JP3686316B2 - アルカリ二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は活物質である水酸化ニッケル含むペースト式正極を備えたアルカリ二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルカリ二次電池は、正極と負極との間にセパレータを介装して作製された電極群及びアルカリ電解液を容器内に収納した構造を有する。この正極としては、従来より焼結式正極が用いられている。前記焼結式正極は、穿孔鋼またはニッケル網体等の二次元基板にニッケル粒子を焼結し、得られた多孔板の十数ミクロンの孔にニッケル塩水溶液を含浸した後、アルカリ処理して前記含浸ニッケル塩を水酸化ニッケルに変化させることにより製造される。
【0003】
しかしながら、前記焼結式正極はその製造においてニッケル塩の含浸工程およびアルカリ処理工程のような複雑な活物質含浸操作を必要とする。また、所定量の活物質を含浸するには前記操作を通常、4〜10回程度繰り返す必要がある。その結果、製造コストが高くなるという問題がある。さらに、前記焼結により得られたニッケル粒子焼結体は、多孔度が80%を越えると機械的強度を維持することが困難になるため、前記活物質の充填量を増加させることには限界があった。
【0004】
このようなことから、活物質である水酸化ニッケル粒子に導電材、結着剤および水を添加、混合してペーストを調製し、このペーストをスポンジ状金属多孔体、金属繊維マットのような3次元構造の導電性芯体に充填して正極を製造することが検討されている。このような方法により製造された正極は、焼結式正極に対して非焼結式正極(またはペースト式正極)と呼ばれといる。前記ペースト式正極は、前記金属多孔体の多孔度および平均孔径が前記焼結式正極に比べて大きいために活物質の充填が容易で、かつ充填量を増加させることができる利点を有する。
【0005】
前記ペースト式正極に用いられる導電材としては、従来より、例えば水酸化コバルト、一酸化コバルト等のコバルト化合物や、金属コバルトが知られている。前記二次電池において、これらの導電材は、組み立て後に行われるエージング中に一端前記電解液に溶け出して前記水酸化ニッケル粒子の表面に析出する。次いで、初充電において電気化学的に酸化されて導電性に富むオキシ水酸化コバルトに変化される。前記オキシ水酸化コバルトは水酸化ニッケル粒子同士の導通及び水酸化ニッケル粒子と導電性芯体の導通を向上させるため、正極の利用率が向上する。
【0006】
しかしながら、前記ペースト調製工程において粒子同士または粉末同士の均一混合は難しく、前記正極中に前記導電材を均一に分散させることは困難であった。従って、前述した方法で製造された二次電池において、正極中のオキシ水酸化コバルトの分布が偏るため、この正極は必ずしも十分な利用率を有するものではなかった。
【0007】
更に、このオキシ水酸化コバルトを含む正極を備えた二次電池は、長期間に亘る貯蔵により自己放電が進行して容量が低下した際に、再充電により容量を回復させることが困難であるという問題点があった。この問題は、前記二次電池が高温下で貯蔵された場合に顕著であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、正極の利用率を高めて容量を向上させ、かつ長期間に亘る貯蔵、特に高温下での貯蔵により自己放電が進行した場合に再充電により容量を回復させて高容量を維持することが可能なアルカリ二次電池を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のアルカリ二次電池は、活物質である水酸化ニッケル粒子を含むペーストを集電体に充填した構造を有する正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介装されるセパレータと、アルカリ電解液とを備えたアルカリ二次電池において、前記水酸化ニッケル粒子は、導電性を持つ3価のコバルト化合物領域及び酸化数がそれより低いコバルト種領域からなるコバルト系膜で均一に被覆されており、前記コバルト種領域の分布が均一で、前記コバルト系膜中の前記3価のコバルト化合物領域の割合はコバルトの原子数換算で18%以上、78%以下であり、かつ前記3価のコバルト化合物領域の一部は前記膜表面から前記水酸化ニッケル粒子表面に達する形態を有することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のアルカリ二次電池の製造方法は、水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト種からなる均一な層を形成し、この複合水酸化ニッケル粒子を含むペーストを集電体に充填することにより作製された正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介装されるセパレータと、アルカリ電解液とを具備したアルカリ二次電池に電流値を段階的に高くする定電流充電を施す初充電を行うことにより前記複合水酸化ニッケル粒子を導電性の3価のコバルト化合物領域及び酸化数がそれより低いコバルト種領域からなるコバルト系膜で表面が被覆された水酸化ニッケル粒子に変換させると共に前記コバルト系膜の前記3価のコバルト化合物領域の少なくとも一部を前記コバルト系膜の表面から前記水酸化ニッケル粒子表面に達する形態にすることを特徴とするものである。
【0011】
前記複合水酸化ニッケル粒子のコバルト種からなる均一な層は、例えば、水酸化コバルト(Co(OH)2 )、一酸化コバルト(CoO)、金属コバルト等から形成することができる。中でも、一酸化コバルトか、水酸化コバルトのいずれか一方か、または両方からなるコバルト種層を有する複合水酸化ニッケル粒子は好適である。
【0012】
前記複合水酸化ニッケル粒子は、例えば次の(1)及び(2)に示す方法により作製することができる。
【0013】
(1)水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトを沈殿させることにより前記水酸化コバルトを含むコバルト種からなる均一な層を形成し、複合水酸化ニッケル粒子を作製する。
【0014】
(2)水酸化ニッケル粒子を母粒子、コバルト種を子粒子として両者を機械的衝撃力によって母粒子表面に子粒子を分散付着ないし分散接合させるメカノケミカル法により前記水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト種からなる均一な層を形成し、複合水酸化ニッケル粒子を作製する。
【0015】
前記(1)及び前記(2)の方法のうち、前記(1)の方法が好適である。
【0016】
前記(1)の方法について説明する。
【0017】
前記水酸化ニッケル粒子は、平均粒径が5〜30μm、タップ密度が1.8g/cm3 以上であることが好ましい。前記水酸化ニッケル粒子は、比表面積が8〜25m2 /gであることが好ましい。
【0018】
前記水酸化ニッケル粒子は、球状もしくはそれに近似した形状を有することが好ましい。
【0019】
前記コバルト種は微量のCoO2 、Co34 等の酸化コバルトを含むことを許容する。
【0020】
前記複合水酸化ニッケル粒子を含む正極は、例えば次の(A),(B)に示す方法により作製することができる。
【0021】
(A)前記複合水酸化ニッケル粒子に結着剤と水とを添加し、混練することによりペーストを調製する。前記ペーストを集電体に充填し、これを乾燥した後、成形することにより前記正極を作製する。
【0022】
前記結着剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
【0023】
前記集電体としては、例えばニッケル、ステンレスまたはニッケルメッキが施された金属から形成された網状、スポンジ状、繊維状、もしくはフェルト状の金属多孔体等を挙げることができる。
【0024】
この正極において、前記コバルト種層は、前記水酸化ニッケル粒子に前記複合水酸化ニッケル粒子に対して金属コバルト換算で3重量%〜20重量%付着されていることが好ましい。これは次のような理由によるものである。前記コバルト種層を金属コバルト換算で3重量%未満にすると、正極の初期の利用率が低下する恐れがあると共に長期間、あるいは高温下での貯蔵後に再充電により容量を回復することが困難になる恐れがある。一方、前記コバルト種層が金属コバルト換算で20重量%を越えると、正極中に占めるコバルト種の割合が多くなり過ぎて水酸化ニッケル粒子の量が減少する恐れがある。前記コバルト種層は、前記水酸化ニッケル粒子に前記複合水酸化ニッケル粒子に対して金属コバルト換算で5重量%〜10重量%付着されているのが更に好ましい。
【0025】
(B)前記複合水酸化ニッケル粒子に結着剤とコバルト種粉末と水とを添加し、混練することによりペーストを調製する。前記ペーストを集電体に充填し、これを乾燥した後、成形することにより前記正極を作製する。
【0026】
前記コバルト種粉末としては、例えば、水酸化コバルト粉末、一酸化コバルト粉末、金属コバルト粉末等を挙げることができる。中でも、一酸化コバルト粉末か、水酸化コバルト粉末のいずれか一方か、または両方からなるコバルト種粉末は好適である。なお、前記コバルト種粉末は、不活性の四酸化三コバルト(Co34 )を微量含むことを許容する。
【0027】
前記結着剤としては、前記(A)の方法で用いたものと同様なものを挙げることができる。
【0028】
前記集電体としては、前記(A)の方法で用いたものと同様なものを挙げることができる。
【0029】
この正極において、前記コバルト種層を前記水酸化ニッケル粒子に前記複合水酸化ニッケル粒子に対して金属コバルト換算で1重量%以上付着させ、かつ正極中のコバルト種の総量を前記複合水酸化ニッケル粒子に対して金属コバルト換算で3重量%〜20重量%にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。前記コバルト種層を金属コバルト換算で1重量%未満にすると、水酸化ニッケル粒子表面全体に均一に前記コバルト種層を形成することが困難になる恐れがある。換言すれば、水酸化ニッケル粒子自身の表面が露出した不均一状態となる恐れがある。また、前記コバルト種の総量を金属コバルト換算で3重量%未満にすると、正極の初期の利用率が低下する恐れがあると共に長期間、あるいは高温下での貯蔵後に再充電により容量を回復することが困難になる恐れがある。一方、前記コバルト種の総量が金属コバルト換算で20重量%を越えると、正極中に占めるコバルト種の割合が多くなり過ぎて水酸化ニッケル粒子の量が減少する恐れがある。前記正極において、前記コバルト種層を前記水酸化ニッケル粒子に前記複合水酸化ニッケル粒子に対して金属コバルト換算で3重量%以上付着させ、かつ前記正極中のコバルト種の総量を前記複合水酸化ニッケル粒子に対して金属コバルト換算で5重量%〜10重量%にすることが更に好ましい。
【0030】
前記正極作製方法のうち、前記(A)の方法は、長期間、あるいは高温下における貯蔵後の容量回復率を飛躍的に向上することができる。一方、前記(B)の方法は、コバルト種粉末の添加量を変えることにより前記正極中のコバルト種の総量をアルカリ二次電池の種類に応じて調節することができるため、前記(A)のようにコバルト種が複合水酸化ニッケル粒子のみから供される場合に比べてアルカリ二次電池の量産性を向上することができる。
【0031】
前記初充電について説明する。
【0032】
前記初充電は、電流値を段階的に高くする定電流充電を施すことにより行われる。この段階的な定電流充電は、二段階であっても良いが、二段階以上であっても良い。
【0033】
前記定電流充電は、0.02CmA〜0.5CmAの範囲内で電流値を段階的に高くすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。前記電流値を0.02CmA未満にすると、電極表面で電気化学反応が不均一に起き易くなり、電極特性が低下する恐れがある。また、所望の充電電気量を施すための時間が長くなり生産上の問題が大きくなる恐れがある。一方、前記電流値が0.5CmAを越えると、充電分極抵抗が大きくなり、コバルト種の酸化反応だけでなく、水酸化ニッケルの酸化反応も同時に起こるようになるため、所望の充電電気量とコバルト種の酸化量との相関性が低下する恐れがある。
【0034】
本発明の方法により製造されたアルカリ二次電池(例えば円筒形アルカリ二次電池)の例を図1を参照して説明する。
【0035】
図1に示すように有底円筒状の容器1内には、ペースト式正極2とセパレータ3とペースト式負極4とを積層してスパイラル状に捲回することにより作製された電極群5が収納されている。前記負極4は、前記電極群5の最外周に配置されて前記容器1と電気的に接触している。アルカリ電解液は、前記容器1内に収容されている。中央に孔6を有する円形の封口板7は、前記容器1の上部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケット8は、前記封口板7の周縁と前記容器1の上部開口部内面の間に配置され、前記上部開口部を内側に縮径するカシメ加工により前記容器1に前記封口板7を前記ガスケット8を介して気密に固定している。正極リード9は、一端が前記正極2に接続、他端が前記封口板7の下面に接続されている。帽子形状をなす正極端子10は、前記封口板7上に前記孔6を覆うように取り付けられている。ゴム製の安全弁11は、前記封口板7と前記正極端子10で囲まれた空間内に前記孔6を塞ぐように配置されている。中央に穴を有する絶縁材料製の押え板12は、前記正極端子10上に前記正極端子10の突起部が前記穴から突出されるように配置されている。外装チューブ13は、前記押え板12の周縁、前記容器1の側面及び前記容器1の底部周縁を被覆している。
【0036】
次に、前記ペースト式正極2、ペースト式負極4、セパレータ3および電解液について説明する。
【0037】
前記ペースト式正極2は、導電性を持つ3価のコバルト化合物領域及び酸化数がそれより低いコバルト種領域からなるコバルト系膜で表面が被覆された水酸化ニッケル粒子を含み、かつ前記3価のコバルト化合物領域の少なくとも一部が前記膜表面から前記水酸化ニッケル粒子表面に達する形態を有する。
【0038】
前記導電性を有する3価のコバルト化合物としては、例えば、オキシ水酸化コバルト(CoOOH)を挙げることができる。
【0039】
前記3価よりも低い酸化数を有するコバルト種としては、水酸化コバルト(Co(OH)2 )を挙げることができる。ただし、前記コバルト種は、少量の一酸化コバルト(CoO)、金属コバルトを含んでもよい。
【0040】
前記コバルト系膜中の3価のコバルト化合物は、コバルトの原子数換算で18%〜78%の割合で存在することが好ましい。これは次のような理由によるものである。前記存在比率を18%未満にすると、前記二次電池の初期容量が低下する恐れがある。一方、前記存在比率が78%を越えると、前記3価よりも低い酸化数を有するコバルト化合物の量が少ないために長期間、あるいは高温下での貯蔵後に再充電により前記二次電池の容量を回復させることが困難になる恐れがある。
【0041】
前記導電性を持つ3価のコバルト化合物領域は、不活性の四酸化三コバルトを微量含むことを許容する。
【0042】
前記酸化数が3価より低いコバルト種領域は、不活性の四酸化三コバルトを微量含むことを許容する。
【0043】
前記負極4は、活物質と結着剤と水とを含むペーストを導電性基板に充填した構造を有する。
【0044】
前記活物質としては、例えばカドミウム化合物などの充放電反応に直接関与する物質や、例えば水素吸蔵合金のような充放電反応に直接関与する物質を吸蔵・放出する物質等を用いることができる。中でも、前記活物質として水素吸蔵合金を含む負極を備えた二次電池は、カドミウム化合物の粉末を含む負極を備えた二次電池に比べて大電流での放電が可能で、かつ環境汚染の恐れが少ないため、好適である。
【0045】
前記水素吸蔵合金としては、格別制限されるものではなく、電解液中で電気化学的に発生させた水素を吸蔵でき、かつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出できるものであればよい。例えば、LaNi5 、MmNi5 (Mm;ミッシュメタル)、LmNi5 (Lm;ランタン富化したミッシュメタル)、またはこれらのNiの一部をAl、Mn、Co、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Bのような元素で置換した多元素系のもの、もしくはTiNi系、TiFe系、ZrNi系、MgNi系のものを挙げることができる。中でも、一般式LmNix Mnyz (ただし、AはAl,Coから選ばれる少なくとも一種の金属、原子比x,y,zはその合計値が4.8≦x+y+z≦5.4を示す)で表される水素吸蔵合金を用いることが望ましい。
【0046】
前記結着剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
【0047】
前記導電性基板としては、例えば、パンチドメタル、エキスパンデッドメタル、穿孔剛板、ニッケルネットなどの二次元基板や、フェルト状金属多孔体や、スポンジ状金属基板などの三次元基板を挙げることができる。
【0048】
前記負極において、前記活物質として水素吸蔵合金を用いる場合、例えばカーボンブラック、黒鉛等の導電性粉末を含むことを許容する。
【0049】
前記セパレータ3としては、例えば、ポリアミド系合成樹脂繊維(例えばナイロン6,6繊維など)からなる不織布、ポリオレフィン系合成樹脂繊維製不織布に親水性処理が施されたもの等を挙げることができる。前記ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。また、前記親水性処理としては、例えばプラズマ処理、スルフォン化処理、親水基を持つビニルモノマーをグラフト共重合させる方法等を挙げることができる。特に、前記ポリオレフィン系合成樹脂繊維製不織布に親水性処理が施されたものは、電解液保持性能が高く、かつ耐酸化性が優れていることから前記二次電池の高温保管時の自己放電が抑制されるため、好適である。
【0050】
前記アルカリ電解液としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)の水溶液、水酸化リチウム(LiOH)の水溶液、水酸化カリウム(KOH)の水溶液、NaOHとLiOHの混合液、KOHとLiOHの混合液、KOHとLiOHとNaOHの混合液等を用いることができる。
【0051】
本発明のアルカリ二次電池の製造方法によれば、水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト種からなる均一な層を形成し、得られた複合水酸化ニッケル粒子を含むペーストを集電体に充填することにより作製された正極と、負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを具備したアルカリ二次電池に電流値を段階的に高くする定電流充電を施す初充電を行い、前記複合水酸化ニッケル粒子を導電性の3価のコバルト化合物領域及び酸化数がそれより低いコバルト種領域からなるコバルト系膜で表面が被覆された水酸化ニッケル粒子に変換させると共に前記コバルト系膜の前記3価のコバルト化合物領域の少なくとも一部を前記コバルト系膜の表面から前記水酸化ニッケル粒子表面に達する形態にする。
【0052】
ところで、酸化数が3価より低いコバルト種を含むペースト式正極とアルカリ電解液を備えたアルカリ二次電池に充電を施すと、前記正極において前記コバルト種が3価のコバルト化合物に酸化される反応と前記水酸化ニッケルがオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)に酸化される反応が同時に起こる。また、前記コバルト種の酸化反応が生じる酸化還元電位は前記水酸化ニッケルの酸化反応が生じる酸化還元電位よりも卑側にある。その結果、例えば前記二次電池に定電流充電を施すと設定電流値が大きくなるに従って前記正極の電位が高くなるため、電流値が大きな定電流充電ほど前記水酸化ニッケルの酸化反応が優先的に生じる。従来法のように正極の総容量(前記コバルト種の容量及び前記水酸化ニッケルの容量の合計)全てに亘って一定電流で充電する初充電を行う場合、前記コバルト種の酸化反応が優位になるような電流値に設定する。初充電中この電流値を変えないため、前記正極中の前記コバルト種全てが導電性の3価のコバルト化合物であるオキシ水酸化コバルトに酸化されて前記正極の電位が十分に高められないと、前記水酸化ニッケルの酸化反応が優位にならない。つまり、正極の総容量全てに亘って一定電流で充電する初充電を行うと、前記正極に存在するコバルト種はオキシ水酸化コバルトのみになる。
【0053】
既述したように、このコバルト種としてオキシ水酸化コバルトのみを含む正極を備えた二次電池は長期間に亘り貯蔵されたり、あるいは高温下において貯蔵されて自己放電が進行して容量が低下した際に、再充電により容量を回復させることができないという問題点がある。このような二次電池において自己放電が進行すると、正極中のオキシ水酸化コバルトが還元され、再び導電性を持つことのないコバルト化合物に変化するために前記正極の利用率が低下するものと考えられる。従って、前述した条件で貯蔵された従来の二次電池の容量を再充電により向上させることができないのは、前記貯蔵により低下した前記正極の利用率を再充電により回復させることができないためであると考えられる。
【0054】
本発明に係る製造方法によれば、酸化数が3価より低いコバルト種が全て3価のコバルト化合物に酸化される前に前記水酸化ニッケルの酸化反応に移行させることができる。すなわち、最初に電流値を小さくした定電流充電を施すと、前記正極の電位が低いため、前記コバルト種の酸化反応を優先的に起こすことができる。次いで、電流値を大きくすると、分極抵抗の値が大きくなるため、前記コバルト種を残したまま前記正極の電位を前記コバルト種の酸化反応が優先的に生じる電位から前記水酸化ニッケルの酸化反応が優先的に生じる電位に移行させることができる。従って、初充電として、最初に前記コバルト種の酸化反応が優位になるような小さな電流値で定電流充電を行った後、水酸化ニッケルの酸化反応を主とするのに十分な充電分極を与える大きな電流値で定電流充電を行うことによって、前記コバルト種の酸化量を制御することができる。
【0055】
つまり、本発明の方法によりアルカリ二次電池を製造すると、前記二次電池において、組立後、正極中の酸化数が3価より低いコバルト種が前記アルカリ電解液に溶解してブルーコンプレックスイオン(HCoO2 - )に変化される。前記コバルト種が一酸化コバルトからなる場合の電解液への溶出反応を下記式(1)に示す。
【0056】
CoO+OH- → HCoO2 - (1)
この二次電池に最初に電流値を小さくした定電流充電を施すと、前記ブルーコンプレックスイオンは下記式(2)に示す反応式に従って前記水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトとして析出し、前記水酸化ニッケル粒子表面が水酸化コバルトを主成分とする3価より低い酸化数を有するコバルト種からなる膜で被覆される。
【0057】
HCoO2 - +H2 O → Co(OH)2 +OH- (2)
前記コバルト種膜が形成された後、このコバルト種膜の表面に水酸化物イオン(OH- )が接触した後電気化学反応により電子を放出してオキシ水酸化コバルト(CoOOH)を含む導電性の3価のコバルト化合物に変化する。前記コバルト種が水酸化コバルトである場合の酸化反応を下記式(3)に示す。
【0058】
Co(OH)2 +OH- → CoOOH+H2 O+e- (3)
この酸化反応は前記膜の表面から内部に向かって進行する。生成した3価のコバルト化合物領域の少なくとも一部が前記水酸化ニッケル粒子表面に達した際に定電流充電の設定電流値を大きくして前記正極の電位を前記水酸化ニッケルの酸化反応が優先的に生じる電位に移行させる。その結果、水酸化ニッケル粒子の表面を前記3価のコバルト化合物領域及び前記酸化数がそれより低いコバルト種領域から形成されたコバルト系膜で被覆することができ、かつ前記3価のコバルト化合物領域の少なくとも一部を前記膜表面から前記水酸化ニッケル粒子表面に達する形態にすることができる。
【0059】
また、このコバルト系膜中の前記コバルト種領域の分布を均一にすることが重要である。例えば、ミキサによって酸化数が3価より低いコバルト種の粉末と水酸化ニッケル粒子と結着剤を混練してペーストを調製し、前記ペーストを集電体に充填することにより正極を作製すると、前記正極中の前記コバルト種の分布に偏りが生じる。このような正極を備えたアルカリ二次電池に前記初充電を施すと、前記コバルト種粉末の分布の偏りに起因して厚さにばらつきがあるコバルト種膜が形成され易く、厚さにばらつきがある場合にはこの膜が酸化されて得られたコバルト系膜において厚さの薄い箇所ほど未酸化領域が少なくなり易い。前記コバルト種膜の酸化量によっては前記厚さの薄い箇所に前記未酸化領域が残らない場合がある。このような二次電池を高温下のような過酷な条件下で貯蔵し、前記膜中の3価のコバルト化合物領域の導電性が大幅に損なわれた場合、前記コバルト系膜の前記厚さの薄い箇所は新たに酸化されるコバルト種が存在しないため、再充電によってその導電性を復帰させることができなくなる。その結果、再充電後に形成されたコバルト系膜において、導電パスとして機能できない箇所が部分的に存在するため、導通にばらつきが生じる恐れがあり、ばらつき方に因っては高い利用率が得られなくなる恐れがある。
【0060】
本発明の製造方法によれば、水酸化ニッケル粒子の表面にコバルト種からなる均一な層を形成し、この複合水酸化ニッケル粒子を用いてペーストを調製した後、前記ペーストを集電体に充填することにより正極を作製することによって、水酸化ニッケル粒子の表面に前記コバルト種からなる均一な層が所望の強度をもって付着あるいは接合しているため、前記正極中に前記コバルト種を均一に分散させることができる。このような正極を備えた二次電池に前記初充電を施すことによって、前記複合水酸化ニッケル粒子を導電性の3価のコバルト化合物領域及び酸化数がそれより低いコバルト種領域からなる厚さが均一なコバルト系膜で表面が被覆された水酸化ニッケル粒子に変換することができ、前記コバルト系膜の前記3価のコバルト化合物領域の少なくとも一部を前記コバルト系膜の表面から前記水酸化ニッケル粒子表面に達する形態にすることができ、更に前記膜中に前記コバルト種領域を均一に分散させることができる。
【0061】
このコバルト系膜は、優れた導電パスとして機能することができるため、水酸化ニッケル粒子同士の導通及び水酸化ニッケル粒子と集電体との導通を良好にすることができる。その結果、従来の前記正極の初期の利用率を向上することができるため、前記正極を備えた二次電池の初期容量を向上することができる。
【0062】
また、前記二次電池において、長期間に亘り貯蔵されたり、あるいは高温下において貯蔵されて自己放電が進行して容量が低下した際、前記コバルト系膜中の前記3価のコバルト化合物領域の導電性が損なわれて前記正極の利用率が低下するが、再充電を施すとこの膜中の前記コバルト種領域が酸化され、新たに導電性の3価のコバルト化合物領域を形成することができる。前記コバルト種領域は、前記コバルト系膜中に均一に分布しているため、この再充電による酸化で前記コバルト系膜全体の導電性を向上させることができる。その結果、前記正極の利用率を回復させて前記二次電池の容量を向上することができ、前記二次電池は前述したような条件で貯蔵された後においても高い容量を維持することができる。
【0063】
また、本発明の製造方法によると、混合法により正極にコバルト種を添加する場合に比べてコバルト種の添加量を低減することができるため、水酸化ニッケル粒子の量を増加させて容量の向上を図ることが可能になる。
【0064】
更に、前記初充電により前記コバルト系膜中に前記3価のコバルト化合物領域をコバルトの原子数換算で18%〜78%存在させることによって、初期の正極利用率を向上させるために必要な導電性の3価のコバルト化合物の量と、長期放置後に前記コバルト系膜を再度導電パスとして機能させるために必要な3価より低い酸化数を有するコバルト種の量を同時に確保することができる。従って、初期容量と、長期貯蔵後あるいは高温下での貯蔵後の容量回復率の両者が飛躍的に向上されたアルカリ二次電池を製造することができる。
【0065】
前述した表面にコバルト種からなる均一な層が形成された水酸化ニッケル粒子は、メカノケミカル法や、沈殿法により作製することができる。前記沈殿法は、水酸化ニッケルが、通常、金属ニッケルを硫酸溶液等の酸に溶解させ、これを水酸化ナトリウム溶液のような塩基で中和、沈殿することによって得られることに着目して見出だされた方法である。従って、前記沈殿法によると、水酸化ニッケル粒子表面に水酸化コバルトを沈殿させるという簡単な工程により複合水酸化ニッケル粒子を得ることができるため、機械的エネルギーを利用してコバルト種からなる均一な層を形成する前記メカノケミカル法に比べて前記複合水酸化ニッケル粒子を比較的容易に、かつ高収率で作製することができる。
【0066】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0067】
実施例1〜4
市販のランタン富化したミッシュメタルLmおよびNi、Co、Mn、Alを用いて高周波炉によって、LmNi4.0 Co0.4 Mn0.3 Al0.3 の組成からなる水素吸蔵合金を作製した。前記水素吸蔵合金を機械粉砕し、これを200メッシュのふるいを通過させた。得られた合金粉末100重量部に対してポリアクリル酸ナトリウム0.5重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)0.125重量部、ポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン(比重1.5,固形分60wt%)を固形分換算で1.5重量部および導電材としてカーボン粉末1重量部を水50重量部と共に混合することによって、ペーストを調製した。このペーストを導電性基板としてのパンチドメタルに塗布、乾燥した後、加圧成型することによってペースト式負極を作製した。
【0068】
また、沈殿法により複合水酸化ニッケル粒子を作製した。まず、平均粒径が10μmの水酸化ニッケル粒子を水洗、乾燥した後、一定濃度のコバルトイオンのみが存在する溶液に移し、一定時間撹拌し、水酸化ニッケル粒子の細孔にコバルトイオンを十分に浸み込ませた。つづいて、この溶液を対流を起こさせた水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、前記水酸化ニッケル粒子の表面に水酸化コバルトからなる均一な層を形成して複合水酸化ニッケル粒子を作製した。この複合水酸化ニッケル粒子の表面に形成された水酸化コバルトの量は、前記コバルトイオンのみが存在する溶液の濃度規制により生成された複合水酸化ニッケル粒子全体に対して金属コバルト換算で4重量%とした。また、複合水酸化ニッケル粒子の表面に形成された水酸化コバルト量(金属コバルト換算)は、この粒子を塩酸に溶解させて公知の原子吸光分析法により定量し、予め水酸化ニッケル粒子中に共沈されたコバルト量を差し引くことにより算出した。
【0069】
得られた複合水酸化ニッケル粉末100重量部に対して結着剤としてカルボキシメチルセルロース0.25重量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.25重量部、ポリテトラフルオロエチレン3重量部、水30重量部を添加して混練することによりペーストを調製した。つづいて、このペーストを導電性基板としてのニッケルメッキ繊維基板内に充填した後、乾燥し、成型することによりペースト式正極を作製した。
【0070】
次いで、セパレータとしてポリプロピレン繊維及びポリエチレン繊維から作製された不織布に親水化処理が施されたものを用い、前記セパレータを前記負極と前記正極との間に介装し、渦巻状に捲回して電極群を作製した。このような電極群と7NのKOHおよび1NのLiOHからなる電解液を有底円筒状容器に収納し、前述した図1に示す構造を有し、AAサイズで、公称容量が1100mAhの円筒形アルカリ二次電池を組み立てた。
【0071】
得られた二次電池に下記表1に示す条件で初充電を施した後、1.0CmAで端子電圧が1.0Vになるまで放電した。
【0072】
比較例1,2
活物質である水酸化ニッケル粉末90重量部および導電材として水酸化コバルト粉末10重量部からなる混合粉体に、結着剤としてカルボキシメチルセルロース0.25重量部、ポリアクリル酸ナトリウム0.25重量部、ポリテトラフルオロエチレン3重量部添加し、これらに水を30重量部添加して混練することによりペーストを調製した。つづいて、このペーストを導電性基板としてのニッケルメッキ繊維基板内に充填した後、乾燥し、成型することによりペースト式正極を作製した。
【0073】
この正極と実施例1〜4と同様な負極との間に実施例1〜4と同様なセパレータを介装し、渦巻状に捲回して電極群を作製した。このような電極群と実施例1〜4と同様な組成の電解液を有底円筒状容器に収納し、前述した図1に示す構造を有し、AAサイズで、公称容量が1100mAhの円筒形アルカリ二次電池を組み立てた。
【0074】
得られた二次電池に下記表1に示す条件で初充電を施した後、1.0CmAで端子電圧が1.0Vになるまで放電した。
【0075】
参照例1
実施例1〜4と同様な方法によって組み立てられた円筒形アルカリ二次電池に下記表1に示す条件で初充電を施した後、1.0CmAで端子電圧が1.0Vになるまで放電した。
【0076】
参照例2〜5
比較例1,2と同様な方法によって組み立てられた円筒形アルカリ二次電池に下記表1に示す条件で初充電を施した後、1.0CmAで端子電圧が1.0Vになるまで放電した。
【0077】
初充電が施された実施例1〜4、比較例1〜2及び参照例1〜5の二次電池について、初期容量の測定を行った。各二次電池を0.1CmAで16時間充電した後、1.0CmAで端子電圧が1.0Vになるまで放電し、放電持続時間から初期容量を算出した。その結果を下記表1に示す。
【0078】
また、実施例1〜4、比較例1〜2及び参照例1〜5の二次電池について、初充電時の電池の充電電圧曲線の変化からコバルトの酸化に費やされた充電電気量を求め、前記正極に存在するコバルト種中に占める3価のコバルト化合物の割合をコバルトの原子数換算で求めた。その結果を下記表1に併記する。
【0079】
初期容量の確認を行った実施例1〜4、比較例1〜2及び参照例1〜5の二次電池について、65℃で28日間貯蔵後、初期容量測定と同じ充放電条件で充放電サイクルを5回繰り返し、5サイクル目の回復容量を測定した。5サイクル目の回復容量を初期容量にて除することにより回復率を求め、5サイクル目の回復容量と共に下記表1に併記する。
【0080】
【表1】
Figure 0003686316
【0081】
表1から明らかなように、実施例1〜4の二次電池は、正極に存在するコバルト種中に占める3価のコバルト化合物の比率が18〜78%で、高い初期容量と高温貯蔵後における高い容量回復率との両者を同時に満足していることがわかる。特に、実施例1〜4の二次電池は、比較例1,2及び参照例1〜5の二次電池に比べて高温貯蔵後における容量回復率を大幅に改善できることがわかる。この実施例1〜4の二次電池について、SEM(走査電子顕微鏡),EDS(エネルギー分散型X線分析)及びXPS(X線光電子分光法)により正極の水酸化ニッケル粉末を観察したところ、図2に示すように正極の水酸化ニッケル粉末20が導電性の3価のコバルト化合物領域21(主にオキシ水酸化コバルトからなる)と酸化数が3価より低いコバルト種領域22(主に水酸化コバルトからなる)から形成された厚さが均一なコバルト系膜23で被覆され、かつ前記3価のコバルト化合物領域21の一部が前記膜23表面から前記水酸化ニッケル粉末表面に達する形態を持っており、更に前記コバルト種領域22が均一に存在していることを確認できた。なお、前記コバルト化合物領域21には、微量の四酸化三コバルトが含まれていた。
【0082】
これに対し、比較例1,2及び参照例1の二次電池は、正極に存在するコバルト種が3価のコバルト化合物のみで、初期容量が高いものの高温貯蔵後における容量回復率が極めて低いことがわかる。また、参照例2〜5の二次電池は、正極に存在するコバルト種中に占める3価のコバルト化合物の比率が23〜83%で、初期容量は実施例1〜4の二次電池と同程度に高いものの、容量回復率が実施例1〜4の二次電池に比べてやや低いことがわかる。これは、ただの混合による水酸化コバルト粉末の分散では水酸化ニッケル粒子の表面を被覆するコバルト系膜中のコバルト種領域の分布に偏りが生じ、正極の部位によって導電性の回復度合いが異なったためである。
【0083】
なお、前記実施例では、負極4および非焼結式正極2の間にセパレータ3を介在して渦巻状に捲回して作製した電極群を有底円筒状の容器1内に収納した構造を有する円筒形アルカリ二次電池に適用した例を説明したが、複数の負極および複数の正極の間にセパレータをそれぞれ介在して積層物とし、この積層物を有底矩形筒状の容器内に収納した構造を有する角形アルカリ二次電池にも適用することができる。
【0084】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明のアルカリ二次電池によれば、初期容量において高容量を実現することができ、かつ長期間に亘る貯蔵、特に高温下での貯蔵により自己放電が生じた際に、充放電を施すことによって容量を回復させることができ、このような貯蔵後も高容量を維持することができる等顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアルカリ二次電池を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1〜4のアルカリ二次電池における正極の水酸化ニッケル粉末を示す模式図。
【符号の説明】
1…容器、
2…正極、
3…セパレータ、
4…負極、
5…電極群、
7…封口板、
8…絶縁ガスケット、
13…外装チューブ。

Claims (2)

  1. 活物質である水酸化ニッケル粒子を含むペーストを集電体に充填した構造を有する正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介装されるセパレータと、アルカリ電解液とを備えたアルカリ二次電池において、
    前記水酸化ニッケル粒子は、導電性を持つ3価のコバルト化合物領域及び酸化数がそれより低いコバルト種領域からなるコバルト系膜で均一に被覆されており、前記コバルト種領域の分布が均一で、前記コバルト系膜中の前記3価のコバルト化合物領域の割合はコバルトの原子数換算で18%以上、78%以下であり、かつ前記3価のコバルト化合物領域の一部は前記膜表面から前記水酸化ニッケル粒子表面に達する形態を有することを特徴とするアルカリ二次電池。
  2. 前記3価のコバルト化合物領域にはオキシ水酸化コバルトが含有されており、前記コバルト種領域には水酸化コバルトが含有されていることを特徴とする請求項1記載のアルカリ二次電池。
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