JP3685233B2 - リッパ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、岩盤等を掘削するブルドーザ等の建設機械のリッパ装置に係り、特に、リッパー装置のシャンクを挿入して保持するホルダの耐久性を向上するリッパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブルドーザに装着されるリッパ装置を図8,図9により説明する。
車体20の後方にブラケット20aが固設されている。このブラケット20aの下端部にアーム11の一端を連結し、アーム11の他端はビーム12の下端部と連結している。ブラケット20aには、チルトシリンダ13およびリフトシリンダ14のそれぞれのボトム端が連結され、チルトシリンダ13およびリフトシリンダ14のそれぞれのロッド端はビーム12と連結している。
このビーム12には、図9に示す、シャンク5を挿入して保持するホルダ1Aが固設されている。このように構成されるリッパ装置は、車体20の牽引力と、チルトシリンダ13、およびリフトシリンダ14の駆動力とを作用させてシャンク5により岩盤を掘削するようになっている。
図9に示すように、ビーム12は、左右ブラケット12a,12b、左右パイプ部材12c,12c、およびホルダ1Aを固着して一体的に構成されている。
ホルダ1Aには、断面が四角形状の孔1kが上下方向に設けられている。この孔1kに断面が四角形状のシャンク5が挿入され、ピン6で抜け止めされている。
【0003】
次に、従来のリッパ作業時のシャンク5とホルダ1Aとの作動状態について図10により説明する。
シャンク5の先端に外力Fが作用すると、シャンク5の前面部はホルダ1Aの中でガタの分だけ傾斜して、ホルダ1Aの上端部P2 と当接しFa方向から反力を受ける。また、シャンク5の後面部はホルダ1Aの中でガタの分だけ傾斜して、ホルダ1Aの下端部Q2 と当接しFb方向から反力を受ける。
これにより、ホルダ1Aの上、下端部P2,Q2 部には反作用力が作用するため、シャンク5が当接するホルダ1Aの挿入孔の内面は摩耗やヘタリが発生する。
このため従来はホルダ1Aの挿入孔の内面の摩耗やヘタリを防止するために、シャンクが当接するホルダの内面には熱処理を施行して、表面硬化している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の熱処理による表面硬化程度では、摩耗やヘタリに対して効果が少なく、頻繁に溶接にて補修する必要がある。この補修には分解が必要となり補修コスト高となるとともに、補修のために休車日数が増え、ブルドーザの稼動率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目し、シャンクが当接するホルダの挿入孔の内面にウエアプレートを着脱自在に取着して、シャンクがウエアプレートに当接するようにしてホルダの耐久性を向上するリッパ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用効果】
上記目的を達成するために、本発明に係るリッパ装置の第1発明は、車体後方に配設されたホルダのほぼ四角形状の孔に挿入され、上下動自在な断面四角形状のシャンクを有するリッパ装置において、シャンク5を挿入する挿入孔に段付き溝部1a,1bを設け、かつ、この段付き溝部1a,1bのそれぞれにウエアプレート2a,2bを着脱自在に取着するホルダ1を備え、前記ウエアプレート2a,2bの幅aとシャンク5の幅Lとの関係がa≧Lである構成としたものである。
上記構成によれば、リッパ作業時のシャンクの先端に加わる外力Fによる反力をウエアプレートが受け持つ構造とした。このため、リッパ作業時にはシャンクがウエアプレートに当接するので、従来のようにホルダの挿入孔の摩耗やヘタリが発生しないので耐久性が向上する。この場合、ウエアプレートの材料は、硬度の高い耐摩耗鋼を使用することにより、摩耗やヘタリが起こりにくい。したがって、従来のようなホルダの溶接補修作業が無くなりブルドーザとして稼働率が向上する。
また、ウエアプレートの幅aとシャンクの幅Lとの関係がa≧Lである構成としたため、シャンク幅全面がウエアプレートに当接し、リッパ作業時にシャンクがふらつくことがなく保持されるので、シャンクの異常摩耗やヘタリが生じることが無くなり、耐久性を向上できる。
【0007】
第2発明は、第1発明の構成において、シャンク5の前面部に当接し、ホルダの上端部の段付き溝部1aに取着する前側のウエアプレート2aと、この前側のウエアプレート2aの反対側で、シャンク5の後面部に当接し、ホルダの下端部の段付き溝部1bに取着する後側のウエアプレート2bとを着脱自在に取着した構成としたものである。
上記構成によれば、リッパ作業時のシャンクの先端に加わる外力Fによる反力を、前側のウエアプレートと、後側のウエアプレートとが受け持つ構造としたので、ホルダに直接シャンクが当接しない構造とした。
したがって、従来のようにホルダの挿入孔の摩耗やヘタリが発生しないので耐久性が向上する。
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明の構成において、シャンク5を挿入する挿入孔の段付き溝部1a,1bに取着された所定長さのウエアプレート2a,2bと、ホルダ1とをボルト等の締め付け手段3,4により着脱自在に構成したものである。
上記構成によれば、ホルダに段付き溝部を設けて、この段付き溝部に所定長さのウエアプレートをボルト等の締め付け手段により着脱自在とする小改造で、従来と同様のシャンクを用いることができるのでコストは安価である。
【0009】
第4発明は、第1発明乃至第3発明のうちのいずれかに記載の構成において、ウエアプレート2a,2bは、反転して使用可能な形状にしてボルト等の締め付け手段3,4により着脱自在とするとともに、ボルト等の締め付け手段3,4がウエアプレート2a,2bの内側から突出しないように構成したものである。
上記構成によれば、ウエアプレートを反転して使用可能としたことにより、ウエアプレートの寿命が2倍となる。
また、ボルト等の締め付け手段がウエアプレートの内側から突出しない構造としたので、シャンクが締め付け手段の頭部に接触せず、シャンクおよび締め付け手段が損傷することがなく、ウエアプレートも十分に機能することができる。
したがって、ウエアプレートの交換間隔が伸びて、補修コストが安価である。
【0011】
発明は、第1発明乃至第発明のうちのいずれかに記載の構成において、ホルダ1に設けた段付き溝部1a,1bの角部、および、ウエアプレート2a,2bの角部はR形状、あるいは面取り形状に構成したものである。
上記構成によれば、ホルダに設けた段付き溝部の角部およびウエアプレートの角部から亀裂が発生することがないので、耐久性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るリッパ装置の実施例を図1乃至図7により説明する。
尚、本発明のリッパ装置は、ホルダ以外は、図8,図9で説明した従来のリッパ装置と同一のため、図8,図9を参照してシャンクとホルダとの取付け構造についてのみ説明する。
図1に示すように、ホルダ1には、シャンク5を挿入する挿入孔(図9の挿入孔1K と同様である。)の上端部に段付き溝部1aが設けられている。また、シャンク5を挿入する挿入孔の下端部に段付き溝部1bが設けられている。
この上下端部に設けられた段付き溝部1a,1bのそれぞれにウエアプレート2a,2bがボルト3,ナット4等の締め付け手段(締め付け手段3,4と言う。)により着脱自在に取着されている。
図1のY視図の図2に示すように、ホルダ1には補強板1d,1f,1fが固着されている。この補強板1d,1f,1fにより、ホルダ1に段付き溝部1bを設けたことによる強度低下を補っている。
また、図2に示すように、ホルダ1の下面には、ウエアプレート2bの抜け出し防止、およびホルダ1の補強のために補強板1hが固着されている。
図1のX視図の図3に示すように、ホルダ1には補強板1c,1e,1eが固着されている。この補強板1c,1e,1eにより、ホルダ1に段付き溝部1aを設けたことによる強度低下を補っている。
また、図3に示すように、ホルダ1の上面には、ウエアプレート2aの抜け出し防止、およびホルダ1の補強のために補強板1gが固着されている。
【0013】
次に、図1のQ部の詳細図を図4,図5により説明する。
図4に示すように、ウエアプレート2bを取着するボルト3の頭部が、ウエアプレート2bの面Sより内側(シャンク5側)に突出しないようになっている。
図4のA−A断面図である図5に示すように、ウエアプレート2bの幅aと、シャンク5の幅Lとの関係をa≧Lとしてある。
また、図4,図5に示すように、ホルダ1の段付き溝部1b部の角部にはRが設けられ、ウエアプレート2bの角部にはRまたは面取りが施されている。
尚、図1のホルダ1の上端部のP部については、図4,図5で説明した下端部Q部と構造が全く同一のため説明を省略する。
【0014】
次に、図1乃至図5の作動について図6を参照して説明する。
図6に示すように、ウエアプレート2a,2bを取着したホルダ1にシャンク5を、挿入してピン6で固定するようになっている。
リッパ作業時に、シャンク5の先端に負荷Fが作用すると、シャンク5はホルダ1の上、下端部P1,Q1 部のウエアプレート2a,2bに当接し、シャンク5はFa,Fb の反力を受ける。
このため、ホルダ1の上、下端部P1,Q1 部のウエアプレート2a,2bには反作用力Fa,Fb が働くため、ホルダ1に直接シャンクが当接することはない。
これにより、リッパ作業時にはシャンク5がウエアプレート2a,2bに当接するようにしたので、従来のようにホルダの挿入孔の摩耗やヘタリが発生しないので耐久性が向上する。
この場合、ウエアプレート2a,2bの材料は、硬度の高い耐摩耗鋼を使用することにより、摩耗やヘタリが起こりにくい。
したがって、従来のようにホルダの溶接補修作業がなくなりブルドーザとして稼働率が向上するとともに、ウエアプレート2a,2bの材料を硬度の高い耐摩耗鋼を使用することにより、摩耗やヘタリが起こりにくい。もし、摩耗やヘタリが起こった場合は、ボルト等の締め付け手段3,4を取外してウエアプレート2a,2bを交換すれば良いので整備性が良い。
【0015】
また、リッパ作業時のシャンク5の先端に加わる外力Fによる反力を、前側のウエアプレート2aと、後側のウエアプレート2bとが受け持つ構造とすれば、ホルダ1に直接シャンク5が当接しない。
これにより、従来のようにホルダの挿入孔の摩耗やヘタリが発生しないので耐久性が向上する。
【0016】
さらに、シャンク5を挿入する挿入孔の段付き溝部1a,1bに取着された所定長さのウエアプレート2a,2bと、ホルダ1とをボルト等の締め付け手段3,4により着脱自在に構成したものである。
これにより、ホルダ1に段付き溝部1a,1bを設けて、この段付き溝部1a,1bに所定長さのウエアプレート2a,2bをボルト等の締め付け手段3,4により着脱自在とする小改造で、従来と同様のシャンクを用いることができるのでコストは安価である。
【0017】
さらにまた、ウエアプレート2a,2bは、反転して使用可能としたことにより、ウエアプレート2a,2bの寿命が2倍となる。
また、ボルト等の締め付け手段3,4がウエアプレート2a,2bの内側から突出しない構造としたので、シャンク5が締め付け手段3の頭部に接触せず、シャンク5および締め付け手段3が損傷することがなく、ウエアプレート2a,2bも十分に機能することができる。
したがって、ウエアプレートの交換間隔が伸びて、補修コストが安価である。
【0018】
また、ウエアプレート2a,2bの幅aシャンク5の幅Lとの関係をa≧Lとしたため、シャンク5の幅全面がウエアプレート2a,2bに当接し、リッパ作業時にシャンクがふらつくことなく保持されるので、シャンクの異常摩耗やヘタリが生じることが無くなり、耐久性が向上する。
【0019】
そして、ホルダ1に設けた段付き溝部1a,1bの角部、および、ウエアプレート2a,2bの角部はR形状、あるいは面取り形状に構成したので、ホルダに設けた段付き溝部1a,1bの角部およびウエアプレート2a,2bの角部から亀裂が発生することがないので、耐久性が向上する。
【0020】
前記実施例において、図7に示す如く、ウエアプレート2a,2bの取付ボルト孔2cと端面S1,S2 との寸法dを等しくし、ホルダ1の段付き溝部1a,1bにも同様な処置を行うことにより、各々の部分でウエアプレート2a,2bは上下反転が可能となる。
通常、上端側のウエアプレート2aは上部に、また下端側のウエアプレート2bは下部に摩耗、ヘタリが生じるので、それぞれのウエアプレート2a,2bを反転して使用することができる。
【0021】
以上の通り説明した本発明のリツパ装置の上記実施例においては、ホルダ1には段付き溝部1a,1bを追加工し、補強板1c乃至1hを溶接にて固着しているが、これらは当初から一体的に成形しても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリッパ装置のホルダの断面図である。
【図2】同、図1のY視図である。
【図3】同、図1のX視図である。
【図4】同、図1のQ部詳細図である。
【図5】同、図4のA−A断面図である。
【図6】同、負荷時のホルダとシャンクとの関係を示す図である。
【図7】同、上下反転可能なウエアプレートを示す図である。
【図8】従来のリッパ装置を装着したブルドーザの側面図である。
【図9】同、リッパ装置のビームの構成を示す図である。
【図10】同、負荷時のホルダとシャンクとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1,1A…ホルダ、1a,1b…段付き溝部、1c,1d,1e,1f,1g,1h…補強板、1K …挿入孔、2a,2b…ウエアプレート、3,4…締め付け手段、5…シャンク、6…ピン、10…リッパ装置、11…アーム、12…ビーム、13…チルトシリンダ、14…リフトシリンダ、20…ブルドーザ、20a…後部ブラケット。

Claims (5)

  1. 車体後方に配設されたホルダのほぼ四角形状の孔に挿入され、上下動自在な断面四角形状のシャンクを有するリッパ装置において、
    シャンク(5) を挿入する挿入孔に段付き溝部(1a,1b) を設け、かつ、この段付き溝部(1a,1b)のそれぞれにウエアプレート(2a,2b) を着脱自在に取着するホルダ(1) を備え、前記ウエアプレート (2a,2b) の幅aとシャンク (5) の幅Lとの関係がa≧Lであることを特徴とするリッパ装置。
  2. シャンク(5) の前面部に当接し、ホルダの上端部の段付き溝部(1a)に取着する前側のウエアプレート(2a)と、この前側のウエアプレート(2a)の反対側で、シャンク(5)の後面部に当接し、ホルダの下端部の段付き溝部(1b)に取着する後側のウエアプレート(2b)とを着脱自在に取着したことを特徴とする請求項1記載のリッパ装置。
  3. シャンク(5) を挿入する挿入孔の段付き溝部(1a,1b)に取着された所定長さのウエアプレート(2a,2b)と、ホルダ(1) とをボルト等の締め付け手段(3,4) により着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1または2記載のリッパ装置。
  4. 請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のリッパ装置において、ウエアプレート(2a,2b) は、反転して使用可能な形状にしてボルト等の締め付け手段(3,4) により着脱自在とするとともに、ボルト等の締め付け手段(3,4)がウエアプレート(2a,2b) の内側から突出しないように構成したことを特徴とするリッパ装置。
  5. ホルダ (1) に設けた段付き溝部 (1a,1b) の角部、および、ウエアプレート (2a,2b) の角部はR形状、あるいは面取り形状としたことを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のリッパ装置。
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