JP3682949B2 - 釣り用リールの糸長計測装置 - Google Patents

釣り用リールの糸長計測装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸長計測装置、特に、釣り用リールのスプールから繰り出されるあるいはスプールに巻き取られる釣り糸の長さを計測するための釣り用リールの糸長計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
両軸受リールや片軸受リール等の釣り用リールにおいて、スプールから繰り出された釣り糸の長さにより仕掛けの水深を表示する水深表示装置を備えたものが知られている(特開平2−107908号)。この水深表示装置を設けることで仕掛けを正確に同じ棚位置に下ろしたり、投げ釣り時に仕掛けの飛距離を表示できる。
【0003】
この種の水深表示装置は、スプール回転時のスプールから繰り出された糸長を計測する糸長計測部と、糸長計測部で計測された糸長により水深を表示するたとえば液晶ディスプレイからなる水深表示部とを有している。糸長計測部は、スプールの回転数から糸長を算出している。なお、スプールの糸巻径は、スプールへの巻き初めからの回転数や糸の太さに応じて変化し、スプール1回転あたりの糸長は糸巻径により変化する。したがって、従来、スプール回転数や糸の太さを考慮してスプール回転数から糸長を算出するようにしている。
【0004】
具体的には、スプールの釣り糸巻取部分の外周に接触する糸長検出器をリールに装着し、釣り糸をスプールに巻き付けるときに、糸長検出器で計測された実際の糸長とスプール回転数との関係を学習し、その関係を装置内部のメモリに記憶している。そして、魚釣り時には、糸長検出器を外し、スプール回転数と糸長との関係をメモリから読み出しスプール回転数から糸長を算出している。しかし、糸学習が終了すると糸長検出器を外している。このため、糸長検出器を用いて学習する構成では、学習の際の糸長検出器の着脱が煩わしい。
【0005】
そこで、スプールの単位回転当たりの糸長がスプール回転数の一次関数に近似できることに着目して、糸長検出器を用いずに糸長とスプール回転数との関係を算出する技術がすでに提案されている。ここでは、巻終わりの所定長での糸長とスプール回転数とを学習し、巻終わりのスプール総回転数と所定長と巻き付け開始径と所定長でのスプール回転数により一次関数の傾きを求め、切片を巻き付け開始径(通常はスプールの糸巻部分の外径)から求めて、求められた傾きと切片とから一次関数を決定している。そして、この一次関数を巻き初めから現在までのスプール回転数で積分処理することで糸長、つまり水深を算出できる。このような構成の糸長計測装置では、糸長検出器を用いる必要がないので、学習が容易である。
【0006】
一方、スプールの径は、リールの大きさに応じて設定されたサイズの釣り糸を販売される単位である100m単位で巻き付け可能に設定されている。たとえば、6号の釣り糸を300m巻き付けると、スプールのフランジ部の縁まで釣り糸が巻き付けられる。しかし、それより細い釣り糸や太い釣り糸を巻き付けると、端数が生じることがある。たとえば4号の釣り糸を巻き付けると、スプールのフランジ部の縁まで巻き付けると420mのように端数が出てしまうことがある。端数が出た場合に、その分よけいに釣り糸を購入するのは不経済である。そこで、このように設定されたスプールに端数が出るような釣り糸を巻き付ける場合、予め下糸をスプールに適当に巻き付けたり、エコノマイザと呼ばれる筒体をスプールに装着した後、たとえば300mの釣り糸を巻き付けることが通常行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、下巻糸やエコノマイザ等を利用して、市販されている釣り糸を市販された長さでスプールのフランジ部に合わせて巻き付ける場合、釣り糸の巻き付け開始時の糸巻径が変動するので切片を特定しにくい。このため、切片、つまり巻き付け開始時の糸巻径を入力できなければ一次直線を決定できない。したがって、市販の釣り糸を販売された長さを全部スプールに巻き付けるために任意の長さの釣り糸を下巻したり任意の径のエコノマイザを使用すると、糸長を正確に計測できないことになり、仕掛けの水深を正確に表示できない。
【0008】
本発明の課題は、市販された釣り糸を販売された長さでスプールに巻き付けても簡単に糸長を計測できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る釣り用リールの糸長計測装置は、釣り用リールのスプールから繰り出されるあるいはスプールに巻き取られる釣り糸の長さを計測するための装置であって、回転位置データ検出手段と、関数算出手段と、糸長算出手段とを備えている。回転位置データ検出手段は、スプールの回転位置データを検出する手段である。関数算出手段は、釣り糸の全長のデータを用いて、スプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの関係を巻き付け開始時の釣り糸の単位回転当たりの糸長を切片とする関数で算出する手段である。糸長算出手段は、回転位置データ検出手段により検出された回転位置データと関数算出手段で算出された関数に基づき、釣り糸の長さを求める手段である。関数算出手段は、スプールに釣り糸を巻き付ける際に巻き付け開始部分で又は巻き付け終了部分での釣り糸の所定長さと回転位置データ検出手段の検出結果との測定関係を学習する関係学習手段と、測定関係と全長とに基づき、スプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの関係を関数で求める関係算出手段とを有する。
【0010】
この糸長計測装置では、釣り糸の全長のデータを用いて関数算出手段で関数の形で算出されたスプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの関係に基づき、糸長算出手段により回転位置データに基づいて釣り糸の長さが算出される。ここでは、全長のデータを用いて関数を算出するように構成したので、100m単位で市販されることが多い全長が既知の釣り糸を巻き付ける際に巻き付け開始時の糸巻径が変化しても関数を新たに決定できる。このため、市販された釣り糸を販売された長さでスプールに巻き付けるために下巻糸やエコノマイザ等を使用しても、釣り糸の巻き付け開始径に関わらず簡単に糸長を計測できる。また、この場合には、スプールに釣り糸を巻き付けたときに、巻き付け開始部分又は巻き付け終了部分での釣り糸の所定長さと回転位置データ検出手段の検出結果との測定関係、つまり巻き付け開始部分又は終了部分での糸巻径に対するスプールの単位回転当たりの糸長を学習し、この測定関係と全長とに基づき、巻き初めから徐々に太くなる糸巻径に対するスプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの関係を関数で求め、この関数をたとえば積分処理することによりスプールの回転位置データから糸長が算出される。ここでは、巻き付け開始部分又は巻き付け終了部分の短い所定長さでの学習結果と全長とだけで糸巻径により変化するスプールの回転位置データと糸長との関係を算出することができるので、釣り糸の種類に限定されることなく全長さえ既知であれば糸長を簡単に計測できる。
【0011】
発明2に係る釣り用リールの糸長計測装置は、発明1に記載の装置において、関数は一次関数である。この場合には、スプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの関係が簡単な一次関数であるので、関数の算出が容易になる
【0012】
発明に係る釣り用リールの糸長計測装置は、発明1又は2に記載の装置において、関係学習手段は、巻き付終了後所定長さ分前記釣り糸を繰り出したとき又はさらに巻き取ったときに回転位置データ検出手段により検出されたスプールの第1回転位置データを受け付ける第1回転位置データ受付手段を有し、関係算出手段は、スプールへの釣り糸の巻き付け開始時から巻き付け終了時までの回転位置データ検出手段により検出されたスプールの第2回転位置データを受け付ける第2回転位置データ受付手段と、全長のデータを受け付ける全長データ受付手段と、第1及び第2回転位置データと所定長さと全長とにより関係を一次関数に近似する関数近似手段とを有する。
【0013】
この場合には、スプールへの釣り糸の巻き付けが終了した後所定長さ釣り糸を繰り出した又は巻き取ったときの第1回転位置データにより最終巻き付け部分近傍での糸巻径に対するスプールの単位回転当たりの糸長を求める。そして、スプールの単位回転当たりの糸長とスプール回転位置データとの関係が巻き付け開始時の糸巻径による糸長を切片とする一次直線に回帰することに着目して、巻き付け開始から巻き付け終了までの第2回転位置データ、つまりスプールの総回転数と、第1回転位置データと、所定長さと、全長とにより一次直線の傾き及び切片を算出して単位回転当たりの糸長とスプール回転位置データとの相関関係を一次直線に近似する。そして、この一次直線を巻き付け開始時から回転位置データが示す部分まで積分することで回転位置データにより糸長を求める。ここでは、スプールの単位回転当たりの糸長とスプール回転位置データとの関係が一次直線に回帰することに着目して演算処理により回転位置データから糸長を算出しているので、演算処理が容易であり回転位置データから瞬時に糸長を計測できる。
【0014】
発明に係る釣り用リールの糸長計測装置は、発明1からのいずれかに記載の装置において、関数算出手段で算出された関係を記憶するための関係記憶手段をさらに備える。この場合には、学習内容が保存されるので、糸長を算出する際には、記憶手段の内容を読み出して簡単に算出できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1及び図2において、本発明の一実施形態による電動リールは、外部電源から供給された電力により駆動されるとともに、手巻きリールとして使用するときの電源を内部に有するリールである。また、電動リールは糸繰り出し長さ又は糸巻取長さに応じて仕掛けの水深を表示する水深表示機能を有するリールである。
【0016】
電動リールは、釣り竿Rに装着可能なリール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを主に備えている。
【0017】
リール本体1は、左右1対の側板7a,7bとそれらを連結する複数の連結部材7cとからなるフレーム7と、フレーム7の左右を覆う左右の側カバー8a,8bと、フレーム7の前部を覆う前カバー9とを有している。
【0018】
ハンドル2側の側カバー8bには、ハンドル2の回転軸が回転自在に支持されている。後部の連結部材7cの下部には、電源コード18の一端を接続するための本体コネクタ部19が設けられている。電源コード18の一端には本体コネクタ部19に着脱自在に装着されるコードコネクタ部18aが装着されており、他端には、たとえば12ボルトの鉛蓄電池からなる外部電源PSが接続されている。この本体コネクタ部19を介して、外部電源PSの電力がリールに供給される。
【0019】
前カバー9には、図2に示すように、釣り糸通過用の横長の開口9aが形成されるとともに、開口9aの下側(リール本体1の前下部)には、内部電源IP装着用の電源装着部30が形成されている。
【0020】
リール本体1の内部にはハンドル2に連結されたスプール10が回転自在に支持されている。スプール10の内部にはスプール10を糸巻き上げ方向に回転駆動する直流駆動のモータ12が配置されている。また、リール本体の内部には、レベルワインド機構13や磁石ホイール(図示せず)や回転伝達機構(図示せず)やクラッチ機構(図示せず)等が設けられている。
【0021】
レベルワインド機構13は、スプールの前方に配置された釣り糸案内部14を有している。レベルワインド機構13は、スプール10の回転に連動して釣り糸案内部14をスプール10の軸方向に移動させて、釣り糸をスプール10に均一に巻き付けるために設けられている。磁石ホイールは、スプール10に連動して回転し、スプール10の回転方向や回転数を検出するための検出子として機能する。回転伝達機構は、モータ12の回転を減速する遊星歯車機構やハンドル2の逆転を阻止する逆転防止機構やスプール10の糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構を含み、ハンドル2の回転をスプール10に伝達するとともにモータ12の回転をスプール10に伝達する。クラッチ機構は、ハンドル2及びモータ12とスプール10との駆動伝達をオンオフする。また、リール本体1のハンドル2側側面には、クラッチ機構をオンオフ操作するためのクラッチレバー11が配置されている。
【0022】
リール本体1の上部には水密なカウンタケース4が固定されている。カウンタケース4には、図3に詳しく説明するように、上底の2つの基準で仕掛けの水深や棚位置を表示するための液晶ディスプレイからなる水深表示部5と、水深表示部5の周囲に配置された各種の操作キー部6とが設けられている。
【0023】
水深表示部5は、中央に配置された4桁の7セグメント表示の水深表示領域5aと、その下方に配置された3桁の底水深表示領域5bと、水深表示領域5aの図4右方に配置された変速段数表示領域5cと、変速段数表示領域5cの下方に配置された内部電源IPの充電量を表示するための充電量表示領域5dとを含んでいる。充電量表示領域5dでは、たとえば複数本のバー表示で内部電源IPの充電量を表示する。
【0024】
水深表示部5には、「底から」、「100m」、「200m」、「胴径利用」、「指定糸」、「糸送止」、「0セット」の8種類の文字列を表示可能である。「底から」の文字列は、水深表示モードが底からモードの時に表示される。底からモードとは、仕掛けの水深を底基準で表示するモードであり、主に底ものと呼ばれる魚を釣るときに使用される。なお、通常は、仕掛けの水深は水面基準(上からモード)で表示される。
【0025】
「100m」〜「指定糸」までの文字は、学習モードの種類を示しており、いずれかが択一的に選択されると選択された学習モードの文字列のみが表示される。
【0026】
操作キー部6は、水深表示部5の図1右側に上下に並べて配置された増速ボタンSK1、減速ボタンSK2及びモータボタンPWと、左側に上下に並べて配置されたさそいボタンIB、棚メモボタンTB及びモードボタンMDとを有している。
【0027】
モータボタンPWは、押している間だけモータ12をオンするとともに、ダブルクリックすると、次にモータボタンPWが押されるまでモータ12をオンし続けるボタンである。
【0028】
増速ボタンSK1は、駆動されたモータ12を増速するためのボタンであり、減速ボタンSK2は、減速するためのスイッチである。また、モータ12を駆動していないときに増速ボタンSK1を所定時間以上押すと表示モードを「上から」と「底から」との間で切り替えできる。また、減速ボタンSK2を所定時間以上押すと糸送りモード(繰り出し時にクラッチを切った状態でモータ12を駆動させて糸送り速度を速くするモード)をオンオフできる。
【0029】
さそいボタンIBは、仕掛けを棚近傍でさそい上げるさそいモードをセットしたり、さそい学習を行ったり、さそいモードを解除する際に使用されるボタンである。棚メモボタンTBは、上からモードのときの上棚位置や底からモードのときの底棚位置を設定するためのボタンである。なお、棚メモボタンTBを3秒以上押し続けると、水深表示が0セットされる。
【0030】
モードボタンMDは、4種の学習モードを設定するためのスイッチであり、たとえばこれを1回押すと100m学習モードに設定され、2回連続して押すと200m学習モード、3回連続して押すと胴径利用学習モード、4回連続して押すと指定糸学習モードにそれぞれ学習モードが設定される。ここで、100m学習モード及び200m学習モードは、全長が100m又は200mと既知で太さ(号数)や巻き付け開始径が未知の100m単位で市販される釣り糸をスプール10に巻き付ける際に使用される学習モードである。この2つの学習モードでは、糸巻き付け終了部分でのスプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との相関関係を学習し、その学習結果と釣り糸全長にわたるスプール回転数と1回転当たりの糸長との関係を求める。胴径利用学習モードは、長さや太さ(号数)や巻き付け開始径が未知の釣り糸をスプール10に巻き付ける際に使用される学習モードである。この胴径利用学習モードでは、糸巻き付け開始部分と糸巻き付け終了部分とでのスプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との相関関係を学習して釣り糸全長にわたるスプール回転数と1回転当たりの糸長との関係を求める。指定糸学習モードは、記憶部24内に用意された太さ(号数)及び糸長の釣り糸をスプール10に巻き付けるときに使用されるモードである。
【0031】
カウンタケース4内の上部には、図2に示すように、水深表示部5と、表示制御及びモータ制御を行うリール制御部20とが配置されている。カウンタケース4内の下部にはモータ12をPWM駆動するPWM駆動回路31が配置されている。
【0032】
リール制御部20は、カウンタケース4内に配置されたCPU,RAM,ROM,I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータを含んでいる。リール制御部20は、制御プログラムに従って水深表示部5の表示制御やモータ駆動制御等の各種の制御動作を実行する。リール制御部20には、図4に示すように、操作キー部6の各種のボタンとスプール10の回転方向及び回転数を検出するためのスプールセンサ21とスプールカウンタ23とが接続されている。また、リール制御部20には、各種警報を出力するブザー22とPWM駆動回路31と水深表示部5と記憶部24と他の入出力部とが接続されている。
【0033】
PWM駆動回路31は、モータ12を駆動するための駆動素子としてのFETを含んでいる。PWM駆動回路31は、リール制御部20によりデューティ比が制御されてモータ12の速度を可変に駆動する。
【0034】
スプールセンサ21は、図1に示すように前後に並べて配置された2つのリードスイッチ21a,21bから構成されている。リードスイッチ21a,21bは、磁石ホイールに装着された磁石を検出する。この検出パルスをスプールカウンタ23で計数することでスプール10の回転数を検出できる。また、いずれのリードスイッチ21a,21bが先に検出パルスを発したかによりスプール10の回転方向を検出できる。
【0035】
スプールカウンタ23は、スプールセンサ21のオンオフ回数を計数するカウンタであり、この計数値SPによりスプール回転数に関する回転位置データが得られる。スプールカウンタ23は、スプール10が正転(糸繰り出し方向の回転)すると計数値が減少し、逆転すると増加する。
【0036】
記憶部24はたとえばEEPROM等の不揮発メモリからなり、学習結果のデータや糸長算出時に使用する各種のデータ等が記憶されている。
【0037】
次に本実施形態における糸長算出方法の概略を説明する。
本発明では、スプール1回転当たりの糸長Yとスプール回転数Xとの関係を一次直線に近似させることができることを利用して糸長Lを算出している。
【0038】
「100m学習モード」が選択されると、まず全長が100mと設定される。このため巻き始めの胴径、つまり近似1次関数の切片が不明な場合でも糸長の計測が可能である。これは以下の具体的な式により導出される。
【0039】
釣り糸の全長S1mmのみが既知である場合、巻き始めの胴径Bmmが不明のスプール(予め下巻きした状態を含む)に釣り糸を巻き付け、スプール10がc回転で巻き付け終了したとする。次に所定長さS2mmだけ釣り糸を引き出したとき、スプールがd回転したとする。ここで、スプール回転数Xとスプール1回転長さYの関係を、横軸にスプール回転数、縦軸にスプール1回転長さのグラフに対応する値をプロットすると傾きがAの1次直線に近似することができる。
【0040】
Y=AX+Bπ (1)
したがって、スプール回転数Xと1回転長さYの関係を表すグラフは図5に示すような直線となる。そしてスプールがc回転したときのスプール1回転の巻き取り長さをY(c)とする。そしてc回転の巻き取り後、スプールがd回転したときの繰り出し長さをY(c−d)とする。このときY(c)及びY(c−d)は以下のように表すことができる。
【0041】
Y(c)=Ac+Bπ (2)
Y(c−d)=A(c−d)+Bπ (3)
ここで、図5のグラフによると、巻取開始から巻取終了までの台形の面積は、スプールがc回転したときの釣り糸の全巻き取り長さS1を表しているので、面積は以下のように表される。
【0042】
S1=c{Bπ+Y(c)}/2 (4)
したがって、(2)式及び(4)式より、(5)式が導出される。
【0043】
S1=c{Bπ+Ac+Bπ}/2
-=c(Ac+2Bπ)/2 (5)
また、巻取終了から所定長さ繰り出までの台形の面積は、スプールがd回転したときの釣り糸の所定の繰り出し長さS2を表しているので、面積は以下のように表される。
【0044】
S2=d{Y(c−d)+Y(c)}/2 (6)
したがって、(2)、(3)式及び(6)式より、(7)式が導出される。
【0045】
S2=d{A(c−d)+Bπ+Ac+Bπ}/2
=d{2Ac+2Bπ−Ad}/2 (7)
ここで(5)式及び(7)式より、Aについて解くと(8)式のように表される。
【0046】
A=2(cS2−dS1)/cd(c−d) (8)
また(5)式及び(8)式より、Bπについて解くと(9)式のように表される。
【0047】
Bπ={d(2c−d)S1−c2S2}/cd(c−d) (9)
したがって(8)式及び(9)式より、傾きA及び切片Bπを、総回転数c,所定長さ繰り出し回転数d,全長S1及び所定長さS2の4つの既知の定数で表すことができる。このため、巻き付け開始時の糸巻径が不明な場合でも、全長S1が既知であれば、近似一次直線の切片Bπを求めることができる。
【0048】
そして、傾きA,切片Bπの近似の一次直線が決定できれば、算出された傾きAと切片Bπと総回転数cと現在回転数における糸長と0セットの回転数(最初は総回転数と同じ)を記憶部24に記憶する。そして実釣り時にスプール10が回転すると、所定のタイミング(たとえばスプール20回転毎に)に、記憶されたデータを読み出し一次直線を積分処理(面積算出処理)することでそのときの糸長LNを求めることができる。そして求めた糸長LNに基づいて仕掛けの水深(釣り糸先端の水深)を水深表示部5に表示する。
【0049】
たとえば、全長が100m(S1)でスプール10が巻き初めから500回転(c)で巻終わり、そこから10m(S2)繰り出したときにスプールが45回転(d)した場合、(8)式から一次直線の傾きAは下記のようになる。
【0050】
A=2(500×10000−45×100000)/500×45(500−45)
=0.0977
Bπ={45(1000−45)100000−250000・10000}/500・45(500−45)
=175.6
したがって巻き付け開始径Bは、56mm、巻き付け開始時の切片Bπは、175.6mm、傾きAは、0.0977になる。
【0051】
一方、胴径利用学習モードの場合には、巻き付け開始時の糸巻径(胴径)を所定の操作により算出するようにしている。この場合には、スプール回転数Xと1回転長さYの関係を表すグラフは、図11に示すような直線になる。
【0052】
ここで、巻き付け開始時の胴径Bから所定長さS3mm釣り糸を巻き取ったとき、スプール10がe回転したとすると、そのときのスプール1回転あたりの糸長をY(e)とすると、下記(10)式のように表せる。
【0053】
Y(e)=A・e+Bπ (10)
いま、スプール回転数Xとスプール1回転あたりの糸長Yとの関係を示すグラフは、図11に示すようになる。このグラフで糸巻取長さS3は、巻き付け開始時の胴径Bからスプール回転数eまでの台形の面積に等しいので下記(11)式で表わされる。
【0054】
S3=e{Y(e)+Bπ}/2 (11)
(11)式に(10)式を代入すると、
S3=e{A・e+Bπ+Bπ}/2 (12)
(12)式をBπについて解くと下記(13)式になる。
【0055】
Bπ=(2S1−A・e2 )/2e (13)
そして、さらに釣り糸を巻き取り、スプールがc回転したときのスプール1回転あたりの糸長をY(c)とし、そこから所定長さS2を繰り出してスプール10がd回転したときのスプール1回転あたりの糸長をY(c−d)とすると、繰り出し長さS2は、スプール回転数(c−d)からcまでの台形の面積に等しいので、前述した(7)式で表わされる。(7)式を傾きAについて解くと下記(14)式になる。
【0056】
A=2(S2−d・Bπ)/d(2c−d) (14)
したがって、(14)式に(13)式を代入すると下記(15)式が導かれる。
【0057】
A=2{S2−d(2S3−A・e2 )/2e}/d(2c−d) (15)
これを整理すると、
A・d・e(2c−d−e)=2(e・S2−d・S3) (16)
いま、2c−d−eが0ではないとして(16)式をAについて解くと、
A=2(e・S2−d・S3)/d・e(2c−d−e) (17)
これにより、一次直線の傾きAが求められるとともに、(17)式を(13)式に代入することにより、切片Bπが下記(18)式で求められる。
【0058】
Bπ=S3/e−(e・S2−d・S3)/d(2c−d−e) (18)
したがって、巻始めと巻終わりとに特定な操作を行うことにより、5つのデータS2,S3,c,d,eを得て、その5つのデータにより傾きAと切片Bπとを求めることができることがわかる。このため、巻き付け開始時の糸巻径が不明な場合でも、近似一次直線の切片Bπを求めることができる。
【0059】
そして、傾きA,切片Bπの近似の一次直線が決定できれば、前述した100m学習モードの同様に、算出された傾きAと切片Bπと総回転数cと現在回転数における糸長と0セットの回転数(最初は総回転数と同じ)を記憶部24に記憶する。
【0060】
たとえば、下巻したために巻き付け開始径が不明でかつ太さも長さも不明な釣り糸を巻き付けたとき、巻き付けを開始してから10m(S3)巻き付けたときのスプール回転数が50回転(e)で、そこからさらに巻き付けて500回転(c)で巻終わったとする。そこからさらに10m(S2)繰り出したときにスプールが40回転(d)した場合、(17)式及び(18)式から一次直線の傾きAと切片Bπとは下記のようになる。
【0061】
A=2(50×10000−40×10000)/40・50(1000−40−50)
=0.110
Bπ=10000/50−(50・10000−40・10000)/40(1000−40−50)
=197.3
したがって巻き付け開始径Bは、62.8mm、巻き付け開始時の切片Bπは、197.3mm、傾きAは、0.110になる。
【0062】
次に、リール制御部20によって行われる具体的な制御処理を、図6以降の制御フローチャートに従って説明する。
【0063】
電動リールが電源コード18を介して外部電源PSに接続されると、ステップS1において初期設定が行われる。この初期設定ではスプールカウンタ23の計数値をリセットしたり、各種の変数やフラグをリセットしたり、水深表示モードを上からモードに設定する。
【0064】
次にステップS2では表示処理を行う。表示処理では、水深表示等の各種の表示処理を行う。ここで、上からモードのときには、水深表示領域5aに水面基準の水深が表示される
ステップS3では、操作キー部6のいずれかのボタンが押されたか否かを判断する。またステップS4ではスプール10が回転しているか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ21の出力により判断する。ステップS5ではその他の指令や入力がなされたか否かを判断する。
【0065】
キー入力がなされた場合にはステップS3からステップS6に移行してキー入力処理を実行する。またスプール10の回転が検出された場合にはステップS4からステップS7に移行する。ステップS7では各動作モード処理を実行する。
【0066】
その他の指令あるいは入力がなされた場合にはステップS5からステップS8に移行して他の処理を実行する。
【0067】
ステップS6のキー入力処理では、図7のステップS11で学習モードが設定されたか否かを判断する。この判断は、モードボタンMDが押されたか否かにより判断する。ステップS12では、モータボタンPWが押されているか否かを判断する。ステップS13では、増速ボタンSK1が押されているか否かを判断する。ステップS14では、減速ボタンSK2が押されているか否かを判断する。ステップS15では、他のボタンが操作されたか否かを判断する。この他のボタンの操作には棚メモボタンTBやさそいボタンIBの他に各ボタンの所定時間以上の操作も含んでいる。
【0068】
モードボタンMDが押されるとステップS11からステップS16に移行する。ステップS16では、学習モードを実行する。この学習モードは、前述したように100m学習モード、200m学習モード、胴径利用学習モード、指定糸学習モードである。
【0069】
モータボタンPWが押されるとステップS12からステップS17に移行する。ステップS17では、モータ制御処理を実行する。このモータ制御処理では、モータボタンPWがダブルクリックされると、モータ12が回転していないときにはモータ12をオンし、モータ12が回転しているときにはモータ12をオフする。また、モータボタンPWを押し続けると、押している時間だけモータ12をオンする。
【0070】
増速ボタンSK1が押されると、ステップS13からステップS18に移行する。ステップS18では、そのオン時間だけデューティ比を徐々に大きくしてモータ12の回転を増加させる。減速ボタンSK2が押されると、ステップS14からステップS19に移行する。ステップS19では、そのオン時間だけデューティ比を徐々に小さくしてモータ12の回転を減少させる。
【0071】
他のキー入力がなされると、ステップS15からステップS20に移行し、たとえば、現在の水深を棚値にセットするなどの操作されたボタン入力に応じた他のキー処理を行う。
【0072】
ステップS16の学習モード処理では、図8のステップS21で100学習モードか否かを判断する。ステップS22では200m学習モードか否かを判断する。ステップS23では胴径利用学習モードか否かを判断する。ステップS23での判断が「NO」の場合にはステップS24に移行し、指定糸学習モードを実行する。
【0073】
100m学習モードと判断すると、ステップS21からステップS31に移行し、糸巻取りを開始したか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ21によりスプール10が巻取方向に回転を開始したことを検出したことにより判断する。ステップS32では、釣り糸の全長S1にわたる糸巻取りが終了したか否かを判断する。この判断は、所定のキー操作(たとえば棚メモボタンTBの所定時間以上の操作)がなされたか否かにより判断する。糸巻取りが終了した後、所定長さS2(たとえば10m)釣り糸を繰り出してスプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を学習するのであるが、ステップS33では、その10mの繰り出しが終了したか否かを判断する。この判断も所定のキー操作がなされたか否かにより判断する。なお、釣り糸にたとえば10m毎に異なる色づけがなされている場合には、上記繰り出し操作が行えるが、釣り糸によっては色づけがなされていない場合がある。このような場合には、10mの釣り糸を先端に結んでさらに10m釣り糸を巻き取って学習処理してもよい。繰り出しが終了していない場合には、キー入力ルーチンに戻る。
【0074】
糸巻取りが開始されるとステップS31からステップS34に移行する。ステップS34では、スプール回転数Xをスプールカウンタ23の値に応じて増加させる。たとえば、スプールセンサ21がスプール1回転当たり10パルス出力し、スプールカウンタ23がスプール1回転当たり10ずつ増加するときには、スプールカウンタ23が10増加するとスプール回転数Xを1増加する。
【0075】
釣り糸の全長S1にわたる糸巻取りが終了してスプール10の回転が停止し所定のキー操作が行われると、ステップS32からステップS35に移行する。ステップS35では、その後に釣り糸の繰り出しが開始されたか否かを判断する。この判断はスプールセンサ21によりスプール10が糸繰り出し方向に回転を開始したことを検出したことにより判断する。まだ繰り出されていない時には、ステップS37に移行し、巻き取り完了したときのスプール回転数Xを総回転数cにセットする。釣り糸の繰り出しが開始されるとステップS36に移行し、釣り糸の繰り出しに応じてスプール回転数Xを減じていく。この減算もステップS34と同様にたとえばスプールカウンタ23が10ずつ減じていくとスプール回転数Xを1減少させる。
【0076】
所定のキー操作により所定長さS2の糸繰り出しが終了したと判断するとステップS33からステップS38に移行する。ステップS38では、スプール総回転数cから繰り出しにより減少したスプール回転数Xを減算し、減算値を繰り出し回転数dにセットする。この繰り出し回転数dが巻取終了後に10m釣り糸を繰り出したときのスプール10の回転数である。ステップS39では、記憶部24から全長S1(100m)及び繰り出し長さS2(10m)を読み出す。この2つのデータは、あらかじめ記憶部24に書き込まれている。
【0077】
ステップS40では、得られた4つのデータc,d,S1,S2により上記(8),(9)式により近似一次直線の傾きA及び切片Bπを求め、近似一次直線を算出する。これにより、太さ及び巻き付け開始径(胴径)が未知の釣り糸の全長にわたる、スプール1回転長さYとスプール回転数Xとの相関関係が決定される。
【0078】
ステップS41では、全長S1を糸長LNにセットするとともに、糸長LNを水深0にセットする。そして、ステップS42では総回転数c,切片Bπ,得られた傾きA及び糸長LNを記憶部24に記憶する。これらの処理が終了するとキー入力ルーチンに戻る。この100m学習モードでは、巻き付ける釣り糸の全長S1が既知として記憶部24に記憶された値により近似一次直線を算出する。
また、200m学習モードと判断されると、ステップS22からステップS25に移行して200m学習モード処理を実行する。この200m学習モード処理は、100m学習モード処理と釣り糸の全長S1が異なるだけであるので、説明を省略する。
【0079】
胴径利用学習モードと判断されると、ステップS22からステップS26に移行して胴径学習モード処理、すなわち未知の切片と傾きとを算出して近似一次直線を得るための処理を行う。胴径利用学習モード処理では、スプール10に直接、または、下巻き糸やエコノマイザに糸長算出のための釣り糸を結んだのち、所定長さS3(たとえば10m)の釣り糸を巻き取ってそのときのスプール回転数eを求める。そして、さらに釣り糸を最後まで巻き取り、巻取終了時のスプール回転数cを求め、最後に所定距離S2(たとえば10m)釣り糸を繰り出してスプール回転数dを求める。そして、得られた5つのデータS3,S2,c,d,eを前記(17),(18)式に代入して傾きAと切片Bπとを求める。
【0080】
具体的には、モードキーMDにより胴径利用学習モードがセットされると、図9のステップS51で、糸巻取りを開始したか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ21によりスプール10が糸巻取方向に回転を開始したことを検出したことにより判断する。ステップS52では、所定長さS3(たとえば10m)の巻取が終了したか否かを判断する。この判断は所定のキー操作がなされたか否かにより判断する。ステップS53では、釣り糸がさらに最後までスプール10に巻き付けられたかか否かを判断する。この判断も所定のキー操作がなされたか否かにより判断する。釣り糸をスプール10に巻き付けた後たとえば10m釣り糸を繰り出してスプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を学習するのであるが、ステップS54では、所定長さS2の釣り糸の繰り出しが終了したか否かを判断する。この判断も所定のキー操作がなされたか否かにより判断する。
【0081】
巻取が開始されたと判断するとステップS51からステップS55に移行する。ステップS55では、スプールの所定長さS3巻き取る間スプール回転数Xをスプールカウンタ23の値に応じて1ずつ増加させる。
【0082】
所定長さS3の巻取が終了したと判断すると、ステップS52からステップS56に移行する。ステップS56では、巻取終了後再度釣り糸の巻取が開始されたか否かを判断する。この判断もスプールセンサ21の状態により判断する。再度巻取が行われていない場合には、ステップS57に移行し、そのときのスプール回転数X、つまり巻き付け開始から10m巻き取ったときの回転数を下巻径算出用の巻取回転数eにセットする。再度巻取が開始されると、スプール回転数Xをスプールカウンタ23の値に応じて1ずつ増加させる。
【0083】
釣り糸の全ての巻取が終了するとステップS53からステップS59に移行する。ステップS59では、巻取終了後釣り糸の繰り出しが開始されたか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ21によりスプール10が糸繰り出し方向に回転を開始したことを検出したことにより判断する。釣り糸の繰り出しが行われていない場合には、ステップS61に移行し、そのときのスプール回転数Xを総回転数cにセットする。繰り出しが開始されると、ステップS60に移行しスプール回転数Xをスプールカウンタ23の値に応じて1ずつ減少させる。この減算もステップS36と同様にたとえばスプールカウンタ23が10ずつ減じていくとスプール回転数Xを1減少させる。
【0084】
所定長さS2の繰り出しが終了すると、ステップS54からステップS62に移行する。ステップS62では、スプール総回転数cから繰り出しにより減少したスプール回転数Xを減算し、減算値を繰り出し回転数dにセットする。この繰り出し回転数dが巻取終了後に10m(S2)釣り糸を繰り出したときのスプール10の回転数である。ステップS62では、記憶部24から巻き取った所定長さS3及び繰り出した所定長さS2を読み出す。この2つのデータは、あらかじめ記憶部24に書き込まれている。
【0085】
ステップS63では、得られた5つのデータc,d,e,S2,S3により上記(17),(18)式により近似一次直線の傾きA及び切片Bπを求め、近似一次直線を算出する。これにより、巻き付け開始時の糸巻径、釣り糸の太さ及び長さが未知の釣り糸の全長にわたる、スプール1回転長さYとスプール回転数Xとの相関関係が決定される。
【0086】
ステップS64では、得られた一次直線を総回転数cの時点で積分処理して巻き初めから巻終わりまでの糸長LNを算出する。そして、糸長LNを水深0にセットする。ステップS64では、総回転数c,切片Bπ,得られた傾きA及び糸長LNを記憶部24に記憶する。これらの処理が終了するとキー入力ルーチンに戻る。
【0087】
ここでは、100m及び200m学習モードで、巻き付け開始径が未知の釣り糸のスプール回転数と糸長との関係を補正するための学習を釣り糸の巻初め部分と略最終糸巻部分の短い糸長でのみ行っているので、煩わしい操作を行うことなく糸長を短時間で簡単に計測することができる。しかも、全長のデータを用いて一次直線の傾きと切片とを算出して一次直線を決定しているので、100m単位で市販されることが多い全長が既知の釣り糸を巻き付ける際に、巻き付け開始時の糸巻径が変化しても関数を新たに決定できる。このため、市販された釣り糸を販売された長さでスプールに巻き付けるために下巻糸やエコノマイザ等を使用しても、釣り糸の巻き付け開始径に関わらず簡単に糸長を計測できる。
【0088】
また、下巻糸やエコノマイザを利用して巻き付け開始径が不明で全長や太さが未知の釣り糸をスプール10に巻き付ける際には、胴径利用学習モードにより巻初めと巻終わりとで2回の学習を行えば、簡単に糸長を計測できる。
【0089】
ステップS7の各動作モード処理では、図10のステップS71でスプール10の回転方向が糸繰り出し方向か否かを判断する。この判断は、スプールセンサ21のいずれのリードスイッチ21a,21bが先にパルスを発したか否かにより判断する。スプール10の回転方向が糸繰り出し方向と判断するとステップS71からステップS72に移行する。ステップS72では、スプール回転数Xを1ずつ減少させる。このステップは、図8のステップS36と同様である。ステップS73では、減少する毎にスプール回転数Xから記憶部24に記憶されたデータを読み出し、水深LXを算出する。この水深がステップS2の表示処理で表示される。ステップS74では、得られた水深LXが棚位置に一致したか、つまり、仕掛けが棚に到達したか否かを判断する。棚位置は、前述したように仕掛けが棚に到達したときに棚メモボタンTBを押すことで記憶部24にセットされる。ステップS75では、他のモードか否かを判断する。他のモードではない場合には、各動作モード処理を終わりメインルーチンに戻る。
【0090】
水深が棚位置に一致するとステップS74からステップS76に移行し、仕掛けが棚に到達したことを報知するためにブザー22を鳴らす。他のモードの場合には、ステップS75からステップS77に移行し、指定された他のモードを実行する。
【0091】
スプール10の回転が糸巻取り方向と判断するとステップS71からステップS78に移行する。ステップS78では、スプール回転数を1ずつ増加させる。ステップS79では、増加する毎にスプール回転数Xから記憶部24に記憶されたデータを読み出し、水深LXを算出する。この水深がステップS2の表示処理で表示される。ステップS80では、水深が船縁停止位置に一致したか否かを判断する。船縁停止位置まで巻き取っていない場合にはメインルーチンに戻る。船縁停止位置に到達するとステップS80からステップS81に移行する。ステップS81では、仕掛けが船縁にあることを報知するためにブザー22を鳴らす。ステップS82では、モータ12をオフする。これにより魚が釣れたときに取り込みやすい位置に魚が配置される。この船縁停止位置は、たとえば水深6m以内で所定時間以上スプール10が停止しているとセットされる。
【0092】
〔他の実施例〕
(a) 電動リールに代えて、水深表示機構を有する手巻きリールにも本発明を適用できる。
【0093】
(b) 両軸受リールに代えて片軸受リールにも本発明を適用できる。
(c) 前記実施形態では、100m学習モードの時に、巻き取り終了後に釣り糸を繰り出していたが、前述したように巻き取り終了後にさらに所定距離の巻取を行って学習するようにしてもよい。
【0094】
(d) 前記実施形態の100m学習モードでは、巻取終了後に所定長さ繰り出したときの回転データを用いていたが、胴径利用学習モードのように巻取開始時に所定長さ釣り糸を巻き取った時の回転データを用いてもよい。
【0095】
(e) スプールの単位回転数当たりの糸長とスプール回転数との関係を近似する関数は、一次関数に限定されず、二次関数や他の関数でもよい。
【0096】
(f) 釣り糸の全長をキー入力できるように構成してもよい。たとえば、全長入力可能な学習モードを設定し、このときには、増速ボタンや減速ボタンを使用して50m単位又は100m単位で釣り糸の全長を入力できるように構成してもよい。
【0097】
【発明の効果】
本発明に係る釣り用リールの糸長計測装置では、全長のデータを用いて関数を算出するように構成したので、100m単位で市販されることが多い全長が既知の釣り糸を巻き付ける際に巻き付け開始時の糸巻径が変化しても関数を新たに決定できる。このため、市販された釣り糸を販売された長さでスプールに巻き付けるために下巻糸やエコノマイザ等を使用しても、釣り糸の巻き付け開始径に関わらず簡単に糸長を計測できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を採用した電動リールの平面図。
【図2】 その断面図。
【図3】 水深表示部の平面図。
【図4】 制御系の構成を示すブロック図。
【図5】 スプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を示すグラフ。
【図6】 メインルーチンを示すフローチャート。
【図7】 キー入力サブルーチンを示すフローチャート。
【図8】 学習モードサブルーチンを示すフローチャート。
【図9】 胴径利用処理サブルーチンを示すフローチャート。
【図10】 各動作モードサブルーチンを示すフローチャート。
【図11】 胴径利用モードのときのスプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
10 スプール
21 スプールセンサ
24 記憶部
30 リール制御部

Claims (4)

  1. 釣り用リールのスプールから繰り出されるあるいは前記スプールに巻き取られる全長が既知の釣り糸の長さを計測するための釣り用リールの糸長計測装置であって、
    前記スプールの回転位置データを検出する回転位置データ検出手段と、
    前記釣り糸の全長のデータを用いて、前記スプールの単位回転当たりの糸長と前記回転位置データとの関係を巻き付け開始時の前記釣り糸の単位回転当たりの糸長を切片とする関数で算出する関数算出手段と、
    前記回転位置データ検出手段により検出された回転位置データと前記関数算出手段で算出された前記関数に基づき前記釣り糸の長さを求める糸長算出手段と、
    を備え
    前記関数算出手段は、前記スプールに釣り糸を巻き付ける際に巻き付け開始部分又は巻き付け終了部分での釣り糸の所定長さと前記回転位置データ検出手段の検出結果との測定関係を学習する関係学習手段と、前記測定関係と前記全長とに基づき、前記スプールの単位回転当たりの糸長と前記回転位置データとの前記関係を前記関数で求める関係算出手段とを有する、釣り用リールの糸長計測装置。
  2. 前記関数は1次関数である、請求項1に記載の釣り用リールの糸長計測装置
  3. 前記関係学習手段は、巻き付終了後前記所定長さ分前記釣り糸を繰り出したとき又はさらに巻き取ったときに前記回転位置データ検出手段により検出された前記スプールの第1回転位置データを受け付ける第1回転位置データ受付手段を有し、
    前記関係算出手段は、前記スプールへの釣り糸の巻き付け開始時から巻き付け終了時までの前記回転位置データ検出手段により検出された前記スプールの第2回転位置データを受け付ける第2回転位置データ受付手段と、
    前記全長のデータを受け付ける全長データ受付手段と、
    前記第1及び第2回転位置データと前記所定長さと前記全長とにより前記関係を一次関数に近似する関数近似手段とを有する、請求項1又は2に記載の釣り用リールの糸長計測装置。
  4. 前記関数算出手段で算出された前記関係を記憶するための関係記憶手段をさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の釣り用リールの糸長計測装置。
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