JP3685520B2 - 光ファイバ心線 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、並列配置した複数の光ファイバ素線を長さ方向に間隔をおいて固定してなる光ファイバ心線に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、架空光ケーブルにおいては、光ファイバの実装密度をあげるため、図5に示すような、複数の光ファイバ素線1を並列させ、これらの外側に一括被覆2を施しテープ状に成形したもの(以下、テープ心線と称する。)が多く用いられている。
【0003】
しかしながら、このようなテープ心線においては、複数の光ファイバ素線1が全長に亘って一体化されているため、加入者系への引落しは、テープ心線単位で行わなければならず、一つの引落点での需要が 1〜2 心の場合には残りの光ファイバが使用されないままとなり、使用効率が低くなる問題があった。また、その際、加入者側からの単心線と接続するために、テープ心線を単心線に変換する心線変換装置を使用しなければならず、接続による伝送損失が大きい、クロージャのコンパクト化が困難であるなどの問題もあった。
【0004】
そこで、この問題を解決するため、図6に示すような、光ファイバ素線1、1…を長さ方向に断続的に一体化させることにより、テープ心線としての利点と、単心線としての利点を共に具備するように構成したものが提案されている。すなわち、この心線は、一括被覆2により光ファイバ素線1、1…間が結合されている結合部Aと、一括被覆2がなされず光ファイバ素線1、1がフリーの状態にある非結合部Bが交互に設けられた構造を有している。このタイプの心線によれば、必要な素線だけを引落し、残りをスルーさせることができるため、集中需要/疎らな需要に柔軟に対応でき、また、心線変換装置を要することなく単心線との接続が可能となるため、接続部での伝送損失の低減や、クロージャのコンパクト化が図れ、さらに、心線間での切替え、切離しも容易に行うことができるなどの利点を有する。なお、図7は、結合部Aの断面を示したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような光ファイバ心線においては、図6や図7からも明らかなように、結合部Aと非結合部Bに厚み差dがあるため、クロージャ内などで心線の余長処理を行った場合、図8に示すように、曲げ応力が結合部Aと非結合部Bとの境界部分に集中して、該部がくの字状に折れるおそれがあり、コンパクトな心線余長処理ができないという問題があった。図8において、3はクロージャ、4はケーブル本体を示す。
【0006】
本発明はこのような点に対処してなされたもので、光ファイバ素線間が結合されている結合部と、光ファイバ素線がフリーの状態にある非結合部が交互に設けられている従来構造の心線の特長を有し、しかも、クロージャ内などでの心線の余長処理のコンパクト化を図ることができる光ファイバ心線を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の光ファイバ素線が並列配置されてなり、かつ、これらの光ファイバ素線は長さ方向に間隔をおいてその少なくとも片側より前記複数の光ファイバ素線の並列配置された方向における両側面を除いて接着された剥離可能な接着テープにより間欠的に固定されていることを特徴としている。
【0008】
【作用】
本発明の光ファイバ心線においては、並列する光ファイバ素線が長さ方向に間隔をおいてその少なくとも片側より接着された剥離可能な接着テープにより間欠的に固定されているため、剥離可能な接着テープを剥がすことにより必要に応じて、所要部分の光ファイバ素線をすべてフリー状態に戻すことができる。したがって、通常は、結合部と非結合部が交互に設けられている心線として取り扱うことができ、一方、クロージャ内などで心線の余長処理を行う際には、接着テープを剥がすことにより、該部の光ファイバ素線をすべて曲げ応力が集中することのない単心線として取り扱うことが可能になるため、心線余長処理部をコンパクトに形成することができる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施例の光ファイバ心線を示す斜視図、図2は図1に示す結合部Aの断面構造を示す図である。
【0011】
図1および図2において、この光ファイバ心線11は、光ファイバ12aの外周にUV樹脂などにより所要の被覆12bを施した光ファイバ素線12を 4本並列させ、これらの光ファイバ素線12を長さ方向に間隔をおいて、その両側より接着させた剥離可能な接着テープ13により固定した構成となっている。すなわち、 4本の光ファイバ素線12、12…がテープ状に一体に結合されている結合部Aと、 4本の光ファイバ素線12、12…が結合されずフリー状態にある非結合部Bを交互に設けた構造とされている。
【0012】
このように構成される光ファイバ心線11においては、結合部Aと非結合部Bを設けたことによる効果、すなわち、取扱いが容易で、積層によるケーブルへの光ファイバの高密度実装が可能であり、また、非結合部Bで光ファイバ素線12を個々に取り出すことができるため、加入者系への引落しに際し、所要の光ファイバ素線12のみを取り出し引落すことができ、したがって、集中需要、疎らな需要のいずれにも柔軟に対応することができ、さらに、心線変換装置が不要となるため、接続部における伝送損失の低下を図ることができるなどの効果が得られる。加えて、必要に応じて、接着テープ13を剥離することにより、所要の長さに亘って光ファイバ素線をフリー状態、すなわち単心線に戻すことができる。
【0013】
したがって、図3に示すように、クロージャ14内などで心線の余長処理を行う際、接着テープ13を剥離することにより、従来のような曲げ応力が局部的に集中することがなくなるため、小さな曲率でよりコンパクトな余長処理が可能となる。なお、図3において、15は光ファイバ心線11を用いたケーブル本体を示す。
また、このように任意の箇所を単心線に戻すことができるため、心線の引落しを非結合部Bに限定する必要はなく、引落しの自由度をより高めることができる。
【0014】
次に、上記光ファイバ心線11を用いた光ファイバケーブルの例を説明する。図4に示すように、この光ファイバケーブルは、外周に光ファイバ心線を収容する溝16がSZ撚りに複数本形成されたスペーサ17の各溝16に、上記光ファイバ心線11複数本が、各光ファイバ心線11の非結合部Bが少なくとも各溝16のSZ反転部16aに位置するように積層されて収容されており、さらに、これらの外側に、図示を省略したが、押え巻およびシースを順に施した構成とされている。
【0015】
このような光ファイバケーブルにおいては、溝16のSZ反転部16aで各光ファイバ素線12がフリーの状態になっているため、光ファイバ素線外周に全長に亘って一括被覆が施されている従来のテープ心線を収容した場合のような、光ファイバ素線12に大きな歪み応力が加わることはなく、かかる歪み応力による光ファイバの伝送特性の低下を抑制することができる。
【0016】
なお、本発明においては、上記実施例で説明したような、 4心構造の光ファイバ心線に限定されるものではなく、 2心、 8心、16心など任意の心線数とすることができる。また、接着テープ13は必ずしも並列させた光ファイバ素線12の両側に接着させる必要はなく、必要な接着強度が得られれば、片側のみに接着させるようにしてもよく、これによっても同様の効果を得ることができる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバ心線は、並列する光ファイバ素線を長さ方向に間隔をおいてその少なくとも片側より接着した剥離可能な接着テープにより間欠的に固定した構造とされているので、テープ心線と単心線の利点を兼備し、しかも、クロージャ内などでの心線の余長処理のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の光ファイバ心線を示す斜視図。
【図2】図1に示す結合部Aの断面構造を示す図。
【図3】本発明の一実施例の光ファイバ心線のクロージャ内での心線余長処理の状態を模式的に示す図。
【図4】本発明の一実施例の光ファイバ心線をケーブル溝内に収容した状態を示す側面図。
【図5】従来の光ファイバ心線の一例を示す斜視図。
【図6】従来の光ファイバ心線の他の例を示す斜視図。
【図7】図6に示す光ファイバ心線の結合部Aの断面構造を示す図。
【図8】従来の光ファイバ心線をクロージャ内で心線余長処理したときの状態を模式的に示す図。
【符号の説明】
11………光ファイバ心線
12………光ファイバ素線
12a………光ファイバ
12b………被覆
13………剥離可能な接着テープ
A………結合部
B………非結合部

Claims (1)

  1. 複数の光ファイバ素線が並列配置されてなり、かつ、これらの光ファイバ素線は長さ方向に間隔をおいてその少なくとも片側より前記複数の光ファイバ素線の並列配置された方向における両側面を除いて接着された剥離可能な接着テープにより間欠的に固定されていることを特徴とする光ファイバ心線。
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