JP3685975B2 - 排水処理方法及び装置 - Google Patents

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  • Activated Sludge Processes (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属る技術分野】
本発明は、活性汚泥槽内への曝気の有無を交互に切り替えて、有機性窒素を含む排水を生物学的に処理する排水処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水や生活排水の処理方法として活性汚泥法が広く知られている。さらに、湖沼等の富栄養化の原因となる窒素、リンをも除去可能な活性汚泥を用いた処理方法として、A2O法、回分式活性汚泥法、間欠曝気式活性汚泥法等が開発されている。
【0003】
間欠曝気式あるいは回分式の活性汚泥法は、活性汚泥中に曝気により好気状態を作り出す好気工程と、曝気を停止して無酸素状態で攪拌を行う無酸素工程とを繰り返すことで、好気工程では、硝化菌によりアンモニア性窒素を硝酸性窒素に硝化するとともに、リンを活性汚泥に吸収させた状態で引き抜くことで除去し、無酸素工程では、硝酸性窒素を窒素ガスに還元することで脱窒処理を行うものである。
【0004】
これらの活性汚泥法で処理を好適に行うためには、好気工程と無酸素工程とを適切なタイミングで切り替える必要があり、各種の制御方法及び装置が開発されている。
【0005】
例えば、特公昭64−70198号公報に開示された技術は、処理槽内に酸化還元電位(ORP)計を設置しておき、好気工程において検出されたORP値が120〜200mV以上となった時点で曝気を停止して無酸素工程へと切り替え、無酸素工程において検出されたORP値が−250〜−350mV以下となった時点で、曝気を開始する。
【0006】
また、特開昭64−70198号公報に開示されている技術は、ORP値の変化率、具体的には、屈曲点の発生を監視することで硝化、脱窒の終了タイミングを検出して切り替えを行うものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、処理対象汚水の窒素含有率によっては、各工程が終了してもORP値が−250mV〜120mVの範囲内にある場合もあるし、終了していないにもかかわらず、この範囲を逸脱することもありうる。また、汚水の状況によっては屈曲点が発生しないこともあり、これらの技術では正確な処理タイミングを判定することは困難である。
【0008】
本発明は、係る問題点に鑑みて、効率的で安定した窒素処理が行える排水処理方法及び装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の排水処理方法は、曝気装置により活性汚泥槽へ曝気を行う好気工程と、曝気を行わない無酸素工程とを交互に繰り返して有機性窒素を含む排水を生物学的に処理する排水処理方法であって、曝気装置を制御して好気工程における曝気風量を活性汚泥槽の溶存酸素量が一定となるように調整するとともに、曝気風量の制御目標値の減少量あるいは減少率が所定値以下になった段階で、曝気を停止して、無酸素工程へと切り替えることを特徴とする。
【0010】
一方、本発明の排水処理装置は、有機性窒素を含む排水が投入されて、これに曝気を行う好気工程と、曝気を停止する無酸素工程とを繰り返すことで有機性窒素を生物学的に分解処理する活性汚泥槽と、この活性汚泥槽内への曝気を行う曝気装置と、活性汚泥槽内の溶存酸素量を測定する溶存酸素計と、曝気装置による曝気風量を測定する流量計と、曝気装置を制御して、好気工程における曝気風量を活性汚泥槽の溶存酸素量が一定となるように調整するとともに、曝気風量の制御目標値の減少量あるいは減少率が所定値以下になった段階で、曝気装置を停止して、無酸素工程へと切り替える制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
溶存酸素量が一定となるように曝気風量を調整することで、過曝気となることがなく、無酸素工程に移行した際に瞬時に無酸素状態となり脱窒反応が促進され、移行時の無駄がなくなる。さらに、硝化処理の終了に伴い必要な曝気風量が減少するから曝気風量の制御目標値の減少量あるいは減少率を監視することで、硝化処理の終了時点を確実に検出することが可能であり、好気工程時間の調整も可能となる。
【0012】
ここで、無酸素工程への切り替えは、曝気風量の制御目標値が当該好気工程中の最大曝気風量に1未満の所定の係数を乗じて算出された曝気風量まで減少した段階で行われることが好ましい。
【0013】
このようにすれば、処理対象の汚水に含まれる窒素が少なく、曝気風量が少量で済むときは、曝気停止の基準となる曝気風量も小さくなり、逆に処理対象の汚水に含まれる窒素が多く、曝気風量が大量に必要なときは、曝気停止の基準となる曝気風量も大きくなるので、いずれの場合でも確実に硝化処理がほぼ終了した時点を検出して好気工程を終了することが可能となり、汚水の状況によらずに安定した硝化処理が可能となる。
【0014】
また、曝気装置は、回転数を制御することで、供給風量を調整可能なブロワと、活性汚泥槽内に設置され、ブロワから活性汚泥処理槽への曝気供給ラインと大気とを接続する空気抜きライン上に設けられた開度調整可能な空気抜き弁と、を備えており、制御部は、ブロワの回転数と空気抜き弁の開度を調整することで、活性汚泥処理槽に供給される曝気風量を調整するものであることが好ましい。
【0015】
ブロワは一般的に回転数制御により調整できる吐出風量域が限られ、回転数制御のみでは最低吐出風量を0まで任意に調整できない。空気抜き弁と併用することで、曝気風量を0から最大風量まで無段階で調整することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明に係る排水処理装置の好適な実施形態を示す概略図である。本装置は、有機性窒素を含む処理対象排水が処理のため貯留される活性汚泥槽1内に曝気と攪拌を行う水中曝気攪拌機2が配置されており、この水中曝気攪拌機2には、ラインL1を介してブロワ5が接続されている。一方、活性汚泥槽1の液相内には溶存酸素量(DO値)を測定するDOセンサ3が配置されている。
【0018】
水中曝気攪拌機2とブロワ5を接続するラインL1上には、風量計4が配置されるとともに、ラインL1は風量計4より上流側でラインL2に分岐し、その先はバルブ6を介して大気側へ開放されている。
【0019】
水中曝気攪拌機2、DOセンサ3、風量計4、ブロワ5、バルブ6の各々は制御装置7に接続されて、DOセンサ3、風量計4の各測定信号が送られるとともに、水中曝気攪拌機2、ブロワ5、バルブ6の運転状態が制御されている。
【0020】
図2は、この制御装置7の内部構成の一例を示すブロック図である。DOセンサ3からのDO計測値とオペレータの操作等により入力されるDO目標値の各信号の差分を計算する差分器70と、差分器70の演算結果から曝気風量の目標値を設定する風量目標値生成部71と、設定された風量目標値をモニタし、曝気終了時点の検出を行う目標値監視部72と、目標値監視部72からの信号に応じて水中曝気攪拌機2の攪拌動作を制御する攪拌機制御部73と、目標値監視部72から送られる風量目標値と風量計4で計測された風量計測値との差分を計算する差分器74と、差分器74の演算結果から、ブロワ5とバルブ6の制御量を夫々決定する風量コントローラ75と、決定された制御量に基づいてバルブ6の開度を調整するバルブ開度調整部76と、ブロワ5の回転数を調整するブロワ回転数調整部77と、で構成されている。
【0021】
次に、本実施形態の動作、すなわち、本発明に係る排水処理方法について、図1〜図5を参照して詳しく説明する。図3は、この排水処理方法における好気(曝気)工程と無酸素(攪拌)工程の切り替え動作を説明するフローチャートであり、図4は、好気工程中における曝気風量、活性汚泥槽1内のDO値、アンモニア性窒素(NH4-N)の量の時間変化を表すグラフであり、図5は、バルブ開度及びブロワ回転数それぞれと曝気風量との関係を示すグラフである。
【0022】
本実施形態では、活性汚泥槽1内に曝気を行う好気工程と曝気を止めて攪拌を行う無酸素工程を交互に繰り返して有機性窒素を処理する。そこで、便宜上好気工程の開始時点から説明する。
【0023】
活性汚泥槽1内に処理対象排水を導き、バルブ6を閉じた状態で、ブロワ5を作動させると、ラインL1を介して空気が水中曝気攪拌機2から活性汚泥槽1内部の液相へと導入され、曝気が開始される(S1)。開始にあたって、Qmaxを初期値0に設定しておく。曝気によって活性汚泥槽1内のDO値が上昇して好気状態となると、活性汚泥槽内の硝化菌がNH4-Nを硝化し、硝酸性窒素(NO2-NあるいはNO3-N)に変化させる。この結果、図4に示されるように、NH4-N濃度は減少し、DO計測値は上昇する。この際に、DO計測値がDO目標値に一致するようDO制御が行われる。
【0024】
具体的には、図2に示される風量目標値生成部71は、DO目標値に対してDO計測値が小さい場合は、入力値が正、DO目標値に対してDO計測値が大きい場合は入力値が負になるので、入力値を基にして風量目標値の増減を決定する。目標値監視部72は、この目標値の変化を監視して後述するように好気工程の終了を検出する。好気工程の終了を検出するまでは、目標値監視部72は、目標値をそのまま出力し、好気工程の終了後、次の好気工程の開始までは目標値として0を出力する。
【0025】
差分器74は、風量目標値と風量計4からの風量計測値との差分を計算し、風量コントローラ75に送る。風量コントローラ75は、入力信号に応じて計測値が目標値を上回っているときは、風量を低下させ、計測値が目標値を下回っているときは風量を増加させるようにブロワ5及びバルブ6の制御量を決定し、バルブ開度調整部76とブロワ回転数調整部77を操作してバルブ6の開度とブロワ5の回転数を調整する。
【0026】
この調整は、例えば、図5の線図に基づいて行われる。一般的なブロワ5は、最小吐出風量が0ではなく、安定した最小吐出風量は、最大吐出風量の半分程度である。ここでは、モータ回転数を60〜100%に制御することで、風量を55〜100%にリニアに調整可能なブロワ5を用い、風量を0〜55%に調整する場合は、バルブ6の閉度を調整することで制御を行う例を示している。
【0027】
このようにDOを目標値にほぼ一定に制御するよう風量を調整して好気工程を行う。このとき、目標値監視部72は、風量Qを監視し、内部に保持しているQmaxがQを上回っているかを判別し(S3)、上回った場合には、これを新たにQmaxに設定することで、当該好気工程中の最大風量の検出を行う(S4)。
【0028】
活性汚泥槽1内のNH4-Nが完全に硝化されると、図4に示されるように、酸素が必要でなくなるので、DO計測値を目標値と一定に維持するために必要な曝気風量は減少する。目標値監視部72は、この曝気風量Qとα・Qmax(ここで、αは1未満の正の係数であり、例えば、0.5である。)とを比較し(S5)、曝気風量Qがα・Qmaxを下回ったら、好気工程が終了したと判断し、ブロワ5を停止して、曝気を停止するとともに、攪拌機制御部73の指令によって水中曝気攪拌機2による攪拌動作が所定の時間継続される(S6)。
【0029】
好気工程中のDO値が目標値一定になるよう制御しているので、図4に示されるように好気工程終了後速やかに活性汚泥槽1内のDO値は0になり、無酸素状態になり、無酸素工程へと移行する。この結果、硝酸性窒素は脱窒菌により、窒素ガスに還元され、空気中へと放出される。無酸素状態への移行が速いので、工程の無駄がなくなり、好ましい。攪拌機制御部73は、所定の時間t経過後(S7)、無酸素工程を終了し、再び、好気工程へと切り替える(S1)。
【0030】
無酸素工程の終了時間は、オペレータが入力してもよいし、あるいは、好気工程の処理時間を基にして硝酸性窒素の量を推定して設定してもよい。又は、予め決められた時間になるよう、好気工程のDO値を制御してもよい。
【0031】
ここでは、曝気風量と最大曝気量の比が1未満の所定値αを下回ったときに曝気を停止する例を説明したが、曝気風量が所定の値に達したときに曝気を停止してもよい。処理対象排水の有機性窒素量の変動が大きい場合は、比をもとに制御したほうが、曝気終了の検出が確実になる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、好気工程の終了を確実に検出できるとともに、好気工程中の曝気風量が過剰にならないので、好気工程終了後、速やかに無酸素工程に移行することができ、運転中の無駄がなくなり、窒素を効率的に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排水処理装置の全体概略図である。
【図2】図1の装置の制御装置のブロック図である。
【図3】図1の装置の工程切り替えを説明するフローチャートである。
【図4】図1の装置におけるアンモニア性窒素、溶存酸素量と曝気風量の時間変動を示すグラフである。
【図5】図1の装置におけるブロワ回転数、バルブ開度と曝気風量の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…活性汚泥槽、2…水中曝気攪拌機、3…DOセンサ、4…風量計、5…ブロワ、6…バルブ、7…制御装置。

Claims (5)

  1. 曝気装置により活性汚泥槽へ曝気を行う好気工程と、曝気を行わない無酸素工程とを交互に繰り返して有機性窒素を含む排水を生物学的に処理する排水処理方法であって、
    前記曝気装置を制御して前記好気工程における曝気風量を前記活性汚泥槽の溶存酸素量が一定となるように調整するとともに、曝気風量の制御目標値の減少量あるいは減少率が所定値に達した段階で、曝気を停止して、前記無酸素工程へと切り替えることを特徴とする排水処理方法。
  2. 前記無酸素工程への切り替えは、曝気風量の制御目標値が当該好気工程中の最大曝気風量に1未満の所定の係数を乗じて算出された曝気風量まで減少した段階で行われることを特徴とする請求項1記載の排水処理方法。
  3. 有機性窒素を含む排水を生物学的に処理する排水処理装置であって、
    前記有機性窒素を含む排水が投入されて、これに曝気を行う好気工程と、曝気を停止する無酸素工程とを繰り返すことで前記有機性窒素を生物学的に分解処理する活性汚泥槽と、
    前記活性汚泥槽内への曝気を行う曝気装置と、
    前記活性汚泥槽内の溶存酸素量を測定する溶存酸素計と、
    前記曝気装置による曝気風量を測定する流量計と、
    前記曝気装置を制御して、前記好気工程における曝気風量を前記活性汚泥槽の溶存酸素量が一定となるように調整するとともに、曝気風量の制御目標値の減少量あるいは減少率が所定値に達した所定値以下になった段階で、前記曝気装置を停止して、前記無酸素工程へと切り替える制御部と、
    を備えていることを特徴とする排水処理装置。
  4. 前記無酸素工程への切り替えは、曝気風量の制御目標値が当該好気工程中の最大曝気風量に1未満の所定の係数を乗じて算出された曝気風量まで減少した段階で行われることを特徴とする請求項3記載の排水処理装置。
  5. 前記曝気装置は、
    回転数を制御することで、供給風量を調整可能なブロワと、
    前記ブロワから前記活性汚泥処理槽への曝気供給ラインと大気とを接続する空気抜きライン上に設けられた開度調整可能な空気抜き弁と、
    を備えており、前記制御部は、前記ブロワの回転数と前記空気抜き弁の開度を調整することで、前記活性汚泥処理槽に供給される曝気風量を調整することを特徴とする請求項3あるいは4に記載の排水処理装置。
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