JPH08327833A - 光ファイバ集合心線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 細径化及び軽量化ができ、光ファイバテープ
との接続も容易に行うことができる光ファイバ心線を提
供する。 【構成】 光ファイバ１心とガラス線又は金属線１心と
を並行してプラスチック材で一体にその断面形状がほぼ
長方形となるように被覆して光ファイバ心線とし、この
光ファイバ心線の複数本を、その断面の短軸方向に重ね
て外側をプラスチック材で一括被覆する。集合された光
ファイバの並び間隔がこれと接続される光ファイバテー
プ中の光ファイバの並び間隔と同一であり且つ集合され
た光ファイバの心数がこの光ファイバテープ中の光ファ
イバの心数と同一に構成するとよい。全ての光ファイバ
が一列に並ぶ配置とすることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は通信用の光ファイバ集合
心線の構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年光通信技術の進展により、電話局の
間を結ぶ中継系ばかりでなく一般家庭を含む加入者系に
光ファイバケーブルを導入することが盛んに検討されて
おり、今後電話局内では十万心程度の光ファイバ配線が
必要になると見込まれている。

【０００３】このような局内の配線では、通常は光伝送
装置と光ファイバとをファイバ１心単位でコネクタ接続
を行うため、多心の光ファイバケーブルを使用する場合
であっても、端部においてファイバ１心毎に分岐してお
くことが必要である。またこの分岐された心線は、作業
者が扱う際の破損を防止するために、アラミド繊維等の
補強材を縦添えしてプラスチック材で被覆した構造にし
ておくことが必要とされてきた。このような補強された
心線を光ファイバコードと呼ぶ。

【０００４】この光ファイバコードは結果として太くな
り、現在市販されているものでは最も細いものでも外径
が２mmである。ケーブル内では、被覆を含む単心ファイ
バの外径は０．２５mm或いは０．９mmであるから、大幅
に外径が太くなることになる。そのため、配線スペース
を多く必要とし更にそれに応じて重量が増すという問題
がある。また、ケーブル内の心線を光ファイバコードに
変換するために接続部を必要とするため、その接続作業
に要するコスト及び接続部品のコストが必要であり、接
続部の収容スペース及び接続部での光損失も問題にな
る。

【０００５】ケーブルでは、光ファイバの高密度収容の
ために収容する光ファイバ心線を光ファイバテープにし
ているものがある。この光ファイバテープは、外径０．
２５mmのファイバ素線を横一列に並べて一括被覆したも
のである。この光ファイバテープを単心の光ファイバコ
ードに変換するための接続は通常の単心線の場合よりも
更に複雑になる。

【０００６】このような単心ファイバへの変換接続を避
けるため、従来は、局内配線においては単心の光ファイ
バコードを集合したケーブルが使用されてきたが、この
ようなケーブルではケーブル自体が大幅に太くなってし
まうため、今後一箇所に極めて多数のケーブルを設置し
なければならなくなると予想される箇所での使用は不可
能になる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このため、本発明は、
細径化及び軽量化ができ、光ファイバテープとの接続も
容易に行うことができる光ファイバ心線を提供すること
を目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するため、光ファイバ１心とガラス線又は金属
線１心とを並行してプラスチック材で一体にその断面形
状がほぼ長方形となるように被覆して光ファイバ心線と
し、この光ファイバ心線の複数本を、その断面の短軸方
向に重ねて外側をプラスチック材で一括被覆して光ファ
イバ集合心線とする。

【０００９】本発明による光ファイバ集合心線において
は、集合された光ファイバの並び間隔がこれと接続され
る光ファイバテープ中の光ファイバの並び間隔と同一で
あり且つ集合された光ファイバの心数がこの光ファイバ
テープ中の光ファイバの心数と同一に構成すると好都合
である。更に、本発明による光ファイバ集合心線におい
ては、複数本の光ファイバ心線を断面の短軸方向に重ね
る際、全ての光ファイバが一列に並ぶ配置とすると好都
合である。

【００１０】

【作用】本発明によれば、本発明の光ファイバ心線は単
心の光ファイバコードとして使用できるので、従来の光
ファイバコードに比べて著しく細径化及び軽量化を実現
することができ、またこれを集合した本発明の集合心線
は、ファイバ並び間隔が光ファイバテープでのファイバ
並び間隔と同一としているので、接続相手の心線が単心
であってもテープであっても接続が極めて容易になる。

【００１１】

【実施例】次に図面を用いて本発明の実施例を詳細に説
明する。図１は本発明の基本的な構成要素である光ファ
イバ心線の構造例を説明する図であり、光ファイバ心線
１は、通信用光ファイバ11とガラス線又は金属線12とを
並行してプラスチック材で一体にその断面形状がほぼ長
方形となるように被覆13を施してなる。この図でＡは光
ファイバ心線の厚さ（断面の短軸方向の長さ）である。
このような構造にすると、ガラス線又は金属線12で光フ
ァイバ心線１の引っ張り強度及び曲げ剛性を充分に高め
ることができるため、光ファイバコードの代わりに使用
することができる。

【００１２】ここで用いられるガラス線の材料として
は、光ファイバと同様にして製作された石英ガラスが最
適である。このガラス線は光ファイバと違って光を導波
するためのコア構造が不要であり、また寸法精度も一桁
程度低くても良いので安価に製造できる。

【００１３】図１の光ファイバ11は、弾性率が低いプラ
スチック材からなるファイバ被覆14で被覆され、しかる
後にガラス線と共に被覆材13で被覆されている。光ファ
イバ用の被覆材料として現在最も一般的なものは紫外線
硬化型のアクリル系樹脂であり、これを被覆13及び14の
被覆材料として採用することができる。この材料につい
ては、弾性率の調整は容易である。このファイバ被覆14
はクッション層としての役割があり、外側の被覆の温度
による伸縮或いは外圧によるファイバの微小曲がりを防
止し、この微小曲がりによる光の損失を防止する。

【００１４】一方、ガラス線は光を通すわけではないの
でクッション層としての被覆は必要ないが、強度の劣化
を防止するために製造と同時に保護被覆を施しておくこ
とが望ましい。但し、その被覆は数μm 程度の薄いもの
でよく、弾性率が高い材料例えばエポキシ樹脂のような
ものを採用してもよい。この被覆材を外側の被覆材との
接着性を高めるように選べば、ガラス線の補強効果を一
層高めることができる。勿論、この被覆を光ファイバの
被覆と同一の材料で行うこともできる。この場合は製造
上の利点を享受することができる。

【００１５】また、ガラス線の太さは光ファイバと同一
にする必要はない。太くすれば補強効果を高めることが
できる。なお、図１ではガラス線又は金属線単体の被覆
は図示していない。金属線の場合には被覆は必要ない。
金属線の材料としては、ピアノ線、ステンレス線、鋼線
等を採用することができる。

【００１６】従来の光ファイバコードの構造は、光ファ
イバ心線の周囲を補強材で保護した上に更にプラスチッ
ク材で被覆するものである。前述の光ファイバ心線で
は、従来の光ファイバコードと構造が大きく異なるた
め、大幅な細径化及び軽量化を図ることができる。ま
た、本発明の構造は簡単で少量のありふれた材料のみを
用いて実施できるため、低価格化にも適する。

【００１７】図２は本発明の第１の実施例である光ファ
イバ集合心線２の構造を説明する図であり、複数本の図
１の光ファイバ心線１を束ねて一括被覆21を施した構造
を有する。この構造では光ファイバ心線１の厚さ方向に
重ねており、この時の光ファイバ心線の並び間隔Ｂは光
ファイバ心線１の厚さＡに等しく、更に図４に示すよう
な光ファイバテープ４のファイバ並び間隔Ｃに等しくす
る。通常の光ファイバテープ４は光ファイバ11を複数本
並べて被覆31を施したものであり、光ファイバ11の並び
間隔Ｃは０．２５mmであるから、これを前提とすると図
１の光ファイバ心線１の断面寸法は０．２５mm×０．５
mm程度である。これは市販の外径２mmの光ファイバコー
ドと比べると断面積が1/25である。

【００１８】本発明の構成要素である光ファイバ心線１
においては、光ファイバ11が心線の厚さ方向の中央に位
置するようにする。このようにすると、図５に示すよう
に、接続する時の整列化が簡単になり接続作業が容易に
なる。現在使用されている光ファイバテープは国内では
４心及び８心があり、将来は１６心が使用される予定で
ある。また、海外では１２心のものも使用されている。
本発明の光ファイバ集合心線２が収容する光ファイバ心
線１の数は、接続相手となる光ファイバテープ４の光フ
ァイバの心数に一致させておくことが望ましい。

【００１９】接続に際しては、補強用のガラス線又は金
属線を除去する必要がある。ガラス線の場合には次のよ
うな方法で簡単に行うことができる。即ち、先ず被覆外
の片側から刃を押しつけるか又は刃で引っ掻くことによ
り補強用ガラス線全部に同時に傷を付け、この傷を外向
きになるように曲げてこのガラス線を折る。この後この
箇所に両側から刃を当ててまだ被覆が切れていない反対
側にも刃で切り込みを入れ、光ファイバ集合心線の長尺
側を固定したまま刃を心線端に向けて動かすことによっ
て被覆を剥ぎ取る。

【００２０】金属線の場合は傷を付けて折ることができ
ないため、被覆を剥ぎ取った後で金属線を１本ずつ工具
で切り取る。その後の接続手順は従来の光ファイバテー
プ相互の接続の場合と同じである。また、単心線との接
続も、単心に分離した後で同様の手順によって接続を行
うことができるので容易に実施できる。なお、本発明の
光ファイバにおいては心線を１心ずつに分離できるの
で、単心線への変換を行う際に他のファイバと接続する
必要がないという利点を有する。単心に分岐した後、端
部に光コネクタを取り付ければ、配線途中でのファイバ
接続点を少なくすることができる。

【００２１】図３は本発明の第２の実施例である光ファ
イバ集合心線３の構造を説明する図であり、複数本の第
１の実施例の光ファイバ集合心線２に再度一括被覆22を
施した構造を有する。この図の構造では、４心の光ファ
イバ集合心線２を２本束ねて８心の光ファイバ集合心線
を構成している。この構造では８心の光ファイバテープ
と容易に接続できるのは当然であるが、最外側の一括被
覆22を切り裂くことにより４心テープ２本に分割できる
ため、４心テープとの接続も容易である。

【００２２】更に一括被覆21を切り裂けば、第１の実施
例と同様に単心線とも容易に接続できる。この実施例の
ように、第１の実施例の光ファイバ集合心線を再度束ね
るという二重構造とすることにより、複数種の光ファイ
バテープとの接続性を確保することができる。なお、こ
の構造では一括被覆21の厚さがファイバ並び間隔を拡げ
る要因になるため、この厚さを１０〜２０μm 以下にな
るように極力小さくする。この程度であれば接続の作業
性に影響を与えない。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来の配線用の光ファイバコードより大幅に細径化及び
軽量化を図ったので、局舎内或いは光通信設備での配線
需要に対応することができる。また、ファイバの並び間
隔を光ファイバテープと整合させたため、光ファイバテ
ープと容易に接続することができる。また、外側の一括
被覆を切るだけで単心への分岐を行うことができるた
め、単心分岐のための接続を不要にすることができる。
また、単心との接続も単心相互の接続として従来の方法
を用いて容易に行うことができる。従って、本発明は、
今後予測される加入者系への大規模な光ファイバケーブ
ルの導入に極めて有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の基本的な構成要素である光ファイバ心
線の構造例を説明する図である。

【図２】本発明の第１の実施例である光ファイバ集合心
線の構造を説明する図である。

【図３】本発明の第２の実施例である光ファイバ集合心
線の構造を説明する図である。

【図４】光ファイバテープの構造例を示す図である。

【図５】光ファイバ相互の接続を行う時の光ファイバの
整列化を説明する図である。

【符号の説明】

１ 光ファイバ心線 ２、３ 光ファイバ集合心線 ４ 光ファイバテープ １１ 通信用光ファイバ １２ ガラス線又は金属線 １３ 被覆 １４ ファイバ被覆 ２１、２２ 一括被覆 ３１ 被覆

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富田 信夫 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日 本電信電話株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光ファイバ１心とガラス線１心とを並行
   してプラスチック材で一体にその断面形状がほぼ長方形
   となるように被覆して光ファイバ心線とし、この光ファ
   イバ心線の複数本を、その断面の短軸方向に重ねて外側
   をプラスチック材で一括被覆してなることを特徴とする
   光ファイバ集合心線。
2. 【請求項２】 光ファイバ１心と金属線１心とを並行し
   てプラスチック材で一体にその断面形状がほぼ長方形と
   なるように被覆して光ファイバ心線とし、この光ファイ
   バ心線の複数本を、その断面の短軸方向に重ねて外側を
   プラスチック材で一括被覆してなることを特徴とする光
   ファイバ集合心線。
3. 【請求項３】 集合された光ファイバの並び間隔がこれ
   と接続される光ファイバテープ中の光ファイバの並び間
   隔と同一であり且つ集合された光ファイバの心数がこの
   光ファイバテープ中の光ファイバの心数と同一に構成さ
   れたことを特徴とする請求項１又は２に記載の光ファイ
   バ集合心線。
4. 【請求項４】 複数本の光ファイバ心線を断面の短軸方
   向に重ねる際の配置において、全ての光ファイバが一列
   に並ぶ配置としたことを特徴とする請求項１、２又は３
   に記載の光ファイバ集合心線。