JP4053769B2 - 塗布方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行する支持体上に塗布液をカーテン状に自由落下させることにより、塗布液を支持体表面に塗布する塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなカーテン塗布方法が、支持体上に塗布液を均一に塗布することが必要な工程において広く採用されている。
【0003】
図3は、従来のカーテン塗布方法の一例を示す図である。
【0004】
このカーテン塗布方法では、塗布液10が両縁を2本のエッジガイド20でガイドされながらカーテン状に自由落下し、そのカーテン状の塗布液の下に配備されたバックアップロール40の上を走行する支持体30の表面全面に塗布される。図3(B)は支持体30の表面全面に塗布されたことを示す図であり、後で説明する図(図4,図2)との対比のために示したものである。
【0005】
図3に示すカーテン塗布方法の場合、塗布層の両縁部分に他の部分の塗布層よりかなり厚塗り部分の形成が認められる。
【0006】
この事から、工業上の実施にあたっては様々な弊害が生ずる。すなわち、塗布層両縁部に生じる厚塗り部分は他の正常に塗布される塗布層より多くの乾燥時間を要する。
【0007】
もし、乾燥工程がこの厚塗り部分を乾燥せしめるのに充分な能力を有しない場合は、この厚塗り部分は未乾のままで、未乾の塗布液が、乾燥工程以降の搬送ローラに転写して工程を汚したり、巻取り工程でロールに巻取る時に両縁部が接着し、裁断工程において巻きほぐす時に支持体が切断する等の弊害が発生する。
【0008】
このため、厚塗り部分を乾燥するには過大な乾燥能力を付加しなければならない。更に、塗布層両縁部の厚塗り部分はせいぜい数mmの幅であり、このような部分のために多大な乾燥経費を費すこととなり極めて不経済である。
【0009】
また、乾燥経費の問題はさておき、乾燥工程で十分に乾燥せしめるようにしたとしても、上記の方法では、時には支持体の側部まで塗布され、あるいは塗布液が支持体裏面にまで回り込むために、支持体を搬送しているロール、ベルト等に汚染を生じることがあり、更に紙を支持体とする、たとえば感圧複写記録紙、感熱記録紙等の場合は特に、塗布液を塗布されることによって塗布紙両縁部が塗布面と反対の向きにかなり大きくカールすることが認められ、この塗布面と反対向きのカールによって、塗布層が乾燥ゾーンに入るまでの間、塗布層両縁部が搬送ロールに接触して、塗布液をロールに転写し、ロール汚れが非常に生じ易くなる。
【0010】
又、乾燥工程において、十分に乾燥されるまでの間に、キャンバス搬送乾燥工程の場合には、キャンバス面にカールによって塗布面の両縁が接触し、塗布液のキャンバス付着汚れを発生したり、ロール搬送乾燥工程の場合には、塗布液のロール付着汚れを生じたり、あるいは特開昭54−25066号公報に示されるような無接触の搬送兼乾燥を行なういわゆるフロータドライヤの場合には、塗布紙両縁のカールによって塗布紙両縁のバタツキを発生させ、フロータドライヤのノズル汚染が生じ易い。
【0011】
これらの塗布液の付着による工程汚染が連続して行なわれた場合、塗布液が固着、堆積して塗布紙切断の原因となったり、堆積物が剥れて塗布面に飛散付着して製品故障の原因となったりする。
【0012】
又、この厚塗り部分を十分に乾燥せしめた後の巻取り工程においても、両縁部の厚塗り部分が蓄積されて巻取られたロールの厚塗り部分に相当する両縁部が凸状となり、薄いプラスチックのシートを含む支持体等の場合、上記の凸状が甚しい場合には巻取後に支持体が変形をきたしたり、紙の支持体の場合にはこの凸部から亀裂が生じてしまい、長尺巻取りが困難になるなど生産効率を著しく低下させると云う問題もある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記の弊害の改善のために、特公平2−1550号公報には、支持体の両縁部を折り曲げることによってその両縁部には塗布されないようにしたカーテン塗布方法が提案されている。
【0014】
図4は、支持体両縁部に塗布を行なわないようにしたカーテン塗布方法を示す図である。
【0015】
支持体走行方向に関しカーテン塗布を行なう塗布部の上流側で、図4に示すように、支持体30の両縁部31を、折曲げ部材50と折曲げ補助部材51との間に挟んで、各縁部につき7〜8mm程度折り曲げる。
【0016】
カーテン塗布を行なう塗布部では、図4(B)に示すように、一旦折り曲げられた支持体両縁部31が多少は元の平らな状態に戻りつつあるもののまだ十分に折り曲げられており、その状態で塗布を行なうと、図4(C)に示すように、支持体両縁部が各縁部ごとに例えば5〜6mm幅だけ、未塗布の状態のまま残る。折り曲げられた両縁部は、走行中に元の平らな状態に戻る。
【0017】
こうすることにより、上述の、両縁部が厚く塗られることや工程汚れの弊害は解消される。
【0018】
しかしながら、支持体両縁部に未塗布の部分が残ると、その部分を含んでいては製品として出荷することはできず、その両縁部が全くの無駄となってしまうという問題がある。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑み、カーテン塗布方法を採用し、支持体両縁部を含む全面に塗布するとともに両縁部の厚塗りが解消され工程汚れも防止される塗布方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の塗布方法は、走行する支持体上に塗布液をカーテン状に自由落下させることにより、その塗布液を支持体表面に塗布する塗布方法において、
支持体の、走行方向に平行な両縁部を、その支持体の裏面方向に折り曲げ、カーテン状に自由落下する塗布液を、その支持体の、折り曲げられた状態の両縁部を含む全幅にわたって塗布することを特徴とする。
【0021】
本発明の塗布方法は、上述の公報に提案された方法と同様、走行する支持体の両縁部をその裏面側に折り曲げるが、その折り曲げ角度等の調整によって、その両縁部を含む支持体全幅に塗布するものであり、こうすることにより両縁部の厚塗りも回避され、塗布後の工程汚れも防止される。
【0022】
ここで、上記本発明の塗布方法において、支持体両縁部の、その支持体裏面側の塗布位置での角度が、135°〜170°であることが好ましい。
【0023】
塗布位置における角度がこの範囲内の角度となるように折り曲げることによって、両縁部を含む支持体全幅に安定的に塗布することができ、かつ両縁部の厚塗りも回避される。また、両縁部の厚塗りが解消されることによって塗布両縁のカールも押えられ、上記の工程汚れの発生も防止される。
【0024】
また、上記本発明の塗布方法において、支持体両縁部の折り曲げ角θと、カーテン状に自由落下する塗布液の動的表面張力σd、カーテン膜流量Q、およびカーテン膜流速Uが
sinθ>√(2σd/QU)
を満たすことが好ましい。
【0025】
この条件を満たすことによって、塗布液が支持体の両端部に塗布されずに未塗布部分が生ずるおそれをなくすことができる。
【0026】
さらに、上記本発明の塗布方法において、カーテン状に自由落下する塗布液のカーテン膜流量は、0.5ml/(cm・s)以上であることが好ましい。
【0027】
カーテン膜流量が0.5ml/(cm・s)以上とすることで、液飛等の塗布故障が防止される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の塗布方法を実施した塗布装置の一例を示す図である。
【0030】
支持体30は矢印A方向に走行しており、塗布部に達する前に折曲げ部材50と折曲げ補助部材51とにより、その支持体30の走行方向(矢印A方向)に平行な両縁部31(図1には一方の縁部のみ示されている)が折り曲げられる。その折り曲げ角度は、塗布部における折り曲げ角度θが135°〜170°の範囲内となるように調整されている。
【0031】
塗布液10は両縁がエッジガイド20にガイドされながらカーテン状に矢印B方向に自由落下し、矢印C方向に回転するバックアップロール40上を走行する支持体30上に塗布される。ここでは、折曲げ部材50の位置が調整され、その結果、その支持体30の両縁部31の折り曲げ角度θが調整されており、その支持体30の両縁部31を含め、その支持体30の全面に塗布層11が形成される。ここで、この塗布層11は、支持体30の両縁部31にも広がっているが、その両縁部31は折り曲げられた状態で塗布されており、厚塗りの発生や塗布液が裏回りして支持体の裏面を汚すことはない。また、支持体30の両端部31では、塗布量はcosθ倍となり、支持体30の両端部31以外の中央部よりも少ない。これにより、支持体の端は中央部よりも早く乾燥し、工程汚れを生じにくくなる。塗布量が少ないと製品によっては性能上問題が生じる可能性もあるが、この部分は、製品の端であり、例えばノーカーボン複写紙のような場合、実際に複写の用途に使われることは無い部分であり、記録紙としての外観が同等であれば問題はない。
【0032】
支持体両縁部31は、この塗布部を通過した後自らの回復力により折り曲げが解消されて元の平坦な状態に戻る。この支持体30は、その後所定の乾燥工程を経て塗布液31が乾燥され、さらにその後巻き取られる。
【0033】
折り曲げ角θは通常135〜170°範囲内、好ましくは150〜160°の範囲内であるが、カーテン膜流量と塗布部における動的表面張力とカーテン膜流速によって最適な値が選定され、
sinθ>√(2σd/QU)で、
σd:動的表面張力
Q:カーテン膜流量
U:カーテン膜流速
であることが好ましい。これを満たさない場合、塗布液は支持体30の両端部31には塗布されず、未塗布部分が生じるおそれがある。
【0034】
また、カーテン膜流量は0.5ml/(cm・s)以上であることが好ましく、望ましくは1〜4ml/(cm・s)であることがさらに好ましい。支持体30の両端部31は、バックアップロール40による裏側からの支持が無く不安定であり、また上流側からのウエブ同伴流の遮断も中央部より不十分なため、膜流量が0.5ml/(cm・s)より少ない場合には液飛等の塗布故障が生じやすい。膜流量が1ml/(cm・s)以上であればより好ましい。また膜流量が4ml/(cm・s)よりも多いと、液の裏周りによる工程汚染を生じやすくなる。
【0035】
カーテン膜高さは20〜300mmが好ましく、さらに望ましくは50〜200mmが適当である。
【0036】
折り曲げ角度、カーテン膜高さは、実際には、塗布速度、塗布液の粘度、表面張力、カーテン膜流量、によって最適な条件が選定される。塗布速度は50〜200m/min、塗布液の粘度は30〜300mPa・s、表面張力は20〜50mN/mを満たすことが好ましい。
【0037】
また折り曲げる支持体縁部の幅は、少なくとも均一な塗布製品としなければならない幅内においては均一な厚みの塗布が可能となるように選ばれるが、狭すぎると、均一な折り曲げが出来ず、広すぎると支持体の縁部31が不安定となるため、5〜12mm程度が選ばれる。
【0038】
図2は、図1のカーテン塗布方法の説明図である。
【0039】
ここでは、図2(A)に示すように折曲げ支持部材51と折曲げ部材50とがある程度隙間のある状態(例えばここに示す例では5mm)に調整されており、このため塗布部では、図2(B)に示すように、支持体裏面側の角度θが135°〜170°の範囲内となっている。この場合図2(C)に示すように、支持体両縁部31を含む支持体全域に塗布され、かつ両縁部への厚塗りや裏面への回り込みも回避される。ここで、折り曲げ角度θは、折り曲げ部材50と折り曲げ補助部材51との間隔を適正に設定するか、あるいは、折り曲げ部材50あるいは折り曲げ補助部材51のいずれか一方あるいは両方の、支持体に接する面に、適正な角度を付けることにより調整することができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0041】
支持体の両側を、折曲げ部材を用いて塗布位置での折り曲げ角度が160度となるように折り曲げて、表1に示した条件で塗布を行った後、無接触式のフロータードライヤで乾燥し、ノーカーボン紙下用紙を得た。
【0042】
【表1】
Figure 0004053769
【0043】
この実施例においては、支持体の全幅に渡って良好な塗布が行われ、工程汚れも発生しなかった。
【0044】
また、塗布位置での折り曲げ角度を変えながら同様の塗布を行なった結果、135°〜170°の範囲では、支持体の全幅にわたって良好な塗布が行なわれ、工程汚れもなかった。また、塗布後において折跡が残ることもなかった。
(比較例1)
耳を折り曲げなかった以外は、実施例と同じ条件で塗布・乾燥を行いノーカーボン紙下用紙を得た。
【0045】
この比較例1においては、乾燥機前のパスロール及びフロータドライヤのノズルに塗布紙の端に相当する位置に汚れが付着するとともに、巻き取られた製品の端の部分で塗布紙が接着する場合もあった。
(比較例2)
塗布点での折り曲げ角度を130度として、実施例と同様の塗布を行った。
【0046】
この比較例2においては、支持体の端まで完全に塗布がなされず、未塗布部が生成した。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、支持体全幅にわたって良好な塗布が行なわれ、工程汚れも防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布方法を実施した塗布装置の一例を示す図である。
【図2】図1のカーテン塗布方法の説明図である。
【図3】従来のカーテン塗布方法の一例を示す図である。
【図4】支持体両縁部に塗布を行なわないようにしたカーテン塗布方法を示す図である。
【符号の説明】
10 塗布液
11 塗布層
20 エッジガイド
30 支持体
40 バックアップロール
50 折曲げ部材
51 折曲げ補助部材

Claims (3)

  1. 走行する支持体上に塗布液をカーテン状に自由落下させることにより、該塗布液を該支持体表面に塗布する塗布方法において、
    前記支持体の、走行方向に平行な両縁部を、該支持体の裏面方向に折り曲げ、カーテン状に自由落下する塗布液を、該支持体の、折り曲げられた状態の両縁部を含む全幅にわたって塗布することを特徴とする塗布方法。
  2. 前記支持体両縁部の、塗布位置での該支持体裏面側の角度が、135°〜170°であることを特徴とする請求項1記載の塗布方法。
  3. ーテン状に自由落下する塗布液のカーテン膜流量は、0.5ml/(cm・s)以上であることを特徴とする請求項1記載の塗布方法。
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