JPH0750726Y2 - テープ状光ファイバ心線 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、同一平面上に密接して平行に配列された複数
の光ファイバ素線を、共通被覆層により一体に覆ってな
るテープ状光ファイバ心線に関するものである。

（従来の技術） 第２図は従来のテープ状光ファイバ心線の断面構造を示
したもので、１はテープ状光ファイバ心線、２は光ファ
イバ素線で、光ファイバ３と素線被覆４とからなる。５
は平行に配列された複数の光ファイバ素線２の共通被覆
層である。このようなテープ状光ファイバ心線１は、光
ファイバの伝送特性、機械特性を損なわずに光ファイバ
ケーブル内への光ファイバの高密度実装が可能である。
また、光ファイバが同一平面上に整然と配列されている
ため、テープ状光ファイバ心線相互を接続する場合、そ
の配列性を利用して光ファイバの端面同士を全光ファイ
バについて同時に突き合わせることができるので、一括
接続が可能であり、接続時間の短縮を図ることができ
る。従って、特に多心のケーブルを構成するのに有用で
ある。

（考案が解決しようとする課題） ところで、電気通信用に用いる光ファイバケーブルで
は、通信役務の需要に応じて、需要の発生場所の近傍で
所要の数の光ファイバを取り出す必要が生じる。従っ
て、ケーブル長手方向の任意の位置で、任意の心数の光
ファイバを取り出せる機能が必要である。この場合、光
信号を上り下り別々の光ファイバで行う光伝送方式が広
く使用されていることから、光ファイバの取り出し最小
単位としては、１心ないし２心が適当である。第２図に
示したテープ状光ファイバ心線１の構造では、一般に素
線被覆４と共通被覆層５との密着力が強く、光ファイバ
素線２をテープ状光ファイバ心線１から分離することが
困難であり、テープ状光ファイバ心線１から光ファイバ
素線２を１心あるいは任意の心数で取り出して扱うこと
ができなかった。このため、光ファイバ素線２の分離性
を付与する方法として、素線被覆４と共通被覆層５の間
に剥離層を設け、素線被覆４と共通被覆層５との間の密
着力を小さくする構造が考案された。しかしながら、素
線被覆４と共通被覆層５との間の密着力の低下は、テー
プ状光ファイバ心線１に力が加えられた時に、テープ状
光ファイバ心線１内で光ファイバ素線２が共通被覆層５
から分離し、光ファイバ素線２の配列が乱れるため、伝
送特性が劣化する要因になっていた。また、素線被覆４
と共通被覆層５との密着力の低下を図っても、テープ状
光ファイバ心線１の長手方向の任意の位置において、共
通被覆層５のみを破壊し、素線被覆４の損傷や光ファイ
バ３の破断などが生じないように光ファイバ素線２を取
り出すには、特殊な工具が必要になるなどの困難があっ
た。

本考案の目的は、複数の光ファイバ素線により構成され
たテープ状光ファイバ心線の長手方向の任意の位置にお
いて、特定または任意の心数の光ファイバを容易に分離
し、取り出すことが可能なテープ状光ファイバ心線を提
供することにある。

（課題を解決するための手段） 本考案は、同一平面上に密接して平行に配列された複数
の光ファイバ素線を、共通被覆層により一体に覆ってな
るテープ状光ファイバ心線において、前記共通被覆層が
光ファイバ素線間に光ファイバ長手方向に沿って形成さ
れた凹部を有し、該凹部に充填材が埋め込まれ、共通被
覆層の表面が平坦化されていることを特徴とする。この
場合、充填材としては、共通被覆層より圧縮弾性率の小
さい材料、あるいは、共通被覆層から容易に剥離する材
料とすることが適当である。

（作用） 本考案によれば、充填材を施した凹部によりテーパ状光
ファイバ心線から１心あるいは２心以上の光ファイバを
容易に取り出すことができる。

（実施例） 第１図は本考案のテープ状光ファイバ心線の第１の実施
例の断面図であって、６は凹部、７は充填材である。な
お、従来例と同一符号は同一構成部分を表わす。即ち、
このテープ状光ファイバ心線１は、４心の光ファイバ素
線２を同一平面上に密接して平行に配列し、その外周に
共通被覆層５を施して構成されたもので、テープ状光フ
ァイバ心線１の両面（図の上下面）の共通被覆層５に
は、テープ状光ファイバ心線１の中央部に位置する２心
の光ファイバ素線２の間に断面Ｖ形の凹部６がテープ状
光ファイバ心線１の長手方向に連続して設けられてい
る。

光ファイバ素線２を形成する素線被覆４の材料として
は、紫外線硬化性のウレタンアクリレートやシリコンア
クリレートが有効である。また、共通被覆層５の材料と
しても素線被覆４と同様の材料が有効である。凹部６に
充填する充填材７の材料としては、共通被覆層５に使用
される材料に比較して圧縮弾性率の小さい紫外線硬化性
のウレタンアクリレートやシリコンアクリレートの適用
が有効で、分離性の観点からは、共通被覆層５の1/10程
度の圧縮弾性率が適当である。

本考案のテープ状光ファイバ心線１はこのような構造に
なっているため、外部からテープ状光ファイバ心線１に
力を加えることにより、充填材７の部分においてテープ
状光ファイバ心線１を左右に分割することが容易であ
り、２心単位の扱いが可能になる。この場合の分割方法
として、凹部６を中心としたテープ状光ファイバ心線１
の左右の各々の部分に、上下異なった力を加えることに
より、充填材７に剪断力を作用させることが有効であ
る。また、熱を加えることにより、充填材７の圧縮弾性
率が共通被覆層５の圧縮弾性率に比較して急激に低下す
るような材料を選定すれば加熱による分割が容易にでき
る。

本考案のテープ状光ファイバ心線１の他の利点として、
光ファイバ素線２相互が密接して平行に配列されている
ため、分割前後でその配列性が保たれており、一括接続
技術の適用が可能である。

なお、本実施例は４心の光ファイバ素線より構成された
テープ状光ファイバ心線であるが、その機能を損なわず
に必要に応じて光ファイバ素線の心数を設定することも
当然可能である。

第３図は本考案のテープ状光ファイバ心線の他の実施例
の断面図である。同図（ａ）は８心の光ファイバ素線２
により構成したもので、２心単位に容易に分割できるよ
うに、テープ状光ファイバ心線１の両面（図の上下面）
に２心毎に凹部６を設け、そこに充填材７を充填した構
造である。同図（ｂ）は８心の光ファイバ素線２により
構成したもので、テープ状光ファイバ心線１の両面（図
の上下面）に１心単位に容易に分割できるように、１心
毎に凹部６を設け、そこに充填材７を充填した構造であ
る。同図（ｃ）は８心の光ファイバ素線３により構成し
たもので、２心単位に容易に分割できるように、テープ
状光ファイバ心線１の片面（図の上面）に２心毎に凹部
６を設け、そこに充填材７を充填した構造である。同図
（ｄ）は８心の光ファイバ素線３により構成したもの
で、１心単位に容易に分割できるように、テープ状光フ
ァイバ心線１の両面（図の上下面）に２心毎に凹部６を
上下の面で交互の位置に設け、そこに充填材７を充填し
た構造である。

なお、凹部の形状は、Ｖ字形のほか、台形、円形、矩
形、長円形、方物線等であってもよい。

第４図は本考案のテープ状光ファイバ心線の他の実施例
の断面図である。基本的には第１図に示した実施例と同
様の構造であるが、共通被覆層５の表面に設けた凹部６
に埋め込む充填材７をテープ状光ファイバ心線１の表面
全体に薄く覆わせたものである。このテープ状光ファイ
バ心線では、充填材７が心線全体を覆うため、安定した
構造で形成でき、形成後の構造の安定性も保たれる。こ
のような構造でも、本考案の目的である分割性の機能を
充分に実現することができる。

（考案の効果） 以上説明した如く、本考案によれば、以下の効果が得ら
れる。

凹部に埋め込まれた充填材により、テープ状光ファイ
バ心線の分割が容易にでき、１心あるいは２心以上の光
ファイバ素線を取り出すことができる。

複数の光ファイバ素線が密接して平行に配列されて形
成されているため、一括接続技術の適用が可能である。
従って、接続時間の短縮が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のテープ状光ファイバ心線の第１の実施
例の断面図、第２図は従来のテープ状光ファイバ心線の
断面図、第３図は本考案のテープ状光ファイバ心線の他
の実施例の断面図、第４図は本考案のテープ状光ファイ
バ心線の他の実施例の断面図である。 １はテープ状光ファイバ心線、２は光ファイバ素線、３
は光ファイバ、４は素線被覆、５は共通被覆層、６は凹
部、７は充填材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】同一平面上に密接して平行に配列された複
   数の光ファイバ素線を、共通被覆層により一体に覆って
   なるテープ状光ファイバ心線において、 前記共通被覆層が光ファイバ素線間に光ファイバ長手方
   向に沿って形成された凹部を有し、 該凹部に充填材が埋め込まれ、 共通被覆層の表面が平坦化されている ことを特徴とするテープ状光ファイバ心線。