JP3696162B2 - 横編機および編成法 - Google Patents

Description

【０００１】
［発明の分野］
本発明は、編機に関し、より詳細には、横編機すなわち平形針床式編機とシームレステーパ付製品を編成する方法とに関する。
【０００２】
［発明の背景］
すべての編機において、容認可能な高品質の編成布を作るのに重要なある共通の要件が存在する。これらの要件のうちのいくつかは、一見すると、些細に見えるが、ヤーンの異なる性質と複合ヤーンの非等方性に起因して、今まで入手可能な編機でそれらの要件を得るのは、不可能でないにしても、非常に困難である。
【０００３】
布が滑らかで、かつ塊、欠陥および望ましくない変動が無いようにするために、編機は、同一のサイズであるか、またはある予測可能な方法で変動する編目を順次に形成できなければならない。編成布を作ることは、開ループ制御プロセスであるので、従来の編機では、固定された所定の走行路を通過するように各針を動かし、一方、これにより形成される編目は、適切で均一なサイズおよび形状を有すると仮定される。しかしながら、編目は、同一のヤーンから順次に１つづつ同一に形成されるので、次の編目が形成された後にいかなる編目のサイズも変更できない。
【０００４】
従来の編機において、針は、バット（ｂｕｔｔ）係合カムにより、前述した所定の走行路を通過するように長手方向に動かされる。丸編機などのいくつかの編機では、針は定置バット係合カムを通過して動かされ、一方、横編機などの別の編機では、カムは針に対して動かされる。編目を形成するため、バット係合カムおよび針のこのような相対運動の速度および性質は、所望の走行方向に対して垂直に押すことに起因する摩擦の問題と、カム設計の限界により厳しく制限されている。
【０００５】
これに関して、カムの勾配は、５２゜よりも小さく、したがって、いくつかの針は、必要な走行距離を得るために同時に動かされなければならない。このため、ヤーンは、先行の針が編目形成プロセスを完了する前に後続の針により送られ捕捉されることになる。糸と編機との間の摩擦は、キャプスタンの作用により、ヤーンの性質と編機の運動における僅かな変動でさえも大幅に増幅し、これにより編目は不均一となり、布は、塊、欠陥および望ましくない変動を持つことになる。
【０００６】
普通のジャージー布を編成する場合、すべての編目は同一であり、したがって、すべての針は常に同一の走行路に沿って動かされる。しかしながら、輪郭のついた編成製品を編成する場合、針は時々異なるパターンで動かされなければならない。今まで採用されたカムシステムでは、精巧な機械的あるいは電気機械的装置により、針のバットを１つのカムから別の１つのカムへ移動させなければならなかった。最も精巧なカム作動システムでさえ、このような移動運動は制限され、任意の所与の針に伝達され得る異なる動きは、厳しく制限されている。
【０００７】
このような従来のカムシステムを設計する場合、編成すべきヤーンは非弾性であり、剛性が零であると仮定されていた。また、これらのヤーンは、均一あるいは一定の緊張力の下でソースから供給されるとも仮定されていた。しかしながら、布が被覆スパンデックスヤーンから編成される場合、このような線形の仮定では、均一な編目サイズと平たく滑らかな布が得られない設計をもたらすことになる。
【０００８】
［発明の概要］
前述の説明に鑑みて、本発明の１つの目的は、前述した従来の装置および方法の欠陥および欠点を克服するものであって、被覆スパンデックスヤーンを含むヤーンから平たく滑らかな布を編成する装置および方法を提供することにある。
【０００９】
本発明の別の目的は、各編目が次の編目の形成を開始する前に完全に形成され、後続の編目が先行の編目を形成するのに用いられたヤーン長に対応するヤーン長から形成される横編機すなわち平形針床式編機および方法を提供することにある。
【００１０】
本発明の１つのさらなる目的は、各針が任意の他の針と無関係に該各針の様々な作動位置の間で動かされ、動かされる針の正確な位置が監視され、シームレスで滑らかで、塊、欠陥および望ましくない変動が無いテーパ付布を作るのに必要なように変化させられる横編機および方法を提供することにある。
【００１１】
本発明の前述の目的は、針の２つの列を有し、好ましくは当該列が互いに対してほぼ９０゜の角度を成し、一方の列は、他方の列に対して１つの針ピッチだけ横方向に可動である横編機により達成される。針の各列は、コンピュータ制御される針選択および作動機構を備え、該機構は、コンピュータのメモリに記憶されている所定のパターンに従って動かされるべき１つの個別の針を選択し、該針を数千の作動位置のうちの任意の作動位置の間で動かし、ヤーン送り装置からヤーンを受取り、ヤーンの所定長から１つの編目を形成している。当該針は、編目を形成するように動かされるが、好ましくは、先行の編目が完全に形成されるかまたは完了されるまで、残りの針は定置したままであり、別の針は選択されずに動かされないことである。
【００１２】
針選択および作動機構はサーボ駆動され、したがって、ほぼ無限の数の位置に各針を非常に正確に位置決めでき、これにより、編目構造が高度に均一になり、編機の高度の操作性が得られる。針選択および作動機構は、シームレスで滑らかなテーパ付あるいは輪郭付の編成製品を形成するために、編目を１つの針から、隣接する別の１つまたは複数の針へ移送する編目移送装置を含んでいる。
【００１３】
一定の緊張力のヤーン送り機構は、パッケージからヤーンを引出すのに必要な緊張力よりも小さくさえある非常に小さい緊張力で針へヤーンを送るために設けられている。引用することにより本明細書の一部を成すものとする米国特許第４，０２５，０２６号に記載のヤーン緊張および分配システムは、本発明の横編機での使用に非常に適している。この用途では、この緊張力制御装置に給電される特殊な手段と、この緊張力制御装置が編機コンピュータに接続されこのコンピュータにより制御される方法とにより、ヤーン緊張力は、１つの編目から次の編目に選択的に変化および調整され、これにより、任意のヤーン特に高弾性被覆スパンデックスヤーンで編成する場合に、編機が自動的に行い得る編目サイズ制御の範囲を広げ精度を高めることが可能となる。また、このヤーン緊張力制御装置によりヤーンは、緊張力の変動なしで、ヤーン位置決め機構から緊張装置に吸収されて戻され、これにより、ヤーンガイド先端の運動は必要な自由を得て、複数の多次元運動が行われ、ひいては所望の編成構造が形成されることになる。
【００１４】
本発明の前述のおよびその他の目的および利点と、それらが達成される方法は、以下の詳細な説明および添付の図面からより容易に分かる。
【００１５】
［好ましい実施形態の詳細な説明］
本発明は、以下、本発明の好ましい実施形態が示されている添付図面を参照してより詳細に説明することとする。しかしながら、本発明は、多数の異なる形式で実施され、本明細書に記載の実施形態に限定されず、これらの実施形態は、この開示が完全かつ完璧となるために提供され、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるためのものである。同一の参照番号は、全図中、同一の構成要素を示している。
【００１６】
図１〜図３において、２０で一般的に示されている横編機、すなわち平形針床式編機が示されている。編機２０は、受台あるいはその他の機械サポート（図示せず）上で支持されているベース２１を含んでいる。ベース２１は下部ベースプレート２２を含み、下部ベースプレート２２にはこれを貫通する中央開口２３が設けられている。下部ベースプレート２２は、上部ベースプレート２４を支持している。
【００１７】
第１の受台２５は、上部ベースプレート２４上に固定して取付けられ、上部ベースプレート２４から上方へ延びている。第２の受台２６は、上部ベースプレート２４に固定されている第１のプレート２７と、ベアリング２９により第１のプレート２７にスライド可能に取付けられ、第２の受台２６を下から担持している第２のプレート２８とにより、上部ベースプレート２４上に可動に取付けられている。
【００１８】
３０により一般的に示されている第１の針床は、水平方向に対してほぼ４５゜で第１の受台２５の頂部に固定して取付けられている。第１の針床３０は、上端３１ａを有する平板すなわちフラットプレート３１を含んでいる（図７）。プレート３１は、その上面内に、複数の互いに平行な針溝３１ｂを有している。針溝３１ｂは、好ましくは、針溝３１ｂ内に針を保持するのを助けるために、その下端から中央個所まで針溝３１ｂの長さの少なくとも一部にわたりアンダーカットされており、針溝３１ｂの上端は、プレート３１の上端３１ａで開口している。編み針３２は、針床プレートすなわち平板３１内の各針溝３１ｂ内にスライド可能に取付けられ、編み針３２の上端に配置されているフック３２ａと、フック３２ａと協働するためにシャンク３２ｃの上端上に旋回可能に取付けられているラッチ（べら）３２ｂと、シャンク３２ｃ上の中央個所に配置されている作動バット３２ｄとを有している。針３２は、編目移送ポケット３２ｅを備えた任意の適切な標準ラッチニードル（べら針）でよく、１つの例としては、Ｇｒｏｚ−Ｂｅｃｋｅｒｔ Ｖｏｓａ Ｓｐｅｃ． １０４．５８−５０ Ｇ０１である。針溝３１ｂおよび針３２の数は、例えば５０などの任意の所望の値でよい。同様に、互いに隣接する溝３１ｂ間の間隔、したがって、互いに隣接する針間の間隔（すなわち「針ピッチ」）は、例えば０．０５７インチ（０．１４４７８センチ）などの所望の値でよい。
【００１９】
４０により一般的に示されている第２の針床は、水平方向に対してほぼ４５゜の角度で第２の受台２６の頂部上に固定して取付けられている。第２の針床４０は、上端４１ａを有する平板４１と、第１の針床４０の上面内にある複数の針溝４１ｂとを含んでいる。針溝４１ｂは、プレート３１内の針溝３１ｂとサイズ、数、間隔および形状が同一である。針３２と同一の針４２は、針溝４１ｂのそれぞれの中にスライド可能に取付けられており、フック４２ａ、ラッチ４２ｂ、シャンク４２ｃ、作動バット４２ｄおよび編目移送ポケット４２ｅを有している（図７）。溝４１ｂおよび針床４０内の針４２は、針ピッチの１／２だけ針床３０内の溝３１ｂおよび針３２に対してずれて配置され、これにより針３２および４２は、互いに衝突せずに延ばされている。また、針床４０は、１つの針ピッチだけ針床３０に対して横方向に移動可能となっている。針床４０のこのような横方向運動すなわちシフトは、第２の受台２６のベースに位置するプレート２８に接続されている線形ソレノイド４３により得られる（図３）。
【００２０】
５０により一般的に示されている針選択および作動機構は、針床３０上に取付けられ、針床３０のプレート部材３１の互いに対向して位置する側にめいめい取付けられている第１および第２のトラック部材５１および５２を含んでいる（図５および図６）。トラック部材５１および５２は、その上にベアリング５３，５４を有しており、ベアリング５３，５４は、針３２に対して平行にスライドするために主キャリッジ５５を支持している。キャリッジ５５は、溝３１ｂおよび針３２の上を橋絡し、その引込み位置において、プレート３１の下端からプレート３１のほぼ中央まで延びている（図５および図７）。キャリッジ５５は、キャリッジ５５の上面と一体的に形成されているか、または当該上面上に固定して取付けられている第１および第２のラックギヤ５６および５７を含んでいる（図５および図６）。スプラインギヤ６０は、ラックギヤ５６および５７と噛合し、それぞれトラック部材５１，５２上に取付けられているラジアルベアリング６１，６２内で回転するように軸受されている。スプラインギヤ６０は、ラックギヤ５６，５７を介して回転駆動されており、サーボモータ６３およびエンコーダ軸駆動手段６４（図５および図６）により、キャリッジ５５が針床３０に対して平行に上方および下方へ往復運動するようになっている。
【００２１】
キャリッジ５５は、第１および第２のトラック部材６５，６６を支持し、トラック部材６５，６６は、キャリッジ５５内の横断方向に延びる開口５８の互いに対向して位置する側で、キャリッジに対してそれぞれ横断方向に延びている（図７）。ピッカキャリッジ６７は、針３２およびキャリッジ５５の運動に対して垂直の運動のために、トラック部材６５，６６上にスライド可能に取付けられている。ピッカキャリッジ６７は、その上面と一体的に形成されているか、または当該上面上に固定して取付けられているラックギヤ７０を有し、ラックギヤ７０は、ベアリング７２，７３内で回転するために軸受されているスプラインギヤ７１と噛合している。ベアリング７２は横部材７４上に取付けられ、横部材７４はトラック部材５１と５２との間で延び、互いに対向して位置する端部はそれぞれトラック部材５１，５２上で支持されており、ベアリング７３はブラケット７７によりプレート部材３１上で支持されている。スプラインギヤ７１は、サーボモータ７５およびエンコーダ軸駆動手段７６により回転駆動されるようになっている。
【００２２】
ピッカキャリッジ６７はその内部に十字状穴６９を有しており、穴６９内にはピッカ８０が垂直方向にスライドあるいは往復運動可能に取付けられ、ピッカ８０は対応する十字状の横断面を有している（図８および図９）。ピッカ８０の下端はキャビティ８１を有し、キャビティ８１は、針３２のシャンク３２ｃ上に取付けられている作動バット３２ｄの形状に対応する形状を有し、これにより作動バット３２ｄは、ピッカ８０が選択した針３２上に下降させられるとキャビティ８１内にぴったりと入るようになっている。ピッカ８０の背面はラックギヤ８２を有し、ラックギヤ８２は背面と一体的に形成されているかまたは当該背面に固定して取付けられ、ラックギヤ８２はスプラインギヤ８３と噛合している。スプラインギヤ８３は、キャリッジ５５により支持されているベアリング８４，８５内で回転するように軸受され、スプラインギヤ８３の外側端部に取付けられているかさ歯車８７を有している。かさ歯車８６は、４点接触玉軸受９０内に取付けられたかさ歯車８７と噛合し、１１の歯を有するスプラインギヤ９１と噛合する内側歯を有しており、スプラインギヤ９１はかさ歯車８７を貫通し、トラック部材５１上に取付けられているベアリング９２内で回転するように軸受されている。スプラインギヤ９１は、コネクタ９４を介して電磁回転アクチュエータ９３により回転駆動されるようになっている（図５）。
【００２３】
１５０により一般的に示されている針選択および作動機構は、針選択および作動機構５０と同一であり、針４２を選択および作動するために針床４０上に設けられている。針選択および作動機構１５０の構造および動作は、針選択および作動機構５０と同一であるので、針選択および作動機構１５０は、本明細書において説明せず、針選択および作動機構５０に関する前述の説明を引用して、針選択および作動機構１５０の説明とする。
【００２４】
ヤーンカッタグリッパ１００は、編成製品を形成するヤーンを捕捉、保持および切断するために、針３２，４２の編成縁の近くで、針床４０の片側に取付けられている（図３および図５）。同様のヤーンカッタグリッパ（図示せず）が、同一の目的のため、針床３０の反対側に取付けられている。ヤーンカッタグリッパ１００は、結合リンク１０３でカッタグリッパ１００に接続されているソレノイド１０２により、ヤーンを捕捉および切断するために垂直に動かされるようになっている（図３）。
【００２５】
また、編機２０は、１１０により一般的に示されている布引き降ろし機構も含んでいる。引き降ろし機構１１０は、ベース２１のプレート２４により支持されている一対の円筒形柱すなわちカラム１１２，１１３上で垂直方向に往復運動するように取付けられた引き降ろしキャリッジ１１１を含んでいる。引き降ろしキャリッジ１１１は親ねじ１１４に接続され、親ねじ１１４は、コンピュータ制御回転軸駆動装置１１５により回転させられて、キャリッジ１１１を垂直方向に動かしている。引き降ろしキャリッジ１１１は、Ｃ形ブラケット１１６を担持し、ブラケット１１６上に延ばしおよび引っ込み可能ワイヤ１１７が取付けられ、ワイヤ１１７は、図４で示されているように、編成製品の下端を貫通している。小型空気シリンダ１１８はワイヤ１１７に接続され、これによりワイヤ１１７は延ばされたり、引っ込められたりしている。
【００２６】
さらに、編機２０は、１２０により一般的に示されているヤーン供給および送り機構を含んでいる。ヤーン供給および送り機構１２０は、複数の柱すなわちカラム１２２によりベースプレート２４上で支持されているプラットフォーム１２１を含んでいる（図２および図３）。プラットフォーム１２１は、１つまたは複数のベアリング１２３ａにより、プラットフォーム１２１上で回転するようにデッキ１２３を支持している。デッキ１２３は２つのヤーンパッケージ１２４，１２５およびヤーントランペット１２６を支持しており、ヤーントランペット１２６は、セラミック製の上部および下部ヤーンガイド（図示せず）を有している。また、デッキ１２３はブラケット１２７も担持しており、ブラケット１２７は、ヤーントランペット１２６から間隔を置いてデッキ１２３から下方へ吊り下がり、セラミック製の上部および下部ヤーンガイド１２７ａ，１２７ｂを有し（図１および図３）、下部ヤーンガイド１２７ａのみが図１３に示されている。
【００２７】
ブラケット１２７の下端には、水平面に対しほぼ４５゜の角度を成してブラシエレメント１８０（図１３）が配置されており、ブラシエレメント１８０は、針３２，４２のラッチ３２ｂ，４２ｂを開くために持上げられると、針３２，４２の行の頂部に沿って往復運動させられることになる。ヤーントランペット１２６およびブラケット１２７は、それぞれ横断機構１２８，１２９上に取付けられ、横断機構１２８，１２９は、スライド可能に取付けられたヤーン送り部材キャリヤ１３０，１３１を含んでいる。キャリヤ１３０，１３１は、それぞれ親ねじ１３４，１３５上に取付けられているフォロア１３２，１３３に取付けられ（図３）、フォロア１３２，１３３は、１つの共通の半径方向走行路に沿ってヤーントランペット１２６およびブラケット１２７を動かすように動作するようになっている。親ねじ１３４，１３５は、それぞれ親ねじ１３４，１３５の内側端部上に取付けられているかさ歯車１３６，１３７を有し、かさ歯車１３６，１３７は、それぞれ、ベアリング１３８ａおよび１３９ａによりデッキ１２３上に回転可能に取付けられているかさ歯車１３８，１３９と噛合している（図３）。
【００２８】
デッキ１２３は、その上に取付けられているギヤすなわちスプロケット１４０により回転され、スプロケット１４０の周りにはチェーンベルトすなわちタイミングベルト１４１が巻かれ、スプロケット１４０は、サーボモータ１４２により駆動されるようになっている（図１および図３）。同様に、かさ歯車１３８および１３９は、チェーンベルトすなわちタイミングベルト１４３および１４４により回転され、タイミングベルト１４３および１４４は、かさ歯車１３８および１３９の周りに巻かれ、サーボモータ（図示せず）により駆動されるようになっている。
【００２９】
パッケージ１２４および１２５からのヤーン１２４ａおよび１２５ａは、ヤーンガイド１４５，１４６を通過して確動式ヤーン送り手段１４７，１４８に到達し、次いで、ヤーントランペット１２６と、ブラケット１２７上にあるヤーンガイド１２７ａ，１２７ｂに到達することになる（図１）。ヤーン送り手段１４７，１４８は、従来のディスク緊張装置であり、いくつかの例で用いられている。しかしながら、前に引用することにより本明細書の一部を成すものとした米国特許第４，０２５，０２６号に詳細に記載の緊張装置は、本明細書の図１０に示されているように改変されたものとして、好ましい。１６０により一般的に示されている真空緊張装置はヤーン送りロール１６１を含み、ヤーン送りロール１６１は、迅速作動電気機械的クラッチブレーキ機構１６３を介して適切な電動機１６２により駆動されるようになっている。従来のディスク緊張装置１６４は、ヤーンパッケージ１２４または１２５とヤーン送りロール１６１との間に配置されている。
【００３０】
さらに、緊張装置１６０は、浮動円盤あるいは浮動輪１６６を有する真空カラム１６５を含み、浮動円盤あるいは浮動輪１６６の周りにはヤーンＹが巻かれている。敏感な電子圧力スイッチ１６７は、真空カラム１６５内のセンサポート１６８に接続され、電気機械的クラッチブレーキ１６３に結合されている。気力式真空吸引器１７０には、真空カラム１６５の頂部が接続されている。吸引器１７０は、圧力調整器１７２と、１７３により一般的に示されているソレノイド作動式バルブ制御手段とを介して高圧空気供給装置１７１に接続されている。制御手段１７３は、それぞれニードルバルブ１７４，１７５および１７６を含み、これらのニードルバルブの各対は、精密調整調整器１７２に接続されている。一対のニードルバルブのうちの１つは、２方向ソレノイドバルブ１７７，１７８および１７９と直列に接続されている。関連するソレノイドバルブ１７７，１７８および１７９のうちの１つのみが作動されると、圧縮空気が吸引器１７０に流入し、吸引器１７０に最低圧力を形成し、したがってカラム１６５に最低真空を形成し、これにより２〜３グラムのヤーン緊張力が得られることになる。ソレノイドバルブ１７７，１７８および１７９のうちの２つ以上が開かれると、真空のレベルが高められ、供給緊張力が５グラムまでのレベルに高められる。３つ以上のレベルの緊張力は、これらバルブの異なる組合せを選択することにより得られることになる。
【００３１】
図１１および図１２においては、特に、布がスパンデックスヤーンから編成される場合、平たい均一な編成布の作成を助ける本発明の別の１つの特徴が示されている。図示のように、針床３０および４０は、凹部すなわちポケット１９０，１９１を有し、ポケット１９０，１９１は、針床プレートすなわち平板３１および４１の上面内に機械加工され、針３２，４２の列を完全に横切って延びている。１９２，１９３により一般的に示されている象眼プレートは、ねじ１９４によりポケット１９０，１９１内に取付けられている。象眼プレート１９２，１９３は、好ましくは、高耐磨耗性で熱処理された工具鋼例えばＣＰＭ１０ＶあるいはＤ−２で形成されている。
【００３２】
象眼プレート１９２，１９３の上面は、好ましくはその上面と一体的に形成されて、互いに間隔を置いて位置している立上りリブすなわち微小縁１９５，１９６を有している。微小縁１９５，１９６は、それぞれ針溝３１ｂの間および針溝４１ｂの間に配置されており、移送ポケット３２ｅ，４２ｅは、それぞれ、針３２，４２の往復運動の間に微小縁１９５，１９６の頂部の上方を容易に通過するような高さを有している。また、微小縁の上部隅は、好ましくは、針３２，４２上のすでに形成された編目をより良く把持および係止するように正方形となっている。後続の編目形成の間、前に形成された編目を位置決めおよび制御するのに加えて、微小縁１９５，１９６は、針３２，４２の往復運動の間にわたり針３２、４２を安定化し、針３２、４２の湾曲あるいはその他の横方向運動を阻むのに用いられている。これは最外側の針３２，４２において特に重要であり、何故ならば最外側の針３２，４２には、布引き降ろし機構１１０により横力が加わるからである。
【００３３】
図１１にはラッチガード２００が示され、ラッチガード２００は、針床プレート３１および４１の編成縁の間でかつ当該編成縁の上方に位置しており、しかも針フック３２ａ，４２ａの走行路に隣接するが該走行路の上方に位置して中央に配置されている。ラッチガード２００は、針床３０上の固定位置に適切に取付けられ（図１２）、針３２，４２上の前に形成された編目がラッチ３２ｂ，４２ｂの先端を通り抜け、かつ針３２，４２が持上げ位置から下方へ加速される際、ラッチ３２ｂ，４２ｂが閉じるのを阻んでいる。
【００３４】
針クランプバー２０１，２０２は、それぞれ、押えねじ２０３，２０４により、針床３０上のトラック部材５１，５２の上端と、針床４０上の対応するトラック部材（図示せず）とに取付けられている（図５および図７）。これらのクランプバー２０１，２０２は、針３２および４２の上方に配置され、このような針が、プレート３１，４１内の針溝３１ｂ，４１ｂから上がって出るのを阻んでいる。
【００３５】
編機２０の動作は、以下に説明される。簡潔のために、このような動作は、両端で閉じられた管状テーパ付編成製品の編成に関連して説明される。このような動作は例示的のみであり、制限的でないものとする。
【００３６】
このような製品の編成を開始するために、ヤーンデッキ１２３の回転は、ヤーン送り部材１２６が２つの針列間の中間面に位置合せされている場合、ヤーン送り部材１２６の運動が親ねじ１３４によって作動され、針に対して垂直に行われる。ヤーン１２４ａは、カッタグリッパ１００により切断および保持される。次いで、記憶されているパターンが、テーパ付編成製品を編成するのに用いられるすべての針３２，４２を選択する。針選択および作動機構５０および１５０は、まず初めに針３２を最高位置に動かし、針３２のラッチ３２ｂは、ブラケット１２７の端部上のブラシエレメント２０７が上昇された針３２の列を横切るようにすることにより開かれる。このような横切り運動によりブラシエレメント２０７の剛毛は、針フック３２ａの凸面を越えて動き、閉じられたラッチ３２ｂと針フック３２ａとの間でスライドし、これによりラッチ３２ｂは旋回してフック３２ａから遠ざかり、ラッチ３２ｂは針シャンク３２ｃへ向かって動く。次いで、針３２は、そのフック３２ａの頂部が編成縁と同一の高さになる位置へ緩慢に下降される。この緩慢な運動により、開かれたラッチ３２ｂが閉位置へ戻らないことを保証する。そして、このラッチ開放操作は、針４２の他方の列において繰り返されることになる。
【００３７】
第１の経路が、テーパ付編成製品の最も広い端部に位置する場合、第１の経路を編成するのに用いられるすべての針３２，４２は、上部通し位置すなわち針の周りにヤーンを通すための上部位置へ上昇され、ヤーン１２４ａ（その自由端は、ヤーンカッタグリッパ１００により捕捉されている）が、下部移送位置へ上昇された針床３０内の第１の針３２のフック３２ａにより捕捉されるように、ヤーントランペット１２６により適切な位置に動かされる。次いで、この第１の針３２は中間通し位置に下降され、これによりヤーンは下方へ引張られて、編成縁の直ぐ上のレベルに到達する。そして、針床４０内の第１の針４２は、下部移送位置へ上昇され、ヤーン送り部材１２６は、フック４２ａにより捕捉されるのに適切な位置にヤーン１２４ａを動かす。それから針４２は、中間通し位置へ下降される。この通し操作すなわち針の周りにヤーンを通す操作は、すべての針３２および４２の周りにヤーン１２４ａが、針列３２と４２との間でジグザグ状に通されるまで、針列の間で交替して続けられる。好ましくは、動作状態針列の各端部近くのいくつかの針３２および４２が、少なくとも２回上下され、これらの針の周りに２回または複数回通され、編成製品の隅の強度を大きくしている。
【００３８】
針の周りにヤーンを通すことは、この時点で完了され、ヤーンを周りに通されたすべての針３２および４２は下部通し位置へ動かされ、これにより、針の周りにヤーンを通すことにより形成されたループを伸長し、針３２および４２の２つの列のフック３２ａと４２ａとの間のヤーンのラビリンスを露出させる。次いで、引き降ろし機構１１０が、コンピュータ制御システム（図示せず）によりその最上位置へ持上げられ、これにより回転軸駆動手段１１５が適切な方向に親ねじ１１４を回転させる。ワイヤ１１７が空気シリンダ１１８により延ばされるので、ワイヤ１１７は針の周りに通されたヤーン１２４ａの上方に位置することになる。そして、引き降ろし機構１１０は、針の周りに通されたヤーン１２４ａが編成縁と接触するまで下降される。
【００３９】
編成製品の第１の経路の編成動作は、この時点で進むことが可能となり、これは、上部編成位置へ針３２を順次に上昇させることにより行われ、該上部編成位置で、針の周りにヤーンを通すことにより形成されたループは、開かれたラッチ３２ｂの先端を通り抜け、針３２のシャンク３２ｃへ動く。次いで、針３２は、ラップ（ｗｒａｐ）位置すなわちヤーン送り位置へ下降され、その位置で、開かれたラッチ３２ｂの先端を通り抜けたループは、ラッチ３２ｂの下方に位置することになる。ヤーントランペット１２６は、親ねじ１３４およびキャリヤ部材１３０により、上昇された針３２に対して垂直に動かされ、これにより、ヤーン１２４ａが、フック３２ａの下方に位置し、かつ開かれたラッチ３２ｂの先端の上方に位置して、針３２を横切って配置されるようになる。次いで、針３２は順次に下降され、これにより針３２のフック３２ａはヤーン１２４ａを捕捉して下部編成位置すなわち編目形成位置へ動かし、第１の経路の編目ループを順次に引っ張る、すなわち形成する。各針３２は、好ましくは、まず初めに、各針３２がピッカ８０により解放される前に、個別にかつ互いに無関係に針選択および作動機構５０により下部編成位置すなわち編目形成位置へ動かされ、次いで、ピッカ８０は次の隣接針３２へ動かされるので、各編目ループが完成されてから初めて、次の針３２が上方へ向かって上部編成位置へ動かされ、その第１の経路内の次の編目ループの形成が開始される。
【００４０】
針３２による編目形成は、編目ループがその針列内のすべての動作状態針３２により形成されるまで続く。次いで、他方の針列内の針４２による編目ループの形成は、針選択および作動機構１５０がすべての動作状態針４２を上部編成位置へ上昇させ、次いでヤーン送り位置へ上昇させるようになすことにより開始される。そして、ヤーン送り手段１２６は、前述の針３２に関連して説明されたように、動作状態針４２を横切ってヤーン１２４ａを配置するように動かされる。次いで、針選択および作動機構１５０は、１つの編目ループを形成した針床３０内の最後の針３２に直接隣接する針４２を選択し、当該針４２を下部編成位置すなわち編目形成位置へ下降させて、当該針４２上に編目を形成する。編目形成は、すべての動作状態針４２が編目ループを形成し、編成製品の第１の経路が完成されるまで順次に続く。
【００４１】
その時点で、編目ループ形成は針列３２へ戻され、例えば４などの所定の数の最初の経路が編成されるまで進む。次いで、ヤーンカッタグリッパ１０１がヤーン１２４ａの自由端を解放するようになされ、これにより引き降ろし機構１１０が不当な抵抗なしに下降され、編成製品が完成されるまで編成布を引き降ろすようになされる。
【００４２】
この時点で、脇道にそれて、針選択および作動機構５０および１５０の動作についてある程度詳細に説明するのが適当である。針選択および作動機構５０および１５０は同一であるので、針選択および作動機構５０の動作のみを説明する。
【００４３】
コンピュータ制御システム（図示せず）に記憶されているパターンは、いずれの針３２が作動するように選択されるかを決定し、いずれの個所あるいは位置へ、選択された針３２が動かされるかを決定するものである。コンピュータ制御システムにより制御された状態の針選択および作動機構５０は対話式システムであるので、針選択および作動機構５０の運動の正確な範囲および停止点は編成パラメータに従って変化することになる。何故ならば、編成パラメータは、編成製品が所望の特徴を得るように変化または発生するからである。
【００４４】
コンピュータ制御システムは、記憶されているパターンに従って、サーボモータ７５および駆動装置７６を作動してスプラインギヤ７１を回転させ、これによりピッカキャリッジ６７は、ピッカ８０が選択針３２の直接上にあるような位置へラックギヤ７０により動かされる。キャリッジサーボモータ６３および駆動装置６４が作動してスプラインギヤ６０を回転させ、これによりキャリッジ５５は、選択された針３２の作動バット３２ｄと共にピッカ８０を位置合せするのに適切な位置へ、ラックギヤ５６および５７により動かされる。コンピュータ制御システムは、当該特定の針３２が最後に動かされた時に放置された正確な位置を記憶しているので、キャリッジ５５のこの運動は、動きの損失なしにかつ非常に迅速に得られる。次いで、制御システムは電磁回転アクチュエータ９３を作動し、ピッカスプラインギヤ８３がスプラインギヤ９１およびかさ歯車８７および８６により回転される。これによりピッカ８０は下降されて、キャビティ８１内のバット３２ｄを捕捉する。
【００４５】
次いで、制御システムは、サーボモータ６３を作動し、キャリッジスプラインギヤ６０を回転させることにより、キャリッジ５５が針床３０に対して平行に上方へ動かされ、選択された針３２を様々な所望の位置の間で動かし、例えば、針３２を上部編成位置へ上昇させ、針３２をラップ位置へ下降させ、それから、針３２を下部編成位置すなわち下部編目形成位置へ下降させている。本発明の１つの好ましい実施形態では、いったん選択針３２がパターンに従って針３２の位置のうちの最後の位置へ動かされると、ピッカ８０は上方へ動かされてバット３２ａを解放し、次の針選択および作動が開始される。本発明の多くの利点のうちの１つは、針選択および作動機構５０の融通性および適応性である。様々な他の針選択シーケンスは、勿論、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに編成技術の当業者に思い浮かぶであろう。
【００４６】
テーパ付編成製品の編成に関する説明に戻る。いったん所定数の最初の経路が編成されると、テーパ付け機能が２つの針列の互いに対向して位置する側で開始され、針列内の最外側の針３２，４２から、反対側の列上の次の隣接針４２，３２へヤーンのループを移送することにより完成される。編目移送における第１のステップは、受取り針例えば針３２をタック位置へ上昇させ、次いで、プレスオフ位置へ下降させることにある。この動作により、受取り針３２上のラッチ３２ｂが開かれ、ラッチ３２ｂは、移送された編目を受取るために開かれたままにされる。次に、編目を移送した針（すなわち渡し針）、例えば針４２が上部移送位置へ上昇され、これにより針４２上の編目がスライドされて移送ポケット４２ｅの隅へ密に当接する（図７）。そして、渡し針４２は、下部移送位置へ下降され、受取り針３２がヤーン分割位置へ上昇されると、移送ポケット４２ｅの周りのループの側で、移送ポケット４２ｅの背面の側に位置する個所の上方で移送ポケット４２ｅの背面に入り込むことが行われるようになる。次いで、渡し針４２は上部編目移送位置へ上昇されるから、受取り針３２は糸を分割し、ループの下部部分は、受取り針フック３２ａの背面の下方へ移行し、頂部部分はフック３２ａの上方へ移行することになる。受取り針３２はタック位置へ上昇され、タック位置で、すでに受取り針３２上にあるループと移送されたループの双方がラッチ３２ｂの上方に位置すると共に、受取り針３２のフック３２ａの下方に位置する。そして、渡し針４２はプレスオフ位置へ下降され、これにより針４２のラッチ４２ｂは閉じられ、針４２の編目は受取り針３２のフック３２ａの下方に位置したままにされる。最後に、受取り針３２はプレスオフ位置へ下降され、双方の編目は上昇して、針３２のフック３２ａの下方に移行する。次の回に受取り針３２が上部編成位置へ上昇されると、双方の編目は、開いたラッチ３２ｂから離れてシャンク３２ｃへ到達し、形成された新編目が、双方の編目を通過して引っ張られる。一方の針列の最後の針４２から、１針ピッチの１／２だけずれて配置されている他方の針列の最後の針３２へ編目を移送することがこのようにして完了され、渡し針４２は不動作状態になる。
【００４７】
通常、針列の一端での移送が針列４２から針列３２へ行われる場合、針列の他端での移送は、針列３２から針列４２へ行われることになる。したがって、例えば５０の針が各列で動作状態にある場合、移送後には１番目の針から４９番目の針までが一方の列では動作状態にあり、２番目の針から５０番目の針までが他方の列では動作状態にある。
【００４８】
いくつかの例では、一方の列から他方の列へ編目を移送した直後に付加的に、元の列内の次の隣接針へ戻すことが望ましいこともある。この２重の移送を行うために、針列の一端での第１の移送の前に、かつ針列の他端での第１の移送の後に針列４２が１つの針ピッチだけ横方向にシフトされる以外、前述の針運動と同一の針運動が行われる。この２重移送の後、前述の例では、双方の列上の２番目〜４９番目の針が動作状態となる。
【００４９】
各編目移送機能が完了されると、所定の数の経路が各列内の動作状態針上で編成される。次いで、次の編目移送機能すなわちテーパ付け機能は、テーパ付編成製品が完成されるまで行われる。
【００５０】
第１の経路がテーパ付編成製品の最も細い端部にある場合、針列内の十分な数の針３２，４２が選択され、前述のように針の周りに通される。第１の経路とステップの数の最初の経路例えば全部で４つの経路が順次に編成され、次いで、拡大が開始される。拡大は、動作状態針３２，４２の各端部で１つの針を加えることにより達成される。前と同様に、いったん針３２，４２が加えられると、所定数の経路が、その時点では動作状態であった針上で編成されてから初めて、付加的な針が加えられ、このプロセスは、テーパ付編成製品が完成されるまで続けられる。
【００５１】
編機２０により形成される編目のサイズは、編成ヤーン内の緊張力と、針ドロー（ｄｒａｗ）の深さ、例えば編成縁の下方の針が下部編成位置すなわち下部編目形成位置へ動く際の運動距離と、引き降ろされる編成布内の緊張力とに直接依存している。より高いヤーン緊張力によって、より小さくより密な編目が得られ、同様に、より短いすなわち浅い針ドロー位置およびより小さい編成布緊張力も同様に作用し、また逆も成立つ。
【００５２】
真空カラム緊張システム１６０の緊張力は、浮動円盤あるいは浮動輪１６６にわたる差圧とカラム１６５の横断面領域にわたる差圧との積から得られる。吸引器１７０により発生される真空差圧は、パターンにより決められる編目のサイズおよび長さに依存して変化する。制御手段１７３の制御下で吸引器１７０により発生する真空は、浮動円盤あるいは浮動輪１６６の位置を決めるものである。浮動円盤１６６がセンサポート１６８へ落下すると、電子センサスイッチ１６７は、クラッチブレーキ１６３を作動して送達ロール１６１を回転させ、ヤーンを所望の緊張力で送る。
【００５３】
通常、針列の互いに対向して位置する端部と、最後の経路においてテーパ付編成製品のより細い端部とにおける端縁に沿ってより密な編目を得ることが望ましい。このようなより密な編目は、本発明の装置により、ヤーン内の緊張力を増大せしめ、針ドロー位置を浅くすることにより容易に得られる。
【００５４】
編目サイズを均一に維持することは、引き降ろされる編成布に加えられる力を変化させることにより、１００％被覆されたスパンデックスヤーンで編成する場合、非常に困難である。この問題を克服し、編成布の運動と同様に経路毎の「チェックバルブ」を得るために、マイクロ分離器が針３２と４２との間に位置し、かつ針支持プレート３１および４１上の編成縁の直接下に位置して設けられている。各針が上昇されて、開放ラッチの先端の上方の編目を通り抜けると、前の経路は、その針が編目形成位置へ下降されるとその針に直接隣接するマイクロ分離器の端面の上方を動くのに丁度十分に上昇し、マイクロ分離器は、前述の経路を適切な位置に保持し、これにより新編目が、常に正確に同一の位置に配置される前の経路を通過して引張られて、編目サイズへの布緊張力の作用を無効、または少なくとも最小化する。したがって、ヤーン緊張力および針ドロー位置が慎重に調整される場合、すべての編目は、所定の均一なサイズを得ることになる。
【００５５】
いったんテーパ付編成製品の最後の経路における最後の編目が形成されると、ヤーン送り手段１２６は、ヤーンカッタグリッパ１００に隣接する位置へ動かされ、ヤーンカッタグリッパ１００は、ヤーンを捕捉してから切断する。この時点で、最後の経路は、まだ動作状態針に取付けられている。次いで、これらの動作状態針は順次に上部編成位置へ上昇され、それから下部編成位置へ下降されることになり、その際、ヤーンはこれらの動作状態針へ送られない。最後の経路は、このようにして、針から解放されるが、テーパ付編成製品の第１の経路は、引き降ろし機構１１０にまだ取付けられている。テーパ付編成製品は、空気シリンダ１１８を作動することにより解放され、これによりワイヤ１１７は、第１の経路から引込められる。
【００５６】
所望の場合、吸引輸送システムあるいはその他の輸送手段は、仕上りテーパ付編成製品を取除くのに設けることが可能である。この場合、引き降ろし機構１１０が動かされて、編成製品を解放する前に吸引輸送管と連結される。次いで、吸引管は、解放された編成製品を受取り、該編成製品を貯蔵場所へ輸送する。
【００５７】
本発明の多数の変更およびその他の実施形態は、前述の説明および関連図面に示されている教示の利益を受けることにより、本発明が関連する当業者に思い浮かぶであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、変更およびその他の実施形態は、添付の請求の範囲内に含まれものとする。特定の用語が本明細書で使用されたが、これらの用語は、一般的かつ説明的な意味のみに使用され、限定を目的としていない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の特徴を具体的に示す横編機の断片の垂直断面図である。
【図２】 図１の２−２線にほぼ沿って切断して示す水平断面図である。
【図３】 図２の３−３線にほぼ沿って切断して示す断片の垂直断面図である。
【図４】 図１の中間領域内に示されている布引き降ろし機構の断片の斜視図である。
【図５】 図３の５−５線にほぼ沿って切断して示す断片の断面図であり、複数の部分が分かりやすくするために除去されている。
【図６】 図５の６−６線にほぼ沿って切断して示す断片の断面図であり、複数の部分が分かりやすくするために除去されている。
【図７】 図５の７−７線にほぼ沿って切断して示す断片の拡大断面図である。
【図８】 図７の右側部分に示されている針選択および作動機構の一部分の断片の拡大斜視図である。
【図９】 図７に示されている針および針選択機構の断片の拡大斜視図である。
【図１０】 本発明の横編機で用いられる真空緊張装置の概略図である。
【図１１】 本発明の編機の別の実施形態の図７に類似の断片の概略図である。
【図１２】 図１１に示されている針床の断片を概略的に示す平面図である。
【図１３】 本発明の編機のラッチ開放機構の断片の拡大立面図である。

Claims (32)

1. 互いに対向して配置されている第1及び第2の針床を含み、
   所定の間隔だけ互いから離れて位置する前記針床上の複数の互いに平行な針溝を有し、
   前記第2の針床内の針溝が前記所定の間隔の1/2だけ前記第1の針床内の針溝に対しずれて位置し、
   各針溝内にスライド可能に取付けられているラッチ針を備え、
   前記針へヤーンを送るヤーン送り手段と、
   各針床には、動かされるべき１つの個別の針を選択し、かつ前記ヤーン送り手段からヤーンを受取り、該ヤーンから1つの編目を形成するために他の針とは無関係に前記１つの個別の針を動かすためのコンピュータ制御される針選択および作動機構とを有する、ヤーンから均一な布を編成する平形針床式編機において、
   それぞれの針選択および作動機構が、ピッカキャリッジに取り付けられ前記針のうち選択された１つの針を係合するために作動可能な１つのピッカと、
   該ピッカを選択された針の所まで動かし該ピッカを該針に係合させるピッカキャリッジ用可変駆動手段と、
   前記選択された針を他の針とは無関係に動かし１つの編目を形成するために前記ピッカキャリッジを担持した主キャリッジを動かす主キャリッジ用可変駆動手段とを備え、
   前記ピッカキャリッジ用可変駆動手段と前記主キャリッジ用可変駆動手段がサーボ機構により制御され、ピッカと係合した針以外の針を定置したまま、ピッカと係合した針だけを任意の距離だけ移動させることができるようにしたことを特徴とする編機。
2. 前記ヤーン送り手段は、制御された緊張力で前記針にヤーンを送る緊張装置を備えている、請求項1に記載の編機。
3. 前記緊張装置は、真空緊張装置である、請求項２のに記載の編機。
4. 前記針のそれぞれには、その上に配置され作動バットを有し、前記ピッカは、選択された針の作動バットと係合するように構成されている、請求項1に記載の編機。
5. 前記ピッカは、前記針床の上方でかつ前記針床に対して平行に動き、前記針の運動に対して垂直に動くように取付けられているピッカキャリッジにより担持されている、請求項4に記載の編機。
6. 前記ピッカは、針上の前記作動バットと係合するために前記針床へ向かって動き、かつ前記係合を解除するために前記針床から遠ざかるように動く前記ピッカキャリッジに取付けられている、請求項５に記載の編機。
7. 前記ピッカキャリッジは、前記針床の上方で前記針の運動に対して平行に往復運動するように取付けられている主キャリッジにより担持されている、請求項4に記載の編機。
8. 前記駆段は、前記主キャリッジを動かすことが可能な可変駆動手段であり該可変駆動手段により選択された針が前記針の最高位置と最低位置との間の可変動作位置間を動かされている、請求項７に記載の編機。
9. 前記ピッカキャリッジのための前記可変駆動手段は、前記ピッカキャリッジにより担持されているラックギヤと、該ラックギヤと噛合する回転可能なスプラインギヤと、前記選択された針に対して適切な位置に前記ピッカキャリッジを動かして前記スプラインギヤを回転させるべく、前記スプラインギヤに接続されている回転軸駆動装置とを含む、請求項８に記載の編機。
10. 前記主キャリッジのための前記可変駆動手段は、前記主キャリッジ上に配置されている一対のラックギヤと、前記ラックギヤと噛合する回転可能なスプラインギヤと、針を選択するために前記ピッカキャリッジを位置決めし、前記選択された針をそれらの様々な位置の間で動かすために必要なよう、前記主キャリッジを動かして前記スプラインギヤを回転させるべく前記スプラインギヤに接続されている回転軸駆動装置とを含む、請求項８に記載の編機。
11. 前記ピッカ上に取付けられ、前記針床に対して垂直に延びるラックギヤと、該ラックギヤと噛合する回転可能ピッカスプラインギヤと、前記選択された針と係合および係合解除するように該ピッカを動かすために該ピッカスプラインギヤを回転させる手段とを含む、請求項６に記載の編機。
12. 均一な編目形成と整合的な仕方で編成された布を引き降ろす手段を含む、請求項１に記載の編機。
13. 前記引き降ろし手段は、該引き降ろし手段を前記布に接続するために、延ばしおよび引っ込め可能なワイヤがヤーンの布作成経路を貫通し、該ヤーンの布作成経路の長さに沿って延ばされたり、引っ込められたりしている、請求項１２に記載の編機。
14. 前記引き降ろし手段は、前記ワイヤを延ばしおよび引っ込めるのに用いられる空気シリンダを含む、請求項１３に記載の編機。
15. 前記引き降ろし手段は、前記ワイヤを担持しており垂直運動するように取付けられているブラケットと、該ブラケットに接続されている回転可能な親ねじと、前記ブラケットを上昇または下降させて前記親ねじを回転させるべく、前記親ねじに接続されている回転軸駆動装置とを含む、請求項１３に記載の編機。
16. 前記針選択および作動手段は、一方の針床上の編目渡し針から他方の針床上の編目受取り針へ編目を移送するための手段を有し、これにより前記編機は、テーパ付編成製品を編成する、請求項１に記載の編機。
17. 前記針選択および作動手段は、一方の針床上のすべての動作状態針を選択および作動してから、他方の針床上のすべての動作状態針を選択および作動し、これにより管状テーパ付編成製品が編成される、請求項１６に記載の編機。
18. 前記針選択および作動手段は、順次かつ交替的に前記針床上の前記動作状態針を上下させ、その際、前記ヤーン送り手段は、前記管状テーパ付製品の編成を開始するために布作成経路を形成すると共に、該布作成経路の当該の端部を閉じるために前記針の周りにヤーンを通す、請求項１７に記載の編機。
19. 前記針選択および作動手段は、上部編成位置から下部編成位置すなわち編目形成位置への前記動作状態針の運動を短縮し、一方、前記ヤーン送り手段は、形成される前記管状テーパ付編成製品の終端末で所定の数の経路において短くかつ緊密な編目を形成するために前記針に送られるヤーン内の緊張力を高める、請求項１８に記載の編機。
20. 前記針選択および作動手段と前記ヤーン送り手段により、前記針は前記管状テーパ付編成製品の互いに対向して位置する端縁に沿って短くかつ緊密な編目を形成するようになされている、請求項１９に記載の編機。
21. 前記針上のラッチは、前記針が動く間に閉じるのを阻むために、前記針床の間に配置されかつ前記針の走行路の上方に配置されているラッチガードを含む、請求項１に記載の編機。
22. 前記針はそれぞれ、前記針のシャンクの上部部分上にある1つの移送ポケットを含み、前記針は、各一対の互いに隣接する針溝の間に位置する前記針床上にある微小縁を含み、さらにスパンデックスヤーンが編成される場合でさえ、均一な編目を形成するための後続の編目形成が行われている間、前に形成された編目ループを捕捉および保持するために前記針床の上端から所定の距離だけ間隔を置いている上端を有し、前記微小縁は、前記針が動く問に、前記移送ポケットが前記微小縁の上方を通過するような高さを有する、請求項１に記載の編機。
23. 前記針がそれらの最上位置を占める際に前記針床内の前記針に対して垂直に往復運動するように取付けられているラッチ開放ブラシと、前記上昇された針の前記ラッチを開くために前記上昇されたラッチのすべてに対して垂直に前記ブラシを動かす手段とを含む、請求項１に記載の編機。
24. 一対の互いに対向して位置する針床と、
    該針床内にスライド可能に取り付けられている編み針の列とを有し、
    各針床の針は個別に互いに無関係に動かされて該針に送られるヤーンから編目を形成する平形針床式編機上でヤーンから布を編成する方法において、
    各針床には、該針床に対して移動可能に位置付けされるピッカが、各動く針に順繰りに係合し、
    かつ前記針床の該係合された針以外の針が動かないでいる間、該係合された針に送られるヤーンから１つの編目を形成するために該針を動かすように駆動され、
    その後で前記ピッカは前記針から解放され次の針に順繰りに係合し、かつもう１つの編目を形成するために該針を動かすように駆動され、
    全ての針が順繰りに作動されるまでこの作業が続くものであって、
    前記ピッカがピッカキャリッジに取り付けられ、ピッカを選択された針の所まで動かし該針に係合させるピッカキャリッジ用可変駆動手段と、前記ピッカキャリッジを担持する主キャリッジを動かす主キャリッジ用可変駆動手段とによって駆動され、
    前記ピッカキャリッジ用可変駆動手段と主キャリッジ用可変駆動手段がサーボ機構により制御され、ピッカと係合した針以外の針を定置したまま、ピッカと係合した針だけを任意の距離だけ移動させることができるようにした
    ことを特徴とする方法。
25. 前記個別の針は、上部編成位置へ動かされ、ヤーン受取り位置すなわちヤーンラップ位置へ下降させられ、次いで、下部編成位置すなわち下部編目形成位置へ下降させられ、前記ヤーン受取り位置から前記編目形成位置への運動は先行の編目の長さに応答して変化される、請求項２４に記載の方法。
26. 前記針は、コンピュータ制御可変駆動手段により動かされ、個別の針の運動の長さを変化させた場合に、前記針の最高位置と最低位置との間の可変動作位置間に各係合された針が動かされている、請求項２４に記載の方法。
27. 一方の針床内の選択された針における編目を、他方の針床の隣接する針へ移送することにより、テーパ付編成製品を形成する段階を含む、請求項２４に記載の方法。
28. 前記針は、各経路を形成する際、順次に一方の針床内のすべての針を選択および作動し、その後、他方の針床内の針を選択および作動することにより、管状テーパ付編成製品を形成するように選択および作動される、請求項２７に記載の方法。
29. 広い端部から細い端部へ前記管状テーパ付編成製品を形成し、該広い端部は、互いに対向して位置する針床内の針の周りにヤーンを交替的に通すことで、前記管状テーパ付編成製品の編成を開始することにより閉じられる、請求項２８に記載の方法。
30. このような細い端部で所定の経路で緊密で、小さい編目を形成することにより、前記管状テーパ付編成製品の細い端部にカフスを形成する段階を含む、請求項２９に記載の方法。
31. 緊密で小さい前記編目は、前記編目形成位置への前記針の運動長を短縮し、これらの編目を形成するヤーン内の緊張力を高めることにより形成される、請求項３０に記載の方法。
32. 各経路を形成した後に編成布を引き降ろすことを含み、前記編成布全体にわたり均一なサイズおよび長さの編目を形成するのを助けるために、直接後続する経路を形成する間に前記針に対して１つの共通の所定のレベルで編目の各先行の経路を保持することを含む、請求項２４に記載の方法。

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