JP3690794B2 - 屋根垂木を一体化した断熱屋根パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の屋根を、通気性及び断熱性に優れた新規な屋根パネルを用いて構築し、施工容易、且つ省エネルギー化された住宅を提供せんとするものであり、住宅建築の分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
住宅建築に於いて、屋根構造に通気性及び断熱性を付与することは、住環境面、屋根耐久性面から重要な課題であり、従来より屋根垂木上面に断熱材を外張りする手法や、屋根垂木間に断熱材を充填する手法が実施されている。
外張り断熱にあっては、垂木自体も断熱保護する点では有利であるが、断熱材を屋根垂木上に固定するため、断熱材の厚さが制約を受ける問題があり、充填断熱にあっては、垂木の高さの変更により断熱層が自由に選択出来、且つ外張りに比べて、屋根下張り材の施工までの工程が少なく合理的に施工出来る。
【0003】
〔従来例1〕
図4は、従来の充填断熱の典型例であり、小屋組みの棟木、軒桁、母屋等に垂木を釘打ち固定し、棟木、軒桁等には垂木の座屈防止用のころび止め材を介装釘打ちして垂木を強固に堅結しておき、図4(A)の如く、合板等の屋根下張材を小屋組みの垂木上に釘留めし、垂木上端側面には通気下地材を釘留めし、図4(B)の如く、通気下地材に透湿防水シートや合板等の防風層を釘で留めて屋根下張材と防風層との間隙で通気層を形成し、次いで図4(C)の如く、垂木間寸法どおりに切断した断熱材板等を垂木間の内側から嵌め込んだ後、ずり落ちないように釘で固定し、更に断熱材の下側から塩ビフィルム等の防湿層をタッカー釘で垂木に留めている。
また、垂木上には屋根下張材を屋根面全面に亘って釘打ち固定し、屋根下張材の上に屋根材(屋根仕上材)を載置固定している。
【0004】
〔従来例2〕
図5は、薄型で断熱性及び撓み剛性に優れた通気屋根パネルとして提案されたもの(特開平8−291600号公報)であり、両側及び中央部の垂木と適宜間隔に配した横材としての継ぎ桟とで格子枠を形成し、継ぎ桟の上面の一部に通風口を切欠しておき、垂木上面に張設固定した野地板の下面に通気隙間を形成するように断熱材を充填し、断熱材と野地板間にプラスチックをエンボス加工した断熱シートを配置して、グラスウールの如き外気が容易に拭き抜ける断熱材の使用も可能とし、断熱シートの凸部で断熱材と野地板のバックアップ機能を奏し、断熱材の移動を抑制すると共に、凸部間隔及び継ぎ桟の通風口によって外気の導通を可能としたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来例1のものにあっては、有効な通気層が形成出来、垂木高さの選定によって所望厚の断熱材が付与出来るが、垂木の棟木、軒桁、母屋等の横梁への取付け、ころび止め材の取付け、断熱材層の取付け、及び屋根下張材の垂木上への全面取付けを含め、屋根施工は高所作業であって施工に手間がかかり、しかも、断熱機能面でも、断熱材は屋根からの加熱によって蓄熱体となり、夜間に外気温が下がっても依然として住居内部へ一定の熱を伝導放散することとなる。
また、従来例2の屋根パネルにあっては、野地板を備えてはいるが、格子枠を形成する継ぎ桟が内装仕上材省略の重要な要素であり、断熱シートとして耐久性及び断熱性に優れた合成樹脂材を選定して断熱材を保護してはいるが、エンボス加工突起が無数に散在しており、該断熱シートには熱線反射機能は無く、且つ枠材との通風口及び格子枠形成が複雑な構成となっており、外気の平滑な流動の期待出来ないものである。
しかも、断熱機能面でも、断熱材層は異種形状の断熱材の重層構造であるため、断熱シートも加熱されて断熱シートからの伝導熱も断熱材に付加され、従来例1同様に断熱材は蓄熱体機能を奏する。また、小屋組みへの取付けに際しても、屋根パネルの構造上、横梁への固定が煩雑、且つ手間のかかる作業であった。
【0006】
本発明は、これら従来例1,2では全く着目されていない、屋根外部からの断熱材層への輻射熱による加熱作用を遮熱材で阻止し、断熱材への蓄熱を阻止軽減するという、全く新規、且つ異質の断熱構造を提供し、併せて簡単な構造の屋根パネルの採用によって、小屋組みへの堅結固定も容易とし、屋根施工上も機能上も格段に優れた、実用性に富んだ屋根断熱工法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、例えば、図1に示す如く、少なくとも2本の平行した屋根垂木1間に、軒桁用のころび止め材5と、棟木用のころび止め材5と、中間横枠材4とを固定して枠体Fを形成し、該枠体Fの軒桁用のころび止め材5と中間横枠材4間にのみ断熱材3を配設し、少なくとも上面シート21及び下面シート23を含む上下複数のシート21,22,23から成り、シート表面側での輻射熱反射作用、及びシート間の空気層空間Sによる空気流通作用を奏する遮熱材2で、遮熱材2の上面シート21が屋根垂木上面1Tより下方に位置するように、断熱材3上面を被覆保護し、遮熱材2上面を覆う形態に屋根下張材7を屋根垂木1に固定した、断熱屋根パネルAである。
【0008】
尚、「少なくとも上面シート21及び下面シート23を含む上下複数のシート21,22,23」の意は、上面シート21と下面シート23との2層形態であって空気層空間Sが1層のものも、実施態様図2の遮熱材の如く、上面シート21、中間シート22及び下面シート23の3層形態であって空気層空間Sが2層のものも、或いは中間シートが複数枚であって空気層空間Sが多層のものも含む広い意味である。
また、「シート表面での輻射熱反射作用」の意は、輻射熱反射作用を上面シート21のみ、上面シート21と中間シート22、中間シート22と下面シート23、或いは全シートでの表面で奏すれば良い意味であり、シート表面にアルミ箔等の熱線反射層を形成すれば輻射熱反射作用を奏するシートとなる。
【0009】
また、「遮熱材2で断熱材3上面を被覆保護し」の意味は、パネルA内にあって遮熱材2が常時断熱材3全面を被覆しておれば良く、遮熱材2を単に断熱材3上面に載置して遮熱材2を垂木に固定したものや、遮熱材2を断熱材3と接着固定したもの、或いは垂木に固定した断熱材3と屋根下張材7との空間に遮熱材2を閉じ込めたもの等、を含む意味であり、断熱材3上面に負荷される熱線を常時遮熱材2で阻止して断熱材3上面を熱線による加熱から保護することを意味する。
また、「遮熱材2上面を覆う形態に屋根下張材7を垂木に固定」は、屋根パネルAの保管時、搬送時、屋根施工時、及び耐用期間中に亘り、常時屋根下張材7が遮熱材2上面全面を被覆保護するように、少なくとも遮熱材2と同長の屋根下張材7を屋根垂木1に固定することを意味し、従って、遮熱材上面シート21の両側縁21E(図2)を垂木側面に止着して固定した遮熱材2の上面位置で屋根下張材7を垂木上面1T(図1)に固定しても、或いは、垂木に釘打ち固定した屋根下張材7下面と垂木間に固定した断熱材上面との閉塞空間内に遮熱材2を載置形態で閉止しても良い。
【0010】
また、屋根パネルAは、図1の如く、棟木側の垂木突出部1B及び軒先側の垂木突出部1Eでは屋根下張材7の存在しない形態とし、屋根垂木1の棟木6や軒桁61への取付作業に支障の無いように屋根下張材7を一体化しておき、屋根パネル取付後に、屋根垂木1の突出部1E,1Bには別途屋根下張材7´(図3)を付加取付けるのが好ましい。
尚、屋根下張材7は屋根垂木1の全長に亘って取付けておけば、後工程としての屋根パネル張設後の屋根下張材の取付け作業は不要となるが、屋根パネルAの垂木1の棟木6や軒桁61の取付けは、屋根下張材7上からの釘打ちとなり、取付作業は若干熟練を要することとなる。
【0011】
また、屋根垂木1は屋根パネルAの両側に存在することが必須ではあるが、中間には、図1の如く1本配置しても、複数本配置しても良い。
しかし、屋根垂木の本数を多くすれば1枚の屋根パネルAが広幅となり、屋根施工の効率化のメリットはあるが、保管、搬送等で不利であるから、屋根パネルA内の垂木本数は、建物のサイズ等を勘案して適宜決定すれば良い。
また、屋根垂木1の内側面に固着力向上の手段(凹凸面、粗面等)を適用すれば、接着性が向上し充填発泡断熱材3の一体化接着力も、成形発泡断熱板等の板状断熱材3の接着保持にも有効である。
また、断熱材としてグラスウール、ロックウール等、脱落の心配のある断熱材の適用時には、屋根パネルAの下面に面材や金網等の断熱材支承材を付設するのが好ましい。
【0012】
また、屋根パネルAは、屋根垂木1間に、軒桁用のころび止め材5と、棟木用ころび止め材5と、中間横枠材4とを固定して枠体Fを形成し、該枠体Fの軒桁用のころび止め材5と中間横枠材4間に断熱材3を装填している。
尚、屋根パネルAと一体のころび止め材5は、屋根垂木1と棟木6や軒桁61とを強固に堅結して屋根垂木1の屋根荷重による座屈を防止するものであるため、図1に示す如く、屋根勾配θに対応した形態で垂木間に固定して下面5Uが垂木下面1Uから傾斜突出したものである。
そして、軒桁用ころび止め材5は、軒桁61(図3)への屋根垂木1の堅結機能と共に、剛構造枠体形成機能及び断熱材規定機能も奏するため、強固な屋根パネルの形成が可能となると共に、屋根パネルAの小屋組みへの敷設取付け時に、同時に棟木6及び軒桁61への強固なころび止め材堅結も遂行出来、屋根下張材7の一体化具備と相俟って屋根施工の合理化、及び容易化が可能となる。
【0013】
従って、本発明の屋根パネルAを屋根施工に採用すれば、パネル一体の屋根垂木1を小屋組みの軒桁、棟木、母屋等の横梁に釘で打ち付けるだけで、断熱層施工はおろか屋根下地材施工も完了することとなり、しかも、屋根パネルAと一体の屋根下張材7は作業員の足場ともなり、従来の高所作業であって手間のかかった、屋根垂木の取付け、ころび止め材の取付け等の小屋組み上での施工が容易、且つ安全に実施出来る。
その上、屋根下張材7は、後工事としての屋根下張材張設作業を省略するばかりでなく、各屋根垂木1間を剛構造に連結するため垂木間の拡開歪を阻止し、屋根施工時や耐用期間中での断熱材3の脱落を防止するのは勿論、屋根パネルAの保管時、及び取付施工時にあっても遮熱材の損傷や汚染を好適に防止する。
【0014】
しかも、得られる屋根は、遮熱材2の空気層空間Sを外気が導通して、屋根内の結露防止、及び断熱材上面の空気流動による断熱材3の上面空間の高温化を阻止すると共に、遮熱材2の輻射熱反射作用による断熱材上面への熱線加熱も阻止するため、断熱材3の加熱高温化が抑制出来、断熱材3の蓄熱が軽減出来る。
即ち、本発明屋根パネルAの採用は、屋根外面から室内側への熱伝達を、熱伝達の3要素である輻射と対流とに遮熱材2が対処し、伝導に断熱材3が対処するため、高断熱且つ低蓄熱の優れた住環境の提供を可能とする。
【0015】
しかも、遮熱材2の上面シート21が垂木上面1Tより下方位置に配置されているため、屋根垂木上面1Tに張設した一体化屋根下張材7の下面と遮熱材上面シート21との間には空隙層Soが常時存在し、遮熱材上面シート表面の輻射熱反射層が100%機能するようになり、従って、遮熱材2を共に熱反射層を備えた上面シート21と下面シート23の2層形態とすることも可能となり、高性能遮熱材の製作面及び材料面からの低コスト提供が可能となる。
また、屋根垂木の側面が起立状態の遮熱材上面シート21の両側を支承するため、遮熱材2は、垂木1間に嵌入するだけで自立状態となり、上面シートの垂木1への取付けも省略可能となり、屋根パネルの製作組立てに有利である。
【0016】
また、本願第2の発明は、少なくとも2本の平行した屋根垂木1間に、軒桁用のころび止め材5と、棟木用のころび止め材5と、中間横枠材4とを固定して枠体Fを形成し、該枠体Fの軒桁用のころび止め材5と中間横枠材4間にのみ断熱材3を配設し、少なくとも上面シート21及び下面シート23を含む上下複数のシート21,22,23から成り、シート表面側での輻射熱反射作用、及びシート間の空気層空間Sによる空気流通作用を奏する遮熱材2で断熱材3上面を被覆保護し、屋根下張材7を、遮熱材2上面を覆う形態で、且つ、遮熱材上面シート21の両側縁21Eを屋根垂木上面1Tに挟着形態で屋根垂木1に固定した、断熱屋根パネルである。
【0017】
この場合、断熱材3と略同寸の下面シート23を備えた遮熱材2の上面シート21が垂木上面1Tと面一のタイプにあっては、上面シート21の突出両側縁21Eが垂木上面1Tに位置するため、屋根下張材7を垂木上面1Tに釘打ち固定するだけで遮熱材2を屋根パネルAに安定状態に固定出来、従って、遮熱材2は下面シート23を断熱材3上に固定しなくても上面シート21が屋根下張材7の固定によって同時に固定出来、屋根パネルAの保管、搬送、取付施工時の遮熱材2の形態変化が防止出来る。
【0018】
この場合、屋根下張材7が上面シート21と部分当接することとなるが、紙材の上面シート21表面と屋根下張材7下面との当接界面は接着の如き密着形態でないため、上面シート21はある程度の熱反射機能を有し、次層シートが輻射熱反射層を備えておれば、遮熱材2は高性能遮熱材として充分機能する。また、遮熱材2を図2の如く3層形態としておけば、機能上何ら心配ない。
そして、軒桁用ころび止め材5は、軒桁61(図3)への屋根垂木の緊結機能と共に、剛構造枠体形成機能及び断熱材規定機能も奏するため、強固な屋根パネルの形成が可能となると共に、屋根パネルAの小屋組みの一体化具備と相俟って屋根施工の合理化、及び容易化が可能となる。
従って、屋根パネルAは、断熱材厚+遮熱材厚=屋根垂木高さ、に各部材を構成すれば、断熱材3と屋根垂木1との固定、遮熱材2の断熱材3上への載置、及び屋根下張材7の屋根垂木1への釘打ち固定の簡単な作業により均質の一体化屋根パネルが製作出来、合理的に工場生産出来る。
【0019】
また、本発明の遮熱材2は、複数シート21,22,23を折曲自在の起立片24,25群によって連結し、各シート21,22,23間に長手方向に貫通した空気層空間Sを形成したものが好ましい。
この場合、起立片24,25群を倒伏すれば遮熱材2は各シート21,22,23が重層形態となるため、保守管理が容易であり、製作も用意した各シートと各起立片との単純な接着作業で可能となる。
また、各起立片24,25を、実施態様図の如く、各シート21,22,23と同長とすれば、空気層空間Sは各シート間に起立片の壁で仕切られた複数の平行流通路の形態となり、空気のスムーズな案内導通が可能となる。
勿論、各各起立片24,25を細幅シート材で構成して各シート間の長手方向(パネルの図1のL方向)適所に配置した形態であっても、発明の所期の目的は達成出来る。
【0020】
また、遮熱材2は、複数シート21,22,23の上面シート21及び次層シート22,23が表面に輻射熱反射層を備えたものが好ましい。
尚、「次層シート22,23」の意は、上面シートの直下のシートの意味であり、複数シートが上面シート21と下面シート23の2層形態の遮熱材にあっては、次層のシートは下面シート23を意味し、実施態様図1の如く、複数シートが3層形態の遮熱材2にあっては、次層シートは中間シート22を意味するものである。
【0021】
この場合、アルミ箔やアルミ蒸着膜等の熱線反射層を備えた上面シート21が、損傷やごみ汚染や、或いは屋根下張材7との当接等によって輻射熱反射機能の低下を生じて熱線が上面シート21を透過しても、次層シート22,23表面での輻射熱反射作用によって、遮熱材2全体としては断熱材3への熱線負荷が好適に阻止出来る。
従って、屋根パネルA用の部材としての遮熱材2の保管時や屋根下張材7の屋根垂木1への固定作業時等にも、上面シート21の表面層に対する過度の注意を払わずとも良くなり、屋根パネルAの組立、施工が容易となる。
【0022】
また、遮熱材2は、複数シート21,22,23、及び複数シートと同長で折曲部rで折曲自在の起立片24,25群が紙材から成り、且つ上面シート21及び次層シート22,23が表面に熱反射アルミ箔層を備えたものが好ましい。
この場合、紙材は安価且つ糊剤接着力が大であるため、遮熱材2の各構成シート部材(シート材、起立片材、アルミ箔シート)相互の接着が容易となり、複数シートとシート状アルミ箔とシート状起立片材相互は、必要位置での折曲部形成、必要位置への糊剤付与、押圧接着等の作業がローラー群装置での走行過程処理が可能となり、遮熱材2の製作が容易となる。
しかも、得られる遮熱材にあっては、起立片24,25群が複数シート間の空気層空間Sを仕切る平滑な空気導通壁となるため、空気流動をスムーズにする。
また、アルミ箔は、市販品の6×10−3〜6×10−2mm厚ののものであっても、微視的に表面が平坦でピンホールも存在しないため、熱線は正反射阻止出来るものであり、熱線が例え上面シート21を若干透過しても、次層シートで正反射して断熱材3への負荷が阻止出来ることとなり、従って、高性能遮熱材が容易に製作出来る。
【0023】
また、遮熱材2は、紙材の複数シートの全てが表面に熱反射アルミ箔層を備え、各シートと同長のシート状紙材から成り、且つ折曲部rで折曲自在とした起立片24,25群の両端の折曲面24´,25´を上面シート21及び下面シート23に固定すると共に、折曲部rで折曲自在とした中間シート22の両端の折曲面22´を起立片24,25群に固定し、各シート21,22,23間に起立片24,25で仕切られた、長手方向に貫通する空気層空間Sを開口したものが好ましい。
【0024】
この場合、各シート21,22,23表面にアルミ箔を貼着した後、図2に示す如く、各起立片24,25間に張設する各中間シート22の端部に折曲面22´を、各起立片24,25の端部には折曲面24´,25´を形成して各折曲面22´,24´,25´に糊剤を塗布し、上面シート21及び下面シート23間に配置して重層圧着すれば3層形態の遮熱材2となるから、各シート上面へのアルミ箔の貼着作業も、中間シート22及び起立片24,25への折曲面形成作業も、必要面への糊剤塗布作用も、押圧接着作業も全て機械作業化出来、遮熱材2は各構成材の全てをシート状態でローラー群装置によって、折り目付与→折り込み→糊付け→圧着→定寸切断の流れ工程で合理的に製造出来る。
【0025】
また、ローラー群装置によって製造された定寸の積層形態の遮熱材2は、そのまま保管しておき、屋根パネル製作時には、積層状態のまま下面シート23を断熱材3に貼着するか、断熱材3の垂木間への充填発泡成形時に積層状態のまま一体化凝固接着するか、或いは、上面シート21を引張って起立状態(図2)とした遮熱材2を垂木間に固定した断熱材3上に載置する等により用いれば良く、従って、遮熱材の製造、保守管理、屋根パネルAの製作が容易となる。
勿論、中間シート22が複数の場合は、各シート間が所定の間隔となるように両端に折曲面22´を備えた中間シートのそれぞれを適切にずらすことにより、また、遮熱材2が上面シート21と下面シート23のみの2層形態のものは、中間シートを除去することにより、ローラー群装置に供給して、折り目付与→折り込み→糊付け→圧着→定寸切断すれば所望の遮熱材2となる。
【0026】
また、屋根パネルAにあっては、下面材71を垂木1の下面1Uに張設するのが好ましい。
下面材71の存在は断熱材3の屋根パネルAからの脱落防止に有効であり、下面材71として内装下地材を用いれば、同時に内装工事に伴う下地材取付作業も省略出来るし、少なくとも居住空間に露見する区域に内装板材を用いれば、さらに工数の省略が可能となる。
尚、下地材71は、屋根パネルAの小屋組み作業に支障の無いように取付ける必要があり、屋根下張材7同様に、少なくとも屋根垂木1の軒先側の突出部1Eと棟木側突出部1Bが存在する形態に取付けるのが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
〔遮熱材2(図2)〕
遮熱材2のシート材として、予め表面にアルミ箔を層着した紙シートを用意し、適用屋根パネルAの寸法に応じて下面シート23の幅W1を各垂木1間寸法W1に、上面シート21の幅W1´は、下面シートの幅W1+両側の突出縁21E(10mm)に、中間シート22幅は、各起立片24,25間寸法+両側の折曲面22´(20mm)に、また各起立片24,25としては、アルミ箔の無い紙シートを用いて、幅は遮熱材2の所定高さH1(標準30mm)+上下の折曲面24´,25´(20mm)に,各紙シート幅を裁断し、図5(A)に示す如く、中間シート22の折曲面22´及び起立片の折曲面24´,25´の他シートへの当接面に糊剤を塗布し、各シートを所定寸法関係に接着すれば上面シート21が両側縁21Eを備えた遮熱材2が形成出来る。
尚、上面シート21に、両側の突出縁21のない下面シート23と同一物を採用すれば、上下両シート21,23が同一幅の遮熱材2が得られ、また、中間シート22を省略すれば、上面シート21と下面シート23の2層形態遮熱材2が得られる。
【0028】
従って、アルミ箔の紙シートへの層着を含め、遮熱材2の製作は、上面シート21、中間シート22、下面シート23、及び起立片24,25の各構成部材を全て長尺シート状態でローラー群装置に供給しながら、折り目付与→折り込み→糊付け→圧着→定寸切断の流れ工程で合理的に製造出来る。
また、2層形態の遮熱材2は、中間シート22を省略するため、複数の短幅シートの各起立片24,25間に短幅の分割中間シートを介在接着する作業がなくなり、3層形態遮熱材の製造よりはるかに簡単、且つ容易となる。
また、遮熱材2の幅W1及び高さ(上面シート21と下面シート23の間隔)は、屋根パネルAの形状に対応して寸法変更する必要があるが、遮熱材の幅、上下シート間距離の変更も、ローラー郡装置での寸法調整によって容易に対処可能である。
【0029】
〔屋根パネルAの製作(図1)〕
屋根垂木1として、断面寸法38mm×140mmの木材(2×4工法用206材)を用い、垂木1の長さLを適用屋根寸法とし、各垂木1の棟木側の端部に屋根勾配θに対応する切欠1Cを形成しておき、3本の屋根垂木1を、幅W1を保って平行配置した形態で、各垂木1間には、軒先側の突出部1E及び棟木側の突出部1Bを開けて幅W1の断熱材3を配置する。
【0030】
この場合、各垂木1間には、軒先側では、軒桁用ころび止め材5を配置し、垂木端部の切欠1C部にも棟木用ころび止め材5を配置し、中間にも横枠材4を配置し、断熱材両端を規定する軒桁用のころび止め材5と横枠材4に亘る下面には下面材71を垂木1間に付設する。
ころび止め材5は、屋根垂木1の屋根荷重による座屈に対処するものであるため、垂木1に対して屋根勾配θだけ傾斜した形態となり、断熱材3の充填発泡用の型キャビティ形成上も、成形断熱板の密接嵌入上も、ころび止め材5は不利ではあるが、屋根パネルAの小屋組みへの取付作業におけるころび止め材施工が合理化出来る。
また、グラスウール、ロックウール等の繊維系断熱材3を充填する場合には、ころび止め材5の傾斜形態も支障を生じない。
【0031】
次いで、別途用意した上下シートが等幅の遮熱材2の下面シート23下面を断熱材3上面に載置し、屋根下張材7を遮熱材2を覆う形態に屋根垂木1に釘打ち固定し、屋根パネルAとする。
屋根パネルAの各部材の寸法関係は、断熱材3と遮熱材2とは略同幅同長であり、屋根下張材7と下面材71も同長、同幅、且つ断熱材3と略同長である。また、図1(C)の如く、遮熱材2の上面シート21と屋根下張材7下面との間には空隙層Soを形成する。
【0032】
該屋根パネルAにあっては、屋根下張材7は各種屋根材の取付けが可能な強度を有する板材であり、下面材71は単に内装下地材の機能を有するものであれば良いが、製作の合理化のため、下面材71に屋根下張材7と同一物を適用することも可能である。
また、屋根垂木1と下面材71とを予め固定しておけば、断熱材3として繊維系断熱材の充填装着利用も可能となり、断熱材3は下面材71と両側面垂木とで保護されるため断熱材3の選択利用範囲が広まる。
また、屋根パネルAは上下面が下面材71と屋根下張材7であるため、断熱材3と遮熱材2とは、屋根垂木方向のすべりを生じなければよく、各部材の固定が容易である。
【0033】
〔屋根の断熱施工(図3)〕
屋根パネル(図1)を採用する場合にあっては、一方の屋根面の1枚目の屋根パネルAは、棟側の基端部と小屋組みの中心部の位置を合わせ、屋根垂木1の基端部及びころび止め材5を棟木6上に載置し、両側から棟木6に斜め方向に釘打ちして各屋根垂木1及びころび止め材5を棟木6に固定する。
また、屋根パネルAの先端側(軒先側)でも、屋根垂木1及びころび止め材5の両側から軒桁61に対して釘を斜め方向に打ち込んで各屋根垂木1をころび止め材5と共に軒桁61に固定する。
【0034】
次いで、反対側の屋根面の屋根パネルを同様の手順で施工し、棟6の頂点で屋根垂木1の切欠1Cによって面当接した屋根垂木同士を補強金物(図示せず)を用いて強固に堅結する。
1枚目の屋根パネルAの両側屋根面への取付けが終了後、2枚目以降の屋根パネルAについても同様に、棟6、軒桁61、母屋の順に釘打ち固定し、各屋根パネルAの側面当接部にあっては、当接した両垂木1の適所を釘打ちして各屋根パネル相互も堅結する。
そして、屋根パネルAの施工終了後、パネルと一体化の屋根下張材7の存在していない、屋根垂木の軒先側突出部1Eや棟木側突出部1Bには、図6の如く、屋根垂木1上に付加用の屋根下張材7´を張設して屋根構造部分を完成し、屋根下張材7,7´上に屋根材8を張設する。
【0035】
該屋根の断熱施工にあっては、屋根垂木1と軒桁用ころび止め材5及び棟木用ころび止め材5を一体化した枠体F、断熱材3、遮熱材2、屋根下張材7、及び下面材71の一体化パネルを用いるため、1枚の屋根パネルAの取付けによって、屋根垂木の複数本と、断熱構造(断熱材+遮熱材)上面の屋根下張材7、及び断熱構造下面の内装下地材71とが同時に取付施工出来、断熱材の建築現場での施工も不要となり、屋根施工時に、屋根垂木1の取付けと同時にころび止め施工が遂行出来、高所作業としての屋根施工が合理化出来る。
従って、従来例1の如き在来工法と比べて、工期が画期的に短縮出来る。しかも、屋根垂木を張設する際は、棟と軒桁の間隔や、軒桁と母屋の間隔が大きいため、在来工法では高所作業用の足場の確保が必要であり、危険、且つ手間のかかる作業であったが、本発明の屋根パネル施工にあっては、棟部分に作業足場を確保するだけで安全、且つ容易に作業が実施出来、また、下面材71は内装下地材として機能するため、屋根下面からの困難な作業であった屋根面内装下地材の付設作業も省略出来、屋根施工が画期的に合理化出来る。
また、屋根パネルAも工場生産により、高品質、且つ信頼性の高いパネルが得られ、簡単、且つ容易な屋根パネルの取付施工によって高品質の断熱構造屋根が得られる。
【0036】
また、得られる住宅の屋根断熱構造にあっては、屋根パネルAが遮熱材2の各シート上面のアルミ箔によって輻射熱を阻止し、遮熱材2の各シート間の空気層空間Sが図3に示す如く、軒先側から屋根頂点へと外気を導通して屋根面から断熱材3への対流熱伝達を抑制し、且つ熱不良導体の断熱材3が熱伝導を抑制するため、即ち、屋根パネルAが熱伝導の3要素である伝導、対流、輻射の各熱伝達要素全てに対応したものであるため、例えば、従来例2の断熱材上に断熱シートを載置して断熱シートで通気を行う、伝導熱と対流熱とに対処するものと比べても、構造がより単純で、製作面でもより容易、且つ合理的に出来るものである上に、熱伝達抑制機能が格段に優れたものとなる。
即ち、断熱機能面から見ても、本願の遮熱材2+断熱材3の断熱構造は、単なる異質断熱材を重ねた断熱構造よりも優れた熱伝達抑制効果を発揮する。しかも、従来の断熱材利用の断熱構造での必然結果であった断熱材の蓄熱も軽減出来るため、外気温低下に比較的早く順応出来るものとなり、省エネルギー住宅の提供に有利となる。
【0037】
〔その他〕
実施態様例に示した屋根パネルAは、3層形態遮熱材(上面シート21、中間シート22、下面シート23)であり、且つ上面シート21と屋根下張材7との間には空隙層Soを有するものであるが、遮熱材2を上面シート21と下面シート23との2層形態とし空気層空間Sが1層のものとすれば、遮熱材2の製作に於いて、各起立片24,25に亘る短幅の中間シート22群を配置する作業が不要となり、遮熱材2の製作組立工数が大幅に合理化出来、遮熱材2は、使用材料面からも、工数面からも大幅にコストダウン出来る。
しかも、2層形態であっても上面シート21の輻射熱反射層を透過した熱線を下面シートの輻射熱反射層で好適に反射するため、機能上も別段支障ない。
【0038】
尚、2層形態遮熱材であって、屋根下張材7との間に空隙層Soのないものにあっては、上面シート21が屋根下張材7との接触によって輻射熱反射機能の低下を生じるが、この場合も下面シート23の輻射熱反射機能が100%発揮出来るため、高性能遮熱材としての充分な作用を奏する。
しかも、上面シート21が屋根垂木上面1Tと面一となるため、上面シート両側縁21Eの垂木上面1Tにかかった形態で屋根下張材7を釘打ちすることにより、遮熱材2は、断熱材3に接着せずとも不動保持が容易に達成出来、屋根パネルAの製作が合理化出来る。
また、屋根パネルAの取付施工を、屋根下張材7から屋根垂木1を通して、棟木6や軒桁61等に釘打ち堅締する方法で実施する場合には、屋根下張材7を屋根垂木1を同長とし、屋根パネルAの取付け後の付加用の屋根下張材7´の取付けを不要と出来る。
【0039】
【発明の効果】
本発明の屋根断熱構造にあっては、ころび止め材5を備えた垂木1と、遮熱材2と、断熱材3と、屋根下張材7との一体化された屋根パネルAを用いて屋根を形成するため、従来の、高所作業としての屋根垂木の取付け、ころび止め材5の取付け、通気層の形成、断熱層の取付け、屋根下張材7の取付け等の作業が画期的に合理化出来、しかも、工場生産された均質パネルであるため、単純、且つ合理化された屋根施工によって、高品質の屋根が形成出来る。
【0040】
また、屋根パネルAは、遮熱材2のシート表面での輻射熱反射作用と、遮熱材各シート間の空気層空間Sでの外気導通による熱の対流伝達抑制作用と、断熱材3による熱伝導を抑制する作用、即ち、熱伝達の3要素である伝導、対流、輻射の各熱伝達要素全てに対応しているので、屋根面からの熱の建物内への伝達が好適に抑制出来、しかも、遮熱材2によって断熱材3の蓄熱が軽減出来て、断熱材2の蓄熱量が抑制出来るため、外気温度低下にも比較的短時間で順応出来、例えば冷房エネルギーの軽減等の省エネルギー住宅の提供に有利である。
【0041】
また、本発明の屋根パネルAは、遮熱材2が複数シート21,22,23相互を折曲自在の起立片24,25群で固定したものであるため、製作に際しては、遮熱材との各構成材としての各シート及び各起立片を共に水平配置してそれぞれ必要位置の折り目付与、接着部への糊付け、加圧接着、及び定寸切断の各工程をローラー群装置による流れ作業で実施出来て、遮熱材2の製作が合理的に実施出来、製品としての遮熱材2も、各シートの積層形態で取扱えるので、保管、搬送及び屋根パネルAの製作も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の屋根パネル説明図であって、(A)は一部切欠全体斜視図、(B)は(A)のB−B断面図、(C)は(A)のC−C断面図である。
【図2】 本発明に用いる遮熱材2の説明断面図であって、(A)は起立途中を、(B)は起立状態を示す図である。
【図3】 本発明を実施した屋根の一部切欠斜視図である。
【図4】 従来例1の説明図であって、(A)は通気下地材を取付けた状態を、(B)は通気層形成状態を、(C)は断熱材を取付けて完成した状態を示す図である。
【図5】 従来例2の一部切欠斜視図である。
【符号の説明】
1:屋根垂木(垂木)、 1T:垂木上面、 1U:垂木下面、
1C:切欠、 2:遮熱材、 3:断熱材、
4:横枠材、 5:ころび止め材、 5U:ころび止め材下面、
6:棟木、 7,7´:屋根下張材、 8:屋根材(屋根仕上材)、
21:上面シート、 22:中間シート、 23:下面シート、
24,25:起立片、 61:軒桁、 71:下面材、
S:空気層空間、 So:空隙層
Claims (7)
- 少なくとも2本の平行した屋根垂木(1)間に、軒桁用のころび止め材(5)と、棟木用のころび止め材(5)と、中間横枠材(4)とを固定して枠体(F)を形成し、該枠体(F)の軒桁用のころび止め材(5)と中間横枠材(4)間にのみ断熱材(3)を配設し、少なくとも上面シート(21)及び下面シート(23)を含む上下複数のシート(21,22,23)から成り、シート表面側での輻射熱反射作用、及びシート間の空気層空間(S)による空気流通作用を奏する遮熱材(2)で、遮熱材(2)の上面シート(21)が屋根垂木上面(1T)より下方に位置するように、断熱材(3)上面を被覆保護し、遮熱材(2)上面を覆う形態に屋根下張材(7)を屋根垂木(1)に固定した、断熱屋根パネル。
- 少なくとも2本の平行した屋根垂木(1)間に、軒桁用のころび止め材(5)と、棟木用のころび止め材(5)と、中間横枠材(4)とを固定して枠体(F)を形成し、該枠体(F)の軒桁用のころび止め材(5)と中間横枠材(4)間にのみ断熱材(3)を配設し、少なくとも上面シート(21)及び下面シート(23)を含む上下複数のシート(21,22,23)から成り、シート表面側での輻射熱反射作用、及びシート間の空気層空間(S)による空気流通作用を奏する遮熱材(2)で断熱材(3)上面を被覆保護し、屋根下張材(7)を、遮熱材(2)上面を覆う形態で、且つ、遮熱材上面シート(21)の両側縁(21E)を屋根垂木上面(1T)に挟着形態で屋根垂木(1)に固定した、断熱屋根パネル。
- 遮熱材(2)は、複数シート(21,22,23)を折曲自在の起立片(24,25)群によって連結し、各シート(21,22,23)間に長手方向に貫通した空気層空間(S)を形成した請求項1又は2の断熱屋根パネル。
- 遮熱材(2)は、複数シート(21,22,23)の上面シート(21)及び次層シート(22,23)が表面に輻射熱反射層を備えた、請求項1乃至3のいずれか1項の断熱屋根パネル。
- 遮熱材(2)は、複数シート(21,22,23)、及び複数シートと同長で折曲部(r)で折曲自在の起立片(24,25)群が紙材から成り、且つ上面シート(21)及び次層シート(22,23)が表面に熱反射アルミ箔層を備えた請求項1乃至4のいずれか1項の断熱屋根パネル。
- 遮熱材(2)は、紙材の複数シート(21,22,23)の全てが表面に熱反射アルミ箔層を備え、各シートと同長のシート状紙材から成り、且つ折曲部(r)で折曲自在とした起立片(24,25)群の両端の折曲面(24´,25´)を上面シート(21)及び下面シート(23)に固定すると共に、折曲部(r)で折曲自在とした中間シート(22)の両端の折曲面(22´)を起立片(24,25)群に固定し、各シート(21,22,23)間に起立片(24,25)で仕切られた、長手方向に貫通した空気層空間(S)を開口した請求項1乃至5のいずれか1項の断熱屋根パネル。
- 下面材(71)を垂木(1)の下面(1U)に張設した、請求項1乃至6のいずれか1項の断熱屋根パネル。
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