JP3692640B2 - 酸素濃度センサの素子抵抗検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車載用エンジンの排気ガス中の酸素濃度を検出するための酸素濃度センサに係るものであって、当該酸素濃度センサの電圧電流の周波数特性を用いて素子抵抗を検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の車載用エンジンの空燃比制御においては、例えば制御精度を高めるといった要望やリーンバーン化への要望があり、これらの要望に対応すべく、エンジンに吸入される混合気の空燃比(排気ガス中の酸素濃度)を広域に且つリニアに検出するリニア式空燃比センサ(酸素濃度センサ)が具体化されている。このような空燃比センサにおいて、その検出精度を維持するには同センサを活性状態に保つことが不可欠であり、一般にはセンサに付設されたヒータを通電制御することにより当該センサ素子を加熱して活性状態を維持するようにしている。
【0003】
ところで、かかるヒータの通電制御においては、センサ素子の温度(素子温)を検出してその素子温が所望の活性化温度(例えば約700℃)になるようにフィードバック制御を実施する技術が従来より開示されている。この場合、その時々の素子温を検出するには、素子に温度センサを付設しその検出結果から導き出すことも考えられるが、それでは温度センサを付加したりすることからコスト高となる。そこで、センサ素子の抵抗(素子抵抗)が素子温に対して所定の対応関係を有することを利用して素子抵抗を検出し、その検出された素子抵抗から素子温を導き出すことが提案されている。なお、素子抵抗の検出結果は、例えばセンサの劣化度合を判定すること等にも用いられる。
【0004】
図46は、従来より用いられている素子抵抗検出手順を説明するためのタイムチャートであり、これは限界電流式酸素濃度センサをエンジン制御用の空燃比センサとして用いる事例を示す。即ち、図46の時間t11以前においては空燃比検出のための所定電圧(正の印加電圧Vpos )がセンサ素子に印加され、その印加電圧Vpos に対応して出力されるセンサ電流Ipos から空燃比が求められる。また、時間t11〜t12では素子抵抗検出のための負の印加電圧Vneg が印加され、その時のセンサ電流Ineg が検出される。そして、負の印加電圧Vneg をその時のセンサ電流Ineg で除算することにより素子抵抗ZDCが求められる(ZDC=Vneg /Ineg )。上記手法は、一般的に空燃比センサの直流特性を用いた素子抵抗の検出法として知られている。
【0005】
また、上記従来技術は直流電圧をセンサ素子に印加して素子抵抗(直流インピーダンス)を検出するものであるが、これに対して特公平4−24657号公報には交流電圧をセンサ素子に印加して素子抵抗(交流インピーダンス)を検出する技術が開示されている。かかる技術では、空燃比センサに交流を連続的に印加し、センサ出力をLPF(ローパスフィルタ)に通して空燃比を検出すると共に、同じくセンサ出力をHPF(ハイパスフィルタ)を通した後に平均化して交流インピーダンスを検出するようにしている。上記手法は、一般的に空燃比センサの交流特性を用いた素子抵抗の検出法として知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記いずれの従来技術においても、以下の如く問題を招く。
つまり、上述した直流インピーダンス法によれば、矩形波の負の印加電圧Vneg を印加した際のセンサ電流Ineg が図示の如く急峻に変動してしまい、精度良くセンサのピーク電流を検出することができず、センサ電流が安定するまで待たなければならないという問題を招く。このため、空燃比が検出できない期間が発生する。また、矩形電圧を印加した時のピーク電流が検出できないという問題は、交流特性を用いた素子抵抗の検出法においても起こりうる問題であった。
【0007】
また、後者の交流インピーダンス法(特公平4−24657号公報)によれば、センサ出力をLPFに通して空燃比を検出するため、空燃比出力に位相遅れが発生すると共に、空燃比出力に交流ノイズが発生し易いという問題を生ずる。特にエンジン運転状態が過渡状態にある場合には上記問題が顕著であった。
【0008】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、新規な手法により素子抵抗を精度良く検出し、さらにその検出時間を短縮することができる酸素濃度センサの素子抵抗検出方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、酸素濃度を検出するために酸素濃度センサに印加した電圧を、所定の時定数を持たせて同センサの素子抵抗を検出するための電圧に切り換え、その時の電圧変化と当該電圧変化に伴う電流変化とから前記センサの素子抵抗を検出するようにしている。
【0010】
つまり、素子抵抗検出時において、酸素濃度センサに印加する電圧を所定の時定数を持った波形にて変化させることにより急峻な電流ピークの発生が抑制できる。その結果、正確なセンサ電流値を計測することができ、ひいては、酸素濃度センサの素子抵抗を精度良く検出することが可能となる。この場合、請求項2に記載したように、酸素濃度の検出途中において素子抵抗を検出するための電圧変化を単発的に行わせることにより、素子抵抗検出に要する時間が短縮化される。これは例えば電圧変化の1波形にて電流の変化を計測し、その計測結果から素子抵抗が検出できることを意味する。
【0011】
また、酸素濃度センサへの印加電圧を単発的に切り換えて素子抵抗を検出することにより、酸素濃度の検出精度に悪影響を及ぼすことはなく、例えば車載エンジンに適用した場合の過渡運転状態下においても排気ガス中の酸素濃度(空燃比)の検出精度を高レベルのまま維持できる。また、既述した特公平4−24657号公報の交流インピーダンス法では、連続する交流成分の平均値から素子抵抗を検出するため、エンジンの過渡運転状態下においてその時々の素子抵抗を個々に検出することは不可能であったが、本発明では個々の波形から素子抵抗を検出できるため上記のような不都合を招くことはない。
【0012】
請求項3に記載した発明では、素子抵抗の検出に際し、素子抵抗(インピーダンス)の周波数特性が一定となる範囲の任意の周波数に対して、該周波数に対応する時定数を持たせた電圧をセンサに印加するようにしている。より具体的には、請求項4に記載したように、素子抵抗の検出に際し、電圧変化の時定数が159μs以下となるように設定している。この159μsの時定数は、カットオフ周波数を1kHz以上に設定することと同意である。これは、ジルコニア等の固体電解質を用いた限界電流式酸素濃度センサや積層型酸素濃度センサのインピーダンス特性が電圧の周波数1kHz以上の領域で安定するためである。なお、より安定した特性を得るには、時定数を32μs〜53μsの範囲(周波数=3kHz〜5kHzの範囲)に限定するのが望ましい。
【0013】
また、素子抵抗の検出に際しては、請求項5に記載したように、酸素濃度検出のためにセンサに印加している電圧に対して電圧を正負いずれか片側に変化させ、その際の電圧変化とそれに伴う電流変化とから素子抵抗を検出する方法、或いは、請求項6に記載したように、酸素濃度検出のためにセンサに印加している電圧に対して電圧を正負両側に変化させ、その際の正負いずれか片側への電圧変化とそれに伴う電流変化とから素子抵抗を検出する方法がある。
【0014】
請求項7に記載の発明では、酸素濃度センサの出力電流が電流検出可能域(以下、本明細書の記載では、これをダイナミックレンジと呼ぶこととする)内における所定値以上の時は負側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出し、出力電流が前記所定値以下の時は正側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出するようにしている。
【0015】
つまり、前記請求項5や請求項6で記述したように、正負いずれか片側への電圧変化とそれに伴なう電流変化とからセンサの素子抵抗を検出する場合、ダイナミックレンジから外れる方向に電圧を変化させたのでは、出力電流に誤差が生じ、素子抵抗を正確に検出することができない。これに対して上記構成によれば、ダイナミックレンジから外れることなくセンサの出力電流が検出でき、素子抵抗を正確に検出することができる。
【0016】
ここで望ましくは、請求項8に記載したように、電流検出可能域(ダイナミックレンジ)内で酸素濃度センサの出力電流を判定する所定値を、当該電流検出可能域内における略中央値に設定するとよい(例えば、図17及び図18中のIpoのように設定するとよい)。
【0017】
さらに、一般には空燃比センサとして使用されるこの種の酸素濃度センサ(限界電流式酸素濃度センサや積層型酸素濃度センサ)では、印加電圧とそれに対応する出力電流とが略比例関係を有し、且つ空燃比がリーンであれば正側に、空燃比がリッチであれば負側に電流値が変化する(限界電流式酸素濃度センサの場合には、図3の特性線L1参照)。そこで、請求項9に記載した発明では、空燃比がリーンの時は負側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出し、空燃比がリッチの時は正側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出するようにしている。この場合、予め設定されている検出回路のダイナミックレンジ内において、当該レンジ内側への電流変化を用いて素子抵抗を検出することになり、レンジ外への電流変化を検出してその精度を悪化させることはない。また、ダイナミックレンジを最小限に設定することができるという効果もある(設計上、ダイナミックレンジを狭い領域で設定でき、検出回路を高精度化できる)。
【0018】
また、請求項10に記載の発明では、素子抵抗の検出に際し、酸素濃度検出のためにセンサに印加している電圧に対して電圧を正負両側に変化させ、その際の正負両側の電圧変化とそれに伴う電流変化とから素子抵抗を検出するようにしている。この場合、上記請求項5や請求項6に記載の発明に比べてより一層の検出誤差軽減を図ることができる。
【0019】
さらに、請求項11に記載の発明では、素子抵抗の検出に際してセンサへの印加電圧を正負両側に変化させる場合において、センサ素子内を移動する電荷量が正負いずれの変化時にも略同一量となるように電圧波形を設定している。かかる場合、素子抵抗の検出が終了した際においてセンサ電流の収束を早めることができるという効果が得られる。
【0020】
請求項12に記載の発明では、酸素濃度センサの素子抵抗を検出する時の電圧変化量を、前回検出時の素子抵抗値の大きさに応じて設定するようにしている。つまり、例えば酸素濃度センサの素子温が低い場合(素子内部抵抗が大きい場合)には、電圧変化量を固定にしたままでセンサ出力電流を得ようとすると、その電流変化は微小値となり、素子抵抗の検出誤差を生じ易い。しかし、上記構成によれば上記のような不都合が解消される。具体的には、例えばセンサ素子温が低い場合には、電圧変化量を大きくするように修正すればよい。
【0021】
請求項13に記載の発明では、酸素濃度センサの素子抵抗を検出する時と、当該センサにより酸素濃度を検出する時とにおいて、前記酸素濃度センサに印加される電圧変化の時定数を切り替えるようにしている。即ち、既述してきたように、所定の時定数を持たせて電圧を変化させる場合、その時定数を固定したまま酸素濃度(空燃比)を検出しようとすると、酸素濃度(空燃比)の急変時において濃度検出のため電圧変化量が所望の値に制御できず、酸素濃度の真値が検出できないという問題が生ずる。そこで、本発明では、素子抵抗検出時と酸素濃度検出時とで電圧変化の時定数を変更するようにしている。このとき望ましくは、請求項15に記載したように、酸素濃度検出時は、素子抵抗検出時よりも前記電圧変化の時定数を大きな値とするとよい。
【0022】
請求項13の具体的手法として、請求項14に記載の発明では、酸素濃度センサの固体電解質層に接続される一対の端子にそれぞれ電圧変化の時定数が異なる2つの電圧印加手段を接続し、素子抵抗検出時と酸素濃度検出時とで前記2つの電圧印加手段を選択的に用いるようにしている。この場合、例えばスイッチ手段を設け当該スイッチのON/OFFにより時定数を変化させる場合(例えば、CR回路の抵抗値やコンデンサ容量を変化させる場合等)と比較して、スイッチのON抵抗やスイッチング時のノイズによる検出誤差を生じることはない。
【0023】
また、請求項16に記載の発明では、前記所定の時定数を持った電圧変化と当該電圧変化に伴う電流変化とから前記酸素濃度センサの素子抵抗を検出する第1の検出法と、前記酸素濃度センサへ電圧を供給する回路を瞬断し、該瞬断する前後の電圧及び電流変化の比から素子抵抗を検出する第2の検出法とを、前記センサの出力電流に応じて選択的に切り替えて実施するようにしている。
【0024】
つまり、酸素濃度センサの電流検出域にダイナミックレンジが設定されている場合、ダイナミックレンジの最大値付近及び最小値付近では、既述のような電圧変化による素子抵抗検出法(第1の検出法)を用いると検出誤差が生じ易い。そこで、本請求項の発明では、酸素濃度センサの電圧供給回路を瞬断し、該瞬断する前後の電圧及び電流変化の比から素子抵抗を検出する、第2の検出法を併用する。この第2の検出法とは、回路瞬断時においてセンサの固体電解質層(例えばジルコニア素子)の内外両側の酸素分圧差に応じて発生する起電力出力を用いる手法であり、回路瞬断時にセンサ起電力が出力されることと、センサ出力電流が「0mA」になることとからその電圧変化及び電流変化が求められ素子抵抗が検出できる。この場合、センサ出力電流とダイナミックレンジとの関係に応じて前記第1及び第2の検出法を選択的に用いることにより、いかなる電流検出領域でも素子抵抗検出が可能となる。
【0025】
請求項16に記載の発明の具体的な手段として、請求項17に記載の発明では、酸素濃度センサによる電流検出可能域(ダイナミックレンジ)内に少なくとも1つの判定値を設け、当該センサの出力電流が前記判定値よりも理論空燃比(ストイキ)側にある場合には前記第1の検出法を用い、それ以外の場合は前記第2の検出法を用いるようにしている。つまり、第2の検出法のように、回路瞬断時における起電力出力から電圧変化と電流変化とを検出する場合、理論空燃比付近では電流値変化が微小となり、素子抵抗の検出精度が悪化するおそれがある。これに対して上記構成によれば、理論空燃比付近で第1の検出法を優先的に用いることにより、検出精度を維持することができる。
【0026】
因みに、ダイナミックレンジの中心値が理論空燃比に略一致する場合には、センサの出力電流が前記判定値よりも中央側にある時に前記第1の検出法を用い、それ以外の時に前記第2の検出法を用いるように構成してもよい。即ち、同ダイナミックレンジの最大値付近又は最小値付近では、その外側に電圧を変化させたのでは出力電流を正確に検出することはできない(このことは、前記請求項7〜9で記載した問題点と同意である)。そこで、同ダイナミックレンジ内において、判定値よりも中央側では電圧変化による手法(第1の検出法)により素子抵抗を検出する。また、第1の検出法による素子抵抗検出が困難となる領域(前記判定値の外側領域)では、第2の検出法に切り替えて素子抵抗を検出する。この場合、より広い電流検出領域で正確な素子抵抗検出が実現できることとなる。
【0027】
このとき、請求項18に記載したように、酸素濃度センサの出力電流を判定するための前記判定値を電流検出可能域(ダイナミックレンジ)の僅かに内側に設けたり、請求項19に記載したように、同じく判定値を電流検出可能域(ダイナミックレンジ)の最大値よりも僅かに小さい所定値と、同電流検出可能域(ダイナミックレンジ)の最小値よりも僅かに大きい所定値としたりすることが望ましく、かかる場合には、第1の検出法の適用範囲をより広い範囲で確保することができる。
【0028】
なお、上記請求項17の記載と多少重複するが、ダイナミックレンジが電流値=0mAを跨ぐように設定され、抵抗検出直前の出力電流が少なくとも0mA付近である場合には、前記第1の検出法により素子抵抗を検出した方がよいことを重ねて記載しておく。これは、既述した通り第2の検出法では、回路瞬断前の電流値と0mAとの差から電流変化を検出するため、電流変化量が微小値になり、検出誤差が生じ易くなるからである。
【0029】
ところで、前記第1の検出法により検出される素子抵抗の特性と、前記第2の検出法により検出される素子抵抗の特性とは、若干相違している場合があり、かかる場合において、両方の検出法を連続的に切り替えると、各検出法による素子抵抗検出値が不連続な数値となる。このとき、例えば検出された素子抵抗に基づいてセンサのヒータ制御等を実施する場合において、前記不連続な検出結果に起因して素子温が安定しないという問題が生じる。
【0030】
そこで、請求項20に記載の発明では、酸素濃度センサの出力電流を判定するための前記判定値に所定幅を持たせ、前記センサの出力電流が前記判定値の所定幅内にあれば、前記第1の検出法と前記第2の検出法とを共に実施し、両検出法による検出結果に基づいて素子抵抗を求めるようにしている。
【0031】
請求項20の発明の具体的な手段として、請求項21に記載した発明では、前記第1の検出法による検出結果と前記第2の検出法による検出結果との比から補正係数を求め、その補正係数を用いて前記いずれかの検出法により検出された素子抵抗値を補正するようにしている。
【0032】
また、請求項22に記載の発明では、前記第1の検出法により検出される素子抵抗特性と、前記第2の検出法により検出される素子抵抗特性とを予め求めておき、この両方の素子抵抗特性に基づいて前記第1の検出法による検出結果若しくは前記第2の検出法による検出結果のいずれかを補正するようにしている。
【0033】
以上請求項20〜22の発明によれば、第1の検出法により検出される素子抵抗の特性と、前記第2の検出法により検出される素子抵抗の特性とが相違していても、両検出法による検出結果の検出誤差が吸収され、その不連続性が解消できる。その結果、素子抵抗によるヒータ制御時にも素子温を安定状態で制御できることとなる。上記発明は、センサ個体間のバラツキや、耐久劣化等が生じた場合の補正手段としても有効である。
【0034】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を空燃比検出装置に具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。なお、本実施の形態における空燃比検出装置は、自動車に搭載される電子制御ガソリン噴射エンジンに適用されるものであって、同エンジンの空燃比制御システムにおいては空燃比検出装置による検出結果に基づいてエンジンへの燃料噴射量を所望の空燃比に制御する。以下の記載では、空燃比センサを用いた空燃比(A/F)の検出手順、並びに同センサの交流特性を用いた素子抵抗検出手順を詳細に説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態における空燃比検出装置の概要を示す構成図である。図1において、空燃比検出装置は酸素濃度センサとしての限界電流式空燃比センサ(以下、A/Fセンサという)30を備え、このA/Fセンサ30は、エンジン10のエンジン本体11から延びる排気管12に取り付けられている。A/Fセンサ30は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)20から指令される電圧の印加に伴い、排気ガス中の酸素濃度に比例したリニアな空燃比検出信号を出力する。マイコン20は、各種演算処理を実行するための周知のCPU,ROM,RAM等により構成され、所定の制御プログラムに従い後述するバイアス制御回路40及びヒータ制御回路25を制御する。
【0036】
図2は、A/Fセンサ30の概略を示す断面である。図2において、A/Fセンサ30は前記排気管12の内部に向けて突設されており、同センサ30は大別して、カバー31、センサ本体32及びヒータ33から構成されている。カバー31は断面コ字状をなし、その周壁にはカバー内外を連通する多数の小孔31aが形成されている。センサ本体32は空燃比リーン領域における酸素濃度、若しくは空燃比リッチ領域における未燃ガス(CO,HC,H2 等)濃度に対応する限界電流を発生する。
【0037】
センサ本体32の構成について詳述する。センサ本体32において、断面カップ状に形成された固体電解質層34の外表面には、排気ガス側電極層36が固着され、内表面には大気側電極層37が固着されている。また、排気ガス側電極層36の外側には、プラズマ溶射法等により拡散抵抗層35が形成されている。固体電解質層34は、ZrO2 、HfO2 、ThO2 、Bi2 O3 等にCaO、MgO、Y2 O3 、Yb2 O3 等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼結体からなり、拡散抵抗層35は、アルミナ、マグネシャ、ケイ石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質からなる。排気ガス側電極層36及び大気側電極層37は共に、白金等の触媒活性の高い貴金属からなりその表面には多孔質の化学メッキ等が施されている。なお、排気ガス側電極層36の面積及び厚さは、10〜100mm^2(平方ミリメートル)及び0.5〜2.0μm程度となっており、一方、大気側電極層37の面積及び厚さは、10mm^2(平方ミリメートル)以上及び0.5〜2.0μm程度となっている。
【0038】
ヒータ33は大気側電極層37内に収容されており、その発熱エネルギによりセンサ本体32(大気側電極層37、固体電極質層34、排気ガス側電極層36及び拡散抵抗層35)を加熱する。ヒータ33は、センサ本体32を活性化するに十分な発熱容量を有している。
【0039】
上記構成のA/Fセンサ30において、センサ本体32は理論空燃比点よりリーン領域では酸素濃度に応じた限界電流を発生する。この場合、酸素濃度に対応する限界電流は、排気ガス側電極層36の面積、拡散抵抗層35の厚さ、気孔率及び平均孔径により決定される。また、センサ本体32は酸素濃度を直線的特性にて検出し得るものであるが、このセンサ本体32を活性化するのに約600℃以上の高温が必要とされると共に、同センサ本体32の活性温度範囲が狭いため、エンジン10の排気ガスのみによる加熱では活性領域を制御できない。そのため、本実施の形態では、ヒータ33の加熱制御によりセンサ本体32を活性化温度域にまで加熱する。なお、理論空燃比よりもリッチ側の領域では、未燃ガスである一酸化炭素(CO)等の濃度が空燃比に対してほぼリニアに変化し、センサ本体32はCO等の濃度に応じた限界電流を発生する。
【0040】
センサ本体32の電圧−電流特性について図3を用いて説明する。図3によれば、A/Fセンサ30の検出A/Fに比例するセンサ本体32の固体電解質層34への流入電流と、同固体電解質層34への印加電圧とがリニアな特性を有することが分かる。かかる場合、電圧軸Vに平行な直線部分がセンサ本体32の限界電流を特定するものであって、この限界電流(センサ電流)の増減はA/Fの増減(即ち、リーン・リッチ)に対応している。つまり、A/Fがリーン側になるほど限界電流は増大し、A/Fがリッチ側になるほど限界電流は減少する。
【0041】
また、この電圧−電流特性において電圧軸Vに平行な直線部分よりも小さい電圧域は抵抗支配域となっており、その抵抗支配域における一次直線部分の傾きは、センサ本体32における固体電解質層34の内部抵抗(これを素子抵抗という)により特定される。この素子抵抗は温度変化に伴い変化するため、センサ本体32の温度が低下すると素子抵抗の増大により上記傾きが小さくなる。
【0042】
一方、図1において、A/Fセンサ30に電圧を印加するためのバイアス指令信号(デジタル信号)Vrはマイコン20からD/A変換器21に入力され、同D/A変換器21にてアナログ信号Vbに変換された後、LPF(ローパスフィルタ)22に入力される。そして、LPF22にてアナログ信号Vbの高周波成分が除去された出力電圧Vcは、A/Fの検出電圧又は素子抵抗の検出電圧のいずれかをA/Fセンサ30に印加するためのバイアス制御回路40に入力される。このとき、A/F検出用時には、前記図3の特性線L1を用いてその時のA/Fに対応した印加電圧Vpが設定されるのに対し、素子抵抗検出時には、所定周波数信号よりなる単発的で且つ所定の時定数を持った電圧が印加される。
【0043】
また、バイアス制御回路40は、A/Fセンサ30への電圧の印加に伴い流れる電流値を電流検出回路50にて検出し、当該電流検出回路50にて検出された電流値のアナログ信号はA/D変換器23を介してマイコン20に入力される。バイアス制御回路40の詳細な構成については後述する。A/Fセンサ30に付設されたヒータ33は、ヒータ制御回路25によりその作動が制御される。つまり、ヒータ制御回路25は、A/Fセンサ30の素子温やヒータ温度に応じてバッテリ電源(図示しない)からヒータ33に供給される電力をデューティ制御し、ヒータ33の加熱制御を行う。
【0044】
ここで、素子抵抗検出時にA/Fセンサ30に印加される指令電圧の詳細を説明する。つまり、マイコン20は、デジタル信号としてのバイアス指令信号Vrを出力するが、このバイアス指令信号VrはD/A変換器21及びLPF22を通過する際において、単発的で且つ所定の時定数を持った電圧(アナログ信号)に変換される。図4は、素子抵抗検出時におけるD/A変換器21の出力電圧Vbと、LPF22の出力電圧Vcとについてその信号波形の一例を示す。この場合、D/A変換器21の出力電圧Vbは、時間t1でその直前の印加電圧Vp(A/F検出電圧)に対して「ΔV」だけ高い電圧値に切り換えられ、時間t2でt1〜t2の期間よりも短い、微少時間だけ前記印加電圧Vpよりも低い電圧値に切り換えられる。そして、時間t3で元の印加電圧Vpに戻される。一方、LPF22の出力電圧Vcは、所定の時定数を持たせることにより高周波成分が除去されたなまし信号となっている。
【0045】
また、本実施の形態で言う所定の時定数を持った電圧とは単発的な周波数成分を含む信号であるが、以下のようにしてその周波数が決定される。
図5はA/Fセンサ30の等価回路である。この等価回路において、Rgは酸素イオンに対する固体電解質の粒子抵抗、RiとCiはそれぞれ固体電解質の粒子の界面における粒子抵抗と粒界容量、RfとCfはそれぞれ電極界面抵抗と電極界面容量である。
【0046】
図6は、上記図5の如く表されるA/Fセンサ30の複素インピーダンス特性を示す。同図において、横軸の「Zreal」は複素インピーダンスの実数部を、縦軸の「Zimaginary 」は虚数部を示しており、このとき、インピーダンスZACは、
ZAC=Zreal+j・Zimaginary
にて表される。また、図6のA点は周波数1kHzでのインピーダンス特性を示しており、それより低周波であるとA点よりも右の特性となり、高周波であるとA点よりも左の特性となる。即ち、1kHz付近ではRgとRiの合計値がインピーダンスとして検出されることとなる。
【0047】
図7は、前記図6について横軸を周波数fに、縦軸をインピーダンスZACに変換したものである。同図7によれば、周波数1kHz〜10MHzではインピーダンスZACが所定値(Rg+Ri)に収束しているのが分かる。また、10MHz付近よりもさらに高周波側ではインピーダンスZACは減少し、前記(Rg+Ri)よりも小さい所定値(Rg)に収束する。このことから、インピーダンスZACを安定した状態で精度良く検出するためには、同インピーダンスZACが周波数fによらず一定値となる1kHz〜10MHz付近が望ましいことがわかる。本実施の形態では、周波数を1kHzとし、その波形の立ち上がり(前記図4の時間t1〜t2)を得るべく、LPF22により159μs程度の時定数を設定している。ここで、時定数の下限(周波数の上限)は、D/A変換器21やA/D変換器23の処理能力によって制限されるだけであり、高速な回路を使うことにより時定数の下限を拡大させることができる。
【0048】
こうした理由からA/Fセンサ30への印加電圧の切り換えに時には、マイコン20は1kHz程度の周波数成分を含むデジタル信号を出力し、そのデジタル信号はD/A変換器21及びLPF22の通過に際し、所定の時定数(159μs程度)が有する信号に変換される。なお、マイコン20から出力される指令信号は矩形信号であるため、信号生成も容易に実現できる。
【0049】
他方で、素子抵抗の検出電圧を再びA/Fの検出電圧に復帰させる際においてその電圧を直接、元の電圧に切り換えるようにすると、上記Ci,Cfに蓄えられる電荷の影響からセンサ電流は電圧の復帰直後においてピーク電流を発生し、結果として元の電流値に収束するまでの時間が長くなる。そこで、本実施の形態では、素子抵抗の検出電圧を元の電圧に復帰させる際に、先の電圧変化時(前記図4の時間t1〜t2)とは逆方向の電圧を短時間印加して(前記図4の時間t2〜t3)、前記Ci,Cfにおける電荷の放電を短時間で終了させ、センサ電流の安定時間をより短縮化するようにしている。この場合、印加電圧を片側に変化させた際にセンサ素子内を移動する電荷量と、同印加電圧を逆側に変化させた際にセンサ素子内を移動する電荷量とが一致するように電圧値が制御されるのが望ましく、そのためには印加電圧の変化に際して正負両側に相似形の電圧波形を与えるようにしてもよい。
【0050】
次に、バイアス制御回路40の構成を図8の電気回路図を用いて説明する。図8において、バイアス制御回路40は大別して、基準電圧回路44と、第1の電圧供給回路45と、第2の電圧供給回路47と、電流検出回路50とを有する。基準電圧回路44は、定電圧Vccを分圧抵抗44a,44bにより分圧して一定の基準電圧Vaを生成する。
【0051】
第1の電圧供給回路45は電圧フォロア回路にて構成され、基準電圧回路44の基準電圧Vaと同じ電圧VaをA/Fセンサ30の一方の端子42に供給する(この端子42は、前記図2の大気側電極層37に接続される端子である)。より具体的には、正側入力端子が各分圧抵抗44a,44bの分圧点に接続されると共に負側入力端子がA/Fセンサ30の一方の端子に接続された演算増幅器45aと、演算増幅器45aの出力端子に一端が接続された抵抗45bと、この抵抗45bの他端にそれぞれベースが接続されたNPNトランジスタ45c及びPNPトランジスタ45dとにより構成されている。NPNトランジスタ45cのコレクタは定電圧Vccに接続され、エミッタは電流検出回路50を構成する電流検出抵抗50aを介してA/Fセンサ30の一方の端子に接続されている。また、PNPトランジスタ45dのエミッタはNPNトランジスタ45cのエミッタに接続され、コレクタはアースされている。
【0052】
第2の電圧供給回路47も同様に電圧フォロア回路にて構成され、前記LPF22の出力電圧Vcと同じ電圧VcをA/Fセンサ30の他方の端子41に供給する(この端子41は、前記図2の排気ガス側電極層36に接続される端子41である)。より具体的には、正側入力端子が前記LPF22の出力に接続されると共に負側入力端子がA/Fセンサ30の他方の端子に接続された演算増幅器47aと、演算増幅器47aの出力端子に一端が接続された抵抗47bと、この抵抗47bの他端にそれぞれベースが接続されたNPNトランジスタ47c及びPNPトランジスタ47dとにより構成されている。NPNトランジスタ47cのコレクタは定電圧Vccに接続され、エミッタは抵抗47eを介してA/Fセンサ30の他方の端子に接続されている。また、PNPトランジスタ47dのエミッタはNPNトランジスタ47cのエミッタに接続され、コレクタはアースされている。
【0053】
上記構成により、A/Fセンサ30の一方の端子には常時一定電圧Vaが供給される。そして、LPF22を経由してA/Fセンサ30の他方の端子に一定電圧Vaよりも低い電圧Vcが供給されると、当該A/Fセンサ30が正バイアスされる。また、LPF22を経由してA/Fセンサ30の他方の端子に一定電圧Vaよりも高い電圧Vcが供給されると、当該A/Fセンサ30が負バイアスされることになる。
【0054】
次に、上記の如く構成される空燃比検出装置の作用を説明する。
図9は、本実施の形態における制御ルーチンを示すフローチャートであり、同ルーチンはマイコン20への電力供給開始に伴い起動される。同図において、マイコン20は、先ずステップ100で前回のA/F検出時から所定時間T1が経過したか否かを判別する。ここで、所定時間T1は、A/Fの検出周期に相当する時間であって、例えば、T1=2〜4ms程度に設定されるのが適当である。そして、前回のA/F検出時から所定時間T1が経過していれば、マイコン20はステップ100を肯定判別してステップ110に進む。マイコン20は、ステップ110で電流検出回路50により検出されたセンサ電流Ip(限界電流値)を読み込むと共に、予めマイコン20内のROMに記憶されている特性マップを用いてその時のセンサ電流Ipに対応するエンジン10のA/Fを検出する。このとき、マイコン20は、図3の特性線L1を用いてその時のA/F検出結果に応じた印加電圧VpをA/Fセンサ30に印加しておく。
【0055】
また、マイコン20は、続くステップ120で前回の素子抵抗検出時から所定時間T2が経過したか否かを判別する。ここで、所定時間T2は、素子抵抗の検出周期に相当する時間であって、例えばエンジン運転状態に応じて選択的に設定される。本実施の形態では、A/Fの変化が比較的小さい通常時(エンジンの定常運転時)にはT2=2s(秒)に、A/Fの急変時(エンジンの過渡運転時)にはT2=128ms(ミリ秒)に、というように設定される。そして、ステップ120が否定判別されれば、上記の如く所定時間T1の経過毎にA/Fが検出され、ステップ120が肯定判別されれば、ステップ130で素子抵抗が検出される。素子抵抗検出処理を図10のサブルーチンを用いて説明する。
【0056】
図10において、マイコン20は、先ずステップ131で現時点でのA/Fがリッチであるかリーンであるかを判別する。A/F=リーンであれば、マイコン20は、ステップ132でそれまでの印加電圧Vp(A/F検出電圧)に対して負側→正側の順に電圧を変化させ、A/F=リッチであれば、ステップ133でそれまでの印加電圧Vpに対して正側→負側の順に電圧を変化させる(バイアス指令信号Vrを操作する)。
【0057】
そして、印加電圧の切り換え後において、マイコン20は、ステップ134で電圧変化量ΔVと電流検出回路50により検出されたセンサ電流の変化量ΔIとを読み取る。また、マイコン20は、続くステップ135でΔV,ΔIを用いて素子抵抗Rを算出し(R=ΔV/ΔI)、その後元のメインルーチンに戻る。
【0058】
図11の(a),(b)は、A/Fセンサ30に印加される電圧(LPF22通過後の出力電圧Vc)の波形と、その電圧の印加に伴って流れるセンサ電流の波形とを示す。即ち、A/Fがリーンの場合(A/F=18の場合)、図11の(a)に示すようにA/Fセンサ30への印加電圧が電圧変化量ΔVだけ負側の電圧に切り換えられ、この電圧変化に対応する負側への電流変化が変化量ΔIとして検出される。なお、図中の印加電圧=a〔V〕,センサ電流=b〔A〕は、図3の点a,bに相当する。また、A/Fがリッチの場合(A/F=13の場合)、図11の(b)に示すように、A/Fセンサ30への印加電圧が電圧変化量ΔVだけ正側の電圧に切り換えられ、この電圧変化に対応する正側への電流変化が変化量ΔIとして検出される。なお、図中の印加電圧=c〔V〕,センサ電流=d〔A〕は、図3の点c,dに相当する。
【0059】
この場合、リーンであれば負側への電圧変化、リッチであれば正側への電圧変化からセンサ電流が求められるため、当該センサ電流が電流検出回路50のダイナミックレンジ(図3参照)を超えることはない。
【0060】
一方、上記の如く求められる素子抵抗Rは、素子温に対して図12に示す関係を有する。即ち、素子温が小さくなるほど、素子抵抗Rが飛躍的に大きくなる関係を有する。同図において、素子抵抗R=90ΩはA/Fセンサ30がある程度活性化している温度600°に対応し、素子抵抗R=30ΩはA/Fセンサ30が十分に活性化している温度700℃に対応する。そして、ヒータ制御に際しては、前記算出した素子抵抗RとA/Fセンサ30が十分に活性化していると思われる目標抵抗値(例えば30Ω)との偏差をなくすために必要なヒータ33の通電量が求められ、その通電がデューティ制御される。即ち、素子温フィードバック制御が実施される。
【0061】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(a)本実施の形態では、A/Fを検出するためにA/Fセンサ30に印加した電圧を、所定の時定数を持たせて素子抵抗の検出電圧に切り換え、その時の電圧変化と当該電圧変化に伴う電流変化とからA/Fセンサ30の素子抵抗を検出するようにした。つまり、本構成によれば、素子抵抗の検出電圧への切り換え時において、従来の課題であった急峻な電流ピークの発生が抑制できる。その結果、正確なセンサ電流値を計測することができ、ひいては、A/Fセンサ30の素子抵抗を精度良く検出することが可能となる。この場合、A/Fの検出途中において単発的な交流電圧により素子抵抗の検出を行うようにしたため、検出に要する時間が短縮化される。また、A/Fの検出精度に悪影響を及ぼすことはなく、エンジンの過渡運転状態下においてもA/Fの検出精度を高レベルのまま維持できる。
【0062】
(b)本実施の形態では、特に、素子抵抗検出時における電圧変化のカットオフ周波数が1kHz以上となるような時定数(159μs以下の時定数)を与えるようにした。これにより、A/Fセンサ30の周波数特性が安定する(既述した図7参照)。なお、より安定した特性を得るには、時定数を32μs〜53μsの範囲(周波数=3kHz〜5kHzの範囲)に限定するのが望ましい。
【0063】
(c)本実施の形態では、LPF22を用いて所定の時定数を有する交流信号をA/Fセンサ30に印加させるようにした。そのため、より簡便な構成にて所望の目的を達成することができる。この場合、マイコン20は、矩形波状のデジタル信号を生成するのみであるため、その高負荷な演算処理が要求されるものではない。従って、より実現性の高い空燃比検出装置を提供できることとなる。
【0064】
(d)また、本実施の形態では、A/Fがリーンの時は負側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出し、A/Fがリッチの時は正側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出するようにした。この場合、予め設定されている電流検出回路50のダイナミックレンジの内側への電流変化を用いて素子抵抗を検出することになり、レンジ外への電流変化を検出してその精度を悪化させることはない。また、ダイナミックレンジを最小限に設定することができるという効果もある(設計上、ダイナミックレンジを狭い領域で設定でき、回路を高精度化できる)。
【0065】
(e)A/Fセンサ30への印加電圧を正負両側に変化させた時にセンサ素子内を移動する電荷量がいずれの変化時にも同一量となるように、電圧波形を設定した。そのため、素子抵抗の検出終了時におけるセンサ電流の収束を早めることができる。
【0066】
(f)そして、上記のように素子抵抗を精度良く検出することが可能となれば、その検出結果を用いたA/Fセンサ30の活性化制御(ヒータ33の通電制御)が精度良く実現できる。また、素子抵抗の検出結果を用いた劣化度合の判定にも有効に適用できる。
【0067】
なお、素子抵抗検出時において印加電圧を変化させる形態は図13〜15に示す如く変更することもできる。
図13に示す形態では、上記実施の形態と同様に、素子抵抗検出時における印加電圧を正負両側に変化させたものであるが、電圧の変化量ΔV,電流の変化量ΔIを計測する箇所を最初の波形から2番目の波形に変更している。このとき、図13の(a)に示すように、A/Fがリーンの場合(A/F=18の場合)には、その時までの印加電圧(A/Fの検出電圧)に対して正側→負側の順に電圧を変化させ、負側に変化した電圧の変化量ΔV及び電流の変化量ΔIから素子抵抗を算出する。また、図13の(b)に示すように、A/F=リッチの場合(A/F=13の場合)、その時までの印加電圧に対して負側→正側の順に電圧を変化させ、正側に変化した電圧の変化量ΔV及び電流の変化量ΔIから素子抵抗を算出する。
【0068】
また、図14に示す形態では、印加電圧を正負いずれか片側にのみ変化させ、その時の電圧の変化量ΔV,電流の変化量ΔIを計測するようにしている。この場合にも上記の各形態と同様に、A/Fがリーンであれば印加電圧を負側に変化させ、その電圧変化に対応する電流の変化量から素子抵抗を検出する(図14の(a))。また、A/Fがリッチであれば印加電圧を正側に変化させ、その電圧変化に対応する電流の変化量から素子抵抗を検出する(図14の(b))。なお、かかる場合には、センサ電流が元の限界電流値に収束するまでの時間が幾分長くなるが、素子抵抗の検出精度は同等に保たれる。
【0069】
上記図13,14の形態では、上記第1の実施の形態と同様に、A/Fがリーンであれば負側に変化するセンサ電流を計測すると共に、A/Fがリッチであれば正側に変化するセンサ電流を計測するようにしたため、当該センサ電流を電流検出回路50のダイナミックレンジ内にて精度良く計測することができる。また、当初の設計時においてダイナミックレンジを最小限に設定することが可能となる。
【0070】
さらに、図15に示す形態では、印加電圧を正負両側に変化させ、その時の最大値と最小値との差から電圧の変化量ΔV,電流の変化量ΔIを計測するようにしている。この場合、上記の各形態と比較して素子抵抗の検出精度が最良となるが、ダイナミックレンジを予め大きく設計しておく必要がある。なお、かかる場合において、印加電圧を変化させる順序に関しては如何なるA/F時にも正負いずれ側が先であってもよく、図15の(a),(b)のうちいずれか一方の形態が用いられる。
【0071】
次に、本発明の第2〜第6の実施の形態を説明する。但し、以下の各実施の形態の構成において、上述した第1の実施の形態と同等であるものについてはその説明を簡略化する。そして、以下には第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
(第2の実施の形態)
以下に、本発明の請求項7及び8を具体化した第2の実施の形態について、図16〜図18を用いて説明する。
【0073】
上記第1の実施の形態では、一義的にA/Fがリーンの時は負側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出し、A/Fがリッチの時は正側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出するようにしていた。しかし、予め設定されている電流検出回路50のダイナミックレンジは、ストイキ(理論空燃比)を中心に設定されるとは限らない。そこで、本実施の形態では、ダイナミックレンジ内の任意の所定電流値を基準として、印加電圧の正負変化の順序を決定するようにしている。
【0074】
図16は、本実施の形態における素子抵抗検出サブルーチンを示すフローチャートであり、同フローは上記第1の実施の形態における図10のフローの一部を変更したものである。つまり、図16のフローでは、前記10のステップ131に代えて、ステップ231の処理を実施する。具体的には、マイコン20は、ステップ231で前記図9のステップ110で検出したセンサ電流(限界電流値)Ipと、ダイナミックレンジ内の所定の基準値Ipoとを比較判定する。この場合、Ip≧Ipoであれば、マイコン20はステップ132に進み、印加電圧Vpを負側→正側の順に変化させる。また、Ip<Ipoであれば、マイコン20はステップ133に進み、印加電圧Vpを正側→負側の順に変化させる。他の処理は、既述の図10と同じなのでここではその説明を省略する。
【0075】
ここで、基準値Ipoは、ダイナミックレンジ内の中心値近傍であればよく、例えば図17及び図18に示すように設定される。かかる場合、図17に示すように、A/Fをリッチからリーンまで検出できるようにダイナミックレンジを設定すれば、基準値Ipoは0mA付近(ストイキ近傍)となる。また、図18に示すように、A/Fのリーン領域のみを検出するようにダイナミックレンジを設定すれば、基準値IpoはA/F=20程度に相当する数mAとなる。
【0076】
本第2の実施の形態によれば、常にダイナミックレンジから外れることなくA/Fセンサ30の出力電流Ipが検出でき、ひいては素子抵抗Rを正確に検出することができることとなる。この場合、ダイナミックレンジがストイキを中心に設定されていない場合(図18のような場合)であっても、素子抵抗Rの検出精度が低下するといった不都合を生じることもない。
【0077】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の請求項12を具体化した第3の実施の形態について、図19及び図20を用いて説明する。
【0078】
要するに、上記各実施の形態では、所定の時定数を持たせて素子抵抗検出時における印加電圧Vpを変化させる旨を記載したが、その時の電圧振幅ΔVは固定であった(また、従来技術としての特公平4−24657号公報では、電圧振幅ΔVの上限値が記述してあるのみであった)。従って、例えばA/Fセンサ30の素子温が低下した場合等において、電圧振幅ΔVが固定値のままであると、電圧印加時における限界電流値の変化量ΔIが微小になり、結果として素子抵抗Rの検出誤差が生じ、検出精度が悪化するおそれが生じる。
【0079】
この理由を図20を用いて説明する。なお、図20の(a)は、A/Fセンサ30の素子温が比較的高い場合の電圧−電流特性を示し(素子温=約700℃)、同図の(b)は素子温が比較的低い場合の電圧−電流特性を示す(素子温=約600℃)。
【0080】
図20の(a),(b)を比較すれば、(b)では抵抗支配域(電圧軸Vに平行な直線部分よりも小さい電圧域)の一次直線部分の傾きが(a)よりも小さく、これは(b)の方が素子内部抵抗(図中のRi)が大きいことを意味する。従って、(a),(b)共に同じ電圧振幅ΔVで印加電圧を変化させた場合、(a)ではΔIの電流出力が得られるのに対し、(b)ではΔIの約半分のΔI’の電流出力しか得られない。この場合、電流出力の検出誤差を招き、ひいては素子抵抗の検出精度が悪化する問題が生ずるおそれがあった。
【0081】
そこで、本実施の形態では、素子温が比較的低い場合にも(即ち、図のRiが大きい場合にも)、素子温が高い場合と同等の電流出力を得るべく、電圧振幅ΔVを素子抵抗Rに応じて可変に設定することを特徴とする。図20では、同図(b)の場合において電圧振幅をΔV’(ΔV’>ΔV)とすることにより、同図(a)のΔIと同等の電流出力が得られることとなる。
【0082】
図19は、本実施の形態における素子抵抗検出サブルーチンを示すフローチャートである。同フローは上記第2の実施の形態における図16のフローの一部を変更したものであり、図16のフローにステップ230の処理を追加している。つまり、図19のフローにおいて、マイコン20は、先ず最初にステップ230で所定の比例係数kと前回処理時に検出された素子抵抗Rとを乗算して電圧振幅ΔVを算出する(ΔV=k・R)。そして、このステップ230で算出された電圧振幅ΔVは、後続のステップ132,133において印加電圧Vpを変化させる際に用いられることとなる。なお、図19において、ステップ231,132〜135の処理は既述の通りであり、ここではその説明を省略する。
【0083】
ここで、比例係数kは以下の概念により予め設定されている定数である。即ち、素子抵抗Rの検出精度をよくするためには、比例定数kを大きくすればする程良いと考えられる。しかし、ΔIが電流検出のダイナミックレンジを越えるとΔIを正確に検出できないので、ΔIがダイナミックレンジの1/2を超えてはならず、望ましくはΔIがダイナミックレンジの1/4程度となるように設定されるとよい。
【0084】
本第3の実施の形態によれば、素子抵抗検出時に変化する電圧ΔVを、前回の素子抵抗Rが大きければ大きくする方向に変化させるようにした。そのため、例えばセンサ素子温が低い場合(素子内部抵抗が大きい場合)でも、電流変化量ΔIが減少してしまうのが抑制され、素子抵抗Rの検出精度が悪化するという不都合が解消できる。
【0085】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の請求項13〜15を具体化した第4の実施の形態について、図21〜図29を用いて説明する。
【0086】
上記各実施の形態では前述した図1に示すように、A/Fセンサ30に電圧を印加するためのバイアス指令信号Vrを必ずD/A変換器21及びLPF22に通している。ところが、このLPF22の時定数は既述したようにセンサ素子の内部抵抗を測定するのに適した値となっている。そのため、このLPF22の時定数を用いたままA/F検出すると、A/Fの検出誤差が大きくなる場合がある。A/Fの検出誤差が生じる理由を図21を用いて説明する。
【0087】
図21は、A/F検出時の印加電圧Vpと、その時のセンサ電流Ipとの推移を示しており、同図ではA/Fはリッチ側からリーン側へと変化している。つまり、Vp,Ipの各動作点は、限界電流域を追従するために前記図3の直線(特性線)L1を右上に移動しており、印加電圧Vpは図21の時間Ta間隔で徐々に大きくなっている。なお、同図には、前記図1のD/A変換器21の出力電圧Vbを破線で示し、LPF22の出力電圧Vc、即ちA/Fセンサ30に直接印加される電圧を実線で示している。この場合、センサ電流Ipは、破線で示す限界電流の真値よりも大きい方向にずれを生じる。これは、前述の図5、図6及び図7で説明したA/Fセンサ30の周波数特性によるもので、現在のLPF22の時定数によってずれ量が決定される。
【0088】
そして、こうしたA/Fの変化時において、印加電圧Vpを切り替えた直後のセンサ電流Ip、即ち図21中の点(●)からA/Fを検出する場合には、センサ電流Ipは限界電流の真値に近い値であるのでA/Fの検出誤差は生じない。しかし、印加電圧Vpが変更される時間Taよりも短い周期でA/Fを検出する場合には、センサ電流Ipは真値から大きくずれた点(○)となる。その結果、A/Fの検出誤差が生じることとなる。
【0089】
そこで、本実施の形態では上記問題に鑑み、A/Fを検出するときは素子抵抗Rを検出するときよりも大きい時定数のLPFに切り替えることにより、図21で見られたA/Fの検出誤差を小さくするものである。
【0090】
ここで、LPFの時定数を大きくするとA/Fの検出誤差か小さくなる理由を以下に説明する。つまり、LPFの時定数を大きくするということは、A/Fセンサ30の印加電圧変化の周波数を小さくすることである。そして、電圧印加の周波数を小さくすると、図23に示す通りインピ−ダンスZACが大きくなり、ZACが大きくなれば、印加電圧を変化させたときの電流変化が小さくなる。よって、図21のように限界電流の真値からのずれ量も図22に示すように小さくなり、A/Fの検出誤差も低減できる。なお、図23の点A(f=1kHz)は、素子抵抗検出時に好適なLPFの時定数に相当するカットオフ周波数を示し、点B(周波数f=10Hz)は、A/F検出時に好適なLPFの時定数に相当するカットオフ周波数を示している。
【0091】
以上のことから、前記図1におけるLPF22の時定数を素子抵抗検出時とA/F検出時とで変更すればよいこととなり、その簡易的な構成として、LFP22を図24に示すように構成することが考えられる。つまり、図24では、スイッチ26を使用してLPF22の抵抗値をR1又はR2(但し、R1>R2)のいずれかに切り替え、時定数を変更するようにしている。より具体的には、A/F検出時には、図示の状態として時定数を大きくし、素子抵抗検出時にはスイッチ26を切り替えて時定数を小さくする。なお、コンデンサ容量値を変化させて時定数を変更することも可能である。
【0092】
しかし、上記図24の構成を採用するとスイッチ26のON,OFF時に発生するノイズや、スイッチ26のON抵抗による時定数のバラツキ等に起因して、A/F又は素子抵抗を精度良く検出することが困難になるおそれがある。従って、本実施の形態では、下記の図25に示すようにスイッチを用いない回路構成を具体化する。
【0093】
図25は、第1の実施の形態における図1に相当する構成図である。図1との主な相違点は、図25では、2つのLPF22a及び22bと、2つのD/A変換器21a,21bを設けた点である。ここで重要なのは、LPF22aは、既述した図1のLPF22と同程度の時定数を有するのに対し、LPF22bは、LPF22aよりも大きな時定数を有することである。なお、本実施の形態では、LPF22a,22bが請求項記載の電圧印加手段を構成している。
【0094】
この場合、マイコン20は素子抵抗Rを検出するための第1のバイアス指令信号Vr1と、A/Fを検出するための第2のバイアス指令信号Vr2を出力し、これらバイアス指令信号Vr1,Vr2はそれぞれD/A変換器21a,21bに入力される。そして、バイアス指令信号Vr1,Vr2はD/A変換器21a,21bでアナログ信号Vb1,Vb2に変換されると共に、LPF22a,22bでアナログ信号の高周波成分が除去された後、出力電圧Vc1,Vc2としてバイアス制御回路40に入力される。そして、出力電圧Vc1,Vc2は、バイアス制御回路40で電流増幅され、A/Fセンサ30の大気側及び排気ガス側のそれぞれの電極に接続された端子に印加される。
【0095】
図26は、本実施の形態におけるバイアス制御回路40の構成を示す電気回路図である。第1の実施の形態(前記図8)との相違点は、第1の電圧供給回路45の演算増幅器45aに固定電圧を入力するための基準電圧回路44を削除し、同演算増幅器45aの正側入力端子に本実施の形態で新たに追加したLPF22bからの出力電圧Vc2を入力するようにしたことである。そして、その出力電圧Vc2がA/Fセンサ30の端子42(大気側電極層37に接続される端子)に印加される。
【0096】
次に、本実施の形態におけるマイコン20の動作を図27,図28のフローチャートを用いて説明する。
図27のフローは、前記図9のステップ110の詳細を示す限界電流(A/F値)検出サブルーチンである。図27において、マイコン20は、先ずステップ111で図26の電流検出回路50の検出結果からA/Fセンサ30に流れる限界電流値Ipを検出する。次に、マイコン20は、ステップ112で前回、印加電圧Vpを変更してから所定時間T3が経過したか否かを判別する。つまり、所定時間T3は、A/F検出時の電圧切り替えタイミングの間隔であり、A/F検出間隔の所定時間T1(前記図9参照)以上であればよく、2〜10msの値が適当である。
【0097】
この場合、所定時間T3が経過しておらずステップ112が否定判別されると、CPU31はそのまま本ルーチンを終了し、所定時間T3が経過しておりステップ112が肯定判別されるとステップ113へ進む。
【0098】
CPU31は、ステップ113では前回処理時に検出した素子抵抗Rと限界電流値IpとからA/Fセンサ30への印加電圧Vpを決定する(Vp=R・Ip+Ve)。なお、ステップ113中の数式は前記図3における直線L1を表し、Veは直線L1のV軸切片で限界電流域の中心付近の0.4V程度の値に予め設定されている。
【0099】
次に、CPU31は、ステップ114で印加電圧Vpを実際にA/Fセンサ30へ印加するのだが、このときバイアス制御回路40に与える指令値は、A/Fセンサ30の端子42に接続されたLFP22b側の第2のバイアス指令値Vr2とする。すると、実際にA/Fセンサ30に印加される電圧はLPF22bの時定数で高周波成分が除去される。このとき、LPF22a側の第1のバイアス指令値Vr1は所定値に固定されていればよい。
【0100】
ここで、LPF22bの時定数の決定法を以下に述べる。時定数はA/F検出精度を良くするためには大きければ大きいほどよい。しかし、大きすぎれば別の問題が生じてくる。即ち、LPF22b時定数がある程度よりも大きいと、A/Fセンサ30に印加される電圧が急激な限界電流値Ipの変化に対して追従できなくなる。すると、A/Fセンサ30への印加電圧Vpは前記図3の直線L1から大きくずれてしまう。また、さらに時定数が大きくなると印加電圧Vpが限界電流域から外れてしまい、正確な限界電流値Ip、即ちA/Fが検出できなくなる。よって、A/F検出精度と限界電流値Ipへの追従性を考慮して、図23に示すようにLPF22bの時定数はカットオフ周波数を10Hz程度に相当する値が望ましい。
【0101】
図28は、前記第2の実施の形態における図16の素子抵抗検出サブルーチンに相当するフローチャートである。図28のフローの動作は、前記図16と基本的には同一であるが、特にステップ132,133で変化させる指令値が第1のバイアス指令値Vr1であることを強調している。この場合、実際にA/Fセンサ30に印加される電圧はLPF22aで高周波成分を除去された電圧となる。LPF22aの時定数は、前記第1の実施の形態と同程度であって、LPF22bのそれよりも小さな数値となっている。
【0102】
以上の動作を図29のタイミングチャートを用いて説明する。
図29中の上段の波形はマイコン20からの2つの指令電圧の差(Vr1−Vr2)であり、中段の波形が実際にA/Fセンサ30へ印加される電圧波形である。また、下段の波形がセンサ電流波形である。センサ電流波形上の点(●)が図27のステップ111で検出される限界電流値Ipであり、センサ電圧波形とセンサ電流波形の両方にある点(□)が図28のステップ134で検出されるΔVとΔIである。なお、既述したように、所定時間T1の間隔で限界電流値Ipが検出され、所定時間T2の間隔で素子抵抗R(=ΔV/ΔI)さ検出される。さらに、所定時間T3の間隔でA/F検出時のセンサ電圧指令値(第2のバイアス指令信号Vr2)が切り替えられるようになっている。
【0103】
また、図示の如く途中の時刻で排気ガスがリーン側へ変化しているため、センサ電流(限界電流値Ip)が図示の如く上昇方向に変化し、それに伴って指令電圧(Vr1−Vr2)も上昇方向変化している。
【0104】
この場合、A/F検出時と素子抵抗検出時では、指令電圧の高周波成分を除去するためのLPFの時定数が切り替えられているので、センサ電圧の指令電圧に対する応答性か異なり、限界電流値IpやΔV,ΔIが精度良く検出されるのが分かる。
【0105】
なお、上記空燃比制御装置では、A/F検出時にはA/Fセンサ30の端子42に電圧印加するための第2のバイアス指令信号Vr2を出力し、素子抵抗検出時には端子41に電圧印加するための第1のバイアス指令信号Vr1を出力したが、この構成に限定されるものではなく、要は、A/F検出時には、素子抵抗検出時よりも時定数の大きな電圧変化を与えるような構成であればよい。
【0106】
本第4の実施の形態によれば、上記各実施の形態と同様に、素子抵抗Rを精度良く検出することができ、本発明の目的を達せられるのは勿論のこと、その他に、以下に示す付加的効果が得られる。
【0107】
(イ)本実施の形態では、素子抵抗検出時とA/F検出時とにおいて、A/Fセンサ30に印加される電圧変化の時定数を切り替え、後者の場合にはその時定数を大きくするようにした。その結果、A/F検出用の印加電圧Vpを切り替える周期よりも短い周期でA/Fを検出する場合にも(図29中のT1<T3のような場合)、A/Fセンサ30の限界電流値Ipの誤差をなくし、A/Fの検出精度低下を抑制することができる。
【0108】
(ロ)また、A/Fセンサ30の固体電解質層34に接続される一対の端子41,42にそれぞれ電圧変化の時定数が異なる2つのLPF22a,22bを接続し、素子抵抗検出時とA/F検出時とで前記2つのLPF22a,22bを選択的に用いるようにした。この場合、例えばスイッチ手段を設け当該スイッチのON/OFFにより時定数を変化させる場合と比較して、スイッチのON抵抗やスイッチング時のノイズによる検出誤差を生じることはなく、検出精度の悪化を防止することができる。
【0109】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の請求項16〜22を具体化した第5の実施の形態について、図30〜図40を用いて説明する。
【0110】
先ず、本実施の形態の動作原理の要旨を図30及び図31を用いて以下に述べる。印加電圧Vpを変化させその時の電流変化ΔIを検出するという、上記実施の形態の方法では、ダイナミックレンジの最大値或いは最小値付近で電流変化ΔIが検出できなくなり、結果として素子抵抗Rの誤検出を招くおそれがある。つまり、図30の(a)に示すように、A/Fがダイナミックレンジの最小値付近にある場合、その最小値を跨ぐようにしてΔVを生じさせると同図の(b)に示すようにΔIが検出不可域に入ってしまい、素子抵抗Rが検出できなくなる(なお、こうした問題は、前記第1,第2の実施の形態で説明したように、その時のA/F又はセンサ電流Ipに応じて電圧変化の方向を制御することにより、ある程度は解消されており、本実施の形態はその代替案でもある)。
【0111】
そこで、上記問題に対し本実施の形態では、ダイナミックレンジの最大値或いは最小値付近のΔIの検出手法として、A/Fセンサ30の電圧印加状態から電圧を瞬断させ、その電圧瞬断時におけるセンサ起電力出力と電流変化とを用いて素子抵抗Rを検出する。そして、この検出手法と前述の電圧変化による素子抵抗検出手法とを併用することでダイナミックレンジの全範囲で素子抵抗Rを精度良く検出するものである。
【0112】
A/Fセンサ30の起電力出力を用いた素子抵抗Rの検出法について以下に述べる。図31はこの方法の動作原理を示した図である。A/F検出時において、A/Fセンサ30には電圧Vpが印加されており、その時のセンサ電流(限界電流値)はIpである。そして、素子抵抗検出時には、センサ電流Ipが流れる回路(A/Fセンサ30の電圧供給回路)の一部を瞬間的に遮断する。すると、センサ電流Ipは瞬時に0mAとなり、A/Fセンサ30は固体電解質層の内外両側の酸素分圧差に応じた起電力Veを出力する。この時の電圧変化ΔV(=Ve−Vp)と電流変化ΔIとの比により素子抵抗Re(ここでは、電圧変化による素子抵抗Rと区別して「Re」と記載する)が検出でき、こうして検出された素子抵抗Reは電圧変化により検出される素子抵抗Rとほぼ同じ値となる(Re≒R)。
【0113】
回路瞬断により検出される素子抵抗Reと、電圧変化により検出される素子抵抗Rとが一致する理由について、A/Fセンサ30の等価回路である前記図5を用いて説明する。A/F検出時は定常状態であるので電流はRg,Ri,Rfを通っている。その状態で回路を瞬断、即ち電流を強制的に流れないようにすると、Rgは直流抵抗であるので瞬間的に電位差はなくなり、また、Riも図6及び図7を使った説明から時定数が小さいのでCiに溜まった電荷が瞬間的にRiを通り放電され電位差がなくなる。従って、回路を瞬断した前後の電圧変化と電流変化の比はRgとRiの和となり、結果として、回路瞬断により検出された素子抵抗Reは電圧変化により検出された素子抵抗Rと同じ値となる。
【0114】
ところが、実際のA/Fセンサ30は、完全に前記図5の等価回路と一致するものではない。そのため、図32に示すように、電圧変化により検出された素子抵抗Rと回路瞬断により検出された素子抵抗Reとは完全に一致せず、幾分かの誤差が生ずる。そうすると、両方の検出法を切り替える際において素子抵抗の検出値に不連続な部分が生じ、例えば素子抵抗(即ち素子温)を一定にするヒータ制御を実施する場合、その不連続部分で素子温が安定しないといった不都合な面が出てくる。
【0115】
そこで、本実施の形態では、素子抵抗検出の不連続性をなくすために、所定幅の電流域では電圧変化による素子抵抗検出法と回路瞬断による素子抵抗検出法とを両方共に実施すると共に、両検出法による素子抵抗の誤差に基づいて補正係数kaを算出するようにしている。そして、この補正係数kaを用いて回路瞬断による素子抵抗Reを補正するようにしている。
【0116】
一方で、限界電流値Ipがダイナミックレンジの範囲外にあるときは前記いずれの検出法でも正確な素子抵抗が検出はできない。しかし、この場合においても回路瞬断による検出法であれば、多少の誤差があるとしても検出可能となる。即ち、図33は限界電流値Ipがダイナミックレンジの範囲外にある場合のA/Fセンサ30のV−I特性であり、(a)は電圧変化による素子抵抗(R)検出時の特性を示し、(b)は回路瞬断による素子抵抗(Re)検出時の特性を示している。なお、各図中、素子抵抗R,Reの真値は破線で示している。
【0117】
同図33によれば、(a)の素子抵抗検出法では電流変化ΔIが全く検出できなくなる(ΔI=0)。従って、素子抵抗が変化してもその変化を全く検出できないこととなる。これに対して、(b)の素子抵抗検出法では検出電流が必ず0mAとなるためΔIが概算でき、素子抵抗の変化を検出することが可能となる。そのため、例えば素子抵抗が一定となるようにA/Fセンサ30のヒータ制御を行なっていても、電圧瞬断による素子抵抗検出法を用いれば限界電流値Ipがダイナミックレンジの範囲外となってもヒータの制御不能という最悪な事態が回避できる。
【0118】
次に、上記のような動作原理に基づいて具体化された本実施の形態の具体的構成について説明する。
図34は、本実施の形態における空燃比検出装置の全体構成図である。前記第1の実施の形態における図1の構成との相違点は、マイコン20からバイアス回路40に対し回路を瞬断するためのスイッチON,OFFする信号を出力することである。
【0119】
また、図35は、バイアス制御回路40の構成である。前記第1の実施の形態における図8の構成との相違点は、第1の電圧供給回路45内の抵抗45bとトランジスタ45c,45dのべースとの間にアナログスイッチ51を追加したことである。このスイッチ51はマイコン20からのスイッチON,OFF信号により動作する。そして、スイッチ51がOFFされると、トランジスタ45c,45dが両方共にOFFされるのため、両トランジスタ45c,45dのエミッタ端子はハイ・インピーダンスとなり、センサ端子42へ繋がる回路が瞬断されたことと同じ状態になる。
【0120】
次いで、本実施の形態におけるマイコン20の動作を図36,図37,図38のフローチャートを用いて説明する。図36は、メインルーチンである前記図9のステップ130のサブルーチンを示し、図37と図38は図36中のステップ140と150のサブルーチンを示す。
【0121】
さて、図36のルーチンがスタートすると、マイコン20は、先ずステップ231で前回検出した限界電流値lpに基づいて、いずれの素子抵抗検出方法を用いるかを選択する。ここで、素子抵抗検出法の選択肢は3つあり、一つ目は電圧変化による素子抵抗検出法のみを実施する場合、2つ目は回路瞬断による素子抵抗検出法のみを実施する場合、3つ目は前記両方の素子抵抗検出法を共に実施する場合である。
【0122】
即ち、本実施の形態では、図39のV−I特性図に示すようにダイナミックレンジの最小値近傍にIp0<Iplの関係を有する2つの判定値を設定しており、lp>lp0であれば電圧変化による素子抵抗検出を実施し、Ip<Ip1であれば回路瞬断による素子抵抗検出を実施するようにしている。この場合、Ip0≦Ip≦Ip1となる範囲は、電圧変化による素子抵抗検出と回路瞬断による素子抵抗検出とが共に実施される領域となっている。
【0123】
従って、図36のステップ231において、Ip>Ip1の旨が判定されると、マイコン20はステップ140に進み、印加電圧変化による素子抵抗Rの検出処理のみを実行する。つまり、ステップ140では、図37に示すように、ステップ141〜143において前記第1の実施の形態における図10のステップ132,134,135と同じ動作をして素子抵抗Rを検出する(R=ΔV/ΔI)。
【0124】
また、Ip<Ip0の旨が判定されると、マイコン20はステップ150に進み、今回導入した回路瞬断による素子抵抗Reの検出処理のみを実行する。この回路瞬断による素子抵抗Reの検出ルーチンを図38に示す。つまり、図38では、マイコン20は、先ずステップ151で前記図35のスイッチ51をOFFし、第1の電圧供給回路45を瞬断する。また、マイコン20は、続くステップ152で回路瞬断により生じるA/Fセンサ30の起電力Eo(図35中ではVaとVcとの差)を検出する。
【0125】
その後、マイコン20は、ステップ153でスイッチ51をONに戻し、続くステップ154で前記検出した起電力Eoと、先に検出した限界電流値Ipと、電圧瞬断前の印加電圧Vpとから素子抵抗Reを算出する(Re=(Vp−Eo)/Ip)。
【0126】
その後、マイコン20は図36のステップ232に進み、電圧変化により検出された素子抵抗Rと回路瞬断により検出された素子抵抗Reとの不連続性を解消するための補正係数kaを用いて前記ステップ150で求めた素子抵抗Reを補正し、それにより素子抵抗Rを算出する(R=ka・Re)。なお、この補正係数kaは、限界電流値IpがIp0〜Ip1の範囲内にある時に算出される数値である。
【0127】
限界電流値IpがIp0〜Ip1の範囲内にある時の処理を既述する。つまり、前記ステップ231でIp0≦Ip≦Ip1の旨が判定されると、マイコン20は、ステップ140で印加電圧変化による素子抵抗Rの検出処理(図37の処理)を実施すると共に、続くステップ150で回路瞬断による素子抵抗Reの検出処理(図38の処理)を実施する。そして、マイコン20は、ステップ233で素子抵抗R,Reの比から補正係数kaを決定する(ka=R/Re)。この補正係数kaは、前述したステップ232で用いられる。
【0128】
上記図36のルーチンでは、ステップ140(図37のルーチン)における素子抵抗Rの検出法が請求項記載の「第1の検出法」に相当し、ステップ150(図38のルーチン)における素子抵抗Reの検出法が請求項記載の「第2の検出法」に相当する。
【0129】
なお、上記図36のルーチンにおける判定値Ip0,Iplは、ダイナミックレンジ内の最小値から0mA間であれば任意に設定してよい。但し、電圧変化による素子抵抗検出法ではダイナミックレンジ内の最小値付近で検出精度が悪く、一方、回路瞬断による素子抵抗検出法では0mA付近で検出精度が悪くなるため、1〜2mA以上の余裕を取った方がよい。
【0130】
本第5の実施の形態によれば、上記各実施の形態と同様に、素子抵抗Rを精度良く検出することができ、本発明の目的を達せられるのは勿論のこと、その他に、以下に示す付加的効果が得られる。
【0131】
(イ)本実施の形態では、電圧変化による素子抵抗検出法(第1の検出法)と、回路瞬断
による素子抵抗検出法(第2の検出法)とを、A/Fセンサ30の限界電流値Ipに応じて選択的に切り替えるようにした。具体的には、電圧変化による素子抵抗検出法では誤差が生じ易いダイナミックレンジの最小値付近では、回路瞬断による素子抵抗検出法を用い、逆に、回路瞬断による素子抵抗検出法では誤差が生じ易い、0mA付近では、電圧変化による素子抵抗検出法を用いるようにした。その結果、いかなる電流検出領域でも精度良く素子抵抗を検出することが可能となる。
【0132】
(ロ)また、上記2つの素子抵抗検出法を切り替える判定値をダイナミックレンジ内の最小値付近(又は最大値付近でも可)に設定した。そのため、より広い電流検出領域で電圧変化による素子抵抗検出法が適用でき、本発明の特徴的な構成部分(電圧変化に時定数を持たせた構成)をより広域で活用することができる。
【0133】
(ハ)A/Fセンサ30の限界電流値Ipを判定するための判定値に所定幅(Ip0〜Ip1)を持たせ、前記センサ30の限界電流値Ipが前記判定値の所定幅内にあれば、前記2つの素子抵抗検出法を共に実施するようにした。そして、両検出法による検出結果の比から補正係数kaを求め、その補正係数kaを用いて回路瞬断により検出された素子抵抗Reを補正するようにした。
【0134】
そのため、電圧変化による素子抵抗検出法により検出された素子抵抗Rの特性と、回路瞬断による素子抵抗検出法により検出された素子抵抗Reの特性とが相違していても、両検出法による検出結果の検出誤差が吸収され、その不連続性が解消できる。その結果、素子抵抗Rによるヒータ制御時にも素子温を安定状態で制御できることとなる。上記実施の形態は、センサ個体間のバラツキや、耐久劣化等が生じた場合の補正手段としても有効である。
【0135】
一方、本実施の形態は、次の形態にて具体化することができる。
上記図36のルーチンでは、限界電流値IpがIp0〜Ip1の範囲内にある場合において、ステップ140,150の処理を共に実施し、それらから求められたRとReとから補正係数kaを算出したが、A/Fセンサ30のR−Re特性を予め測定しておき、その特性に基づいて補正係数kaを関数式又はマップにて求めておいてもよい。また、補正係数kaを用いなくとも、両補正係数の特性に基づいていずれかの素子抵抗を補正するようにしてもよい。具体的には、RとReとが前記図32のような関係を有することが予め判っている場合、同図において、回路瞬断による素子抵抗値である「Re1」から印加電圧変化による素子抵抗値である「R1」を求めればよい。
【0136】
また、本実施の形態では、電圧変化による素子抵抗Rの検出処理について、印加電圧Vpを負側→正側の順で変化させた時の変化電流ΔIを求め、そのΔIに基づいて素子抵抗Rを検出していたが、勿論、印加電圧Vpを正側→負側の順で変化させて素子抵抗Rを検出することも可能である。かかる場合には、前記図36のステップ231におけるIp0とIp1によるIp判定を、図39でV軸を対称にした位置関係で行えばよい。
【0137】
また、限界電流値Ipがダイナミックレンジを越えた場合、電圧変化による素子抵抗検出法では回路瞬断による素子抵抗検出法と比べて検出精度が悪く、さらに限界電流値Ipが例えばリーン側に大きく外れると、素子抵抗変化の検出が不可能となってしまう。それを防ぐためには図40に示すように、限界電流値Ipの判定値であるIp0とIpl、Ip0’とIp1’を正負両方に設ければよい。この場合、図40のように限界電流値Ipがの0mAに近い範囲のときは電圧変化による素子抵抗検出を行い、ダイナミックレンジの最大値又は最小値に近い範囲のときは回路瞬断による素子抵抗検出を行うようにすればよい。
【0138】
なお、電圧変化により検出される素子抵抗Rと、回路瞬断により検出される素子抵抗Reとが補正が不要なほど誤差が小さい場合や、RとReとの誤差を考慮せずに簡略化する場合には、Ip0=Ip1として、両検出を同時に行う部分を削除してもよい。この場合、前記図36のフローで用いた補正係数kaも不要となる。
【0139】
(第6の実施の形態)
次に、本発明における第6の実施の形態を図41〜図45を用いて説明する。つまり、上記各実施の形態ではコップ型A/Fセンサ30を用いて空燃比検出装置を構成し、同センサ30への電圧の印加に伴い流れる限界電流からA/Fを検出するようにしていたが、本実施の形態では、同A/Fセンサ30に代えて積層型A/Fセンサを用いて空燃比検出装置を構成する。以下、積層型A/Fセンサの構成及びその特性を図面を用いて説明する。
【0140】
図41は積層型A/Fセンサ60の構成を示す断面図である。積層型A/Fセンサ60は、ジルコニアからなる2層の固体電解質層61,62を有しており、これら各々は一般にポンピングセル(固体電解質層61),センシングセル(固体電解質層62)と称される。固体電解質層61の下方には酸素濃度測定室としての拡散ギャップ63が設けられ、他方、固体電解質層62の下方には大気圧室としての空気ダクト64が設けられている。固体電解質層61にはピンホール65が形成されており、このピンホール65を介して排気ガスが拡散ギャップ63内に導入されるようになっている。なお、図中の符号66はセンサ60を加熱するためのヒータである。
【0141】
固体電解質層61(ポンピングセル)の上下面には白金電極67,68が取り付けられ、固体電解質層62(センシングセル)の上下面には白金電極69,70が取り付けられている。電極67には端子71が、電極68,69には端子72が、電極70には端子73が、それぞれ接続されている。
【0142】
この積層型A/Fセンサ60の動作原理を以下に説明する。図42は端子72,73間に発生するセンサ起電力Vsの特性を示すグラフである。このとき、センサ起電力Vsは下記の(1)式に示すように拡散ギャップ63内の酸素濃度Pvと空気ダクト64内の酸素濃度(大気中の酸素濃度に等しい)Poとにより決定される。
【0143】
【数1】
但し、同式において、Rは気体定数、Tは絶対温度、Fはファラデーの定数である。
【0144】
また、拡散ギャップ63内の酸素濃度Pvは、通常は排気ガスの酸素濃度PAに等しくなっている。従って、A/Fがリッチになり排気ガス中の酸素濃度PAが減少すると拡散ギャップ63内の酸素濃度Pvも減少し、センサ起電力Vsは増加する。逆にリーンになると拡散ギャップ63内の酸素濃度Pvは増加するためセンサ起電力Vsは減少する。そして、このセンサ起電力Vsは端子73にて検出される。
【0145】
また、端子71に電圧Vpを印加し、ポンピング電流Ipを流すことにより、固体電解質層61内を酸素イオンが通過し、拡散ギャップ63内の酸素濃度Pvを自由に制御することができる。以上の原理により、センサ起電力Vsを検出し、その値が一定となるように端子71への印加電圧Vpを制御すれば、ポンピング電流Ipから排気ガスの酸素濃度、即ちA/Fを検出することができる。
【0146】
つまり、センサ起電力Vsを一定に制御するには、拡散ギャップ63内の酸素濃度Pvを常に一定の酸素濃度Pvoにしなければならず、そのためには、排気ガス中の酸素濃度PAとPvoの差分に相当する酸素量を供給するする必要がある。このとき、PAとPvoの差分に相当する酸素供給量はポンピング電流Ipの大きさにより決定される。従って、ポンピング電流Ipから排気ガス中の酸素濃度(A/F)が検出できる。そして、図42に示すように、A/F=14.7(ストイキ,但しエンジンにより若干異なる)の時のセンサ起電力Vsを所定値(Vs=0.45V)になるように制御すれば、ポンピング電流IpとA/Fの特性は、図43に示すようにA/F=14.7でIp=0mAとなる特性が得られる。図43の特性図では、A/Fがリーンになれば正側のポンピング電流Ipが流れ、A/Fがリッチになれば負側のポンピング電流Ipが流れるようになっている。
【0147】
図44は、本実施の形態におけるバイアス制御回路40の構成を示す電気回路図である。以下にはコップ型センサを使った実施の形態と相違する部分のみを説明する。
【0148】
積層型A/Fセンサ60からは素子印加電圧用の端子71,72(前記図8の端子41,42に相当)以外にもう一つ別の起電力検出用の端子73が設けられている。かかる場合、端子73からセンサ起電力Vsを検出し、オペアンプ75で同センサ起電力Vsと基準電圧Vsoとを比較する共にその比較結果を増幅して出力する。また、増幅した信号を第2の電圧供給回路47に入力し、LPF22からの信号との差をとる。つまり、コップ型センサを使用した第1の実施の形態と比較すれば、第2の電圧供給回路47がボルテージフォロア回路から差動増幅回路に変更されている。
【0149】
この回路において、オペアンプ75での比較用基準電圧Vsoは以下の通りに調整される。つまり、本実施の形態では、A/F=14.7の場合にIp=0mAとなるように調整される。換言すれば、A/F=14.7では、端子71の電圧は端子72と同じ電圧Vaにならなければならず、LPF22の出力でA/Fを検出するときの電圧をVpとすると、オペアンプ75の出力Vxが(Vp−Va)になるように比較用基準電圧Vsoが調整される。
【0150】
この回路を構成することにより、排気ガスがリッチになると端子73のセンサ起電力Vsが増加し、オペアンプ75の出力は増加する。すると、第2の電圧供給回路47の出力Vcは減少し、端子71に印加される電圧は減少する。これにより、ポンピング電流Ipは前記図41で示している方向と逆の方向に流れ(マイナスのポンピング電流Ipが流れる)、酸素が拡散ギャップ63内に供給される。逆にリーンになると、プラスのポンピング電流Ipが流れる共に、拡散ギャップ63内の酸素がくみ出される。
【0151】
そして、上記の如く構成される本実施の形態の空燃比検出装置では、上記第1の実施の形態と同様の手順で積層型A/Fセンサ60の素子抵抗が検出される。その概略を図45のタイミイングチャートを用いて説明する。なお、図45は、A/Fがリーンの場合においてA/Fセンサ60に印加される電圧(LPF22の出力)と、その印加電圧に伴って流れるセンサ電流(ポンピング電流Ip)との推移を示す。
【0152】
要するに、素子抵抗検出時において、印加電圧はLPF22を通過することにより所定の時定数を持った信号として積層型A/Fセンサ60に印加される。このとき、印加電圧はその時のA/F検出用の電圧に対して正負両側に変化する。そして、A/Fがリーンであるため、負側への電圧の変化量ΔVと、同じく負側への電流の変化量ΔIとから素子抵抗Rが検出される(R=ΔV/ΔI)。負側の計測値を用いる理由は、第1の実施の形態と同様であり、A/Fセンサ60のダイナミックレンジを最小限に設定可能にするためである。この素子抵抗Rの検出処理は、所定周期T4毎に実施される(T4は、固定値であっても、又はエンジン運転状態に応じた可変値であってもよい)。図示はしないが、A/Fがリッチの際には、正側への電圧の変化量ΔVと、同じく正側への電流の変化量ΔIとから素子抵抗Rが検出される。
【0153】
以上第6の実施の形態によれば、上記各実施の形態と同様の効果が得ることができ、結果として素子抵抗を精度良く検出して本発明の目的を達成することができる。
【0154】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず以下に示す形態にて具体化できる。
(1)上記第1の実施の形態では、図10の素子抵抗検出処理において、その時のA/Fがリッチであるかリーンであるかに応じて印加電圧を切り換える順序(正負の順序)を切り換えるようにしたが、A/Fに関係なくこの順序を固定としてもよい。かかる場合、常に正側→負側の順、或いは負側→正側の順に印加電圧を切り換えるようになるが、電圧の変化量ΔV及び電流の変化量ΔIを計測する方向は、A/Fがリーンの場合には負側へのΔV,ΔIを計測し、A/Fがリッチの場合には正側へのΔV,ΔIを計測するようにするのが望ましい。このことは、第6の実施の形態における積層型A/Fセンサ60の場合にも同様である。
【0155】
(2)上記第2〜第5の実施の形態について、第6の実施の形態にて記載した積層型センサを用いて具体化してもよい。かかる場合にも、既述した通りの作用及び効果が得られる。
【0156】
(3)上記第5の実施の形態において、ダイナミックレンジ内の最大値又は最小値付近に電圧変化による素子抵抗検出法(第1の検出法)と回路瞬断による素子抵抗検出法(第2の検出法)とを使い分けるための第1の判定値を設けると共に、それよりもダイナミックレンジの中心側において第2の判定値を設け、この第2の判定値では、電圧変化による素子抵抗検出法の電圧変化方法を使い分けるようにしてもよい。つまり、第2の判定値を境として、当該判定値よりも外側では片側(ダイナミックレンジの内側)への電圧変化による電流変化から素子抵抗を検出し、第2の判定値よりも内側では正負両側への電圧変化による電流変化から素子抵抗を検出する。この場合、ダイナミックレンジの中心部ほど、素子抵抗の検出精度が向上する。なお、各検出法の使い分けによる検出値の不連続性をなくすため、例えばダイナミックレンジ中心部の検出結果を基準に各検出値を補正するようにしてもよい。
【0157】
(4)上記第6の実施の形態で記載した積層型センサを用いる場合において、第1の実施の形態で他の形態(図13〜図15)として記載したように印加電圧の波形を変更したり、ΔV,ΔIの計測箇所を変更したりすることも可能である。
【0158】
(5)上記実施の形態では、車載エンジンの排気ガス中の酸素濃度(A/F)を検出するA/Fセンサとして本発明を適用したが、本発明の適用範囲は自動車用A/Fセンサに限定されるものではなく、これ以外にも適用範囲を拡大することも可能である。例えば可燃性ガス(メタンガス、エタンガス等)中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサとして具体化することも可能である。
【0159】
(6)上記実施の形態では、マイコン20から出力される矩形状の信号に対して所定の時定数を持たせることにより擬似的な正弦波に変換し、その信号を素子抵抗検出に用いたが、マイコン20にて正弦波信号を生成し、その信号を用いて素子抵抗を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における空燃比検出装置の概要を示す構成図。
【図2】A/Fセンサの詳細な構成を示す断面図。
【図3】A/Fセンサの電圧−電流特性を示すグラフ。
【図4】D/A変換器の出力電圧及びLPFの出力電圧を示す波系図。
【図5】A/Fセンサの等価電気回路図。
【図6】A/F検出用の電圧をA/Fセンサに印加した状態で交流入力電圧の周波数に対するインピーダンスの軌跡を示すグラフ。
【図7】交流入力電圧の周波数と交流インピーダンスとの関係を示すグラフ。
【図8】第1の実施の形態におけるバイアス制御回路の構成を示す電気回路図。
【図9】メインルーチンを示すフローチャート。
【図10】第1の実施の形態における素子抵抗検出サブルーチンを示すフローチャート。
【図11】A/Fセンサに印加される電圧変化とそれに伴う電流変化とを示す波形図。
【図12】素子温と素子抵抗との関係を示すグラフ。
【図13】第1の実施の形態の変形例として、A/Fセンサに印加される電圧変化とそれに伴う電流変化とを示す波形図。
【図14】第1の実施の形態の変形例として、A/Fセンサに印加される電圧変化とそれに伴う電流変化とを示す波形図。
【図15】第1の実施の形態の変形例として、A/Fセンサに印加される電圧変化とそれに伴う電流変化とを示す波形図。
【図16】第2の実施の形態における素子抵抗検出サブルーチンを示すフローチャート。
【図17】A/Fセンサの電圧−電流特性とダイナミックレンジとの関係を示す図。
【図18】A/Fセンサの電圧−電流特性とダイナミックレンジとの関係を示す図。
【図19】第3の実施の形態における素子抵抗検出サブルーチンを示すフローチャート。
【図20】第3の実施の形態における解決課題を説明するための電圧−電流特性図。
【図21】印加電圧とセンサ電流との推移を示し、第4の実施の形態における解決課題を説明するタイムチャート。
【図22】印加電圧とセンサ電流との推移を示すタイムチャート。
【図23】交流入力電圧の周波数と交流インピーダンスとの関係を示すグラフ。
【図24】第4の実施の形態における構成の特徴部分を簡易的に示す電気回路図。
【図25】第4の実施の形態における空燃比検出装置の概要を示す構成図。
【図26】第4の実施の形態におけるバイアス制御回路の構成を示す電気回路図。
【図27】第4の実施の形態における限界電流検出サブルーチンを示すフローチャート。
【図28】第4の実施の形態における素子抵抗検出サブルーチンを示すフローチャート。
【図29】第4の実施の形態における作用をより具体的に示すタイムチャート。
【図30】電圧変化による素子抵抗検出法における電圧−電流特性図と、電圧V,電流Iの波形図。
【図31】回路瞬断による素子抵抗検出法における電圧−電流特性図と、電圧V,電流Iの波形図。
【図32】電圧変化により検出された素子抵抗Rの特性と、回路瞬断により検出された素子抵抗Reの特性との関係を示す図。
【図33】電圧変化による素子抵抗検出法と、回路瞬断による素子抵抗検出法とを比較するための図。
【図34】第5の実施の形態における空燃比検出装置の概要を示す構成図。
【図35】第5の実施の形態におけるバイアス制御回路の構成を示す電気回路図。
【図36】第5の実施の形態における素子抵抗検出サブルーチンを示すフローチャート。
【図37】素子抵抗Rの検出ルーチンを示すフローチャート。
【図38】素子抵抗Reの検出ルーチンを示すフローチャート。
【図39】電圧変化による素子抵抗検出法を用いる電流域と、回路瞬断による素子抵抗検出法を用いる電流域とを示す電圧−電流特性図。
【図40】電圧変化による素子抵抗検出法を用いる電流域と、回路瞬断による素子抵抗検出法を用いる電流域とを示す電圧−電流特性図。
【図41】第6の実施の形態にて用いられる積層型A/Fセンサの詳細な構成を示す断面図。
【図42】積層型A/Fセンサのセンサ起電力とA/Fとの関係を示すグラフ。
【図43】積層型A/Fセンサのポンピング電流とA/Fとの関係を示すグラフ。
【図44】第6の実施の形態におけるバイアス制御回路の構成を示す電気回路図。
【図45】第6の実施の形態における電圧変化とそれに伴う電流変化とを示す波形図。
【図46】従来技術における素子抵抗検出手順を説明するための電圧変化及び電流変化を示す波形図。
【符号の説明】
10…エンジン(4気筒ディーゼルエンジン)、20…マイコン(マイクロコンピュータ)、22a,22b…電圧印加手段を構成するLPF、30…酸素濃度センサとしての限界電流式A/Fセンサ(コップ型A/Fセンサ)、34…固体電解質層、40…バイアス制御回路、41,42…端子、60…酸素濃度センサとしての積層型A/Fセンサ。
Claims (22)
- 電圧の印加に伴い被検出ガス中の酸素濃度に応じた電流信号を出力する酸素濃度センサにおいて、
酸素濃度を検出するために前記酸素濃度センサに印加した電圧を、所定の時定数を持たせて同センサの素子抵抗を検出するための電圧に切り換え、その時の電圧変化と当該電圧変化に伴う電流変化とから前記センサの素子抵抗を検出するようにしたことを特徴とする酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。 - 酸素濃度の検出途中において、前記素子抵抗を検出するための電圧変化を単発的に行わせる請求項1に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 前記素子抵抗の検出に際し、素子抵抗の周波数特性が一定となる範囲の任意の周波数に対して、該周波数に対応する時定数を持たせた電圧をセンサに印加する請求項1又は2に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 前記素子抵抗の検出に際し、電圧変化の時定数が略159μs以下となる請求項3に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 酸素濃度検出のために前記センサに印加している電圧に対して電圧を正負いずれか片側に変化させ、その際の電圧変化とそれに伴う電流変化とから前記センサの素子抵抗を検出する請求項1〜4のいずれかに記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 酸素濃度検出のために前記センサに印加している電圧に対して電圧を正負両側に変化させ、その際の正負いずれか片側への電圧変化とそれに伴う電流変化とから前記センサの素子抵抗を検出する請求項1〜4のいずれかに記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 前記酸素濃度センサの出力電流が電流検出可能域内における所定値以上の時は負側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出し、出力電流が前記所定値以下の時は正側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出する請求項5又は6に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 請求項7に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法において、
前記電流検出可能域内で前記酸素濃度センサの出力電流を判定する所定値が、当該電流検出可能域内における略中央値に設定されている酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。 - 前記酸素濃度センサは更に可燃性ガス濃度を検出し、印加電圧とそれに対応する出力電流とが略比例関係を有し、且つ空燃比がリーンであれば正側に、空燃比がリッチであれば負側に電流値を変化させる空燃比センサであって、
空燃比がリーンの時は負側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出し、空燃比がリッチの時は正側への印加電圧に伴う電流変化から素子抵抗を検出する請求項5又は6に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。 - 酸素濃度検出のために前記センサに印加している電圧に対して電圧を正負両側に変化させ、その際の正負両側への電圧変化とそれに伴う電流変化とから前記センサの素子抵抗を検出する請求項1〜4のいずれかに記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 正負両側へ電圧を変化させる時に、センサ素子内を移動する電荷量がいずれの変化時にも略同一量となるように電圧波形を設定する請求項10に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 前記酸素濃度センサの素子抵抗を検出する時の電圧変化量を、前回検出時の素子抵抗値の大きさに応じて設定する請求項1〜11のいずれかに記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 前記酸素濃度センサの素子抵抗を検出する時と、当該センサにより酸素濃度を検出する時とでは、前記酸素濃度センサに印加される電圧変化の時定数を切り替えるようにした請求項1〜12のいずれかに記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 前記酸素濃度センサの固体電解質層に接続される一対の端子にそれぞれ電圧変化の時定数が異なる2つの電圧印加手段を接続し、素子抵抗検出時と酸素濃度検出時とで前記2つの電圧印加手段を選択的に用いるようにした請求項13に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 酸素濃度検出時は、素子抵抗検出時よりも前記電圧変化の時定数を大きな値とする請求項13又は14に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 前記所定の時定数を持った電圧変化と当該電圧変化に伴う電流変化とから前記酸素濃度センサの素子抵抗を検出する第1の検出法と、前記酸素濃度センサへ電圧を供給する回路を瞬断し、該瞬断する前後の電圧及び電流変化の比から素子抵抗を検出する第2の検出法とを、前記センサの出力電流に応じて選択的に切り替えて実施する請求項1〜6,9〜15のいずれかに記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
- 請求項16に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法において、
前記酸素濃度センサによる電流検出可能域内に少なくとも1つの判定値を設け、当該センサの出力電流が前記判定値よりも理論空燃比側にある場合には前記第1の検出法を用い、それ以外の場合は前記第2の検出法を用いる酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。 - 請求項17に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法において、
前記酸素濃度センサの出力電流を判定するための前記判定値は、電流検出可能域の僅かに内側に設けられている酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。 - 請求項17に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法において、
前記酸素濃度センサの出力電流を判定するための前記判定値は、電流検出可能域の最大値よりも僅かに小さい所定値と、同じく電流検出可能域の最小値よりも僅かに大きい所定値とからなる酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。 - 請求項17〜19のいずれかに記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法において、
前記酸素濃度センサの出力電流を判定するための前記判定値に所定幅を持たせ、前記センサの出力電流が前記判定値の所定幅内にあれば、前記第1の検出法と前記第2の検出法とを共に実施し、両検出法による検出結果に基づいて素子抵抗を求める酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。 - 請求項20に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法において、
前記第1の検出法による検出結果と前記第2の検出法による検出結果との比から補正係数を求め、その補正係数を用いて前記いずれかの検出法により検出された素子抵抗値を補正する酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。 - 請求項16に記載の酸素濃度センサの素子抵抗検出方法において、
前記第1の検出法により検出される素子抵抗特性と、前記第2の検出法により検出される素子抵抗特性とを予め求めておき、この両方の素子抵抗特性に基づいて前記第1の検出法による検出結果若しくは前記第2の検出法による検出結果のいずれかを補正する酸素濃度センサの素子抵抗検出方法。
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