JP3695607B2 - 船外機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モーターボート、ヨットや漁船などの小型船舶に取り付けられる船外機に関し、特に、オイルポンプの配置に関する。
【0002】
【従来の技術】
船外機のエンジンはクランクシャフトが略上下方向に配置され、このクランクシャフトの上端および下端は、エンジンケースから突出している。そして、クランクシャフトの下方の突出部にオイルポンプが配置されている。この様に構成されているエンジンはガイドエキゾーストを介してアッパーケーシングの上面に固定されている。また、ガイドエキゾーストには、スイベル軸などを介して取り付けブラケットが設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、オイルポンプはエンジンケースの下側に突出した状態で配置されているので、エンジンの下方に配置されている取り付けブラケットの付属部品やガイドエキゾーストなどと干渉しないように構成する必要がある。しかしながら、エンジンの下方にはあまりスペースがないので、エンジン全体を少し持ち上げた状態にしてオイルポンプの設置スペースを確保している。その結果、エンジンの重心が高くなり、不安定となる。
【0004】
本発明は、以上のような課題を解決するためのもので、エンジンの重心を低くすることができる船外機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の船外機は、軸線が略上下方向に配置されているクランクシャフト(10)と、このクランクシャフトを回転自在に支持しているエンジンケース(17)と、このエンジンケースが載置されるガイドエキゾースト(6)と、このガイドエキゾーストの下方に配置されているオイルパン(51)と、このオイルパンのエンジンオイルを吸い込むオイルポンプ(40)とを備えている。
【0006】
そして、前記目的を達成するために、クランクシャフトの上部には、エンジンケースから上方に突出している上側突出部(10a)が形成されており、この上側突出部に、前記オイルポンプが配置されているとともに、オイルパンとオイルポンプとの間に、吸い込み管(53,55)が配管され、この吸い込み管に逆止弁(54)が設けられている。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明における船外機の実施の一形態を図1ないし図5を用いて説明する。図1は本発明における船外機の一部切欠き断面図である。図2は図1の船外機の内部構造を示す平面図である。図3は図1の船外機の内部構造を説明するための断面図である。図4は図1の要部拡大図である。図5は吐出管、フィルターおよびギャラリを説明するための説明図である。
【0008】
まず初めに、船外機の全体構造を説明する。
図1において、船外機は、上側から順番にアッパーカウリング1、ロワーカウリング2、アッパーケーシング3およびロワーケーシング4からなるハウジングで覆われている。そして、ロワーカウリング2内部のガイドエキゾースト6およびアッパーケーシング3に、スイベル軸7などを介して取り付けブラケット8が設けられている。この取り付けブラケット8を、図示しないモーターボートなどの小型船舶の船尾に固定することにより、船外機は小型船舶に対して左右方向および上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0009】
図1ないし図3において、アッパーカウリング1およびロワーカウリング2の内部には、V型6気筒の4サイクルエンジン9が配置されている。このエンジン9のクランクシャフト10はその軸が略垂直に設けられており、クランクシャフト10の後方には、左右一対のシリンダ11が左右方向にV字状になるように振り分けて配置されている。この左右一対のシリンダ11が上下方向に3段設けられて、シリンダ11は計6気筒配置されている。また、クランクシャフト10には、6個のピストン13が各々コンロッド14を介して連結されており、このピストン13が各シリンダ11の内部に摺動可能に配置されている。また、エンジン9のケース17は、前述の6個のシリンダ11を形成するシリンダブロック20と、シリンダブロック20のクランクシャフト10側を覆うクランクケース21と、シリンダブロック20の燃焼室11a側を覆って閉塞する左右一対のシリンダヘッド22とからなっている。このエンジンケース17は、ガイドエキゾースト6を介してアッパーケーシング3の上面に固定されている。
【0010】
そして、クランクシャフト10の下端は、エンジンケース17から突出して延在しており、アッパーケーシング3内に配置されているドライブシャフト26に連結されている。このドライブシャフト26の途中にはウォーターポンプ27が設けられている。そして、ドライブシャフト26の回転は、図示しない傘歯車などを介して、ロワーケーシング4の後端部に回転自在に設けられているプロペラ28に伝達されている。
【0011】
また、シリンダヘッド22には、シリンダ11に空気を供給する吸気通路31と、シリンダ11の燃焼ガスを排気する排気通路32とがシリンダ11毎に形成されている。この吸気通路31のポートを吸気弁35が、また、排気通路32のポートを排気弁36が開閉している。そして、この吸気弁35を吸気弁用カムシャフト38が、また、排気弁36を排気弁用カムシャフト39が駆動している。この吸気弁用カムシャフト38および排気弁用カムシャフト39は、右側のシリンダヘッド22と左側のシリンダヘッド22にそれぞれ設けられるとともに、上下方向に延在して、1本のカムシャフト38,39が3個の弁35,36を制御できる様に構成されている。
【0012】
そして、図1および図4において、クランクシャフト10の上端は、エンジンケース17から突出して上側突出部10aが形成されている。この上側突出部10aには、エンジンケース17側から順に、オイルポンプ40、プーリ41、プーリ取り付け用ナット42、フライホイル43およびフライホイル取り付け用ナット44が設けられている。また、図2において、吸気弁用カムシャフト38および排気弁用カムシャフト39にもプーリ45が設けられている。そして、クランクシャフト10のプーリ41に上下一対の無端伝動部材であるタイミングベルト46が掛けられおり、一方のタイミングベルト46が左側のシリンダヘッド22のカムシャフト38,39のプーリ45に、他方のタイミングベルト46が右側のシリンダヘッド22のカムシャフト38,39のプーリ45に掛け渡されている。
【0013】
さらに、フライホイル43の一側には、このフライホイル43と連動する始動用スタータモーター47が、また、フライホイル43の他側には、駆動用ベルト48を介してフライホイル43と連動する発電用オルタネータ49が配置されている。なお、このオルタネータ49を駆動する駆動用ベルト48はフライホイル43のプーリ部43aに掛け渡されている。
【0014】
次に、エンジンオイルの流れについて説明する。
図4において、ガイドエキゾースト6の下面には、オイルパン51が垂下して設けられており、このオイルパン51の内部にはストレーナ52が設けられている。このストレーナ52は、ガイドエキゾースト6の吸い込み管53と連通しており、この吸い込み管53の上端には逆止弁54が設けられている。この逆止弁54の他端には、シリンダブロック20の吸い込み管55が連通しており、この吸い込み管55がエンジンケース17の上側のオイルポンプ40の吸い込み口に接続されている。
【0015】
そして、図2ないし図5において、このオイルポンプ40の吐出口には、クランクケース21の吐出管56が接続されている。この吐出管56の下端は、クランクケース21の下部に取り付けられているフィルター57の入り口に接続されており、このフィルター57の出口には、クランクケース21内を上下方向に延在しているギャラリ58が連通している。そして、このギャラリ58は、クランクケース21の軸受け部21aに形成されている枝管59に連通している。この枝管59は4本形成されている。
【0016】
この様に構成されているエンジン9が稼働すると、クランクシャフト10が回転し、その回転に伴って、オイルポンプ40が、オイルパン51に溜められているエンジンオイルを、ストレーナ52、吸い込み管53、逆止弁54および吸い込み管55を介して吸い上げている。そして、オイルポンプ40から吐出されたエンジンオイルは、吐出管56を介してフィルター57に達し、フィルター57で濾過されている。このフィルター57で濾過されたエンジンオイルは、ギャラリ58および枝管59を通って、クランクシャフト10に供給される。クランクシャフト10に供給されたエンジンオイルは、クランクシャフト10に形成されている複数の孔からクランクシャフト10の外に飛散し、エンジンケース17内を潤滑する。この飛散したオイルなどは図示しない油路を通って、再びオイルパン51に回収されている。
【0017】
そして、エンジン9が停止すると、シリンダブロック20の吸い込み管55内のエンジンオイルは重力により、オイルパン51に戻ろうとするが、エンジンオイルの戻りは逆止弁54で阻止される。したがって、オイルポンプ40が再起動した際に、オイルポンプ40に空気が吸い込まれ、オイルパン51のエンジンオイルが吸い上げられなくなることを防止することができる。
【0018】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(1)実施の形態においては、エンジン9はV型6気筒であるが、その気筒数や形式などは適宜変更可能である。
【0019】
(2)実施の形態においては、オイルポンプ40は、フライホイル43およびプーリ41よりも下側に配置されているが、フライホイル43やプーリ41の上方に配置することも可能である。
(3)実施の形態においては、逆止弁54はガイドエキゾースト6の吸い込み管53とシリンダブロック20の吸い込み管55との間に設けられているが、逆止弁54はオイルポンプ40とストレーナ52との間に配置されているならば、その配置の位置は適宜変更可能である。
【0020】
(4)実施の形態においては、吸い込み管や吐出管はエンジンケースに設けられているが、その配置は適宜変更可能である。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、オイルポンプは、エンジンケースの上方に設けられているので、このオイルポンプとガイドエキゾーストや取り付けブラケットの部品との干渉を考慮する必要がない。したがって、従来の船外機の様に、オイルポンプとガイドエキゾーストや取り付けブラケットの部品との干渉を避けるために、エンジンケースを上側に持ち上げて配置する必要がなくなる。その結果、エンジンを従来の船外機よりも下方に配置することができ、エンジンの重心を低くすることができる。
【0022】
この様にエンジンの重心を低くするために、エンジンケースの上方にオイルポンプを配置すると、オイルポンプの停止時に吸い込み管のエンジンオイルが重力で下がり、オイルポンプが再起動した際に、空気を吸い込むことがある。しかしながら、本発明では吸い込み管に逆止弁が設けられており、吸い込み管のエンジンオイルは下方に移動しないので、オイルポンプが空気を吸い込むことが少なくなる。その結果、オイルポンプがエンジンオイルを吸い込めなくなることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明における船外機の一部切欠き断面図である。
【図2】 図2は図1の船外機の内部構造を示す平面図である。
【図3】 図3は図1の船外機の内部構造を説明するための断面図である。
【図4】 図4は図1の要部拡大図である。
【図5】 図5は吐出管、フィルターおよびギャラリを説明するための説明図である。
【符号の説明】
6 ガイドエキゾースト
10 クランクシャフト
10a 上側突出部
17 エンジンケース
40 オイルポンプ
51 オイルパン
53 吸い込み管
54 逆止弁
55 吸い込み管
Claims (1)
- 軸線が略上下方向に配置されているクランクシャフトと、
このクランクシャフトを回転自在に支持しているエンジンケースと、
このエンジンケースが載置されるガイドエキゾーストと、
このガイドエキゾーストの下方に配置されているオイルパンと、
このオイルパンのエンジンオイルを吸い込むオイルポンプとを備え、
そして、前記クランクシャフトの上部には、前記エンジンケースから上方に突出している上側突出部が形成されており、
この上側突出部に、前記オイルポンプが配置されているとともに、
前記オイルパンと前記オイルポンプとの間に、吸い込み管が配管され、
この吸い込み管に逆止弁が設けられていることを特徴とする船外機。
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