素を含む炭素材料を導電助剤として使用する場合、最適な平均面間距離d002は、0.33nm以上、特に0.34nm以上である。平均面間距離d002が大きくなることで炭素材料の黒鉛化が抑えられ、樹脂や溶剤中への分散性が向上し、導電性に優れた塗膜を得ることができる。
ホウ素含有炭素材料(A-1)中のホウ素含有量(炭素材料全体におけるホウ素の含有量)は、特に制限はないが、0.005~15mol%が好ましく、0.01~10mol%がさらに好ましく、0.1~5mol%が特に好ましい。ホウ素の含有量が0.005mol%以上だと、ホウ素のドープ効果がより得られ、ホウ素の含有量が15mol%以下だと、過剰なホウ素による電子の移動が阻害されず、導電性の低下が抑制される。よって、0.005~15mol%の範囲にあると、良好な導電性を発現できる。
ホウ素含有炭素材料(A-1)中のホウ素の含有量は、ICP発光分光分析、ICP質量分析等の方法により求めることができる。一例として、JIS-R7223に準拠した測定方法が挙げられる。なお、ホウ素含有量のmol%の算出は、炭素材料中に含まれる各元素の質量から各元素の原子量を用いてmol数を算出し、各元素のmol比からmol%を算出することができる。また、ICP発光分光分析等では測定できない元素が含まれるホウ素含有炭素材料の場合は、元素分析等の測定も組み合わせて含有元素や炭素元素の質量を測定し、各元素の原子量からmol比やmol%を算出することができる。通常、1000℃以上の高温熱処理により得られるホウ素含有炭素材料では、金属等の揮発や分解しにくい元素以外はほとんど揮発や分解をしてしまうため、ICP発光分光分析等で検出された元素以外は炭素元素としてmol%を算出することができる。
また、ホウ素含有炭素材料中のホウ素の形態は特に限定されない。例えば、炭素骨格内の炭素元素の位置にホウ素元素が置換されている置換型ホウ素元素(BC型)、炭化ホウ素型及びホウ素クラスター型ホウ素元素(BC型、Bc型)、完全又は部分的に酸化された状態の酸化ホウ素型ホウ素元素(BCO型、BCO型、B型)等が挙げられる。
ホウ素含有炭素材料(A-1)の導電性は下記式で表される。
σ=μ×n×e (式1)
μ:移動度、n:キャリア密度、e:電気素量(定数)
上記(式1)より導電性を向上させるためには移動度及び/又はキャリア密度の向上が必要となる。炭素材料へホウ素をドープすることにより、キャリア密度及び/又は移動度が向上し、導電性の高い炭素材料が得られる。
(製造方法)
本発明のホウ素含有炭素材料(A-1)の製造方法は特に限定されないが、炭素系原料(炭素源)と、ホウ素を含む化合物(ホウ素源)とを混合する工程と、前記混合物を1000℃以上の高温で熱処理する工程を含む方法が好ましい。
ホウ素含有炭素材料(A-1)を製造するための炭素系原料とホウ素を含む化合物の原料組成比は、特に限定されるものではないが、炭素系原料100質量部に対するホウ素を含む化合物の割合は、好ましくは0.01~300質量部であり、さらに好ましくは0.1~100質量部である。
前記混合物の作製方法としては、炭素系原料と、ホウ素を含む化合物を少なくとも含んでいればよく、混合法としては乾式混合及び湿式混合が挙げられる。混合装置としては、以下のような乾式混合装置や湿式混合装置を使用できる。
乾式混合装置としては、例えば、2本ロールや3本ロール等のロールミル、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速攪拌機、マイクロナイザーやジェットミル等の流体エネルギー粉砕機、アトライター、ホソカワミクロン社製粒子複合化装置「ナノキュア」、「ノビルタ」、「メカノフュージョン」、奈良機械製作所社製粉体表面改質装置「ハイブリダイゼーションシステム」、「メカノマイクロス」、「ミラーロ」等が挙げられる。
又、乾式混合装置を使用する際、2種以上の原料を粉体のまま直接混合してもよいが、より均一な混合物を作成するために、前もって1種以上の原料を少量の溶媒に溶解、又、分散させておき、混合する方法を用いてもよい。更に処理効率を上げるために、加温してもよい。
湿式混合装置としては、例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類、エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類、レッドデビル社製ペイントコンディショナー、ボールミル、シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等のサンドミル類、アトライター、若しくはコボールミル等のメディア型分散機、 ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等の湿式ジェットミル類、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、若しくは奈良機械製作所社製「マイクロス」等のメディアレス分散機類、又は、その他ロールミル、ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、湿式混合装置としては、装置からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい場合がある。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。又、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用してもよいし、複数種の装置を組み合わせて使用してもよい。
又、原料が均一に溶解した系でない場合、各原料の溶媒への濡れ性、分散性を向上させるために、一般的な分散剤を一緒に添加し、分散、混合してもよい。
分散剤は、各原料に対して分散剤として有効に機能し、その凝集を緩和することができる。凝集を緩和させる効果があれば特に限定されることはなく、従来公知のものを使用することができる。例えば、樹脂型分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散剤を用いることができる。
樹脂型分散剤としては、ポリビニル系樹脂やポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、ホルマリン縮合物、シリコン系、及びこれらの複合系ポリマー等が挙げられる。更に、これらの樹脂型分散剤は2種類以上を併用してもよい。ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等が好ましい。
前記混合物を熱処理する方法においては、原料となる炭素系原料やホウ素を含む化合物の種類や量によって異なるが、加熱温度は1,000~3,200℃が好ましく、1,500~3,000℃がより好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、通常は30分から10時間であることが好ましい。
熱処理工程における雰囲気に関しては、原料の酸化を防ぐため、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気や、真空雰囲気が好ましい。
また、熱処理工程に関しては、一定の雰囲気及び温度下において1段階で処理を行う方法だけでなく、雰囲気や温度下を都度変更し多段階で行ってもよい。
(炭素系原料)
本発明におけるホウ素含有炭素材料を製造するための、炭素系原料としては無機炭素系原料が好ましい。具体的な無機炭素系原料としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維、木炭等が挙げられる。上記炭素系原料の中でも、種類やメーカーによって、炭素六角網面の大きさや積層構造は様々で、結晶性、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性等の様々な物性や、コストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。炭素材料は特に限定されないが、例えば粒径及び比表面積の観点からカーボンブラックがより好ましい。それ以外にも、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン、グラフェン、グラフェンナノプレートレット等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラック等の各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシ基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
カーボンブラックの比表面積は、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500
2/g以下のものを使用することが望ましい。比表面積が20m2/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m2
gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005~1μmが好ましく、特に、0.01~0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡等で測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のトーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、コロンビヤン社製のRaven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、500
0ULTRA、ConductexSCULTRA、Conductex975ULTRA、PUERBLACK100、115、205、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のMONARCH1400、1300、900、VulcanXC-72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP-Li等のファーネスブラック)、ライオン社製のEC-300J、EC-600JD等のケッチェンブラック、電気化学工業社製のデンカブラック、デンカブラックHS-100、FX-35等のアセチレンブラックが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが好ましいが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。また、カーボンナノチューブには、グラフェンシートが一層でナノメートル領域の直径を有するチューブを形成する単層カーボンナノチューブと、グラフェンシートが多層である多層カーボンナノチューブがある。そのため、多層カーボンナノチューブの直径は、典型的な単層カーボンナノチューブの0.7-2.0nmに対して、30nmと大きい値を示す。
市販の導電性炭素繊維やカーボンナノチューブとしては、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名城ナノカーボン社製のEC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5-P等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T等が挙げられる。
市販のグラフェン系炭素としては、XGSciences社製グラフェンナノプレートレットxGnP-C-300、xGnP-C-500、xGnP-C-750、xGnP-M-5、xGnP-M-15、xGnP-M-25、xGnP-H-5、xGnP-H-15、xGnP-H-25等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも導電性やコストの観点から市販の炭素系原料としてはカーボンブラックが好ましい。
本発明におけるホウ素含有炭素材料を製造するための炭素系原料としては、無機炭素系原料だけでなく、熱処理後炭素粒子となる有機材料である有機炭素系原料も使用することができる。具体的な有機材料としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂系樹脂、ポリイミダゾール系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、メラミン系樹脂、ピッチ、コークス、褐炭、ポリカルボジイミド、バイオマス、タンパク質、フミン酸等やそれらの誘導体等が挙げられる。中でも黒鉛の原料としても使われるコークスやピッチの使用が好ましい。
(ホウ素を含む化合物)
次に、ホウ素含有炭素材料の製造に用いられるホウ素を含む化合物について説明する。ホウ素を含む化合物は、特に限定されるものではないが、BC(B12)、B12(BC)等の炭化ホウ素;BCO、BCO、B、B、B、B等の酸化ホウ素;BN等の窒化ホウ素;AlB、CoB、FeB、MgB、NiB、TiB等の金属ホウ化物;オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ素オキソ酸;モノボラン、ジボラン、デカボラン等のボラン;ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル等のホウ酸エステル類、トリエチルボラン、トリフェニルボラン等の置換ボラン類、フェニルボロン酸、フェニルボロン酸エステル等のボロン酸類等のホウ素含有有機化合物が挙げられる。
[炭素材料(A-2)]
導電性炭素材料(A)としての導電材は、炭素材料(A-2)を含むことが好ましい。炭素材料(A-2)は特に限定されないが、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維等が挙げられ、黒鉛が好ましい。
炭素材料(A-2)の含有量は、導電性及び耐久性の観点から、導電性炭素材料(A)100質量%を基準とした場合に、50~99.9質量%の範囲で含むことが好ましい。また、70~90質量%の範囲で含むことがより好ましい。
また、炭素材料(A-2)は、比表面積が100m/g以下であることが好ましく、50m/g以下であることがさらに好ましく、30m/g以下であることがさらに好ましい。比表面積の小さい炭素材料(A-2)とそれより比表面積の大きいホウ素含有炭素材料(A-1)を併用することで、炭素材料(A-2)の接触や結着が向上し、導電性に優れた塗膜を得ることができる。
また、炭素材料(A-2)は、導電性の観点から、ホウ素を含有することが好ましい。また、炭素材料(A-2)中のホウ素含有量(炭素材料全体におけるホウ素の含有量)は、特に制限はないが、0.005~15mol%が好ましく、0.01~10mol%がさらに好ましく、0.1~5mol%が特に好ましい。ホウ素の含有量が0.005mol%以上だと、ホウ素のドープ効果がより得られ、ホウ素の含有量が15mol%以下だと、過剰なホウ素による電子の移動が阻害されず、導電性の低下が抑制される。よって、0.005~15mol%の範囲にあると、良好な導電性を発現できる。
<バインダー樹脂(B)>
導電性材料(A)とバインダー樹脂(B)との質量比は、95:5~60:40であることが好ましく、80:20~60:40であることがさらに好ましい。バインダー樹脂の質量比が5以上であると、導電膜の密着性に優れる。一方で、バインダー樹脂の質量比が40以下であると、導電膜中の炭素材料間の接触が阻害されず、導電性に優れる。
バインダー樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、アクリル系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、EVA系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂等からなる群から選ばれる1種類以上を含むことができる。ただし、これらの樹脂に限定されるわけではない。バインダー樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
バインダー樹脂としては、体積抵抗率と基材への密着性及び耐久性の観点からポリウレタン系、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリウレタン系樹脂がより好ましい。また、バインダー樹脂は、導電性組成物を基材上に印刷又は塗工した後、プレス又は熱プレス(以下、(熱)プレスと記載する)する際、適度に軟化又は流動するものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、樹脂が導電膜の平面的なパターン形状をほぼ維持しつつ厚み方向に流動し、導電膜中の空隙が減少して導電性炭素材料(A)同士の接触点が増加するため、体積抵抗率が低い導電膜を得ることができる。
[ポリウレタン樹脂]
ポリウレンタン樹脂の合成方法としては特に限定はされないが例えば、ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とを反応させたり、ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とカルボキシ基を有するジオール化合物(c)とを反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)を得たり、前記ウレタンプレポリマー(d)にポリアミノ化合物(e)をさらに反応させたり、あるいは前記3つの場合において、必要に応じて反応停止剤を反応させて得られるもの等が挙げられる。
ポリオール化合物(a)としては、一般にポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分として知られている、各種のポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、又はこれらの混合物等が使用できる。
ポリエーテルポリオール類としては、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン等の重合体又は共重合体等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ダイマージオール等の飽和及び不飽和の低分子ジオール類、並びにn-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル類のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のジカルボン酸類、又はこれらの無水物類を、脱水縮合して得られるポリエステルポリオール類や、環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール類としては、1)ジオール又はビスフェノールと炭酸エステルとの反応物、及び、2)ジオール又はビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンとの反応物が使用できる。炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。また、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル、2,2,8,10-テトラオキソスピロ〔5.5〕
ウンデカン等が挙げられる。また、ビスフェノールとしては、ビスフェノールAやビスフェノールF、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類等が挙げられる。
上記ポリオール化合物の数平均分子量(Mn)は、導電性組成物を製造する際のポリウレタン樹脂の溶解性、形成される導電膜の耐久性や基材に対する接着強度等を考慮して適宜決定されるが、通常は580~8,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは1,000~5,000である。上記ポリオール化合物は、単独で用いても、2種類以上併用してもよい。更に、ポリウレタン樹脂の性能が失われない範囲内で、上記ポリオール化合物の一部を低分子ジオール類、例えば前記ポリオール化合物の製造に用いられる各種低分子ジオールに替えることもできる。
ジイソシアネート化合物(b)としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族イソシアネート、又はこれらの混合物を使用できるが、特にイソホロンジイソシアネートが好ましい。芳香族ジイソシアネートとしては、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′-ベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル、ビス(4-イソシアネートシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
カルボキシ基を有するジオール化合物(c)としては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。特に反応性、溶解性の点からジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。
ポリオール化合物(a)とジイソシアネート(b)とカルボキシ基を有するジオール化合物(c)とを反応させ、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)を得る際の条件は、イソシアネート基を過剰にする他にとくに限定はないが、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.05/1~3/1の範囲内であることが好ましい。更に好ましくは1.2/1~2/1である。また、反応は通常常温~150℃の間で行なわれ、更に製造時間、副反応の制御の面から好ましくは60~120℃の間で行なわれる。
ポリアミノ化合物(e)は、鎖延長剤として働くものであり、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4′-ジアミン、ノルボルナンジアミンの他、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するアミン類も使用することができる。なかでも、イソホロンジアミンが好適に使用される。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)とポリアミノ化合物(e)を反応させてポリウレタン樹脂を合成するときに、得られるポリウレタン樹脂の分子量を調整する為に反応停止剤を併用することができる。反応停止剤としては、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のジアルカノールアミン類や、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が使用できる。
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(d)と、ポリアミノ化合物(e)、及び必要に応じて反応停止剤を反応させる際の条件はとくに限定はないが、ウレタンプレポリマーの両末端に有する遊離のイソシアネート基を1当量とした場合、ポリアミノ化合物(e)及び反応停止剤中のアミノ基の合計当量が0.5~1.3の範囲内であることが好ましい。更に好ましくは0.8~0.995の範囲内である。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、塗工性や取扱い性の観点から、5000~200000の範囲が好ましい。
[ポリアミド樹脂]
ポリアミド樹脂は、二塩基酸とジアミンの重縮合、アミノカルボン酸の重縮合、或いはラクタムの開環重合等の各種反応で得られるアミド結合を有する高分子の総称であり、各種の変性ポリアミドをはじめ、一部水素添加された反応物で製造されたものであり、他のモノマーが一部共重合された重合体、或いは各種添加剤等の他の物質が混合されたものを用いることができる。
ポリアミド樹脂は、特に限定されないが、ダイマー酸を主成分とする二塩基酸とポリアミン類とを縮合重合させて得られるダイマー酸変性ポリアミド樹脂が好ましい。ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を製造する際のダイマー酸としては、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸等に含まれる天然の一塩基性不飽和脂肪酸を重合したダイマー酸が工業的に広く用いられるが、原理的には、飽和脂肪族、不飽和脂肪族、脂環式、或いは芳香族等の各種ジカルボン酸等であってもよい。当該ダイマー酸の市販品としては、ハリダイマー200、300(ハリマ化成社製)、バーサダイム228、216、エンポール1018、1019、1061、1062(コグニス社製)等が挙げられる。さらに、水素添加されたダイマー酸も使用でき、水添ダイマー酸の市販品としてはプリポール1009(クローダジャパン株式会社製)、エンポール1008(コグニス社製)等が挙げられる。
上記ダイマー酸以外に、適当な柔軟性を有するポリアミド樹脂にするため、二塩基酸として各種のジカルボン酸を用いることができる。ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、(無水)コハク酸、(無水)マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸等が用いられる。
さらに、二塩基酸としてフェノール性水酸基を有するものも使用できる。フェノール性水酸基を有する二塩基酸を使用することによって、ポリアミド樹脂の側鎖にフェノール性水酸基を導入することができ、硬化剤との反応に利用することができる。
フェノール性水酸基を有する二塩基酸としては、 2-ヒドロキシイソフタル酸、4-ヒドロキシイソフタル酸、5-ヒドロキシイソフタル酸等のヒドロキシイソフタル酸、2,5-ジヒドロキシイソフタル酸、2,4-ジヒドロキシイソフタル酸、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸等のジヒドロキシイソフタル酸、2-ヒドロキシテレフタル酸、2,3-ジヒドロキシテレフタル酸、2,6-ジヒドロキシテレフタル酸等のジヒドロキシテレフタル酸、 4-ヒドロキシフタル酸、3-ヒドロキシフタル酸等のヒドロキシフタル酸、 3,4-ジヒドロキシフタル酸、3,5-ジヒドロキシフタル酸、4,5-ジヒドロキシフタル酸、3,6-ジヒドロキシフタル酸等のジヒドロキシフタル酸等が挙げられる。更にこれらの酸無水物や例えば多塩基酸メチルエステルのようなエステル誘導体等も挙げられる。なかでも、共重合性、入手の容易さ等の点から、5-ヒドロキシイソフタル酸が好ましい。
さらに、加熱時に適当な流動性を有するポリアミド樹脂にするため、必要に応じて各種のモノカルボン酸を用いる。モノカルボン酸としては、具体的には、プロピオン酸、酢酸、カプリル酸(オクタン酸)、ステアリン酸、オレイン酸等が用いられる。
上記ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を製造する際の反応物としてのポリアミン類は、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族等の各種ジアミン、トリアミン、ポリアミン等である。上記ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、p-又はm-キシレンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、2,2-ビス-(4-シクロヘキシルアミン)、ポリグリコールジアミン、イソホロンジアミン、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス-(2’-アミノエチル)ベンゼン、N-エチルアミノピペラジン、ピペラジン等が挙げられる。
また、トリアミンにはジエチレントリアミン等が挙げられ、ポリアミンにはトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。さらに、二量体化された脂肪族のニトリル基を変換して水素還元して得られたダイマージアミンも使用することができる。
また、ポリアミン化合物としては、炭素数20~48の環状又は非環状の炭化水素基を有する多塩基酸化合物のカルボシキル基をアミノ基に転化した化合物が挙げられ、市販品の例としては例えば、クローダジャパン株式会社製の「プリアミン1071」「プリアミン1073」「プリアミン1074」「プリアミン1075」や、コグニスジャパン株式会社製の「バーサミン551」等が挙げられる。ジアミンにはアルカノールアミンを併用してもよい。アルカノールアミンにはエタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、ブタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール等が挙げられる。また、酸素を骨格に有するポリエーテルジアミンを用いることができる。このポリエーテルは、
一般式: HN-R1-(RO)n-R2-NH
(式中、nは2~100であり、R1、R2は炭素原子数が1~14個であるアルキル基又は脂環式炭化水素基であり、Rは炭素原子数が1~10個であるアルキル基又は脂環式炭化水素基である。アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。)
で表すことができる。このエーテルジアミンとしてはポリオキシプロピレンジアミン等が挙げられ、市販品としてはジェファーミン類(サンテクノケミカル社製)がある。また、ビス-(3-アミノプロピル)-ポリテトラヒドロフランも挙げることができる。上記ポリアミン類とダイマー酸或いは各種ジカルボン酸とは常法により加熱縮合され、脱水を伴ったアミド化工程によりダイマー酸変性ポリアミド樹脂をはじめとする各種ポリアミド樹脂が製造される。一般に、反応温度は100~300℃程度、反応時間は1~8時間程度である。
[ポリエステル樹脂]
ポリエステル樹脂は、単量体として多価カルボン酸と多価アルコールより構成される重合体である。ポリエステル樹脂は、公知のものが採用でき、具体的には、樹脂の凝集力の確保の点から、重量平均分子量が1,000~100,000であることが好ましい。また、密着の観点から、ガラス転移温度が-10℃~200℃であることが好ましい。多価カルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、3価以上のカルボン酸等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を選択し使用できる。一方、多価アルコール成分としては、脂肪族グリコール、エーテルグリコール類、3価以上のポリアルコール等が挙げることができ、これらの中から1種、又はそれ以上を選び使用できる。ポリエステル樹脂の市販品としてはバイロン(東洋紡株式会社製、「バイロン」は登録商標)、ポリエスター(日本合成化学工業株式会社製、「ポリエスター」は登録商標)、テスラック(日立化成ポリマー株式会社製、「テスラック」は登録商標)等が挙げられる。
バインダー樹脂としては、加熱時の流動性、体積抵抗率と基材への密着性及び耐久性の観点から、イソシアネート基と反応可能な官能基を有する、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、又はポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種の構造を側鎖に有するビニル系重合体を含むことも好ましい。側鎖の導入方法は特に限定されず、各種の合成方法により得ることができる。
イソシアネート基と反応可能な官能基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、エポキシ基、N-メチロール基、N-アルコキシメチル基等が挙げられるが、反応性の点で水酸基が好適である。イソシアネート基と反応可能な官能基は、ビニル系重合体の側鎖又は主鎖に導入することができ、導入方法は特に限定されず各種の合成方法により導入することができる。高い強靱性、耐久性を必要とする用途に用いる場合には、ビニル系重合体の主鎖に直接、イソシアネートと反応可能な官能基を導入することが望ましく、これにより樹脂の架橋密度を向上できる。
ビニル系重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは5,000~500,000、更に好ましくは10,000~100,000である。重合体(A1)の重量平均分子量が500,000以下の場合には、溶剤への溶解性が向上し、5,000以上の場合には、(熱)プレス後に十分な塗膜強度が得られる。
バインダー樹脂は、バインダー樹脂が基材に適用された後に、硬化(架橋)反応を受ける、硬化性樹脂を用いることもできる。
硬化性樹脂に用いられる架橋剤としては、特に限定されないが、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては特に限定されないが、屋外で使用する場合には、塗膜が経時で劣化することを防ぐために、脂環族又は脂肪族の化合物のみを用いることが好ましい。
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、上記化合物とグリコール類又はジアミン類との両末端イソシアネートアダクト体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体を用いても構わない。
特に、ポリイソシアネート化合物がイソシアヌレート変性体、特にイソシアヌレート環含有トリイソシアネートを含む場合には、熱プレス後に十分な塗膜強度が得ることができるため、好ましい。イソシアヌレート環含有トリイソシアネートとして具体的には、イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモジュールZ4470)、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールN3300)、イソシアヌレート変性トルイレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールFL-2、FL-3、FL-4、HLBA)が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物は、要求性能に応じて、バインダー樹脂官能基の総数に対して、イソシアネート基の総数が、好ましくは0.1倍~5.0倍、更に好ましくは0.5倍~3.0倍、特に好ましくは0.8~2.0倍となるような比率で、1種、又は2種以上を混合して用いることができる。
バインダー樹脂は、溶剤に溶解する溶解性樹脂、及び溶剤中で溶解せずに、微粒子の状態で存在する分散型樹脂微粒子(エマルション)のいずれの形態であってもよい。
分散型樹脂微粒子の粒子構造は、多層構造、いわゆるコアシェル粒子にすることもできる。例えば、コア部、又はシェル部に官能基を有する単量体を主に重合させた樹脂を局在化させたり、コアとシェルによってTgや組成に差を設けたりすることにより、硬化性、乾燥性、成膜性、バインダーの機械強度を向上させることができる。樹脂微粒子の平均粒子径は、結着性や粒子の安定性の観点から、10~1000nmであることが好ましく、10~300nmであることが好ましい。また、1μmを超えるような粗大粒子が多く含有されるようになると粒子の安定性が損なわれるので、1μmを超える粗大粒子は多くとも5%以下であることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定できる。動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。樹脂微粒子の固形分に応じて、分散媒と同じ分散液で200~1000倍に希釈しておく。該希釈分散液約5mlを測定装置(日機装社製ナノトラック)のセルに注入し、サンプルに応じた分散媒及び樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークによって測定することができる。
分散型樹脂微粒子としては、架橋型樹脂微粒子を含むことが好ましい。架橋型樹脂微粒子とは、内部架橋構造(三次元架橋構造)を有する樹脂微粒子を示し、粒子内部で架橋していることが重要である。また、架橋型樹脂微粒子が特定の官能基を含有することにより、基材との密着性に寄与することができる。さらには架橋構造や官能基の量を調整することで、優れた耐久性の塗膜を得ることができる。
環境負荷等の観点では、水系の溶剤、好ましくは水中で使用することができる水溶性樹脂及び水性樹脂微粒子が好ましい。また、樹脂組成物のスラリー安定性や塗工性等の観点から、水溶性樹脂及び水性樹脂微粒子を併用することがさらに好ましい。
(水溶性樹脂)
水溶性樹脂とは、25℃の水99g中に樹脂1gを入れて撹拌し、25℃で24時間放置した後、分離・析出せずに水中で完全に溶解可能な樹脂である。
水溶性樹脂には、炭素材料の分散性を高める効果があるため、少ない樹脂量で安定な組成物が得られる。
水溶性樹脂は、アニオン性樹脂、カチオン性樹脂、アニオン性とカチオン性の性質を併せ持つ両性樹脂、またそれ以外のノニオン性樹脂に大別され、更にその樹脂が複数の単量体から構成されてもよい。また、水溶性樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
アニオン性樹脂としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基及びそれらを一部あるいは全てを中和した骨格を含有する樹脂が挙げられる。例示すると、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、2-スルホエチルメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等の重合性単量体の単独重合物、又は他の重合性単量体との共重合物、カルボキシメチルセルロース、及びそれらのアルカリ中和物等が挙げられる。
カチオン性樹脂としては、環状を含むアミノ基及びアミノ基の一部あるいは全て中和
した骨格や4級アンモニウム塩を含有する樹脂等が挙げられる。例示すると、N,N-ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等の重合性単量体の単独重合物、又は他の重合性単量体との共重合物及びそれらの酸中和物が挙げられる。
両性樹脂としては、前記アニオン性骨格と前記カチオン性骨格を共に含有する樹脂が挙
げられる。例示すると、スチレン-マレイン酸-N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの共重合物等が挙げられる。
ノニオン性樹脂は、前記アニオン性、カチオン性及び両性樹脂以外の樹脂である。例
示すると、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリルアミド、ポリ-N-ビニルアセトアミド、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
水溶性樹脂の分子量は特に限定されないが、好ましくは質量平均分子量が5,000~2,500,000である。質量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリエチレンオキサイド換算分子量を示す。
(水性樹脂微粒子)
水性樹脂微粒子(水性エマルション)は、樹脂が水中で溶解せずに微粒子の状態で存在する分散型樹脂微粒子であり、例えば、(メタ)アクリル系エマルション、ニトリル系エマルション、ウレタン系エマルション、ポリオレフィン系エマルション、フッ素系エマルション(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)、ジエン系エマルション(スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等)等が挙げられる。なお、(メタ)アクリルは、メタクリル又はアクリルを意味する。
水性樹脂微粒子を含む樹脂組成物は、塗膜形成された場合、粒子間及び基材との密着性に優れ、強度の高い塗膜を提供できる。更に、密着性に優れることから必要な水性樹脂微粒子は少量で済むため、結果、樹脂組成物の導電性が向上する。上述のような効果を得るため、水性樹脂微粒子としては、粒子間の結着性と柔軟性(膜の可とう性)に優れる(メタ)アクリル系エマルションやウレタン系エマルションが好ましい。
(メタ)アクリル系エマルションとは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を10質量部以上含有する乳化重合物であり、好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上含有されているとよい。アクリロイル基を有する単量体は反応性に優れるため、樹脂微粒子を比較的容易に作製することができる。したがって、水性樹脂微粒子として、(メタ)アクリル系エマルションは特に好ましい。
<溶剤(分散媒)>
本発明の導電性組成物は、導電性材料(A)と、バインダー樹脂(B)と、必要に応じて溶剤とを含有する。炭素材料と、バインダーとを均一に混合する場合、溶剤を適宜用いることができる。そのような溶剤としては、樹脂を溶解できるものや、樹脂微粒子エマルションを安定に分散できるものであれば特に限定されず、水や有機溶剤を挙げることができる。
有機溶剤は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等の内から導電性組成物の組成に応じ適当なものが使用できる。
また、溶剤は水と有機溶剤、又は有機溶剤を2種以上用いてもよい。
水溶性樹脂や水性樹脂微粒子を用いる場合、溶解性や分散性の観点から、溶剤として水を使用することが好ましく、必要に応じて、水と相溶する液状媒体を添加してもよい。水と相溶する液状媒体としては、炭素数が4以下のアルコール系溶剤が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、ラジカル補足剤、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
導電性組成物の粘度は、導電性組成物の塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
ホウ素含有炭素材料を導電助剤として含む分散体の粘度は、前述したように導電助剤の表面状態が変化しているため、ホウ素を含まない炭素材料を導電助剤として分散体を作製した場合に比べ、粘度が低下する傾向があり、分散体の取り扱いが容易になる効果が見られる。粘度は例えばB型粘度計によって測定することができる。
(分散機・混合機)
導電性組成物を得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;又は、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用してもよいし、複数種の装置を組み合わせて使用してもよい。
<導電膜>
本発明の導電膜とは、基材上に導電性組成物から形成された導電膜を有するものである。
(基材)
導電膜成形に使用する基材の形状は特に限定されないが、シート状であることが好ましい。また、絶縁性の樹脂フィルムが好ましく、各種用途にあったものを適宜選択することができる。
例えば、材質としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド、ポリ塩ビニル、ポリアミド、ナイロン、OPP(延伸ポリプロピレン)、CPP(未延伸ポリプロピレン)等が挙げられるが特に限定されることはない。
また、形状としては、一般的には平板上のフィルムが用いられるが、表面を粗面化したものや、プライマー処理したもの、穴あき状のもの、及びメッシュ状の基材も使用できる。
基材上に導電性組成物を塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法又は静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機等が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行ってもよく、導電膜を軟化させてプレスしやすくするため、加熱しながら行ってもよい。導電膜の厚みは、一般的には0.1μm以上、1mm以下であり、好ましくは1μm以上、200μm以下である。
(導電膜の体積抵抗率)
本発明の導電膜の体積抵抗率は、5×10-3Ω・cm未満であることが好ましく、3×10-3Ω・cm未満であることがさらに好ましい。体積抵抗率は、5×10-3Ω・cm未満であることで、非常に導電性の高い樹脂組成物として、電池の電極、集電体や、電池、電子機器の配線等に利用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例及び比較例における「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表す。
<炭素材料中のホウ素元素の含有量>
ICP発光分光分析(SPECTRO社製 SPECTROARCOS FHS12)を用いて、炭素材料中のホウ素元素の含有量を測定した。得られた値は、炭素材料の全体に含有するホウ素元素の量を示す。
<比表面積>
ガス吸着量測定装置(マイクロトラック・ベル社製 BELSORP-mini)を用いて、窒素吸着量測定を行い、BET法により比表面積を算出した。
<002面間距離>
X線回折装置(リガク社製 Smartlab)を用いて、CuKα線をX線源として測定し、2θ=24.0~27.0°付近に現れる(002)面のピーク半値幅を求めた。
<重量平均分子量(Mw)>
Mwの測定は東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC-8020」を用いた。GPCは溶剤(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF-604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続して用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行い、重量平均分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
<酸価>
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
酸価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/Sただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<水酸基価>
水酸基価は、水酸基含有樹脂1g中に含まれる水酸基の量を、水酸基をアセチル化させたときに水酸基と結合した酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)で表したものである。水酸基価は、JISK0070に準じて測定した。本発明において、水酸基価を算出する場合には、下記式に示す通り、酸価を考慮して計算する。
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。水酸基価は次式により求めた(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.05}/S]+D
ただし、
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
<ガラス転移温度の測定方法>
溶剤を乾燥除去したバインダー樹脂で、メトラー・トレド(株)製「DSC-1」を使用し、-80~150℃まで2℃/分で昇温して測定した。
<導電助剤:ホウ素含有炭素材料(A-1)の製造>
[製造例1]ホウ素含有炭素材料(1)
ケッチェンブラックEC300J(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比95/5(ケッチェンブラック/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)で混合複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、2050℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(1)を得た。
[製造例2]ホウ素含有炭素材料(2)
ケッチェンブラックEC300J(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比79/21(ケッチェンブラック/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)で混合複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、2050℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(2)を得た。
[製造例3]ホウ素含有炭素材料(3)
ファーネスブラックVULCAN XC-72R(キャボット社製)とホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)とエタノールを、質量比95/5/300(ファーネスブラック/ホウ酸/エタノール)となるようにそれぞれ秤量し、ディスパーで混合して大気下80℃のオーブンで乾燥させた後、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)で混合複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、2050℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(3)を得た。
[製造例4、6]ホウ素含有炭素材料(4)、(6)
表1に示す炭素、ホウ素を含む化合物を用いて、製造例1と同様の方法でホウ素含有炭素材料(4)、(6)を得た。
[製造例5]ホウ素含有炭素材料(5)
表1に示す炭素、ホウ素を含む化合物を用いて、製造例2と同様の方法でホウ素含有炭素材料(5)を得た。
[製造例7]ホウ素含有炭素材料(7)
φ5mmのジルコニアビーズ740gを500mL容器に入れ、そこに薄片状黒鉛(UP-20、日本黒鉛社製)をいれ、回転数100rpmにて遊星型ボールミル(フリッチュ社製)による粉砕処理を10分間行い、薄片状黒鉛を微細化した。その後、得られた炭素材料に対して、製造例1と同様の操作を行い、ホウ素含有炭素材料(7)を得た。
<導電材:炭素材料(A-2)の製造>
[製造例8]ホウ素含有炭素材料(8)
薄片状黒鉛(日本黒鉛社製UP-20)を用いて、製造例1と同様の操作を行い、ホウ素含有炭素材料(8)を得た。比表面積は4m/g、ホウ素含有量は0.62 mol%であった。
[製造例9]ホウ素含有炭素材料(9)
多層カーボンナノチューブ(Shenzhen Nanotech Port社製、NTP3003)を用いて製造例1と同様の操作を行い、ホウ素含有炭素材料(9)を得た。比表面積は187m/g、ホウ素含有量は0.69 mol%であった。
[製造例12]ホウ素含有炭素材料(20)
ケッチェンブラックEC600JD(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)、エタノール(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比99.5/0.5/400(ケッチェンブラック/ホウ酸/エタノール)となるようにそれぞれ秤量し、プラネタリーミキサーで撹拌混合した後、オーブンで乾燥させた。次に、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)で混合複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、1650℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(20)を得た。
[製造例13]ホウ素含有炭素材料(21)
ケッチェンブラックEC600JD(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、炭化ホウ素(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比98.8/1.2(ケッチェンブラック/炭化ホウ素)となるようにそれぞれ秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)で混合複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、1500℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(21)を得た。
[製造例4]ホウ素含有炭素材料(22)
ケッチェンブラックEC600JD(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比95/5(ケッチェンブラック/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)で混合複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、1700℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(22)を得た。
[製造例15]ホウ素含有炭素材料(23)
ケッチェンブラックEC600JD(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、ホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)、エタノール(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比97/3/400(ケッチェンブラック/ホウ酸/エタノール)となるようにそれぞれ秤量し、プラネタリーミキサーで撹拌混合した後、オーブンで乾燥させた。次に、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)で混合複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、1650℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(23)を得た。
[製造例16]ホウ素含有炭素材料(24)
多層カーボンナノチューブ(Shenzhen Nanotech Port社製、NTP3003)、ホウ酸(富士フィルム和光純薬社製)を、質量比95/5(カーボンナノチューブ/ホウ酸)となるようにそれぞれ秤量し、粒子複合化装置メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)で混合複合化を行い、混合物を得た。上記混合物を、グラファイト製るつぼに充填し、焼成炉にてアルゴン雰囲気下、1700℃で1時間熱処理を行い、ホウ素含有炭素材料(24)を得た。
[ホウ素を含有しない炭素材料(A-2)]
下記の材料を、ホウ素を含有しない炭素材料(A-2)として使用した。
・薄片状黒鉛:UP-20(日本黒鉛社製、比表面積 4m/g)
・球状黒鉛:CGB―50(日本黒鉛社製、比表面積 2m/g)
・鱗状黒鉛:F#2(日本黒鉛社製、比表面積1m/g)
<比較例用:ホウ素を含有しない炭素材料>
下記の材料を、ホウ素を含有しない炭素材料(10)~(14)として使用した。
・炭素材料(10):ケッチェンブラック EC-300J(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・炭素材料(11):ケッチェンブラック EC-600JD(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・炭素材料(12):ファーネスブラック VULCAN XC-72R(キャボット社製)
・炭素材料(13):アセチレンブラック HS-100(デンカ社製)
・炭素材料(14):グラフェン・ナノプレートレット xGNP-C750(XG Sciences社製)
得られた炭素材料の一覧を以下に示す。
Figure 2022099330000001
<炭素材料の体積抵抗率>
炭素材料の体積抵抗率を、日東精工アナリテック社製粉体抵抗測定システムMCP-PD51型を用いて測定した。低抵抗用粉体プローブを用いて四探針方式にて測定を行い、サンプルに20kNの荷重を加えた際の体積抵抗率を値として使用した。炭素材料(1)の体積抵抗率は7.4×10-3Ω・cm、炭素材料(10)の体積抵抗率は2.3×10-2Ω・cmであった。このことから、ホウ素ドープにより炭素材料の体積抵抗率が低下したことを確認できた。
また、炭素材料(3)の体積抵抗率は8.3×10-3Ω・cm、炭素材料(4)の体積抵抗率は7.4×10-3Ω・cm、炭素材料(5)の体積抵抗率は6.8×10-3Ω・cmであり、カーボンブラック種の違いによって粉体の体積抵抗率に差はほとんど見られなかった。
<炭素材料の濡れ性及びゼータ電位>
炭素材料(4)及び(11)について、水への濡れ性を評価した。水1gに対し炭素材料を0.1g混合したところ、炭素材料(11)は水と混和しなかったのに対し、炭素材料(4)は容易に水と混和することができた。このことから、ホウ素ドープにより炭素材料の表面状態が変化したことが確認できた。
また、炭素材料(4)及び(11)について、ゼータ電位測定を行った。炭素材料(4)又は(11)3gに対し、下記に記載のウレタン樹脂の溶液を35g(樹脂固形分7g)、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)を87g加えて混合した樹脂組成物に対し、ゼータ電位測定を行った。炭素材料(4)の樹脂組成物のゼータ電位は-34mV、炭素材料(11)の樹脂組成物のゼータ電位は-19mVだった。
<バインダー樹脂(B)の合成>
[製造例10]ポリウレタン樹脂の溶液
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、テレフタル酸とアジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールとから得られるポリエステルポリオール((株)クラレ製「クラレポリオールP-2011」、Mn=2011)455.5部、ジメチロールブタン酸16.5部、イソホロンジイソシアネート105.2部、トルエン140部を仕込み、窒素雰囲気下90℃3時間反応させ、これにトルエン360部を加えてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、イソホロンジアミン19.9部、ジ-n-ブチルアミン0.63部、2-プロパノール294.5部、トルエン335.5部を混合したものに、得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液969.5部を添加し(ウレタンプレポリマーの両末端に有する遊離のイソシアネート基に対してアミノ基の合計当量は0.98である)、50℃で3時間続いて70℃2時間反応させ、トルエン126部、2-プロパノール54部で希釈し、Mw=61,000、酸価=10mgKOH/gであるポリウレタン樹脂の溶液を得た。
得られた溶液をトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)で希釈して、固形分20%のポリウレタン樹脂の溶液を調整した。
[製造例11]ポリアミド樹脂の溶液
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、多塩基酸化合物としてプリポール1009を156.2g、5-ヒドロキシイソフタル酸を5.5g、ポリアミン化合物としてプリアミン1074を146.4g、イオン交換水を100g仕込み、発熱の温度が一定になるまで撹拌した。温度が安定したら110℃まで昇温し、水の流出を確認してから、30分後に温度を120℃に昇温し、その後、30分ごとに10℃ずつ昇温しながら脱水反応を続けた。温度が230℃になったら、そのままの温度で3時間反応を続け、約2kPaの真空下で、1時間保持し、温度を低下させた。最後に、酸化防止剤を添加し、重量平均分子量24,000、酸価13.2mgKOH/g、水酸基価5.5mgKOH/g、ガラス転移温度-32℃のポリアミド樹脂を得た。
得られた樹脂をトルエン/2-プロパノール(質量比:2/1)で希釈して、固形分20%のポリアミド樹脂の溶液を調整した。
[ポリエステル樹脂の溶液]
バイロン200(東洋紡社製、ポリエステル樹脂)をトルエン/メチルエチルケトン(質量比:1/1)で希釈して、固形分20%のポリエステル樹脂の溶液を得た。
<導電性組成物及び導電膜>
(実施例1)導電性組成物(1)
導電性炭素材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(1)を10部、炭素材料(A-2)として薄片状黒鉛(日本黒鉛社製、UP-20、比表面積:4m/g)を60部、ウレタン樹脂の溶液を150部(樹脂固形分30部)、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)を137部、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、導電性組成物(1)を得た。そして、この導電性組成物(1)を、シート状基材となる厚さ100μmのPETフィルム上にドクターブレードを用いて塗布した後、加熱乾燥し、導電膜の厚みが30μmとなるよう調整した。なお、導電性炭素材料(A)中におけるホウ素含有炭素材料(A-1)の割合は14質量%である。
得られた導電膜は以下の方法にて評価した。評価結果を表2に示す。
(導電膜の体積抵抗率)
導電膜の体積抵抗率は、ロレスタGP(日東精工アナリテック社製)を用いて4端子法で測定(JIS-K7194)し、以下の基準で判定した。
◎:体積抵抗率が3×10-3Ω・cm未満(極めて良好)
○:体積抵抗率が3×10-3Ω・cm以上、5×10-3Ω・cm未満(良好)
○△:体積抵抗率が5×10-3Ω・cm以上、5×10-2Ω・cm未満(使用可能)
△:体積抵抗率が5×10-2Ω・cm以上、1×10-1Ω・cm未満(不良)
×:体積抵抗率が1×10-1Ω・cm以上(極めて不良)
(導電膜の耐久性)
上記で作製した導電膜の耐久性を、硬度がHBの鉛筆を用いて引っかき硬度(鉛筆法)により評価した(JIS K5600-5-4:1999法準拠)。
〇:塑性変形及び凝集破壊が起こらない(良好)
△:塑性変形又は凝集破壊が起こっている(不良)
×:塑性変形及び凝集破壊が起こっている (極めて不良)
(実施例2~6、12~15、比較例1~6、8)導電性組成物(2)~(6)、(12)~(15)、(a)~(f)、(h)
表2に示す配合組成に変更した以外は、導電性組成物(1)と同様の方法により導電性組成物を得た後、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成し評価した。
(実施例7)導電性組成物(7)
導電性材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(4)を10部、それ以外の炭素材料(A-2)として炭素材料(8)を60部、バインダー樹脂として、水溶性樹脂であるPVP K-30(ポリビニルピロリドン、ISPジャパン社製)を10部、水を237部、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、分散体を得た。この分散体に更にバインダー樹脂として、水性樹脂微粒子であるポリアクリルエマルション W-168(固形分50質量%、トーヨーケム社製)を40部(樹脂固形分20部)追加しサンドミルにて分散を行い、導電性組成物(7)を得た。そして、この導電性組成物(7)を、シート状基材となる厚さ100μmのPETフィルム上にドクターブレードを用いて塗布した後、加熱乾燥し、導電膜の厚みが30μmとなるよう調整した。得られた導電膜について評価した。
(比較例7)導電性樹脂組成物(g)
実施例7と同様の方法で炭素材料(4)の代わりに炭素材料(11)を用いて導電性樹脂組成物を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成して評価した。
(実施例8)導電性組成物(8)
実施例1と同様の方法で、導電性材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(4)を5部、それ以外の炭素材料(A-2)として球状黒鉛(日本黒鉛社製、CGB-50、比表面積2m/g)を75部、ポリウレタン樹脂の溶液を100部(樹脂固形分20部)、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)177部を用いて導電性組成物(8)を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成して評価した。なお、導電性炭素材料(A)中におけるホウ素含有炭素材料(A-1)の割合は6質量%である。
(実施例9)導電性組成物(9)
実施例1と同様の方法で、導電性材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(5)を30部、それ以外の炭素材料(A-2)として鱗状黒鉛(日本黒鉛社製、F#2、比表面積1m/g)を40部、ポリウレタン樹脂の溶液を150部(樹脂固形分30部)、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)137部を用いて導電性組成物(9)を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成して評価した。なお、導電性炭素材料(A)中におけるホウ素含有炭素材料(A-1)の割合は43質量%である。
(実施例10)導電性組成物(10)
実施例1と同様の方法で、導電性材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(7)を30部、それ以外の炭素材料(A-2)として薄片状黒鉛を60部、ポリウレタン樹脂の溶液を50部(樹脂固形分10部)、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)217部を用いて導電性組成物(10)を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成して評価した。なお、導電性炭素材料(A)中におけるホウ素含有炭素材料(A-1)の割合は33質量%である。
(実施例11)導電性組成物(11)
実施例1と同様の方法で、導電性材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(4)を10部、それ以外の炭素材料(A-2)として炭素材料(9)を50部、ポリウレタン樹脂の溶液を200部(樹脂固形分40部)、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)97部を用いて導電性組成物(11)を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成して評価した。なお、導電性炭素材料(A)中におけるホウ素含有炭素材料(A-1)の割合は17質量%である。
(実施例16)導電性組成物(16)
実施例1と同様の方法で、導電性材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(22)を7部、それ以外の炭素材料(A-2)として薄片状黒鉛を63部、ポリウレタン樹脂の溶液を150部(樹脂固形分30部)、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)137部を用いて導電性組成物(16)を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成して評価した。なお、導電性炭素材料(A)中におけるホウ素含有炭素材料(A-1)の割合は10質量%である。
(実施例17)導電性組成物(17)
実施例1と同様の方法で、導電性材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(22)を14部、それ以外の炭素材料(A-2)として薄片状黒鉛を56部、ポリウレタン樹脂の溶液を150部(樹脂固形分30部)、溶剤としてトルエン/メチルエチルケトン/2-プロパノール(質量比:1/1/1)137部を用いて導電性組成物(17)を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成して評価した。なお、導電性炭素材料(A)中におけるホウ素含有炭素材料(A-1)の割合は20質量%である。
(実施例18)導電性組成物(18)
実施例1と同様の方法で、導電性材料(A)のうち、ホウ素含有炭素材料(A-1)として炭素材料(4)を20部、それ以外の炭素材料(A-2)として薄片状黒鉛を55部、ポリアミド樹脂の溶液を125部(樹脂固形分25部)、溶剤としてトルエン/2-プロパノール(質量比:2/1)157部を用いて導電性組成物(18)を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成して評価した。なお、導電性炭素材料(A)中におけるホウ素含有炭素材料(A-1)の割合は26.7質量%である。
(実施例19~22、比較例9~11)
表2に示す配合組成に変更した以外は、実施例18と同様の方法で導電性樹脂組成物を作製し、導電性組成物(1)と同様にして導電膜を形成し評価した。
Figure 2022099330000002
表2に示すように、本発明の導電膜では、従来以上に耐久性と導電性を改善し、両立することができた。
また、実施例1~6及び比較例1~6より、導電助剤としてホウ素含有炭素材料(A-1)を用いると、塗膜の導電性及び耐久性が向上した。ホウ素含有炭素材料(A-1)は、ホウ素ドープされていない炭素材料に比較して、樹脂及び溶剤に対する濡れ性が高く、比表面積が小さくなる傾向がある。そのため、原料自体の導電性が向上することに加え、混合及び分散性に優れた樹脂組成物が得られることから、塗膜中の炭素材料間の導電性ネットワークを強化すると考えられる。さらに、濡れ性が改善することで、バインダー樹脂との相互作用が変化し、導電助剤であるホウ素含有炭素材料(A-1)が樹脂表面に露出し、導電材の接触抵抗を低減すると考えられる。これらの作用により、ホウ素含有炭素材料(A-1)を導電助剤として用いることで、導電性に極めて優れた塗膜を形成することができたと考えられる。
また、上記のようにホウ素含有炭素材料(A-1)は樹脂や溶剤に対する濡れ性が改善していることで、分散の難しい高比表面積の導電助剤の分散性が改善し、均一に分散した樹脂組成物を形成できる。そのため、塗膜の均一性や導電材のパッキング性がさらに高まり(導電材が密に充填され)、耐久性も向上したと考えられる。
また、実施例7では、炭素材料(A-2)としてホウ素含有炭素材料を用いているが、水への濡れ性が高いことに加え、表面状態の近い炭素材料を導電性材料として併用することで極めて優れた導電性と耐久性を有する塗膜を得ることができた。一方で、比較例7では比表面積の大きい炭素材料を(A-1)として用いた結果、水への濡れ性が低いため、分散が非常に難しく、外観不良の塗膜となった。
また、実施例1~22から、比表面積が20m/g以上、又は002面間距離が0.34nm以上のホウ素含有炭素材料(A-1)を用いると、優れた導電性を有する塗膜が得られた。これは、比表面積が高いと一般的には粒子密度が低くなりやすく、導電材に対する導電助剤の粒子数が増えると考えられる。そのため、比表面積が高いほど炭素材料間の導電性ネットワークを強化できると考えられる。また、導電助剤は、黒鉛化が抑制されることで樹脂や溶媒中への分散性が向上すると考えられる。これらの効果により優れた導電性を有する塗膜が得られた。
さらに、粉体の体積抵抗率が同程度であるにも関わらず、比表面積が110m/g以上のホウ素含有炭素材料(A-1)を用いると、特に優れた導電性と耐久性を有する塗膜を得ることができた。これは比表面積が110m/g未満のホウ素含有炭素材料に比べて、樹脂の吸着率が向上したことで、より樹脂表面に導電助剤が露出できるため、導電材である炭素材料(A-2)とバインダー樹脂との接触による抵抗を低減できたためであると考えられる。
一方、実施例18~22及び比較例9~11を対比すると、導電助剤としてホウ素を含有しない炭素材料を用いた場合、比表面積が大きい方が導電性に優れる傾向であるが、導電助剤としてホウ素含有炭素材料(A-1)を用いると、比表面積が大きい方が導電性は低下する傾向が見られ、導電助剤のホウ素含有の違いにより、導電性組成物にした場合の挙動の違いが見られた。
以上の通り、ホウ素含有炭素材料(A-1)を導電助剤として含むことを特徴とする導電性組成物は、樹脂や溶剤に対する濡れ性が改善していることで、導電助剤の分散性が改善し、均一に分散した樹脂組成物を得られた。それにより、塗膜の均一性や導電材のパッキング性がさらに高まり、得られた樹脂組成物は優れた導電性と耐久性を発現することが分かった。

Claims (9)

  1. 導電性炭素材料(A)とバインダー樹脂(B)とを含む導電性組成物であって、導電性炭素材料(A)が、導電材と、導電材より比表面積が大きい導電助剤とを含み、導電助剤が、ホウ素含有炭素材料(A-1)を含む導電性組成物。
  2. 導電性炭素材料(A)100質量%中、ホウ素含有炭素材料(A-1)を0.1~50質量%含む請求項1に記載の導電性組成物。
  3. ホウ素含有炭素材料(A-1)の比表面積が5~700m/gである請求項1又は2記載の導電性組成物。
  4. ホウ素含有炭素材料(A-1)のX線回折による平均面間隔d002面が0.34nm以上である請求項1~3いずれか記載の導電性組成物。
  5. ホウ素含有炭素材料(A-1)のホウ素含有量が0.005~15mol%である請求項1~4いずれか記載の導電性組成物。
  6. 導電材が炭素材料(A-2)を含み、炭素材料(A-2)が黒鉛を含む請求項1~4いずれか記載の導電性組成物。
  7. 炭素材料(A-2)がホウ素を含有する請求項6記載の導電性組成物。
  8. 炭素材料(A-2)のホウ素含有量が0.005~15mol%である請求項7記載の導電性組成物。
  9. 請求項1~8いずれか1項に記載の導電性組成物を用いて得られる導電膜。
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