JP3686208B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料及びそれを用いたカラー画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料及びそれを用いたカラー画像形成方法に関し、更に詳しくは、漂白/定着工程が不要で、環境に対する負荷が少なく、簡易・迅速に光に対して安定な画像を形成できる高感度撮影用のハロゲン化銀カラー写真感光材料及びそれを用いたカラー画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀を用いた写真法は、他の写真法、例えば電子写真やジアゾ写真と比べて感度や階調調節や解像力等の写真特性に優れているため、従来から最も広範に使用されてきた。現在、ハロゲン化銀を用いて簡易にしかも廉価に、高画質のカラー画像を入手することが可能となっている。例えば、カラー写真(カラープリント)は、現像された撮影用フィルムの画像情報を光学的にカラー印画紙に焼き付けることにより得られる。特に、ネガフィルムとカラーペーパーとを用いたネガポジ方式は、露光ラチチュードの広いネガフィルムを用いることで、露出ミスによる撮影者の失敗が少なく、安価に多数のプリントが得られる特長を有する。かかる特長のため、近年ではこのプロセスは高度に発達し、大量のカラープリントを高効率で生産する大規模な集中拠点であるカラーラボあるいは店舗に設置された小型で簡易なプリンタプロセッサである所謂ミニラボの普及により誰でもがカラー写真を手軽に楽しめるようになっている。
【0003】
さらに最近では、磁性体を塗布した支持体を利用して様々な情報を磁気記録し得るカラーネガフィルムを用いたAPSシステムが発表されている。このAPSシステムでは、フィルムの取り扱いが簡易になり、撮影時の情報が磁気記録されるので高画質のプリントが得られる。一方、処理後のネガフィルムをスキャナで読みとり、画像情報の編集、加工ができるツールも用意されている。
【0004】
一般のカラーフィルム感光材料には、各々、光の3原色である青、緑、赤色に感光性を持つハロゲン化銀感光層が透明支持体に塗設されており、各ハロゲン化銀感光層には、現像主薬の酸化体とカップリングして、各々の補色であるイエロ−、マゼンタ、シアンに発色し得るカプラーが含有されている。
カラー現像による発色の原理は、カラー現像液に含まれている芳香族第一級アミン現像主薬が、感光したハロゲン化銀粒子を現像即ち還元して、現像銀が生じ、同時に生成した現像主薬の酸化体が、カラーフィルム感光材料中の所謂カプラーとカップリング反応して色素が形成され、発色が生ずる。そして、現像によって生じた金属銀(現像銀)と、未反応のハロゲン化銀とをそれぞれ漂白及び定着処理によって取り除くことにより、色素画像が得られる。次に、同様な感光波長領域と発色色相の組合せを有する感光性乳剤層を反射支持体上に塗設したカラー感光材料であるカラー印画紙に現像処理後のカラーネガフィルムを通して光学的な露光を与え、これも同様の発色現像と漂白・定着処理とを施すことにより、オリジナル(撮影時)の光景を再現した、色素画像よりなるカラープリントが得られる。
【0005】
近時、前記カラーネガフィルムに記録した撮影画像をスキャナー等で光電的に読み取り、画像処理を施して、書き込み用の画像情報とし、この画像情報を他のハードコピー材料に記録する方法も知られている。特に、前記画像情報をデジタル信号に変換して、それに応じて変調した記録光(特にレーザー光)を、カラー印画紙等の感光材料に走査露光して、オリジナル(撮影時)の光景を再現できる。このようなデジタルフォトプリンターの例は、特開平7−15593号等に記載されている。カラーペーパーを使用したデジタルフォトプリンターのシステムは、富士写真フイルム製デジタルラボシステムフロンティアとして、発売されている。画像をデジタル処理することで、ネガフィルムにおける露光不足やピントのずれが瞬時に補正でき、益々、簡易に高画質のカラー画像が得られるようになってきた。
【0006】
このようなカラープリントを得るシステムは現在広く普及しているが、より簡便に、より環境負荷を少なく、より迅速にという要求は益々強くなりつつある。その理由としては、第一に、上述の発色・現像と漂白及び定着処理とを行うための処理浴は、その組成や温度を精密に制御する必要があり、専門的な知識と熟練した操作とを必要とするからである。第二に、前記処理浴中の処理液には発色現像主薬や漂白剤である鉄キレート化合物等の環境問題上その排出の規制が必要な物質が含有されており、現像機器類の設置には専用の設備を必要とする場合が多いからである。第三に、近年の技術開発により短縮されたとはいえ、これらの現像処理には時間を要し、迅速に記録画像を再現する要求に対しては未だ不十分といわざるを得ないからである。
【0007】
こうした背景から、現存のカラー画像形成システムで用いられている発色現像主薬や漂白剤/定着剤を使用せず、環境への負荷を軽減し、簡易性及び即時性に優れたカラー画像形成システムを構築することへの要求が益々高まっている。
例えば、アルカリ処理液を感光材料に有しているインスタントシステム、さらに、加熱等による熱現像処理などにより、簡易迅速に画像が得られるシステムが環境保護の観点も含めて開発されてきている。このような熱現像感光材料については、「写真工学の基礎(非銀塩写真編)コロナ社刊」の242頁〜255頁、特公昭43−4921号、特公昭43−4924号等に記載されている。
【0008】
インスタントシステムを用いた製品としては、富士写真フイルム(株)社から、インスタントカラーフィルムACE、同FI−800GTや、Polaroid社からポラカラーなどが市販されている。
熱現像を利用した製品としては、カラーの系では、富士写真フイルム(株)社からピクトログラフィー3000、ピクトロスタット100、同200、同300等の装置が市販されており、システム専用のドナー感材及び受像材料が市販されている。この方式はピクトロカラー方式と呼ばれている。これらの方式は、カラー画像を受像要素に形成させるものであり、未反応のハロゲン化銀は、別シートあるいは遮光層で隔てられた層にあり漂白/定着工程が不要となっている。
【0009】
漂白定着処理の環境負荷低減化に関しては、IS&T’s 48th Annual Conference Proceedingsの180頁に、現像反応で生成した色素を媒染層に移動させた後、剥離することで現像銀や未反応のハロゲン化銀を除去し、従来のカラー写真処理に必須であった漂白定着浴を不要にするシステムが開示されている。
定着剤を画像安定化剤として、感光材料中に含有させる技術が米国特許第4012260号、特開昭57−150842号、同57−154173号、特開平8−69097号に開示されているが、減感、最高濃度の低下、生保存性の悪化を起こし易い。また、漂白定着シートが、特開昭62−11545号等で開示されている。
しかしながら、これらで提案されている技術では発色現像主薬を含有する処理浴での現像処理は依然として必要であり、環境上の問題は解決されているとは言い難い。
【0010】
インスタントシステムを用いたものは、撮影用の記録材料であり、即時に画像が得られるが、フォーマットの大きさに自由度が乏しいうえ、大量に多数のプリントを得るには、ネガポジ方式に比べると、時間がかかる上に、画質の劣化を伴い、高価であるという問題がある。先に述べたピクトロカラー方式の熱現像によるものは、形成された色素を受像材料に固定し、これを色素画像として鑑賞する用途に用いるものであるため、撮影用の記録材料として利用するものではなかった。
したがって、現像と漂白/定着との両工程を一挙に簡易化し、環境負荷の少なくかつ多数のプリントが安価に得られる撮影用の記録材料が切望されていた。
【0011】
そこで、現像主薬、現像主薬の酸化体とのカップリング反応によって色素を形成する化合物及び高感度の撮影感光用ハロゲン化銀乳剤を用い、ピクトロカラー方式の塩基発生法を利用して、加熱現像を行うことを試みたところ、カラー画像が得られた。
ところが、このカラー画像においては、未反応のハロゲン化銀乳剤粒子が残存しており、このまま、光学的にカラーペーパーに露光しても、鑑賞に耐えない低画質のカラー画像しか得られない。昨今のスキャナーの進歩(例えば、富士フイルム製フロンティア)により、定着工程を施さなくとも、簡単に高画質の画像が得られるようになったものの、保存中に次第に着色し、最終的には、コントラストが消失した。
【0012】
コントラストの減少した画像の場合、プリント用感光材料に原シーンを再現しようとしても、鑑賞に耐えない画像しか得られないし、スキャナ等で読み込んだ画像情報を補正し、ハードコピーで再現しようとしても、低画質の画像しか得られない。画像保存性の悪化は、繰り返しの画像読み取りが困難となり、問題が多い。
この画像保存時の濃度増加は、残存しているハロゲン化銀が光分解して金属銀になって黒化すること(プリントアウト)と、それに伴って生成した現像主薬酸化物がカプラーと反応して色素を形成すること(以下「後現像」と呼ぶ)の二つの過程からなっている。本系のように、カラー画像を用いる場合であっても、プリントアウトを防止することにより、カラー発色が抑えられる。当然のことながら、このプリントアウト過程は、高感度の乳剤の方が起き易いので、撮影用感光材料において、プリントアウト防止は深刻な問題である。
【0013】
プリントアウト防止に対しては、種々の画像安定剤が開示されている。例えば、リサーチ・ディスクロージャ誌(以下「RD」と略記する)17029号8節(1987)、RD29963号(1989)やRD22435(1982)、米国特許第4009039号、同第4288536号、同第5358843号、同第5300420号、同第5369000号、同第4459350号、特開平6−130544号、特開平8−184936号に記載されている。これらの化合物は、ハロゲン化合物、メルカプト化合物及びその前駆体、Nヘテロ環化合物が大部分で、本系のような高感度乳剤においては、処理後の画像安定性を維持する量を添加すると、減感、最大濃度の低下、失透といった問題を引き起こし、減感させない程度に添加すると、画像安定能は弱い。
【0014】
特開平8−137073号には、粒子形成時の保護コロイドとして、側鎖にチオエーテル構造を有するポリマーを用いて調製したハロゲン化銀乳剤を用いた熱現像感光材料が、プリントアウト防止に効果のあることが開示されている。
しかし、ハロゲン化銀感光性層のバインダーのような高感度の撮影材料の場合には、プリントアウト防止も不十分である。
【0015】
このように、高感度の撮影用感光材料を用いて、熱現像による簡易迅速処理を行い、未反応のハロゲン化銀を残存させたままで、カラー画像形成する上で、画像保存時のステイン増加、増色、コントラスト減少などの処理後の画像安定性の劣化は、重大な障害になっていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、漂白/定着工程が不要で、環境に対する負荷が少なく、簡易・迅速に光に対して安定な画像を形成できる高感度撮影用のハロゲン化銀カラー写真感光材料及びそれを用いたカラー画像形成方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために本発明者が鋭意検討した結果、以下の知見を得たことに基づくものである。即ち本発明により、感光材料上に非拡散性色素に基づく画像を形成した場合に、粒状やシャープネスに優れた画像が得られ、この画像情報に基づきカラーペーパーや熱現像カラープリント材料等の別の記録材料上に出力すると、非常に良好なカラー画像が得られるという知見である。
【0018】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に、感光性ハロゲン化銀乳剤、現像主薬、現像主薬の酸化体とのカップリング反応によって色素を形成する化合物、及びバインダーを含有してなる感光性層を少なくとも一層含む写真構成層を塗設してなり、加熱現像されて、未反応のハロゲン化銀の一部又は全部が残存した画像が形成され、該画像の読み取りが行われるハロゲン化銀カラー写真感光材料において、
該感光性ハロゲン化銀乳剤の少なくとも1種が、深さが0.2eV以下の電子トラップである金属イオン及び金属錯体イオンから選択される1種以上を含有してなり、平均厚みが0.2μm以下であり、かつ平均アスペクト比が3〜100である平板状感光性ハロゲン化銀粒子からなることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<2> 前記深さが0.2eV以下の電子トラップである金属イオン及び金属錯体イオンが、Pbイオン、及び、シアンリガンドとRe、Os、Ru、Fe、Ir又はCoとを含むイオンである前記<1>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<3> 前記感光性ハロゲン化銀乳剤が、塩化銀を50モル%以上含有してなる前記<1>又は<2>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<4> 前記現像主薬が、下記一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)及び一般式(5)のいずれかで表される前記<1>から<3>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
【0019】
【化6】
Figure 0003686208
【0020】
【化7】
Figure 0003686208
【0021】
【化8】
Figure 0003686208
【0022】
【化9】
Figure 0003686208
【0023】
【化10】
Figure 0003686208
【0024】
一般式(1)〜(5)中、R1 〜R4 は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基又はアシルオキシ基を表す。R5 は、置換または無置換の、アルキル基、アリール基又は複素環基を表す。Zは、芳香環(複素芳香環を含む)を形成する原子群を表し、Zがベンゼン環である場合、その置換基のハメット定数(σ)の合計値は1以上である。R6 は、置換または無置換のアルキル基を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はアルキル置換若しくはアリール置換の3級窒素原子を表す。R7 及びR8 は、水素原子又は置換基を表す。なお、該R7 及びR8 は、互いに結合して2重結合又は環を形成してもよい。
【0025】
<5> ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光を行った後、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料における全塗布膜の最大膨潤に要する合計水量の1/10〜1倍量の水を、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料と、支持体上に塩基及び/又は塩基プレカーサーを含有する処理材料との間に介在させ、両者を貼り合わせた状態で加熱現像を行い、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料上にカラー画像を形成させ、未反応のハロゲン化銀の一部又は全部を該ハロゲン化銀カラー写真感光材料に残存させたまま、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料上のカラー画像を読み取り、読み取った画像情報に基づいてカラー画像を形成するカラー画像形成方法において、
該ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、前記<1>から<4>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とするカラー画像形成方法である。
<6> ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光を行った後、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料における全塗布膜の最大膨潤に要する合計水量の1/10〜1倍量の水を、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料と、支持体上塩基及び/又は塩基プレカーサーを含有する処理材料との間に介在させ、両者を貼り合わせた状態で加熱現像を行い、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料上にカラー画像を形成させ、未反応のハロゲン化銀の一部又は全部を該ハロゲン化銀カラー写真感光材料に残存させたまま、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料上のカラー画像をスキャナで読み取り、その画像情報を基にプリント出力するカラー画像形成方法において、
該ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、前記<1>から<4>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とするカラー画像形成方法である。
【0026】
本発明においては、現像時まで感光材料と塩基とが隔離されているため撮影用材料に要求される高い保存安定性を満たしつつ、迅速な現像処理が可能である。本発明は、色素放出型化合物を用いる場合に比べ、無色の発色現像主薬及びカプラーを用いるので、撮影用材料として極めて重要な感度の点で有利である。
また、本発明においては、現像銀及び残存ハロゲン化銀の存在する画像情報から、透過光の濃度測定によって画像情報を光電的に読み取り、その信号によってプリント画像を出力する。出力する材料は、感光材料でなくてもよく、例えば昇華型感熱記録材料、インクジェット材料、電子写真材料、フルカラー直接感熱記録材料等でもよい。本発明においては、熱現像によって発色画像を形成後、残存するハロゲン化銀及び現像銀を除去する付加的な処理を行わずに、画像情報を拡散光及びCCDイメージセンサを用いた透過濃度測定によって光電的に読み取り、デジタル信号に変換後、画像処理を行い、熱現像カラープリンター、例えば富士写真フイルム(株)のピクトログラフィー3000等を用いて出力する態様が好ましい。本発明においては、コンベンショナルカラー写真で使用する処理液は一切使用することなく、迅速に良好なプリントが得られる。また、上記デジタル信号は任意に加工編集できるので、撮影した画像を自由に修正、変形、加工等して出力できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に使用される感光性ハロゲン化銀乳剤について説明する。
本発明の目的である、定着処理を施すことなく、熱現像処理後の画像保存安定性を高めるためには、金属イオン及び金属錯体イオンから選択される1種以上を含有してなり、平均厚みが0.2μm以下であり、かつ平均アスペクト比が3〜100である平板状感光性ハロゲン化銀粒子からなる乳剤を用いる。
ところで、従来より、金属イオン及び/又は金属錯体イオン(以下「金属イオン等」と称することがある)をハロゲン化銀乳剤粒子に含有させる技術は、当該業者間ではよく知られている。しかしながら、これらの技術は、高感化、相反則調節、階調制御、潜像保存性改良、露光時の温度依存性軽減化を目的として、現像主薬を含有する処理液を用いた処理が必要な写真撮影用の感光材料や加熱現像によるプリント用の感光材料に、前記金属イオン等を用いるものであり、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する技術とは全く別個の技術である。
加熱現像を行う写真撮影用の高感度な感光材料において、浅い電子トラップである金属イオンを厚さ0.2μm以下の平板状感光性ハロゲン化銀粒子からなる乳剤に添加することによって、高感度を維持しつつ、処理後の画像保存安定性を改善するという本発明の効果は、今まで知られてなく、本発明の発明者が鋭意検討した結果、初めて見い出されたものである。
【0028】
次に、本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤に用いられる、深さが0.2eV以下の電子トラップである金属イオン及び金属錯体イオンについて述べる。
このような金属イオン及び金属錯体イオンとしては、例えば、Pb2+、[M(CN)xyz]が挙げられる。
前記式中、Mは、Re+、Os2+、Ru2+、Fe2+、Ir3+又はCo3+を表す。Xは、4、5又は6を表す。L及びNは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等のハロゲンイオン、SCN-、NCS-、H2Oなどのような無機リガンド、又は、ピリジン、フェナントロリン、イミダゾール、ピラゾールなどのような有機リガンドを表す。y及びzは、数値であり、x+y+z=6を満たすようにその値が定められる。通常、リガンドを有している場合、配位数は、6配位である。
【0029】
前記金属イオン等による電子トラップの深さの値は、例えば、R.S.Eachus、R.E.Grave、M.T.OlmによるPhys.Stat.Sol(b)の第88巻705頁(1978)に開示されているような、ESRを用いた動力学測定により得られる。
前記電子トラップの深さは、中心金属イオンの種類、リガンドの種類、錯体の点群の対称性(Oh、D4h、C4v等)、基盤のハロゲン組成で変わり得る。前記電子トラップの深さは、金属イオン又は金属錯体イオンの電子の最低非占有軌道のエネルギー準位が、ハロゲン化銀の伝導帯の底より低いか高いかで決定される。該エネルギー準位がハロゲン化銀の伝導帯の底よりも、高い場合は、中心金属イオンのクーロン力による緩い束縛を電子に与えるので、浅い電子トラップになり、低い場合は、伝導帯からのエネルギー差が、電子トラップの深さに対応し、比較的深い電子トラップになる。
【0030】
前記感光性ハロゲン化銀乳剤中の前記金属イオン及び/又は金属錯体イオンの添加量としては、ハロゲン化銀1モル当たり10-9〜10-2モル程度である。
前記感光性ハロゲン化銀乳剤粒子において、前記金属イオン及び/又は金属錯体イオン(以下「金属イオン等」と称することがある)は、粒子の内部に均一な状態で又は局在した状態で組み込まれていてもよいし、粒子の表面に露出した状態で組み込まれていてもよいし、粒子の表面には露出しないが、該表面近傍に局在した状態で組み込まれていてもよい。また、エピタキシャル粒子においては、基盤の結晶であってもよいし、接合部の結晶であってもよい。ハロゲン組成の異なる相を有する多重構造型の感光性ハロゲン化銀乳剤粒子においては、組成毎に含有させる金属イオン等を変化させてもよい。
【0031】
前記金属イオン等の添加は、粒子形成時のハロゲン化物水溶液あるいは水溶性銀塩溶液に該金属イオン等の金属塩溶液を混合して、粒子形成中に連続して添加したり、該金属イオン等がドープされたハロゲン化銀乳剤微粒子を添加したり、あるいは、該金属イオン等の金属塩溶液を粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後に直接添加したりすることで行える。粒子形成中には、該金属イオン等の金属塩溶液を連続して添加してもよい。
【0032】
前記金属塩を、水又はメタノール、アセトンなどの適当な溶媒に溶かす場合、溶液を安定化するために、ハロゲン化水素水溶液(例えば、HCl、HBr等)、チオシアン酸若しくはその塩、又はハロゲン化アルカリ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。また、必要に応じて酸、アルカリ等を加えるのも、溶液安定化の観点で好ましい。
【0033】
前記金属イオン等の感光性ハロゲン化銀乳剤中における含有量は、例えば、原子吸光、偏光ゼーマン分光、ICP分析等を行うことにより測定される。前記金属錯体イオンのリガンド、CN-,SCN-、NO-等の感光性ハロゲン化銀乳
剤中における含有は、赤外吸収(特にFT−IR)により確認される。
【0034】
本発明で使用できる感光性ハロゲン化銀乳剤におけるハロゲン組成は、塩化銀、沃塩化銀、塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀で、任意の組成のものを好ましく用いることができる。また、その他の銀塩、例えば、チオシアン酸銀、硫化銀、セレン化銀、炭酸銀、リン酸銀、ベンゾトリアゾール銀のような有機銀がハロゲン化粒子に固溶されていてもよいし、接合されていてもよい。
前記ハロゲン組成は、均一であってもよいし、粒子内部と粒子表面で異なっていてもよい。後の場合、ハロゲン化銀乳剤粒子は、多重又は積層構造粒子等である。また、エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀乳剤が接合されていてもよい。
【0035】
ところで、高塩化銀乳剤は、一般に、現像活性が高いという特長を有する。かつ、ヘイズが少ないので、処理後の感光材料を定着せずにスキャナーで読みとる際、画像情報の劣化が少ないという特長も有する。
【0036】
組成の異なる局在相を、層状若しくは非層状にハロゲン化銀内部及び/又は表面に有する構造のものも使用できる。局在相のハロゲン組成は、X線回折法、分析電子顕微鏡等で分析される。例えば、シー・アール・ベリイ、エス・ジェイ・マリノ(C.R.Berry,S.J.Marino)著フォトグラフィック・サイエンス・アンド・テクノロジー(Photographic Science and Technology)2巻149頁(1955)及び同4巻22頁(1957)にX線回折法のハロゲン化銀への適用法が記載されている。局在相は、粒子の内部や表面のエッジ部、コーナー部又は面上に存在し得るが、好ましい例としては、粒子のコーナー部にエピタキシャル接合したものが挙げられ、特開昭58−108526号公報、特開昭59−133540号公報、特開昭59−119350号公報、特開平6−194768号公報、欧州特許0699944号明細書等に記載されている。
【0037】
現用の写真撮影用の感光材料と同様に、沃臭化銀を主体とした感光性ハロゲン化銀乳剤の場合でも、塩化銀を含んでいてもよいが、その場合における塩化銀の含有率は、8モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましい。
本発明においては、ハロゲン組成の異なる複数の層による積層構造を有する沃臭化銀よりなる、自身より粒子の内部側に隣接した層及び粒子の表面側に隣接した層のいずれよりも沃化銀の含有率が高い層を少なくとも一層有する粒子を内部に含んでなる感光性ハロゲン化銀乳剤粒子を用いることが好ましい。
【0038】
塩臭化銀や塩化銀などから構成される感光性ハロゲン化銀乳剤を用いる場合、沃化銀を含んでいてもよいが、その場合における沃化銀の含有率は、6モル%以下が好ましく、2モル%以下がより好ましい。
高塩化銀乳剤を用いた場合、増感色素吸着の点では不利であるが、表面を沃化銀若しくは臭化銀に富む組成にすることにより、色素吸着を強化することができる。
【0039】
感光性ハロゲン化銀乳剤粒子の表面におけるハロゲン組成は、X線光電子分光法(ESCA)で測定される。
【0040】
感光性ハロゲン化銀乳剤粒子間のハロゲン組成分布(臭化銀含有率、沃化銀含有率、塩化銀含有率)は、狭いほうが好ましい。このハロゲン組成分布の変動係数は、3〜30%が好ましく、3〜25%がより好ましく、3〜20%が特に好ましい。なお、前記変動係数は、ばらつき(標準偏差)を平均で割った値を意味する。
個々の感光性ハロゲン化銀乳剤におけるハロゲン組成分布は、例えば、X線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて分析することができる。
【0041】
感光性ハロゲン化銀乳剤における平板状感光性ハロゲン化銀粒子の形状は、主表面(平行する面積の大きい外表面)が(111)面からなる場合は、平行な双晶面を2つ以上含む平行多重双晶で、外表面が(100)面からなる場合、双晶面は存在しない。双晶面間隔は、米国特許5219720号明細書に記載されているように、0.012μm以下にすることが可能であり、さらに、特開平5−249585号公報に記載のように、(111)主平面間距離を該双晶面間隔で割った値を15以上にすることも可能である。
前記主平面が(111)面の場合、感光性ハロゲン化銀乳剤粒子の上から見た形状は、三角形状、六角形状、又はこれらが丸みを帯びた円形状、円形状をしている。
前記主平面が(111)であっても、該主平面を連結する側面は、(111)面であってもよいし、(100)面であってもよいし、両者の混合でもよいし、更にはより高指数の面を含んでいてもよい。
前記外表面が(100)面の場合、感光性ハロゲン化銀乳剤粒子の上から見た形状は、矩形状をしている。
【0042】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤は、平板状感光性ハロゲン化銀粒子が全投影面積の80〜100%を占めることが好ましく、90〜100%を占めることがより好ましく、95〜100%を占めることが特に好ましい。
【0043】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤における平板状感光性ハロゲン化銀粒子の平均粒子厚みは、0.005〜0.2μmが好ましく、0.01〜0.15μmがより好ましい。なお、前記平均粒子厚みとは、該感光性ハロゲン化銀乳剤中の全平板状粒子の粒子厚みの算術平均を意味する。
【0044】
前記感光性ハロゲン化銀乳剤における平板状感光性ハロゲン化銀粒子の平均投影面積の円相当径は、0.2〜8μmが好ましく、0.3〜5μmがより好ましく、0.4〜4μmが特に好ましい。
【0045】
前記感光性ハロゲン化銀乳剤における平板状感光性ハロゲン化銀粒子の前記平均厚みに対する前記円相当径の比をアスペクト比という。本発明における平板状の感光性ハロゲン化銀乳剤粒子の平均アスペクト比としては、3〜100が好ましく、6〜80がより好ましい。なお、平均アスペクト比とは、該感光性ハロゲン化銀乳剤中の全平板粒子の平均アスペクト比の算術平均を意味する。
【0046】
前記感光性ハロゲン化銀乳剤における平板状感光性ハロゲン化銀粒子の投影面が矩形状である場合、最小長さの辺長に対する、最大長さの辺長の比が1〜2の平板状粒子が全粒子の投影面積の50〜100%を占めることが好ましく、70〜100%がより好ましい。なお、前記比としては、1に近い正方形状の平板状粒子が好ましい。
【0047】
感光性ハロゲン化銀乳剤粒子の形状は、感光性ハロゲン化銀乳剤粒子と、大きさの標準として用いる参照用のラテックス球とを同時に重金属等でシャドウイングを施したカーボンレプリカ法を用いた透過電子顕微鏡観察にて測定できる。
【0048】
狭い粒子サイズ分布を有する単分散感光性ハロゲン化銀乳剤を用いるのが好ましい。前記単分散感光性ハロゲン化銀乳剤とは、粒子サイズ分布の変動係数が30%以下であるものを意味する。前記単分散感光性ハロゲン化銀乳剤の利用法は、トレヴォル・マタナハン(Trevor Maternaghan)著サーファクタント・サイエンス・シリーズ(テクノロジカル・アプリケイションズ・オブ・ディスパージョンズ)(Surfactant Science Series)52巻373頁(1994)に記載されている。
また、広い粒子サイズ分布を有する多分散感光性ハロゲン化銀乳剤を用いてもよい。
なお、特開平1−167743号公報、同4−223463号公報のように、階調の調整を目的として、実質的に同一の感色性を有し、粒子サイズの異なる2種以上の単分散感光性ハロゲン化銀乳剤を併用してもよい。2種以上の単分散感光性ハロゲン化銀乳剤は、同一層に混合してもよいし、別々の層を構成してもよい。2種以上の多分散感光性ハロゲン化銀乳剤あるいは単分散感光性ハロゲン化銀乳剤と多分散感光性ハロゲン化銀乳剤との組合せを使用することもできる。
【0049】
(111)面からなる臭化銀、(沃)臭化銀、(塩)臭化銀による平板状粒子の調製法は、特開昭55−142329号公報、同58−113926号公報、同58−113927号公報、同58−113928号公報、米国特許4914014号明細書、米国特許4942120号明細書、特開平2−222940号公報、米国特許5013641号明細書、米国特許4414306号明細書に記載されている。これらの中でも、米国特許5147771〜3号、同5171659号、同5210013号及び同5252453号の各明細書に記載のポリアルキルオキサイド化合物を用いた平板状粒子形成法が好ましい。
平均アスペクト比の高い感光性ハロゲン化銀乳剤における平板状粒子を形成するには、小サイズの双晶核を生成させることが重要である。そのためには、低温、高pBr、低pHにし、ゼラチンは量を少なくして、メチオニン量の少ないものや低分子のものやフタル化したゼラチン誘導体を使用したり、核形成時間を短くして核形成を行うことが、好ましい。
核形成後は、物理熟成により、平板粒子核(平行多重双晶核)のみ成長させ、他の正常晶の核、一重双晶核、非平行多重双晶核を消失させて、選択的に平行多重双晶の核を形成させる。その後、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩、あるいは小サイズのハロゲン化銀微粒子乳剤を添加させて、粒子成長を行って、平板状粒子を含む感光性ハロゲン化銀乳剤が調製される。
【0050】
(100)面からなる臭化銀又は(塩)臭化銀平板状粒子の調製法は、T.G.BOGGによる米国特許4063951号明細書、A.MIGNOTによる特開昭58−95337号公報に記載されている。
【0051】
(111)面からなる高塩化銀乳剤による平板状粒子は、米国特許4399215号明細書、同4400463号明細書、同5217858号明細書、特開平2−32号公報等に記載されている。高塩化銀の場合、吸着物質のない条件では、通常(100)面が外表面であるので、(111)面に面選択性のある吸着物質を用いて、かつ双晶核を形成させた後、物理熟成過程で、正常晶の核、一重双晶核、非平行多重双晶核を消失させて、選択的に平行多重双晶の核を得、その後、粒子成長させて、平板状粒子を含む感光性ハロゲン化銀乳剤が調製される。
【0052】
なお、(111)面からなる塩化銀平板状粒子生成の経験則がJournal of Photographic Science36巻182頁(1988)に、報告されている。
【0053】
(100)面からなる高塩化銀乳剤粒子による平板状粒子は、米国特許4946772号明細書、同5275930号明細書、同5264337号明細書、特開平5−281640号公報、特開平5−313273号公報、欧州特許0534395A1号明細書等に記載されている。平板状に成長する核の生成が、ポイントであり、粒子形成初期に、臭化物イオンや沃化物イオンを添加したり、特定の面に選択吸着性を呈する化合物を添加したりするのが有効である。核生成後に、物理熟成、粒子成長を行って、平板状粒子を含む感光性ハロゲン化銀乳剤が調製される。前記粒子成長は、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩、あるいは小サイズのハロゲン化銀微粒子乳剤を添加させることにより行われる。
【0054】
このような平板状粒子は、同一体積の正常晶と比べて、表面積が大きいので増感色素の吸着量を増やせるので、色増感感度の点で有利である。したがって、正常晶粒子と比べて、同一感度では粒子の体積を小さくできるので、粒子数の増加に伴って現像開始点数が増え、写真撮影用の感光材料における重大な性能である粒状性に優れる。また、前記粒状性が有利な分だけ、塗布銀量の軽減化も可能で高感度写真撮影用の感光材料の問題点である放射線カブリ抑制の点で優れる。
塗布銀量軽減化は、後述のように、処理後の感光材料を定着せずにスキャナーで読みとる際、画像情報の劣化を引き起こすヘイズを下げる際に有効である。
平板状粒子は、比表面積が大きいので、現像活性も高いという特長を有する。さらに、平板状粒子は、塗布時に配向して並ぶので、感光材料の薄層化が可能となり、鮮鋭度に優れる。このように、平板状粒子は、写真撮影用の感光材料において、必須の乳剤粒子である。
圧力性、粒子分布の単分散性を損なわない限り、平板状粒子の平均アスペクト比は大きい方が、感度、粒状度、活性、塗布銀量軽減化等の点で好ましい。
【0055】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤における平板状感光性ハロゲン化銀粒子は、転位線を有していてもよい。
前記転位線とは、結晶の滑り面上で、既に滑った領域と未だ滑らない領域の境界にある線状の格子欠陥のことである。
【0056】
感光性ハロゲン化銀乳剤の結晶の転位線に関しては、1)C.R.Berry,J.Appl.Phys.,27,636(1956),2)C.R.Berry,D.C.Skilman,J.Appl.Phys.,35,2165(1964),3)J.F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,11,57(1967),4)T.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Jap.,34,16(1971),5)T.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Jap.,35,213(1972)等の文献があり、X線回折法又は低温透過型電子顕微鏡を用いた直接的観察方法により解析できる。
【0057】
透過型電子顕微鏡を用いて前記転位線を直接観察する場合、感光性ハロゲン化銀乳剤粒子に前記転位線が発生するほどの圧力をかけないよう注意して、感光性ハロゲン化銀乳剤粒子から取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(例えばプリントアウト)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察することができる。
この場合、感光性ハロゲン化銀乳剤粒子の厚みが厚いほど電子線が透過しにくくなるので、高圧型(0.25μmの厚みに対して、200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。
【0058】
特開昭63−220238号公報には、ハロゲン化銀粒子中に転位線をコントロールして導入する技術に関する記載がある。
前記転位線を導入した平板状粒子は、前記転位線のない平板状粒子と比較して、感度、相反則等の写真特性に優れていることが示されている。
【0059】
平板状粒子の場合、前述のように電子顕微鏡を用いて撮影した粒子の写真より、主平面に対して垂直方向から見た場合の各粒子についての転位線の位置と本数を求めることができる。
【0060】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤における平板状粒子が転位線を有する場合、その位置は、例えば粒子の頂点部、フリンジ部に限定する、あるいは主平面部全体にわたって導入する、などの中から適宜選択でき任意であるが、特にフリンジ部に限定することが好ましい。
【0061】
本発明において、前記フリンジ部とは、平板状粒子の外周のことを意味し、詳しくは平板状粒子の辺から中心にかけての沃化銀の分布において、辺側から見て初めてある点における沃化銀の含有率が粒子全体の平均沃化銀含有率を超えた点、又は下回った点の外側を意味する。
【0062】
本発明において、平板状粒子が転位線を有する場合、該転位線の密度は任意であり、1粒子当たり10本以上、30本以上、50本以上など、場合に応じて適宜選択できる。
【0063】
本発明における、平板状感光性ハロゲン化銀粒子を含む感光性ハロゲン化銀乳剤及びこれと併用する本発明以外のハロゲン化銀乳剤について、以下に説明する。なお、以下の説明においては、便宜上両者の乳剤をまとめて「ハロゲン化銀乳剤」と称することがある。
ハロゲン化銀乳剤の一般的な調製方法は、グラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊 (P.Glafkides, Chimie et Physique Photographique Paul Montel, 1967)ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊 (G. F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry (Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊 (V. L. Zelikman et al. Making and Coating Photographic Emulsion. Focal Press,1964)に記載がある。
【0064】
ハロゲン化銀乳剤粒子の潜像形成位置は、表面であっても、内部であってもよいし、極浅い内部(浅内潜)であってもよい。
ハロゲン化銀乳剤の調製方法は、酸性法、中性法及びアンモニア法のいずれでもよい。被りが、発生しない程度に、高pHにしてもよい。可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩とを反応させる形式としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せを用いることができる。粒子を銀イオン過剰の状態において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液層中のpAgを一定に保つ方法、即ち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。この方法によると、結晶系が規則的で粒子サイズ分布及びハロゲン組成が均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。
また、米国特許4879208号明細書に記載のように、乳剤調製時その場で調製した極微粒子乳剤を、乳剤調製槽に添加後、物理熟成によって粒子を成長させるのも好ましい。この極微粒子乳剤は、予め調製したものであってもよい。
【0065】
ハロゲン化銀乳剤の調製において、粒子形成中のpAgとpHを調整することが好ましい。pAgとpHの調整については、フォトグラフィク・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第6巻、159〜165頁(1962);ジャーナル・オブ・フォトグラフィク・サイエンス(Journal of Photographic Science) 12巻242〜251頁(1964)、米国特許3655394号及び英国特許1413748号の各明細書に記載がある。
【0066】
本発明における乳剤調製時に用いられる保護コロイドとしては、ゼラチンが好ましく使用されるが、それ以外の親水性バインダーも用いることができる。親水性バインダーは、単独で、あるいはゼラチンとの併用で使用できる。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、アルブミンやカゼイン等の蛋白質、ヒドロキシエチルセルロースやセルロース硫酸エステル類等のようなセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、澱粉誘導体、多糖類、カラギナン、ポリビニルアルコールや変成アルキルポリビニルアルコールやポリビニル−N−ピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドやポリビニルイミダゾールやポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体のような合成親水性高分子、米国特許第3615624号明細書に記載のチオエーテルポリマーも好ましく使用できる。
ゼラチンは、石灰処理ゼラチンの外、酸処理ゼラチンや脱灰ゼラチンやフタル化ゼラチン、カルバモイルゼラチン、エステル化ゼラチンのようなゼラチン誘導体や低分子のゼラチンは、平板粒子を形成する際に好ましく使用できる。過酸化水素のような酸化剤で酸化処理されたゼラチンも、平板状粒子を形成する際に有効であることが知られている。Bull. Soc. Photo. Japan No. 16の30頁(1966)に記載されたような酵素で処理されたゼラチンも、低分子化ゼラチンとして使用できる。ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
【0067】
ハロゲン化銀乳剤粒子の形成時に、ハロゲン化銀溶剤を用いるのも好ましく、この場合、前記ハロゲン化銀溶剤の例としては、チオシアン酸塩(米国特許2222264号、同第2448534号、同3320069号の各明細書の記載参照)、チオエーテル化合物(米国特許3271157号、同3574628号、同第3704130号、同4297439号、同4276347号の各明細書の記載参照)、チオン化合物(特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号の各公報の記載参照)及びイミダゾール系化合物(特開昭54−100717号公報の記載参照)、ベンツイミダゾール(特公昭60−54662号公報の記載参照)、及びアミン化合物(特開昭54−100717号公報の記載参照)を挙げることができる。
なお、アンモニアも悪作用を伴わない範囲でハロゲン化銀溶剤と併用することができる。特公昭46−7781号、特開昭60−222842号、特開昭60−122935号等の各公報に記載されているような含窒素化合物をハロゲン化銀粒子形成段階に添加することができる。ハロゲン化銀溶剤の具体例の詳細は、特開昭62−215272号公報の12頁〜18頁に記載されている。
【0068】
米国特許第3,772,031号明細書に記載されているようなカルコゲナイド化合物を乳剤調製中に添加する方法も有用な場合がある。S,Se,Te以外にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン塩、炭酸塩、燐酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0069】
ハロゲン化銀乳剤粒子の形成時に、添加する銀塩溶液(例えばAgNO3 水溶液)とハロゲン化合物溶液(例えばKBr水溶液)との添加速度、添加量あるいは添加濃度を上昇させ、粒子形成速度を速めてもよい。このように、急速にハロゲン化銀粒子を形成する方法は、英国特許1335925号、米国特許3672900号、同3650757号、同4242445号の各明細書、特開昭55−142329号、同55−158124号、同58−113927号、同58−113928号、同58−111934号、同58−111936号の各公報に記載がある。
【0070】
粒子形成中又は粒子形成後にハロゲン化銀粒子表面に難溶性のハロゲン化銀乳剤粒子を形成するハロゲンで置換してもよい(ハロゲン変換)。このハロゲン変換過程は、「ディー・グルンドラーゲン・ディア・フォトグラフィシェン・プロツェセ・ミット・ジルファーハロゲニデン」(Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silverhalogeniden) 662〜669頁や「ザ・セオリー・オブ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of Photographic Process)第4版97〜98頁等に記載されている。この方法は、可溶性ハロゲン化物の溶液で添加してもよいし、微粒子ハロゲン化銀の状態で添加してもよい。
【0071】
粒子形成中及び/又は粒子形成後に、チオスルフォン酸塩、米国特許5219721号及び同5364754号の各明細書に記載のジカルコゲン化合物、リポ酸、システイン、元素状硫黄、コバルトアンモニア錯体のような無機金属錯体を添加してもよい。
【0072】
ハロゲン化銀乳剤の粒子形成又は物理熟成の過程において、金属塩(錯塩を含む)も共存させてもよい。前記金属塩の例としては、カドミウム、亜鉛、タリウム、白金、ガリウム、銅、ニッケル、マンガン、インジウム、錫、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ビスマス等の貴金属又は金属の塩あるいは錯塩が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。添加量としては、ハロゲン化銀1モル当たり、10-9〜10-3モル程度である。これらの金属は、アンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯体、4配位錯塩などの水溶性の塩で使用するのが好ましい。錯イオン及び配位化合物としては、臭素イオン、塩素イオン、シアンイオン、ニトロシルイオン、チオシアンイオン、チオニトロシルイオン、水、アンモニア、オキソ、カルボニル等及びこれらの組合せが好ましく用いられる。添加量は、使用する目的にもよるが、ハロゲン化銀1モル当たり、10-9〜10-2モル程度である。また、ハロゲン化銀乳剤粒子に組み込む位置は、粒子の内部に均一でもよいし、粒子の表面又は内部等の局在した位置や臭化銀局在相や高塩化銀粒子基盤でもよい。これらの化合物の添加方法は、粒子形成時のハロゲン化物水溶液あるいは水溶性銀塩溶液に該金属塩溶液を混合して、粒子形成中に連続して添加したり、該金属イオンがドープされたハロゲン化銀乳剤微粒子を添加したり、あるいは、該金属塩溶液を粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後に直接添加したりすることで行える。粒子形成中には、該金属塩溶液を連続して添加してもよい。
【0073】
米国特許第3,772,031号明細書に記載されているようなカルコゲナイド化合物を乳剤調製中に添加する方法も有用な場合がある。S,Se,Te以外にもシアン塩、チオシアン塩、セレノシアン塩、炭酸塩、燐酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0074】
本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する過程では、過剰の塩を除去する脱塩工程を行うのが好ましい。ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いてもよく、また、多価アニオンよりなる無機塩類(例えば、硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、ゼラチン誘導体(脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチン等)を利用した沈降法(フロキュレーション)を用いてもよい。あるいは、米国特許第4758505号明細書、特開昭62−113137号公報、特公昭59−43727号公報、米国特許第4334012号明細書において示される限外濾過装置を用いてもよいし、自然沈降法、遠心分離法を用いてもよい。通常は、沈降法が好ましく用いられる。
【0075】
本発明における感光性ハロゲン化銀乳剤は、未化学増感のままで使用できるが、通常、化学増感して使用される。本発明に用いられる化学増感法には、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法等のカルコゲン増感法、金、白金、パラジウム等を用いる貴金属増感及び還元増感法等を単独又は組み合わせて用いることができる(例えば、特開平3−110555号公報、特願平4−75798号公報など)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うことができる(特開昭62−253159号公報)。また、後述する被り防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45833号公報、特開昭62−40446号公報に記載の方法を用いることができる。
【0076】
これらの化学増感は、感光性ハロゲン化銀乳剤の製造工程の任意の工程で施すことができる。どの工程で化学増感するかによって、種々のタイプの乳剤を調製することができる。粒子の内部に化学増感核を埋め込むタイプ、粒子の表面から浅い位置に埋め込むタイプ、あるいは、粒子の表面に化学増感核をつくるタイプがある。種々の化学増感核を粒子の内部や表面、粒子の表面から浅い位置に形成することができる。例えば、還元増感核を粒子の内部に、カルコゲン増感核及び/又は金カルコゲン増感核を粒子の表面に形成するの好ましいが、目的に応じて、多種の組み合わせが可能である。
【0077】
硫黄増感剤としては、不安定な硫黄化合物を用い、具体的には、チオ硫酸塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、アリルチオ尿素等)、アリルイソチオシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン類、メルカプト類等の公知の硫黄化合物を用いることができる。前記硫黄増感剤の添加量は、乳剤の感度を効果的に増大させるのに充分な量でよく、適量はpH、温度、他の増感剤との兼ね合い、感光性ハロゲン化銀乳剤粒子の大きさ等、種々の条件により変化するが、目安としては感光性ハロゲン化銀乳剤1モル当り10-9〜10-1モルで使用するのが好ましい。
【0078】
セレン増感においては、公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素等)、セレノケトン類、セレノアミド類、脂肪族イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネート等)、セレノカルボン酸及びエステル類、セレノホスフェート類、ジエチルセレナイド類、ジエチルジセレナイド類、ホスフィンセレナイド類等のセレナイド類を用いることができる。添加量は硫黄増感剤と同様に種々の条件により変化するが、目安としては感光性ハロゲン化銀乳剤1モル当り10-10 〜10-1モルで使用するのが好ましい。
【0079】
本発明においては上記カルコゲン増感の他に貴金属による増感も行うことができる。まず、金増感においては、金の価数が+1価でも+3価でもよく、多種の金化合物が用いられる。代表的な例としては、塩化金酸類、カリウムクロロオーレート、オーリクトリクロライド、カリウムオーリチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラオーリックアシド、アンモニウムオーロチアシアネート、ピリジルトリクロロゴールド、硫化金、金セレナイド、テルル化金等が挙げられる。
金増感剤の添加量は、種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り10-10 〜10-1モルの範囲で使用するのが好ましい。
金増感剤の添加時期は、硫黄増感あるいはセレン増感、テルル増感と同時でも、硫黄増感あるいはセレン増感、テルル増感工程の途中や前、あるいは終了後でもよいし、金増感剤を単独に用いることも可能である。
本発明における硫黄増感、セレン増感又はテルル増感や金増感を施す乳剤のpAg、pHに特に制限はないが、pAgは5〜11、pHは3〜10の範囲で使用するのが好ましく、pAgは6.8〜9.0、pHは5.5〜8.5の範囲で使用するのがより好ましい。
【0080】
シアノ錯体の金属イオンを粒子形成時に用いて金増感を施す場合、化学増感前あるいはゼラチン分散時に、亜鉛イオンのようなゼラチンに配位する金属イオンを添加するが高感化の点で好ましい。
【0081】
本発明において金以外の貴金属も化学増感剤として使用可能である。金以外の貴金属としては、例えば、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムのような金属塩又はそれらの錯塩による増感剤も使用できる。
パラジウム化合物は、パラジウム2価塩又は4価塩が使用できる。例えば、K2PdCl4、Na2PdCl6等が好ましい。
金及び貴金属化合物は、チオシアン酸塩又はセレノシアン酸塩と併用してもよい。
【0082】
本発明においては更に還元増感を行うことができる。前記還元増感は、粒子形成中、粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、あるいは化学増感後に行うことが好ましい。
ここで、前記還元増感とは、感光性ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添加する方法、pAg1〜7の低pAgの雰囲気で乳剤粒子を成長、あるいは熟成させる銀熟成、pH8〜11の高pHの雰囲気で乳剤粒子を成長、あるいは熟成させる、高pH熟成のいずれも選ぶことができる。また、2以上の方法を併用することもできる。
【0083】
本発明で用いられる還元増感剤としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸、第一錫塩、アミン及びポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物等が公知である。本発明には、これら公知の化合物を1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記還元増感剤としては、塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、L−アスコルビン酸、アミノイミノメタンスルフィル酸が好ましい化合物である。米国特許第5,389,510号明細書に記載のアルキニルアミン化合物も有効な化合物である。前記還元増感剤の添加量は、乳剤条件に依存するので、添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当たり10-9〜10-2モルの範囲が適当である。
前記還元増感剤を添加する方法以外に、水素ガスを通したり、電気分解による発生期の水素によって、還元増感する方法をも選ぶことができる。
前記還元増感は単独でも用いることができるが、前記カルコゲン増感や前記貴金属増感と組合せて用いることもできる。
【0084】
前記還元増感剤は、水あるいはアルコ−ル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類などのの溶媒に溶かして、粒子形成中及び/又は粒子形成後に添加される。粒子形成中に添加する場合は、あらかじめ、反応容器に添加するのもよいが、粒子形成の適当な時期に添加する方が好ましい。また、ハロゲン化物水溶液あるいは水溶性銀塩溶液に還元増感剤を添加しておき、これらの溶液を用いて感光性ハロゲン化銀乳剤粒子を沈殿させてもよい。また、粒子成長に伴って、還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加してもよいし、連続して長時間添加するのも好ましい。
【0085】
本発明では、感光性ハロゲン化銀乳剤に所望の光波長域に感度を付与する、所謂分光増感を施すことが好ましい。特に、ハロゲン化銀カラー写真感光材料では、オリジナル(撮影時)に忠実な色再現を行うため、青、緑、赤に感光性を有する感光性層が組み込まれている。これらの感光性は、ハロゲン化銀を分光増感することで付与される。
前記分光増感には、ハロゲン化銀粒子に吸着して、それ自身の吸収波長域に感度を持たせる、所謂分光増感色素が用いられる。
【0086】
前記分光増感色素の例としては、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素あるいはヘミオキソノール色素等が挙げられる。これらの例は、米国特許第4617257号、特開昭59−180550号、同64−13546号、特開平5−45828号、同5−45834号明細書等に記載されている。
前記分光増感色素は、単独で用いられる他に、複数種の色素を併用して用いられる。これは、分光感度の波長分布の調節や、強色増感の目的で行われる。強色増感作用を呈する色素の組合せでは、単独で達成できる感度の和を大きく超える感度が得られる。
また、それ自身では分光増感作用を持たない色素、あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であって、強色増感作用を呈する化合物を併用することも好ましい。ジアミノスチルベン化合物類などを強色増感剤の例として挙げることができる。これらの例としては、米国特許第3615641号、特開昭63−23145号明細書等に記載されている。
【0087】
これらの分光増感色素や強色増感剤のハロゲン化銀乳剤への添加時期としては、これまで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階であってもよい。化学増感の終了した乳剤に塗布液調製時に添加する、化学増感終了時に添加する、化学増感途中に添加する、化学増感に先立って添加する、粒子形成終了後脱塩前に添加する、粒子形成中に添加する、あるいは粒子形成に先立って添加するなどの種々の方法を単独あるいは組み合わせて用いることができる。化学増感よりも前の工程で添加するのが、高感度を得るのに好ましい。
分光増感色素や強色増感剤の添加量は、粒子の形状や粒子サイズあるいは付与したい写真特性によって多岐にわたるが、概ねハロゲン化銀1モル当たり10-8〜10-1モル、好ましくは10-5〜10-2モルの範囲である。これらの化合物は、メタノールやフッ素アルコール等の有機溶媒に溶解した状態で、あるいは界面活性剤やゼラチンと共に水中に分散した状態で添加することができる。
【0088】
ハロゲン化銀乳剤には、被りを防止したり、保存時の安定性を高める目的で種々の安定剤を添加することが好ましい。好ましい安定剤としては、アザインデン類、トリアゾール類、テトラゾール類、プリン類等の含窒素複素環化合物類、メルカプトテトラゾール類、メルカプトトリアゾール類、メルカプトイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類等のメルカプト化合物類などが挙げられる。これらの化合物の詳細は、ジェームズ著「写真過程の理論」マクミラン社刊(T.H.James,The Theory of the Photographic Process,Macmillan,1977)第396頁〜399頁およびその引用文献に記載されている。
【0089】
これらの被り防止剤あるいは安定剤のハロゲン化銀乳剤への添加は、乳剤調製のいかなる時期でもよい。化学増感の終了した乳剤に塗布液調製時に添加する、化学増感終了時に添加する、化学増感途中に添加する、化学増感に先立って添加する、粒子形成終了後脱塩前に添加する、粒子形成中に添加する、あるいは粒子形成に先立って添加するなどの種々の方法を単独あるいは組み合わせて用いることができる。
これらの被り防止剤あるいは安定剤の添加量はハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成や目的に応じて多岐にわたるが、概ねハロゲン化銀1モル当たり10-6〜10-1モル、好ましくは10-5〜10-2モルの範囲である。
【0090】
以上述べてきたような本発明の感光材料に使用される写真用添加剤は、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下RDと略記)No17643(1978年12月)、同No18716(1979年11月)及び同No307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめて示す。
【0091】
添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD307105
化学増感剤 23頁 648頁右欄 866頁
感度上昇剤 648頁右欄
分光増感剤 23〜24頁 648頁右欄 866〜868頁
強色増感剤 〜649頁右欄
増白剤 24頁 648頁右欄 868頁
被り防止剤 24〜26頁 649頁右欄 868〜870頁
安定剤
光吸収剤 25〜26頁 649頁右欄 873頁
フィルター染料 〜650頁左欄
紫外線吸収剤
色素画像安定剤 25頁 650頁左欄 872頁
硬膜剤 26頁 651頁左欄 874〜875頁
バインダー 26頁 651頁左欄 873〜874頁
可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 876頁
塗布助剤 26〜27頁 650頁右欄 875〜876頁
界面活性剤
スタチック防止剤 27頁 650頁右欄 876〜877頁
マット剤 878〜879頁
【0092】
本発明において使用される感光性ハロゲン化銀乳剤の塗設量は、銀換算1mg/m2〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜5g/m2である。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料では、銀現像によって生成した酸化体が後述のカプラーとカップリングして色素を生成することのできる現像主薬を内蔵することで、現像主薬を含む処理液を使用せずに済み、環境負荷低減化が達成され、簡易迅速化処理が可能となった。
【0093】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料における写真構成層のバインダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例としては前述のリサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13,546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。
具体的には、透明か半透明の親水性バインダーが好ましく、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質又はセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン等の多糖類のような天然化合物とポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール(例えば、(株)クラレ製の末端アルキル変成ポバールMP103,MP203等)、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等の合成高分子化合物が挙げられる。また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、即ち−COOM又は−SO3 M(Mは水素原子又はアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体又はこのビニルモノマー同士若しくは他のビニルモノマーとの共重合体(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。特にゼラチンと上記バインダーの組み合わせが好ましい。またゼラチンは、種々の目的に応じて石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウムなどの含有量を減らした所謂脱灰ゼラチンから選択すればよく、組み合わせて用いてもよい。
【0094】
本発明において、前記バインダーの塗布量としては、1〜20g/m2 であり、2〜15g/m2 が好ましく、3〜12g/m2 がより好ましい。この中でゼラチンの含有量としては、50%〜100%であり、70%〜100%が好ましい。
【0095】
本発明においては、現像主薬として、p−フェニレンジアミン類又はp−アミノフェノール類でもよいが、前記一般式(1)〜(5)で表される化合物が好ましい。
【0096】
前記一般式(1)で表される化合物は、スルホンアミドフェノールと総称される化合物である。
【0097】
前記一般式(1)中、R1 〜R4 は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、クロル基、ブロム基)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基)、アルキルカルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチロイルアミノ基)、アリールカルボンアミド基(例えば、ベンゾイルアミノ基)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基)、アリールスルホンアミド基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基)、アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基)、又はアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基)を表す。
1 〜R4 の中で、R2 及びR4 は水素原子であるのが好ましい。また、R1 〜R4 のハメット定数σp 値の合計は、0以上となることが好ましい。
【0098】
5 は、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、4−メトキシフェニル基、ドデシルフェニル基、クロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ニトロクロロフェニル基、トリイソプロピルフェニル基、4−ドデシルオキシフェニル基、3,5−ジ−(メトキシカルボニル)基)、又は複素環基(例えば、ピリジル基)を表す。
【0099】
前記一般式(2)で表される化合物は、スルホニルヒドラジンと総称される化合物である。また、一般式(4)で表される化合物は、カルバモイルヒドラジンと総称される化合物である。
【0100】
前記一般式(2)及び(4)中、Zは、芳香環を形成する原子群を表す。Zによって形成される芳香環は、本化合物に銀現像活性を付与するため、十分に電子吸引的であることが必要である。このため、含窒素芳香環を形成するか、或いはベンゼン環に電子吸引性基を導入したような芳香環が好ましく使用される。このような芳香環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環等が好ましい。
【0101】
ベンゼン環の場合、その置換基としては、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、ハロゲン原子(例えばクロル基、ブロム基)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチロイル基)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル基、アルキルベンゾイル基)等が挙げられるが、上記置換基のハメット定数σ値の合計は1以上である。
【0102】
前記一般式(3)で表される化合物は、スルホニルヒドラゾンと総称される化合物である。また、前記一般式(5)で表される化合物は、カルバモイルヒドラゾンと総称される化合物である。
【0103】
前記一般式(3)及び(5)中、R6 は、置換又は無置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基)を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はアルキル置換若しくはアリール置換の3級窒素原子を表すが、アルキル置換の3級窒素原子が好ましい。
7 及びR8 は、水素原子又は置換基を表し、互いに結合して2重結合又は環を形成してもよい。
【0104】
以下に、前記一般式(1)〜(5)で表される化合物の具体例を示すが、本発明の化合物はこれらの具体例(D−1〜60)によって何ら限定されるものではない。
【0105】
【化11】
Figure 0003686208
【0106】
【化12】
Figure 0003686208
【0107】
【化13】
Figure 0003686208
【0108】
【化14】
Figure 0003686208
【0109】
【化15】
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【0110】
【化16】
Figure 0003686208
【0111】
【化17】
Figure 0003686208
【0112】
【化18】
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【0113】
【化19】
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【0114】
【化20】
Figure 0003686208
【0115】
【化21】
Figure 0003686208
【0116】
【化22】
Figure 0003686208
【0117】
本発明において、前記現像主薬は、上記化合物の1種又は複数種を組み合わせて用いる。本発明においては、各層で別々の現像主薬を用いてもよい。それらの現像主薬の総使用量としては、0.05〜20mmol/m2 、好ましくは0.1〜10mmol/m2 である。
【0118】
次に、本発明におけるカプラーについて説明する。前記カプラーとは、前記現像主薬の酸化体とカップリング反応して、色素を形成する化合物を意味する。
本発明において好ましく使用されるカプラーとしては、活性メチレン、5−ピラゾロン、ピラゾロアゾール、フェノール、ナフトール、ピロロトリアゾールと総称される化合物が挙げられる。これらのカプラーは、リサーチ・ディスクロージャー( 以下RDと略す) No.38957(1996 年9月) ,616 〜624 頁,”x.Dye image formers and modi fiers ”に引用されている化合物を好ましく使用することができる。
【0119】
これらのカプラーは、いわゆる2当量カプラーと4当量カプラーとに分けることができる。
前記2当量カプラーのアニオン性離脱基として作用する基としては、ハロゲン原子(例えばクロル基、ブロム基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、4−アルコキシカルボニルフェニル基)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、トリルチオ基)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイル基)、アリールカルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例えばメチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル基、メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基)、アルキルカルボニルオキシ基(例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基)、アリールカルボニルオキシ基(例えばベンゾイルオキシ基、トルイルオキシ基、アニシルオキシ基)、含窒素複素環基(例えばイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基)等が挙げられる。
【0120】
また、前記4当量カプラーのカチオン性離脱基として作用する基としては、水素原子、ホルミル基、カルバモイル基、置換基を有するメチレン基(置換基としては、アリール基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基等)、アシル基、スルホニル基等が挙げられる。
【0121】
本発明においては、上記RD No.38957 に記載の化合物以外にも、以下に記載のカプラーを好適に用いることができる。
【0122】
そのようなカプラーとしては、活性メチレン系カプラーが挙げられ、該活性メチレン系カプラーとしては、EP 502,424A の式(I),(II)で表わされるカプラー; EP 513,496A の式(1),(2) で表わされるカプラー ; EP 568,037Aのクレーム1の式(I) で表わされるカプラー; US 5,066,576のカラム1の45〜55行の一般式(I) で表わされるカプラー; 特開平4-274425の段落0008の一般式(I) で表わされるカプラー; EP 498,381A1の40頁のクレーム1に記載のカプラー; EP 447,969A1の4頁の式(Y) で表わされるカプラー; US 4,476,219のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表わされるカプラーを用いることができる。
【0123】
また、5−ピラゾロン系マゼンタカプラーが挙げられ、該5−ピラゾロン系マゼンタカプラーとしては、特開昭57−35858号及び特開昭51−20826号に記載の化合物を好適に用いることができる。
【0124】
また、ピラゾロアゾール系カプラーが挙げられ、該ピラゾロアゾール系カプラーとしては、米国特許第4,500,630号に記載のイミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類、米国特許第4,540,654号に記載のピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類、米国特許第3,725,067号に記載のピラゾロ〔5,1−c〕〔1,2,4〕トリアゾール類が好ましく、光堅牢性の点で、これらの内、ピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類を好適に用いることができる。
【0125】
また、特開昭61−65245号に記載されているような分岐アルキル基がピラゾロトリアゾール基の2、3又は6位に直結したピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−65245号に記載されている分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号に記載されるアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラー、特開昭62−209457号若しくは同63−307453号に記載されている6位にアルコキシ基やアリールオキシ基を持つピラゾロトリアゾールカプラー、及び特開平2−201443号に記載される分子内にカルボンアミド基を持つピラゾロトリアゾールカプラーも好適に用いることができる。
【0126】
また、フェノール系カプラーが挙げられ、該フェノール系カプラーの好ましい例としては、米国特許第2,369,929号、同第2,801,171号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,772,002号等に記載の2−アルキルアミノ−5−アルキルフェノール系、米国特許第2,772,162号、同第3,758,308号、同第4,126,396号、同第4,334,011号、同第4,327,173号、西独特許公開第3,329,729号、特開昭59−166956号等に記載の2,5−ジアシルアミノフェノール系、米国特許第3,446,622号、同第4,333,999号、同第4,451,559号、同第4,427,767号等に記載の2−フェニルウレイド−5−アシルアミノフェノール系等が挙げられる。
【0127】
また、ナフトールカプラーが挙げられ、該ナフトールカプラーの好ましい例としては、米国特許第2,474,293号、同第4,052,212号、同第4,146,396号、同第4,228,233号、同第4,296,200号等に記載の2−カルバモイル−1−ナフトール系および米国特許4,690,889号等に記載の2−カルバモイル−5−アミド−1−ナフトール系等が挙げられる。
【0128】
また、ピロロトリアゾール系カプラーが挙げられ、該ピロロトリアゾール系カプラーの好ましい例としては、欧州特許第488,248A1号、同第491,197A1号、同第545,300号に記載のカプラーが挙げられる。
【0129】
さらに、その他、縮環フェノール、イミダゾール、ピロール、3−ヒドロキシピリジン、活性メチン、5,5−縮環複素環、5,6−縮環複素環といった構造を有するカプラーを用いることができる。
【0130】
このような縮環フェノール系カプラーとしては、米国特許第4,327,173号、同第4,564,586号、同第4,904,575号等に記載のカプラーを用いることができる。
イミダゾール系カプラーとしては、米国特許第4,818,672号、同第5,051,347号等に記載のカプラーを用いることができる。
ピロール系カプラーとしては、特開平4−188137号、同4−190347号等に記載のカプラーを用いることができる。
3−ヒドロキシピリジン系カプラーとしては、特開平1−315736号等に記載のカプラーを用いることができる。
活性メチン系カプラーとしては米国特許第5,104,783号、同第5,162,196号等に記載のカプラーが使用できる。
【0131】
5,5−縮環複素環系カプラーとしては、米国特許第5,164,289号に記載のピロロピラゾール系カプラー、特開平4−174429号に記載のピロロイミダゾール系カプラー等を用いることができる。
5,6−縮環複素環系カプラーとしては、米国特許第4,950,585号に記載のピラゾロピリミジン系カプラー、特開平4−204730号に記載のピロロトリアジン系カプラー、欧州特許第556,700号に記載のカプラー等を用いることができる。
【0132】
本発明においては、前述のカプラー以外に、西独特許第3,819,051A号、同第3,823,049号、米国特許第4,840,883号、同第5,024,930号、同第5,051,347号、同第4,481,268号、欧州特許第304,856A2号、同第329,036号、同第354,549A2号、同第374,781A2号、同第379,110A2号、同第386,930A1号、特開昭63−141055号、同64−32260号、同32261号、特開平2−297547号、同2−44340号、同2−110555号、同3−7938号、同3−160440号、同3−172839号、同4−172447号、同4−179949号、同4−182645号、同4−184437号、同4−188138号、同4−188139号、同4−194847号、同4−204532号、同4−204731号、同4−204732号等に記載されているカプラーを用いることもできる。
これらのカプラーは、各色0.05〜10mmol/m2 、好ましくは0.1〜5mmol/m2 で用いられる。
【0133】
また、本発明においては、以下のような機能性カプラーを含有してもよい。
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、US 4,366,237、GB 2,125,570、EP 96,873B、DE 3,234,533に記載のものが好ましい。
発色色素の不要な吸収を補正するためのカプラーとしては、EP456,257A1号に記載のイエローカラードシアンカプラー、該EPに記載のイエローカラードマゼンタカプラー、US4,833,069号に記載のマゼンタカラードシアンカプラー、US4,837,136号の(2) 、WO92/11575のクレーム1の式(A)で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36−45頁の例示化合物)などが好ましい。
【0134】
前記現像主薬の酸化体と反応して写真的に有用な化合物残査を放出する化合物(カプラーを含む)としては、以下のものが挙げられる。
現像抑制剤放出化合物として、例えば、EP378,236A1号の11頁に記載の式(I)〜(IV)で表される化合物、EP436,938A2号の7頁に記載の式(I)で表される化合物、EP 568,037A の式(1) で表される化合物、EP 440,195A2の5 〜6 頁に記載の式(I),(II),(III)で表される化合物などが挙げられる。
漂白促進剤放出化合物として、EP 310,125A2の5 頁の式(I),(I')で表される化合及び特開平6-59411 の請求項1の式(I) で表される化合物等が挙げられる。
リガンド放出化合物として、US 4,555,478のクレーム1に記載のLIG-X で表される化合物などが挙げられる。
ロイコ色素放出化合物として、US 4,749,641のカラム3〜8の化合物1〜6などが挙げられる。
蛍光色放出化合物として、US 4,774,181のクレーム1のCOUP-DYEで表される化合物などが挙げられる。
現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物として、US 4,656,123のカラム3の式(1) 、(2) 、(3) で表わされる化合物及びEP 450,637A2の75頁36〜38行目のExZK-2などが挙げられる。
離脱して初めて色素となる基を放出する化合物として、US 4,857,447のクレーム1式(I) で表される化合物、特願平4−134523号の式(1) で表される化合物、EP440,195A2の5、6頁に記載の式(I)(II)(III)で表される化合物、特願平4−325564号の請求項1の式(I)で表される化合物−リガンド放出化合物、US4,555,478号のクレーム1に記載のLIG−Xで表される化合物などが挙げられる。
このような機能性カプラーは、先に述べた発色に寄与するカプラーの0.05〜10倍モル、好ましくは0.1〜5倍モル用いることが好ましい。
【0135】
前記カプラー、前記現像主薬などの疎水性添加剤は、米国特許第2,322,027号記載の方法などの公知の方法により感光材料の層中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同4,536,466号、同4,536,467号、同4,587,206号、同4,555,476号、同4,599,296号、特公平3−62,256号などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して用いることができる。また、これら色素供与性カプラー、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。
【0136】
前記高沸点有機溶媒の量としては、用いられる疎水性添加剤1gに対して10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g〜0.1gである。また、バインダー1gに対して、1cc以下が好ましく、0.5cc以下がより好ましく、0.3cc以下が特に好ましい。
本発明においては、特公昭51−39,853号、特開昭51−59,943号に記載されている重合物による分散法や、特開昭62−30,242号等に記載されている微粒子分散物にして添加する方法も使用できる。
【0137】
水に実質的に不溶な化合物の場合には、前記方法以外にバインダー中に微粒子にして分散含有させることができる。
疎水性化合物を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、前記のリサーチ・ディスクロージャーに記載の界面活性剤を用いることができる。また、特願平5−204325号、同6−19247号、西独公開特許第1,932,299A号に記載のリン酸エステル型界面活性剤を用いることもできる。
【0138】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、支持体上に、少なくとも1層の感光性層が設けられていればよい。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層からなる感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
該感光性層は、青色光、緑色光及び赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に、赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。
【0139】
上記の感光性ハロゲン化銀乳剤を含有する感光性層の間及び最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、前述のカプラー、現像主薬、及びDIR化合物、混色防止剤、染料等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、DE 1,121,470あるいはGB 923,045に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57-112751 、同62- 200350、同62-206541 、62-206543 に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
【0140】
具体例として支持体から最も遠い側から、低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL) /高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、BH/BL/GL/GH/RH/RLの順、又はBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。
また、特公昭 55-34932 公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また、特開昭56-25738、同62-63936に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもできる。
また、特公昭49-15495に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59-202464 に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層の順に配置されていてもよい。また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
【0141】
色再現性を改良するために、US 4,663,271、同 4,705,744、同 4,707,436、特開昭62-160448 、同63- 89850 の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL) を主感光層に隣接乃至近接して配置することが好ましい。
本発明においては、ハロゲン化銀、色素供与性カプラー及び現像主薬は、同一層に含まれていてもよいが、反応可能な状態であれば別層に分割して添加することもできる。例えば、前記現像主薬を含む層と、前記感光性ハロゲン化銀乳剤を含む層とを別層にすると、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の生保存性の向上を図ることができる。
【0142】
各層の分光感度及びカプラーの色相の関係は任意であるが、赤色感光性層にシアンカプラー、緑色感光性層にマゼンタカプラー、青色感光性層にイエローカプラーを用いると、従来のカラーペーパー等に直接投影露光できる。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、上記のハロゲン化銀乳剤層の間及び最上層、最下層には、保護層、下塗り層、中間層、黄色フィルター層、アンチハレーション層などの各種の非感光性層を設けてもよく、支持体の反対側にはバック層などの種々の補助層を設けることができる。具体的には、上記特許記載のような層構成、米国特許第5,051,335号記載のような下塗り層、特開平1−167,838号、特開昭61−20,943号記載のような固体顔料を有する中間層、特開平1−120,553号、同5−34,884号、同2−64,634号記載のような還元剤やDIR化合物を有する中間層、米国特許第5,017,454号、同5,139,919号、特開平2−235,044号記載のような電子伝達剤を有する中間層、特開平4−249,245号記載のような還元剤を有する保護層又はこれらを組み合わせた層などを設けることができる。
【0143】
黄色フィルター層、アンチハレーション層に用いることのできる染料としては、現像時に消色又は除去され、処理後の濃度に寄与しないものが好ましい。
黄色フィルター層、アンチハレーション層の染料が現像時に消色又は除去されるとは、処理後に残存する染料の量が、塗布直前の1/3以下、好ましくは1/10以下となることであり、現像時に染料の成分がハロゲン化銀カラー写真感光材料から処理部材に転写してもよいし、現像時に反応して無色の化合物に変わってもよい。
【0144】
具体的には、欧州特許出願EP549,489A号記載の染料や、特開平7−152129号のExF2〜6の染料が挙げられる。特開平8−101487号に記載されているような、固体分散した染料を用いることもできる。
また、媒染剤とバインダーに染料を媒染させておくこともできる。この場合、媒染剤と染料とは、写真分野で公知のものを用いることができ、US4,500,626号第58〜59欄や、特開昭61−88256号32〜41頁、特開昭62−244043号、特開昭62−244036号等に記載の媒染剤が挙げられる。
また、還元剤と反応して拡散性色素を放出する化合物と還元剤とを用い、現像時のアルカリで可動性色素を放出させ、処理材料に転写除去させることもできる。これらについては、具体的には、米国特許第4,559,290号、同4,783,396号、欧州特許第220,746A2号、公開技報87−6119号に記載されている他、特開平8−101487号の段落番号0080〜0081に記載されている。
【0145】
消色するロイコ染料などを用いることもでき、具体的には、特開平1−150,132号に有機酸金属塩の顕色剤により予め発色させておいたロイコ色素を含むハロゲン化銀カラー写真感光材料が開示されている。ロイコ色素と顕色剤錯体は、熱により又はアルカリ剤と反応して消色する。
【0146】
前記ロイコ色素は、公知のものが利用でき、森賀、吉田「染料と薬品」9、84頁(化成品工業協会)、「新版染料便覧」242頁(丸善、1970)、R.Garner「Reports on the Progress of Appl. Chem 」56、199頁(1971)、「染料と薬品」19、230頁(化成品工業協会、1974)、「色材」62、288頁(1989)、「染色工業」32、208等に記載がある。
【0147】
前記顕色剤としては、酸性白土系顕色剤、フェノールホルムアルデヒドレジンの他、有機酸の金属塩が好ましく用いられる。有機酸の金属塩としてはサリチル酸類の金属塩、フェノール−サリチル酸−ホルムアルデヒドレジンの金属塩、ロダン塩、キサントゲン酸塩の金属塩等が有用であり、金属としては特に亜鉛が好ましい。上記顕色剤の内、油溶性のサリチル酸亜鉛塩については、米国特許第3,864,146号、同4,046,941号各明細書、及び特公昭52−1327号公報等に記載されたものを用いることができる。
【0148】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料における塗布層は、硬膜剤で硬膜されていることが好ましい。
前記硬膜剤の例としては、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116,655号、同62−245,261号、同61−18,942号、特開平4−218,044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234,157号などに記載の化合物)が挙げられる。
これらの硬膜剤は、親水性バインダー1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。
【0149】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、種々の被り防止剤又は写真安定剤及びそれらのプレカーサーを使用することができる。その具体例としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第5,089,378号、同4,500,627号、同4,614,702号、特開昭64−13,564号(7)〜(9) 頁、(57)〜(71)頁および(81)〜(97)頁、米国特許第4,775,610号、同4,626,500号、同4,983,494号、特開昭62−174,747号、同62−239,148号、特開平1−150,135号、同2−110,557号、同2−178,650号、RD17,643号(1978年) (24)〜(25)頁等に記載の化合物が挙げられる。
これらの化合物は、銀1モル当たり5×10-6〜1×10-1モルが好ましく、さらに1×10-5〜1×10-2モルが好ましく用いられる。
【0150】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、塗布助剤、剥離性改良、滑り性改良、帯電防止、現像促進等の目的で種々の界面活性剤を使用することができる。
前記界面活性剤の具体例としては、公知技術第5号(1991年3月22日、アズテック有限会社発行)の136〜138頁、特開昭62−173,463号、同62−183,457号等に記載されている。
【0151】
また、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、滑り性防止、帯電防止、剥離性改良等の目的で有機フルオロ化合物を含ませてもよい。
前記有機フルオロ化合物の代表例としては、特公昭57−9053号第8〜17欄、特開昭61−20944号、同62−135826号等に記載されているフッ素系界面活性剤、又は、フッ素油などのオイル状フッ素系化合物も若しくはフッ化エチレン樹脂などの固体状フッ素化合物樹脂などの疎水性フッ素化合物が挙げられる。感光材料のぬれ性と帯電防止とを両立する目的で、親水性基を有するフッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。
【0152】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料には、滑り性があることが好ましい。前記滑り剤は、感光層面、バック面共に用いることが好ましい。好ましい滑り性としては、動摩擦係数で0.25以下0.01以上である。この時の測定は、直径5mmのステンレス球に対し、60cm/分で搬送した時の値を表す(25℃、60%RH)。この評価において相手材として感光層面に置き換えてもほぼ同レベルの値となる。
【0153】
本発明において使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等が挙げられる。
前記ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができる。
前記滑り剤の添加層としては、乳剤層の最外層やバック層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有するエステルが好ましい。ハロゲン化銀の圧力被りや減感を防止するために、シリコンオイルや塩化パラフィンは好ましく用いられる。
【0154】
また、本発明においては、帯電防止剤が好ましく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボン酸及びカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カチオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物が挙げられる。
前記帯電防止剤として最も好ましいものは、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al2 3 、In2 3 、SiO2 、MgO、BaO、MoO3 、V2 5 の中から選ばれた少くとも1種の体積抵抗率が、107 Ω・cm以下、より好ましくは105 Ω・cm以下である、粒子サイズ0.001〜1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物(SbP、B、InS、Si、Cなど)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料への含有量としては、5〜500mg/m2が好ましく、特に好ましくは10〜350mg/m2である。導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物とバインダーの量の比は、1/300〜100/1が好ましく、より好ましくは1/100〜100/5である。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料の支持体の裏面には、特開平8−292514号に記載された耐水性のポリマーを塗布することも好ましい。
【0155】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料又は後述する処理材料の構成(バック層を含む)には、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のヒビ割れ防止、圧力増減感防止等の膜物性改良の目的で種々のポリマーラテックスを含有させることができる。具体的には、特開昭62−245258号、同62−136648号、同62−110066号等に記載のポリマーラテックスのいずれも使用できる。特に、ガラス転移点の低い(40℃以下)ポリマーラテックスを媒染層に用いると媒染層のヒビ割れを防止することができ、またガラス転移点が高いポリマーラテックスをバック層に用いるとカール防止効果が得られる。
【0156】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料にはマット剤が含まれていることが好ましい。
前記マット剤としては、乳剤面、バック面とどちらでもよいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。前記マット剤は、処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好ましくは両者を併用することである。例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1又は5/5(モル比))、ポリスチレン粒子などが好ましい。前記マット剤の粒径としては、0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布も狭い方が好ましく、平均粒径の0.9〜1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。
【0157】
又、マット性を高めるために0.8μm以下の微粒子を同時に添加することも好ましく、例えば、ポリメチルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸=9/1(モル比)、0.3μm))、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙げられる。具体的には、特開昭61−88256号(29)頁に記載されている。
その他、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、AS樹脂ビーズなどの特開昭63−274944号、同63−274952号記載の化合物がある。その他前記リサーチ・ディスクロージャーに記載の化合物を用いることができる。
これらのマット剤は、必要に応じて前記バインダーの項に記載の各種バインダーで分散して、分散物として用いることができる。特に各種のゼラチン、例えば、酸処理ゼラチン分散物は、安定な塗布液を調製し易く、このとき、pH、イオン強度、バインダー濃度を必要に応じて最適化することが好ましい。
【0158】
本発明においては、また、以下に記載の化合物を用いることができる。
油溶性有機化合物の分散媒であり、例えば特開昭62-215272 のP-3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93(140〜144 頁)に記載のものが挙げられる。
油溶性有機化合物の含浸用ラテックスであり、例えばUS 4,199,363に記載のラテックスが挙げられる。
現像主薬酸化体スカベンジャーであり、US 4,978,606のカラム2の54〜62行の式(I) で表される化合物(特にI-,(1),(2),(6),(12) (カラム4〜5)、US 4,923,787のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3)に記載のものが挙げられる。
【0159】
ステイン防止剤であり、例えばEP 298321Aの4頁30〜33行の式(I) 〜(III),特にI-47,72,III-1,27(24 〜48頁) に記載のものが挙げられる。
褪色防止剤であり、例えばEP 298321AのA-6,7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164(69 〜118 頁), US5,122,444のカラム25〜38のII-1〜III-23, 特にIII-10, EP 471347Aの8 〜12頁のI-1 〜III-4,特にII-2, US 5,139,931のカラム32〜40のA-1 〜48, 特にA-39,42 に記載のものが挙げられる。
発色増強剤又は混色防止剤の使用量を低減させる素材であり、EP 411324Aの5 〜24頁のI-1 〜II-15,特にI-46が挙げられる。
ホルマリンスカベンジャーであり、例えばEP 477932Aの24〜29頁のSCV-1 〜28, 特にSCV-8 が挙げられる。
硬膜剤であり、例えば特開平1-214845の17頁のH-1,4,6,8,14, US 4,618,573のカラム13〜23の式(VII) 〜(XII) で表される化合物(H-1〜54),特開平2-214852の8頁右下の式(6) で表される化合物(H-1〜76),特にH-14, US 3,325,287のクレーム1に記載の化合物が挙げられる。
【0160】
現像抑制剤プレカーサーであり、特開昭62-168139 のP-24,37,39(6〜7 頁); US 5,019,492 のクレーム1に記載の化合物,特にカラム7の28,29; 防腐剤、防黴剤: US 4,923,790のカラム3 〜15のI-1 〜III-43, 特にII-1,9,10,18,III-25;安定剤、被り防止剤であり、例えばUS 4,923,793のカラム6 〜16のI-1 〜(14), 特にI-1,60,(2),(13), US 4,952,483 のカラム25〜32の化合物1〜65, 特に36が挙げられる。
化学増感剤であり、例えばトリフェニルホスフィン セレニド, 特開平5-40324 の化合物50が挙げられる。
【0161】
染料であり、例えば特開平3-156450の15〜18頁のa-1 〜b-20, 特にa-1,12,18,27,35,36,b-5,27 〜29頁のV-1 〜23, 特にV-1, EP 445627A の33〜55頁のF-I-1 〜F-II-43,特にF-I-11,F-II-8, EP 457153A の17〜28頁のIII-1 〜36, 特にIII-1,3, WO 88/04794の8〜26のDye-1 〜124 の微結晶分散体, EP 319999Aの6〜11頁の化合物1〜22, 特に化合物1, EP 519306A の式(1) ないし(3) で表される化合物D-1 〜87(3〜28頁),US 4,268,622の式(I) で表される化合物1〜22 (カラム3〜10), US 4,923,788 の式(I) で表される化合物(1) 〜(31) (カラム2〜9)が挙げられる。
UV吸収剤であり、特開昭46-3335 の式(1) で表される化合物(18b) 〜(18r),101 〜427(6〜9頁),EP 520938Aの式(I) で表される化合物(3) 〜(66)(10 〜44頁) 及び式(III) で表される化合物HBT-1 〜10(14 頁), EP 521823A の式(1) で表される化合物(1) 〜(31) (カラム2〜9)が挙げられる。
【0162】
ここまでに述べてきた各種の添加剤、具体的には、硬膜剤、被り防止剤、界面活性剤、滑り剤、帯電防止剤、ラテックス、マット剤などは必要に応じて処理材料に添加したり、ハロゲン化銀カラー写真感光材料と処理材料との両方に添加することができる。
【0163】
本発明においてハロゲン化銀カラー写真感光材料の支持体としては、透明かつ処理温度に耐えることのできるものが用いられる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)(223) 〜(240) 頁記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写真用支持体が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セルロース類(例えばトリアセチルセルロース)等が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、特にポリエチレンナフタレートを主成分とするポリエステルが好ましいが、ここでいう「ポリエチレンナフタレートを主成分とする」ポリエステルとは、全ジカルボン酸残基中に含まれるナフタレンジカルボン酸の含率が50mol%以上であることが好ましく、より好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上である。これは、共重合体であってもよく、ポリマーブレンドであってもよい。
【0164】
共重合体である場合、ナフタレンジカルボン酸ユニットとエチレングリコールユニット以外に、テレフタル酸、ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール等のユニットを共重合させたものも好ましい。これらの中で力学強度、コストの観点から最も好ましいのがテレフタル酸ユニットを共重合したものである。ポリマーブレンドの好ましい相手は、相溶性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート(PAr)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)等のポリエステルが挙げられるが、中でも力学強度、コストの観点から好ましいのがPETとのポリマーブレンドである。
【0165】
以下に好ましいポリエステルの具体的な化合物例を示す。ポリエステルコポリマー例(括弧内の数字はモル比を示す)2、6―ナフタレンジカルボン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(70/30/100)Tg=98℃、2、6―ナフタレンジカルボン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(80/20/100)Tg=105℃、ポリエステル ポリマーブレンド例(括弧内の数字は重量比を示す)PEN/PET(60/40)Tg=95℃、PEN/PET(80/20)Tg=104℃、この他に、特開昭62−253,159号(29)〜(3 1)頁、特開平1−161,236号(14)〜(17)頁、特開昭63−316,848号、特開平2−22,651号、同3−56,955号、米国特許第5,001,033号等に記載の支持体を用いることができる。
これらの支持体は、光学的特性、物理的特性を改良するために、熱処理(結晶化度や配向制御)、一軸及び二軸延伸(配向制御)、各種ポリマーのブレンド、表面処理等を行うことができる。
【0166】
特に耐熱性やカール特性の要求が厳しい場合、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の支持体として、特開平6−41281号、同6−43581号、同6−51426号、同6−51437号、同6−51442号、特開平6−82961号、同6―82960号、同6―123937号、同6―82959号、同6―67346号、同6―118561号、同6―266050号、同6―202277号、同6―175282号、同6―118561号、同7―219129号、同7―219144号の各公報に記載の支持体を好適に用いることができる。
また、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体である支持体も好適に用いることができる。支持体の厚みとしては、5〜200μmが好ましく、40〜120μmがより好ましい。
【0167】
また、支持体とハロゲン化銀カラー写真感光材料の写真構成層とを接着させるために、表面処理することが好ましい。
前記表面処理としては、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。これらの表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
【0168】
次に下塗法について述べると、単層でもよく、2層以上でもよい。
下塗層用バインダーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及びこれらの変成ポリマーが挙げられる。
支持体を膨潤させる化合物としては、レゾルシンとp−クロルフェノールがある。
下塗層にはゼラチン硬化剤としてはクロム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹脂、活性ビニルスルホン化合物などが挙げられる。SiO 2 、TiO2、無機物微粒子又はポリメチルメタクリレート共重合体微粒子(0.01〜10μm)をマット剤として含有させてもよい。
【0169】
また、フイルム染色に使用する染料については、色調はハロゲン化銀カラー写真感光材料の一般的な性質上グレー染色が好ましく、フイルム製膜温度領域での耐熱性に優れ、かつポリエステルとの相溶性に優れたものが好ましい。その観点から染料としては、三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset等ポリエステル用として市販されている染料を混合することにより目的を達成することが可能である。特に耐熱安定性の観点から、アントラキノン系の染料が挙げられる。例えば、特開平8―122970号特許に記載されているものを好適に用いることができる。
また、本発明においては、支持体として、例えば、特開平4−124645号、同5−40321号、同6−35092号、同6−317875号記載の磁気記録層を有する支持体を用い、撮影情報などを記録することが好ましい。
【0170】
磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性又は有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。
前記磁性体粒子は、γFe22 などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe23
、Co被着マグネタイト、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライトなどを使用できる。Co被着γFe22 などのCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形状としては、針状、米粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよい。比表面積では、SBET で20m2/g以上が好ましく、30m2/g以上が特に好ましい。強磁性体の飽和磁化(σs)は、好ましくは3.0×104 〜3.0×105 A/mであり、特に好ましくは4.0×104 〜2.5×1005 A/mである。強磁性体粒子に、シリカ及び/又はアルミナや有機素材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子は、特開平6−161032号公報に記載されたように、その表面にシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。なお、特開平4−259911号公報、同5−81652号公報に記載の表面に無機物、有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
【0171】
磁性体粒子に用いられるバインダーは、特開平4−219569号公報に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリ又は生分解性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘導体、糖誘導体など)及びそれらの混合物が使用できる。上記樹脂のTgは−40〜300℃、重量平均分子量は0.2万〜100万である。例えば、ビニル系共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリプロピオネートなどのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などが挙げられ、ゼラチンも好ましい。特にセルロース・ジ(トリ)アセテートが好ましい。バインダーは、エポキシ系、アジリジン系、イソシアネート系の架橋剤を添加して硬化処理することができる。イソシアネート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、などのイソシアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリレンジイソシアナート3mol とトリメチロールプロパン1mol の反応生成物)、及びこれらのイソシアネート類の縮合により生成したポリイソシアネートなどが挙げられ、例えば特開平6−59357号公報に記載されている。
【0172】
前述の磁性体を上記バインダー中に分散する方法は、特開平6−35092号公報に記載されている方法のように、ニーダー、ピン型ミル、アニュラー型ミルなどが好ましく併用も好ましい。特開平5−088283号公報に記載の分散剤や、その他の公知の分散剤が使用できる。
磁気記録層の厚みは、0.1〜10μmであり、0.2〜5μmが好ましく、0.3〜3μmがより好ましい。磁性体粒子とバインダーとの重量比は、0.5:100〜60:100が好ましく、1:100〜30:100がより好ましい。磁性体粒子の塗布量は、0.005〜3g/m2であり、0.01〜2g/m2が好ましく、0.02〜0.5g/m2がさらに好ましい。磁気記録層の透過イエロー濃度は、0.01〜0.50が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.15が特に好ましい。
磁気記録層は、支持体の裏面に塗布又は印刷によって全面又はストライプ状に設けることができる。磁気記録層を塗布する方法としては、エアードクター、ブレード、エアナイフ、スクイズ、含浸、リバースロール、トランスファロール、グラビヤ、キス、キャスト、スプレイ、ディップ、バー、エクストリュージョン等が利用でき、特開平5−341436号公報等に記載の塗布液が好ましい。
【0173】
磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を合せ持たせてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤が好ましい。非球形無機粒子の組成としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、二酸化硅素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の酸化物、炭化硅素、炭化チタン等の炭化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの研磨剤は、その表面をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁気記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバーコート(例えば保護層、潤滑剤層など)してもよい。この時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好ましくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。
磁気記録層を有する感光材料については、US5,336,589号、同5,250,404号、同5,229,259号、同5,215,874号、EP466,130号等の各明細書に記載されている。
【0174】
上述の磁気記録層を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料に好ましく用いられるポリエステル支持体について更に記すが、感光材料、処理、カートリッジ及び実施例なども含め詳細については、公開技術、公技番号94−6023(発明協会;1994.3.15)に記載されている。
ポリエステルは、ジオールと芳香族ジカルボン酸とを必須成分として形成され、前記芳香族ジカルボン酸としては、2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などが挙げられ、前記ジオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールなどが挙げられる。
この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50〜100モル%含むポリエステルである。これらの中でも特に好ましいのは、ポリエチレン 2,6−ナフタレートである。重合ポリマーの平均分子量の範囲は約5,000〜200,000である。ポリエステルのTgは、50℃以上であり、90℃以上が好ましい。
【0175】
次にポリエステル支持体は、巻き癖をつきにくくするために熱処理温度は、40℃以上Tg未満が好ましく、Tg−20℃以上Tg未満がより好ましい。熱処理は、この温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間は、0.1〜1500時間が好ましく、0.5〜200時間がより好ましい。支持体の熱処理は、ロール状で実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。表面に凹凸を付与し(例えばSnO2やSb25 等の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図ってもよい。又端部にローレットを付与し、端部のみ少し高くすることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行うことが好ましい。これらの熱処理は、支持体製膜後、表面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましいのは帯電防止剤塗布後である。
このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでもよい。また、ライトパンピング防止のため、三菱化成(株)製のDiaresin、日本化薬(株)製のKayaset 等ポリエステル用として市販されている染料又は顔料を塗り込むことにより目的を達成することが可能である。
【0176】
次に、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料を装填することのできるフィルムパトローネについて説明する。本発明で使用されるパトローネの主材料は、金属でも合成プラスチックでもよい。
好ましいプラスチック材料は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニルエーテルなどが挙げられる。更にパトローネは、各種の帯電防止剤を含有してもよく、カーボンブラック、金属酸化物粒子、ノニオン、アニオン、カチオン及びベタイン系界面活性剤又はポリマー等を好ましく用いることができる。これらの帯電防止されたパトローネは、特開平1−312537号公報、同1−312538号公報に記載されている。特に25℃、25%RHでの抵抗が1012Ω以下であるものが好ましい。通常、プラスチックパトローネは、遮光性を付与するためにカーボンブラックや顔料などを練り込んだプラスチックを使って製作される。パトローネのサイズは、現在135サイズのままでもよいし、カメラの小型化には、現在の135サイズの25mmのカートリッジの径を22mm以下とすることも有効である。パトローネのケースの容積は、30cm3 以下、好ましくは25cm3 以下とされる。パトローネ及びパトローネケースに使用されるプラスチックの重量は、5〜15gが好ましい。
【0177】
更にスプールを回転してフィルムを送り出すパトローネでもよい。またフィルム先端が、パトローネ本体内に収納され、スプール軸をフィルム送り出し方向に回転させることによってフィルム先端をパトローネのポート部から外部に送り出す構造でもよい。これらは、US4,834,306号明細書、同5,226,613号明細書に開示されている。
【0178】
以上のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、特公平2−32615号、実公平3−39784号に記載されているレンズ付フィルムユニットにも好ましく用いることができる。
前記レンズ付きフイルムユニットとは、撮影レンズ及びシャッタを、例えば射出成型されたプラスチック筺体内に備えたユニット本体の製造工程において、予め未露光のカラー又はモノクロ写真感光材料を光密に装填したものである。
このユニットは、ユーザが撮影した後、現像のためにユニットごと現像所に送られる。現像所では当該ユニットから写真フイルムを取り出して現像及び写真プリントの作成が行われる。
このレンズ付きフイルムユニットの外装には、例えば実公平3−6910号、実公平5−31647号、特開平7−225454号及び実公平6−43798号明細書に記載されているように、更に撮影レンズ部、ファインダ部等の撮影に必要な光学部分及びシャッタ釦、巻き上げノブ等の撮影操作部分が露出しかつ使用方法を示す説明書き及びデザインが印刷された紙箱、プラスチック包装体で被覆されて使用に供される。
【0179】
紙あるいはプラスチックで被覆されたレンズ付きフイルムユニットは、更に実公平4−1546号及び特公平7−1380号明細書に記載されているように、不透湿材料又は、例えばASTM試験法D−570で0.1%以下の非吸湿性材料からなる包装体、例えばアルミニウム箔ラミネート・シート、アルミニウム箔もしくは金属蒸着された透明・不透湿プラスチック包装体で被覆されて販売される。
レンズ付きフイルムユニットに内蔵された写真フイルムの保存性からは、上記防湿包装体内のレンズ付きフイルムユニットの湿度は、25℃において相対湿度40〜70%になるように調湿し、好ましくは50〜65%であるのがよい。更に、実公平6−6346号、実公平6−8589号及び米国特許5, 239, 324明細書に記載のように、紙あるいはプラスチックで被覆されたレンズ付きフイルムユニットをシャッタ及び巻上げ操作可能な透明防水ケースに収納して水中あるは防水機能を付加したものもある。
【0180】
現像所において写真フイルムが取り除かれたユニット本体は、ユニットの製造所に回収され、検査の上、リユース可能な部品はリユースされ、一部のリユース不能なプラスチック部品は溶解され、再ペレット化してリサイクルされる用いられる撮影レンズは、特公平7−56363号、特開平63−199351号、実公平3−22746号、実公平3−39784号、実公平5−38353号、実公平7−33237号及び実公平7−50746号明細書に記載のように、球面あるいは非球面からなる1枚又は2枚構成からなるプラスチックレンズが用いられ、一方、その球面収差を補償するために裏蓋における露光部のフイルム受面はフイルムの走行方向に撮影レンズに対して凹面となるように湾曲面を形成することが望ましい。
【0181】
また、ファインダは、実公平2−41621号、実公平3−6910号及び実公平3−39784号明細書に記載のように、筺体にファインダ開口を画定させるのみの素通しファインでもよいし、例えば、実公平7−10345号明細書に記載のように、これに接眼及び対物ファインダレンズを設けた逆ガリレオ式或いはアルバダ式のファインダでもよい。
【0182】
更に、特開平7−64177号、特開平6−250282号及び特開平7−128732号明細書に記載のように、ファインダに画面切替機能を付与し、これに連動して撮影開口を通常サイズ及びパノラマサイズの露光が行えるように切り替えたり、あるいは上記ファインダの切替に連動してフイルム上に標準パノラマあるいはハイビジョンサイズで撮影したことを光学的あるいは磁気的に記録するようにしてもよい。
その他撮影レンズの焦点距離を変更するとともにファインダ視野を特定するようにして接近、望遠撮影を行わせるようにしたものもある。
【0183】
レンズ付きフイルムユニットに用いられる写真フイルムは、シート状あるいはロール状のフイルムを用いることができ、更に当該写真フイルムは、オランダ特許6, 708, 489に記載のように直接収納されるか、あるいは特公平2−32615号明細書に示すように、容器に収納されてレンズ付きフイルムユニット内に装填される。撮影後、現像のためにレンズ付きフイルムユニットから撮影済み写真フイルムを取り出すには、特公平6−16158号、実公平7−15545号明細書に記載のように、レンズ付きフイルムユニット筺体の底に写真フイルム取り出し用の蓋を設けて、この蓋を開放することによって写真フイルムを取り出してもよく、オランダ特許6, 708, 489号明細書に記載のように、裏蓋を開放乃至破壊して写真フイルムを取り出してもよい。また、米国特許5, 202 ,713号明細書に記載のように、レンズ付きフイルムユニット筺体の一部に通常は遮光状態にある開口を形成しておき、そこからフイルムの一端を掴んで引き出すようにしてもよい。
【0184】
レンズ付きフイルムユニットにロール状の写真フイルムを用いる場合には、このロール状写真フイルムは容器に収納された状態で、レンズ付きフイルムユニットに収納されることが望ましい。用いられる容器は、例えば、特開昭54−111822号、同63−194255号、米国特許4, 8322, 75号、同4, 834 ,306号、特開平2―124564号、同3−155544号、同2―264248号明細書、更に実公平5−40508号、特公平2-32615 号及び特公平7−117707号明細書記載のISO規格で規定される135フイルム用パトローネ、あるいはISO規格の写真フイルムを装填可能であるが上記規格よりも径の細いパトローネ、あるいは特開平8−211509号、同8−262645号及び同8−262639号記載のAPS(Advanced Photo System )用のカートリッジ等のフイルムの一端が固定されたスプールを有する1軸のカートリッジあるいはパトローネが有利に用いられる。更に、実公平4−14748号及び同3−22746号明細書記載の110サイズ規格フイルムを用いた2軸カートリッジを用いることもできる。また必要によっては、裏紙付きの写真フイルムを用いることもできる。
【0185】
フイルムの一端が固定されたスプールを有する1軸のカートリッジあるいはパトローネを用いる場合には、レンズ付きフイルムユニットの一方の収納室にカートリッジあるいはパトローネを収納すると共に、他方の収納室に当該カートリッジあるいはパトローネから写真フイルムの大部分を引き出されてロール状に巻かれたフイルムを収納するレンズ付きフイルムユニットの製造段階における予備巻き装填(ファクトリー・プレワインド)を行い、撮影毎に引き出された写真フイルムを外部の巻き上げ部材によって、カートリッジあるいはパトローネのスプールを回転させてカートリッジあるいはパトローネに巻取るようにしてもよいし、あるいはこれとは逆にレンズ付きフイルムユニットの一方の収納室に写真フイルムの先端部を接続したカートリッジあるいはパトローネとは別のスプールを装填し、他方の収納室に写真フイルムの大部分が収納された状態のカートリッジあるいはパトローネを装填して、撮影毎に写真フイルムを外部の巻き上げ部材によって、カートリッジあるいはパトローネから引き出してカートリッジあるいはパトローネとは別のスプールに巻取るようにしてもよい。
【0186】
ファクトリー・プレワインド方式においては、カートリッジあるいはパトローネから引き出された写真フイルムは、カートリッジあるいはパトローネと別のスプールに巻かれた状態で他方の収納室に収納されてもよいし、あるいは特公平2−32615号記載のように中空状態で他方の収納室に収納されてもよい。また、上記ファクトリー・プレワインドは、特公平7−56564号記載のように暗室内において予めカートリッジあるいはパトローネから写真フイルムを引き出してロール状に巻いておき、このカートリッジあるいはパトローネ及びロール状の写真フイルムをレンズ付きフイルムユニットに装填した後、レンズ付きフイルムユニットの裏蓋を閉じて遮光するようにしてもよく、あるいは、上記特公平2−32615号記載のように、一方の収納室に写真フイルムの大部分が収納された状態のカートリッジあるいはパトローネを装填すると共に、他方の収納室に写真フイルムの先端部を接続したカートリッジあるいはパトローネとは別のスプールを装填し、裏蓋を閉じて遮光した後、当該別のスプールをレンズ付きフイルムユニット外部から回転して当該スプールに巻き取るようにしてもよい。
【0187】
レンズ付きフイルムユニットは、実公平4−1546号、同7−20667号明細書記載のように、撮影毎に写真フイルムを巻き上げる動作でフイルムのパーフォレーションに係合している従動スプロケットの駆動により、シャッタ羽根を蹴飛ばすシャッタ機構をチャージすると共にそれ以上の巻き上げを不能とするセルフコッキング機構が有利に用いられる。
チャージされたシャッタ機構は、シャッタ釦の押圧操作によってチャージ位置から開放され、シャッタ羽根を蹴飛ばして写真撮影のための露光が行われるとともに、再度の巻き上げを可能とする。更に、レンズ付きフイルムユニットには、実公平2−34688号、同6−41227号、特開平7−122389号及び特公平6−12371号明細書に記載のように、外部にストロボ充電のためのスイッチが設けられたストロボ基板を内蔵してもよく、この場合上記のシャッタ羽根による撮影露光動作に連動してシンクロスイッチをオンすることによって撮影動作に連動してストロボ発光を行うように構成すればよい。
【0188】
一方、レンズ付きフイルムユニットには、実公平4−1546号明細書記載のように、撮影枚数あるいは残数を表示するカウンタが設けられており、更にこのカウンタには最終駒撮影後の巻き上げに対して、上記シャッタチャージ及び1駒毎の巻き止めを禁止する機構が設けられており、これによりその後の巻き上げ操作により写真フイルムを最終巻き上げ位置まで連続して巻き上げることができる。
【0189】
本発明に用いる処理材料の処理層には、少なくとも塩基及び/又は塩基プレカーサーが含まれる。
前記塩基としては、無機あるいは有機塩基を用いることができる。無機の塩基としては、特開昭62−209448号記載のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、有機酸塩、特開昭63−25208号記載のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアセチリド等が挙げられる。
【0190】
また、有機の塩基としては、アンモニア、脂肪族あるいは芳香族アミン類(例えば、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、ポリアミン類、ヒドロキシルアミン類、複素環状アミン類)、アミジン類、ビスあるいはトリスあるいはテトラアミジン、グアニジン類、水不溶性のモノあるいはビスあるいはトリスあるいはテトラグアニジン類、4級アンモニウムの水酸化物類などが挙げられる。
【0191】
前記塩基プレカーサーとしては、脱炭酸型、分解型、反応型および錯塩形成型などを用いることができる。
本発明においては、欧州特許公開210,660号、米国特許第4,740445号に記載されているように、塩基プレカーサーとして水に難溶な塩基性金属化合物及びこの塩基性金属化合物を構成する金属イオンと水を媒体として錯形成反応し得る化合物(錯形成化合物という)の組み合わせで塩基を発生させる方法を採用するのが効果的である。この場合、水に難溶な塩基性金属化合物は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料に、錯形成化合物は、処理材料に添加するのが望ましいが、この逆も可能である。
【0192】
塩基又は塩基プレカーサーの使用量としては、0.1〜20g/m2 好ましくは1〜10g/m2 である。
前記処理層のバインダーとしては、前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料と同様の親水性ポリマーを用いることができる。
前記処理材料は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料と同様に硬膜材で硬膜されていることが好ましい。前記硬膜剤としては、ハロゲン化銀カラー写真感光材料と同様のものを用いることができる。
【0193】
前記処理材料には、前に述べたような、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の黄色フィルター層やアンチハレーション層に用いる染料を転写除去する等の目的で媒染剤を含ませることができる。前記媒染剤としては、ポリマー媒染剤が好ましい。その例としては2級及び3級アミノ基を含むポリマー、含窒素複素環部分を持つポリマー、これらの4級カチオン基を含むポリマー等で分子量が5000〜200000、特に10000〜50000のものである。
具体的には、米国特許2,548,564号、同2,484,430号、同3,148,061号、同3,756,814号、同3,625,694号、同3,859,096号、同4,128,538号、同3,958,995号、同2,721,852号、同2,798,063号、同4,168,976号、同3,709,690号、同3,788,855号、同3,642,482号、同3,488,706号、同3,557,066号、同3,271,147号、同3,271,148号、同2,675,316号、同2,882,156号、英国特許1277453号、特開昭54−115228号、同54−145529号、同54−126027号、同50−71332、同53−30328号、同52−155528号、同53−125号、同53−1024号、等の明細書に記載されている。
前記媒染剤の添加量としては、0.1g/m2 〜10g/m2、好ましくは0.5g/m2 〜5g/m2 である。
【0194】
本発明においては、前記処理材料に、現像停止剤あるいは現像停止剤のプレカーサーを含ませておき、現像と同時あるいはタイミングを遅らせて現像停止剤を働かせてもよい。
ここでいう現像停止剤とは、適正現像後、速やかに塩基を中和若しくは塩基と反応して膜中の塩基濃度を下げ現像を停止する化合物、又は、銀若しくは銀塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体的には、加熱により酸を放出する酸プレカーサー、加熱により共存する塩基と置換反応を起こす親電子化合物、又は含窒素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物及びその前駆体が挙げられる。詳しくは、特開昭62−190529号の(31)〜(32)頁に記載されてる。
【0195】
また、同様にハロゲン化銀のプリントアウト防止剤を処理材料に含ませておき、現像と同時にその機能を発現させてもよい。
前記プリントアウト防止剤の例としては、特公昭54−164号、特開昭53−46020号、同48−45228号、特公昭57−8454号等に記載のハロゲン化合物、英国特許第1,005,144号記載の1-フェニル-5- メルカプトテトラゾール類の化合物、特開平8−184936号記載のビオローゲン化合物類が挙げられる。
前記プリントアウト防止剤の使用量としては、10-4〜1モル/Agモル、好ましくは10-3〜10-2モル/Agモルである。
【0196】
また、前記処理材料に、物理現像核及びハロゲン化銀溶剤を含ませておき現像と同時にハロゲン化カラー写真感光材料の一部のハロゲン化銀を可溶化、及び処理層に固定してもよいが、ハロゲン化銀溶剤を増加させ過ぎると、減感、濃度低下を招き易い。
物理現像に必要な還元剤は、ハロゲン化カラー写真感光材料の分野で知られているものを用いることができる。また、それ自身は還元性を持たないが処理過程に求核試薬や熱の作用により還元性を発現する還元剤プレカーサーも用いることができる。
前記還元剤としては、ハロゲン化銀カラー写真感光材料から拡散してくる感光材料で現像に用いられなかった現像主薬を利用することができるし、また、前記還元剤を前記処理材料に予め含有させておいてもよい。後者の場合、前記処理材料に含有させておく還元剤は、ハロゲン化カラー写真感光材料に含まれる還元剤と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0197】
本発明に用いられる還元剤の例としては、米国特許4,500,626号の第49〜50欄、同4,483,914号の第30〜31欄、同4,330,617号、同4,590,152号、特開昭60−140335号の第(17)〜(18)頁、同57−40245号、同56−138736号、同59−178458号、同59−53831号、同59−182449号、同59−182450号、同60−119555号、同60−128436号から同60−128439号まで、同60−198540号、同60−181742号、同61−259253号、同62−244044号、同62−131253号から同62−131256まで、欧州特許第220746A2号の第78〜96頁等に記載の還元剤や還元剤プレカーサーを用いることができる。
米国特許第3,039,869号に開示されている種々の還元剤の組み合わせを用いることもできる。
【0198】
耐拡散型の現像主薬を使用する場合には、必要に応じて、電子伝達剤及び/又は電子伝達剤のプレカーサーを組み合わせて用いてもよい。電子伝達剤又はそのプレカーサーは、前述した還元剤又はそのプレカーサーの中から選ぶことができる。
前記処理材料に前記還元剤を添加する場合の添加量としては、0.01〜10g/m2 であり、好ましくは、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の銀のモル数の1/10〜5倍である。
【0199】
前記物理現像核は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料より拡散してきた可溶性銀塩を還元して物理現像銀に変換し、処理層に固定させるものである。前記物理現像核としては、亜鉛、水銀、鉛、カドミウム、鉄、クロム、ニッケル、錫、コバルト、銅、ルテニウム等の重金属、あるいはパラジウム、白金、金、銀等の貴金属、あるいはこれら重金属、貴金属の硫黄、セレン、テルル等のカルコゲン化合物、のコロイド粒子等の公知のものはすべて利用できる。
これらの物理現像核の大きさとしては、粒径が2〜200nm程度のものが好ましい。
これらの物理現像核は、処理層に10-3mg〜10g/m2 含有させる。
【0200】
ハロゲン化銀溶剤は、公知のものを使用できる。例えば、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、チオシアン酸塩、特公昭47−11386記載のチオエーテル化合物、特開平8−179458号記載のウラシル、ヒダントインの如き5乃至6員環のイミド基を有する化合物、特開昭53−144319記載の炭素−硫黄の2重結合を有する化合物、アナリティカ・ケミカ・アクタ(Analytica Chinica Acta)248巻604 〜614 頁(1991年)記載のトリメチルトリアゾリウムチオレート等のメソイオンチオレート化合物が好ましく用いられる。また、特開平8−69097号記載のハロゲン化銀を定着して安定化し得る化合物もハロゲン化銀溶剤として使用し得る。
ハロゲン化銀溶剤は、単独で使用してもよいし、複数のハロゲン化銀溶剤を併用することもできる。ハロゲン化溶剤の使用は、感度低下、被り増大、最高濃度の減少を引き起こし易いが、本発明では、ハロゲン化銀溶剤を使用しないか、あるいは、写真性に悪影響のない量で使用できる特長がある。
【0201】
処理層中の、全ハロゲン化銀溶剤の含有量は、5mmol/m2 以下であり、好ましくは2mmol/m2 以下である。感光材料の塗布銀量に対して、モル比で1/5以下であり、好ましくは1/10以下であり、より好ましくは1/20以下である。
ハロゲン化銀溶剤は、水、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルホルムアルデヒド、メチルプロピルグリコール等の溶媒あるいはアルカリ又は酸性水溶液として添加してもよいし、固体微粒子分散させて塗布液に添加してもよい。
【0202】
処理材料には、感光材料と同様に保護層、下塗り層、バック層、その他の種々の補助層があってもよい。
処理材料は、連続ウェブ上に処理層が設けられていることが好ましい。ここでいう連続ウェブとは、処理材料の長さが、処理時対応するハロゲン化銀カラー写真感光材料の長辺より長さが十分に長く、処理に使用するときにその一部を裁断することなく使用し複数のハロゲン化銀カラー写真感光材料を処理できる長さを有する形態をいう。一般には、その処理材料の長さが、巾の5倍以上10000倍以下のことをいう。処理材料の巾は任意であるが、対応するハロゲン化銀カラー写真感光材料の巾以上であることが好ましい。
【0203】
また、複数のハロゲン化銀カラー写真感光材料を並行し、即ちハロゲン化銀カラー写真感光材料を複数並べて処理するような形態も好ましい。この場合、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の巾は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の巾×同時処理数以上であることが好ましい。
このような連続ウェブ処理は送り出しロールから供給され巻き取りロールに巻き取られて廃棄されることが好ましい。特にサイズが大きいハロゲン化銀カラー写真感光材料の場合廃棄が容易である。
以上のように、連続ウェブの処理材料は、従来のシート部材に比べ、取り扱い性が著しく向上する。
【0204】
本発明の処理材料に用いられる支持体の厚みは任意であるが、薄いほうが好ましく、特に好ましくは4μm以上120μm以下である。支持体の厚みが40μm以下の処理材料を利用することがとりわけ好ましく、この場合、単位体積当たりの処理材料の量が多くなるので、上記の処理材料用ロールをコンパクトにできる。
支持体の素材についても特に限定はなく、処理温度に耐えることのできるものが用いられる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)(223〜240頁)記載の紙、合成高分子(フイルム)等の写真用支持体が挙げられる。
【0205】
支持体用の素材は、単独で使用することもできるし、ポリエチレン等の合成高分子で片面あるいは両面をコートあるいはラミネートされた支持体として用いることもできる。
このほか、特開昭62−253,159号(29)〜(31)頁、特開平1−161,236号(14)〜(17)頁、特開昭63−316,848号、特開平2−22,651号、同3−56,955号、米国特許第5,001,033号等に記載の支持体を用いることができる。
また主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体である支持体も好ましく用いることができる。
【0206】
これらの支持体の表面に親水性バインダーとアルミナゾルや酸化錫の様な半導性金属酸化物、カーボンブラックその他の帯電防止剤を塗布してもよい。アルミニウムを蒸着した支持体も好ましく用いることができる。
【0207】
本発明においては、カメラ等で撮影したハロゲン化銀カラー写真感光材料を現像する方法として、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料及び処理材料双方のバック層を除く全塗布膜を最大膨潤させるに要する量の0.1から1倍に相当する水の存在下で、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料と処理材料とを、その感光層と処理層とが向かい合う形で重ね合わせ、60℃から100℃の温度で5秒から60秒間加熱する。
ここでいう水とは、一般に用いられる水であれば何を用いてもよい。具体的には蒸留水、イオン交換水、水道水、井戸水、ミネラルウォーター等を用いることができる。これらの水には水垢発生防止、腐敗防止などの目的で防腐剤を少量添加したり、活性炭フィルターやイオン交換樹脂フィルターなどにより、水を循環濾過する方法も好ましく用いられる。
【0208】
本発明では、ハロゲン化銀カラー写真感光材料及び/又は処理材料が水で膨潤した状態で貼り合わされ、加熱される。この膨潤時の膜の状態は不安定であり、水の量を上記の範囲に限定することが、局所的な発色ムラを防ぐのに重要である。
最大膨潤に要する水の量は、用いる水の中に測定するべき塗布膜をもつハロゲン化銀カラー写真感光材料又は処理材料を浸積させ、十分膨潤したところで膜厚を測定し、最大膨潤量を計算してから塗布膜の重量を減じれば求めることができる。また、膨潤度の測定法の例はホトグラフィック・サイエンス・エンジニアリング、16巻、449ページ(1972年)にも記載がある。
【0209】
水の付与方法としては、ハロゲン化銀カラー写真感光材料又は処理材料を水に浸積し、スクウィーズローラーで余分な水を除去する方法がある。ただし、一定量の水を塗りきりでハロゲン化銀カラー写真感光材料又は処理材料に付与する方が好ましい。また、水を噴射する複数のノズル孔が一定の間隔でハロゲン化銀カラー写真感光材料又は処理材料の搬送方向と交差する方向に沿って直線状に並べられたノズルと前記ノズルを搬送経路上のハロゲン化銀カラー写真感光材料又は処理材料に向かって変位させるアクチュエータとを有する水塗布装置により水を噴射する方法が特に好ましい。また、スポンジ等により水塗布する方法も装置が簡易であり、好ましく用いられる。
付与する水の温度は、30℃〜60℃が好ましい。
【0210】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料と処理材料とを重ね合わせる方法の例としては、特開昭62−253,159号、特開昭61−147,244号記載の方法がある。
【0211】
現像工程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触させたり、熱板、ホットプレッサー、熱ローラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外及び遠赤外ランプヒーターなどに接触させたり高温の雰囲気中を通過させる方法などがある。
本発明の熱現像処理には、種々の熱現像装置のいずれもが使用できる。例えば、特開昭59−75,247号、同59−177,547号、同59−181,353号、同60−18,951号、実開昭62−25,944号、特願平4−277,517号、同4−243,072号、同4−244,693号、同6−164,421号、同6−164,422号等に記載されている装置などが好ましく用いられる。
【0212】
また市販の装置としては富士写真フイルム(株)製ピクトロスタット100、同ピクトロスタット200、同ピクトロスタット300、同ピクトロスタット330、同ピクトロスタット50、同ピクトログラフィー3000、同ピクトログラフィー2000などが使用できる。
【0213】
本発明に用いるハロゲン化銀カラー写真感光材料及び/又は処理材料は、加熱現像のための加熱手段としての導電性の発熱体層を有する形態であってもよい。この発明の発熱要素には、特開昭61−145,544号等に記載のものを利用できる。
【0214】
【実施例】
以下にこの発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0215】
実施例1
(1)乳剤の調製
−平板臭化銀乳剤1−A(比較乳剤)−
平均分子量15,000の脱イオン処理ゼラチン1g及びKBr0.4gを含む水溶液1,000ccにH2 SO4 を加えてPH=2に調整し40℃に保ちながら攪拌し、0.3MのAgNO3 水溶液(A)20ccと0.3MのKBr水溶液(B)20ccとをダブルジェットで同時に40秒間添加した。その後、NaOHを加えてPHを5.0に調整して35分間で75℃まで昇温し、酸化処理ゼラチン35gを添加した後、1.2MのAgNO3 水溶液(C)948ccと1.4MのKBr水溶液(D)850ccをpAgを8.3に保って流量を加速しながら(終了時の流量が開始時の7.2倍)33分間添加した。
1.8MのAgNO3 水溶液(E)115ccと1.8MのKBr水溶液(F)131ccとをpAgを8.3に保って定速で添加した。この後、この乳剤を35℃に冷却し、花王製デモールを沈降剤とする常法のフロキュレーション法で水洗しゼラチン75gとフェノキシエタノール10ccとを加えPH=5.5、pAg=8.2に調整した。
【0216】
得られた粒子は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径は0.76μmで、平均厚みが0.15μmで、平均等価円相当直径が1.4 μmで、アスペクト比が9.3である、六角形臭化銀平板状粒子乳剤であった。
平均粒子の厚み及び平均等価円相当直径の値は、レプリカ法による透過型電子顕微鏡写真を撮影して求めた。
【0217】
−平板臭化銀乳剤1−B(本発明乳剤)−
下記以外は、乳剤1−Aと同様に調製した。(F)液に黄血塩を鉄相当6×10-5モル添加した。
得られた粒子は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.76μmで、平均厚みが0.15μmで、平均等価円相当直径が1.4 μmで、アスペクト比が9.3である六角形臭化銀平板状粒子乳剤であった。
【0218】
−正常晶臭化銀乳剤1−C(比較乳剤)−
脱灰処理ゼラチン36gとKBr0.6g とを含む水溶液1,000ccにH2 SO4 を加えてPH=2に調整し70℃に保ちながら攪拌し、0.3MのAgNO3 水溶液(A)80ccと0.3MのKBr水溶液(B)80ccとをダブルジェットで同時に2分間添加した。その後、NaOHを加えてPHを5.0に調整した後、1.2MのAgNO3 水溶液(C)933ccと1.4MのKBr水溶液(D)850ccとをpAgを8.4に保って流量を加速しながら(終了時の流量が開始時の7.2倍)33分間添加した。1.8MのAgNO3 水溶液(E)115ccと1.8MのKBr水溶液(F)131ccとをpAgを8.4に保って定速で添加した。
水洗、分散は、前記乳剤1−Aと同様にして行った。平均球相当直径は、0.76μmで臭化銀八面体粒子乳剤であった。
【0219】
−正常晶臭化銀乳剤1−D(比較乳剤)−
下記以外は前記乳剤1−Cと同様に調製した。(F)液に黄血塩を鉄相当6×10-5モル添加した。得られた粒子は、平均球相当直径が0.76μmである臭化銀八面体粒子乳剤であった。
【0220】
−正常晶臭化銀乳剤1−E(比較乳剤)−
脱灰処理ゼラチン36gとKBr0.45g とを含む水溶液1,000ccにH2 SO4 を加えてPH=2に調整し50℃に保ちながら攪拌し、1.2MのAgNO3 水溶液(A)850ccと1.4MのKBr水溶液(B)900ccとをpAgを8.0に保って定速で20分間添加した。その5分後に1.8MのAgNO3 水溶液(C)115ccと1.8MのKBr水溶液(D)131ccとをpAgを8.4に保って定速で添加した。水洗、分散は、前記乳剤1−Aと同様にして行った。
得られた粒子は、平均球相当直径が0.15μmである臭化銀八面体粒子乳剤であった。
【0221】
−正常晶臭化銀乳剤1−F(比較乳剤)−
下記以外は前記乳剤1−Eと同様に調製した。(D)液に黄血塩を鉄相当6×10-5モル添加した。得られた粒子は、平均球相当直径が0.15μmである臭化銀八面体粒子乳剤であった。
【0222】
−平板臭化銀乳剤1−G(比較乳剤)−
平均分子量100,000の脱灰処理ゼラチンを用いた以外は、前記乳剤1−Aと同様に調製した。
得られた粒子は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.76μmで、平均厚みが0.25μmで、平均等価円相当直径が1.08μmで、アスペクト比が4.3である六角形臭化銀平板状粒子乳剤であった。
【0223】
−平板臭化銀乳剤1−H(比較乳剤)−
下記以外は前記乳剤1−Gと同様に調製した。(F)液に黄血塩を鉄相当6×10-5モル添加した。得られた粒子は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.76μmで、平均厚みが0.25μm平均等価円相当直径1.08μmで、アスペクト比が4.3である六角形臭化銀平板状粒子乳剤であった。
【0224】
−平板臭化銀乳剤1−I(本発明乳剤)−
下記以外は、前記乳剤1−Bと同様にして調製した。酸化処理ゼラチン0.5g及びKBr0.37gを含む水溶液1000ccに、H2 SO4 を加えてPH=2に調整し40に保ちながら攪拌し、0.3MのAgNO3 水溶液(A)20ccと0.3MのKBr水溶液(B)20ccとをダブルジェットで同時に40秒間添加した。その後、NaOHを加えてPHを5.0に調整して35分間で75℃まで昇温し、酸化処理ゼラチン35gを添加した後、1.2MのAgNO3 水溶液(C)948ccと1.4MのKBr水溶液(D)850ccとをpAgを8.58に保って流量を加速しながら(終了時の流量が開始時の7.2倍)33分間添加した。その後、1.8MのAgNO3 水溶液(E)115ccと、黄血塩を鉄相当6×10-5モルとを含有する1.8MのKBr水溶液(F)131ccを添加した。
得られた粒子は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.76μmで、平均厚みが0.08μmで、平均等価円相当直径が1.91μmである、アスペクト比が23.9である六角形平板状粒子乳剤であった。
【0225】
−平板臭化銀乳剤1−J(比較乳剤)−
下記以外は前記乳剤1−Aと同様に調製した。(F)液に6臭化ロジウムIII カリウムをロジウム相当6×10-5モル添加した。
得られた粒子は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.76μMで、平均厚みが0.15μmで、平均等価円相当直径が1.4 μmである六角形臭化銀平板状粒子乳剤であった。
【0226】
−平板臭化銀乳剤1−K(比較乳剤)−
下記以外は乳剤1−Aと同様に調製した。(F)液に6臭化イリジウム カリウムをイリジウム相当6×10-5モル添加した。
得られた粒子は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.76μmで、平均厚みが0.15μmで、平均等価円相当直径が1.4 μmである六角形臭化銀平板状粒子乳剤であった。
【0227】
(2)化学増感
前記乳剤1−A〜1−Kついて、60℃、PH=6.2、pAg=8.4の条件で下記の分光増感色素(緑感性乳剤用増感色素I)、化合物1、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム及びセレン増感剤を添加して分光増感及び化学増感を施した。化学増感の停止には化学増感停止剤を用いた。化学増感剤の量は各々の乳剤の1/100秒露光の感度が最高になるように調節した。
【0228】
【化23】
Figure 0003686208
【0229】
【化24】
Figure 0003686208
【0230】
(3)分散物及び塗布試料の作成、その評価
塩基プレカーサーとして用いる水酸化亜鉛の分散物を調製した。
一次粒子の粒子サイズが0.2μm の水酸化亜鉛の粉末31g、分散剤としてカルボキシメチルセルロース1.6g及びポリアクリル酸ソーダ0.4g、石灰処理オセインゼラチン8.5g、水158.5mlを混合し、この混合物をガラスビーズを用いたミルで1時間分散した。分散後、ガラスビーズを濾別し、水酸化亜鉛の分散物188gを得た。
【0231】
さらに、マゼンタカプラーの乳化分散物を調製した。
マゼンタカプラー(a)7.80g、現像主薬(b)5.45g、高沸点有機溶媒(d)8.21g及び酢酸エチル24.0mlを60℃で溶解した。石灰処理ゼラチン12.0g及び界面活性剤(e)0.6gを溶解した水溶液150g中に先の溶液を混合し、ディゾルバー撹拌機を用いて10,000回転で20分間かけて乳化分散した。分散後、全量が300gとなるように蒸留水を加え、2000回転で10分間混合した。
【0232】
【化25】
Figure 0003686208
【0233】
これらの分散物と、乳剤1−A〜1−Kとを組み合わせて表1の組成で支持体上に塗布し、試料101〜111の単層のハロゲン化銀カラー写真感光材料を作製した。
【0234】
【表1】
Figure 0003686208
【0235】
さらに、表2及び表3に示すような処理材料P−1を作製した。
【0236】
【表2】
Figure 0003686208
【0237】
【表3】
Figure 0003686208
【0238】
【化26】
Figure 0003686208
【0239】
【化27】
Figure 0003686208
【0240】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料101〜111に、光学楔と緑フィルターを介して1/100秒の露光を施した。
露光後のハロゲン化銀カラー写真感光材料の表面に、40℃の温水を15ml/m2付与し、処理材料P−1と互いの膜面同士を重ね合わせた後、ヒートドラムを用いて83℃で20秒間熱現像した。
この熱現像処理後、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を剥離するとマゼンタ発色の楔形画像が得られた。画像の読み取りとしては、これらの発色試料の透過濃度を測定し、所謂特性曲線を得た。被り濃度よりも0.15高い濃度に対応する露光量の逆数をもって相対感度とし、試料101の値を100とした相対値で表した。また、処理後のハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像保存性を評価するために、次の評価を行った。500Lux 相当の蛍光灯退色試験器に5時間入れて、ステイン増加に伴うコントラストの減少を評価した。
判定の基準は、次のようにして評価した。Dmax−Dminの減少分が、25%以内が○、25%以上50%以内が△、50%以上が×とした。
これらの感度、蛍光灯退色試験の結果を表4にまとめた。
【0241】
【表4】
Figure 0003686208
【0242】
表4の結果より、浅い電子トラップを使用した厚み0.2 μm以下の平板状感光性ハロゲン化銀乳剤を用いると、高感度化し、かつ処理後のステイン増加防止の効果があることがわかる。
熱現像処理後の楔形画像を富士写真フィルム(株)製デジタルラボシステムフロンティアで画像を取り込み、同社製ピクトログラフィー3000で出力した。その結果、平板状乳剤粒子を用いた比較例は、画像取り込みを4回繰り返すと、スキャナー読み取り時の曝光によるプリントアウトによって、ステインが増加し、コントラストが消失し、最早スキャナーで読み取るのが不可能であった。一方、本発明品は、画像取り込みを12回繰り返してもステイン増加が少なく、そのとき取り込んだ画像情報の劣化が観られなかった。
未処理前のハロゲン化銀カラー写真感光材料のプリントアウトは、101〜111共に悪かった。熱現像処理により、浅い電子トラップである金属錯イオンを含有する0.2 μm以下の厚みの感光性ハロゲン化銀がプリントアウトされにくくなると考えられる。
【0243】
実施例2
−(100)平板塩臭化銀乳剤2−A(比較乳剤)−
メチオニン含率が約40μモル/gの脱イオンアルカリ処理骨ゼラチン25g及び塩化ナトリウム1gと1規定硝酸4.5mlを含む、p H4.3のゼラチン水溶液1,200mlを反応容器中に入れ、40℃に昇温した。この溶液に強く攪拌しながら硝酸銀20gを含む水溶液100mlの(A)液と臭化カリウム0.71gと塩化ナトリウム6.67gを含む水溶液100mlの(B)液を、36mlずつ、45秒間で同時混合添加した。添加終了後3分間撹拌した後、臭化カリウム1.1gを含む水溶液100mlの(C)液43.4mlを、30秒間で添加した。その後3分間で、30℃に降温し、温度一定に保った後、(A)液と、塩化ナトリウム7.02gを含む水溶液100mlの(D)液を108mlずつ、2分15秒間で同時混合添加した。その後1分間攪拌した後、10%塩化ナトリウム溶液20ml、1規定水酸化ナトリウム水溶液7mlを添加し、PH6.5、銀電位が飽和カロメル電極に80mVとした後、過酸化水素水(35%)を2ml添加した。その後、温度を75℃に昇温し、5分間熟成した。次いで、(A)液857.1mlと(B)液900mlを銀電位(対SCE)120mVに保ちつつ45分間、初期流量12ml/分で最終的に2倍に加速して添加した。温度を35℃に下げ、定法に従って脱塩を行った。
【0244】
得られたハロゲン化銀乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.79μmで、平均粒子円相当径が1.48μmで、平均粒子厚みが0.15μmで、アスペクト比が9.9である臭化銀含有率5モル%の塩臭化銀(100)平板状粒子よりなる乳剤であった。
以下の乳剤2−Bについても同様であった。この乳剤2−Aの化学増感は、増感色素添加後で、リボ核酸分解物を添加した以外は、乳剤1−Aと同様に、化学増感を施し、増感剤の添加量は、最も高感になる量を選んだ。
【0245】
−(100)平板塩臭化銀乳剤2−B(本発明乳剤)−
新たに、黄血塩0.14gを含む水溶液270mlである(D)液を、2段目の(A) 液、(B) 液の添加終了10分前より、毎分27mlの流量で添加した以外は、乳以外は乳剤2−Aと同様に調製した。
得られたハロゲン化銀乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.79μmで、平均粒子円相当径が1.48μmで、平均粒子厚みが0.15μmで、アスペクト比が9.9である、臭化銀含有率5モル%の塩臭化銀(100)平板状粒子よりなる乳剤であった。化学増感は、乳剤2−Aと同様に行った。
【0246】
−(111)平板高塩化銀乳剤2−C(比較乳剤)−
脱イオンアルカリ処理骨ゼラチン2. 4g及び塩化ナトリウム2gを含むゼラチン水溶液1,200mlを反応容器中に入れ、35℃に保持し、この溶液に強く攪拌しながら硝酸銀165gを含む水溶液1100mlの(A)液と、塩化ナトリウム59.1gを含む水溶液1100mlの(B)液とを、60mlずつ、1分間で同時混合添加した。添加終了1分後に、化合物(3)0.285g を含む水溶液である(C)液50mlを40mlを添加し、1分後に、塩化ナトリウム10%水溶液45ml添加した。その後25分かけて、60℃に昇温し、16分後にフタル化ゼラチン29gを含むゼラチン水溶液260mlを添加し、3分後に、(C) 液10ml添加した。その1分後に、(A)液と(B)液とを、768mlずつ、初速2.85ml/分で、加速度0.818ml/(分)2 で同時に添加した。(A) 液と(B)液の添加終了10分前から、塩化ナトリウム3.9gとさらに、(A) 液と(B)液の添加終了2分前に、臭化カリウム10%水溶液34mlを3秒で添加した。(A) 液と(B) 液添加終了後、3分に、チオシアン酸カリウム1%27mlを添加し、緑感性乳剤用増感色素Iの0.15%メタノール 溶液260mlを添加し、その1分後に75℃に昇温し、10分間保持した。温度を40℃に下げ、沈降剤(1)を用いて定法に従って脱塩を行った。分散は、脱イオンアルカリ処理骨ゼラチン67gと硝酸亜鉛、フェノキシエタノールを用いて分散した。pH6.3、pAg7.7になるように調整した。
【0247】
得られたハロゲン化銀乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.79μmで、アスペクト比が9で、厚さが0.16μmである、臭化銀含有率5モル%の塩臭化銀(111)平板状粒子よりなる乳剤であった。
化学増感は、60℃で行い、沈降剤(1)、 4-ヒト ゛ロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラア サ゛インテ ゛ン 、チオ硫酸ナトリウム、セレン増感剤、塩化金酸、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムを順次添加して化学増感し、最高感度になるようにした。化学増感の停止は、化合物(4)を用いて行った。
【0248】
【化28】
Figure 0003686208
【0249】
−(111)平板塩臭化銀乳剤2−D(本発明乳剤)−
ハロゲン化銀乳剤2−Cにおいて、新たに、黄血塩0.1gを含む水溶液270mlである(D)液を、2段目の(A) 液、(B) 液の添加終了10分前より、毎分27mlの流量で添加した以外は、乳剤2−Cと同様にして、乳剤2−Dを調製した。
得られたハロゲン化銀乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.79μmで、アスペクト比が9で、厚さが0.16μmである臭化銀含有率5モル%の塩臭化銀(111)平板状粒子よりなる乳剤であった。
【0250】
実施例1と同様にして、乳剤2−A〜Dについて塗布試料201〜204を作成し、処理を行い、露光し、熱現像処理を行った。画像の読み取りも実施例1と同様にして行い、これらの結果を表5に示した。なお、試料201の感度を100とした。
【0251】
【表5】
Figure 0003686208
【0252】
表5に示すように、高塩化銀平板状粒子乳剤においても、浅い電子トラップである金属イオン、金属錯体イオンを導入することによって、高塩化銀乳剤においても、高感度でありながら、処理後のステイン増加が少なくなることがわかる。また、実施例1に記載されているように、富士写真フィルム(株)製デジタルラボシステムフロンティアでの画像読み取りの繰り返し実験を行ったところ、比較品は、画像取り込み3回でステイン増加が甚だしく、コントラストを消失したが、本発明品は、画像取り込みを10回繰り返しても、プリントアウトすることなく、画像情報の劣化はなかった。
【0253】
実施例3
−乳剤3−A(比較乳剤)−
酸化処理ゼラチン0.5g及びKBr0.37gを含む水溶液1000ccにH2 SO4 を加えてPH=2に調整し40℃に保ちながら攪拌し、0.3MのAgNO3 水溶液(A)20ccと0.3MのKBr水溶液(B)20ccとをダブルジェットで同時に40秒間添加した。その後、NaOH(1N)を加えてPHを8.0に、KBR溶液を加えてpAg9.9に調整して、35分間で75まで昇温した。NaOH(1N)添加後5分後にエチルチオスルホン酸ナトリウム30mg含む水溶液を添加した。75℃昇温後、酸化処理ゼラチン35gを添加した後、次いで、1.2MのAgNO3 水溶液(C)921ccと1.4MのKBr水溶液(D)800ccとをpAgを8.58に保って流量を加速しながら(終了時の流量が開始時の7.2倍)33分間添加した。
その後、55C゜に降温し0.4MのAgNO3 水溶液(E)80ccと0.12MのKI水溶液(F)223ccとを3分間定量で添加し、引き続きKBr水溶液を添加してpAgを8.8に合わせた後、1.8MのAgNO3 水溶液(G)115ccと1.8MのKBr水溶液(H)131ccとを添加した。
この後、この乳剤を35℃に冷却し、花王製デモールを沈降剤とする常法のフロキュレーション法で水洗しゼラチン75gとフェノキシエタノール10ccとを加えPH=5.5、pAg=8.2に調整した。
【0254】
得られたハロゲン化銀乳剤は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.76μmで、平均厚みが0.08μmで、平均等価円相当直径が1.91μmで、アスペクト比が23.9である六角形平板状粒子乳剤であった。
【0255】
−乳剤3−B(本発明乳剤)−
下記以外は前記乳剤3−Aと同様に調製した。(H)液に黄血塩を鉄相当6×10-5モル添加した。
得られたハロゲン化銀乳剤は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.76μmで、平均厚みが0.08μmで、平均等価円相当直径が1.91μmで、アスペクト比が23.9である六角形平板状粒子乳剤であった。
【0256】
−乳剤3−C(比較乳剤)−
次に、平均分子量12,000のゼラチン0.74g及び臭化カリウム0.3gを含む蒸留水930mlを反応容器中に入れ、35℃に昇温した。この溶液に強く攪拌しながら硝酸銀1.2gを含む水溶液(A)30mlと臭化カリウム0.82gを含む水溶液( B)30mlとを20秒間で添加した。添加終了後1分間40℃に保った後、反応溶液の温度を75℃に上昇させた。酸化処理ゼラチン27.0gを蒸留水200mlと共に加えた後、硝酸銀22.5gを含む水溶液(C)100mlと臭化カリウム15.43gを含む水溶液(D)80mlとを添加流量を加速しながら11分間にわたって添加した。その後、NaOH(1N)を加えてPHを8.2にし、次いで硝酸銀75.1gを含む水溶液(E)250mlと沃化カリウムを臭化カリウムとのモル比3:97で含む水溶液(F)(臭化カリウムの濃度26%)とを添加流量を加速しながら、かつ反応液の銀電位が飽和カロメル電極に対して−20mVとなるように20分間で添加した。(E)液添加後3分後に、エチルチオスルホン酸ナトリウム50mg 含む水溶液を添加した。さらに硝酸銀18.7gを含む水溶液(G)75mlと臭化カリウムの21.9%水溶液(H)とを3分間にわたって、かつ反応液の銀電位が飽和カロメル電極に対して0mVとなるように添加した。添加終了後1分間75℃に保った後、反応液の温度を55℃に下降させた。次いで、硝酸銀8.1gを含む水溶液(I)120mlと沃化カリウム7.26gを含む水溶液(J)320mlとを5分間にわたって添加した。添加終了後臭化カリウム5.5gを加え、55℃で1分間保った後、さらに硝酸銀44.3gを含む水溶液(K)180mlと臭化カリウム34.0gを含む水溶液(L)160mlとを8分間にわたって添加した。温度を下げ、定法に従って脱塩を行った。
【0257】
得られた乳剤は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の99%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.66μmで、平均厚みが0.095 μmで、等価円直径が1.42μmで、アスペクト比が15であった。
【0258】
−乳剤3−D(本発明乳剤)−
下記以外は前記乳剤3−Cと同様に調製した。(K)液に黄血塩を鉄相当3×10-5モル添加した。
得られたハロゲン化銀乳剤は、平板状粒子が全粒子の全投影面積の98%を超える割合を占め、平均球相当直径が0.66μmで、平均厚みが0.095μmで、等価円直径が1.42μmで、アスペクト比が15であった。
【0259】
−乳剤3−E(比較乳剤)−
平均分子量15,000のゼラチン12.5g、臭化カリウム4.35g及び沃化カリウム0.32gを含む蒸留水950mlを反応容器中に入れ、45℃に昇温した。この溶液を強く攪拌しながら硝酸銀8.3gを含む水溶液50ml(A)と臭化カリウム2.67gを含む水溶液50ml(B)とを45秒間で添加した。4分間45℃に保った後、反応溶液の温度を63℃に上昇させた。ゼラチン17.0gを蒸留水130mlと共に加えた後、硝酸銀51.2gを含む水溶液150ml(C)と臭化カリウムの24.8%水溶液(D)とを添加流量を加速しながら、かつ反応液の銀電位が飽和カロメル電極に対して0mVとなるように13分間にわたって添加した。添加終了後2分間63℃に保った後、NaOH(1N)を加えてPHを8.4にした。その後反応液の温度を45℃に下降させ、エチルチオスルホン酸ナトリウム65mg含む水溶液を添加した。次いで、硝酸銀5.9gを含む水溶液50ml(E)と沃化カリウム5.82gを含む水溶液320ml(F)とを5分間にわたって添加した。さらに硝酸銀104.3gを含む水溶液350ml(G)と臭化カリウムの25%水溶液(H)とを反応液の銀電位が飽和カロメル電極に対して10mVとなるように45分間にわたって添加した。添加終了後臭化カリウム1.4g及びエチルチオスルホン酸ナトリウム4mgを加え、45℃で5分間保った後、温度を下げ、定法に従って脱塩を行った。
【0260】
得られた乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.37μmで、平均円相当径が0.58μmで、平均厚みが0.1 μmで、平均アスペクト比が5. 8である六角平板状粒子であった。
【0261】
−乳剤3−F(本発明乳剤)−
下記以外は前記乳剤3−Aと同様に調製した。(H)液に黄血塩を鉄相当8×10-5モル添加した。
得られた乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.37μmで、平均円相当径が0.58μmで、平均厚みが0.1μmで、アスペクト比が5.8である六角平板状粒子であった。
【0262】
これらの乳剤の化学増感は、増感色素を青色感光性乳剤用増感色素IIを用いた以外は、前記乳剤1−Aと同様にして行った。塩化金酸及びチオ硫酸ナトリウム、セレン増感剤は、1/100秒露光で高感になるように添加量を調整した。分光増感色素と化学増感停止剤とは、各乳剤の粒子表面積に比例させて変化させた。
【0263】
【化29】
Figure 0003686208
【0264】
前記乳剤3−A、3−B、3−C、3−D、3−E及び3−Fにおいて、粒子形成中のpHを5.0にし、増感色素を赤感性乳剤用増感色素III 〜Vに変更した、3−A(r)、3−B(r)、3−C(r)、3−D(r)、3−E(r)及び3−F(r)を調製した。
また、前記乳剤3−A、3−B、3−C、3−D、3−E及び3−Fにおいて、粒子形成中のpHを5.0にし、増感色素を緑感性乳剤用増感色素VI〜VII に変更した、3−A(g)、3−B(g)、3−C(g)、3−D(g)、3−E(g)及び3−F(g)を調製した。
【0265】
【化30】
Figure 0003686208
【0266】
【化31】
Figure 0003686208
【0267】
また、実施例1のカプラー分散物の調製方法に従ってシアン及びイエローのカプラー分散物も調製した。用いた化合物を以下に示す。
【0268】
【化32】
Figure 0003686208
【0269】
−イエローフィルター及びアンチハレーション層用染料組成物の調製−
染料組成物は、以下のように乳化分散物として調製し添加した。
ロイコ染料と顕色剤及び必要に応じて高沸点有機溶媒を秤量し、酢酸エチルを加え、約60℃に加熱溶解させ均一な溶液とし、この溶液100ccに対し、ドデシルヘ ゛ンセ゛ン スルホン酸ナトリウムを1.0g、約60℃に加熱した石灰処理ゼラチンの6.6%水溶液190ccを加え、ホモジナイザーで10分間10,000 rpmで分散した。
表6に示した2種類の染料分散物を作成した。
【0270】
【表6】
Figure 0003686208
【0271】
【化33】
Figure 0003686208
【0272】
前記乳剤3−A、3−C及び3−Eを、各々、青色感光性イエロ−発色層の高感度乳剤層、中感度乳剤層及び低感度乳剤層に用い、前記乳剤3−A(r)、3−C(r)及び3−F(r)を、各々、赤色感光性シアン発色層の高感度乳剤層、中感度乳剤層及び低感度乳剤層に用い、前記乳剤3−A(g)、3−C(g)及び3−E(g)を、各々、緑色感光性マゼンタ発色層の高感度乳剤層、中感度乳剤層及び低感度乳剤層に用いて、以上の分散物を調製して、表7〜10(表7〜10は、一つの表を便宜上4つに分けて記載したものである。)のように、多層系のハロゲン化銀カラー写真感光材料301を作製した。
【0273】
【表7】
Figure 0003686208
【0274】
【表8】
Figure 0003686208
【0275】
【表9】
Figure 0003686208
【0276】
【表10】
Figure 0003686208
【0277】
【化34】
Figure 0003686208
【0278】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料301において、乳剤を以下のように変更した以外は、前記感光材料301と同様にしてハロゲン化銀カラー写真感光材料302を構成した。
前記乳剤3−B、3−D及び3−Fを、各々、青色感光性イエロ−発色層の高感度乳剤層、中感度乳剤層及び低感度乳剤層に用い、乳剤3−B(r)、3−D(r)及び3−F(r)を、各々、赤色感光性シアン発色層の高感度乳剤層、中感度乳剤層及び低感度乳剤層に用い、前記乳剤3−B(g)、3−D(g)及び3−F(g)を、各々、緑色感光性マゼンタ発色層高感度乳剤層、中感度乳剤層及び低感度乳剤層に用いた。
【0279】
これらのハロゲン化銀カラー写真感光材料の写真特性を実施例1と、露光時のフィルターを除去した以外は、同様に試験した。まず、各ハロゲン化銀カラー写真感光材料に光学楔を介して1/100秒の露光を施した。
露光後のハロゲン化銀カラー写真感光材料の表面に40℃の温水を20ml/m2付与し、処理材料P−2と互いの膜面同士を重ね合わせた後、ヒートドラムを用いて83℃で30秒間熱現像した。このようにして処理されたハロゲン化銀カラー写真感光材料の画像を、青、緑、赤フィルターを用いてイエロ−、マゼンタ、シアン発色の楔形画像の透過濃度を測定して特性曲線を得て、実施例1と同様に被り濃度よりも0.15高い濃度に対応する露光量の逆数をもって相対感度とし、各々の感色性の感度について、試料301の値を100とした相対値で表した。処理材料P−2は、ピコリン酸グアニジン量を4500mg/m2 に変更した以外はP−1と同様の処理材料である。露光して、上記の処理を行った。
感度及びステイン増加に伴うコントラストの減少を定量化し、画像の取り込みは実施例1と同様に行い、これらの結果を表11にまとめた。
【0280】
【表11】
Figure 0003686208
【0281】
以上の結果から、多層のハロゲン化銀カラー写真感光材料においても、本発明のように、浅い電子トラップである金属イオン、金属錯体イオンを含有した平板状感光性ハロゲン化銀乳剤粒子を用いた熱現像用のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、高感度かつ処理後のステイン増加が少ない効果が認められた。
【0282】
実施例4
−4−A(比較乳剤)−
メチオニン含率が約40μモル/gの脱イオンアルカリ処理骨ゼラチン21g及び塩化ナトリウム0.8gと1規定硫酸3.8mlを含む、p H4.6のゼラチン水溶液1,000mlを反応容器中に入れ、40℃に昇温した。この溶液に強く攪拌しながら硝酸銀11gを含む水溶液30mlの(A)液と臭化カリウム0.4gと塩化ナトリウム3.7gを含む水溶液30mlの(B)液を、45秒間で同時混合添加した。添加終了後10分間撹拌した後、30℃に3分掛けて降温した。臭化カリウム1.1gを含む水溶液37mlの(C)液を、14秒間で、降温開始時に添加した。温度30℃一定に保った後、(A)液92mlと、塩化ナトリウム11.68gを含む水溶液92mlの(D)液を、2分15秒間で同時混合添加した。その後1分間攪拌した後、10%塩化ナトリウム溶液17ml、1規定水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加し、PH6.5とした後、過酸化水素水(35%)を2ml添加した。その後、温度を65℃に昇温し、3分間熟成した。次いで、硝酸銀135gを含む(E)液675mlと、臭化カリウム4.73gと塩化ナトリウム44.1gを含む水溶液675mlの(F)液を銀電位(対SCE)120mVに保ちつつ42分42秒間、初期流量11.7ml/分で最終的に1.7倍に加速して添加した。25分間熟成後、脱灰処理ゼラチン9gを含む102mlの水溶液を添加し、その10分後、温度を35℃に下げ、定法に従って脱塩を行った。
【0283】
得られた乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.58μmで、平均粒子円相当径が0.87μmで、平均粒子厚みが0.17μmで、アスペクト比が5.2 である、臭化銀含有率5モル%の塩臭化銀(100)平板状粒子よりなる乳剤であった。化学増感は、前記2−Aと同様に行った。
【0284】
−乳剤4−B(本発明乳剤)−
新たに、黄血塩0.3gを含む水溶液270mlである(G)液を、2段目の( E) 液、( F) 液の添加終了10分前より、毎分27mlの流量で添加した以外は乳剤4−Aと同様に調製した。
得られたハロゲン化銀乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.58μmで、平均粒子円相当径が0.87μmで、平均粒子厚みが0.17μmで、アスペクト比が5.2 である、臭化銀含有率5モル%の塩臭化銀(100)平板粒子よりなる乳剤であった。化学増感は、前記乳剤4−Aと同様に行った。
【0285】
前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料301において、緑色、赤色及び青色の各感光層の中感度乳剤層を除去し、かつ、緑色感光性高感度乳剤層に乳剤2−Aを使用し、赤色感光性高感度乳剤層に、乳剤2−Aにおいて赤感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様である乳剤2−A(r)を使用し、青色感光性高感度乳剤層に、乳剤2−Aにおいて青感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様である乳剤3−A(b)を使用し、緑色感光性低感度乳剤層に乳剤4−Aを使用し、赤色感光性低感度乳剤層に、乳剤4−Aにおいて赤感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様である乳剤4−A(r)を使用し、青色感光性低感度乳剤層に、乳剤4−Aにおいて青感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様である乳剤4−A(b)を使用して、多層構成の比較のハロゲン化銀カラー写真感光材料401を作製した。
ハロゲン化銀カラー写真感光材料401において、乳剤2−A、2−A(r)、2−A(b)、4−A、4−A(r)及び4−A(b)を、各々2−B、2−B(r)、2−B(b)、4−B、4−B(r)及び4−B(b)を変更した以外は同様である本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料402を作製した。
【0286】
前記乳剤2−B(r)及び4−B(r)は、各乳剤2−B及び4−Bにおいて赤感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様であるハロゲン化銀乳剤である。前記乳剤2−B( b)及び4−B(b)は、各乳剤2−B、4−Bにおいて青感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様であるハロゲン化銀乳剤である。
現像時間を20秒に変更した以外は実施例3と同様に処理、試験を行ったところ、本発明ハロゲン化銀カラー写真感光材料402は、比較のハロゲン化銀カラー写真感光材料401と比べて、高感度になり、かつ処理後の画像安定性が良化したことがわかり、本発明の効果が示された。
【0287】
実施例5
−乳剤5−A(比較乳剤)−
前記乳剤2−Cにおいて、脱イオンアルカリ処理骨ゼラチン1.2gに変更し、(A)液と、(B)液を、360mlずつ、3分間で同時混合添加した以外は、乳剤2−Cと同様にして乳剤5−Aを調製した。
得られたハロゲン化銀乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.53μmで、アスペクト比が4.5 で、厚みが0.17μmである、臭化銀含有率5モル%の塩臭化銀(111)平板状粒子よりなる乳剤であった。
【0288】
−乳剤5−B(本発明乳剤)−
乳剤5−Aにおいて、新たに、黄血塩0.3gを含む水溶液270mlである(D)液を、2段目の(A) 液、(B) 液の添加終了10分前より、毎分27mlの流量で添加した以外は、乳剤5−Aと同様にして、乳剤5−Bを調製した。
得られたハロゲン化銀乳剤は、球相当の直径で表した平均粒子サイズが0.53μmで、アスペクト比が4.5で、厚みが0.17μmである、臭化銀含有率5モル%の塩臭化銀(111)平板状粒子よりなる乳剤であった。
【0289】
前記感光材料401において、乳剤2−A、2−A(r)、2−A(b)、4−A、4−A(r)及び4−A(b)を、各々2−C、2−C(r)、2−C(b)5−A、5−A(r)及び5−A(b)を変更した以外は、同様であるところの感光材料501を作成した。
【0290】
乳剤2−C(r)及び5−A(r)は、各乳剤2−C、5−Aにおいて赤感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様である乳剤である。乳剤2−C( b)及び5−A(b)は、各乳剤2−C、5−Aにおいて青感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様である乳剤である。
前記感光材料401において、乳剤2−A、2−A(r)、2−A(b)、4−A、4−A(r)及び4−A(b)を、各々2−D、2−D(r)、2−D(b)、5−B、5−B(r)及び5−B(b)を変更した以外は同様である本発明の感光材料502を作製した。
【0291】
乳剤2−D(r)及び5−B(r)は、各乳剤2−D、5−Bにおいて赤感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様である乳剤である。乳剤2−D( b)及び5−B(b)は、各乳剤2−D、5−Bにおいて青感性乳剤用の増感色素を使用した以外は同様である乳剤である。
【0292】
実施例4と同様に処理、試験を行ったところ、本発明の感光材料502は、比較の感光材料501と比べて、高感度になり、かつ、処理後の画像安定性が良化したことがわかり、本発明の効果が示された。
【0293】
実施例6
実施例3、4及び5で作製した重層塗布試料において、支持体を下記に示す製法で作成した支持体に変え、カートリッジに入れた試料を作成し、カメラに装填し、撮影試験を行ったが、良好な画像が得られ、富士写真フイルム(株)製デジタルラボシステムフロンティアで画像を取り込んで、ピクトログラフィー3000で出力した。
比較品は、画像取り込みを2回繰り返すと、ステイン増加が多くコントラストが消失し、良好なハードコピー画像が得られなくなった。一方、本発明品は、画像読み取りを8回繰り返しても、ステイン増加が少なく、そのとき取り込んだ画像情報を利用しても、良好なハードコピー画像が得られた。本発明の高感かつ処理後画像安定性の効果が確認された。
【0294】
1)支持体
本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成した。
<支持体の作成>
以下に示す方法にて、本発明に用いる支持体を作成した。
ポリエチレンー2,6―ナフタレート(PEN)ポリマー100重量単位と紫外線吸収剤としてTinuvin P.326(チバ.ガイギー社製)2重量部とを乾燥した後、300度にて溶融後、T型ダイから押し出し、140度で3.3倍の縦延伸を行い、続いて130度で3.3倍の横延伸を行い、更に250度で6秒間熱固定して厚さ92μmのPENフィルムを得た。なお、このPENフィルムにはブルー染料、マゼンタ染料、イエロー染料(公開技報:公技番号94−6023号記載の ―1、―4、―6、―24、―26、―27、―5)をイエロー濃度0.01、マゼンタ濃度0.08、シアン濃度0.09になるよう添加した。更に、直径20cmのステンレス巻き芯に巻き付けて、113度、30時間の熱履歴を与え、巻きぐせのつきにくい支持体とした。
【0295】
<下塗り層の塗設>
上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV照射処理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼラチン(0.1g/m2 )、ソジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート(0.01g/m2 )、サルチル酸(0.025g/m2 )、PQ−1(0.005g/m2 )、PQ−2(0.006g/m2 )からなる下塗液を塗布して(10cc/m2 、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温面側に設けた。乾燥は115℃で6分間実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃とした)。
【0296】
【化35】
Figure 0003686208
【0297】
<バック層の塗設>
1)帯電防止層の塗設
平均粒径0.005 μの酸化スズ−酸化アンチモン複合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次凝集粒子径 約0.08μ;0.027g/m2 )、ゼラチン(0.03g/m2)、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2CH2 (0.02g/m2)、ポリ(重合度10)オキシエチレン−p−ノニルフェノール(0.005g/m2) 、PQ−3(0.008g/m2) 及びレゾルシンを塗布した。
【0298】
【化36】
Figure 0003686208
【0299】
2)磁気記録層の塗設
3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン(15 重量%) で被覆処理されたコバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m2/g、長軸0.14μm、短軸0.03μm、飽和磁化89emu/g 、Fe+2/Fe++3=6/94、表面は酸化アルミ酸化珪素で酸化鉄の2重量%で処理されている)0.06g/m2をジアセチルセルロース1.15g/m2(酸化鉄の分散はオープンニーダーとサンドミルで実施した)、硬化剤としてPQ−4(0.075g/m2) 、PQ−5(0.004g/m2) を、溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジブチルフタレートを用いてバーコーターで塗布し、膜厚1.2 μmの磁気記録層を得た。滑り剤としてC6H13CH(OH)C10H20COOC40H81(50g/m2)、マット剤としてシリカ粒子(平均粒径1.0 μm)と研磨剤の酸化アルミ(レイノルズメタルReynolds Metal 社製ERC-DBM ;平均粒径0.44μm)をそれぞれ5mg/m2及び15mg/m2 となるように添加した。乾燥は115 ℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115 ℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁気記録層のDBの色濃度増加分は約0.1 、また磁気記録層の飽和磁化モーメントは4.2emu/g、保磁力7.3 ×104 A/m、角形比は65% であった。
【0300】
【化37】
Figure 0003686208
【0301】
3)滑り層の調整
ヒドロキシエチルセルロース(25mg/m2) 、PQ−6(7.5mg/m2)、PQ−7(1.5mg/m2)ポリジメチルシロキサン(B−3)1.5mg/m2を塗布した。なお、この混合物は、キシレン/プロピレングリコールモノメチルエーテル(1/1) 中で105 ℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチルエーテル(10 倍量) に注加分散して作成した後、アセトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから添加した。乾燥は115 ℃で6分間行った(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115 ℃)。滑り層は、動摩擦係数0.10(5mm φのステンレス硬球、加重100g、スピード6cm/分)、静摩擦係数0.09(クリップ法)、また後述する乳剤面と滑り層の動摩擦係数も0.18と優れた特性であった。
【0302】
【化38】
Figure 0003686208
【0303】
【発明の効果】
本発明によると、前記従来における諸問題を解決することができる。また、本発明によると、漂白/定着工程が不要で、環境に対する負荷が少なく、簡易・迅速に光に対して安定な画像を形成できる高感度撮影用のハロゲン化銀カラー写真感光材料及びそれを用いたカラー画像形成方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 支持体上に、感光性ハロゲン化銀乳剤、現像主薬、現像主薬の酸化体とのカップリング反応によって色素を形成する化合物、及びバインダーを含有してなる感光性層を少なくとも一層含む写真構成層を塗設してなり、加熱現像されて、未反応のハロゲン化銀の一部又は全部が残存した画像が形成され、該画像の読み取りが行われるハロゲン化銀カラー写真感光材料において、
    該感光性ハロゲン化銀乳剤の少なくとも1種が、深さが0.2eV以下の電子トラップである金属イオン及び金属錯体イオンから選択される1種以上を含有してなり、平均厚みが0.2μm以下であり、かつ平均アスペクト比が3〜100である平板状感光性ハロゲン化銀粒子からなることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  2. 前記深さが0.2eV以下の電子トラップである金属イオン及び金属錯体イオンが、Pbイオン、及び、シアンリガンドとRe、Os、Ru、Fe、Ir又はCoとを含むイオンである請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  3. 前記感光性ハロゲン化銀乳剤が、塩化銀を50モル%以上含有してなる請求項1又は2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  4. 前記現像主薬が、下記一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)及び一般式(5)のいずれかで表される請求項1から3のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    Figure 0003686208
    Figure 0003686208
    Figure 0003686208
    Figure 0003686208
    Figure 0003686208
    一般式(1)〜(5)中、R1 〜R4 は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基又はアシルオキシ基を表す。R5 は、置換または無置換の、アルキル基、アリール基又は複素環基を表す。Zは、芳香環(複素芳香環を含む)を形成する原子群を表し、Zがベンゼン環である場合、その置換基のハメット定数(σ)の合計値は1以上である。R6 は、置換または無置換のアルキル基を表す。Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又はアルキル置換若しくはアリール置換の3級窒素原子を表す。R7 及びR8 は、水素原子又は置換基を表す。なお、該R7 及びR8 は、互いに結合して2重結合又は環を形成してもよい。
  5. ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光を行った後、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料における全塗布膜の最大膨潤に要する合計水量の1/10〜1倍量の水を、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料と、支持体上に塩基及び/又は塩基プレカーサーを含有する処理材料との間に介在させ、両者を貼り合わせた状態で加熱現像を行い、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料上にカラー画像を形成させ、未反応のハロゲン化銀の一部又は全部を該ハロゲン化銀カラー写真感光材料に残存させたまま、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料上のカラー画像を読み取り、読み取った画像情報に基づいてカラー画像を形成するカラー画像形成方法において、
    該ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、請求項1から4のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とするカラー画像形成方法。
  6. ハロゲン化銀カラー写真感光材料に露光を行った後、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料における全塗布膜の最大膨潤に要する合計水量の1/10〜1倍量の水を、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料と、支持体上塩基及び/又は塩基プレカーサーを含有する処理材料との間に介在させ、両者を貼り合わせた状態で加熱現像を行い、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料上にカラー画像を形成させ、未反応のハロゲン化銀の一部又は全部を該ハロゲン化銀カラー写真感光材料に残存させたまま、該ハロゲン化銀カラー写真感光材料上のカラー画像をスキャナで読み取り、その画像情報を基にプリント出力するカラー画像形成方法において、
    該ハロゲン化銀カラー写真感光材料が、請求項1から4のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料であることを特徴とするカラー画像形成方法。
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