JP2006247580A - 吸着剤の再生方法および塩素光分解性物質含有流体の浄化装置 - Google Patents

吸着剤の再生方法および塩素光分解性物質含有流体の浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】塩素光分解性物質を吸着した吸着剤の再生に際し、また塩素光分解性物質を含有する流体を浄化するに際し、塩素光分解性物質を外部に排出せずに効率的かつ省エネルギーで環境に安全な処理を行う。
【解決手段】塩素光分解性物質を吸着した吸着剤の再生方法であって、水蒸気を含む昇温された空気を吸着剤に接触させて塩素光分解性物質を吸着剤から脱着させ;得られるガスを液体中に導入して気液接触させ;得られるガスを冷却して凝縮液を得、この凝縮液を前記液体とし;得られるガスに塩素を混合し;このガスに光を照射して塩素光分解性物質を分解し;得られるガスを熱アルカリ水溶液中に導入して気液接触させ、光照射で発生した分解生成物を熱アルカリ水溶液中で分解するとともに水蒸気を含む空気を得;この空気を昇温し;昇温された空気を脱着に用いる。吸着と上記再生方法を行う装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機塩素化合物等の、塩素の存在下で光照射によって分解しうる物質を吸着した吸着剤の再生方法に関する。また本発明は、塩素光分解性物質を含有する流体から塩素光分解性物質を吸着分離して分解する塩素光分解性物質含有流体の浄化装置に関する。
活性炭等の吸着剤を用いて、溶剤を含んだ排気等の気体から溶剤を吸着除去し、使用済みの吸着剤を水蒸気等を用いて再生し、再生した吸着剤を用いて再度溶剤を回収する方法は、溶剤回収装置にて一般的に実施されている。
また、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤の溶剤回収装置において、再生に用いた水蒸気を冷却し、溶剤原液と溶剤を溶解した水溶液とに比重分離した後に、溶剤を溶解した水溶液を再び蒸気発生器に戻し循環再利用することにより、塩素系有機溶剤を含んだ排水を排出しない方法が特許文献1に記載されている。
特許第2567541号公報
特許文献1に記載されているような装置では、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤を回収した後、有害性の強い塩素系有機溶剤を産業廃棄物として場外搬出する必要が生ずる。また、場外搬出された塩素系有機溶剤は焼却処理等により処理されるが、処理方法によってはダイオキシン等の極めて毒性の強い副生成物の生成も懸念される。
本発明の目的は、有機塩素化合物等の、塩素の存在下で光照射によって分解しうる物質(以下、塩素光分解性物質という)を吸着した吸着剤の再生に際し、塩素光分解性物質を外部に排出せずに、効率的かつ省エネルギーで環境に安全な処理を行うことのできる吸着剤の再生方法を提供することである。
本発明の別の目的は、塩素光分解性物質を含有する流体から、塩素光分解性物質を吸着分離し、塩素光分解性物質を排出することなく、効率的かつ省エネルギーで分解することのできる上記流体の浄化装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、活性炭吸着等を用いてテトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤を吸着し、水蒸気を含む空気を用いて吸着を終えた活性炭から塩素系有機溶剤を脱着し、塩素系有機溶剤を含む空気に塩素を混合して光照射することで塩素系有機溶剤を分解しハロ酢酸へと変換し、ハロ酢酸を連続的にアルカリ加熱処理により塩素イオンと二酸化炭素に分解無害化し、さらにアルカリ加熱処理の際に発生する水蒸気を吸着剤を脱着する工程にて再利用することにより、吸着剤を再生する際に、外部に溶剤を排出することなく、効率的かつ省エネルギーで環境に安全な処理を行えることを見出し本発明をなすにいたった。
本発明により、塩素の存在下で光照射によって分解しうる物質である塩素光分解性物質を吸着した吸着剤の再生方法であって、
a)水蒸気を含む昇温された空気を吸着剤に接触させて塩素光分解性物質を吸着剤から脱着させる工程;
b)工程aから得られるガスを液体中に導入して気液接触させる工程;
c)工程bから得られるガスを冷却して少なくとも水蒸気を凝縮させて凝縮液を得、該凝縮液を工程bにおける該液体とする工程;
d)工程cから得られるガスに、塩素を混合する工程;
e)工程dから得られるガスに光を照射して塩素光分解性物質を分解する工程;
f)工程eから得られるガスを熱アルカリ水溶液中に導入して気液接触させ、工程eで発生した分解生成物を熱アルカリ水溶液中でさらに分解するとともに、水蒸気を含む空気を得る工程;
g)工程fで得られる水蒸気を含む空気を昇温する工程;および
h)工程gで得られる、水蒸気を含む昇温された空気を工程aに戻す工程
を有する吸着剤の再生方法が提供される。
上記再生方法が、さらに、
i)工程bの液体を工程fの熱アルカリ水溶液に混合する工程
を有することができる。
上記再生方法が、さらに、
j)工程cもしくはdから得られるガスに酸素を混合する工程
を有することができる。
前記塩素光分解性物質が、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびクロロベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも一つであることができる。
前記吸着剤が、活性炭、活性炭繊維、シリカゲル、ゼオライト、多孔質金属および活性白土からなる群から選ばれる少なくとも一つであることができる。
本発明により、塩素の存在下で光照射によって分解しうる物質である塩素光分解性物質を含む流体から、塩素光分解性物質を吸着剤により吸着分離し、塩素光分解性物質を吸着した吸着剤を再生するとともに塩素光分解性物質を分解することにより該流体を浄化する塩素光分解性物質含有流体の浄化装置であって、
塩素光分解性物質を吸着および脱着可能な吸着剤を収容する領域を有する容器である吸着塔と、塩素光分解性物質を吸着剤に吸着させるために塩素光分解性物質を含有する流体を該吸着塔に供給する塩素光分解性物質含有流体供給手段と、塩素光分解性物質を吸着した吸着剤を再生する吸着剤再生装置とを有し、
該吸着剤再生装置が、
水蒸気を含む昇温された空気を吸着塔に供給する水蒸気含有加熱空気供給手段;
液体を収容する領域を有し、吸着塔から排出されるガスを該液体中に導入して気液接触させる気液接触手段;
気液接触手段から得られるガスを冷却して少なくとも水蒸気を凝縮させて凝縮液を得、該凝縮液を該気液接触手段における液体とするための凝縮器;
凝縮器から得られるガスに、塩素を混合する塩素混合手段;
塩素混合手段から得られるガスに光を照射して塩素光分解性物質を分解する塩素光分解手段;
熱アルカリ水溶液を収容する領域を有し、塩素光分解手段から得られるガスを熱アルカリ水溶液中に導入して気液接触させ、塩素光分解手段で発生した分解生成物を熱アルカリ水溶液中でさらに分解するとともに、水蒸気を含む空気を得るアルカリ分解手段;および
アルカリ分解手段から得られる水蒸気を含む空気を昇温する水蒸気含有空気昇温手段
を有する塩素光分解性物質含有流体の浄化装置が提供される。
本発明により、塩素光分解性物質を吸着した吸着剤を再生すると同時に、塩素光分解性物質を効率よく分解無害化することが可能となった。のみならず分解物質を吸着した吸着剤から分解物質を分離する工程において用いる、水蒸気を含む空気を効率よく循環再利用が可能となった。
すなわち本発明により、有機塩素化合物等の塩素光分解性物質を吸着した吸着剤の再生に際し、塩素光分解性物質を外部に排出せずに、効率的かつ省エネルギーで環境に安全な処理を行うことのできる吸着剤の再生方法が提供される。
本発明によれば脱着から分解まで同時かつ連続的に行うことが可能であり、脱着工程の終了を待たずに脱着物質の分解を開始できるため、吸着剤の再生時間を大幅に短縮することができる。
また、本発明により、塩素光分解性物質を含有する流体から、塩素光分解性物質を吸着分離し、塩素光分解性物質を排出することなく、効率的かつ省エネルギーで分解することのできる上記流体の浄化装置が提供される。
本発明において使用できる塩素光分解性物質としては、例えば塩素化エチレン等の塩素系有機溶剤が挙げられる。具体的には、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン(塩化ビニリデン)、trans−1,2−ジクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンを挙げることができる。
塩素光分解性物質を含む流体を吸着剤に接触させることにより、その流体を浄化することができる。この流体は気体であっても液体であってもよく、気体としては例えば塩素系有機溶剤含有排気ガス、塩素系有機溶剤汚染大気、汚染土壌中からの真空抽出ガス、汚染地下水の曝気ガス等が挙げられる。また、液体としては例えば汚染地下水、廃棄物処分場浸出液、塩素系有機溶剤含有産業排水、塩素系有機溶剤含有廃液等が挙げられる。

以下、本発明の形態について図を用いて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(第1の形態)
図1に、本発明の吸着剤の再生方法を実施するに好適な装置の例を示す。
この装置は、塩素光分解性物質に対して吸着及び脱着可能な吸着剤1を充填した吸着塔2、吸着塔2に塩素光分解性物質を含有する流体を供給する塩素光分解性物質含有流体供給手段3、吸着塔出口ガス(脱着した塩素光分解性物質と水蒸気とを含む空気)を冷却して少なくも水蒸気を凝縮させて凝縮液を得る凝縮器5、凝縮液20を貯留する受器6、凝縮液を吸着塔出口ガスによって曝気するための散気管4、凝縮器出口ガスに混合する塩素を供給する塩素供給手段8、塩素光分解性物質と塩素を含む混合ガスを流通させる反応槽9、反応槽を流通するガスに光を照射する光照射手段10、熱アルカリ水溶液27を収容するアルカリ分解槽11、アルカリ分解槽11内の熱アルカリ水溶液27を加熱するためのアルカリ加熱ヒーター28、アルカリ分解槽11から発生する水蒸気を含む空気を昇温する水蒸気含有空気加熱ヒーター29を有する。
なお、熱アルカリ水溶液は、アルカリを含む昇温された水溶液である。
この装置による処理は、例えば次のようにして行われる。
まず、吸着塔2のバルブ16及びバルブ17を開放し、バルブ18及び19を閉鎖した状態で、塩素光分解性物質含有流体供給手段3から、塩素光分解性物質を含有する流体を配管12を経由し吸着塔2に導入することにより、塩素光分解性物質が吸着剤1に吸着され、浄化された流体が配管13を経由して系外に排出される。
吸着剤1が塩素光分解性物質によって破過する前にバルブ16及びバルブ17を閉鎖し、塩素光分解性物質の吸着塔2への吸着を終了する。
次にバルブ18及びバルブ19を開放し、ブロワ21を運転し、ブロワ21からの気体の流れが配管22、反応槽9、配管26、散気管7、アルカリ分解槽11、水蒸気含有空気加熱ヒーター29、配管14、バルブ18、吸着塔2、バルブ19、配管15、散気管4、受器6、凝縮器5を経由しブロワ21に戻るよう気体を循環させる。
この気体の循環経路においてアルカリ加熱ヒーター28により熱アルカリ水を加熱することにより水蒸気を含む空気をアルカリ分解槽から発生させ、さらに水蒸気含有空気加熱ヒータにより昇温した水蒸気を含む空気を配管14及びバルブ18を経由し吸着塔2に導入する。水蒸気を含む空気は、吸着塔2内の吸着剤1と接触し、吸着剤に吸着した塩素光分解性物質を吸着剤から脱着する。
塩素光分解性物質と水蒸気を含む空気は、バルブ19、配管15、散気管4を経由し、受器6内部の液体と気液接触する。受器には凝縮器から供給される凝縮液20が収容される。受器内で水蒸気の一部が凝縮してもよく、塩素光分解性物質が凝縮や溶解等により凝縮水20に含有されてもよい。
受器6出口ガスが凝縮器5に供給されて冷却され、少なくとも水蒸気が凝縮し、得られた水が凝縮器から受器に供給される(ここでは水が重力により落下して受器に入る)。このとき、塩素光分解性物質が凝縮してもよい。凝縮器5の冷却温度での蒸気圧に相当する濃度以下の塩素光分解性物質を含んだガス(水蒸気および空気も含む)が凝縮器から排出される。
なお、再生初期など、凝縮器入口ガス中の塩素光分解性物質濃度が高い場合には、凝縮器において塩素光分解性物質が凝縮して受器に蓄積し、凝縮器出口ガス中の塩素光分解性物質濃度は、凝縮器にて冷却され凝縮器出口でのガス温度の蒸気圧に相当する濃度となりうる。再生終期など、凝縮器入口ガス中の塩素光分解性物質濃度が低い場合には、凝縮器において塩素光分解性物質は実質的に凝縮せず、凝縮器出口ガス中の塩素光分解性物質の濃度も無視しうる程度になりうる。
凝縮器出口ガスは再びブロワ21より配管22に送り込まれる。ブロワ21より配管22に送り込まれた塩素光分解性物質を含んだ空気は、塩素供給手段8から発生した塩素と配管22中で混合させて混合ガスとしたうえで、反応槽9に導入する。反応槽9に入った塩素光分解性物質と塩素を含有する気体はブラックライト等の光照射手段10により光照射され、それによって塩素系有機溶剤等の塩素光分解性物質が分解される。
光照射によって発生した分解生成物を含む反応槽出口ガス(余剰の塩素を含んでもよい)は配管26、散気管7を経由し、アルカリ分解槽11内の熱アルカリ水溶液中に導入され気液接触し、上記分解生成物が熱アルカリ水溶液によってさらに分解される。
アルカリ分解槽11から排出されるガスは空気と水蒸気を含む。水蒸気については、熱アルカリ水溶液がアルカリ加熱ヒーター28によって加熱されて比較的高温になっているため、熱アルカリ水溶液から水蒸気が発生し、反応槽出口配管26における水蒸気量よりも、アルカリ分解槽から排出される水蒸気量を多くすることができる。
アルカリ分解槽から排出される水蒸気を含む空気は水蒸気含有空気加熱ヒーター29にてさらに加熱され昇温され、吸着塔へと循環される。
以上が塩素光分解性物質含有流体の浄化の概略であるが、次に各工程をさらに具体的に説明する。
<吸着工程>
吸着工程では、塩素光分解性物質含有流体供給手段からの塩素光分解性物質を吸着剤に吸着させる。塩素光分解性物質含有流体供給手段としては、塩素光分解性物質を含む流体、例えば塩素光分解性物質を空気中に含むガスや塩素分解性物質を含む水を供給可能なものが適宜利用できる。吸着塔2に充填する吸着剤1としては、吸着対象物質の吸着速度及び吸着容量において優れたものが好ましく。さらに、水蒸気を含む空気によって、吸着した塩素光分解性物質を容易に脱離するものが好ましい。このような吸着剤の種類としては、例えば、活性炭、活性炭繊維、シリカゲル、ゼオライト、多孔質金属、活性白土を挙げることができる。多孔質金属としては、鉄やアルミナなどの微粉末を焼成した多孔質金属を用いることができる。これらの吸着剤は、単独で用いてもよいし、複数種を用いてもよい。複数種用いる場合は、それらを混合してもよいし、あるいは種類ごとに層状にし、多層構造の充填層としてもよい。
吸着剤のサイズ・形状としては、吸着剤を吸着塔に充填し、この吸着塔に流体を流通させた場合に所望の流入速度が得られる程度の圧損の範囲に収まるような粒径、形状を適宜選択することができる。
吸着塔の形状としては公知の吸着塔形状から適宜選択できるが、円筒状など、一端から供給した流体がなるべく層流となって他端まで送られる形状が好ましい。また、吸着塔は必ずしも一つに限定されるものではなく、複数の吸着塔を並列に配置し交互に吸着及び脱着を行うことも可能である。
<脱着工程>
脱着工程(工程a)において、水蒸気を含む昇温された空気を吸着剤に接触させて塩素光分解性物質を吸着した吸着剤から塩素光分解性物質を脱着させる。この空気は、ブロワ21により系内を循環する水蒸気を含む空気と、アルカリ分解槽11にて熱アルカリ水27より発生する水蒸気が混合した、水蒸気を含む空気を、水蒸気含有空気加熱ヒーター29により加熱昇温することにより得られる。この水蒸気を含む昇温された空気を配管14及びバルブ18を経て吸着塔2に導入して脱着を行うことができる。
脱着工程において用いられる水蒸気を含む空気の温度は水蒸気発生温度以上であれば特に限定されず、塩素光分解性物質の熱分解温度、吸着塔や吸着剤、後段の凝縮器の材質等の条件に応じて適宜選択することができる。例えば大気圧において90℃以上の水蒸気を含む空気を用いることができる。吸着剤からの塩素光分解性物質脱離効率の観点から、水蒸気を過熱状態とすることが好ましく、この空気の温度は100℃を超えることが好ましく、装置の耐圧、耐熱等の安全性の観点から200℃以下とすることが好ましい。
また、配管内での凝縮を防止する目的で配管14、バルブ18、吸着塔2などをヒーター等にて加温または保温することもできる。
<気液接触工程>
気液接触工程(工程b)においては、脱着工程から得られるガス(脱気気体)を液体中に導入して気液接触させる。この液体として、後述の凝縮工程で得られる凝縮液を用いる。例えば、受器6に収容される凝縮液20を脱着気体によって曝気することにより、脱着気体を凝縮液20と気液接触させることができる。
なお、受器6が空の状態で再生処理を開始することができるが、その場合、凝縮液が受器に溜まるまでの間は、気液接触工程が行われなくてよい。あるいは、予め受器に水を収容させておいたうえで再生処理を開始すれば、再生処理開始時から気液接触工程を行うことができる。
曝気風量としては、曝気に用いる気体中の塩素光分解性物質や曝気気体の風量として後段の塩素光分解工程における塩素光分解性物質分解反応にとって好適なものをブロワ21の空気循環量を設定することができる。なお、塩素光分解性物質分解反応において好適な空気循環量として、反応槽9における塩素光分解性物質を含むガスの滞留時間を20秒以上に設定することができる。
また受器内の凝縮液20に含まれる塩素光分解性物質を効率よく気化させるために、曝気と共にこの凝縮液を加熱しても良い。これによって曝気風量を抑えて曝気後の気体中の塩素光分解性物質濃度を上げることができる。このときの凝縮液の加熱温度は、気化させたい塩素光分解性物質の濃度や種類に応じて適宜設定すれば良いが、例えば30〜90℃などの温度に設定することができる。
また、再生処理初期など凝縮液20中の塩素光分解性物質濃度が高いときには凝縮液の加熱を行わないか、もしくは加熱温度を相対的に低くし、再生処理が進み、凝縮液20中の塩素光分解性物質濃度が低下して曝気後の気体中の塩素光分解性物質濃度が低下した場合に、加熱温度を相対的に高くすることにより塩素光分解性物質の気化を促進することも有効な方法である。また高濃度の塩素光分解性物質の凝縮を防止する目的で再生処理開始時から凝縮液を加熱しても良い。
凝縮液20の加熱のために、受器の凝縮液が貯留される空間に加熱用ヒーターを設置したり、受器の外壁に接してヒーターを設けたりすることができる。
<凝縮工程>
凝縮工程では、気液接触工程を経た(再生初期など、一時的には気液接触していなくてもよい)ガスを、冷却して少なくとも水蒸気を凝縮させて凝縮液を得る。この凝縮液は気液接触工程における液体として用いる。
このために、塩素光分解性物質を含む吸着塔出口ガス(脱着気体)を受器6を経て凝縮器5に導入して冷却し、少なくとも水蒸気を凝縮させて凝縮液を得ることができる。凝縮器では吸着塔出口ガスを冷却媒体と間接的に接触させて上記冷却を行うことができる。得られた凝縮液は、凝縮液の下方に設置した容器(受器6)に重力によって自然に落下させ、容器内に貯留することができる。
例えば、脱着気体が流通する塔(冷却塔)内に、冷却媒体が内部に流通する冷却管を配し、冷却管表面において凝縮した凝縮液を塔下方に設置した受器に貯留することができる。また、これとは逆に蛇管や玉入管等の冷却管を冷却塔の中に設置し、その冷却管内に脱着気体を流通させ、冷却媒体を冷却管の外側に流通させることによって、管内に生成した凝縮液を冷却管下方に設置した受器に貯留することもできる。
冷却媒体としては、水や不凍液を用いればよく、冷却管や冷却塔にこれら冷却媒体を循環させることにより冷却を行うことができる。冷却を終えた冷却媒体の冷却としては、公知の冷却方法を適宜採用でき、例えば冷却媒体を低温恒温水槽内を循環させる、冷却水循環器を使用する等によって行うことができる。
脱着気体の冷却に供する冷却媒体の温度としては水蒸気の凝縮が可能な温度であれば良く、脱着気体の量・温度、冷却時間、冷却効率、冷却後の気体中の塩素光分解性物質濃度等によって適宜設定することができるが、例えば凝縮液が凍結しない、4℃〜10℃程度を使用するのが好ましい。
凝縮器からは、水蒸気と、凝縮の温度での蒸気圧に相当する濃度以下の塩素光分解性物質とを含む空気が排出される。凝縮液は液化した水を含み、さらに吸着塔出口の脱着気体中の塩素光分解性物質濃度や凝縮の温度などの条件に応じた濃度の塩素光分解性物質を含む。さらにこれら以外に用いた気体成分が溶解している場合もある。塩素光分解性物質と水の量の割合によっては、塩素光分解性物質が水に完全に溶解した状態や塩素光分解性物質が水から分離した状態で存在している状態がありうる。
再生処理の初期においては、再生処理の後期に比べ、脱着気体中の塩素光分解性物質濃度が比較的高い。再生処理初期において脱着気体中に高濃度の塩素光分解性物質が含まれている場合であっても、凝縮器から排出されるガス中の塩素光分解性物質濃度は、凝縮の温度での蒸気圧に相当する濃度におおよそ制限される。このとき、受器に収容される凝縮液20中に塩素光分解性物質が蓄積される。一方、再生処理が進むと、脱着気体中の塩素光分解性物質の濃度は薄くなり、脱着気体を凝縮液20に導入して気液接触させることにより、凝縮液中の塩素光分解性物質を気化して反応槽へと送ることができる。このように、受器と凝縮器を用いて、反応槽入口ガス中の塩素光分解性物質および水蒸気の濃度を調節することが可能となり、その結果反応槽において効率良く塩素光分解性物質を分解することが可能となる
また、凝縮器にて水蒸気を凝縮させることは、凝縮器下流の機器や配管において凝縮水によるトラブルを防止するために有効である。
<塩素混合工程>
塩素混合工程(工程d)では、凝縮器出口ガス(塩素光分解性物質と水蒸気とを含む空気)に、反応槽9の上流において塩素を混合する。塩素の混合方法は特に限定されず、塩素光分解性物質含有気体が流通する配管に塩素を供給する配管が合流する形とする、などの方法を用いればよい。
供給する塩素の発生源としては塩素を発生することのできる公知のものを適宜用いることができるが、例えば塩素ボンベを用いる方法、電解質溶液の電気分解による方法、次亜塩素酸水溶液を用いる方法、などを用いることができる。
電気分解により塩素ガスを発生させる方法では、電解質溶液として、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの塩化物塩や塩酸など、塩素イオンを含有する水溶液を用いる。このときの電解質濃度としては、所望とする塩素濃度(反応槽9入口ガス中の塩素濃度)に応じて適宜設定すればよいが、0.01〜1mol/Lとするのが好ましい。またこのとき、塩素の発生効率を高めるため、水溶液のpHを酸性に、好ましくはpH1〜4に調整しても良い。こうした水溶液に電極を浸漬し、電圧を印加することによって陽極において塩素が発生する。印加する電圧、電流としては、所望とする塩素濃度(反応槽9入口ガス中の塩素濃度)に応じて適宜設定すればよいが、1〜10V、1〜10A程度とすれば良い。また、このとき使用する電極材料としては、耐腐食性の高いチタンなどを使用すればよい。また、反応に必要な塩素ガスの発生量はファラデーの法則に従い、電流値を制御することにより設定すればよい。
発生する塩素を効率よく反応槽に送り込むため、電気分解を行いながら水溶液を系内を循環する空気などで曝気してもよい。例えばブロワ21の出口ガスで電気分解に用いる電解質溶液を曝気し、曝気後のガスに塩素を含ませることができる。
また、この電気分解において発生する塩素のみを選択的に供給するために、電極間にイオン交換膜等の隔膜を設置しても良い。
次亜塩素酸水溶液を用いる方法では、次亜塩素酸水溶液を酸性に調整することによってて塩素ガスを発生させることができる。さらに発生する塩素を効率よく反応槽に送り込むため、水溶液を系内を循環する空気などで曝気してもよい。使用する次亜塩素酸として、次亜塩素酸塩、例えば次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等が使用できる。次亜塩素酸水溶液の次亜塩素酸塩の濃度としては、適宜設定できるが、1〜20質量%の範囲内とすればよく、調整するpHは1〜4が好ましい。pHは無機酸または有機酸を加えることで調整すればよい。
塩素光分解性物質含有気体(凝縮を終えたガス。図1ではブロワ21下流のライン22を流れるガス)への塩素の混合割合は、凝縮を終えたガス中の塩素光分解性物質濃度、及び反応槽9内における混合気体の滞留時間によって適宜決定できるが、例えば反応槽での混合気体の滞留時間が1分で、混合気体の塩素光分解性物質がテトラクロロエチレンの場合、テトラクロロエチレン濃度が100ppm以上のときには、塩素濃度をテトラクロロエチレン濃度の30体積%程度に設定すればよい。
<塩素光分解工程>
塩素光分解性物質含有気体に塩素を混合した後、塩素光分解工程(工程e)にて、光を照射することによって気体中の塩素光分解性物質を分解する。
反応槽9において、凝縮を終えたガスと塩素を混合した混合気体に光を照射するために、反応槽に塩素光分解性物質含有気体と塩素を混合した気体を流通させながら、反応槽の中、または外に設置した光照射手段から反応槽内に光を照射することができる。光照射手段として、例えば、ガラスを透過することのできる好ましくは波長300〜500nmの光、さらに好ましくは波長350〜450nmの光を使用することができる。光の強度は例えば、0.1mW/cm2以上の強度とすることができる。
塩素光分解性物質の分解機構としては、塩素が光の照射によってラジカルを形成し、それがさらに多種のラジカル種を生成しながら塩素光分解性物質に対して作用し、塩素光分解性物質からの塩素の脱離、及び塩素光分解性物質の酸化がなされると考えられている。
塩素や光、さらにラジカル活性種の被曝がなされる反応槽や配管には、それらに耐久性のある材質を選ぶことが好ましい。
<アルカリ処理工程>
次のアルカリ処理工程(工程f)においては、得られるガスを熱アルカリ水溶液中に導入して気液接触させ、塩素光分解工程で発生した分解生成物を熱アルカリ水溶液中でさらに分解するとともに、水蒸気を含む空気を得る。これにより、塩素光分解工程において発生した塩素光分解性物質の分解生成物(塩素光分解生成物という)のさらなる分解処理を行う。
塩素光分解生成物は、例えば、塩素光分解性物質が塩素化エチレンである場合、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、モノクロロ酢酸などのクロロ酢酸である。通常クロロ酢酸は、常温で液体であるため、塩素光分解工程において発生したクロロ酢酸は分解処理後の気体(反応槽9出口ガス)中にミスト状で存在している。
分解生成物処理方法としては、アルカリ加熱法を用いる。
アルカリ加熱法では、塩素光分解生成物を熱アルカリ水溶液中に導入することによって塩素光分解生成物を分解する。
熱アルカリ水溶液中に塩素光分解生成物を導入する方法としては、まずミスト状等の塩素光分解生成物を含む塩素光分解工程後の処理気体(反応槽9出口ガス)をアルカリ分解槽11内の熱アルカリ水溶液27に散気管7等を用いて直接曝気し、塩素光分解生成物を溶液中に溶解させる方法が挙げられる。このとき、塩素光分解生成物を熱アルカリ水溶液に吸収させることにより、アルカリによって塩素光分解生成物をさらに分解すると同時に、反応槽出口ガス中の残留塩素に除去することができる。このため、アルカリ分解槽から排出されるガスは塩素を含まず、従ってこのガスを水蒸気含有空気加熱ヒーター29により加熱し、再び、水蒸気を含む空気として吸着剤の脱着に効率よく循環再利用することが可能となる。
熱アルカリ水溶液中の塩素光分解生成物の濃度としては、例えば1,000mg/Lから100,000mg/Lの範囲とすればよいが、分解効率の点で100,000mg/L程度の高濃度であることが好ましい。
アルカリとしては水酸化ナトリウム等を用いればよく、溶液中のアルカリ濃度は塩素光分解生成物の濃度や反応時間に応じて適宜設定すればよいが、例えば2質量%から20質量%の範囲とすればよい。また、過硫酸塩等の酸化剤を熱アルカリ水溶液に添加しても良い。加熱温度は80℃以上が好ましく、例えば95℃で行えばよい。
アルカリ加熱法によって塩素光分解生成物をほとんど完全に分解して二酸化炭素と塩素イオンとし、溶液中の有機物としては分解条件に応じてギ酸、酢酸、シュウ酸などの脱塩素された有機酸が微量に残留するのみとすることができる。
(第2の形態)
図2には、本発明の吸着剤再生方法を好適に実施しうる装置の別の例を示す。この装置は、吸着塔2、受器8、凝縮器5、ブロワ21、反応槽9、アルカリ分解槽11および水蒸気含有空気加熱ヒーター29を有する循環系を循環するガス(循環ガス)に、酸素を補給するための酸素供給手段25を有する。
この装置は、例えば、吸着剤に吸着した塩素光分解性物質の量が比較的多く、系内を循環するガス中に、塩素光分解性物質を分解するに好適な量の酸素が含まれない場合などにおいて、循環ガスに酸素を補給することにより、効率よく塩素光分解反応を進行させることを可能とするものである。
図2に示す例は、反応槽9上流の配管22中に、酸素供給手段25から配管25をへて酸素を供給し、凝縮器出口ガス(ブロワ出口ガス)に酸素を混合すること以外は、図1を用いて説明した例と同様である。
酸素供給手段としては上記のように導入経路に酸素を気体状態で導入することもでき、あるいは、加熱、光もしくはその他の刺激により酸素を発生可能な紛体等の固形物を導入経路に導入し反応により酸素を発生する手段であってもよい。酸素が循環ガスに均一に混合されやすい点から、気体状態の酸素を供給可能であることが好ましく、例えば酸素ボンベ等を用いることができる。
循環ガスに酸素を混合する位置は、循環系のいずれの位置でもよいが、反応で減少する酸素を反応空間である反応槽に直接導入できるという観点から、図2に示すように反応槽9の直上流に酸素を供給することが好ましい。
(第3の形態)
図3には、本発明の吸着剤再生方法を好適に実施しうる装置のさらに別の例を示す。この装置は、受器6に収容される凝縮液20を連続的あるいは間欠的にアルカリ分解槽27に送る凝縮水移送手段を備える点以外は、図2を用いて説明した例と同様である。
アルカリ分解槽11ではアルカリ水溶液から水蒸気が発生し、一方、主に凝縮器で水蒸気が凝縮し、水が受器6に貯留される。従って、吸着剤の再生を長時間継続した結果、アルカリ分解槽から受器へと水が移動し、水の過不足を生じる場合がある。このような場合に、この装置は好適に用いられる。
凝縮水移送手段は、例えばポンプ30と適宜設置した配管で構成することができ、ポンプを連続的あるいは間欠的に作動させて凝縮水を移送することができる。
本発明の塩素光分解性物質含有流体の浄化装置は、塩素光分解性物質を吸着および脱着可能な吸着剤を収容する領域を有する容器である吸着塔と、塩素光分解性物質を吸着剤に吸着させるために塩素光分解性物質を含有する流体を該吸着塔に供給する塩素光分解性物質含有流体供給手段と、塩素光分解性物質を吸着した吸着剤を再生する吸着剤再生装置とを有する。
そしてこの吸着剤再生装置が、
水蒸気を含む昇温された空気を吸着塔に供給する水蒸気含有加熱空気供給手段;
液体を収容する領域を有し、吸着塔から排出されるガスを該液体中に導入して気液接触させる気液接触手段;
気液接触手段から得られるガスを冷却して少なくとも水蒸気を凝縮させて凝縮液を得、該凝縮液を該気液接触手段における液体とするための凝縮器;
凝縮器から得られるガスに、塩素を混合する塩素混合手段;
塩素混合手段から得られるガスに光を照射して塩素光分解性物質を分解する塩素光分解手段;
熱アルカリ水溶液を収容する領域を有し、塩素光分解手段から得られるガスを熱アルカリ水溶液中に導入して気液接触させ、塩素光分解手段で発生した分解生成物を熱アルカリ水溶液中でさらに分解するとともに、水蒸気を含む空気を得るアルカリ分解手段;および
アルカリ分解手段から得られる水蒸気を含む空気を昇温する水蒸気含有空気昇温手段
を有する。
本発明の塩素光分解性物質含有流体の浄化装置において、吸着塔、塩素光分解性物質含有流体供給手段はこれまで説明したとおりである。
気液接触させる気液接触手段は、前述の受器6と散気管4とで構成できる。凝縮器は前述の通りである。塩素混合手段は、前述の塩素供給手段8と適宜配管(配管23など)を用いて構成できる。塩素光分解手段は、前述の反応槽9と光照射手段10で構成できる。アルカリ分解手段は、前述のアルカリ分解槽11、散気管7およびアルカリ加熱ヒーター28で構成できる。水蒸気含有空気昇温手段は、前述の水蒸気含有空気加熱ヒーターで構成できる。水蒸気含有加熱空気供給手段は、水蒸気含有空気昇温手段から得られるガスを吸着塔に導く配管で適宜構成できる。
また、これまでに説明したように、気体を循環させるためのブロワ等の昇圧手段や、吸着のための流路と、脱着のための流路を切り替えるためのバルブ等の流路切り替え手段は適宜設けられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す構成を有する装置を用いた。
吸着塔2としては、直径600mm、高さ500mmの円筒状のものを用い、吸着剤1として粒状活性炭(日本エンバイロケミカル社製、商品名:粒状白鷺G2C4/8)を60kg充填して用いた。
塩素供給手段8には、30質量%の塩酸をチタン製の電極(正負の電極の間には、イオン交換膜を設置)にて電気分解を行い、陽極側から塩素ガスを発生させる塩素発生装置を用いた。
反応槽9(直径20cm、長さ1mのステンレス製容器)内には光照射手段10としてブラックライト((株)東芝製、商品名:FLB10BLB、10W、ピーク波長360nm)を挿入した。
アルカリ分解槽11には50Lのステンレス製容器を用いた。アルカリ分解槽の内部に、アルカリ加熱ヒーター28として電気ヒーター(三相200V、10kw)を取り付け、20質量%水酸化ナトリウム水溶液を95℃に加熱した(再生処理時)。
水蒸気含有空気加熱ヒーター29には、電気ヒーター(三相200V、2kw)を用いた。塩素光分解性物質含有流体供給手段3から、テトラクロロエチレンを含む工場排ガスを導入した。
まず、バルブ16及びバルブ17を開き、バルブ19及びバルブ18を閉じた状態で、テトラクロロエチレンを作業工程にて取り扱う工場排ガスを吸着塔2に通風した。
この時の工場排ガスは、テトラクロロエチレン濃度5体積ppm、排ガス風量5m3/分にて吸着塔2に24時間連続で通風した。
この時の吸着塔出口ガス中のテトラクロロエチレン濃度は24時間連続して1ppm未満であった。
その後、吸着塔2のバルブ16及びバルブ17を閉じ工場排ガスの導入を停止し、バルブ19及びバルブ18を開き活性炭の再生を実施した。
最初にブロワ21を運転し、5L/分にて系内の空気を循環した。なお、再生処理開始前に系内は大気開放されており、空気が存在していた。
その後、塩素ガスを塩素供給手段から配管23を通して循環系内(配管22)に導きいれた。
また、熱アルカリ水溶液27から発生する水蒸気を含んだ空気を水蒸気含有空気加熱ヒーター29にて105℃に加熱した後、吸着塔2内の吸着剤の脱着に用いた。吸着剤を脱着した水蒸気を含む空気は受器6を経由し、凝縮器5(10℃の冷却水が供給される)にて冷却され、凝縮器出口ガスが凝縮器5の冷却温度とおおよそ等しい温度(10℃)にまで冷却され、凝縮器出口ガス温度での蒸気圧に相当するテトラクロロエチレンおよび水蒸気を含む空気がブロワ21の入口に戻され、一方、ガスに含まれなかった分のテトラクロロエチレンと水が受器6に溜まった。
ブロワで昇圧されたガスを前述の塩素発生装置から得られる塩素ガスと混合した。得られたガスに反応槽9内でブラックライト10から光照射した。これにより、塩素とテトラクロロエチレンとの共存下でテトラクロロエチレンを分解してトリクロロ酢酸が生成した。
反応槽出口ガスにはこのトリクロロ酢酸と余剰の塩素が含まれ、このガスを用いて熱アルカリ水溶液27をバブリングした。これにより、トリクロロ酢酸と塩素は熱アルカリ水溶液に吸収され、かつトリクロロ酢酸は塩素イオンと二酸化炭素に、塩素ガスは塩素イオンにそれぞれ連続的に分解された。
この再生初期の、反応槽9入口におけるガスをサンプリングし濃度を測定したところ、テトラクロロエチレン濃度は約15,000体積ppm、塩素ガス濃度は5,000体積ppmVであった。また、反応槽出口のテトラクロロエチレン濃度は1体積ppm以下であり分解を確認した。また、アルカリ分解槽では、吸収した塩素ガス及び連続的にハロ酢酸が完全分解した時に発生する塩素イオンの増加を確認した。
この連続的なテトラクロロエチレンの吸着剤からの脱着及びテトラクロロエチレンの分解を5時間継続したところ、テトラクロロエチレンの吸着量の約60%を脱着しその場で分解することができた。さらに、5時間経過後に再び吸着塔2のバルブ16及びバルブ17を開き、バルブ19及びバルブ18を閉じた状態で上記工場排ガスを吸着塔に流し、テトラクロロエチレンを吸着させたところ、初期の吸着除去性能と同等の性能を確認した。以上の結果より吸着剤の再生処理方法として安定的に処理できることを確認した。
[実施例2]
図3に示す構成を有する装置を用いた。この装置は、酸素供給手段25としての酸素ボンベから酸素を供給するステンレス製の配管24、受器の底部とアルカリ分解槽の上部を接続する配管、この配管に設けられたポンプ30を有する。またアルカリ分解槽11として20Lのステンレス製容器を用い、アルカリ加熱ヒーター28に電気ヒーター(三相200V、10kw)を用いた。この装置はこれ以外は実施例1と同様の装置とした。
再生処理時、熱アルカリ水溶液を100℃の沸騰状態とし、熱アルカリ水溶液から発生する水蒸気を含んだ空気を水蒸気含有空気加熱ヒーター29にて110℃に加熱した。また、受器6から凝縮水をポンプ30で連続的にアルカリ分解槽11に移送した。これ以外は、実施例1と同様にして吸着剤の再生を実施した。酸素供給手段としては酸素純度99.9体積%の充填ガス量7,000Lの酸素ボンベを用い、減圧弁にて0.02MPaG(Gはゲージ圧を表す)に減圧したのちステンレス製の配管24を経由して塩素ガスを含む反応槽出口ガスと混合し、反応槽にて分解を行った結果、安定的に吸着剤の再生が進みさらに水蒸気の循環も可能なことを確認した。
本発明の再生方法を行うに好適な装置の一例を示す概略図である。 本発明の再生方法を行うに好適な装置の別の例を示す概略図である。 本発明の再生方法を行うに好適な装置のさらに別の例を示す概略図である。
符号の説明
1 吸着剤
2 吸着塔
3 塩素光分解性物質含有流体供給手段
4、7 散気管
5 凝縮器
6 受器
8 塩素供給手段
9 反応槽
10 光照射手段
11 アルカリ分解槽
12、13、14、15、22、23、24、26 配管
16、17、18、19 バルブ
20 凝縮液
21 ブロワ
25 酸素供給手段
27 熱アルカリ水溶液
28 アルカリ加熱ヒーター
29 水蒸気含有空気加熱ヒーター
30 ポンプ

Claims (6)

  1. 塩素の存在下で光照射によって分解しうる物質である塩素光分解性物質を吸着した吸着剤の再生方法であって、
    a)水蒸気を含む昇温された空気を吸着剤に接触させて塩素光分解性物質を吸着剤から脱着させる工程;
    b)工程aから得られるガスを液体中に導入して気液接触させる工程;
    c)工程bから得られるガスを冷却して少なくとも水蒸気を凝縮させて凝縮液を得、該凝縮液を工程bにおける該液体とする工程;
    d)工程cから得られるガスに、塩素を混合する工程;
    e)工程dから得られるガスに光を照射して塩素光分解性物質を分解する工程;
    f)工程eから得られるガスを熱アルカリ水溶液中に導入して気液接触させ、工程eで発生した分解生成物を熱アルカリ水溶液中でさらに分解するとともに、水蒸気を含む空気を得る工程;
    g)工程fで得られる水蒸気を含む空気を昇温する工程;および
    h)工程gで得られる、水蒸気を含む昇温された空気を工程aに戻す工程
    を有する吸着剤の再生方法。
  2. さらに、
    i)工程bの液体を工程fの熱アルカリ水溶液に混合する工程
    を有する請求項1記載の方法。
  3. さらに、
    j)工程cもしくはdから得られるガスに酸素を混合する工程
    を有する請求項1または2記載の方法。
  4. 前記塩素光分解性物質が、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、トランス−1,2−ジクロロエチレン、クロロホルム、ジクロロメタンおよびクロロベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜3の何れか一項記載の方法。
  5. 前記吸着剤が、活性炭、活性炭繊維、シリカゲル、ゼオライト、多孔質金属および活性白土からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項1〜4の何れか一項記載の方法。
  6. 塩素の存在下で光照射によって分解しうる物質である塩素光分解性物質を含む流体から、塩素光分解性物質を吸着剤により吸着分離し、塩素光分解性物質を吸着した吸着剤を再生するとともに塩素光分解性物質を分解することにより該流体を浄化する塩素光分解性物質含有流体の浄化装置であって、
    塩素光分解性物質を吸着および脱着可能な吸着剤を収容する領域を有する容器である吸着塔と、塩素光分解性物質を吸着剤に吸着させるために塩素光分解性物質を含有する流体を該吸着塔に供給する塩素光分解性物質含有流体供給手段と、塩素光分解性物質を吸着した吸着剤を再生する吸着剤再生装置とを有し、
    該吸着剤再生装置が、
    水蒸気を含む昇温された空気を吸着塔に供給する水蒸気含有加熱空気供給手段;
    液体を収容する領域を有し、吸着塔から排出されるガスを該液体中に導入して気液接触させる気液接触手段;
    気液接触手段から得られるガスを冷却して少なくとも水蒸気を凝縮させて凝縮液を得、該凝縮液を該気液接触手段における液体とするための凝縮器;
    凝縮器から得られるガスに、塩素を混合する塩素混合手段;
    塩素混合手段から得られるガスに光を照射して塩素光分解性物質を分解する塩素光分解手段;
    熱アルカリ水溶液を収容する領域を有し、塩素光分解手段から得られるガスを熱アルカリ水溶液中に導入して気液接触させ、塩素光分解手段で発生した分解生成物を熱アルカリ水溶液中でさらに分解するとともに、水蒸気を含む空気を得るアルカリ分解手段;および
    アルカリ分解手段から得られる水蒸気を含む空気を昇温する水蒸気含有空気昇温手段
    を有する塩素光分解性物質含有流体の浄化装置。
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