JP3685611B2 - 塗布液除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエブに塗布された塗布液の厚塗り部分を除去することができる塗布液除去方法に関するもので、例えば、感光材料の製造工程において、感光層を長尺ウエブに連続的に塗布する工程などに適用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】
写真材料は一般にハロゲン化銀粒子を懸濁し、写真特性、生産性を整える添加剤を含有した親水性コロイド(例えばゼラチン)を、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレン被覆紙の如き可撓性の長尺ウエブに連続的に塗布、乾燥して製造される。写真材料を構成する写真層をウエブに塗布する方法として初期的には浸漬法、ダブルロール法、エアドクタ法等が用いられ、多量の塗布液を同時に高速度で塗布したいという要請の下にスライドホッパー法及びカーテン塗布法等が開発され、現在これらの塗布方法が主流を占めるに到っている。
【0003】
スライドホッパー法は、1液以上の塗布液を塗布液流延供給台(ダイス)に設けられたスリットから連続した幅広リボンとして押出し、ダイスの塗布液流延面(スライド面)の終縁に近接して走行するウエブ面に前記塗布液の単層もしくは積層リボンを差渡してビードを形成し、塗布液の流延速度とこのリボンをビードより持去るウエブの走行速度とを整合させて、ウエブ上に単層もしくは積層の塗膜を塗布するものである。なお一般に、走行するウエブはダイス端(スライド終縁)に近接して設けられた塗布ローラに張架される。
【0004】
従ってこのように構成されたスライドホッパー法では、塗布液供給量とウエブの走行速度(塗布速度)とは完全に整合していることが必須条件であるが、終始に亘って必ずしも満足させることは困難であり、更にウエブとダイス端間に差渡される塗布液ビードの形成方法は塗膜の均一性、乾燥仕上がりに大きな影響を及ぼす。
【0005】
即ちウエブ上に塗布された塗膜はウエブ塗膜全域に亘って観察すると、塗布液の表面張力、比重、粘度あるいはウエブの吸水性、表面粗さ、平面性によって様々な膜厚に関するパターンを現出し、それぞれのパターンに対してそれぞれの技術的対策が必要である。特に共通パターンとして定常的に現出し易い膜厚パターンは、塗布初期、すなわち塗布液の単層もしくは積層リボンを差渡してビードを形成した時点からの若干のウエブ区間及びウエブの接合部分に生じる厚膜部分、または塗布終了時、すなわち塗布液ビードをウエブから引離した塗膜終端部及びこの終端部からの紐状尾引の厚膜部分、あるいはウエブの両端(耳と称される)に連続した畝状の厚膜部分を生ずるパターンである。
【0006】
前記共通かつ定常的に現出する厚膜部分は製品化に不適合なロス部分であり製品歩留の面で問題となる。しかもこの厚膜部分は一般に製品設計上の正規の厚みの1.5〜3倍に及び乾燥において余分の乾燥エネルギーと時間を要し大きく生産性を低下させる。
【0007】
この厚膜部分の充分な乾燥を怠ると、ウエブを巻き取った場合正常製品部分とくっつきを起し、この正常製品部分を損傷しロスを拡げる。一方においてこの厚膜部分に充分な乾燥を施す場合には、前記生産性の低下あるいは乾燥装置の長大化による設備投資の増大を招き、かつ正常製品部分に対し乾燥過度となり、ウエブのカーリングあるいは写真特性上乾燥圧かぶりその他の好ましからざる障害を生ずる。
【0008】
一方、近年いおいては、更なる高速塗布を可能にしたカーテン塗布方法の普及がめざましい。このカーテン塗布方法は、200m/分以上の高速塗布を可能にするが、その反面、塗布初期の厚塗りの程度は前記スライドビード塗布方法に比べて、量的にも面積的(厚塗り長さ)にも数段大きなものとなっている。量的には、正規の塗布量の5〜10倍、厚塗り部分の長さは数十メートルにも及ぶ。この程度の厚塗りになれば、もはや充分に乾燥させることは設備的に困難である。
【0009】
カーテン塗布方法の厚塗りを防止する手段として、塗布初期にのみ塗布液のカーテン膜を液受け皿で受ける方法が特開平7−116581号公報、同平8−201961号公報等に開示されているが、厚塗りを充分に防止することは難しかった。
【0010】
また、厚塗り部分のウエブからの除去については、特開昭61−71876号公報にローラを用いて除去する方法について開示されている。しかし、この方法はウエブを線接触させて除去するもので、除去能力が十分ではなかった。また、同公報には、エンドレスベルトを用いた除去方法にいついても開示されているが、厚塗り部分を充分に除去することはできなかった。特にカーテン塗布方法における重量厚塗り部の除去には効果がなかった。また、特開平5−168999号公報には、カーテン塗布方法における厚塗り部を剥離ローラとバックアップローラとの間隙で除去する方法が開示されているが、前記方法と同様に充分に除去できるまでには至っていなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、ウエブ上の設定塗布量より多くなった部分(以下「厚塗り部」という)を確実に除去することができ、特にカーテン塗布方法における塗布初期の厚塗り部を除去するのに好適な塗布液除去方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、カーテン塗布方法により、連続走行しているウエブに塗布された塗布液の少なくとも一部を、前記ウエブに塗布された塗布液が未乾燥の状態で、ウエブの搬送方向とは逆に回転するローラによりウエブから除去する方法であって、該ローラの表面は鏡面であり、前記ウエブへ押し当てたときの該ローラとウエブの抱き角度が5゜乃至50゜となるようにウエブに押し当てることを特徴とする塗布液の除去方法によって達成された。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明にかかる塗布液除去方法の実施の形態について説明する。
図1において、塗布液を塗布されたウエブ1は、ガイドローラ2、3、4を介して搬送方向を水平方向から右斜め下、左斜め下、水平方向への折り返し、というように変えられながら搬送されている。ウエブ1は、塗布液が塗布された後、乾燥工程を経て、図示しない巻き取りローラに巻き取られており、そのため乾燥工程では一定のテンションが与えられ、一方向に搬送されている。
【0016】
図1に示す実施の形態においては、ウエブ1の各ガイドローラ2、3、4への非接触面であるB側が塗布液の塗布面である。図中の搬送経路は乾燥工程の一部の段階であり、ウエブ1に塗布された塗布液は未乾燥の状態である。
【0017】
ガイドローラ3からガイドローラ4に至るウエブ1の左斜め下方への搬送路には、ウエブ1の塗布面側に除去ローラ5が配置されている。除去ローラ5は、図示しない駆動源により図の矢印のC方向、すなわちウエブ搬送方向とは逆方向に回転駆動されるようになっている。除去ローラ5は、オイルシリンダ、エアーシリンダ、ソレノイド、その他適宜のアクチュエータ10によって、ウエブ1の塗布面に接触する位置から、ウエブ1から離間する位置までの範囲で移動させられるようになっている。ウエブ1の塗布面Bには、塗布が開始される初期段階あるいはウエブ1の接合部において、厚塗り部が発生する場合が多い。従って、正常に塗布されているときは、除去ローラ5は、ウエブ1から退避した状態でウエブ搬送経路近傍で待機しており、かかる厚塗り部が通過する際にアクチュエータ10により移動されてウエブ1に接触し、厚塗り部分の除去作業を行う。なお、除去ローラ5の大きさの制限はないが、直径が10〜50cmが適当であり、好ましくは15〜30cm程度である。
【0018】
本発明にかかる塗布液除去方法においては、乾燥工程において平面走行若しくは曲面折り返し走行する塗布液を塗布されたウエブの塗布液の塗布面にウエブ搬送方向とは逆方向に回転している除去ローラ5を押し当てて一定の抱き角度をもたせることにより、厚塗り部の塗布液を削り取り、除去するというものである。ここで、抱き角度とは、ウエブとローラが接触する部分の円弧の中心角度である。詳細には、図2に示す角度θをいう。ウエブ1の厚塗り部は、一般に塗布の初期段階あるいはウエブ1の接合部において特に生じやすく、この厚塗り部の検知には所定のセンサを用いる。このセンサと連動したエアシリンダーやソレノイド等のアクチュエータ10により除去ローラ5をウエブ1に押し当てて厚塗り部の除去作業を行い、その後ウエブ1から除去ローラ5を退避させる。図1において、2点鎖線5Aで示されている除去ローラ5は退避状態の位置を示したもので、実線で示されている除去ローラ5は除去作業を行う際の位置を示したものである。また、点線1Aで示されたウエブ1は通常走行時の位置を示したもので、実線で示されたウエブ1は塗布液除去作業を行っている場合の走行位置を示したものである。
【0019】
このような塗布液除去作業において、除去ローラ5をウエブ1に押し当てる際には、均一に押し当てることが好ましい。また、ウエブ1に除去ローラ5を当接させ、余分な塗布液を削り取るタイミングとしては、塗布液が完全に乾燥する前である。塗布液の種類によって異なるが、乾燥初期であることが望ましい。
【0020】
さらに、除去ローラ5の表面は鏡面であることが望ましい。ウエブ1に除去ローラ5を均一に押し当てることができるからである。また、除去ローラ5が鏡面であると、表面に凹凸がないため、除去ローラ5の掃除がし易く、保守管理上便利だからである。
【0021】
本発明においては、除去ローラ5の回転速度(周速度)は、ウエブ1の搬送速度と同等以上であることが好ましい。これは、除去ローラ5は、厚塗り部の除去を終えた後はウエブから退避するが、このとき除去ローラ5の回転速度がウエブ搬送速度よりも遅いと、除去した塗布液が除去ローラ5の離れ際に再びウエブに付着してしまうといった問題が生じるからである。このため、少なくとも除去ローラ5の回転速度は、ウエブの搬送速度と同等以上とすることが好ましい。このようにローラの周速を速くすることによって、除去能力が向上し、ローラが支持体から離脱するときに除去した塗布物が支持体に再付着するのを防止できる。なお、除去ローラ5の回転速度をウエブ搬送速度よりも大きくする場合は、ウエブ搬送速度の2倍程度までが適当である。
【0022】
また、本発明においては、除去ローラ5をウエブ1へ押し当てたときの抱き角度が3゜以上であることを必要としている。なお、除去ローラ5とウエブ1の抱き角度は、塗布液の種類にもよるが、3〜90゜の範囲とし、好ましくは5〜50゜である。
【0023】
除去ローラ5で削り取られた塗布液は、塗布液回収容器6内に一時的に溜められ、一定量が溜まった場合、ポンプ7によって汲み出され、処分される。除去ローラ5のウエブ1とは反対側には、スプレー8とブレード9が設けられ、除去された塗布液を除去ローラ5からはぎ取り、除去ローラ5をクリーニングする役目を果たしている。
【0024】
また、図示したガイドローラ2、3、4、除去ローラ5、塗布液回収容器6、スプレー8、ブレード9はあくまでも例示であり、これらの形状、配置に限られたものではなく、適宜設計変更可能である。
【0025】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、連続走行しているウエブに塗布された塗布液の少なくとも一部をウエブから除去する方法であって、前記ウエブに塗布された塗布液が未乾燥の状態で、前記ウエブの搬送方向とは逆に回転するローラを前記ウエブに押し当てるようにしたため、余分な塗布液を効率よく除去することができ、除去能力を向上させることができる。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、除去ローラの回転速度は、ウエブの搬送速度と同等以上であるようにしたため、除去ローラの周速を速くすることによって、除去能力が向上し、ローラが支持体から離脱するときに除去した塗布物が支持体に再付着するのを防止することができる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、除去ローラをウエブへ押し当てたときの除去ローラとウエブの抱き角度が3゜以上としたため、除去能力をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるウェブ自動巻取装置の実施の形態の全体構成を示す模式図である。
【図2】ウエブとローラの抱き角度を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ウエブ
5 除去ローラ
Claims (1)
- カーテン塗布方法により、連続走行しているウエブに塗布された塗布液の少なくとも一部を、前記ウエブに塗布された塗布液が未乾燥の状態で、ウエブの搬送方向とは逆に回転するローラによりウエブから除去する方法であって、該ローラの表面は鏡面であり、前記ウエブへ押し当てたときの該ローラとウエブの抱き角度が5゜乃至50゜となるようにウエブに押し当てることを特徴とする塗布液の除去方法。
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JP35522297A JP3685611B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 塗布液除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP35522297A JP3685611B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 塗布液除去方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11179274A JPH11179274A (ja) | 1999-07-06 |
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CN102580886A (zh) * | 2010-12-02 | 2012-07-18 | 富士机械工业株式会社 | 间歇涂布装置 |
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1997
- 1997-12-24 JP JP35522297A patent/JP3685611B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN102580886B (zh) * | 2010-12-02 | 2015-12-09 | 富士机械工业株式会社 | 间歇涂布装置 |
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