JP3691948B2 - 床スラブおよび構築物 - Google Patents

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一弘 渡辺
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直人 保田
眞一郎 佐藤
照麿 永井
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は床スラブおよび構築物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年における鉄筋コンクリート造の建物は、図6に示すように、床スラブがほとんどプレキャストコンクリート板23で構築されており、この床スラブにはユニットバス等を設置するための凹部24が形成されている。この凹部24が梁25に隣接して形成されている場合は、この部分にはスラブ上端筋26の主方向筋27が配筋できないため、梁25内に折り曲げ配筋していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の梁が現場打ちコンクリートで構築される場合は、該梁内にスラブ上端筋の主方向筋を折り曲げ配筋できるが、梁をプレキャストコンクリートで構築した場合、またはプレキャストコンクリートの壁柱にした場合は、プレキャストコンクリート梁や壁柱にはスラブ上端筋の主方向筋を折り曲げて配筋できないという問題があった。
【0004】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレキャストコンクリート梁で床スラブを構築し、かつこのプレキャストコンクリート梁に隣接して凹部が形成された床スラブにおいて、前記凹部に配筋されるスラブ上端筋の主方向筋を折り曲げ配筋できる床スラブおよび構築物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための手段は、床スラブが、中央のプレキャストコンクリート梁と、これの両側に位置するプレキャストコンクリート梁との間にプレキャストコンクリート板を複数設置し、これらのプレキャストコンクリート板上にトップコンクリートを打設して形成した床スラブであって、前記中央部のプレキャストコンクリート梁の少なくとも一方側のスラブには前記プレキャストコンクリート梁に隣接して凹部が形成され、該凹部には前記プレキャストコンクリート梁に沿って突出部が形成され、該突出部内に、前記スラブの他方側のスラブにおけるスラブ上端筋の主方向筋が折り曲げ配筋されたことを特徴とする。
また構築物が、請求項1の床スラブを備えたことを特徴とする。
【0006】
凹部に形成された突出部内にスラブ上端筋の主方向筋が折り曲げ配筋できるので、プレキャストコンクリート梁を利用して凹部のある床スラブが構築できる。
【0007】
凹部に形成された突出部がユニットバスの浴槽等を設置するための台座として使用される。
【0008】
凹部が補強された床スラブを備えた構築物を構築できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の床スラブの実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は床スラブの断面図、図2は同平面図、図3は図1のa−a線断面図である。
【0010】
床スラブ1は、プレキャストコンクリート製の壁柱2間に設置された複合プレキャストコンクリート板3と、中空プレキャストコンクリート板4と、これらの上面に配筋されたスラブ上端筋5と、トップコンクリート6から構成されている。前記複合プレキャストコンクリート板3とは、図4に示すように、背の高いトラス筋9と背の低いトラス筋11とが長さ方向で重ね配筋され、かつ背の高いトラス筋9間に軽量型枠22が適宜間隔ごとに配設された薄肉PC板をいう(以下、複合薄肉PC板という)。一方、中空プレキャストコンクリート板4とは、図5に示すように、トラス筋21間に軽量型枠22が適宜間隔ごとに配設された薄肉PC板(以下、中空薄肉PC板という)をいう。
【0011】
前記複合薄肉PC板3は2枚が隣接して設置され、これらの両板にわたって凹部7が形成されている。
【0012】
凹部7は、図4に示すように、複合薄肉PC板3の二分割したエリアの一方のエリア8に配筋された背の高いトラス筋9と、他方のエリア10に配筋された背の低いトラス筋11との高低差もってトップコンクリート6が打設されて形成されている。
【0013】
凹部7の深さは、背の高いトラス筋9と背の低いトラス筋11の高低差によって決定され、例えば、凹部7を深くする場合は、背の高いトラス筋9をさらに高くする一方、背の低いトラス筋11をさらに低くする。また凹部7の面積は、背の高いトラス筋9と背の低いトラス筋11の長さによって決定され、例えば、凹部7の面積を大きくする場合は、背の低いトラス筋11をさらに長くする一方、背の高いトラス筋9をさらに短くする。
【0014】
上記の突出部14は、壁柱2に沿って突設されているため、図1に示すように、ユニットバスの浴槽15などを設置するための台座として使用することができる。
【0015】
そして、複合薄肉PC板における背の低いトラス筋9上のスラブ上端筋5の主方向筋12が、壁柱2をまたいで中空薄肉PC板4にまで配筋され、他方、中空薄肉PC板4のスラブ上端筋5の主方向筋13が、壁柱2をまたいで凹部7の突出部14に折り曲げ配筋されて、複合薄肉PC板3と中空薄肉PC4を連結している。
【0016】
また複合薄肉PC板3に配筋された背の高いトラス筋9と、背の低いトラス筋11は、中央部でラチス筋16の2山以上の長さをもって重ね配筋されている。この重ね配筋は少なくともラチス筋16の2山以上を重ね合わせている。この重ね合わせはトラス筋9、11同士を横に添わせる以外に、図4の(2)に示すように、上下に重ね合わせることもできる。このことにより重ね合わせ部における強度をさらに強めることができるとともに、トラス筋9、11同士を互いにずらして配筋する手間も省ける。
【0017】
これらのトラス筋9、11は、三角形状に配置された一本の上弦筋(トップ筋)17と二本の下弦筋(下端筋)18とが波形のラチス筋16で接合された三角トラスであり、前記下弦筋18がコンクリート板19内の曲げ方向筋20に接合されているとともに、上弦筋17がコンクリート板19上面に突出している。なお、トラス筋9、11は、上記のようなものに限定されず、一本の上弦筋と一本の下弦筋を波型のラチス筋で接合したトラスであってもよい。
【0018】
なお、複合薄肉PC板3、中空薄肉PC板4を前記壁柱2の代わりにプレキャストコンクリート梁に設置した場合も、前記と同様の構成となる。
【0019】
また上記の床スラブを使用して鉄骨造、鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造の構築物を構築すると、凹部7が補強された床スラブ1を備えた構築物となる。
【0020】
【発明の効果】
凹部に形成された突出部内にスラブ上端筋の主方向筋が折り曲げ配筋できるので、プレキャストコンクリート梁を利用して床スラブを構築できる。
【0021】
凹部に形成された突出部をユニットバスの浴槽等を設置するための台座として使用できる。
【0022】
凹部が補強された床スラブの構築物が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】床スラブの断面図である。
【図2】床スラブの平面図である。
【図3】図1のa−a線断面図である。
【図4】複合薄肉PC板の平面図である。
【図5】中空薄肉PC板の平面図である。
【図6】従来の床スラブの断面図である。
【符号の説明】
1 床スラブ
2 壁柱
3 複合薄肉PC板
4 中空薄肉PC板
5 スラブ上端筋
6 トップコンクリート
7 凹部
11、12 主方向筋
14 突出部

Claims (3)

  1. 中央のプレキャストコンクリート梁と、これの両側に位置するプレキャストコンクリート梁との間にプレキャストコンクリート板を複数設置し、これらのプレキャストコンクリート板上にトップコンクリートを打設して形成した床スラブであって、前記中央部のプレキャストコンクリート梁の少なくとも一方側のスラブには前記プレキャストコンクリート梁に隣接して凹部が形成され、該凹部には前記プレキャストコンクリート梁に沿って突出部が形成され、該突出部内に、前記スラブの他方側のスラブにおけるスラブ上端筋の主方向筋が折り曲げ配筋されたことを特徴とする床スラブ。
  2. 前記プレキャストコンクリート梁をプレキャストコンクリート製の壁柱としたことを特徴とする請求項1に記載の床スラブ。
  3. 請求項1の床スラブを備えたことを特徴とする構築物。
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