JP3686359B2 - 水熱酸化分解装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスやコンデンサ等の電気機器類の絶縁油に使用されているPCB含有油等のようなハロゲン化有機化合物を分解処理する水熱酸化分解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、ハロゲン化有機化合物であるPCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。この結果、PCBは体内で極めて安定であるので、体内に蓄積され慢性中毒(皮膚障害、肝臓障害等)を引き起し、また発癌性、生殖・発生毒性が認められている。
【0004】
PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるので、PCBを処理する必要があり、本出願人は先に、PCBを無害化処理する水熱酸化分解装置を提案した(特開平11−253795号公報、特開平11−253796号公報、特開2000−126588号公報他参照)。この水熱酸化分解装置の概要の一例を図12に示すが、これに限定されるものではない。
【0005】
図12に示すように、水熱酸化分解装置は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、油(又は有機溶剤)、PCB、水(H2O)および水酸化ナトリウム(NaOH)の各液123a〜123dを前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプ124a〜124dと、一次反応器122に供給する前記水を予熱する熱交換器125と、一次反応器122に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器126と、二次反応器126からの処理液を冷却する冷却器127と、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測器142と、圧力計測器142での計測結果に基づいて上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整弁128と、大気圧にまで減圧された前記処理液を気液分離する気液分離器129とを備えてなるものである。さらに、気液分離器129の気体送出側には、活性炭槽130が配置されており、排ガス(CO2 )131が煙突132から外部へ排出され、液体送出側には、放出タンク134が配置されており、排水(H2 O,NaCl)133が溜められ、必要に応じて別途排水処理される。
【0006】
なお、油(又は有機溶剤)、PCB、H2OおよびNaOHの各液123a〜123dは各タンク135a〜135dから配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ導入される。また、酸素(O2 )等の酸化剤は高圧酸素供給設備138により供給され、供給配管139は、一次反応器122に対して直結されている。ここで、油(又は有機溶剤)を入れるのは、特に高濃度のPCBの分解反応促進のためと、分解装置120の起動時において反応温度を最適温度まで昇温させるためである。
【0007】
上記水熱酸化分解装置において、各加圧ポンプ124a〜124dは、油(又は有機溶剤)、PCB、NaOH、H2Oの各液123a〜123dを各タンク135a〜135d内から配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ加圧送給し、一次反応器122内を27MPa程度まで昇圧する。また、熱交換器125は、H2Oを300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により380℃〜400℃まで昇温する。サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNa2CO3の結晶粒子の大きなものを分離し、Na2CO3の微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、CO2およびH2Oに分解されている。つぎに、冷却器127は、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却し、圧力調整弁128は、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内を上記圧力に維持するように開閉して、流体を大気圧まで減圧する。そして、気液分離器129によりCO2および水蒸気と処理液とが分離され、CO2および水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0008】
このような水熱酸化分解装置を用いてPCB含有油(例えばトランスやコンデンサ等の絶縁油)等を処理することで、PCBが脱塩素化されビフェニル((C6 H5 )2 )等の脱塩素化物とされ、該ビフェニルが酸化剤等の作用によりCO2 、H2 O等へと完全無害化がなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような水熱酸化分解装置においては、図13に示すように、一次反応器122内の圧力と圧力調整弁126の開度との相関関係を液密度ρL ごとに対応させることにより、圧力調整弁128の開度と一次反応器122から送出される液の体積流量とを一定の関係に調整するようにしているものの、一次反応器122内の温度や圧力の変化に伴って、一次反応器122内の液密度ρL が大きく変化しやすいため、一次反応器122内の圧力と圧力調整弁126の開度との相関関係がすぐに変わってしまい、圧力調整弁128の開度と一次反応器122から送出される液の体積流量との関係を一定に保つことが難しかった。このため、一次反応器122内を安定状態に維持できるように圧力調整弁128を調整することが難しく、分解処理能力に変動を生じてしまう虞があった。
【0010】
このようなことから、本発明は、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することができる水熱酸化分解装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明による水熱酸化分解装置は、加熱および加圧された反応器内において炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲン化有機化合物を脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段とを備え、前記圧力調整手段が、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、その値が第一の設定値よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値よりも小さくなる場合には閉じるオンオフ弁と、前記オンオフ弁の上流側に配設された圧力調整弁とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第二番目の発明による水熱酸化分解装置は、第一番目の発明において、サイクロンセパレータを併設した筒形状の一次反応器と、油又は有機溶剤,ハロゲン化有機化合物,水及びアルカリ液を前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプと、前記一次反応器に供給する前記水を予熱する予熱器と、前記一次反応器に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器と、前記二次反応器からの処理液を冷却する冷却器と、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
第三番目の発明による水熱酸化分解装置は、第一番目の発明において、前記圧力調整手段が、前記反応器の内部の温度および圧力に基づいて当該反応器内の液密度を求めて、当該液密度が小さいほど前記圧力調整弁の開度を小さくするように当該圧力調整弁の開度を調整する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明による水熱酸化分解装置の実施の形態を図面を用いて以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
[第一番目の実施の形態]
本発明による水熱酸化分解装置の第一番目の実施の形態を図1〜3を用いて説明する。図1は、水熱酸化分解装置の概略構成図、図2は、弁の開度と系内の圧力との関係の説明図、図3は、PCB無害化処理システムの概略構成図である。なお、本実施の形態では、ハロゲン化有機化合物としてPCBを例にして説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段である圧力計測器142と、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段であるオンオフ弁(例えば電磁弁等)143とを備えたものである。
【0020】
より具体的に説明すると、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、油(又は有機溶剤)、PCB、水(H2O)および水酸化ナトリウム(NaOH)の各液123a〜123dを一次反応器122内に加圧して送給する加圧ポンプ124a〜124dと、一次反応器122に供給する前記水を予熱する熱交換器125と、一次反応器122に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器126と、二次反応器126からの処理液を冷却する冷却器127と、上記反応の系内の圧力を計測する前記圧力計測器142と、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する前記オンオフ弁143と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離器129とを備えてなるものである。
【0021】
ここで、上記オンオフ弁143は、圧力計測器142での計測結果に基づいて、その値が第一の設定値(上限値)よりも大きくなる場合には開き(オン状態)、その値が第二の設定値(下限値)よりも小さくなる場合には閉じる(オフ状態)ようになっている。
【0022】
さらに、上記水熱酸化分解装置は、気液分離器129の気体送出側に活性炭槽130が配置され、排ガス(CO2 )131が煙突132から外部へ排出される一方、液体送出側に放出タンク134が配置され、排水(H2 O,NaCl)133が溜められて、必要に応じて別途排水処理されるようになっている。
【0023】
なお、油(又は有機溶剤)、PCB、H2OおよびNaOHの各液123a〜123dは各タンク135a〜135dから配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ導入される。また、酸素(O2 )等の酸化剤は高圧酸素供給設備138により供給され、供給配管139は、一次反応器122に対して直結されている。
【0024】
ここで、油(又は有機溶剤)を入れるのは、特に高濃度のPCBの分解反応促進のためと、分解装置120の起動時において反応温度を最適温度まで昇温させるためである。
【0025】
このような水熱酸化分解装置の作用を次に説明する。
各加圧ポンプ124a〜124dは、油(又は有機溶剤)、PCB、NaOH、H2Oの各液123a〜123dを各タンク135a〜135d内から配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ加圧送給し、一次反応器122内を27MPa程度まで昇圧する。また、熱交換器125は、H2Oを300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により380℃〜400℃まで昇温する。
【0026】
サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNa2CO3の結晶粒子の大きなものを分離し、Na2CO3の微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、CO2およびH2Oに分解されている。
【0027】
つぎに、冷却器127は、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却し、オンオフ弁143は、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように開閉する、すなわち、図2に示すように、その値が第一の設定値(上限値:例えば27.02MPa)よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値(下限値:例えば26.98MPa)よりも小さくなる場合には閉じるように作動しながら、流体を大気圧まで減圧する。これにより、上記反応の系内は、一定の圧力範囲内(例えば27±0.2MPa)に常に維持される。そして、気液分離器129によりCO2および水蒸気と処理液とが分離され、CO2および水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0028】
このような処理により、PCB含有油(例えばトランスやコンデンサ等の絶縁油)のPCBが脱ハロゲン化されビフェニル((C6 H5 )2 )等の脱ハロゲン化物となり、さらにビフェニルが酸化剤等の作用により酸化分解されてCO2 、H2 O等となって完全無害化される。
【0029】
つまり、従来は、一次反応器122から送出される液の体積流量と開度調整可能な圧力調整弁の開度とが常に一定の関係となる条件において、系内を前記圧力に維持するように圧力調整弁の開度を調整するようにしたが、本実施の形態では、単に開閉するだけのオンオフ弁143を用いて、系内の圧力が上限値よりも大きくなる場合には当該オンオフ弁143を開け、系内の圧力が下限値よりも小さくなる場合には当該オンオフ弁143を閉めることにより、系内を前記圧力に維持するようにしたのである。
【0030】
したがって、本実施の形態の水熱酸化分解装置によれば、一次反応器122内を安定状態に維持することが容易にできるので、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することが容易にできる。
【0031】
<PCB無害化処理設備>
次に、上記水熱酸化分解装置をPCB無害化処理システムに適用した場合を図3を用いて説明する。
【0032】
図3に示すように、PCB無害化処理システムは、有害物質であるPCBが付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、被処理物1001である有害物質( 例えばPCB)1002 を保存する容器1003から有害物質1002を分離する分離手段1004と、被処理物1001を構成する構成材1001a,b,…を解体する解体手段1005のいずれか一方又は両方を有する前処理手段1006と、前処理手段1006において処理された被処理物を構成する構成材であるコア1001aをコイル1001bと鉄心1001cとに分離するコア分離手段1007と、分離されたコイル1001bを銅線1001dと紙・木1001eとに分離するコイル分離手段1008と、上記コア分離手段1008で分離された鉄心1001cと解体手段1005で分離された金属製の容器 (容器本体及び蓋等)1003 とコイル分離手段1008で分離された銅線1001dとを洗浄液1010で洗浄する洗浄手段1011と、洗浄後の洗浄廃液1012及び前処理手段で分離した有害物質1002のいずれか一方又は両方を分解処理する有害物質分解処理手段1013とを具備する。
【0033】
このようなPCB無害化処理システムにおいて、前記水熱酸化分解装置は、上記有害物質分解処理手段1013に適用される。これにより、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することが容易にできるようになる。
【0034】
なお、上記処理システムで処理可能な有害物質としては、PCB(コプラナPCBを含む)の他に、例えば、ポリ臭化ビフェニル、ダイオキシン類、臭化ダイオキシン類、塩化ビニルシート、有害廃棄塗料、廃棄燃料、有害薬品、廃棄樹脂、未処理爆薬等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、上記処理システムで処理可能な被処理物としては、例えばPCB含有油を使用したトランスやコンデンサの容器や各種部材、PCB含有塗料の保管容器等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
[第二番目の実施の形態]
本発明による水熱酸化分解装置の第二番目の実施の形態を図4を用いて説明する。図4は、水熱酸化分解装置の概略構成図である。ただし、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0037】
図4に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、前述した第一番目の実施の形態の水熱酸化分解装置において、圧力調整手段として、前記オンオフ弁143の上流側に圧力調整弁128をさらに備えたものである。
【0038】
このような本実施の形態による水熱酸化分解装置においては、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、オンオフ弁143が、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように開閉する、すなわち、その値が第一の設定値(上限値)よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値(下限値)よりも小さくなる場合には閉じるように作動しながら、流体を大気圧まで減圧する。
【0039】
このとき、例えば、一次反応器122内の昇温時(例えば運転開始時等)や降温時(例えば運転停止時等)のように液密度が大きく変動するような場合だと、オンオフ弁143の開閉動作の頻度が著しく変化してしまう。具体的には、液密度が小さくなると、オンオフ弁143の開閉時の圧力変化が大きくなるため、オンオフ弁143の開閉間隔が非常に短く、オンオフ弁143が頻繁に開閉動作を繰り返すようになってしまい、オンオフ弁143にかかる負荷が非常に大きくなってしまう。
【0040】
このため、液密度が小さく、オンオフ弁143が頻繁に開閉動作を繰り返すような場合には、前記圧力調整弁128により圧力変化量を調整し、当該オンオフ弁143の開閉頻度を抑えるようにする。これにより、オンオフ弁143にかかる負荷が抑制される。
【0041】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、オンオフ弁143の開閉時の圧力変化が大きような場合であっても、オンオフ弁143の開閉頻度を抑えて、オンオフ弁143にかかる負荷を抑制することができ、オンオフ弁143の寿命を延ばすことができる。
【0042】
[第三番目の実施の形態]
本発明による水熱酸化分解装置の第三番目の実施の形態を図5,6を用いて説明する。図5は、水熱酸化分解装置の概略構成図、図6は、圧力と温度と液密度との関係を表すグラフである。ただし、前述した第一,二番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一,二番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0043】
図5に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、前述した第二番目の水熱酸化分解装置において、圧力調整手段として、一次反応器122の内部の圧力および温度に基づいて、すなわち、一次反応器122に設けられた圧力計測器144および温度計測器145での計測結果に基づいて、一次反応器122内の液密度を求めて、当該液密度が小さいほど圧力調整弁128の開度を小さくするように圧力調整弁128の開度を調整する制御手段である制御器146を備えたものである。
【0044】
このような本実施の形態による水熱酸化分解装置においては、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、オンオフ弁143が、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように開閉する、すなわち、その値が第一の設定値(上限値)よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値(下限値)よりも小さくなる場合には閉じるように作動しながら、流体を大気圧まで減圧する。
【0045】
このとき、前述した第二番目の実施の形態で説明したように、一次反応器122内の昇温時(例えば運転開始時等)や降温時(例えば運転停止時等)のように液密度が大きく変動すると、前記制御器146が、圧力計測器144および温度計測器145での計測結果から、図6に示すような圧力と温度と液密度との相関関係に基づいて一次反応器122内の液密度ρL を求め、当該液密度ρL の値に対応した圧力調整弁128の開度となるように、すなわち、液密度ρL が小さいほど圧力調整弁128の開度を小さくするように圧力調整弁128の開度を調整し、オンオフ弁143にかかる圧力変化量を常に略一定とする。これにより、オンオフ弁143の開閉頻度が抑えられ、オンオフ弁143にかかる負荷が抑制される。
【0046】
つまり、前述した第二番目の実施の形態では、オンオフ弁143が頻繁に開閉動作を繰り返すときに圧力調整弁128を調整して、当該オンオフ弁143の開閉頻度を抑えるようにしたが、本実施の形態では、一次反応器122内の液密度ρL から、予め定められたマップに基づいて圧力調整弁128を調整して、当該オンオフ弁143の開閉頻度を抑えるようにしたのである。
【0047】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第二番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、前述した第二番目の実施の形態の場合よりも圧力調整弁128を確実かつ容易に調整することができる。
【0048】
[第四番目の実施の形態]
本発明による水熱酸化分解装置の第四番目の実施の形態を図7〜11を用いて説明する。図7は、水熱酸化分解装置の概略構成図、図8は、液密度と圧力調整弁の開度との関係を表す説明図、図9は、開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図、図10は、体積流量が少ないときの開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図、図11は、体積流量が多いときの開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。ただし、前述した第一〜三番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一〜三番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0049】
図7に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段である圧力計測器142と、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段である圧力調整弁128および制御器147等とを備えたものである。
【0050】
上記制御器147は、圧力計測器142での計測結果に基づいて、その圧力が第一の設定値(上限値)よりも大きくなる場合には圧力調整弁128を開放させるように当該圧力調整弁128を調整し、その圧力が第二の設定値(下限値)よりも小さくなる場合には圧力調整弁128を閉塞させるように当該圧力調整弁128を調整するようになっている。
【0051】
このような本実施の形態による水熱酸化分解装置においては、前記制御器147が、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように圧力調整弁128を開閉させる、すなわち、図9に示すように、系内の圧力が第一の設定値(上限値:例えば27.02MPa)よりも大きくなる場合には圧力調整弁128を開放させるように制御し、系内の圧力が第二の設定値(下限値:例えば26.98MPa)よりも小さくなる場合には圧力調整弁128を閉塞させるように制御するのである。
【0052】
このとき、前述した第二,三番目の実施の形態で説明したように、一次反応器122内の昇温時(例えば運転開始時等)や降温時(例えば運転停止時等)のように液密度が大きく変動したとしても、前記制御器147は、上述したように、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように圧力調整弁128の開閉を制御するので、図8に示すように、液密度ρL が小さい場合(図8中、左側)、すなわち、圧力変化量が大きく一次反応器122から送出される液の体積流量が大きい場合には、圧力調整弁128の開度幅が小さくなり、液密度ρL が大きい場合(図8中、右側)、すなわち、圧力変化量が小さく一次反応器122から送出される液の体積流量が小さい場合には、圧力調整弁128の開度幅が大きくなる。
【0053】
言い換えれば、例えば、圧力変化量が小さく一次反応器122から送出される液の体積流量が小さいと、図10に示すように、系内の圧力が上限値を超えやすくなるため、制御器127は、圧力調整弁128の開度の上限値を大きくするように、すなわち、圧力調整弁128の開放時間(t1 )を長くするように圧力調整弁128を制御する一方、圧力変化量が大きく一次反応器122から送出される液の体積流量が大きいと、図11に示すように、系内の圧力が下限値を下回りやすくなるため、制御器127は、圧力調整弁128の開度の下限値を小さくするように、すなわち、圧力調整弁128の閉塞時間(t2 )を長くするように圧力調整弁128を制御するのである。
【0054】
つまり、系内の圧力だけに基づく圧力調整弁128の開閉制御だけであっても、制御器147からの開閉信号に対する圧力調整弁128の開度の追従性(応答性)を利用して体積流量を略一定の大きさで送出することができるようにしたのである。
【0055】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第三番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、前述した第三番目の実施の形態の場合よりも簡単な構成とすることができる。
【0056】
【発明の効果】
第一番目の発明による水熱酸化分解装置は、加熱および加圧された反応器内において炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲン化有機化合物を脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段とを備え、前記圧力調整手段が、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、その値が第一の設定値よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値よりも小さくなる場合には閉じるオンオフ弁と、前記オンオフ弁の上流側に配設された圧力調整弁とを備えたことから、系内の圧力を一定の範囲に維持することが容易にでき、反応器内を安定状態に維持することが容易にできるので、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することが容易にできると共に、オンオフ弁の開閉時の圧力変化が大きような場合であっても、オンオフ弁の開閉頻度を抑えて、オンオフ弁にかかる負荷を抑制することができ、オンオフ弁の寿命を延ばすことができる。
【0057】
第二番目の発明による水熱酸化分解装置は、第一番目の発明において、サイクロンセパレータを併設した筒形状の一次反応器と、油又は有機溶剤,ハロゲン化有機化合物,水及びアルカリ液を前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプと、前記一次反応器に供給する前記水を予熱する予熱器と、前記一次反応器に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器と、前記二次反応器からの処理液を冷却する冷却器と、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離手段とを備えていることから、系内の圧力を一定の範囲に維持することが容易にでき、反応器内を安定状態に維持することが容易にできるので、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することが容易にできる。
【0060】
第三番目の発明による水熱酸化分解装置は、第一番目の発明において、前記圧力調整手段が、前記反応器の内部の温度および圧力に基づいて当該反応器内の液密度を求めて、当該液密度が小さいほど前記圧力調整弁の開度を小さくするように当該圧力調整弁の開度を調整する制御手段を備えているので、圧力調整弁を確実かつ容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水熱酸化分解装置の第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図2】弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。
【図3】本発明による水熱酸化分解装置をPCB無害化処理システムに適用した場合の第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図4】本発明による水熱酸化分解装置の第二番目の実施の形態の概略構成図である。
【図5】本発明による水熱酸化分解装置の第三番目の実施の形態の概略構成図である。
【図6】圧力と温度と液密度との関係を表すグラフである。
【図7】本発明による水熱酸化分解装置の第四番目の実施の形態の概略構成図である。
【図8】液密度と圧力調整弁の開度との関係を表す説明図である。
【図9】開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。
【図10】体積流量が少ないときの開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。
【図11】体積流量が多いときの開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。
【図12】従来の水熱酸化分解装置の一例の概略構成図である。
【図13】系内の圧力と圧力調整弁の開度と液密度との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
128 圧力調整弁
142 圧力計測器
143 オンオフ弁
144 圧力計測器
145 温度計測器
146,147 制御器
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスやコンデンサ等の電気機器類の絶縁油に使用されているPCB含有油等のようなハロゲン化有機化合物を分解処理する水熱酸化分解装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、ハロゲン化有機化合物であるPCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。この結果、PCBは体内で極めて安定であるので、体内に蓄積され慢性中毒(皮膚障害、肝臓障害等)を引き起し、また発癌性、生殖・発生毒性が認められている。
【0004】
PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるので、PCBを処理する必要があり、本出願人は先に、PCBを無害化処理する水熱酸化分解装置を提案した(特開平11−253795号公報、特開平11−253796号公報、特開2000−126588号公報他参照)。この水熱酸化分解装置の概要の一例を図12に示すが、これに限定されるものではない。
【0005】
図12に示すように、水熱酸化分解装置は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、油(又は有機溶剤)、PCB、水(H2O)および水酸化ナトリウム(NaOH)の各液123a〜123dを前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプ124a〜124dと、一次反応器122に供給する前記水を予熱する熱交換器125と、一次反応器122に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器126と、二次反応器126からの処理液を冷却する冷却器127と、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測器142と、圧力計測器142での計測結果に基づいて上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整弁128と、大気圧にまで減圧された前記処理液を気液分離する気液分離器129とを備えてなるものである。さらに、気液分離器129の気体送出側には、活性炭槽130が配置されており、排ガス(CO2 )131が煙突132から外部へ排出され、液体送出側には、放出タンク134が配置されており、排水(H2 O,NaCl)133が溜められ、必要に応じて別途排水処理される。
【0006】
なお、油(又は有機溶剤)、PCB、H2OおよびNaOHの各液123a〜123dは各タンク135a〜135dから配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ導入される。また、酸素(O2 )等の酸化剤は高圧酸素供給設備138により供給され、供給配管139は、一次反応器122に対して直結されている。ここで、油(又は有機溶剤)を入れるのは、特に高濃度のPCBの分解反応促進のためと、分解装置120の起動時において反応温度を最適温度まで昇温させるためである。
【0007】
上記水熱酸化分解装置において、各加圧ポンプ124a〜124dは、油(又は有機溶剤)、PCB、NaOH、H2Oの各液123a〜123dを各タンク135a〜135d内から配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ加圧送給し、一次反応器122内を27MPa程度まで昇圧する。また、熱交換器125は、H2Oを300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により380℃〜400℃まで昇温する。サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNa2CO3の結晶粒子の大きなものを分離し、Na2CO3の微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、CO2およびH2Oに分解されている。つぎに、冷却器127は、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却し、圧力調整弁128は、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内を上記圧力に維持するように開閉して、流体を大気圧まで減圧する。そして、気液分離器129によりCO2および水蒸気と処理液とが分離され、CO2および水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0008】
このような水熱酸化分解装置を用いてPCB含有油(例えばトランスやコンデンサ等の絶縁油)等を処理することで、PCBが脱塩素化されビフェニル((C6 H5 )2 )等の脱塩素化物とされ、該ビフェニルが酸化剤等の作用によりCO2 、H2 O等へと完全無害化がなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような水熱酸化分解装置においては、図13に示すように、一次反応器122内の圧力と圧力調整弁126の開度との相関関係を液密度ρL ごとに対応させることにより、圧力調整弁128の開度と一次反応器122から送出される液の体積流量とを一定の関係に調整するようにしているものの、一次反応器122内の温度や圧力の変化に伴って、一次反応器122内の液密度ρL が大きく変化しやすいため、一次反応器122内の圧力と圧力調整弁126の開度との相関関係がすぐに変わってしまい、圧力調整弁128の開度と一次反応器122から送出される液の体積流量との関係を一定に保つことが難しかった。このため、一次反応器122内を安定状態に維持できるように圧力調整弁128を調整することが難しく、分解処理能力に変動を生じてしまう虞があった。
【0010】
このようなことから、本発明は、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することができる水熱酸化分解装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明による水熱酸化分解装置は、加熱および加圧された反応器内において炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲン化有機化合物を脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段とを備え、前記圧力調整手段が、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、その値が第一の設定値よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値よりも小さくなる場合には閉じるオンオフ弁と、前記オンオフ弁の上流側に配設された圧力調整弁とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第二番目の発明による水熱酸化分解装置は、第一番目の発明において、サイクロンセパレータを併設した筒形状の一次反応器と、油又は有機溶剤,ハロゲン化有機化合物,水及びアルカリ液を前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプと、前記一次反応器に供給する前記水を予熱する予熱器と、前記一次反応器に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器と、前記二次反応器からの処理液を冷却する冷却器と、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
第三番目の発明による水熱酸化分解装置は、第一番目の発明において、前記圧力調整手段が、前記反応器の内部の温度および圧力に基づいて当該反応器内の液密度を求めて、当該液密度が小さいほど前記圧力調整弁の開度を小さくするように当該圧力調整弁の開度を調整する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明による水熱酸化分解装置の実施の形態を図面を用いて以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
[第一番目の実施の形態]
本発明による水熱酸化分解装置の第一番目の実施の形態を図1〜3を用いて説明する。図1は、水熱酸化分解装置の概略構成図、図2は、弁の開度と系内の圧力との関係の説明図、図3は、PCB無害化処理システムの概略構成図である。なお、本実施の形態では、ハロゲン化有機化合物としてPCBを例にして説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段である圧力計測器142と、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段であるオンオフ弁(例えば電磁弁等)143とを備えたものである。
【0020】
より具体的に説明すると、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、油(又は有機溶剤)、PCB、水(H2O)および水酸化ナトリウム(NaOH)の各液123a〜123dを一次反応器122内に加圧して送給する加圧ポンプ124a〜124dと、一次反応器122に供給する前記水を予熱する熱交換器125と、一次反応器122に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器126と、二次反応器126からの処理液を冷却する冷却器127と、上記反応の系内の圧力を計測する前記圧力計測器142と、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する前記オンオフ弁143と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離器129とを備えてなるものである。
【0021】
ここで、上記オンオフ弁143は、圧力計測器142での計測結果に基づいて、その値が第一の設定値(上限値)よりも大きくなる場合には開き(オン状態)、その値が第二の設定値(下限値)よりも小さくなる場合には閉じる(オフ状態)ようになっている。
【0022】
さらに、上記水熱酸化分解装置は、気液分離器129の気体送出側に活性炭槽130が配置され、排ガス(CO2 )131が煙突132から外部へ排出される一方、液体送出側に放出タンク134が配置され、排水(H2 O,NaCl)133が溜められて、必要に応じて別途排水処理されるようになっている。
【0023】
なお、油(又は有機溶剤)、PCB、H2OおよびNaOHの各液123a〜123dは各タンク135a〜135dから配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ導入される。また、酸素(O2 )等の酸化剤は高圧酸素供給設備138により供給され、供給配管139は、一次反応器122に対して直結されている。
【0024】
ここで、油(又は有機溶剤)を入れるのは、特に高濃度のPCBの分解反応促進のためと、分解装置120の起動時において反応温度を最適温度まで昇温させるためである。
【0025】
このような水熱酸化分解装置の作用を次に説明する。
各加圧ポンプ124a〜124dは、油(又は有機溶剤)、PCB、NaOH、H2Oの各液123a〜123dを各タンク135a〜135d内から配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ加圧送給し、一次反応器122内を27MPa程度まで昇圧する。また、熱交換器125は、H2Oを300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により380℃〜400℃まで昇温する。
【0026】
サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNa2CO3の結晶粒子の大きなものを分離し、Na2CO3の微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、CO2およびH2Oに分解されている。
【0027】
つぎに、冷却器127は、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却し、オンオフ弁143は、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように開閉する、すなわち、図2に示すように、その値が第一の設定値(上限値:例えば27.02MPa)よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値(下限値:例えば26.98MPa)よりも小さくなる場合には閉じるように作動しながら、流体を大気圧まで減圧する。これにより、上記反応の系内は、一定の圧力範囲内(例えば27±0.2MPa)に常に維持される。そして、気液分離器129によりCO2および水蒸気と処理液とが分離され、CO2および水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0028】
このような処理により、PCB含有油(例えばトランスやコンデンサ等の絶縁油)のPCBが脱ハロゲン化されビフェニル((C6 H5 )2 )等の脱ハロゲン化物となり、さらにビフェニルが酸化剤等の作用により酸化分解されてCO2 、H2 O等となって完全無害化される。
【0029】
つまり、従来は、一次反応器122から送出される液の体積流量と開度調整可能な圧力調整弁の開度とが常に一定の関係となる条件において、系内を前記圧力に維持するように圧力調整弁の開度を調整するようにしたが、本実施の形態では、単に開閉するだけのオンオフ弁143を用いて、系内の圧力が上限値よりも大きくなる場合には当該オンオフ弁143を開け、系内の圧力が下限値よりも小さくなる場合には当該オンオフ弁143を閉めることにより、系内を前記圧力に維持するようにしたのである。
【0030】
したがって、本実施の形態の水熱酸化分解装置によれば、一次反応器122内を安定状態に維持することが容易にできるので、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することが容易にできる。
【0031】
<PCB無害化処理設備>
次に、上記水熱酸化分解装置をPCB無害化処理システムに適用した場合を図3を用いて説明する。
【0032】
図3に示すように、PCB無害化処理システムは、有害物質であるPCBが付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、被処理物1001である有害物質( 例えばPCB)1002 を保存する容器1003から有害物質1002を分離する分離手段1004と、被処理物1001を構成する構成材1001a,b,…を解体する解体手段1005のいずれか一方又は両方を有する前処理手段1006と、前処理手段1006において処理された被処理物を構成する構成材であるコア1001aをコイル1001bと鉄心1001cとに分離するコア分離手段1007と、分離されたコイル1001bを銅線1001dと紙・木1001eとに分離するコイル分離手段1008と、上記コア分離手段1008で分離された鉄心1001cと解体手段1005で分離された金属製の容器 (容器本体及び蓋等)1003 とコイル分離手段1008で分離された銅線1001dとを洗浄液1010で洗浄する洗浄手段1011と、洗浄後の洗浄廃液1012及び前処理手段で分離した有害物質1002のいずれか一方又は両方を分解処理する有害物質分解処理手段1013とを具備する。
【0033】
このようなPCB無害化処理システムにおいて、前記水熱酸化分解装置は、上記有害物質分解処理手段1013に適用される。これにより、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することが容易にできるようになる。
【0034】
なお、上記処理システムで処理可能な有害物質としては、PCB(コプラナPCBを含む)の他に、例えば、ポリ臭化ビフェニル、ダイオキシン類、臭化ダイオキシン類、塩化ビニルシート、有害廃棄塗料、廃棄燃料、有害薬品、廃棄樹脂、未処理爆薬等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、上記処理システムで処理可能な被処理物としては、例えばPCB含有油を使用したトランスやコンデンサの容器や各種部材、PCB含有塗料の保管容器等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
[第二番目の実施の形態]
本発明による水熱酸化分解装置の第二番目の実施の形態を図4を用いて説明する。図4は、水熱酸化分解装置の概略構成図である。ただし、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0037】
図4に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、前述した第一番目の実施の形態の水熱酸化分解装置において、圧力調整手段として、前記オンオフ弁143の上流側に圧力調整弁128をさらに備えたものである。
【0038】
このような本実施の形態による水熱酸化分解装置においては、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、オンオフ弁143が、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように開閉する、すなわち、その値が第一の設定値(上限値)よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値(下限値)よりも小さくなる場合には閉じるように作動しながら、流体を大気圧まで減圧する。
【0039】
このとき、例えば、一次反応器122内の昇温時(例えば運転開始時等)や降温時(例えば運転停止時等)のように液密度が大きく変動するような場合だと、オンオフ弁143の開閉動作の頻度が著しく変化してしまう。具体的には、液密度が小さくなると、オンオフ弁143の開閉時の圧力変化が大きくなるため、オンオフ弁143の開閉間隔が非常に短く、オンオフ弁143が頻繁に開閉動作を繰り返すようになってしまい、オンオフ弁143にかかる負荷が非常に大きくなってしまう。
【0040】
このため、液密度が小さく、オンオフ弁143が頻繁に開閉動作を繰り返すような場合には、前記圧力調整弁128により圧力変化量を調整し、当該オンオフ弁143の開閉頻度を抑えるようにする。これにより、オンオフ弁143にかかる負荷が抑制される。
【0041】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、オンオフ弁143の開閉時の圧力変化が大きような場合であっても、オンオフ弁143の開閉頻度を抑えて、オンオフ弁143にかかる負荷を抑制することができ、オンオフ弁143の寿命を延ばすことができる。
【0042】
[第三番目の実施の形態]
本発明による水熱酸化分解装置の第三番目の実施の形態を図5,6を用いて説明する。図5は、水熱酸化分解装置の概略構成図、図6は、圧力と温度と液密度との関係を表すグラフである。ただし、前述した第一,二番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一,二番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0043】
図5に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、前述した第二番目の水熱酸化分解装置において、圧力調整手段として、一次反応器122の内部の圧力および温度に基づいて、すなわち、一次反応器122に設けられた圧力計測器144および温度計測器145での計測結果に基づいて、一次反応器122内の液密度を求めて、当該液密度が小さいほど圧力調整弁128の開度を小さくするように圧力調整弁128の開度を調整する制御手段である制御器146を備えたものである。
【0044】
このような本実施の形態による水熱酸化分解装置においては、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様に、オンオフ弁143が、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように開閉する、すなわち、その値が第一の設定値(上限値)よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値(下限値)よりも小さくなる場合には閉じるように作動しながら、流体を大気圧まで減圧する。
【0045】
このとき、前述した第二番目の実施の形態で説明したように、一次反応器122内の昇温時(例えば運転開始時等)や降温時(例えば運転停止時等)のように液密度が大きく変動すると、前記制御器146が、圧力計測器144および温度計測器145での計測結果から、図6に示すような圧力と温度と液密度との相関関係に基づいて一次反応器122内の液密度ρL を求め、当該液密度ρL の値に対応した圧力調整弁128の開度となるように、すなわち、液密度ρL が小さいほど圧力調整弁128の開度を小さくするように圧力調整弁128の開度を調整し、オンオフ弁143にかかる圧力変化量を常に略一定とする。これにより、オンオフ弁143の開閉頻度が抑えられ、オンオフ弁143にかかる負荷が抑制される。
【0046】
つまり、前述した第二番目の実施の形態では、オンオフ弁143が頻繁に開閉動作を繰り返すときに圧力調整弁128を調整して、当該オンオフ弁143の開閉頻度を抑えるようにしたが、本実施の形態では、一次反応器122内の液密度ρL から、予め定められたマップに基づいて圧力調整弁128を調整して、当該オンオフ弁143の開閉頻度を抑えるようにしたのである。
【0047】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第二番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、前述した第二番目の実施の形態の場合よりも圧力調整弁128を確実かつ容易に調整することができる。
【0048】
[第四番目の実施の形態]
本発明による水熱酸化分解装置の第四番目の実施の形態を図7〜11を用いて説明する。図7は、水熱酸化分解装置の概略構成図、図8は、液密度と圧力調整弁の開度との関係を表す説明図、図9は、開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図、図10は、体積流量が少ないときの開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図、図11は、体積流量が多いときの開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。ただし、前述した第一〜三番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一〜三番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0049】
図7に示すように、本実施の形態にかかる水熱酸化分解装置は、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段である圧力計測器142と、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段である圧力調整弁128および制御器147等とを備えたものである。
【0050】
上記制御器147は、圧力計測器142での計測結果に基づいて、その圧力が第一の設定値(上限値)よりも大きくなる場合には圧力調整弁128を開放させるように当該圧力調整弁128を調整し、その圧力が第二の設定値(下限値)よりも小さくなる場合には圧力調整弁128を閉塞させるように当該圧力調整弁128を調整するようになっている。
【0051】
このような本実施の形態による水熱酸化分解装置においては、前記制御器147が、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように圧力調整弁128を開閉させる、すなわち、図9に示すように、系内の圧力が第一の設定値(上限値:例えば27.02MPa)よりも大きくなる場合には圧力調整弁128を開放させるように制御し、系内の圧力が第二の設定値(下限値:例えば26.98MPa)よりも小さくなる場合には圧力調整弁128を閉塞させるように制御するのである。
【0052】
このとき、前述した第二,三番目の実施の形態で説明したように、一次反応器122内の昇温時(例えば運転開始時等)や降温時(例えば運転停止時等)のように液密度が大きく変動したとしても、前記制御器147は、上述したように、圧力計測器142での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を上記圧力に調整するように圧力調整弁128の開閉を制御するので、図8に示すように、液密度ρL が小さい場合(図8中、左側)、すなわち、圧力変化量が大きく一次反応器122から送出される液の体積流量が大きい場合には、圧力調整弁128の開度幅が小さくなり、液密度ρL が大きい場合(図8中、右側)、すなわち、圧力変化量が小さく一次反応器122から送出される液の体積流量が小さい場合には、圧力調整弁128の開度幅が大きくなる。
【0053】
言い換えれば、例えば、圧力変化量が小さく一次反応器122から送出される液の体積流量が小さいと、図10に示すように、系内の圧力が上限値を超えやすくなるため、制御器127は、圧力調整弁128の開度の上限値を大きくするように、すなわち、圧力調整弁128の開放時間(t1 )を長くするように圧力調整弁128を制御する一方、圧力変化量が大きく一次反応器122から送出される液の体積流量が大きいと、図11に示すように、系内の圧力が下限値を下回りやすくなるため、制御器127は、圧力調整弁128の開度の下限値を小さくするように、すなわち、圧力調整弁128の閉塞時間(t2 )を長くするように圧力調整弁128を制御するのである。
【0054】
つまり、系内の圧力だけに基づく圧力調整弁128の開閉制御だけであっても、制御器147からの開閉信号に対する圧力調整弁128の開度の追従性(応答性)を利用して体積流量を略一定の大きさで送出することができるようにしたのである。
【0055】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第三番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、前述した第三番目の実施の形態の場合よりも簡単な構成とすることができる。
【0056】
【発明の効果】
第一番目の発明による水熱酸化分解装置は、加熱および加圧された反応器内において炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲン化有機化合物を脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段とを備え、前記圧力調整手段が、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、その値が第一の設定値よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値よりも小さくなる場合には閉じるオンオフ弁と、前記オンオフ弁の上流側に配設された圧力調整弁とを備えたことから、系内の圧力を一定の範囲に維持することが容易にでき、反応器内を安定状態に維持することが容易にできるので、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することが容易にできると共に、オンオフ弁の開閉時の圧力変化が大きような場合であっても、オンオフ弁の開閉頻度を抑えて、オンオフ弁にかかる負荷を抑制することができ、オンオフ弁の寿命を延ばすことができる。
【0057】
第二番目の発明による水熱酸化分解装置は、第一番目の発明において、サイクロンセパレータを併設した筒形状の一次反応器と、油又は有機溶剤,ハロゲン化有機化合物,水及びアルカリ液を前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプと、前記一次反応器に供給する前記水を予熱する予熱器と、前記一次反応器に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器と、前記二次反応器からの処理液を冷却する冷却器と、上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離手段とを備えていることから、系内の圧力を一定の範囲に維持することが容易にでき、反応器内を安定状態に維持することが容易にできるので、分解処理能力に変動を生じることなく安定して分解処理することが容易にできる。
【0060】
第三番目の発明による水熱酸化分解装置は、第一番目の発明において、前記圧力調整手段が、前記反応器の内部の温度および圧力に基づいて当該反応器内の液密度を求めて、当該液密度が小さいほど前記圧力調整弁の開度を小さくするように当該圧力調整弁の開度を調整する制御手段を備えているので、圧力調整弁を確実かつ容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水熱酸化分解装置の第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図2】弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。
【図3】本発明による水熱酸化分解装置をPCB無害化処理システムに適用した場合の第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図4】本発明による水熱酸化分解装置の第二番目の実施の形態の概略構成図である。
【図5】本発明による水熱酸化分解装置の第三番目の実施の形態の概略構成図である。
【図6】圧力と温度と液密度との関係を表すグラフである。
【図7】本発明による水熱酸化分解装置の第四番目の実施の形態の概略構成図である。
【図8】液密度と圧力調整弁の開度との関係を表す説明図である。
【図9】開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。
【図10】体積流量が少ないときの開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。
【図11】体積流量が多いときの開閉信号と圧力調整弁の開度と系内の圧力との関係の説明図である。
【図12】従来の水熱酸化分解装置の一例の概略構成図である。
【図13】系内の圧力と圧力調整弁の開度と液密度との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
128 圧力調整弁
142 圧力計測器
143 オンオフ弁
144 圧力計測器
145 温度計測器
146,147 制御器
Claims (3)
- 加熱および加圧された反応器内において炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲン化有機化合物を脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置において、
上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、
前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段と
を備え、
前記圧力調整手段が、
前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、その値が第一の設定値よりも大きくなる場合には開き、その値が第二の設定値よりも小さくなる場合には閉じるオンオフ弁と、
前記オンオフ弁の上流側に配設された圧力調整弁と
を備えたことを特徴とする水熱酸化分解装置。 - 請求項1において、
サイクロンセパレータを併設した筒形状の一次反応器と、
油又は有機溶剤,ハロゲン化有機化合物,水及びアルカリ液を前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプと、
前記一次反応器に供給する前記水を予熱する予熱器と、
前記一次反応器に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器と、
前記二次反応器からの処理液を冷却する冷却器と、
上記反応の系内の圧力を計測する圧力計測手段と、
前記圧力計測手段での計測結果に基づいて、上記反応の系内の圧力を調整する圧力調整手段と、
減圧された前記処理液を気液分離する気液分離手段と
を備えていることを特徴とする水熱酸化分解装置。 - 請求項1において、
前記圧力調整手段が、前記反応器の内部の温度および圧力に基づいて当該反応器内の液密度を求めて、当該液密度が小さいほど前記圧力調整弁の開度を小さくするように当該圧力調整弁の開度を調整する制御手段を備えていることを特徴とする水熱酸化分解装置。
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