JP3688112B2 - 粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリ塩化ビニル樹脂を基材とした粘着シートにかかり、特に環境温度が零下になっても巻き戻しの際に切れることのない粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリ塩化ビニル樹脂を基材とする粘着シートは、通常、ロール状に巻き付けられ、使用される際には巻き戻されてから、被着体に粘着させられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら粘着シートにあっては、環境温度が零下になると巻き戻し時にシート切れが生じるという課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、ポリ塩化ビニル樹脂を基材とするシートの樹脂組成物にMBS(ブタジエン・スチレン・メチルメタクリレート共重合体)を所定比で配合させることにより、環境温度が零下であっても巻き戻し時にシート切れが生じないことを見いだし、上記課題を解決した。
【0005】
すなわち、本発明にかかる粘着シートは、ポリ塩化ビニル樹脂を基材とするシートを、平均重合度が1300のポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し、MBSを3〜10重量部配合し、前記粘着剤層がゴム系粘着剤であることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記MBS(ブタジエン・スチレン・メチルメタクリレート共重合体)は、シート化したポリ塩化ビニル樹脂組成物をロール状に形成して巻き戻しても切れないようにするためのものであり、あまりに少ないとその効果を発揮し得ず、あまりに多いとシートが硬くなり過ぎてしまうため、3〜10重量部がよく、好ましくは3〜5重量部がよい。また、このMBSを小さく限定すると(具体的には粒径20メツシユ残が5.0〜0.0%になるように調整すると)、MBSの配合効果がシート全体に均一化するだけでなく、さらにポリ塩化ビニル樹脂組成物の分散性、相溶性がよくなる。
【0007】
上記ポリ塩化ビニル樹脂は、従来公知のポリ塩化ビニル樹脂を採用できる。シート切れの生じないシートにするには、その平均重合度1300のものが好ましい。それより低いとシートのモジユラス、強度が低くなり、又高いとシートの加工性が悪くなり、又、モジユラスが高くなりすぎてしまうためである
【0008】
また、該シートの厚みは一般に80〜350μmであり、上記ポリ塩化ビニル樹脂に、適宜、安定剤、可塑剤、充填剤、改質剤又は顔料を配合してもよい。
【0009】
上記可塑剤としては、従来公知のものを適宜選択して採用でき、あまりに少ないとその効果を発揮し得ずあまりに多いと製造されるフイルム自体が柔らかくなりすぎてしまうため、配合する場合には20〜65重量部がよく、好ましくは40〜55重量部がよい。
【0010】
該可塑剤としては、フタル酸エステル系、トリメリツト酸エステル系、ポリエステル系等の高分子量可塑剤等がある。前記フタル酸エステル系としては、DOP(ジオクチルフタレート)、DINP(ジイソノニルフタレート)、DIDP(ジイソデシルフタレート)DUP(ジウンデシルフタレート)等がある。前記トリメリツト酸エステル系としては、TOTM(トリオクチルトリメリテート)、TnOTM(トリノルマルオクチルトリメリテート)等がある。前記ポリエステル系としては、アジピン酸系ポリエステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等がある。
【0011】
上記安定剤は、あまりに少ないと耐熱性が悪く、あまりに多いとブリード・ブルームが生じるため、1〜10重量部が好ましい。該安定剤としては、バリウム−亜鉛系、カルシウム−亜鉛系等がある。
【0012】
上記充填剤としては、無機充填剤等があり、無機充填剤としては炭酸カルシウム、タルク、シリカ、焼成クレー等がある。上記改質剤としてはホスフアイト、有機亜リン酸エステル等がある。
【0013】
本発明にかかる粘着シートには、一方又は双方の面に粘着剤が積層される。該粘着剤としては、従来公知の粘着剤を採用することができ、具体的にはエラストマ及び粘着付与樹脂を含有させたゴム系粘着剤等があり、その厚みは一般に10〜50μmがよい。該粘着付与樹脂にあってはロジン、変性ロジン、ポリテルペン樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族石油樹脂、フエノール系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等がある。上記ゴム系粘着剤には、上記組成の本質を崩さない範囲で老化防止剤、充填剤、軟化剤又は顔料等の添加剤を添加することができる。
【0014】
本発明にあっては、ポリ塩化ビニル樹脂を基材とする粘着シートにおいて、シートの基材を、該ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し、MBS(ブタジエン・スチレン・メチルメタクリレート共重合体)を3〜10重量部配合し、これにより環境温度が零下になっても巻き戻し時にシート切れが生じさせないことができる。また、該MBSの粒度を小さくすると、シート強度をより均一に設定することができる。
【0015】
【実施例】
本発明にかかる実施例について、その配合比を開示した表1に基づき比較例を用いて詳細に説明する。この表1は実施例とその比較例にかかる粘着シートの基材組成物たるPVC(ポリ塩化ビニル樹脂)とMBS(ブタジエン・スチレン・メチルメタクリレート共重合体)の重量部と、これら実施例・比較例における低温時強度を開示したものである。
【0016】
【表1】
【0017】
表1におけるPVCはポリ塩化ビニル樹脂であり、そのうちAは平均重合度1300のPVCであり、Bは平均重合度1100のPVCであり、Cは平均重合度1500のPVCである。また、実施例1、比較例2〜4のMBSは、篩にかけずに粒径を特定しなかったものであり、実施例2のMBSは粒径分布20メツシユ残が5.0〜0.0%になるように粒度を限定したものである。表中、「低温時強度」は環境温度−5℃の際に、ロール状に形成したシートを15m/minで巻き戻した際に、シートが切れてしまったのを×、切れなかったのを○としたものである。
【0018】
実施例・比較例の粘着シートは、PVCを主剤とした基材としてのシートに粘着剤としてのゴム系粘着剤を積層し、全厚で130μmにしたものである。該ゴム系粘着剤は、シート状の基材の上に下塗剤としての天然ゴムにMMA(メタクリル酸メチル)を50%グラフト重合したものをベースとしたトルエン溶液を塗布し、さらにその上にゴム系粘着剤のトルエン溶液をコーターにより乾燥厚み20μmとなるように塗布して積層されたものである。表には示さなかったが、実施例・比較例の粘着シートのうちのシート(基材)は、ポリ塩化ビニル100重量部に対し、可塑剤としてのDOP(ジオクチルフタレート)を38重量部、安定剤としてのバリウム−亜鉛系複合安定剤3.5重量部を、表1のMBSの他に配合したものであり、その厚みを110μmに成形したものである。
【0019】
比較例1、実施例1、比較例2が示すように、MBSの量が少なすぎても多すぎてもいと低温時強度が悪かった。比較例3、実施例1、比較例4が示すように、ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が低いと低温時強度が低く、高いと粘着シートが硬くなり、シート切れが生じてしまった。MBSの粒度を小さく限定した実施例2にあっては、PVC組成物全体の分散性・相溶性が良くなり、上記低温時強度の均一化が図れた。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、ポリ塩化ビニル樹脂を基材としたシートと、該シートに粘着剤層を積層した粘着シートにおいて、前記シートが、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し、MBS(ブタジエン・スチレン・メチルメタクリレート共重合体)を3〜10重量部配合し、これにより環境温度が零下になっても巻き戻し時にシート切れが生じなくなった。また、該MBSの粒度を小さくすると、シート強度をより均一に設定することができた。
Claims (1)
- ポリ塩化ビニル樹脂を基材としたシートと、該シートに粘着剤層を積層した粘着シートにおいて、前記シートが、平均重合度が1300のポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対し、MBS(ブタジエン・スチレン・メチルメタクリレート共重合体)を3〜10重量部配合し、前記粘着剤層がゴム系粘着剤であることを特徴とする粘着シート。
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---|---|---|---|
JP10405798A JP3688112B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 粘着シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP10405798A JP3688112B2 (ja) | 1998-03-31 | 1998-03-31 | 粘着シート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11286663A JPH11286663A (ja) | 1999-10-19 |
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Family
ID=14370571
Family Applications (1)
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-
1998
- 1998-03-31 JP JP10405798A patent/JP3688112B2/ja not_active Expired - Fee Related
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