JP3686799B2 - サーマルヘッドおよび記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドおよび記録装置に係り、特に、サーマルヘッドに対するインクリボンの安定走行を確保できるサーマルヘッドおよび記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクリボンを2本のリール間に巻回収納する第1ケースと印字媒体を収納する第2ケースとを有するカートリッジを装着可能とされた記録装置が提案されている。
【0003】
この記録装置は、前記カートリッジを装着するカートリッジ装着部と、前記カートリッジの第2ケースに収納された印字媒体を搬送する給紙ローラと、前記印字媒体の搬送方向下流側に配設されたサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドがヘッドダウンすることにより印字媒体とインクリボンとを弾性的に圧接するプラテンローラと、前記給紙ローラで下流側へ送られてきた印字媒体を挟持して更に下流側に搬送する紙送りローラおよび圧接ローラを有している。
【0004】
そして、このような記録装置の印字媒体への印字動作は、前記記録装置にカートリッジを装着すると、給紙ローラが第2ケースに収納している印字媒体の表面に圧接し、この給紙ローラが回転して印字媒体を搬送経路における下流方向のサーマルヘッドが配設された記録部へ給紙する。
【0005】
この記録部においては、給紙された印字媒体を紙送りローラと圧接ローラとで挟持し、サーマルヘッドをヘッドダウンさせてインクリボンと印字媒体とをプラテンローラに圧接する。このとき、前記サーマルヘッド側にはインクリボンが搬送供給され、プラテンローラ側には印字媒体が搬送供給されるようになっている。
【0006】
そして、サーマルヘッドの発熱部を発熱させ、インクリボンのインクを印字媒体に転写し、前記紙送りローラを回転させ、インクリボンを巻取りリールに巻取って前記印字媒体に所望の印字を施すことができるようになっている。
【0007】
ところで、前記サーマルヘッドの前記プラテンローラに対向する面(以下、プラテンローラ対向面という)は巻取り供給されるインクリボンに接する面となるため、インクリボンを安定走行させるためには前記プラテンローラ対向面はなるべく滑らかであることが望ましい。
【0008】
そこで、従来より、サーマルヘッド11のプラテンローラ対向面11cに、図5に示すように、前記プラテンローラとの間に介在させるインクリボンの搬送方向下流側端辺に形成された発熱部11aを除く領域を被覆するように、表面平滑なテープ部材Sを貼着していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のサーマルヘッド11においては、前記テープ部材Sは、サーマルヘッド11のプラテンローラ対向面11cに対して、その全面(図5中、ハッチに示す部分)を接着剤を用いて貼設していたため、インクリボンを走行させているうちに、前記接着剤がテープ部材Sの前記インクリボンの搬送方向下流側辺部から押し出されるようにしてはみ出し、そのはみ出した接着剤により、発熱部11aの発熱体を汚したり、その接着剤が走行するインクリボンに付着して、かえってインクリボンの安定走行を妨げたりすることがあった。
【0010】
本発明は前記した点に鑑みなされたもので、サーマルヘッドにテープ部材を貼着させるための接着剤のはみ出しを防止し、インクリボンの安定走行を確保することのできるサーマルヘッドおよびこのサーマルヘッドを搭載した記録装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の請求項1に係るサーマルヘッドは、記録装置のプラテンに対向する面のインクリボンの搬送方向の下流側端部に直線状に形成された発熱部と、前記プラテンに対向する面の該発熱部よりも前記インクリボンの搬送方向上流側の領域を被覆するテープ部材とを有するサーマルヘッドであって、
前記テープ部材は、前記インクリボンの搬送方向下流側端部を除く部分を接着部材により接着されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項2に係る記録装置は、インクリボンを2本のリール間に巻回収納する第1ケースと印字媒体を収納する第2ケースとを有するカートリッジを装着するカセット装着面と、前記カートリッジの第2ケースに収納された印字媒体を搬送する給紙ローラと、該給紙ローラよりも前記印字媒体の搬送方向下流側に配設されたサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドがヘッドダウンすることにより印字媒体とインクリボンとを弾性的に圧接するプラテンローラとを有する記録装置であって、前記サーマルヘッドは、記録装置のプラテンに対向する面のインクリボンの搬送方向の下流側端部に直線状に形成された発熱部と、前記プラテンに対向する面の該発熱部よりも前記インクリボンの搬送方向上流側の領域を被覆するテープ部材とを有し、前記テープ部材は、前記インクリボンの搬送方向下流側端部を除く部分を接着部材により接着されていることを特徴とするものである。
【0013】
これらの発明によれば、インクリボンの走行によりテープ部材のインクリボンの走行方向下流側端辺から、そのテープ部材を前記サーマルヘッドのプラテンに対向する面に接着するための接着剤を発熱部の配設方向へ押し出して、はみ出させることを防止することができるので、インクリボンをテープ部材の表面平滑な表面に摺接させて走行させるときの前記インクリボンの滑り性を安定したものとすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図4を参照して説明する。
【0015】
まず、本発明の記録装置に用いるカートリッジKは、要部断面図である図1に示すように、樹脂材料等から成る略矩形の第1ケース1と第2ケース2とが一体に形成され、図示右側上部の隅部が階段状に形成されている。
【0016】
そして、第1ケース1の外周部には、内部を遮蔽する側壁1aが底板1bから所定の高さで突出して形成されている。
【0017】
また、第1ケース1の図示右側上部には略コ字状のヘッド挿入部1cが形成され、このヘッド挿入部1cを形成する側壁1aの図示左側上部にリボン搬送口1dが開口状態で形成されている。
【0018】
また、前記ヘッド挿入部1cを形成する側壁1aの図示右側上部には、この側壁1aの端面で構成したリボン排出部1eが形成されている。
【0019】
前記第1ケース1の図示右側の側壁1aは略L字状の段部1fが形成され、前記投部1fの根元部分であるコーナ部にはリボン巻取り口1gが開口状態で形成されている。
【0020】
また、前記第1ケース1の内部の図示左側には、巻取りリール収納部1hが形成され、図示右側には供給リール収納部1jがそれぞれ形成されている。そして、前記巻取りリール収納部1hの広さは前記供給リール収納部1jの広さより広くなっている。
【0021】
また、前記リボン巻取り口1gの下方の第1ケース1の内部にはガイドローラ1kが、回転自在に第1ケース1内部に軸支されている。
【0022】
また、第1ケース1に隣り合う図示上方には、第2ケース2が第1ケース1と一体に形成されている。この第2ケース2の外周には、内部を遮蔽する側壁2aが底板2bから前記第1ケース1の側壁1aと同じ高さで突出形成されている。
【0023】
そして、第1ケース1と第2ケース2とには、上部から上板(図示せず)がかぶせられて、カートリッジKの内部が空洞になっている。
【0024】
また、第2ケース2の図示右側下方に、受像紙排出口2cと用紙押さえ部2dが形成されている。また、前記第1ケース1内部の前記巻取りリール収納部1hにはボビン孔3aを有する巻取りリール3と、前記供給リール収納部1jには、供給リール4とがそれぞれ回転自在に第1ケース1内部に軸支されている。
【0025】
前記第1ケース1の空洞内部には、両端部をそれぞれ巻取りリール3と供給リール4とに巻回されたインクリボン5が収納されている。
【0026】
このインクリボン5は、前記リボン搬送口1dからヘッド挿入部1cに引き出されて、後述する記録装置の記録ヘッド11により所望の印刷が行われると、印刷後のインクリボン5が、ヘッド挿入部1cのリボン排出部1eにガイドされて、図示右側外部の略L字状の段部1fに導かれる。
【0027】
そして、インクリボン5は段部1fのコーナ部に形成されているリボン巻取り口1gから、供給リール収納部1jに再び引き込まれ、回転自在のガイドローラ1kにガイドされ、第1ケース1の図示下方側の側壁1aの内面に沿って案内されて、図示左方向に引き回され、巻取りリール3に巻取られるようになっている。
【0028】
また、第2ケース2の空洞内部には、横長で短冊状に形成されたラベルシート等から成る複数枚の印字媒体6が、底板2bと直交する方向に直立状態で、第1ケース1と第2ケース2とを仕切る側壁2aと平行方向に、平坦に整列されて収納されている。
【0029】
また、この印字媒体6の後方には、空隙2eが設けられ、この空隙2eにはバネ7が配設され、記録部材6を後方から常に第1ケース1側の前方に、所定のバネ庄で押庄するようになっている。
【0030】
また、前記第1ケース1のヘッド挿入部1cの図示左側の底板1bと第2ケースの底板2bとにまたがって、前記印字媒体6を外部に供給するための後述する記録装置側の給紙ローラ16が挿入される円形の給紙ローラ挿入部8が開口状態で形成されている。
【0031】
前述のような構成のカートリッジKを用いて、前記印字媒体6に画像を印刷形成する記録装置は、所望の画像を入力することができるキー入力部(図示せず)、及び前記カートリッジKを装着する樹脂材料等から成るカセット装着面10が形成されている。図2は、この記録装置に前述のカートリッジKを装着した状態を示す要部断面図、図3は前記記録装置の要部の構成を示す斜視説明図である。
【0032】
前記カセット装着面10には記録部材6にインクリボン5のインクを転写して印刷を行うヘッドアップ、ヘッドダウンが可能であり、発熱部11aを有するサーマルヘッド11が配設されている。このサーマルヘッド11は、前記カセット装着面10にその上面を露出するサーマルヘッド取付台11bに形成されており、少なくとも前記印字媒体6の幅方向の記録領域と同等の記録幅を有するように構成されている。
【0033】
また、前記サーマルヘッド11と対向する側の図示上方には、前記カセット装着面10から所定の高さで突出する、内部が空洞のフレーム12が形成されている。このフレーム12内部で、サーマルヘッド11の発熱部11aが対向する側に、プラテンローラ13が回転自在に軸支されている。前記発熱部11aは、前記プラテンローラ13との間に介在させるインクリボンの搬送方向下流側端辺に形成されている。
【0034】
ところで、本実施形態のサーマルヘッド11のプラテンローラ対向面11cの前記発熱部11aを除く領域は、テープ部材Sにより、露出するサーマルヘッド11を構成する各部材の表面を被覆されている。前記テープ部材Sは、前記サーマルヘッド11のプラテンローラ対向面11cに対し、前記インクリボンの搬送方向下流側端辺部分(図4中、メッシュに示す部分)を除く部分(図4中、ハッチに示す部分)を接着部材としての接着剤により接着されている。なお、このテープ部材Sとしては、表面平滑で剛性を有するものが望ましく、例えば、フッ素系樹脂シート(例えば、ポリテトラフロロエチレン)を用いることができる。また、前記接着剤として流動体、半流動体の接着剤を用い、前記サーマルヘッド11のプラテンローラ対向面11cとテープ部材S間に薄く略均一に介在させる。
【0035】
また、プラテンローラ13の下流側には、モータ等の駆動源(図示せず)の回転が伝達されて回転可能な紙送りローラ14と、この紙送りローラ14の図示下方側に、この紙送りローラ14に庄接して、この紙送りローラ14の回転に追従して回転する庄接ローラ15とが配設されている。
【0036】
また、カセット装着面10にカートリッジKを装着すると、前記サーマルヘッド11は前記第1ケース1のヘッド挿入部1cに位置するようになっている。
【0037】
また、前記カセット装着面10には、前記カートリッジKに収納されている印字媒体6を前記サーマルヘッド11側に供給するための給紙ローラ16がカセット装着面10から突出して、モータ等の駆動源(図示せず)により回転可能に配設されている。
【0038】
この給紙ローラ16は円筒状に形成された部分と、この円筒状に形成された部分がカットされたカット面16aとが形成されており、外形が略扇面状に形成されている。また給紙ローラ16の外周部には、前記印字媒体6に対して摩擦抵抗の大きいゴム等が被着されている。
【0039】
そして、カセット装着面10にカートリッジKを装着すると、前記給紙ローラ16がカートリッジKの給紙ローラ挿入部8に挿入され、給紙ローラ16のカット面16aと、短冊状で平坦な印字媒体6とが、対向して位置するようになっている。
【0040】
また、前記カット面16aと印字媒体6との間には所定の隙間2fが形成されて、給紙ローラ16がいつでも印字媒体6の搬送を開始することができる待機状態になるようになっている。
【0041】
また、前記カセット装着面10の図示下方の左側には、カセット装着面10から直立する回転可能な巻取りボビン17が配設されて、前記巻取りボビン17に前記カートリッジKの巻取りリール3のボビン孔3aが係合するようになっている。
【0042】
そして、インクリボン5の巻取りは、巻取りボビン17を時計方向に回転させて、供給リール4に巻回されているインクリボン5を巻き取りボビン17側に巻取るようになっている。
【0043】
また、前記フレーム12の図示右側の外側で、印字媒体6が送られる下流側には、この印字媒体6が送られてきたことを検出する用紙検出センサ18が配設されている。
【0044】
また、前記庄接ローラ15の図示下方で、カートリッジKをカセット装着面10aに装着したときに、第1ケース1の段部1fが位置する部分には、リボン検出センサ19が配設されている。そして、このリボン検出センサ19により、前記インクリボン5の検出マーカ(図示せず)を検出して、所望する異なる色のインクを印字媒体6に印刷できるようになっている。
【0045】
前述のように構成されたサーマルヘッド11を有する記録装置においては、サーマルヘッド11をヘッドダウン状態とし、前記巻取りボビン17を回転駆動させることによりインクリボンを巻取り走行させるとともに、前記サーマルヘッド11の発熱部11aを選択的に発熱させて所望の印刷を得る際に、インクリボン5を前記テープ部材Sの表面平滑な表面に摺接させて走行させるときのインクリボン5の滑り性を安定したものとすることができる。
【0046】
つまり、本実施形態においては、前記テープ部材Sのインクリボン5の走行方向下流側端辺部分には接着剤が付着されておらず、前記テープ部材Sは、前記サーマルヘッド11のプラテンローラ対向面11cに対し、前記インクリボン5の搬送方向下流側端部を除く部分のみを接着部材により接着せているため、前記インクリボン5の走行により、前記接着剤を前記テープ部材Sのインクリボン5の走行方向下流側端辺から発熱部11a方向へ押し出して、はみ出させることがない。したがって、本実施形態のサーマルヘッド11を有する記録装置においては、発熱部11aを接着剤により汚損することもなく、インクリボン5の走行も、記テープ部材Sのインクリボン5の走行方向下流側端辺からはみ出した接着剤の粘着性等により阻害されることもなく、安定走行を得ることができるものとなる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように本発明に係るサーマルヘッドおよび記録装置によれば、インクリボンの安定走行を得ることができ、さらに、発熱部の汚損も防止することができるので、高品質な記録結果を得ることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の記録装置に用いるカートリッジの構成を示す要部断面図
【図2】 記録装置に図1のカートリッジを装着した状態を示す要部断面図
【図3】 本発明の記録装置の要部の構成を示す斜視説明図
【図4】 本発明のサーマルヘッドの構成を示す要部拡大図
【図5】 従来のサーマルヘッドの構成を示す要部拡大図
【符号の説明】
11 サーマルヘッド
11a 発熱部
11b サーマルヘッド取付台
11c プラテンローラ対向面
S テープ部材
Claims (2)
- 記録装置のプラテンに対向する面のインクリボンの搬送方向の下流側端部に直線状に形成された発熱部と、前記プラテンに対向する面の該発熱部よりも前記インクリボンの搬送方向上流側の領域を被覆するテープ部材とを有するサーマルヘッドであって、
前記テープ部材は、前記インクリボンの搬送方向下流側端部を除く部分を接着部材により接着されていることを特徴とするサーマルヘッド。 - インクリボンを2本のリール間に巻回収納する第1ケースと印字媒体を収納する第2ケースとを有するカートリッジを装着するカセット装着面と、前記カートリッジの第2ケースに収納された印字媒体を搬送する給紙ローラと、該給紙ローラよりも前記印字媒体の搬送方向下流側に配設されたサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドがヘッドダウンすることにより印字媒体とインクリボンとを弾性的に圧接するプラテンローラとを有する記録装置であって、
前記サーマルヘッドは、記録装置のプラテンに対向する面のインクリボンの搬送方向の下流側端部に直線状に形成された発熱部と、前記プラテンに対向する面の該発熱部よりも前記インクリボンの搬送方向上流側の領域を被覆するテープ部材とを有し、前記テープ部材は、前記インクリボンの搬送方向下流側端部を除く部分を接着部材により接着されていることを特徴とする記録装置。
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