JP3689471B2 - 軸具 - Google Patents

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JP3689471B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、第一の取付対象物に設けられた軸穴と第二の取付対象物に設けられた取付穴とに差し通されると共に、当該第二の取付対象物の取付穴に対して係合、固定されて、当該第二の取付対象物に対し第一の取付対象物を回動又は回転可能に組み付ける軸具の提供に関する。
【0002】
【従来の技術】
第二の取付対象物に対し第一の取付対象物を回動又は回転可能に組み付けるにあたり、第一の取付対象物と第二の取付対象物とに組み付け状態において相互に連通する穴を設けておくと共に、この連通される穴に当該穴の一方から頭部を備えた軸桿を差し通し、このように差し通されて前記連通される穴の他方から突き出される軸桿の先端部にEリングやナット等を留め付けて、当該Eリング等と前記頭部との間で前記連通される一対の穴の穴縁に続く外面を挟み込付けるようにして当該軸桿を固定し、このように固定される軸桿を中心に第二の取付対象物に対し第一の取付対象物を回動又は回転可能に組み付ける手法が汎用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、かかる従来の手法にあっては、前記軸桿の先端部に前記Eリング等を留め付けることを要し、また、このEリング等の留め付けを要する結果、かかる従来の手法による前記第一、第二の取付対象物の組み付けをなすにあたっては、前記Eリング等の幅寸法分の隙間が当該軸桿の先端部が突き出されている前記穴の周囲に確保されていることを要するものであった。
【0004】
このため、かかる従来の手法は、前記軸桿の先端部が突き出される穴が、前記取付対象物におけるコーナー部等、穴の近傍に側壁などが近接している箇所に開設されている場合には、当該軸桿の先端部に前記Eリング等を留め付けることができないか、あるいはまた、かかる留め付けを困難なものとするため、用いることができなかった。
【0005】
そこでこの発明は、かかる従来の技術の不都合を解消することを目的とする。
【0006】
また、他の部品を要することなく、第一の取付対象物に設けられた軸穴と第二の取付対象物に設けられた取付穴とに差し通すだけで、当該第二の取付対象物に対し第一の取付対象物を回動又は回転可能に組み付けることができ、したがって、前記取付穴が前記第二の取付対象物におけるコーナー部等、取付穴の近傍に側壁などが近接している箇所に開設されている場合であっても、前記組み付けを容易かつ確実になすことが可能な軸具の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、軸具を、第一の取付対象物Mに透設された円形の軸穴100と、第二の取付対象物Sに透設される円形の取付穴200であって放射方向に向けて該取付穴200から連通して設けられた複数の係合凹部201、201…を備える当該第二の取付対象物Sの取付穴200とに対し、第一の取付対象物Mの軸穴100から第二の取付対象物Sの取付穴200に差し入れられて、一端部を該第一の取付対象物Mの軸穴100縁に当接させ、かつ、他端側を第二の取付対象物Sの取付穴200に係合させて、当該第二の取付対象物Sに対し第一の取付対象物Mを回動又は回転可能に組み付ける軸具であって、この軸具が前記他端側に、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における複数の係合凹部201、201…に導き入れられて、当該係合凹部201に先端側でそれぞれ係合される複数の弾性係合片22、22…を突き出し状に備えた差し込み部20を備えると共に、前記第一の取付対象物Mの軸穴100縁に当接される一端部に連続して設けられ、かつ、前記第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置される軸頭部10とを備えており、前記差し込み部20における前記各弾性係合片22、22…の突設基部若しくは該突設基部の下方に位置決め突部23を備えており、又は、該各弾性係合片22、22…が前記位置決め突部23に相当する張り出し状の位置決め突部23を備えていると共に、この複数の位置決め突部23の突端を通る仮想の円の径z−3が、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における径yよりも大きく、かつ、前記各係合凹部201、201…の奥側面201aを通る仮想の円y’の径よりも小さくしてある構成のものとした。
【0008】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の軸具がさらに、第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置される軸頭部10の下側に、第二の取付対象物Sの取付穴200の係合凹部201に収まる突出部13を備えた構成のものとした。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図13に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について説明する。
【0010】
なお、ここで図1は、この実施の形態にかかる軸具と、この軸具により組み付けられる第一の取付対象物Mと第二の取付対象物Sの構成を理解し易いように、これらを分離した状態で示している。
【0011】
また、図2および図4は、相互に連通するように位置付けられた第一の取付対象物Mの軸穴100と第二の取付対象物Sの取付穴200に対し、当該軸穴100の側から軸具の差し込み部20の先端側を差し入れた状態を、当該両取付対象物M、Sを縦断面の状態として示しており、また、図5および図7は、前記第一の取付対象物Mの軸穴100縁に軸具の一端部、すなわち、軸頭部10の後述する拡径部を当接させ、かつ、前記第二の取付対象物Sの取付穴200に軸具の他端側、すなわち、差し込み部20に設けられた弾性係合片22の先端側を係合させて、前記両取付対象物M、Sを組み付けた状態を理解し易いように、両取付対象物M、Sを縦断面の状態として示している。
【0012】
また、図3は図2に示される状態において、当該軸具を前記差し込み部20の先端側から見た状態で、また、図6は図5に示される状態において、当該軸具を前記差し込み部20の先端側から見た状態で、それぞれ示している。
【0013】
また、図8は軸具を前記弾性係合片22の突き出されている一側方から見た状態で、また、図11は図8に示される軸具を右側から見た状態で、また、図12は前記差し込み部20の先端側から見た状態で、さらに、図13は軸頭部10側から見た状態で、それぞれ示している。
【0014】
さらに、図9および図10は、軸具を横断面の状態として、それぞれ示している。
【0015】
先ず、この実施の形態にかかる軸具は、第一の取付対象物Mに透設された円形の軸穴100と、第二の取付対象物Sに透設される円形の取付穴200であって放射方向に向けて該取付穴200から連通して設けられた複数の係合凹部201、201…を備える当該第二の取付対象物Sの取付穴200とに対し、第一の取付対象物Mの軸穴100から第二の取付対象物Sの取付穴200に差し入れられて、一端部を該第一の取付対象物Mの軸穴100縁に当接させ、かつ、他端側を第二の取付対象物Sの取付穴200に係合させて、当該第二の取付対象物Sに対し第一の取付対象物Mを回動又は回転可能に組み付ける軸具であって、この軸具が前記他端側に、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における複数の係合凹部201、201…に導き入れられて、当該係合凹部201に先端側でそれぞれ係合される複数の弾性係合片22、22…を突き出し状に備えた差し込み部20を備えると共に、前記第一の取付対象物Mの軸穴100縁に当接される一端部に連続して設けられ、かつ、前記第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置される軸頭部10とを備える構成としてある。
【0016】
したがって、この実施の形態にかかる軸具によれば、相互に連通される第一の取付対象物Mの軸穴100と第二の取付対象物Sの取付穴200とに対し、第一の取付対象物Mの軸穴100側から前記差し込み部20を差し通して、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における複数の係合凹部201、201…にそれぞれ前記複数の弾性係合片22、22…を係合させることにより当該第二の取付対象物Sにワンタッチで取り付け、固定できると共に、このように第二の取付対象物Sに固定された軸具における前記第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置される軸頭部10を回動又は回転中心として、第一の取付対象物Mを第二の取付対象物Sに対して回動又は回転可能に組み付けることができる。
【0017】
この結果、この実施の形態にかかる軸具によれば、前記取付穴200が前記第二の取付対象物Sにおけるコーナー部等、取付穴200の近傍に側壁S”などが近接している箇所に開設されている場合であっても、他の部品を要することなく、前記組み付けを容易かつ確実になすことができる。
【0018】
また、軸具は第二の取付対象物Sの取付穴200における複数の係合凹部201、201…にそれぞれ前記差し込み部20に設けられた複数の弾性係合片22、22…を係合させて当該取付穴200に差し入れ、固定されることから、前記軸頭部10を回動又は回転中心とした前記第一の取付対象物Mの回動又は回転に伴って、当該取付穴200内において軸具が回転又は回動されることがなく、前記第一の取付対象物Mを第二の取付対象物Sに対して安定的に組み付けることができる。
【0019】
また、この実施の形態にかかる軸具は、前記差し込み部20における前記各弾性係合片22、22…の突設基部若しくは該突設基部の下方に位置決め突部23を備えており、又は、該各弾性係合片22、22…が前記位置決め突部23に相当する張り出し状の位置決め突部23を備えていると共に、この複数の位置決め突部23、23…の突端を通る仮想の円の径z−3が、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における径yよりも大きく、かつ、前記各係合凹部201、201…の奥側面201aを通る仮想の円の径y’よりも小さくする構成としてある。
【0020】
したがって、この実施の形態にかかる軸具によれば、前記第一の取付対象物Mの軸穴100から差し入れられた前記差し込み部20における前記各弾性係合片22、22…が、それぞれ前記取付穴200の前記各係合凹部201、201…に入り込む向きでのみ、当該取付穴200に前記差し込み部20を差し入れることができ、格別の配慮を要することなく、当該取付穴200に対して正確に軸具を取り付けることができる。
【0021】
また、前記実施の形態にかかる軸具において、さらに、第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置される軸頭部10の下側に、第二の取付対象物Sの取付穴200の係合凹部201に収まる突出部13を備えた構成としたものが、この発明の最良の実施の形態の一つとされる。
【0022】
かかる構成によれば、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における複数の係合凹部201、201…にそれぞれ前記差し込み部20に設けられた複数の弾性係合片22、22…を係合させるのみならず、この係合凹部201に前記突出部13を収めて、前記軸具を当該取付穴200に差し入れ、固定できることから、前記第一の取付対象物Mを第二の取付対象物Sに対して一層安定的に組み付けることができる。
【0023】
次いで、図1ないし図13に示される、この発明の具体的な実施の形態について詳細に説明する。
【0024】
この実施の形態に係る軸具は、第一の取付対象物Mに透設された軸穴100と、第二の取付対象物Sに透設される取付穴200とに差し通されて、当該第二の取付対象物Sに対して第一の取付対象物Mを回動又は回転可能に組み付けるものであって、前記差し通し状態において、第二の取付対象物Sの取付穴200に係合、固定される差し込み部20と、この差し込み部20の一端側に設けられると共に、前記差し通し状態において前記第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置される軸頭部10とを備えている。
【0025】
前記軸頭部10は頂端側に円盤状をなす拡径部11を備えていると共に、この頂端と反対の下端側と当該頂端との間の中間部12を備え、この中間部12における該軸頭部10の軸中心線を巡る向きにある外周面が、仮想の円上に位置するように構成してある。
【0026】
実施の形態にあっては、かかる軸頭部10における中間部12の外周面が位置される前記仮想の円の径z−1が、前記第一の取付対象物Mに透設された軸穴100の径xよりもやや小さい径に構成してある。
【0027】
一方、前記差し込み部20は、前記軸頭部10における下端面に対して略直交する向きに突き出し状に設けられた板状部21と、この板状部21の両面側においてそれぞれ、この板状部21の突き出し先端側を基部として、前記軸頭部10の側に向けて突設される一対の弾性係合片22、22とを備えている。
【0028】
前記一対の弾性係合片22、22はそれぞれ、前記基部側から先端側に向けて次第に前記板状部21の面との間隔を拡げるように外拡がり状に設けられている。また、この弾性係合片22の先端側における該弾性係合片22の外側には、この弾性係合片22の先端縁22bとの間にやや間隔を開けて前記軸頭部10の下端面に向き合った係合面22aが設けてある。
【0029】
この実施の形態にあっては、かかる差し込み部20における板状部21の前記弾性係合片22が設けられていない幅狭側の端面間の寸法z−2が、前記第一の取付対象物Mに透設された軸穴100の径xおよび前記第二の取付対象物Sに透設された取付穴200の径yよりもやや小さくなるように構成してあると共に、前記一対の弾性係合片22、22の外面間の寸法が、当該弾性係合片22の基部側において前記第一の取付対象物Mの軸穴100径x及び第二の取付対象物Sの取付穴200の径yよりもやや小さく、当該弾性係合片22の先端側において当該軸穴100の径x及び取付穴200の径yよりも大きくなるように構成してある。
【0030】
また、前記差し込み部20における前記一対の弾性係合片22、22の突設基部外側にはそれぞれ、当該差し込み部20の突き出し方向に沿った当該弾性係合片22の先端を通る仮想の直線上に位置するように、位置決め突部23が設けてある。
【0031】
この実施の形態にあっては、かかる差し込み部20における一対の位置決め突部23、23の突端をそれぞれ通る仮想の円の径z−3が、前記第一の取付対象物Mの軸穴100の径xよりも小さく構成してある。
【0032】
一方、この実施の形態にあっては、前記第二の取付対象物Sに透設される前記取付穴200が、当該取付穴200の直径方向両側に向けて、該取付穴200の外方に向けて該取付穴200に連通して設けられる一対の係合凹部201、201を備えている。
【0033】
そして、この実施の形態にあっては、前記差し込み部20における一対の位置決め突部23、23の突端をそれぞれ通る仮想の円の径z−3が、前記第二の取付対象物Sの取付穴200の径yよりも大きく、かつ、当該各係合凹部201、201…の奥側面201aを通る仮想の円の径y’よりも小さく構成してある。
【0034】
この実施の形態にかかる軸具は、以上に説明した構成を備えることから、先ず、図2に示されるように、相互に連通するように位置付けられた第一の取付対象物Mの前記軸穴100と第二の取付対象物Sの前記取付穴200とに対し、当該第二の取付対象物Sに接し合わない側にある当該軸穴100の穴口より前記差し込み部20をその先端側から差し入れることができる。ここで、当該差し込み部20に設けられている前記一対の弾性係合片22、22は、その先端外面間の寸法を前記軸穴100の径xよりも大きく構成してあることから、当該差し入れに伴ってその外側面を当該軸穴100縁に接しさせて内側に次第に撓み込まされる。
【0035】
次いで、さらに前記差し込み部20の差し入れをなすと、前記のように差し入れられた差し込み部20の先端が第二の取付対象物Sにおける第一の取付対象物Mに接し合う側にある取付穴200縁に接するに至るが、かかる差し込み部20の先端側に設けてある前記一対の位置決め突部23、23の突端間の寸法z−3は当該取付穴200の径yよりも大きいことから、図2および図3に示されるように、前記係合凹部201に前記位置決め突部23が入り込まない向きで前記差し込み部20が差し入れられている場合には、当該位置決め突部23が前記取付穴200の穴縁に突き当たって、この突き当たり位置より先への差し込み部20の差し入れが規制される。
【0036】
一方、前記差し込み部20の一対の位置決め突部23、23の突端間の寸法z−3は、前記取付穴200における一対の係合凹部201、201の奥側面201aが位置される仮想の円の径y’よりも小さく構成してあることから、前記差し入れの規制を受けた軸具を、当該位置決め突部23が前記係合凹部201に入り込む向きとなるまで捻回することにより、図4に示されるように、前記取付穴200に対する前記差し込み部20の差し入れを許容させることができる。
【0037】
このように前記位置決め突部23が前記取付穴200の係合凹部201に入り込む向きに前記軸具を位置付けた後、当該取付穴200に対して前記差し込み部20の差し入れを更に行うと、前記一対の弾性係合片22、22の先端間の寸法はかかる位置決め突部23の突端間の寸法z−3よりも大きく、しかも、当該一対の弾性係合片22、22の先端は当該位置決め突部23の直上に位置されていることから、当該一対の弾性係合片22、22は前記係合凹部201縁にその外側面を接しさせながら内側にさらに撓み込まされる。
【0038】
この後、前記一対の弾性係合片22、22の先端側に設けられている前記係合面22aが前記第二の取付対象物Sの取付穴200における前記第一の取付対象物Mに接し合わない側にある穴縁を超える位置まで更に前記差し込み部20が差し入れられると、前記係合面22aは前記軸頭部10に向き合う面とされていることから、この係合面22aと当該弾性係合片22の先端縁22b間に設けられている段差面22cを前記係合凹部201の奥側面201aに接しさせる位置まで前記弾性係合片22は外側に弾性復帰されるに至る。
【0039】
この結果、前記一対の弾性係合片22、22の前記係合面22aが、前記第二の取付対象物Sにおける前記係合凹部201縁に続く第一の取付対象物Mに向き合わない面に向き合うように位置付けられることから、この状態において、軸具は当該取付穴200から抜け出さない状態で前記第二の取付対象物Sに固定され、かつ、この状態において前記第一の取付対象物Mにおける第二の取付対象物Sと向き合わない側にある軸穴100縁に前記軸頭部10の拡径部11下面が当接されることから、前記第二の取付対象物Sに固定された軸具により第一の取付対象物Mは当該第二の取付対象物Sに対して組み付けられる。
【0040】
また、このように組み付けられた第一の取付対象物Mに対して軸具は、前記軸頭部10における中間部12を前記軸穴100内に位置させることから、第一の取付対象物Mをこの軸頭部10の中間部12を回転又は回動中心として、第二の取付対象物Sに対して回転又は回動させることができる。
【0041】
この回動又は回転に伴って、第二の取付対象物Sの取付穴200に固定されている前記軸具には、該回動又は回転方向に向けてこの軸具を連れ回わりさせる向きの力が加えられることになるが、当該軸具は前記一対の弾性係合片22、22を前記取付穴200の一対の係合凹部201、201にそれぞれ収め入れた状態で該第二の取付対象物Sに固定されており、前記連れ回りされる力を当該弾性係合片22の側面と係合凹部201の側壁面201bとを接し合わせて受けることから、前記第一の取付対象物Mの回動又は回転によって、軸具が回動などされることはなく、この軸具による第一の取付対象物Mと第二の取付対象物Sとの組み付け状態は常時安定に保たれる。
【0042】
また、この実施の形態にあっては、前記第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置されれる軸頭部10の下側に、この軸穴100における第二の取付対象物Sに向き合った側の穴縁から下方に突き出し、かつ、第二の取付対象物Sの取付穴200の係合凹部201に収まる一対の突出部13が形成してある。
【0043】
したがって、この実施の形態にかかる軸具にあっては、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における一対の係合凹部201、201にそれぞれ前記差し込み部20に設けられた一対の弾性係合片22、22を係合させるのみならず、この係合凹部201に前記突出部13を収めて、前記軸具を当該取付穴200に差し入れ固定でき、前記第一の取付対象物Mの第二の取付対象物Sに対する組み付けを一層安定的に確保することができる。
【0044】
すなわち、この実施の形態にかかる軸具にあたっては、前記第一の取付対象物Mの軸穴100と前記第二の取付対象物Sの取付穴200とに前記差し込み部20を差し通すことにより、他の部品を要することなく、ワンタッチで両取付対象物M、Sを当該第一の取付対象物Mを回動など可能な状態で組み付けることができると共に、例えば、第二の取付対象物Sの取付穴200近傍に側壁S”などが近接している場合であっても、何等支障なく前記組み付けをなすことができる特長を有している。
【0045】
なお、前記差し込み部20に設けられた弾性係合片22に所要の弾性変形特性を付与する観点からは、この軸具はプラスチック材料を用いて一体に成形して構成することがこの発明の最良の実施の形態の一つとされる。
【0046】
また、以上に説明した実施の形態にあっては、前記第二の取付対象物Sの取付穴200が直径方向両側に一対の係合凹部201、201を備えており、この一対の係合凹部201、201に収まり、係合される一対の弾性係合片22、22を前記差し込み部20に備える構成としてあるが、前記取付穴200が放射方向に向けて三ヶ所以上の係合凹部を備える場合には、この三か所以上の係合凹部に収まり係合される三つ以上の弾性係合片を前記差し込み部20に設けて軸具を構成することが、この発明の最良の実施の形態の一つとされる。
【0047】
なお、以上に説明した実施の形態においては、前記第一の取付対象物Mにおける前記第二の取付対象物Sに向き合わない側に設けた円形の凹部101内に前記軸穴100が開設してあり、この軸穴100に収められた前記軸具の軸頭部10における拡径部11が当該第一の取付対象物Mの板面から突き出さない構成としてある。
【0048】
また、前記第一の取付対象物Mと第二の取付対象物Sとの相互に向き合う面における前記軸穴100周縁と前記取付穴200周縁とには、環状をなす立上り周壁M’、S’が設けてあり、第一の取付対象物Mに設けられた立上り周壁M’の外側に第二の取付対象物Sに設けられた立上り周壁S’の内側が接するように両立上り周壁M’、S’が周壁面を接し合わせて嵌り合った状態で前記両取付対象物M、Sが組み付けられる構成としてある。これにより、第一の取付対象物Mの前記回動などに伴う荷重の全てが前記軸具に加わらないものとされ、当該軸具の変形などを生じ難いものとしている。
【0049】
【発明の効果】
この発明にかかる軸具は、第一の取付対象物Mに透設された円形の軸穴100と、第二の取付対象物Sに透設される円形の取付穴200であって放射方向に向けて該取付穴200から連通して設けられた複数の係合凹部201、201…を備える当該第二の取付対象物Sの取付穴200とに対し、第一の取付対象物Mの軸穴100から第二の取付対象物Sの取付穴200に差し入れられて、一端部を該第一の取付対象物Mの軸穴100縁に当接させ、かつ、他端側を第二の取付対象物Sの取付穴200に係合させて、当該第二の取付対象物Sに対し第一の取付対象物Mを回動又は回転可能に組み付ける軸具であって、この軸具が前記他端側に、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における複数の係合凹部201、201…に導き入れられて、当該係合凹部201に先端側でそれぞれ係合される複数の弾性係合片22、22…を突き出し状に備えた差し込み部20を備えると共に、前記第一の取付対象物Mの軸穴100縁に当接される一端部に連続して設けられ、かつ、前記第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置される軸頭部10とを備える構成としてあることから、相互に連通される第一の取付対象物Mの軸穴100と第二の取付対象物Sの取付穴200とに対し、第一の取付対象物Mの軸穴100側から前記差し込み部20を差し通して、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における複数の係合凹部201、201…にそれぞれ前記複数の弾性係合片22、22…を係合させることにより当該第二の取付対象物Sにワンタッチで取り付け、固定できると共に、このように第二の取付対象物Sに固定された軸具における前記第一の取付対象物Mの軸穴100内に位置される軸頭部10を回動又は回転中心として、第一の取付対象物Mを第二の取付対象物Sに対して回動又は回転可能に組み付けることができる。
【0050】
この結果、前記取付穴200が前記第二の取付対象物Sにおけるコーナー部等、取付穴200の近傍に側壁S”などが近接している箇所に開設されている場合であっても、他の部品を要することなく、前記組み付けを容易かつ確実になすことができる。
【0051】
また、軸具は第二の取付対象物Sの取付穴200における複数の係合凹部201、201…にそれぞれ前記差し込み部20に設けられた複数の弾性係合片22、22…を係合させて当該取付穴200に差し入れ、固定されることから、前記軸頭部10を回動又は回転中心とした前記第一の取付対象物Mの回動又は回転に伴って、当該取付穴200内において軸具が回転又は回動されることがなく、前記第一の取付対象物Mを第二の取付対象物Sに対して安定的に組み付けることができる。
【0052】
また、この発明にかかる軸具は、前記差し込み部20における前記各弾性係合片の突設基部若しくは該突設基部の下方に位置決め突部23を備えており、又は、該各弾性係合片22、22…が前記位置決め突部23に相当する張り出し状の位置決め突部23を備えていると共に、この複数の位置決め突部23の突端を通る仮想の円の径z−3が、前記第二の取付対象物Sの取付穴200における径yよりも大きく、かつ、当該各係合凹部201、201…の奥側面201aを通る仮想の円の径y’よりも小さくする構成としてあることから、前記第一の取付対象物Mの軸穴100から差し入れられた前記差し込み部20における前記各弾性係合片22、22…が、それぞれ前記取付穴200の前記各係合凹部201、201…に入り込む向きでのみ、当該取付穴200に前記差し込み部20を差し入れることができ、格別の配慮を要することなく、当該取付穴200に対して正確に軸具を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】軸具、第一の取付対象物Mおよび第二の取付対象物Sの斜視図
【図2】軸具の使用状態を示す側面図
【図3】軸具の使用状態を示す底面図
【図4】軸具の使用状態を示す側面図
【図5】軸具の使用状態を示す側面図
【図6】軸具の使用状態を示す底面図
【図7】軸具の使用状態を示す側面図
【図8】軸具の正面図
【図9】図8におけるA−A線断面図
【図10】図8におけるB−B線断面図
【図11】軸具の右側面図
【図12】軸具の底面図
【図13】軸具の平面図
【符号の説明】
M 第一の取付対象物
100 軸穴
S 第二の取付対象物
200 取付穴
201 係合凹部
201a 奥側面
y 径
y’径
10 軸頭部
13 突出部
20 差し込み部
22 弾性係合片
23 位置決め突部
z−3 径

Claims (2)

  1. 第一の取付対象物に透設された円形の軸穴と、第二の取付対象物に透設される円形の取付穴であって放射方向に向けて該取付穴から連通して設けられた複数の係合凹部を備える当該第二の取付対象物の取付穴とに対し、第一の取付対象物の軸穴から第二の取付対象物の取付穴に差し入れられて、一端部を該第一の取付対象物の軸穴縁に当接させ、かつ、他端側を第二の取付対象物の取付穴に係合させて、当該第二の取付対象物に対し第一の取付対象物を回動又は回転可能に組み付ける軸具であって、
    この軸具が前記他端側に、前記第二の取付対象物の取付穴における複数の係合凹部に導き入れられて、当該係合凹部に先端側でそれぞれ係合される複数の弾性係合片を突き出し状に備えた差し込み部を備えると共に、
    前記第一の取付対象物の軸穴縁に当接される一端部に連続して設けられ、かつ、前記第一の取付対象物の軸穴内に位置される軸頭部とを備えており、
    前記差し込み部における前記各弾性係合片の突設基部若しくは該突設基部の下方に位置決め突部を備えており、又は、該各弾性係合片が前記位置決め突部に相当する張り出し状の位置決め突部を備えていると共に、
    この複数の位置決め突部の突端を通る仮想の円の径が、前記第二の取付対象物の取付穴における径よりも大きく、かつ、前記各係合凹部の奥側面を通る仮想の円の径よりも小さくしてあることを特徴とする軸具。
  2. 第一の取付対象物の軸穴内に位置される軸頭部の下側に、第二の取付対象物の取付穴の係合凹部に収まる突出部が設けてあることを特徴とする請求項1記載の軸具。
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