JP3689338B2 - 建設機械のガード装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建設機械の運転室の前窓を保護する建設機械のガード装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4から図6を参照して従来例について述べると、建設機械101、特に工事中に路肩に止めておかれることが多い油圧ショベルにあっては、投石等により運転室103の窓ガラスを破損される等の悪戯を防止する必要がある。運転室103の前窓104以外の窓104Aについては、その素材をガラスからポリカーボネイト等の強化樹脂に換えることにより対応可能である。しかし、前窓104については、ワイパー(図示省略)により拭き払うために、傷が付きやすい合成樹脂を使用することができず、ガラス製としなければならない。
【0003】
そこで、従来、運転室103のガラス製の前窓104を保護するために、運転室103に取付可能な鉄板109A、109B、109Cから成るガード109が設けられている。ガード109は、一体とすると重すぎて取り扱いに不便となるので、例えば上下方向に109A乃至109Cの鉄板のように、三分割されている。また、鉄板109A乃至109Cは、このように三分割しても嵩張り、不使用時に収納するだけのスペースを建設機械101の機体に確保することが難しいので、図示のように、分割した一枚を更に上下方向の中央で分割し、互いにヒンジ111で連結され、折畳み可能とされることにより、機体に設けられた収納箱(図示省略)に収納できるようにされている。
【0004】
鉄板109A乃至109Cの取付構造は、図4及び図5に示すように構成されている。図5では、鉄板として109Aを図示するが、鉄板109B、109Cについても鉄板109Aと同様である。運転室103には、その前窓104の左右の前柱105に、運転室103側に首下を持つボス112が設けられている。鉄板109Aには、運転室103のボス112が嵌合可能な略ひょうたん型の取付穴113が空けられている。そして、鉄板109Aを手で持って、ボス112が図5の矢印方向となるように、鉄板の取付穴109Aに運転室103のボス112を嵌合して、運転室103の前面に取り付ける。同様に鉄板109Bを取付け、最後に鉄板109Cを取り付ける際には上下の鉄板109A、109Bの端部に重ねて接して同じボス112で、それぞれの取付穴113を重ねて掛止めるようになっている。
【0005】
そして、建設機械101を路肩等に止めておくときには、図4に示すように、例えば上方の鉄板109A、下方の鉄板109B、中間の鉄板109Cの順に運転室103に組み付けて、ボルト114で締め付けたり、或いは施錠したりして固定している。建設機械101の作業時には、鉄板109A乃至109Cが取り外され、機体の何処かに設けられた収納箱に収納されるものとなっている。
【0006】
このような従来構造では、建設機械101を止めておいたり、建設作業をする度に、重い鉄板109A乃至109Cを持って取り付け、取り外しの作業をする必要があり、その取付け・取外し作業が重労働となっている。また、鉄板109A乃至109Cを機体に設けられた収納箱に収納する必要があるので、特に機体の後端の旋回半径を詰めた後方小旋回機のように、建設機械の機体にガードを収納するのに十分なスペースがない場合には、機体に収納し難くなるおそれがあるなどの問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の主たる課題は、上記事情に鑑みてなされたものであり、取り扱いが容易で手軽に操作でき、また車輌に収納スペースを設ける必要がない建設機械のガードを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、請求項1の発明では、
運転室の屋根部に天窓を有し正面に前窓を有する建設機械のガード装置において、天窓を越えた前記屋根部上の後方に設置された巻取収納箱と、該巻取収納箱の設置個所から運転室の屋根部の天窓の外側を通り運転室の前窓の左右に配置された前柱に沿って平行で、前窓下端位置まで設けられた左右一対のガイドレールと、前記巻取収納箱に出入自在に設けられ、上記ガイドレールに沿って引き出されて天窓と前窓を覆うことができるシャッター式ガードとを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明では、運転室の屋根部に天窓を有し正面に前窓を有する建設機械のガード装置において、運転室の前窓の下方で運転室の下部のベースフレームに固定された巻取収納箱と、該巻取収納箱の設置個所から運転室の前窓の左右に配置された前柱に沿って平行で、前窓上端位置まで設けられた左右一対のガイドレールと、該一対のガイドレールの上端間に連結されて、上端窓枠位置に沿って水平に延びる受片と、前記巻取収納箱に出入自在に設けられ、上記ガイドレールに沿って引き出されて前窓を覆うことができるシャッター式ガードとを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明では、上記シャッター式ガードの巻取収納箱からの引出しが、手動または自動で行われるようになっていることを特徴とする。
【0011】
更に、請求項4の発明では、上記シャッター式ガードの巻取収納箱への巻取りが、手動または自動で行われるようになっていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の建設機械のガード装置を油圧ショベルに適用した場合の好適実施例を図面を参照しながら説明する。油圧ショベルは、図6に一例を示したように下部走行体と運転室を有する上部旋回体からなっている。この運転室にこの発明のガード装置が設けられる。図1では、運転室3にガード装置2が設けられた構成を示す。
【0013】
このガード装置2では、運転室3の屋根部7の前端に巻取収納箱8が固定される。また、上記巻取収納箱8の設置個所から運転室3の前窓4の左右に配置されて窓枠となる前柱(フロントピラー)5に沿ってその前側に、前窓4の下端の窓枠11位置まで平行に延びる左右一対のガイドレール6が設けられている。このガイドレール6は、前柱5に一体的に形成されるものでも、あるいは支柱などの支持手段を介して前柱5の前に突設されるものでもよく、その取付構成は特に限定しない。
【0014】
そして、前記巻取収納箱8には基端が連結されたシャッター式ガード9が該巻取収納箱8に巻取り乃至引出し自在に取り付けられている。このシャッター式ガード9は、両端が上記ガイドレール6に摺動可能に嵌合しており、巻取収納箱8に収納されて前窓4が覆われない開位置から、上記ガイドレール6に沿って引き出されて前窓4の全面を覆う閉位置に変位することができる。
【0015】
このシャッター式ガード9の先端9aは断面L状に折り曲がって突出する公知構成で手を掛けやすくなっており、引き下げられて前窓4の下端の窓枠11に直接、あるいは窓枠11に突設され、あるいはガイドレール6の下端間に横架されて前記シャッター先端と隙間無く衝合する受片11’まで引き下ろされる。
【0016】
また、このシャッター式ガード9には、閉位置で固定されるように、ロック装置が設けられている。このロック装置は、図示しないが、例えばシャッター式ガード9側にロック乃至ロック解除位置に変位可能なロック杆や爪を設け、固定側となるガイドレール6や、閉位置のシャッター式ガード9の先端と接する位置のフレームに上記ロック杆や爪を受ける孔や受部を設けておき、シャッター式ガード9を閉位置として上記ロック杆や爪をロック方向に変位させて固定側の孔や受部に係合させてロックするなど、その他の公知のロック手段を用いることができる。このロック手段では施錠装置を設けて上記係合を外せなくするようにしてもよい。あるいはロック装置を設けずに、シャッター式ガード9を閉位置に引き下ろすだけであってもよい。
【0017】
巻取収納箱8は、運転室3の屋根部7で、前窓4と屋根部7の天窓10との間に固定するので、ガード9の収納場所として邪魔にならない。ガード9を巻取収納箱8から巻き出す方式としては、手動式であると、モータを用いての自動式であるとを問わないが、本実施例では手動式としており、オペレータが直接手でシャッター式ガード9の先端部を把持したり、道具を用いてガード9に係合させて引き下ろすようになっている。
【0018】
前記巻取収納箱8には、前記シャッター式ガード9の基端が連結されている巻取り用の軸芯8aが軸支されており、またこの軸芯8aには巻取用付勢バネ(図示せず)が設けられているので、引き出されたシャッター式ガード9を巻取り方向に付勢するので、オペレータは軽い力でシャッター式ガード9を押し上げて巻取収納箱8に巻き取らせて収納することができる。なお、上記収納時には、シャッター式ガード9の下端部が巻取収納箱8から突出しているので、オペレータはその突出部分をつかんで引き出すことができる。
【0019】
図2には、第1実施例の油圧ショベル1のガード装置2を示す。
このガード装置2では、運転室3の屋根部7に設けた天窓10を超えた後方位置に巻取収納箱8が固定されている。これに伴い左右一対のガイドレール6は、上記巻取収納箱8の設置個所から屋根部の天窓10を通り越し前窓4の左右に配置された前柱5に沿って平行で、前柱5の前側に前窓下端位置まで延出している。
【0020】
またシャッター式ガード9は、前記巻取収納箱8に出入自在に収納される開位置から、上記ガイドレール6に沿って引き下ろされて、天窓10および前窓4の両方を覆う閉位置でロック可能となっている。
その他の構成は、図1の記載例と同様であるので説明を省略する。
この実施例では、巻取収納箱8が天窓10の後方に配置されることから稼働時にも上方の視界性を確保することができる。
【0021】
シャッター式ガード9の引出し・巻取り方式は、手動式または電動式等を問わないが、本実施例では巻取収納箱8が天窓10後方となるのでオペレータの手が届かないので、電動式により引出し・巻取りが行えるように前記巻取り用の軸芯8aを回転駆動させるモータを設けることが好ましい。そして、運転室3内のスイッチ操作により、上記モータを正逆回転させてシャッター式ガード9を軸芯8aから引出しまたは巻取ることができる。
【0022】
図3には、第2実施例の油圧ショベル1のガード装置2を示す。
このガード装置2では、運転室3の下部のベースフレームに巻取収納箱8が固定されている。また、左右一対のガイドレール6が、上記巻取収納箱8の設置個所から運転室3の前窓4の左右に配置された前柱5に沿ってその前側で前窓4の上端の窓枠位置まで延出している。
【0023】
そして、図示例では、ガイドレール6の上端は上端窓枠位置で水平に延びる受片12によって連結されている。そしてシャッター式ガード9は、前記巻取収納箱8に出入自在に収納される開位置から、上記ガイドレール6に沿って引き上げられ、その先端が前窓4の全部を覆って受片12に衝合する閉位置まで引き上げられる。また、その引き上げ位置で、図示しないロック装置によりシャッター式ガード9がガイドレール6または受片12にロック可能となっている。その他の構成は前記実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0024】
本実施例では、巻取収納箱8が運転室3の下端部に設置されているので、上方の視界性が非常に良好となる。また巻取収納箱8の設置位置が低いので、オペレータが手軽に、手動でシャッター式ガード9を引上げたり、巻取ったりすることができる。
【0025】
但し、前記第1実施例では、巻取収納箱8が運転室3の屋根部7に設置されているので、図示しない巻取り付勢バネがガード9を巻き取ろうとする付勢力とガード9の自重との釣り合いをとれば、ガード9の巻出し・巻取りのための操作力が軽減されるが、本実施例では巻取収納箱8が運転室3の下部に配置されるので、逆に作用する。そこで、このような抵抗力を軽減するように立上げ方向に付勢する手段を設けるなどしてもよい。上記実施例では建設機械の一例として油圧ショベルを例示したが、この発明では前窓を有する運転室を備えた建設機械であれば、同様にガード装置を設けることができる。その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【0026】
【発明の効果】
以上、この発明によれば、ガードをシャッター式としたので、鉄板を手で持って取付け、取外しを行う従来例に比べ、オペレータが手軽に開閉操作を行うことができる。また、シャッターガードの巻取収納箱を運転室に設置するので、機体に収納スペースを設ける必要がないので、特に機体の後端の旋回半径を詰めた後方小旋回機のように機体にガードを収納する十分なスペースがない場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 油圧ショベルのガード装置の応用例を示す斜視図である。
【図2】 油圧ショベルのガード装置の第1実施例を示す斜視図である。
【図3】 同第2実施例を示す斜視図である。
【図4】 従来の油圧ショベルのガードを示す斜視図である。
【図5】 図4の油圧ショベルのガードの一部を拡大した分解斜視図である。
【図6】 一例としての油圧ショベルの側面図である。
【符号の説明】
2…ガード装置、
3…運転室、
4…前窓、
5…前柱、
6…ガイドレール、
7…屋根部、
8…巻取収納箱、
9…ガード、
10…天窓。

Claims (4)

  1. 運転室の屋根部に天窓を有し正面に前窓を有する建設機械のガード装置において、
    天窓を越えた前記屋根部上の後方に設置された巻取収納箱と、
    該巻取収納箱の設置個所から運転室の屋根部の天窓の外側を通り運転室の前窓の左右に配置された前柱に沿って平行で、前窓下端位置まで設けられた左右一対のガイドレールと、
    前記巻取収納箱に出入自在に設けられ、上記ガイドレールに沿って引き出されて天窓と前窓を覆うことができるシャッター式ガードとを備えたことを特徴とする建設機械のガード装置。
  2. 運転室の屋根部に天窓を有し正面に前窓を有する建設機械のガード装置において、
    運転室の前窓の下方で運転室の下部のベースフレームに固定された巻取収納箱と、
    該巻取収納箱の設置個所から運転室の前窓の左右に配置された前柱に沿って平行で、前窓上端位置まで設けられた左右一対のガイドレールと、
    該一対のガイドレールの上端間に連結されて、上端窓枠位置に沿って水平に延びる受片と、
    前記巻取収納箱に出入自在に設けられ、上記ガイドレールに沿って引き出されて前窓を覆うことができるシャッター式ガードとを備えたことを特徴とする建設機械のガード装置。
  3. 上記シャッター式ガードの巻取収納箱からの引出しが、手動または自動で行われるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の建設機械のガード装置。
  4. 上記シャッター式ガードの巻取収納箱への巻取りが、手動または自動で行われるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の建設機械のガード装置。
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