JP2006209023A - 光ファイバケーブル - Google Patents

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至 坂部
Keisuke Okada
圭輔 岡田
Hisashi Tanji
久 丹治
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Abstract

【課題】 既設配管内等に複数本の光ファイバを容易に同時布設するとともに、各布設先まで接続なしに配線することができる光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】本発明に係る光ファイバケーブル10Aは、光ファイバ心線21と抗張力体22,22aとがケーブル断面内で略一直線状に並ぶよう熱可塑性樹脂の外被23で一括被覆されている。外被23には、光ファイバケーブル10Aを光ファイバ心線21と抗張力体22,22aとが含まれる略同形の複数のエレメント20Aに分割するための分割用ノッチ11が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光ファイバ心線と抗張力体とを外被となる樹脂で一括被覆した光ファイバケーブルに関する。
近年、インターネットの急速な普及により高速データ通信の要求が高まっており、各家庭まで光ファイバを布設するFTTH(Fiber To The Home)のサービスが拡大している。これにより、宅内やビル、集合住宅内の配線に使用される、所謂インドア型の光ファイバケーブル(例えば、特許文献1参照)の利用が高まっている。
図8に示すように、特許文献1に記載の光ファイバケーブル100では、中心に光ファイバ心線101を配し、光ファイバ心線101のケーブル幅方向(図中左右方向)両側に抗張力体102を配置して、これらを一括して全体矩形状に被覆103が施されている。被覆103のケーブル厚さ方向(図中上下方向)両外側面で光ファイバ心線101に対応する位置にはV字状のノッチ105が内側に向かって設けられており、このノッチ105から被覆103を切り裂くことができるようになっている。また、抗張力体102と被覆103との間には接着剤層104が介在しており、これによって、抗張力体102と被覆103との接着性を高めて一体化している。
上記のような光ファイバケーブル100は、被覆103に設けられているノッチ105から被覆103を切り裂くことにより、光ファイバ心線101を容易に取り出すことができるようになっている。さらに、抗張力体102と被覆103とが接着剤層104等を介して一体化しているため、光接続箱などにおけるケーブル引留めを鬼目のような凹凸のついた治具で被覆103だけを把持すれば光ファイバケーブル100を固定することができるなど、優れた特性を有している。
特開2000−171673号公報(図1)
ところで、集合住宅などの既設配管における光ファイバケーブルの布設では、地下や1階に置かれることの多い配線盤(MDF:Main Distribution Frame)から各戸まで光ファイバケーブルを接続なしで配線するスター配線方式が広く採用されている。このため、MDFから各階を繋ぐ縦系配線では複数本の光ファイバケーブルを本数毎に布設する必要がある。または、同時に複数本布設する場合でも図9に示すように複数本分のボビン106から光ファイバケーブル100を繰り出さなくてはならないため、作業が煩雑であり、ケーブル本数が多いと縦系配線を行う管路内で光ファイバケーブルが絡み合って布設張力が増大する場合があり、光ファイバケーブルの布設が困難となることがあった。
本発明の目的は、既設配管内等に複数本の光ファイバを容易に同時布設するとともに、各布設先まで接続なしに配線することができる光ファイバケーブル及び光ファイバケーブルの配線方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできる本発明に係る光ファイバケーブルは、光ファイバ心線と抗張力体とがケーブル断面内で略一直線状に並ぶよう外被となる樹脂で一括被覆された光ファイバケーブルであって、前記樹脂には、当該光ファイバケーブルを前記光ファイバ心線が含まれる略同形の複数のエレメントに分割するための分割用ノッチが形成されていることを特徴としている。
このように構成された光ファイバケーブルは、光ファイバ心線を含むエレメントが複数並列した構成となっているため、一度に複数のエレメントについて配線することができる。また、各エレメントは分割用ノッチにより容易に分割できるので、布設途中で所望のエレメントを分割して各戸に配線することができる。さらに、光ファイバ心線と抗張力体とがケーブル断面内で略一直線状に並んでいることにより、ケーブルの形状がテープ状となってその断面短手方向となる厚さ方向に曲がりやすくなるため、ケーブルとしての柔軟性に富んで取り扱い性が良く、布設作業性が良好である。また、各エレメントに備えた抗張力体がケーブルに加わる張力を分担するため、一般のインドア型の光ファイバケーブルより許容張力を大きくできる。さらに、ケーブルを一回牽引する際の布設長さを長くすることができたり、従来通線できなかったルートへも布設することが可能になったりする。
また、本発明に係る光ファイバケーブルにおいて、前記分割用ノッチの深さが、前記エレメント内の前記樹脂に形成された前記光ファイバ心線を取り出すための心線取り出し用ノッチの深さよりも深いことが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、各エレメント内において光ファイバ心線を取り出すために設けられている心線取り出し用ノッチよりも深さが深い分割用ノッチが各エレメント間に形成されているため、各エレメントを容易に分割することができる。また、複数のエレメントを一列に配列した形状を有しているため、ケーブル断面は幅広く、ケーブル布設時などにケーブルが捻れると非常に大きな捻れ応力が発生する。このため、仮にケーブルに局所的な大きな捻れ応力が発生したとしても、各エレメントの心線取り出し用ノッチから樹脂に亀裂が発生する前にエレメント間が分離するので、配線時に光ファイバ心線がケーブルから飛び出して光ファイバが損傷する不具合が発生しにくい。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、各前記エレメントの断面外形が略矩形であり、その四隅の角部が略同形となるように前記分割用ノッチが形成されていることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、各エレメントに分割しても外観を損なわず、従来のインドア型のケーブルと同様に見えるため、宅内の人目にさらされる箇所に配線された場合でも特に違和感を感じさせない。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、各前記エレメントの断面外形が略矩形であり、その角部が断面視凸曲線状の部分を有するように前記分割用ノッチが形成されていることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、エレメントの外被が他の部材と擦れた時に損傷しにくい。そして、損傷による外被の削りかすが発生しにくく、配線した戸内等の環境を汚さずに済む。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、前記分割用ノッチが、前記エレメントの可撓変形を許容する空間を形成していることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、光ファイバケーブルに応力が加わり、光ファイバ心線と抗張力体とが断面内で一直線状に並ばないようにケーブルが曲げられても、曲げ内側の分割用ノッチは前記空間へ向けて狭まり曲げ外側の分割用ノッチは開くため、ケーブル布設中に分割用ノッチに無理な応力が集中して外被が裂けて、各エレメントに分離してしまうような不具合が発生しにくい。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、複数の前記エレメントのうち少なくとも最も端に位置する前記エレメント内で、少なくとも1本の前記抗張力体と前記樹脂との間に接着剤層が介在していることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、光ファイバケーブルの両外側端に位置するエレメントの抗張力体に接着剤層を設けて外被との一体化を強化することで、外被の収縮や蛇行を抗張力体が抑えることによって、光ファイバ心線の損失増加や断線を防ぐことができる。特に、エレメント分割後よりも厳しくなりやすいエレメント分割前の布設環境(低温環境)においても優れた伝送特性を維持することができる。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、前記エレメント内で複数本の前記光ファイバ心線がテープ状に一体化しており、そのテープ状光ファイバ心線の断面長手方向上に前記抗張力体が配置されていることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、エレメントに収容されているテープ状光ファイバ心線の断面長手方向上に抗張力体が配置されているので、エレメントに分割した後、各エレメントが曲げられたときに光ファイバ心線に大きな張り歪みや圧縮歪みが加わるのを防止することができる。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、前記抗張力体の断面が略矩形または楕円形であり、その断面長手方向上に前記光ファイバ心線が配置されていることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、抗張力体が略矩形または楕円形であるため、光ファイバケーブルは抗張力体の断面長手方向が曲げの中心軸方向となるように曲がりやすく、抗張力体の断面短手方向が曲げの中心軸となるようには曲がりにくい。このため、エレメント分割後、各エレメントが曲げられたときに、抗張力体の断面長手方向上に配置されている光ファイバ心線に大きな引張り歪みや圧縮歪みが加わるのを防止することができる。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、複数の前記エレメントのうち最も端に位置する前記エレメント内で、前記抗張力体が前記光ファイバ心線より外側に配置されていることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、エレメントに加わった側圧を抗張力体で受けたり、外被が損傷したときにその損傷が光ファイバ心線に達する前に抗張力体によって保護することができる。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、複数の前記エレメントのうち最も端に位置する前記エレメント内で、前記光ファイバ心線が前記抗張力体より外側に配置されており、前記光ファイバ心線に含まれる被覆層の厚さが125μmより大きいか、もしくは前記光ファイバ心線の外側の前記樹脂の厚さが0.5mm以上であることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、光ファイバ心線に対する保護を光ファイバ心線の被覆層やケーブル外被によって充分に行えるため、光ファイバ心線を抗張力体より外側に配置しても光ファイバ心線の損傷を防ぐことができる。
また、本発明に係る光ファイバケーブルは、前記抗張力体が、前記分割用ノッチの内側である前記エレメント同士の境界部分に配置されていることが好ましい。
このように構成された光ファイバケーブルは、各エレメントに分割した後は分割用ノッチの内側に配置された抗張力体が除去された状態となって許容張力は低下するが、可撓性は向上する。そのため、エレメントを布設する際の条件によっては可撓性を優先した方が良い場合には、この光ファイバケーブルを用いることで配線作業性を向上させることができる。
また、上記課題を解決することのできる本発明に係る光ファイバケーブルの配線方法は、光ファイバ心線が含まれる略同形の複数のエレメントに分割可能な光ファイバケーブルを、複数階層を有する建物に分割しない状態で縦系配線し、その後、各前記エレメントに分割して横系配線を行うか、もしくは分割しない状態で横系配線を行って前記建物の戸内配線を行うことを特徴としている。
このような構成の光ファイバケーブルの配線方法は、複数の光ファイバ心線を布設する縦系配線では、複数の光ファイバ心線を互いに絡ませることなく一度に配線することができ、横系配線では戸内配線等の要求に応じてエレメントに分割して配線を行うことができる。したがって、建物内の各布設先に複数本の光ファイバを容易に同時布設するとともに、各布設先まで接続なしに配線することができる。
また、本発明に係る光ファイバケーブルの配線方法は、前記光ファイバケーブルを各前記エレメントに分割した後、少なくとも1本の前記エレメントに光コネクタを取り付けることが好ましい。
このような構成の光ファイバケーブルの配線方法は、エレメントに光コネクタを直接取り付けることにより、各端末への接続に際して、別途他の接続部分を設ける必要がなく、作業性が良好である。また、接続部品を少なくできるため、配線費用を低く抑えることができる。
本発明の光ファイバケーブルによれば、布設する管路内で光ファイバケーブルが絡み合うような問題なく、一度の布設作業で従来の光ファイバケーブルを複数本布設するのと同等の布設効果が得られる。例えば、布設する際の繰り出し用ボビンの数量を減らすことができ、布設コストを大幅に低減できる。また、製造に際して外被の形成を一括被覆で行うことができるため、従来の光ファイバケーブルを複数本製造するよりも製造コストが小さくなる。さらに、ケーブルの許容張力がエレメントの数だけ大きくなっているため、エレメントに分割せずに縦系配線を行う場合などにはケーブルにかかる張力の上限を大きく設定することができ、従来に比べて光ファイバ心線の損傷を心配せずに布設作業を行うことができる。また、各エレメントに分岐して各布設先まで接続なしに光ファイバを配線することができる。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の光ファイバケーブルに係る第1実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態である光ファイバケーブル10Aは、2本の光ファイバ心線21と4本の抗張力体22,22aとがケーブル断面内で略一直線状に並ぶよう熱可塑性樹脂の外被23で一括被覆されている。光ファイバケーブル10Aの断面における外形寸法は、例えば、断面短手方向となる厚さが2.0mmであり、断面長手方向となる幅が7.4mmである。また例えば、光ファイバ心線21の直径は0.25mmであり、抗張力体22,22aは直径0.4mmの鋼線であり、外被23の材質は難燃ポリエチレンである。この光ファイバケーブル10Aは、光ファイバ心線21と抗張力体22,22aとがケーブル断面内で略一直線状に並んでいることにより、ケーブルの形状がテープ状となっており、厚さ方向に曲がりやすくなるため、取り扱い性が良好である。
また、外被23を一括被覆する際には抗張力体22の周囲に接着剤を塗布しており、抗張力体22,22aと外被23との間には接着剤層25が介在している。抗張力体22,22aの周囲に設けられた接着剤層25の外径は、例えば0.6mmである。接着剤層25によって外被23と抗張力体22,22aとを強く一体化することで、布設環境下において発生するおそれのある外被23の収縮や蛇行を抗張力体22,22aにより抑えることができる。これにより、光ファイバ心線21の損失増加や断線を防いでいる。
この光ファイバケーブル10Aは、少なくとも光ファイバ心線21を含む略同形の2つのエレメント20Aが外被23によって一体化された構造をなしており、エレメント20A間の境界部分の外被23に、各エレメント20Aに分離するための分割用ノッチ11が形成されている。この分割用ノッチ11から外被23に亀裂を生じさせることで、各エレメント20Aに分割することができる。分割用ノッチ11が設けられていることにより、例えばマンション内の布設作業において、図6に示すようにMDFから各階を繋ぐ縦系配線では分割せずに光ファイバケーブル10Aを布設し、そこから各戸までの横系配線は各エレメント20Aに分岐させて配線することができる。また、光ファイバ心線21を含む複数のエレメント20Aを、互いに絡み合うことなく一度に布設することができる。また、MDFから各戸まで光ファイバケーブル10Aを接続なしで配線することが可能となる。また、布設する際に使用するケーブル繰り出し用のボビン106の数量も少なくできる。
さらに、光ファイバケーブル10Aを各エレメント20Aに分割する前の縦系配線においては、従来のインドア型光ファイバケーブルの2倍の許容張力が得られるため、1回牽引する毎の布設長さを伸ばすことができ、また、従来通線できなかったルートへ通線することもできる。
また、光ファイバケーブル10Aは、各エレメント20Aが宅内の人目にさらされる箇所に配線される場合があるため、外観も重要な要素となる。そのため、各エレメント20の四隅の角がすべて略同じ形状になるように分割用ノッチ11が形成されており、これにより各エレメント20Aに分割しても外観を損なわず、従来のインドア型のケーブルと同様に見えるようになっている。また、その四隅の角は断面視凸曲線状となっており、例えば戸内に配線したエレメント20Aが他の何らかの部材と擦れても外被23の損傷が少なく、その削りかすも発生しにくいため、エレメント20Aを配線した戸内等の環境を汚さずに済む。なお、四隅の角の曲率半径をあまり大きくするとエレメント20Aの側圧に対する特性が悪化することが考えられるため、断面における外郭線状に直線部分を有する程度にしておく方がよい。
なお、光ファイバケーブル10Aを各エレメント20Aへ分離する場所については、例えば集合住宅の配線の場合で考えると各戸の内でも外でも良い。各戸まで各エレメント20Aに分離せず光ファイバを2心引き込む場合には、例えば図7に示すようにテレビやパソコン等の各端末の直前で1心ずつのエレメント20Aに分離して各エレメント20に直に外被を把持する構造の単心型光コネクタ30を取り付けることができる。
従来の光ファイバケーブルには、図10に示すような光ファイバ心線101を2心内蔵したもの(光ファイバケーブル110)も用いられているが、図7に示すような配線を行うために端末でそれぞれの光ファイバ心線にコネクタを取り付ける際には、図11に示すように光ファイバケーブル110(図10参照)から個々の光ファイバ心線101を取り出し、それぞれに抗張力体や外被に該当する保護部材を取り付けて分岐ケーブル部120を構成し、さらにこの分岐ケーブル部120を分岐していない光ファイバケーブル110と接合する分岐部を作成する必要があり、作業性が低かった。
本発明では、光ファイバケーブル10Aを各エレメント20Aに分割した後、少なくとも1本のエレメント20Aに光コネクタ30を取り付けることにより、各端末へ接続する際に別途他の接続部分を設ける必要がなく、作業性が良好である。また、コネクタ以外の接続部品を使用せずにすみ、接続部品を少なくできるため、配線費用を低く抑えることもできる。
また、各エレメント20Aでは、外被23には光ファイバ心線21に向かって形成された心線取り出し用ノッチ24が設けられており、この心線取り出し用ノッチ24から外被23に亀裂を生じさせて引き裂くことで、光ファイバ心線21を取り出すことができる。また、この心線取り出し用ノッチ24の深さD2に比べて、上記の分割用ノッチ11の深さD1の方が深く形成されている。そのため、仮に布設時等にこの光ファイバケーブル10Aが捻れて大きな捻れ応力が発生した時に、心線取り出し用ノッチ24から外被23に亀裂が発生するよりも前に分割用ノッチ11から亀裂が入り、エレメント20A間が分離する。これにより、布設時に発生する不慮の外力によって光ファイバ心線21が飛び出して損傷するのを防止することができる。
また、各エレメント20A内において、光ファイバ心線21が偶数本(本実施形態では2本)の抗張力体22の間に配置されており、各エレメント20Aに分割した後も光ファイバ心線21を張力等の外力から保護する。また、上記の接着剤層25は、少なくとも最も端に位置する(本実施形態では両方が端となっている)エレメント20Aのうち、少なくとも1本の抗張力体22aの周囲に設けられていれば良い。抗張力体22aの周囲に設けられた接着剤層25は、低温下での外被23の収縮による光ファイバ心線21の蛇行による伝送損失増を低減する機能を有しているが、エレメント20Aに分割した後の配線はルート長が短く布設温度環境も厳しくない集合住宅の横系配線や宅内配線が主であるため、分割前の光ファイバケーブル10Aについて外被23の収縮防止を考慮すればよい。すなわち、各エレメント20Aのうち、少なくとも最も端に位置するエレメント20A内の、少なくとも1本の抗張力体22aの周囲に接着剤層25が設けられていれば、分割前の光ファイバケーブル10Aの外被23の収縮を防止することができる。
なお、この光ファイバケーブル10Aは、上記の一例では外形寸法を厚さ2.0mm×幅7.4mmとしたが、光ファイバ心線21と抗張力体22とを極力近づけて外形寸法を例えば厚さ2.0mm×幅5.4mmとして幅を狭めると、管路内でのケーブル布設可能本数を増大でき、布設張力も小さくできる。また、光ファイバケーブル10Aの捩れ剛性も小さくなることから、ケーブルの取り回し作業が容易になる。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。
図2は本発明の光ファイバケーブルに係る第2実施形態を示す断面図である。なお、上記の第1実施形態と共通する構成には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
この光ファイバケーブル10Bでは、各エレメント20Bの抗張力体26が長方形状の略矩形であり、その抗張力体26の断面長手方向(幅方向)上に光ファイバ心線21が配置されている。そして、光ファイバ心線21は、抗張力体26の厚さ内に略含まれるような構造となっている。光ファイバケーブル10Bの断面における外形寸法は、例えば、断面短手方向となる厚さが2.0mmであり、断面長手方向となる幅が4.3mmである。そして、抗張力体26の外形寸法は、外径0.4mmの鋼線2本分と略同じ断面積を確保することができるように例えば厚さ0.4mm×幅0.6mmとしてあり、上記の第1実施形態の例と同等の許容張力を得ることができる。
一般に光ファイバケーブルは、その断面の幅が大きくなるほど捻れ剛性が大きくなり取り扱い難くなるが、それを抑止するため光ファイバケーブル10Bの幅方向(図2において左右方向)の寸法を小さくして各エレメント20Bにおける抗張力体26を1本としたものである。これにより、光ファイバケーブル10Bはその取り回し性が上記の光ファイバケーブル10Aより向上している。
また、本実施形態における光ファイバ心線21は外径が0.25mmと細く外傷を受けやすいため、最も端に位置するエレメント20Bにおいては抗張力体26が光ファイバ心線21よりもケーブルの外側に配置させており、これにより光ファイバ心線21の損傷を抑止することができる。
なお、各エレメント20Bの抗張力体26を1本にすると、各エレメント20Bに分離した後、そのエレメント20Bを曲げると抗張力体26が曲げ中心となりやすい。光ファイバ心線21が曲げの内側になるよう曲げられると光ファイバ心線21がその長手方向に圧縮されるようになるため、蛇行して断線する可能性が高い。そのため、抗張力体26を偏平形状にして各エレメント20Bの曲げ方向性を抗張力体26の断面長手方向を中心とする方向に制限し、光ファイバ心線21の断線を抑止している。なお、この図2に示した抗張力体26は略矩形の断面を有するが、楕円形の断面であってもよい。
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。
図3及び図4は本発明の光ファイバケーブルに係る第3実施形態を示す断面図である。なお、上記の第1実施形態あるいは第2実施形態と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
図3に示すように、この光ファイバケーブル10Cでは、各エレメント20Cの光ファイバ心線21がテープ状に一体化しており、そのテープ状光ファイバ心線27の断面長手方向(幅方向)上に抗張力体22が配置されている。光ファイバケーブル10Cの断面における外形寸法は、例えば、断面短手方向となる厚さが2.0mmであり、断面長手方向となる幅が6.0mmである。そして、例えば抗張力体22の直径は0.57mmであり、抗張力体22と外被23との間に設けられた接着剤層の外径は0.8mmである。
この光ファイバケーブル10Cは、各エレメント20の抗張力体22が1本であるが、光ファイバ心線21がテープ状となっている場合には、テープ状光ファイバ心線27の剛性によって光ファイバ心線21が曲げの内側になることが抑止できるため、抗張力体22は矩形状とせず丸形状でもよい。また、エレメント20Cに収容されているテープ状光ファイバ心線27の幅方向上に抗張力体22が配置されているので、エレメント20Cに分割した後、各エレメント20Cが曲げられたときに光ファイバ心線21に大きな引張り歪みや圧縮歪みが加わるのを防止することができる。
また、図3の光ファイバケーブル10Cでは、テープ状光ファイバ心線27をケーブルの内側に配置し、抗張力体22を外側に配置した場合について示したが、テープ状光ファイバ心線等のように単心の光ファイバ心線(被覆層125μm)より被覆層が厚く強化されている場合には、図4に示す光ファイバケーブル10Dのように、テープ状光ファイバ心線27をケーブルの外側に配置し、抗張力体22を内側に配置してもよい。また、光ファイバ心線21またはテープ状光ファイバ心線27の外側の外被23の厚さtを、0.5mm以上確保することにより、通常の布設作業における光ファイバ心線21への損傷を防ぐことができる。このように抗張力体22を内側に配置した場合には、光ファイバケーブル10Cと比較して、光ファイバケーブル10Dの捩れ剛性をさらに低減することができるため、ケーブルの取り扱い性がさらに向上している。
次に、本発明に係る第4実施形態について説明する。
図5は本発明の光ファイバケーブルに係る第4実施形態を示す断面図である。なお、上記の第1実施形態〜第3実施形態と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
配管内の布設性を良くするには、抗張力体も光ファイバケーブルの略中心部にあることが望ましい。このため、図5に示すように、抗張力体22を光ファイバケーブル10Eの中心部であり、分割用ノッチ11の内側であるエレメント20E,20Eの境界部分に配置することも可能である。
図5に示す光ファイバケーブル10Eは、光ファイバ心線21と接着剤層で覆った抗張力体22を断面内で光ファイバ心線21とともに略一直線状に並列するよう配置して外被23を一括被覆したものである。光ファイバケーブル10Eの外寸は、例えば断面短手方向の厚さが2.0mm、断面長手方向の幅が5.7mmである。また、例えば抗張力体22の直径は0.72mmであり、接着剤層の外径は0.92mmである。この光ファイバケーブル10Eも、抗張力体22に向かって設けられた分割用ノッチ11を介して2本のエレメント20E,20Eに分割することができる。光ファイバケーブル10Eの許容張力は、分割用ノッチ11の内側に設けられた抗張力体22の寄与度が大きいため、分離した後の各エレメント20Eの許容張力は低いが、横系配線や各戸内配線においては許容張力よりも可撓性が重視されることがある。このため、図5のような構造の光ファイバケーブル10Eが好適であることも多い。
分割用ノッチ11は、図5の例ではU字状に設けられているが、V字状でも凹字状でもよく、これら分割用ノッチ11においては、エレメント20Eの可撓変形を許容する空間11aを形成している。そのため、光ファイバケーブル10Eに応力が加わり、光ファイバ心線21と抗張力体22とが断面内で一直線状に並ばないように光ファイバケーブル10Eが曲げられても、曲げの内側に位置した分割用ノッチ11は空間11aへ向かって狭まり、曲げの外側に位置した分割用ノッチ11は空間11aが拡がるように開くため、分割用ノッチ11に無理な応力が集中してケーブル布設中に分割用ノッチ11から外被が引き裂かれて各エレメント20Eに分離してしまうような不具合が発生しにくい。
また、上記の第1実施形態〜第4実施形態では、それぞれ2つのエレメントからなる光ファイバケーブルを例に挙げて説明したが、本発明においては3つ以上のエレメントからなっていても良い。その場合も、断面内で抗張力体と光ファイバ心線とが略一直線状に並ぶように配置されていると良い。
本発明の光ファイバケーブルに係る第1実施形態を示す断面図である。 本発明の光ファイバケーブルに係る第2実施形態を示す断面図である。 本発明の光ファイバケーブルに係る第3実施形態を示す断面図である。 本発明の光ファイバケーブルに係る第3実施形態の別の例を示す断面図である。 本発明の光ファイバケーブルに係る第4実施形態を示す断面図である。 本発明の光ファイバケーブルの配線方法の一例を示す模式図である。 本発明の光ファイバケーブルの配線方法において戸内配線の一例を示す模式図である。 従来の光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。 従来の光ファイバケーブルの配線方法の一例を示す模式図である。 従来の光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。 従来の光ファイバケーブルの配線方法の一例を示す模式図である。
符号の説明
10A〜10E 光ファイバケーブル
11 分割用ノッチ
20A〜20E エレメント
21 光ファイバ心線
22 抗張力体
23 外被(樹脂)
24 心線取り出し用ノッチ
25 接着剤
27 テープ状光ファイバ心線

Claims (12)

  1. 光ファイバ心線と抗張力体とがケーブル断面内で略一直線状に並ぶよう外被となる樹脂で一括被覆された光ファイバケーブルであって、
    前記樹脂には、当該光ファイバケーブルを前記光ファイバ心線が含まれる略同形の複数のエレメントに分割するための分割用ノッチが形成されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  2. 請求項1に記載の光ファイバケーブルであって、
    前記分割用ノッチの深さが、前記エレメント内の前記樹脂に形成された前記光ファイバ心線を取り出すための心線取り出し用ノッチの深さよりも深いことを特徴とする光ファイバケーブル。
  3. 請求項1または2に記載の光ファイバケーブルであって、
    各前記エレメントの断面外形が略矩形であり、その四隅の角部が略同形となるように前記分割用ノッチが形成されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の光ファイバケーブルであって、
    各前記エレメントの断面外形が略矩形であり、その角部が断面視凸曲線状の部分を有するように前記分割用ノッチが形成されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の光ファイバケーブルであって、
    前記分割用ノッチが、前記エレメントの可撓変形を許容する空間を形成していることを特徴とする光ファイバケーブル。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載の光ファイバケーブルであって、
    複数の前記エレメントのうち少なくとも最も端に位置する前記エレメント内で、少なくとも1本の前記抗張力体と前記樹脂との間に接着剤層が介在していることを特徴とする光ファイバケーブル。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載の光ファイバケーブルであって、
    前記エレメント内で複数本の前記光ファイバ心線がテープ状に一体化しており、そのテープ状光ファイバ心線の断面長手方向上に前記抗張力体が配置されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  8. 請求項1から7の何れか一項に記載の光ファイバケーブルであって、
    前記抗張力体の断面が略矩形または楕円形であり、その断面長手方向上に前記光ファイバ心線が配置されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  9. 請求項1から8の何れか一項に記載の光ファイバケーブルであって、
    複数の前記エレメントのうち最も端に位置する前記エレメント内で、前記抗張力体が前記光ファイバ心線より外側に配置されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  10. 請求項1から9の何れか一項に記載の光ファイバケーブルであって、
    前記抗張力体が、前記分割用ノッチの内側である前記エレメント同士の境界部分に配置されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
  11. 光ファイバ心線が含まれる略同形の複数のエレメントに分割可能な光ファイバケーブルを、複数階層を有する建物に分割しない状態で縦系配線し、その後、
    各前記エレメントに分割して横系配線を行うか、もしくは分割しない状態で横系配線を行って前記建物の戸内配線を行うことを特徴とする光ファイバケーブルの配線方法。
  12. 請求項11に記載の光ファイバケーブルの配線方法であって、
    前記光ファイバケーブルを各前記エレメントに分割した後、少なくとも1本の前記エレメントに光コネクタを取り付けることを特徴とする光ファイバケーブルの配線方法。
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JP2009042488A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Furukawa Electric Co Ltd:The 光ファイバケーブル
JP2011033743A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Sumitomo Electric Ind Ltd 光ケーブル

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