JP3576510B2 - ハロゲン化有機化合物分解処理システム - Google Patents

ハロゲン化有機化合物分解処理システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスやコンデンサ等の電気機器類の絶縁油に使用されているPCB含有油等のようなハロゲン化有機化合物を分解処理するハロゲン化有機化合物分解処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、ハロゲン化有機化合物であるPCB(Polychlorinated biphenyl, ポリ塩化ビフェニル:ビフェニルの塩素化異性体の総称)が強い毒性を有することから、その製造および輸入が禁止されている。このPCBは、1954年頃から国内で製造開始されたものの、カネミ油症事件をきっかけに生体・環境への悪影響が明らかになり、1972年に行政指導により製造中止、回収の指示(保管の義務)が出された経緯がある。
【0003】
PCBは、ビフェニル骨格に塩素が1〜10個置換したものであり、置換塩素の数や位置によって理論的に209種類の異性体が存在し、現在、市販のPCB製品において約100種類以上の異性体が確認されている。また、この異性体間の物理・化学的性質や生体内安定性および環境動体が多様であるため、PCBの化学分析や環境汚染の様式を複雑にしているのが現状である。さらに、PCBは、残留性有機汚染物質のひとつであって、環境中で分解されにくく、脂溶性で生物濃縮率が高く、さらに半揮発性で大気経由の移動が可能であるという性質を持つ。また、水や生物など環境中に広く残留することが報告されている。この結果、PCBは体内で極めて安定であるので、体内に蓄積され慢性中毒(皮膚障害、肝臓障害等)を引き起し、また発癌性、生殖・発生毒性が認められている。
【0004】
PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるので、PCBを処理する必要があり、本出願人は先に、PCBを無害化処理する水熱酸化分解装置を提案した(特開平11−253795号公報、特開平11−253796号公報、特開2000−126588号公報他参照)。この水熱酸化分解装置の概要の一例を図10に示すが、これに限定されるものではない。
【0005】
図10に示すように、水熱酸化分解装置120は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、油(又は有機溶剤)、PCB、水(HO)および水酸化ナトリウム(NaOH)の各液123a〜123dを前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプ124a〜124dと、一次反応器122に供給する前記水を予熱する熱交換器125と、一次反応器122に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器126と、二次反応器126からの処理液を冷却する冷却器127と、冷却器127からの処理液を減圧する減圧弁128と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離器129とを備えてなるものである。さらに、気液分離器129の気体送出側には、活性炭槽130が配置されており、排ガス(CO)131が煙突132から外部へ排出され、液体送出側には、放出タンク134が配置されており、排水(HO,NaCl)133が溜められ、必要に応じて別途排水処理される。
【0006】
なお、油(又は有機溶剤)、PCB、HOおよびNaOHの各液123a〜123dは各タンク135a〜135dから配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ導入される。また、酸素(O)等の酸化剤は高圧酸素供給設備138により供給され、供給配管139は、一次反応器122に対して直結されている。ここで、油(又は有機溶剤)を入れるのは、特に高濃度のPCBの分解反応促進のためと、分解装置120の起動時において反応温度を最適温度まで昇温させるためである。
【0007】
上記装置120において、各加圧ポンプ124a〜124dは、油(又は有機溶剤)、PCB、NaOH、HOの各液123a〜123dを各タンク135a〜135d内から配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ加圧送給し、一次反応器122内を26MPa程度まで昇圧する。また、熱交換器125は、HOを300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により370℃〜400℃まで昇温する。サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNaCOの結晶粒子の大きなものを分離し、NaCOの微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、COおよびHOに分解されている。つぎに、冷却器127では、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却すると共に後段の減圧弁128にて大気圧まで減圧する。そして、気液分離器129によりCOおよび水蒸気と処理液とが分離され、COおよび水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0008】
このような処理装置120を用いてPCB含有油(例えばトランスやコンデンサ等の絶縁油)等を処理することで、PCBが脱塩素化されビフェニル((C)等の脱塩素化物とされ、該ビフェニルが酸化剤等の作用によりCO、HO等へと完全無害化がなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような処理装置120においては、分解処理能力を一定に維持するため、排出された処理液の性状をオンラインで計測して上記反応をフィードバック制御するようにしている。しかしながら、このようにして上記反応を制御するようにすると、一次反応器122等内での反応滞留時間が数十分と長いことから、上記反応をリアルタイムに制御することが難しかった。
【0010】
このようなことから、本発明は、迅速にフィードバック制御することができるハロゲン化有機化合物分解処理システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、加熱および加圧された反応器内において炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲン化有機化合物を脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置を備えたハロゲン化有機化合物分解処理システムにおいて、前記反応器内の液密度および液面高さのうちの少なくとも一方を求め、その結果に基づいて、前記反応器内の圧力、前記反応器内の温度、前記反応器内へ供給するアルカリ量のうちの少なくとも1つを調整する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
第二番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第一番目の発明において、前記水熱酸化分解装置が、サイクロンセパレータを併設した筒形状の一次反応器と、油又は有機溶剤,ハロゲン化有機化合物,水及びアルカリ液を前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプと、前記一次反応器に供給する前記水を予熱する予熱器と、前記一次反応器の前記サイクロンセパレータに連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器と、前記二次反応器からの処理液を冷却する冷却器と、前記冷却器からの処理液を減圧する減圧手段と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
第三番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第一番目または第二番目の発明において、前記反応器内の圧力差を求め、当該圧力差に基づいて、前記反応器内の液密度および当該反応器内の液面高さのうちの少なくとも一方を算出する算出手段と、前記算出手段で算出された値が所定の値となるように、前記反応器内の圧力、前記反応器内の温度、前記反応器内へ供給するアルカリ量のうちの少なくとも1つを調整する調整手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
第四番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の高さ方向の液密度を算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を増やすように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を減らすように調整することを特徴とする。
【0015】
第五番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の高さ方向の液密度を算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内の圧力を高くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内の圧力を低くするように調整することを特徴とする。
【0016】
第六番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の高さ方向の液密度を算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内の温度を低くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内の温度を高くするように調整することを特徴とする。
【0017】
第七番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を減らすように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を増やすように調整することを特徴とする。
【0018】
第八番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内の圧力を高くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内の圧力を低くするように調整することを特徴とする。
【0019】
第九番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内の温度を低くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内の温度を高くするように調整することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの実施の形態を図面を用いて以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
[第一番目の実施の形態]
本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第一番目の実施の形態を図1〜4を用いて説明する。図1は、ハロゲン化有機化合物分解処理システムの概略構成図、図2は、一次反応器内の温度、圧力、液密度の経時変化を表すグラフ、図3は、液密度と温度との関係を表すグラフ、図4は、PCB無害化処理システムの概略構成図である。なお、本実施の形態では、ハロゲン化有機化合物としてPCBを例にして説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態にかかるPCB分解処理システムは、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置120を備えたPCB分解処理システムにおいて、一次反応器122内の液密度を求め、その結果に基づいて、一次反応器122内へ供給する水酸化ナトリウムの量を制御する制御装置100を備えたものである。
【0023】
上記水熱酸化分解装置120は、サイクロンセパレータ121を併設した筒形状の一次反応器122と、油(又は有機溶剤)、PCB、水(HO)および水酸化ナトリウム(NaOH)の各液123a〜123dを前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプ124a〜124dと、一次反応器122に供給する前記水を予熱する熱交換器125と、一次反応器122に連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器126と、二次反応器126からの処理液を冷却する冷却器127と、冷却器127からの処理液を減圧する減圧弁128と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離器129とを備えてなるものである。
【0024】
さらに、気液分離器129の気体送出側には、活性炭槽130が配置されており、排ガス(CO)131が煙突132から外部へ排出され、液体送出側には、放出タンク134が配置されており、排水(HO,NaCl)133が溜められ、必要に応じて別途排水処理される。
【0025】
なお、油(又は有機溶剤)、PCB、HOおよびNaOHの各液123a〜123dは各タンク135a〜135dから配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ導入される。また、酸素(O)等の酸化剤は高圧酸素供給設備138により供給され、供給配管139は、一次反応器122に対して直結されている。
【0026】
ここで、油(又は有機溶剤)を入れるのは、特に高濃度のPCBの分解反応促進のためと、分解装置120の起動時において反応温度を最適温度まで昇温させるためである。
【0027】
一方、前記制御装置100は、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測する複数の差圧計測センサ101と、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、一次反応器122内の液密度を算出する演算器102と、この演算器102で算出された値が所定の値となるように、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を調整する調整器103とを備えている。このような差圧計測センサ101、演算器102等により、本実施の形態では算出手段を構成している。
【0028】
このようなPCB分解処理システムの作用を次に説明する。
各加圧ポンプ124a〜124dは、油(又は有機溶剤)、PCB、NaOH、HOの各液123a〜123dを各タンク135a〜135d内から配管136a〜136d及びエジェクタ137を介して一次反応器122内にそれぞれ加圧送給し、一次反応器122内を26MPa程度まで昇圧する。また、熱交換器125は、HOを300℃程度に予熱する。また、一次反応器122内には酸素が噴出しており、内部の反応熱により370℃〜400℃まで昇温する。
【0029】
サイクロンセパレータ121は、一次反応器122内で析出したNaCOの結晶粒子の大きなものを分離し、NaCOの微粒子を二次反応器126に送る。このサイクロンセパレータ121の作用により、二次反応器126の閉塞が防止される。この段階までに、PCBは、脱塩素反応および酸化分解反応を起こし、NaCl、COおよびHOに分解されている。
【0030】
つぎに、冷却器127では、二次反応器126からの流体を100℃程度に冷却すると共に後段の減圧弁128にて大気圧まで減圧する。そして、気液分離器129によりCOおよび水蒸気と処理液とが分離され、COおよび水蒸気は、活性炭槽130を通過して環境中に排出される。
【0031】
このような処理により、PCB含有油(例えばトランスやコンデンサ等の絶縁油)のPCBが脱ハロゲン化されビフェニル((C)等の脱ハロゲン化物となり、さらにビフェニルが酸化剤等の作用により酸化分解されてCO、HO等となって完全無害化される。
【0032】
このようなPCBの分解処理中、前記制御装置100は、差圧計測センサ101により、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測し、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、演算器102が一次反応器122内の高さ方向の液密度をリアルタイムに算出している。
【0033】
このとき、上記演算器102で算出された液密度の値が所定の値(350〜600kg/mよりも低い場合には、調整器103が、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を減らすように前記加圧ポンプ124cを調整し、上記演算器102で算出された値が所定の値(350〜600kg/m)よりも高い場合には、調整器103が、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を増やすように前記加圧ポンプ124cを調整する。
【0034】
すなわち、一次反応器122内では、上記分解処理に伴ってCOが発生し、COの発生量が多いと液密度が低下してしまうため、NaOHの供給量を増やしてCOの中和吸収量を多くすることにより液密度の低下を抑制し、COの発生量が少ないと液密度が上昇してしまうため、NaOHの供給量を減らしてCOの中和吸収量を少なくすることにより液密度の上昇を抑制するのである。
【0035】
ここで、一次反応器122内の温度、圧力、液密度の経時変化を図2に示す。図2からわかるように、分解処理開始により、一次反応器122内の温度および圧力は次第に増加し、目的とする値(例えば380℃、27MPa)にまで調整され、これに伴って、液密度が次第に減少し、所定の値(例えば400±30kg/m)を維持できるようにNaOHの供給量が調整されるのである。
【0036】
特に、NaOH等のアルカリの供給量が不足すると、分解反応に伴うCOの発生量が多くなり、液密度が低下し(例えば322kg/m以下)、液密度と温度との関係を表す図4に示すように、一次反応器122内が超臨界領域(純水は22MPaで374℃以上)に達してしまい、一次反応器122内の平均流速が速くなり、分解反応に必要な滞留時間を確保できずに、分解処理効率の低下を招いてしまうのである。
【0037】
そこで、本実施の形態では、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を求め、当該圧力差に基づいて、一次反応器122内の液密度を算出し、この算出された液密度の値が所定の値となるように、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を調整するようにしたのである。
【0038】
このため、高温高圧状態で温度や圧力程度しか計測できない一次反応器122の内部であっても、当該反応器122内の状態量を把握することができ、当該状態量に基づいて上記分解反応を制御することが可能となる。
【0039】
したがって、本実施の形態によれば、上記分解反応状態をリアルタイムに把握して迅速にフィードバック制御することができる。
【0040】
<PCB無害化処理設備>
次に、上記PCB分解処理システムをPCB無害化処理システムに適用した場合を図4を用いて説明する。
【0041】
図4に示すように、PCB無害化処理システムは、有害物質であるPCBが付着又は含有又は保存されている被処理物を無害化する有害物質処理システムであって、被処理物1001である有害物質( 例えばPCB)1002 を保存する容器1003から有害物質1002を分離する分離手段1004と、被処理物1001を構成する構成材1001a,b,…を解体する解体手段1005のいずれか一方又は両方を有する前処理手段1006と、前処理手段1006において処理された被処理物を構成する構成材であるコア1001aをコイル1001bと鉄心1001cとに分離するコア分離手段1007と、分離されたコイル1001bを銅線1001dと紙・木1001eとに分離するコイル分離手段1008と、上記コア分離手段1008で分離された鉄心1001cと解体手段1005で分離された金属製の容器 (容器本体及び蓋等)1003 とコイル分離手段1008で分離された銅線1001dとを洗浄液1010で洗浄する洗浄手段1011と、洗浄後の洗浄廃液1012及び前処理手段で分離した有害物質1002のいずれか一方又は両方を分解処理する有害物質分解処理手段1013とを具備する。
【0042】
このようなPCB無害化処理システムにおいて、前記PCB分解処理システムは、上記有害物質分解処理手段1013に適用される。これにより、常に効率的な分解処理がなされるようなフィードバック制御が可能となる。
【0043】
なお、上記処理システムで処理可能な有害物質としては、PCB(コプラナPCBを含む)の他に、例えば、ポリ臭化ビフェニル、ダイオキシン類、臭化ダイオキシン類、塩化ビニルシート、有害廃棄塗料、廃棄燃料、有害薬品、廃棄樹脂、未処理爆薬等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
また、上記処理システムで処理可能な被処理物としては、例えばPCB含有油を使用したトランスやコンデンサの容器や各種部材、PCB含有塗料の保管容器等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
[第二番目の実施の形態]
本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第二番目の実施の形態を図5を用いて説明する。図5は、ハロゲン化有機化合物分解処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0046】
図5に示すように、本実施の形態にかかるPCB分解処理システムは、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置120を備えたPCB分解処理システムにおいて、一次反応器122内の液密度を求め、その結果に基づいて、一次反応器122内の圧力を制御する制御装置200を備えたものである。
【0047】
上記制御装置200は、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測する複数の差圧計測センサ101と、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、一次反応器122内の液密度を算出する演算器102と、この演算器102で算出された値が所定の値となるように、一次反応器122内の圧力を調整する調整器203とを備えている。
【0048】
このようなPCB分解処理システムにおいて、前記制御装置200は、差圧計測センサ101により、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測し、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、演算器102が一次反応器122内の高さ方向の液密度をリアルタイムに算出する。
【0049】
ここで、上記演算器102で算出された液密度の値が所定の値(350〜600kg/m)よりも低い場合には、調整器203が、一次反応器122内の圧力を高くするように前記減圧弁128を調整し、上記演算器102で算出された値が所定の値(350〜600kg/m)よりも高い場合には、調整器203が、一次反応器122内の圧力を低くするように前記減圧弁128を調整する。
【0050】
すなわち、一次反応器122内では、上記分解処理に伴ってCOが発生し、COの発生量が多いと液密度が低下してしまうため、一次反応器122の内部圧力を高めることにより液密度の低下を抑制し、COの発生量が少ないと液密度が上昇してしまうため、一次反応器122の内部圧力を低くすることにより液密度の上昇を抑制するのである。
【0051】
つまり、前述した第一番目の実施の形態では、一次反応器122内へ供給するNaOHの量により液密度を制御するようにしたが、本実施の形態では、一次反応器122内の圧力により液密度を制御するようにしたのである。
【0052】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができる。
【0053】
[第三番目の実施の形態]
本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第三番目の実施の形態を図6を用いて説明する。図6は、ハロゲン化有機化合物分解処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一,二番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一,二番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0054】
図6に示すように、本実施の形態にかかるPCB分解処理システムは、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置120を備えたPCB分解処理システムにおいて、一次反応器122内の液密度を求め、その結果に基づいて、一次反応器122内の温度を制御する制御装置300を備えたものである。
【0055】
上記制御装置300は、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測する複数の差圧計測センサ101と、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、一次反応器122内の液密度を算出する演算器102と、この演算器102で算出された値が所定の値となるように、一次反応器122内の温度を調整する調整器303とを備えている。
【0056】
このようなPCB分解処理システムにおいて、前記制御装置300は、差圧計測センサ101により、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測し、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、演算器102が一次反応器122内の高さ方向の液密度をリアルタイムに算出する。
【0057】
ここで、上記演算器102で算出された液密度の値が所定の値(350〜600kg/m)よりも低い場合には、調整器203が、一次反応器122内への油(又は有機溶媒)の供給量を減らして一次反応器122内の温度を低くするように前記加圧ポンプ124aを調整し、上記演算器102で算出された値が所定の値(350〜600kg/m)よりも高い場合には、調整器203が、一次反応器122内への油(又は有機溶媒)の供給量を増やして一次反応器122内の温度を高くするように前記加圧ポンプ124aを調整する。
【0058】
すなわち、一次反応器122内では、上記分解処理に伴ってCOが発生し、COの発生量が多いと液密度が低下してしまうため、一次反応器122の内部温度を低くすることにより液密度の低下を抑制し、COの発生量が少ないと液密度が上昇してしまうため、一次反応器122の内部温度を高めることにより液密度の上昇を抑制するのである。
【0059】
つまり、前述した第一番目の実施の形態では、一次反応器122内へ供給するNaOHの量により液密度を制御し、前述した第二番目の実施の形態では、一次反応器122内の圧力により液密度を制御したが、本実施の形態では、一次反応器122内の温度により液密度を制御するようにしたのである。
【0060】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第一,二番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができる。
【0061】
[第四番目の実施の形態]
本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第四番目の実施の形態を図7を用いて説明する。図7は、ハロゲン化有機化合物分解処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一〜三番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一〜三番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0062】
図7に示すように、本実施の形態にかかるPCB分解処理システムは、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置120を備えたPCB分解処理システムにおいて、一次反応器122内の液面高さを求め、その結果に基づいて、一次反応器122内へ供給する水酸化ナトリウムの量を制御する制御装置400を備えたものである。
【0063】
上記制御装置400は、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測する複数の差圧計測センサ101と、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、一次反応器122内の液面高さを算出する演算器402と、この演算器102で算出された値が所定の値となるように、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を調整する調整器103とを備えている。このような差圧計測センサ101、演算器402等により、本実施の形態では算出手段を構成している。
【0064】
このようなPCB分解処理システムにおいて、前記制御装置400は、差圧計測センサ101により、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測し、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、演算器402が一次反応器122内の液面高さをリアルタイムに算出する。
【0065】
ここで、上記演算器402で算出された液面高さが予め設定された一定の高さ(所定の値)よりも低い場合には、調整器103が、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を減らすように前記加圧ポンプ124cを調整し、上記演算器402で算出された値が所定の値(350〜600kg/m)よりも高い場合には、調整器103が、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を増やすように前記加圧ポンプ124cを調整する。
【0066】
すなわち、一次反応器122内では、上記分解処理に伴ってCOが発生し、COの発生量が多いと液面高さが上昇してしまうため、NaOHの供給量を増やしてCOの中和吸収量を多くすることにより液面高さの上昇を抑制し、COの発生量が少ないと液面高さが低下してしまうため、NaOHの供給量を減らしてCOの中和吸収量を少なくすることにより液面高さの上昇を抑制するのである。
【0067】
つまり、前述した第一番目の実施の形態では、一次反応器122内の液密度に基づいて、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を制御するようにしたが、本実施の形態では、一次反応器122内の液面高さに基づいて、一次反応器122内へ供給するNaOHの量を制御するようにしたのである。
【0068】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第一番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができる。
【0069】
[第五番目の実施の形態]
本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第五番目の実施の形態を図8を用いて説明する。図8は、ハロゲン化有機化合物分解処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一〜四番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一〜四番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0070】
図8に示すように、本実施の形態にかかるPCB分解処理システムは、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置120を備えたPCB分解処理システムにおいて、一次反応器122内の液面高さを求め、その結果に基づいて、一次反応器122内の圧力を制御する制御装置500を備えたものである。
【0071】
上記制御装置500は、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測する差圧計測センサ101と、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、一次反応器122内の液面高さを算出する演算器402と、この演算器402で算出された値が所定の値となるように、一次反応器122内の圧力を調整する調整器203とを備えている。
【0072】
このようなPCB分解処理システムにおいて、前記制御装置500は、差圧計測センサ101により、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測し、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、演算器402が一次反応器122内の高さ方向の液面高さをリアルタイムに算出する。
【0073】
ここで、上記演算器402で算出された液面高さが予め設定された一定の高さ(所定の値)よりも低い場合には、調整器203が、一次反応器122内の圧力を高くするように前記減圧弁128を調整し、上記演算器402で算出された液面高さが予め設定された一定の高さ(所定の値)よりも高い場合には、調整器203が、一次反応器122内の圧力を低くするように前記減圧弁128を調整する。
【0074】
すなわち、一次反応器122内では、上記分解処理に伴ってCOが発生し、COの発生量が多いと液面高さが上昇してしまうため、一次反応器122の内部圧力を低くすることにより液面高さの上昇を抑制し、COの発生量が少ないと液面高さが低下してしまうため、一次反応器122の内部圧力を高くすることにより液密度の低下を抑制するのである。
【0075】
つまり、前述した第二番目の実施の形態では、一次反応器122内の液密度に基づいて、一次反応器122内の圧力を制御するようにしたが、本実施の形態では、一次反応器122内の液面高さに基づいて、一次反応器122内の圧力を制御するようにしたのである。
【0076】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第二番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができる。
【0077】
[第六番目の実施の形態]
本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第六番目の実施の形態を図9を用いて説明する。図9は、ハロゲン化有機化合物分解処理システムの概略構成図である。ただし、前述した第一〜五番目の実施の形態の場合と同様な部分については、前述した第一〜五番目の実施の形態の説明で用いた符号と同一の符号を図面に付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0078】
図9に示すように、本実施の形態にかかるPCB分解処理システムは、加熱および加圧された一次反応器122内において炭酸ナトリウムの存在下、PCBを脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置120を備えたPCB分解処理システムにおいて、一次反応器122内の液面高さを求め、その結果に基づいて、一次反応器122内の温度を制御する制御装置600を備えたものである。
【0079】
上記制御装置600は、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測する複数の差圧計測センサ101と、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、一次反応器122内の液面高さを算出する演算器402と、この演算器402で算出された値が所定の値となるように、一次反応器122内の温度を調整する調整器303とを備えている。
【0080】
このようなPCB分解処理システムにおいて、前記制御装置600は、差圧計測センサ101により、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測し、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて、演算器402が一次反応器122内の高さ方向の液面高さをリアルタイムに算出する。
【0081】
ここで、上記演算器402で算出された液面高さが予め設定された一定の高さ(所定の値)よりも低い場合には、調整器303が、一次反応器122内への油(又は有機溶媒)の供給量を減らして一次反応器122内の温度を低くするように前記加圧ポンプ124aを調整し、上記演算器402で算出された液面高さが予め設定された一定の高さ(所定の値)よりも高い場合には、調整器203が、一次反応器122内への油(又は有機溶媒)の供給量を増やして一次反応器122内の温度を高くするように前記加圧ポンプ124aを調整する。
【0082】
すなわち、一次反応器122内では、上記分解処理に伴ってCOが発生し、COの発生量が多いと液面高さが上昇してしまうため、一次反応器122の内部温度を低くすることにより液面高さの上昇を抑制し、COの発生量が少ないと液面高さが低下してしまうため、一次反応器122の内部温度を高くすることにより液密度の低下を抑制するのである。
【0083】
つまり、前述した第三番目の実施の形態では、一次反応器122内の液密度に基づいて、一次反応器122内の温度を制御するようにしたが、本実施の形態では、一次反応器122内の液面高さに基づいて、一次反応器122内の温度を制御するようにしたのである。
【0084】
したがって、本実施の形態によれば、前述した第三番目の実施の形態の場合と同様な効果を得ることができる。
【0085】
[他の実施の形態]
また、前述した第一〜六番目の実施の形態では、一次反応器122内の高さ方向の圧力差を計測する複数の差圧計測センサ101と、差圧計測センサ101での計測結果に基づいて一次反応器122内の液密度または液面高さを算出する演算器102,402と等により算出手段を構成したが、例えば、一次反応器122内の圧力を高さ方向で複数計測する圧力計測センサと、当該圧力計測センサでの計測結果から一次反応器122内の高さ方向の圧力差を求め、当該圧力差に基づいて一次反応器122内の液密度または液面高さを算出する演算器と等により算出手段を構成することも可能である。
【0086】
また、前述した第一〜六番目の実施の形態では、一次反応器122内の液密度または液面高さに基づいて、一次反応器122内の圧力、一次反応器122内の温度、一次反応器122内へ供給するNaOHの量のうちのいずれかを制御するようにしたが、例えば、一次反応器122内の液密度および液面高さの両者に基づいて、一次反応器122内の圧力、一次反応器122内の温度、一次反応器122内へ供給するNaOHの量のすべてを複合的に制御することも可能である。
【0087】
また、前述した第一,四番目の実施の形態においては、廃液のpHを計測し、当該pHに基づいて一次反応器122内に供給するNaOHの量を補助的に微調整するようにしてもよい。
【0088】
また、前述した第一,四番目の実施の形態においては、NaOHを一次反応器122内へ供給するようにしたが、例えば、炭酸ナトリウム等の他のアルカリを供給するようにしてもよい。
【0089】
【発明の効果】
第一番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、加熱および加圧された反応器内において炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲン化有機化合物を脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置を備えたハロゲン化有機化合物分解処理システムにおいて、前記反応器内の液密度および液面高さのうちの少なくとも一方を求め、その結果に基づいて、前記反応器内の圧力、前記反応器内の温度、前記反応器内へ供給するアルカリ量のうちの少なくとも1つを調整する制御手段を備えたので、上記分解反応状態をリアルタイムに把握して迅速にフィードバック制御することができる。
【0090】
第二番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第一番目の発明において、前記水熱酸化分解装置が、サイクロンセパレータを併設した筒形状の一次反応器と、油又は有機溶剤,ハロゲン化有機化合物,水及びアルカリ液を前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプと、前記一次反応器に供給する前記水を予熱する予熱器と、前記一次反応器の前記サイクロンセパレータに連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器と、前記二次反応器からの処理液を冷却する冷却器と、前記冷却器からの処理液を減圧する減圧手段と、減圧された前記処理液を気液分離する気液分離手段とを備えているので、ハロゲン化有機化合物を分解処理して無害化することが確実にできる。
【0091】
第三番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第一番目または第二番目の発明において、前記制御手段が、前記反応器内の圧力差を求め、当該圧力差に基づいて、前記反応器内の液密度および当該反応器内の液面高さのうちの少なくとも一方を算出する算出手段と、前記算出手段で算出された値が所定の値となるように、前記反応器内の圧力、前記反応器内の温度、前記反応器内へ供給するアルカリ量のうちの少なくとも1つを調整する調整手段とを備えているので、高温高圧状態で温度や圧力程度しか計測できない反応器の内部であっても、当該反応器内の状態量を把握することができ、当該状態量に基づいて上記分解反応を迅速にフィードバック制御することができる。
【0092】
第四番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の高さ方向の液密度を算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を増やすように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を減らすように調整するので、上記分解反応状態をリアルタイムに把握して迅速にフィードバック制御することができる。
【0093】
第五番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の高さ方向の液密度を算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内の圧力を高くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内の圧力を低くするように調整するので、上記分解反応状態をリアルタイムに把握して迅速にフィードバック制御することができる。
【0094】
第六番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の高さ方向の液密度を算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内の温度を低くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内の温度を高くするように調整するので、上記分解反応状態をリアルタイムに把握して迅速にフィードバック制御することができる。
【0095】
第七番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を減らすように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を増やすように調整するので、上記分解反応状態をリアルタイムに把握して迅速にフィードバック制御することができる。
【0096】
第八番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内の圧力を高くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内の圧力を低くするように調整するので、上記分解反応状態をリアルタイムに把握して迅速にフィードバック制御することができる。
【0097】
第九番目の発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムは、第三番目の発明において、前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内の温度を低くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内の温度を高くするように調整するので、上記分解反応状態をリアルタイムに把握して迅速にフィードバック制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図2】一次反応器内の温度、圧力、液密度の経時変化を表すグラフである。
【図3】液密度と温度との関係を表すグラフである。
【図4】本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムをPCB無害化処理システムに適用した場合の第一番目の実施の形態の概略構成図である。
【図5】本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第二番目の実施の形態の概略構成図である。
【図6】本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第三番目の実施の形態の概略構成図である。
【図7】本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第四番目の実施の形態の概略構成図である。
【図8】本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第五番目の実施の形態の概略構成図である。
【図9】本発明によるハロゲン化有機化合物分解処理システムの第六番目の実施の形態の概略構成図である。
【図10】水熱酸化分解装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
100,200,300,400,500,600 制御装置
101 差圧計測センサ
102,402 演算器
103,203,303 調整器

Claims (9)

  1. 加熱および加圧された反応器内において炭酸ナトリウムの存在下、ハロゲン化有機化合物を脱ハロゲン化反応および酸化分解反応で無害化させる水熱酸化分解装置を備えたハロゲン化有機化合物分解処理システムにおいて、
    前記反応器内の液密度および液面高さのうちの少なくとも一方を求め、その結果に基づいて、前記反応器内の圧力、前記反応器内の温度、前記反応器内へ供給するアルカリ量のうちの少なくとも1つを調整する制御手段を備えたことを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
  2. 請求項1において、
    前記水熱酸化分解装置が、
    サイクロンセパレータを併設した筒形状の一次反応器と、
    油又は有機溶剤,ハロゲン化有機化合物,水及びアルカリ液を前記一次反応器内に加圧して送給する加圧ポンプと、
    前記一次反応器に供給する前記水を予熱する予熱器と、
    前記一次反応器の前記サイクロンセパレータに連結されて配管を螺旋状に巻いた構成の二次反応器と、
    前記二次反応器からの処理液を冷却する冷却器と、
    前記冷却器からの処理液を減圧する減圧手段と、
    減圧された前記処理液を気液分離する気液分離手段と
    を備えていることを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記制御手段が、
    前記反応器内の圧力差を求め、当該圧力差に基づいて、前記反応器内の液密度および当該反応器内の液面高さのうちの少なくとも一方を算出する算出手段と、
    前記算出手段で算出された値が所定の値となるように、前記反応器内の圧力、前記反応器内の温度、前記反応器内へ供給するアルカリ量のうちの少なくとも1つを調整する調整手段と
    を備えていることを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
  4. 請求項3において、
    前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液密度を算出し、
    前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を増やすように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を減らすように調整する
    ことを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
  5. 請求項3において、
    前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液密度を算出し、
    前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内の圧力を高くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内の圧力を低くするように調整する
    ことを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
  6. 請求項3において、
    前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液密度を算出し、
    前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも小さい場合には前記反応器内の温度を低くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも大きい場合には前記反応器内の温度を高くするように調整する
    ことを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
  7. 請求項3において、
    前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、
    前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を減らすように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内へ供給するアルカリ量を増やすように調整する
    ことを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
  8. 請求項3において、
    前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、
    前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内の圧力を高くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内の圧力を低くするように調整する
    ことを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
  9. 請求項3において、
    前記算出手段が、前記反応器内の圧力差に基づいて、当該反応器内の液面高さを算出し、
    前記調整手段が、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも低い場合には前記反応器内の温度を低くするように調整し、前記算出手段で算出された値が所定の値よりも高い場合には前記反応器内の温度を高くするように調整する
    ことを特徴とするハロゲン化有機化合物分解処理システム。
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