JP3684717B2 - 穀類及び澱粉加工食品用乾燥調味料 - Google Patents

穀類及び澱粉加工食品用乾燥調味料 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、穀類及び澱粉加工食品用乾燥調味料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、白飯だけでなく、調味料が添加されたチャーハン、ドリヤ、ピラフ、炊き込みご飯、寿司飯等の米加工食品、そば、うどん、素麺、スパゲティ等の麺類、及び、わらび餅、白玉、春雨、くずきり等の澱粉加工食品は、それらを保存している過程において食品同士がくっついて付着するという現象を生じる。付着が生じたこれらの食品は食する時に風味を損なうだけでなく、機械を使用して食品を加工する際、食品を機械で分割したりするときに食品が機械へ付着したり、食品同士がくっついてダンゴ状になったりして支障をきたすことがある。これらの弊害を解消する目的で油脂又はその乳化物を添加したり、シュガーエステル等の乳化剤を添加する方法や水溶性ヘミセルロースの水溶液を添加する方法がそれぞれ特開平3−175940号公報、特公昭60−8103号公報、特開平6−121647号公報に開示されている。
【0003】
しかしながら、油脂又はその乳化物を添加する方法は、カロリーが上昇するだけでなく油脂によるベタツキが生じ、必ずしも満足のいく付着防止効果が得られない。また、乳化剤を添加する場合は油脂同様の付着防止効果が得られない上に、乳化剤独特の風味がこれら食品の風味を阻害するという欠点を有する。さらに、水溶性ヘミセルロースの水溶液を添加する方法は、これら油脂や乳化剤の問題点を解決する方法として有効な方法であるが、水溶性ヘミセルロースは多くの場合高分子であるため水溶液を調製する際、その溶解に時間が掛かり、これらの食品調理時に即座に使用するのが難しい。また、液状の調味料に水溶性ヘミセルロースを添加溶解して使用する場合は更に溶解が困難となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、穀類及び澱粉加工食品の調理又は流通過程或いは二次三次加工のときに生じるこれら穀類及び澱粉加工食品のベタツキや粘着といった付着性を防止するとともに、それらの加工をより簡便にする事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、如上の点に鑑み鋭意研究した結果、水溶性ヘミセルロース粉末を米飯加工食品や麺類の様な穀類及び澱粉加工食品に単独或いは他の粉体調味料と混合して添加する事によりこれら穀類及び澱粉加工食品のベタツキや粘着といった付着性を防止し得る事を見いだした。
【0006】
即ち本発明は、水溶性ヘミセルロースを含む穀類及び澱粉加工食品用乾燥調味料、である。
本発明における調味料は乾燥品である必要がある。乾燥は、如何なる方法によって乾燥されたものであってもよく、その乾燥形態としては、粉末状、顆粒状或いは固形状の何れであってもよい。
【0007】
本発明において、対象となる穀類及び澱粉加工食品は米、小麦、トウモロコシ、粟、芋類由来の澱粉等を利用した食品であって、例えば米飯加工食品、麺類、餅類等が挙げられる。
【0008】
水溶性ヘミセルロースは、穀類(米、麦、トウモロコシ等)、油糧種子(椰子、綿実、菜種等)、豆類(小豆、大豆、えんどう等)を原料とし、これをアルカリ域又は酸域ないし中性域の水溶液により抽出することができる。また、場合によってはセルラーゼやヘミセルラーゼ等を用い水不溶性のヘミセルロースを水溶化させる事によっても得ることができる。しかし、これら多くのヘミセルロース原料や抽出方法があるが、工業面では豆類より抽出した水溶性ヘミセルロースが好ましい。その中でも風味や機能の面で大豆由来の水溶性ヘミセルロースが特に好ましく、これらの水溶性ヘミセルロースは市販されている。
【0009】
これらの水溶性ヘミセルロースを乾燥状態の各種調味料に添加する。乾燥状態の調味料とは、例えば粉末醤油、粉末味噌、粉末食酢、食塩、化学調味料、固型ないし顆粒状または粉末スープ、黄粉、砂糖をはじめとする各種粉末甘味料等の各種乾燥した調味料をいい、これらの調味料を適宜配合してインスタント食品によく添付されている、焼き飯(チャーハン)用調味料、スパゲッティ用調味料、寿司用調味料等各種の粉末調味料をも含むものである。
【0010】
水溶性ヘミセルロースの使用量は、以上の調味料による食品の調製方法により異なるが、概ね対象となる食品に対し水溶性ヘミセルロースが0.001から20重量%、好ましくは0.1から5重量%となるように調味料に添加すればよい。勿論、これら穀類及び澱粉加工食品に添加するときは乾燥状態の水溶性ヘミセルロースと乾燥状態の調味料を各々別々に添加しても良いが、簡便性の面で水溶性ヘミセルロースと調味料は混合状態で使用する方が良い。
【0011】すなわち、本発明においては水溶性ヘミセルロース単独で使用することもできるが、各種の調味料と混合状態で使用することにより食品全体への分散状態が良好となるので好ましい。混合の方法は粉体混合が最も簡便な方法である。これらを顆粒状にしても、キュウビック状等に加圧成形しても良い。
【0012】
このように調製された調味料は粉体の物であればチャーハンやスパゲティに直接ふりかけ米飯や麺にからめるだけで良い。なお、わらび餅の様な粉体調味料の付着量の多い物については、別々に使用するのが好ましいようである。すなわち予めわらび餅に水溶性ヘミセルロースをまぶした後に黄粉等の調味料をまぶすと調味料の分散が良くなる。米飯を炊飯する際は洗米した後の米にこの調味料をまぶすか或いは固形状に固めた調味料を炊飯時に添加して置けばよく、乾燥品であるためその保存性が良く加熱殺菌等の殺菌を施す必要が無く、しかも調理が簡便で使い易い。
【0013】
これら水溶性ヘミセルロースを含んだ乾燥調味料を添加した穀類及び澱粉加工食品は、米飯や麺同士の付着を防止し、これらの穀類及び澱粉加工食品の保存流通過程で風味を損ねる事が無く、再加熱した場合も付着防止効果が持続する。
以上のように、本発明における粉末調味料は、水溶性ヘミセルロースを水溶液の状態にする必要がないため極めて簡便性に富むものであり、乾燥状態であるため使用に際して食品がベタつかず分散性が良好である。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施態様を説明するが、これは例示であって本発明の精神がこれらの例示によって制限されるものではない。なお、例中、部および%は何れも重量基準を意味する。
【0015】
実施例1及び比較例1
○炊き込みご飯
洗米した300gの米に400gの水と100gの山菜を加え、以下の配合で調製したキュービック状に固めた乾燥調味料A(水溶性ヘミセルロース添加)及び乾燥調味料B(水溶性ヘミセルロース無添加)をそれぞれ13g及び10.4g添加して炊飯し、650gの炊き込みご飯を得た。こうして得た炊き込みご飯はそのまま食した時と常温5時間保存後及び凍結後電子レンジによる再加熱を行った物について本発明の効果を確認した。但し、水溶性ヘミセルロースは市販品(商品名:ソヤファイブ−S−DN(大豆由来),不二製油(株)製)を用いた。
【0016】
Figure 0003684717
【0017】
○結果
以下に分散効果の評価をまとめた。
Figure 0003684717
【0018】
実施例2及び比較例2
○チャーハン
先ずフライパンに5gの大豆油をいれ卵を1個割り入れ炒め、次に予め炊飯しておいた米飯250gを加え炒める。次に以下の配合で粉体混合した粉末調味料C(水溶性ヘミセルロース添加),粉末調味料D(水溶性ヘミセルロース無添加)をそれぞれ6.5gを添加し、攪拌混合しながら更に炒めチャーハンを調理した。こうして得たチャーハンはそのまま食した時と常温5時間保存時及び凍結後電子レンジによる再加熱を行った物について本発明の効果を確認した。なお、水溶性ヘミセルロースは前例と同じものを用いた。
【0019】
Figure 0003684717
【0020】
○結果
以下に分散効果の評価をまとめた。
Figure 0003684717
【0021】
実施例3及び比較例3
○スパケティ
茹でたスパゲティ200gに以下の配合で粉体混合した粉末調味料E(水溶性ヘミセルロース添加)、粉末調味料F(水溶性ヘミセルロース無添加)をそれぞれ10.5、9.5gを添加し、攪拌混合した。こうして得たスパゲティはそのまま食した時と常温5時間保存時及び凍結後電子レンジによる再加熱を行った物について本発明の効果を確認した。なお、水溶性ヘミセルロースは前例と同じものを用いた。
【0022】
Figure 0003684717
粉末スパゲティ調味料は、市販品(商品名:まぜりゃんせ(たらこ),ブルドックソース(株)製)を用いた。
【0023】
○結果
以下に分散効果の評価をまとめた。
Figure 0003684717
【0024】
【発明の効果】
以上の結果、水溶性ヘミセルロースを用いて調製した乾燥調味料を使用して穀類及び澱粉加工食品を加工すると、風味を損ねることなく食品同士の付着が防止され、食品の分散性が持続する上に再加熱時もベタツクことなく分散性が良好であった。

Claims (2)

  1. 水溶性ヘミセルロース粉末を粉体調味料に添加してなる穀類及び澱粉加工食品用乾燥調味料。
  2. 水溶性ヘミセルロースが大豆由来である請求項1記載の調味料。
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