JP3681181B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。さらに詳しくは、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布が狭く、かつ耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水、有機溶媒、ポリカーボネート生成触媒(重合触媒、重縮合触媒などとも呼ばれている)および末端封止剤(分子量調節剤、重合停止剤、連鎖停止剤などとも呼ばれている)を使用して芳香族ポリカーボネートを製造する方法が知られている。
米国特許第3275601号には、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA、カーボネート前駆体としてホスゲン、アルカリ金属塩基として水酸化ナトリウム、有機溶媒としてジクロロメタン、ポリカーボネート生成触媒としてトリエチルアミン、そして末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用する芳香族ポリカーボネートの製造方法が記載されている。この方法は、ホスゲンを添加する前に末端封止剤を反応系に存在させ、通常の撹拌条件下で芳香族ポリカーボネートを製造している。
【0003】
特公昭37−2198号公報には、有機溶媒と塩基水溶液の2相媒体中において、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させ、低分子量オリゴマーを形成し、次に高分子量ポリカーボネートを形成することよりなるポリカーボネートの製造方法が記載されている。この方法は、乳化状態に維持されている反応媒体中で高分子量ポリカーボネートを製造する方法である。この方法では、末端封止剤を使用せずに、芳香族ポリカーボネートを製造している。
特開昭62−89723号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させて、低分子量のポリカーボネートを形成させ、次いで、乳化状態に維持させている反応媒体中で、高分子量のポリカーボネートを形成させることによりポリカーボネートを製造する方法が記載されている。この方法では、ホスゲン導入前または導入直後に末端封止剤を添加し、得られる低分子量ポリカーボネートを乳化状態とし、その後、水相に残存する芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度がほぼ最低値を示す時点で再び末端封止剤を添加して重合反応を行わせ高分子量のポリカーボネートを形成させることを特徴とするポリカーボネートの製造方法である。この方法は、ホスゲン導入前または導入直後に末端封止剤を添加して芳香族ポリカーボネートを製造している。
【0004】
特開平2−133425号公報には、有機溶媒の存在下で、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液とホスゲンとを反応させて、低分子量のポリカーボネートオリゴマーを形成させ、次いで、該オリゴマーを乳化状態に維持して重合させることにより、高分子量の芳香族ポリカーボネートを製造する方法が記載されている。この方法は、乳化状態にあるポリカーボネートの分子量が、目標とする分子量の70%以上になった時点で3級アミンを添加し、高分子量の芳香族ポリカーボネートを形成させることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法である。この方法では、低分子量のポリカーボネートオリゴマーに末端封止剤を添加した後、乳化状態とし、芳香族ポリカーボネートを製造している。
【0005】
特開平3−199231号公報には、有機溶媒の存在下で、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液とホスゲンとを反応させて、クロロホーメート基を含有する低分子量のポリカーボネートオリゴマーを形成させ、次に、塩基の存在下、該オリゴマーを油中水型乳化状態で重合させることにより、芳香族ポリカーボネートを製造する方法が記載されている。この方法は、該油中水型乳化状態における分散水相の液滴径が平均10μm以下となった後に、3級アミンを添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法である。この方法では、低分子量のポリカーボネートオリゴマーに末端封止剤を添加した後、乳化状態とし、芳香族ポリカーボネートを製造している。
【0006】
特開平4−277521号公報には、赤外分光光度計により測定される末端のOHとCOの吸光度比から算出されるOH/COが、0.25以下であるポリカーボネート樹脂の製造方法が記載されている。この方法は、有機溶媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液とホスゲンとの反応により得られるオリゴマーを含有する反応混合物に、末端封止剤を加えた後乳化させ、次いで、反応混合物を乳化状態で静置して重合することを特徴とする方法である。この方法では、低分子量オリゴマー(オリゴマー)に末端封止剤を添加した後、乳化状態とし、芳香族ポリカーボネートを製造している。
しかし、上記のいずれの方法を用いても、得られる芳香族ポリカーボネートは、低分子量オリゴマーの含有量が多く、分子量分布が広い。
現在、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布の狭い芳香族ポリカーボネートを製造する方法が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布の狭い芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の要望に応えるべく、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関し鋭意検討した結果、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は、
少なくとも一種の芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水および有機溶媒を含む反応系において、
(A)末端封止剤およびポリカーボネート生成触媒の不存在下に界面重合反応を行い、オリゴマーを形成し、
(B)該オリゴマーを、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になるまで、乳化状態で界面重合反応を続け、プレポリマーを形成し、
(C)次いで、末端封止剤を添加し、さらに界面重合反応を行う、
工程からなる芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0009】
本発明の製造方法では、芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水、有機溶媒および末端封止剤が使用される。
本発明の製造方法において、使用される芳香族ジヒドロキシ化合物は、好ましくは、式(1)または式(2)で表される化合物である。
HO−Ar1−Y−Ar2−OH (1)
HO−Ar3−OH (2)
(式中、Ar1、Ar2およびAr3は各々2価の芳香族基を、YはAr1とAr2を結び付ける連結基を表す)
【0010】
式(1)または式(2)において、Ar1、Ar2およびAr3は、各々2価の芳香族基であり、好ましくは、置換または無置換のフェニレン基である。置換フェニレン基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基等である。Ar1とAr2は、好ましくは、両方が、p−フェニレン基、m−フェニレン基またはo−フェニレン基、または、一方がp−フェニレン基であり、一方がm−フェニレン基またはo−フェニレン基である。Ar1とAr2は、特に好ましくは、両方がp−フェニレン基である。
Ar3は、p−フェニレン基、m−フェニレン基またはo−フェニレン基であり、好ましくは、p−フェニレン基またはm−フェニレン基である。
Yは、Ar1とAr2を結び付ける連結基であり、単結合または2価の炭化水素基、または−O−、−S−、−SO−、−SO2 −、−CO−等の炭素と水素以外の原子を含む基である。2価の炭化水素基は、例えば、メチレン基、エチレン基、2,2−プロピリデン基、シクロヘキシリデン基等のアルキリデン基、アリール基等で置換されたアルキリデン基、芳香族基やその他の不飽和の炭化水素基を含有する炭化水素基である。
【0011】
芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジメチルプロパン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン〔”ビスフェノールA”〕、2−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−(3”−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ノナン、
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
【0012】
2,2−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−エチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3'−n−プロピル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−イソプロピル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3'−sec −ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−シクロヘキシル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−アリル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル) プロパン、2,2−ビス(2’,3’,5’,6’−テトラメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−ブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2’,6’−ジブロモ−3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シアノメタン、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−シアノブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、
【0013】
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス (4’−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、8,8−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)トリシクロ〔5,2,1,02,6 〕デカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)アダマンタン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、
【0014】
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリール)エーテル類、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジシクロヘキシル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、3,3’−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スルホン類、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキシアリール)ケトン類、
【0015】
更には、3,3,3’,3’−テトラメチル−6,6’−ジヒドロキシスピロ(ビス)インダン〔”スピロビインダンビスフェノール”〕、3,3’,4,4’−テトラヒドロ−4,4,4’,4’−テトラメチル−2,2’−スピロビ(2H−1−ベンゾピラン)−7,7’−ジオール〔”スピロビクロマン”〕、トランス−2,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(3’−フェノキシ−4’−ヒドロキシフェニル)エチレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシレン、
3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチイン、9,10−ジメチル−2,7−ジヒドロキシフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシピレン、ハイドロキノン、レゾルシン等である。また、ビスフェノールA2モルとイソフタロイルクロライド又はテレフタロイルクロライド1モルとの反応により製造されるエステル結合を含む芳香族ジヒドロキシ化合物も有用である。
これらは単独で、または複数併用してもよい。本発明の製造方法において好ましく使用される芳香族ジヒドロキシ化合物は、ビスフェノールAである。
【0016】
本発明の製造方法において使用されるカーボネート前駆体は、好ましくは、ハロゲン化カルボニル化合物またはハロホーメート化合物である。
ハロゲン化カルボニル化合物としては、通常、ホスゲンと呼ばれる塩化カルボニルが使用される。また、塩素以外のハロゲンより誘導されるハロゲン化カルボニル化合物、例えば、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カルボニルも有用である。また、ハロホーメート基を形成させる能力を有する化合物、例えば、ホスゲンの2量体であるトリクロロメチルクロロホーメートやホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネートも有用である。これらは単独で、または複数併用してもよい。通常、好ましく使用されるハロゲン化カルボニル化合物はホスゲンである。
【0017】
ハロホーメート化合物は、モノまたはビスハロホーメート化合物、またはオリゴマー状のハロホーメート化合物であり、代表的には式(3)で表される化合物である。
X−(O−R−O−C(=O))n −O−R−O−X (3)
(式中、Xは水素原子またはハロカルボニル基を表し、少なくとも1個のXはハロカルボニル基であり、Rは2価の脂肪族基または芳香族基を表し、nは0または正の整数を表す)
式(3)で表される化合物は、脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるモノまたはビスハロホーメート化合物、またはオリゴマー状のハロホーメート化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されるモノまたはビスハロホーメート化合物、またはオリゴマー状のハロホーメート化合物である。尚、オリゴマー状のハロホーメート化合物は、同一分子中に構造の異なるR基を有していてもよい。これらのハロホーメート化合物は単独で、または混合物として使用してもよく、さらにはハロゲン化カルボニル化合物と併用してもよい。
【0018】
式(3)において、2価の脂肪族基Rは、炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数4〜12のシクロアルキレン基または式(4)で表される基である。
−R’−Ar4 −R’− (4)
(式中、R’基は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Ar4 基は、炭素数6〜12の2価の芳香族基を表す)
【0019】
式(3)において、R基が脂肪族基である脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、キシリレンジオール、1,4−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−ビス(3’−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(4’−ヒドロキシブチル)ベンゼン、1,4−ビス(5’−ヒドロキシペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(6’−ヒドロキシヘキシル)ベンゼン等である。
式(3)において、R基が芳香族基である芳香族ジヒドロキシ化合物は、式(1)または式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物であり、例えば、ビスフェノールA、ハイドロキノンである。
【0020】
本発明の製造方法において、特に好ましく使用されるカーボネート前駆体は、ホスゲン、ビスフェノールAのビスクロロホーメートまたはビスフェノールAのオリゴマー状のクロロホーメート化合物である。
カーボネート前駆体の使用量は、ハロゲン化カルボニル化合物を使用する場合、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、約0.9〜約2.0倍モルが好ましく、
約1.0〜約1.5倍モルがより好ましい。ハロホーメート化合物を使用する場合、ハロホーメート化合物に含まれるハロホーメート基数は、ハロホーメート化合物および芳香族ジヒドロキシ化合物に含まれるヒドロキシ基数に対し、約0.9〜約1.5倍当量が好ましく、約1.0〜約1.3倍当量がより好ましい。
カーボネート前駆体は、気体、液体、固体のいずれの状態でも使用することができる。ハロゲン化カルボニル化合物を使用する場合には、気体状態、または有機溶媒に溶解させた有機溶媒溶液として使用することが好ましい。ハロホーメート化合物を使用する場合には、液体状態、固体状態または有機溶媒に溶解させた有機溶媒溶液として使用することが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法において使用されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基(以下、塩基と略記する)は、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である。これらは単独で、または複数併用してもよい。好ましい塩基は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
塩基の使用量は、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、約1.0〜約1.6倍当量である。塩基は通常、水溶液として使用される。また、この水溶液に芳香族ジヒドロキシ化合物を溶解させて使用することもできる。この場合、酸化防止剤として亜硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイトあるいはナトリウムボロハイドライド等を添加してもよい。
塩基は、その全量を工程(A)で使用してもよく、また、一部の量を工程(A)で使用し、残りの量を工程(B)および/または工程(C)において、使用してもよい。また塩基は、工程(A)、工程(B)または工程(C)において、それぞれ1度に全量を使用する必要はなく、断続的または連続的に反応系に添加してもよく、その際、pHを一定値または一定範囲に制御しながら反応系に添加してもよい。
【0022】
本発明の製造方法において使用される水は、蒸留水、イオン交換水、または芳香族ポリカーボネートを製造する際に生じる回収水等であり、さらにそれらを混合したものであってもよい。水は、好ましくは、塩基水溶液、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液、および/または末端封止剤の塩基水溶液として使用される。
水の使用量は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、約0.5〜約5リットルである。芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液を調製する場合、使用される水の量は、芳香族ジヒドロキシ化合物と塩基を溶解させるのに必要な量以上あればよい。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物がビスフェノールAである場合、その量は、ビスフェノールA1モルに対し、約0.8〜約2.2リットルである。
【0023】
本発明の製造方法において使用される有機溶媒は、反応に対して実質的に不活性であり、水に対して実質的に不溶性であり、かつ、芳香族ポリカーボネートを溶解するものであればよい。有機溶媒は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等の脂肪族塩素化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族塩素化炭化水素、またはそれらの混合物である。また、それらの塩素化炭化水素またはそれらの混合物に、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等を混合した有機溶媒でもよい。特に好ましい有機溶媒は、ジクロロメタンである。
また、本発明の製造方法において使用される有機溶媒は、芳香族ポリカーボネートを製造する際に生じる回収有機溶媒でもよい。さらに、その回収有機溶媒と新しい有機溶媒を混合した有機溶媒でもよい。
有機溶媒の使用量は、通常、重合終了時の芳香族ポリカーボネートを含有する有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボネートの濃度が約5〜約35重量%程度になるように使用するのが好ましく、約10〜約20重量%になるように使用するのがより好ましい。
【0024】
本発明の製造方法において使用される末端封止剤は、工程(B)で形成されるプレポリマーの末端基と反応して末端を封止するためのものである。プレポリマーの末端基は、ハロホーメート基またはヒドロキシ基である。
末端封止剤は、1価の芳香族ヒドロキシ化合物、1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体、1価のカルボン酸または1価のカルボン酸のハライド誘導体等である。1価の芳香族ヒドロキシ化合物は、例えば、フェノール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ジ(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2’,4’,4’−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4’−メトキシフェニル)−2−(4”−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩である。
1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体は、上記の1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体等である。
【0025】
1価のカルボン酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、3,3−ジメチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、2,4−ジメチル吉草酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フェノキシ酢酸等の脂肪酸類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、安息香酸、p−メチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−プロピルオキシ安息香酸、p−ブトキシ安息香酸、p−ヘキシルオキシ安息香酸、p−オクチルオキシ安息香酸、p−フェニル安息香酸、p−ベンジル安息香酸、p−クロロ安息香酸等の安息香酸類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩である。
1価のカルボン酸のハライド誘導体は、上記の1価のカルボン酸のハライド誘導体等である。これらは単独で、または複数併用してもよい。
好ましく使用される末端封止剤は、フェノール、p−tert−ブチルフェノールまたはp−クミルフェノールである。
【0026】
末端封止剤の使用量により、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量が決定される。得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は、約15000〜約150000であり、好ましくは、約20000〜約100000であり、より好ましくは、約25000〜約90000であり、特に好ましくは、約30000〜約80000である。上記の範囲の重量平均分子量の芳香族ポリカーボネートを製造するために必要とされる末端封止剤の量は、芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して、約1.0〜約10.0モル%であり、好ましくは、約1.5〜約8.0モル%であり、より好ましくは、約1.7〜約7.0モル%であり、特に好ましくは、約2.0〜約6.0モル%である。
末端封止剤は、固体状態、または液体状態で使用してもよく、有機溶媒溶液、水溶液または塩基水溶液として使用してもよい。
【0027】
本発明の製造方法は、少なくとも一種の芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水および有機溶媒を含む反応系において、
(A)末端封止剤およびポリカーボネート生成触媒の不存在下に界面重合反応を行い、オリゴマーを形成し、
(B)該オリゴマーを、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になるまで、乳化状態で界面重合反応を続け、プレポリマーを形成し、
(C)次いで、末端封止剤を添加し、さらに界面重合反応を行う、
工程からなる芳香族ポリカーボネートの製造方法である。
【0028】
工程(A)では、末端封止剤およびポリカーボネート生成触媒の不存在下に界面重合反応が行われ、オリゴマーが形成される。本明細書におけるオリゴマーとは、低分子量の初期生成物を意味する。この工程は、反応混合物を撹拌せずに界面重合反応を行うことも可能であるが、重合時間を短縮できるという点で、反応混合物を撹拌して界面重合反応を行うことが好ましい。その際、工程(A)の初めから終わりまで撹拌を続ける必要はなく、必要に応じ、有機相と水相の分離を防止する程度に撹拌すればよい。通常、撹拌条件は、有機相と水相が均一に混合する程度が好ましい。また場合により、激しい撹拌条件下で、工程(A)の界面重合反応を行ってもよい。尚、本明細書における界面重合反応とは、本発明の方法により芳香族ポリカーボネートを製造する際に起こるすべての反応がこれに含まれ、それらの反応は、主に、有機相と水相の界面で起こる。
【0029】
次いで、工程(B)では、工程(A)で得られたオリゴマーを乳化状態で界面重合することにより、プレポリマーが形成される。本明細書における乳化状態とは、例えば、乳化状態とした後、撹拌等を行わずに静置しても、界面重合反応が終結するまで、有機相と水相が分離しない状態を意味する。
乳化状態を得る方法としては、撹拌装置で撹拌する方法、またはアルカリ水溶液を添加する方法等がある。撹拌装置としては、パドル、プロペラ、タービンまたはカイ型翼等の単純な撹拌装置、ホモジナイザー、ミキサー、ホモミキサー等の高速撹拌機、スタティックミキサー、コロイドミル、オリフィスミキサー、フロージェットミキサー、超音波乳化装置等がある。
乳化状態を調べる方法としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD1100)等により、分散相の平均液滴径を測定する方法等がある。この方法により測定される乳化状態での分散相の平均液滴径は、例えば、数十μm程度である。
さらに、乳化状態としては、好ましくは、数時間以内、より好ましくは、2〜3時間以内に界面重合反応が終結するような高度な乳化状態が好ましい。そのような高度な乳化状態を得るための撹拌装置としては、ホモジナイザー、ミキサー、ホモミキサー等の高速撹拌機、スタティックミキサー、コロイドミル、オリフィスミキサー、フロージェットミキサー、超音波乳化装置等の撹拌装置がある。以上の方法によりオリゴマーを乳化状態、好ましくは、高度な乳化状態とし、さらに界面重合反応を行うことにより、プレポリマーを形成させる。乳化状態とした後の撹拌条件には特に制限はなく、上述の任意の撹拌装置を使用することができる。また、乳化状態とした後は、撹拌を行わずに静置して、界面重合反応を行うことも可能である。
【0030】
以上の操作により、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%、好ましくは、35%〜95%、より好ましくは、40%〜90%、特に好ましくは、50%〜90%になるまで界面重合反応が続けられる。乳化状態で界面重合反応を行うことにより、重合速度が速くなる。したがって、重合速度を速めることを目的としたポリカーボネート生成触媒は、使用する必要がない。
尚、本明細書におけるプレポリマーとは、工程(B)で得られる、末端が封止されていない芳香族ポリカーボネートを意味する。プレポリマーの重量平均分子量は、約3000〜約149000であり、好ましくは、約7000〜約95000であり、より好ましくは、約10000〜約81000であり、特に好ましくは、約15000〜約72000である。
プレポリマーの重量平均分子量を調べる方法としては、工程(B)で得られる反応混合物の一部を取り出し、静置分離の後、有機相を分液し、酸により中和し、電解質がなくなるまで水で洗浄した後、有機溶媒を留去することにより得られるポリマー成分を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により分析する方法がある。
【0031】
次いで、工程(C)では、工程(B)で得られたプレポリマーに、末端封止剤が添加され、さらに界面重合反応を行われ、芳香族ポリカーボネートが製造される。
末端封止剤の添加時期として、例えば、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20%になる以前に、末端封止剤を添加した場合、両末端が封止されたオリゴマーが多量に生成する。また、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の99%になった後に、末端封止剤を添加した場合、重量平均分子量の制御が困難である。したがって、末端封止剤の添加時期は、プレポリマーの重量平均分子量が、上述の重量平均分子量になった時点が好ましい。
工程(C)での、末端封止剤添加後の撹拌条件には、特に制限はなく、上述の任意の撹拌装置を使用することができる。好ましくは、乳化状態で、より好ましくは、高度な乳化状態で界面重合反応を行う。例えば、工程(B)での乳化状態を維持したまま、任意の撹拌装置でさらに撹拌を続ける方法、乳化状態を形成させる撹拌装置を使用して、乳化状態を再形成し、その後、任意の撹拌装置を使用して、または静置で界面重合反応を行う方法等がある。また工程(C)では、ポリカーボネート生成触媒を使用してもよく、その場合も、撹拌条件には特に制限はない。
また、上記の時期に末端封止剤を添加することにより、分子量3000以下の低分子量オリゴマーが3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満であり、重量平均分子量が約15000〜約150000、好ましくは、約20000〜約100000、より好ましくは、約25000〜約90000、特に好ましくは、約30000〜約80000である芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
【0032】
本発明の製造方法の工程(A)および工程(B)の界面重合反応は、ポリカーボネート生成触媒の不存在下で行われる。工程(A)および/または工程(B)において、ポリカーボネート生成触媒が存在すると、得られる芳香族ポリカーボネートの窒素含有量が多くなるため、好ましくない。工程(C)の界面重合反応は、ポリカーボネート生成触媒の不存在下で行ってもよく、またポリカーボネート生成触媒の存在下で行ってもよい。ポリカーボネート生成触媒の不存在下で、工程(C)の界面重合反応を行う場合には、乳化状態で行うことが好ましい。
本発明の製造方法に適するポリカーボネート生成触媒は、3級アミン、4級アンモニウム塩、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩、含窒素複素環化合物及びその塩、イミノエーテル及びその塩、アミド基を有する化合物等である。
【0033】
ポリカーボネート生成触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−テトラメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−n−ブチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、フェニルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチル−n−オクタデシルアンモニウムクロライド、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムアイオダイド、m−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、トリス(p−クロロフェニル)ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン、テトラ(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド、ベンジルトリエチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−メチルピリジン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、3−メチルピリダジン、4,6−ジメチルピリミジン、1−シクロヘキシル−3,5−ジメチルピラゾール、2,3,5,6−テトラメチルピラジン等が挙げられる。これらは単独で、または複数併用してもよい。
ポリカーボネート生成触媒は、好ましくは3級アミンであり、より好ましくは、総炭素数3〜30の3級アミンであり、特に好ましくは、トリエチルアミンである。
【0034】
工程(C)の界面重合反応を、ポリカーボネート生成触媒の存在下で行う場合、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して、約0.0005モル%以上あればよい。また、その量が過度に多くても、顕著な効果は期待できない。ポリカーボネート生成触媒の量は、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して、約0.0005〜約5モル%である。
ポリカーボネート生成触媒は、液体状態または固体状態で使用してもよく、有機溶媒溶液または水溶液として使用してもよい。
工程(C)の界面重合反応を、ポリカーボネート生成触媒の存在下で行う場合、工程(C)の任意の時点で反応系に添加してもよく、断続的に、または連続的に反応系に添加してもよい。
【0035】
本発明の製造方法は、分岐化剤の使用により、分岐化された芳香族ポリカーボネートを製造することもできる。本発明の製造方法に適する分岐化剤は、芳香族性ヒドロキシ基、ハロホーメート基、カルボン酸基、カルボン酸ハライド基または活性なハロゲン原子等から選ばれる反応基を3つ以上(同種でも異種でもよい)有する化合物である。
分岐化剤の具体例としては、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、2,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェノール、2−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−(2",4”−ジヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、1,1,4,4−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス〔4’,4’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、α,α,α’,α’−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジエチルベンゼン、2,2,5,5−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1,2,3−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4’,4”−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、3,3’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルエーテル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ビス(クロロカルボニルオキシ)安息香酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、4−クロロカルボニルオキシイソフタル酸、5−ヒドロキシフタル酸、5−クロロカルボニルオキシフタル酸、トリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸クロライド、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール等である。
【0036】
分岐化剤の使用量は、製造される芳香族ポリカーボネートの分岐度に応じて決定される。好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して約0.05〜約2.0モル%である。分岐化剤は、固体状態または液体状態で使用してもよく、有機溶媒溶液、水溶液または塩基水溶液として使用してもよい。分岐化剤の添加時期は、特に制限はない。分岐化剤は、反応前に予め加えておいてもよく、反応の任意の時点で添加してもよい。これらは単独で、または複数併用してもよい。
本発明の製造方法は、通常、約10℃〜反応に使用される有機溶媒の沸点温度で実施される。本発明の製造方法は、通常、大気圧下で実施され、所望により、大気圧以下、または大気圧以上の条件下でも実施できる。
【0037】
本発明の製造方法は、バッチ式で実施してもよく、連続式で実施してもよい。本発明の製造方法に使用される反応装置は、槽型反応器、管型反応器または充填塔等の公知の反応装置、またはそれらの反応装置を任意に組み合わせた反応装置等である。これらの反応装置は、先に挙げた撹拌装置を任意に備えることができる。
本発明の製造方法は、槽型反応器の使用により、バッチ式で実施することができる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物、塩基、水および有機溶媒を含む反応系に、カーボネート前駆体またはカーボネート前駆体の有機溶媒溶液を供給し、界面重合反応を行い、オリゴマーが形成され、工程(A)が実施される。次いで、乳化状態として界面重合反応が行われ、プレポリマーが形成され、工程(B)が実施される。次に、末端封止剤が添加され、さらに界面重合反応が行われ、工程(C)が実施される。
【0038】
本発明の製造方法は、槽型反応器の使用により、セミバッチ式で実施することができる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液、有機溶媒およびカーボネート前駆体、またはカーボネート前駆体の有機溶媒溶液を反応系に連続的に供給し、界面重合反応を行い、オリゴマーが形成され、工程(A)が実施される。その後の操作は、バッチ式の場合と同様である。
また、本発明の製造方法は、槽型反応器を数個連続に接続した槽型連続反応装置の使用により、連続式で実施することができる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物を含む塩基水溶液、カーボネート前駆体および有機溶媒、またはカーボネート前駆体の有機溶媒溶液を第1槽に連続的に供給する。第1槽において一定の滞留時間の後、反応混合物は第2槽に連続的に排出される。以下同様に、一定の滞留時間の後、反応混合物は次の反応槽に連続的に排出され、芳香族ポリカーボネートが製造される。その際、任意の、1つまたは複数の反応槽に、乳化状態を形成させるための撹拌装置を備え付ける。末端封止剤は、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になった以降の任意の反応槽に連続的に添加される。この場合、乳化状態を形成させるための撹拌装置が備えられている反応槽以前の1つまたは複数の反応槽が工程(A)の界面重合反応を行う反応装置に相当し、乳化状態を形成させるための撹拌装置が備えられている反応槽から、末端封止剤を添加する反応槽以前までの1つまたは複数の反応槽が工程(B)の界面重合反応を行う反応装置に相当し、末端封止剤の添加以後の1つまたは複数の反応槽が工程(C)の界面重合反応を行う反応装置に相当する。以上のような槽型連続反応装置を使用する方法は、安定した分子量および分子量分布を有する芳香族ポリカーボネートを連続的に製造することができる。
【0039】
さらに、本発明の製造方法は、管型反応器の使用により、連続式で実施することもできる。この場合、槽型連続反応装置を使用する場合と同様の操作により、本発明の製造方法を実施することができる。その際末端封止剤は、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になった以降の管の途中の任意の位置から連続的に添加される。
本発明の製造方法は、槽型反応器、管型反応器または充填塔等の反応装置を任意に組み合わせた連続反応装置の使用により、セミバッチ式または連続式で実施することができる。例えば、反応の初期に、槽型反応器、管型反応器、充填塔および/または反応溶液の初期接触を行わせる装置等を設け、界面重合反応を行い、オリゴマーを連続的に形成させ、工程(A)が実施される。次に、乳化状態を形成させるための撹拌装置を備えた槽型反応器または管型反応器等を使用して、乳化状態とし、さらに槽型反応器および/または管型反応器を使用して界面重合反応を行い、プレポリマーを形成させ、工程(B)が実施される。次いで、その後の任意の反応装置に末端封止剤が添加され、さらに界面重合反応が行われ、工程(C)が実施される。以上のような操作により、本発明の製造方法が実施される。
【0040】
本発明の方法により製造された、芳香族ポリカーボネートを含む反応混合物は、次に、連続操作またはバッチ操作により処理され、芳香族ポリカーボネートが回収される。反応混合物の処理としては、芳香族ポリカーボネートを含む有機相と水相とを分液し、芳香族ポリカーボネートを含む有機相を、必要に応じ、水または希薄アルカリ水溶液により洗浄する。次に、希薄酸水溶液により中和する。その際、使用される酸は、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸等である。その後、実質的に電解質が存在しなくなるまで、繰り返し水で洗浄する。そして、洗浄された芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液から、公知の方法により芳香族ポリカーボネートを回収する。芳香族ポリカーボネートを回収する方法は、蒸留または水蒸気蒸留により有機溶媒を除去する方法、または芳香族ポリカーボネートを溶解しない有機溶媒(貧溶媒)を芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液に添加して、芳香族ポリカーボネートを固体状態とし、得られた芳香族ポリカーボネートの有機溶媒スラリーからろ過等の方法により有機溶媒を分離する方法等がある。
【0041】
さらに具体的には、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液から有機溶媒を蒸留除去し、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液を飽和状態とすることにより芳香族ポリカーボネートを結晶化させ、これを粉砕した後に乾燥して含有する有機溶媒を除去する方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液から有機溶媒を除去しながら加熱して、芳香族ポリカーボネートを溶融状態から直接ペレット化する方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液を温水中に供給して、有機溶媒を除去しながら生成するゲル状物を粉砕する方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液に貧溶媒または非溶媒、および水を添加し、加熱濃縮し、固体状態の芳香族ポリカーボネートを水スラリーとして得る方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液を芳香族ポリカーボネートの粉体を含む温水中に添加して有機溶媒を蒸発留去することにより固体状態の芳香族ポリカーボネートを水スラリーとして得る方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液を芳香族ポリカーボネートの粉体および貧溶媒を含む温水中に供給しながら有機溶媒を蒸発留去し、固体状態の芳香族ポリカーボネートを水スラリーとして得る方法等がある。
貧溶媒または非溶媒の具体例は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類等である。
【0042】
本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、単独で、または他のポリマーと混合して成形材料として使用することができる。他のポリマーの具体例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオキシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレート、ポリスルフィド等である。
本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、単独または他のポリマーと混合して、芳香族ポリカーボネートの製造時または製造後に公知の方法で、顔料、染料、加工および熱安定剤、酸化防止剤、加水分解安定剤、耐衝撃安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、有機ハロゲン化合物、アルカリ金属スルホン酸塩、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO2 等の公知の添加剤を一種以上添加してもよい。
【0043】
本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、特定の有機溶媒(例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒)に可溶であり、該有機溶媒溶液よりフィルムのような成形加工品に加工することができる。本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、熱可塑性であり、溶融物から射出成形、押し出し成形、吹き込み成形、積層等の公知の成形法により容易に成形加工することができる。また、本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、単独または他のポリマーと混合した状態で、所望により、上記の添加剤を添加して、電気機器等のシャーシやハウジング材、電子部品、自動車部品、ガラス代替えの建材、データ保存用ディスクまたはオーディオ用コンパクトディスク等の情報記録媒体の基盤、カメラまたは眼鏡のレンズ等の光学材料等に成形することが可能である。
【0044】
【実施例】
以下の実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム442g(11.04モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン471g(4.76モル)を30分間で供給し、オリゴマー溶液を得た。次に、三段六枚羽根の攪拌機を取り外し、代わりにSL型ホモミキサー〔特殊機化工業(株)製〕を取り付け、5000rpmで3分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そしてふたたびSL型ホモミキサーを取り外して、三段六枚羽根の攪拌機を取り付け、さらに7分間撹拌し、プレポリマー溶液を得た。
その後、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して、3.44モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して、0.08モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加して、30分間攪拌し、反応を終結させた。なお、末端封止剤を添加した時点での、プレポリマーの重量平均分子量を第1表(表1)に示した。
その後、反応混合物を静置し、有機相を分液し、塩酸により中和し、電解質が無くなるまで、水で繰り返し洗浄した。得られた芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液に、トルエン2リットルと水5リットルを加え、98℃まで加熱し、ジクロロメタン及びトルエンを留去して、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0045】
実施例2
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム442g(11.04モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン471g(4.76モル)を30分間で供給し、オリゴマー溶液を得た。次に、三段六枚羽根の攪拌機を取り外し、代わりにSL型ホモミキサーを取り付け、7000rpmで2分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そしてそのまま撹拌せずに、静置のまま18分間界面重合反応を行い、プレポリマー溶液を得た。
その後、SL型ホモミキサーを取り外し、ふたたび三段六枚羽根の攪拌機を取り付け、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して3.44モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して、0.08モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加して30分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0046】
実施例3
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム442g(11.04モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン471g(4.76モル)を30分間で供給し、オリゴマー溶液を得た。次に、三段六枚羽根の攪拌機を取り外し、代わりにSL型ホモミキサーを取り付け、5000rpmで3分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そしてふたたびSL型ホモミキサーを取り外して、三段六枚羽根の攪拌機を取り付け、さらに27分間撹拌し、プレポリマー溶液を得た。
その後、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して、3.44モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して、0.08モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加して、30分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0047】
実施例4
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム442g(11.04モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン471g(4.76モル)を30分間で供給し、オリゴマー溶液を得た。次に、三段六枚羽根の攪拌機を取り外し、代わりにSL型ホモミキサーを取り付け、6000rpmで3分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そしてそのまま撹拌せずに、静置のまま57分間界面重合反応を行い、プレポリマー溶液を得た。
その後、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して、3.44モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して、0.08モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加し、6000rpmで3分間撹拌した後、そのまま撹拌せずに、静置のまま27分間界面重合反応を行い、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0048】
実施例5
10リットルのバッフル付フラスコに、SL型ホモミキサーおよび還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA438g(1.92モル)及び水3リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム192g(4.8モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にビスフェノールAのビスクロロホーメート735g(2.08モル)を溶解したジクロロメタン溶液4リットルを添加し、オリゴマー溶液を得た。次に、10000rpmで2分間撹拌し、高度な乳化状態とし、そのまま撹拌せずに58分間静置で界面重合させ、プレポリマー溶液を得た。
その後、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して、3.44モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加した。そしてふたたび10000rpmで2分間撹拌し、高度な乳化状態とし、そのまま撹拌せずに28分間静置で界面重合させ、反応を終結させた。その後の操作は実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0049】
実施例6
実施例5において、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して3.44モル%)を使用する代わりに、p−tert−ブチルフェノール22.9g(ビスフェノールAに対して3.80モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して0.08モル%)を使用した以外は、実施例5と同様の操作により、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0050】
実施例7
還流冷却管を取り付けたバッフル付フラスコを、オーバーフロー用の排出口により4個連続に接続した槽型連続反応装置を使用した。第1槽、第3槽および第4槽の容量は5リットルであり、三段六枚羽根の攪拌機が取り付けられ、第2槽の容量は0.5リットルであり、SL型ホモミキサーが取り付けられた。
撹拌下、第1槽に、ビスフェノールA3653g(16モル)、水酸化ナトリウム1746g(43.65モル)、ナトリウムハイドロサルファイト7.2gを18kgの水に溶解させた総重量23.4kgの水溶液、ホスゲン、ジクロロメタンを、それぞれ97.50g/分、7.78g/分(0.0786モル/分)、88.67g/分で供給した。約37分の滞留時間の後、オリゴマー溶液は第2槽に194.0g/分の速度で排出された。
第2槽がオリゴマー溶液で満たされた時点より、SL型ホモミキサーを5000rpmで回転させ、撹拌を開始した。第2槽において、約4分の滞留時間の後、反応混合物は第3槽に排出され、第3槽では第1槽と同じ滞留時間の後、プレポリマー溶液は第4槽に排出された。
第4槽への排出が始まった時点より、第4槽に、p−tert−ブチルフェノール62.0g(0.413モル)およびトリエチルアミン0.97g(0.0096モル)のジクロロメタン溶液180mlを、1ml/分で供給した。第4槽では第1槽と同じ滞留時間の後、芳香族ポリカーボネートを含む反応混合物が排出された。
p−tert−ブチルフェノールの供給を開始した時点で、第3槽から排出されるプレポリマーの重量平均分子量を測定し、結果を第1表に示した。
第1槽への供給が開始された時点から4時間連続運転した。その間、第3槽および第4槽から連続的に排出される、プレポリマーおよび芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量を30分おきに測定したところ、常に同じ結果が得られ安定していた。
その後、第4槽から排出された反応混合物を分液し、水相を除去し、有機相を塩酸により中和し、電解質が無くなるまで繰り返し水で洗浄した。得られた芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液に、トルエン5リットルと水12.5リットルを加え、98℃まで加熱し、ジクロロメタン及びトルエンを留去して、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0051】
実施例8
第1槽、オーバーフロー用の排出口を介して第2槽、第1管型反応器、第3槽、および第2管型反応器の順に接続された連続反応装置を使用した。第1槽は、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管が取り付けられた5リットルのバッフル付フラスコであり、第2槽および第3槽は、SL型ホモミキサーおよび還流冷却管を取り付けた0.5リットルのフラスコであり、第1管型反応器および第2管型反応器は、内径4cm、全長4mの管型反応器である。
撹拌下、第1槽に、ビスフェノールA3653g(16モル)、水酸化ナトリウム1746g(43.65モル)、ナトリウムハイドロサルファイト7.2gを18kgの水に溶解させた総重量23.4kgの水溶液、ホスゲン、ジクロロメタンを、それぞれ97.50g/分、7.78g/分(0.0786モル/分)、88.67g/分で供給した。約37分の滞留時間の後、オリゴマー溶液は第2槽に194.0g/分の速度で排出された。第2槽がオリゴマー溶液で満たされた時点より、SL型ホモミキサーを5000rpmで回転させ、撹拌を開始した。第2槽において、約4分の滞留時間の後、反応混合物は第1管型反応器に排出された。第1管型反応器では、第1槽と同じ滞留時間の後、プレポリマー溶液が第3槽に排出された。
第3槽への排出が始まった時点より、第3槽に、p−tert−ブチルフェノール62.0g(0.413モル)のジクロロメタン溶液180mlを、1ml/分で供給した。第3槽がプレポリマー溶液で満たされた時点より、SL型ホモミキサーを5000rpmで回転させ、撹拌を開始した。第3槽において、約4分の滞留時間の後、反応混合物は第2管型反応器に排出された。第2管型反応器では、第1槽と同じ滞留時間の後、芳香族ポリカーボネートを含む反応混合物が排出された。
p−tert−ブチルフェノールの供給を開始した時点で、第1管型反応器から排出されるプレポリマーの重量平均分子量を測定し、結果を第1表に示した。
第1槽への供給が開始された時点から4時間連続運転した。その間、第1管型反応器および第2管型反応器から連続的に排出される、プレポリマーおよび芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量を30分おきに測定したところ、常に同じ結果が得られ安定していた。その後の操作は、実施例7と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0052】
比較例1(米国特許第3,275,601号記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して3.44モル%)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム436g(10.91モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物に、ホスゲン467g(4.72モル)を30分間で供給した。その後、トリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して0.08モル%)を添加して60分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0053】
比較例2(特公昭37−2198号公報記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA684g(3.0モル)、ジクロロメタン1.8リットル及び水2.1リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム336g(8.4モル)の水溶液1リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン336g(3.4モル)を50分間で供給した。次に、反応混合物の1部をビーカーに取り出し、SL型ホモミキサーを使用して、10000rpmで1分間撹拌し、高度な乳化状態とした。この乳化液を、フラスコ内に戻し、その後ふたたび三段六枚羽根の攪拌機にて2時間撹拌した。その後の操作は実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0054】
比較例3(特開昭62−89723号公報記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA1115g(4.88モル)およびジクロロメタン3.38リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液に、水酸化ナトリウム535g(13.4モル)の水溶液5リットルを供給し、ビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物に、ホスゲン560g(5.66モル)を90分間で供給した。反応温度は25±1℃であった。次に、p−tert−ブチルフェノール18.8g(ビスフェノールAに対して2.57モル%)および水酸化ナトリウム6g(0.15モル)の水溶液300mlを添加した。第1表には、1度目の末端封止剤添加時の、プレポリマーの重量平均分子量を示した。
次に、SL型ホモミキサーを使用して回転数8000rpmで2分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そして再び三段六枚羽根の撹拌機にて20分間撹拌し、その後、p−tert−ブチルフェノール14.1g(ビスフェノールAに対して1.92モル%)のジクロロメタン溶液100mlを添加して110分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0055】
比較例4(特開平2−133425号公報記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットルおよび水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液に、ナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム400g(10モル)の水溶液2.3リットルを供給し、ビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物に、ホスゲン468g(4.73モル)を90分間で供給した。次に、p−tert−ブチルフェノール20.4g(ビスフェノールAに対して3.39モル%)のジクロロメタン溶液0.5リットルおよび水酸化ナトリウム96gの水溶液1.5リットルを添加した。次に、SL型ホモミキサーを使用して回転数6000rpmで3分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そして、再び三段六枚羽根の撹拌機にて60分間撹拌した。その時点での重量平均分子量は、41000であった(目標の75%)。その時点で、トリエチルアミン0.4g(ビスフェノールAに対して0.1モル%)の水溶液10mlを添加してさらに60分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0056】
比較例5(特開平4−277521号公報記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4モル)、ナトリウムハイドロサルファイト2.1g、水酸化ナトリウム438g(10.95モル)、およびジクロロメタン2.8リットルを装入し、水4リットルを加えて溶解させた。
撹拌下、この混合物に、ホスゲン459g(4.64モル)を90分間で供給した。反応温度は25±1℃であった。次に、p−tert−ブチルフェノール16.67g(ビスフェノールAに対して、2.78モル%)および水酸化ナトリウム3.2g(0.08モル)の水溶液250mlを添加した。
その後、SL型ホモミキサーにより回転数8000rpmで2分間撹拌することにより高度な乳化状態とし、そのまま撹拌せずに30±1℃に保持して2時間静置し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0057】
第1表に、各実施例および各比較例における、末端封止剤添加時のプレポリマーの重量平均分子量(Mw)、得られた芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量に対する、プレポリマーの重量平均分子量の到達率(%)を示した。
第2表(表2)に、重合終了後の重量平均分子量(Mw)、分子量分布〔重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)、Mw/Mnが小さいほど、分子量分布が狭いことを示す〕、分子量3000以下の低分子量オリゴマーの含有量(重量%)、およびガラス転移点(Tg、℃)を示した。
なお、測定法は下記に示した通りである。
・重量平均分子量、到達率、分子量分布および低分子量オリゴマーの含有量の測定:
反応混合物を静置し、有機相を分液し、塩酸により中和し、電解質が無くなるまで水で洗浄した後、ジクロロメタンを留去してプレポリマーまたは芳香族ポリカーボネートを得る。得られたプレポリマーまたは芳香族ポリカーボネート0.02gをクロロホルム10gに溶解する。この溶液を、GPC〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、昭和電工(株)社製、GPCシステム−11〕により測定する。プレポリマーについては、重量平均分子量(Mw)および到達率(%)を算出した。芳香族ポリカーボネートについては、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および分子量3000以下の低分子量オリゴマーの含有量(重量%)を算出した。
・ガラス転移点(Tg、℃):DSC〔マックサイエンス(株)社製、DSC−3100〕を用い、昇温速度は16℃/分の条件で測定した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
実施例1〜8より、本発明の製造方法により、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布が狭く、かつ耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネートを好適に製造できることが判る。
また実施例1〜8、比較例1および3〜5より、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布の狭い芳香族ポリカーボネートを製造するためには、本発明の製造方法における末端封止剤の添加時期が非常に重要であることが判る。
また実施例7および8より、本発明の製造方法が連続反応装置を用いて好適に実施できることが判る。
比較例2の製造方法では、目標とする重量平均分子量まで到達していないことが判る。
比較例1〜5の従来の製造方法では、低分子量オリゴマーの含有量が多く、分子量分布の広い芳香族ポリカーボネートしか製造できないことが判る。
以上の結果から、本発明の製造方法により、従来の製造方法と比較して、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布が狭く、かつ耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネートを製造することが可能となった。
【0061】
【発明の効果】
本発明により、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布の狭い芳香族ポリカーボネートを提供することが可能になった。
【産業上の利用分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。さらに詳しくは、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布が狭く、かつ耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水、有機溶媒、ポリカーボネート生成触媒(重合触媒、重縮合触媒などとも呼ばれている)および末端封止剤(分子量調節剤、重合停止剤、連鎖停止剤などとも呼ばれている)を使用して芳香族ポリカーボネートを製造する方法が知られている。
米国特許第3275601号には、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールA、カーボネート前駆体としてホスゲン、アルカリ金属塩基として水酸化ナトリウム、有機溶媒としてジクロロメタン、ポリカーボネート生成触媒としてトリエチルアミン、そして末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用する芳香族ポリカーボネートの製造方法が記載されている。この方法は、ホスゲンを添加する前に末端封止剤を反応系に存在させ、通常の撹拌条件下で芳香族ポリカーボネートを製造している。
【0003】
特公昭37−2198号公報には、有機溶媒と塩基水溶液の2相媒体中において、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させ、低分子量オリゴマーを形成し、次に高分子量ポリカーボネートを形成することよりなるポリカーボネートの製造方法が記載されている。この方法は、乳化状態に維持されている反応媒体中で高分子量ポリカーボネートを製造する方法である。この方法では、末端封止剤を使用せずに、芳香族ポリカーボネートを製造している。
特開昭62−89723号公報には、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させて、低分子量のポリカーボネートを形成させ、次いで、乳化状態に維持させている反応媒体中で、高分子量のポリカーボネートを形成させることによりポリカーボネートを製造する方法が記載されている。この方法では、ホスゲン導入前または導入直後に末端封止剤を添加し、得られる低分子量ポリカーボネートを乳化状態とし、その後、水相に残存する芳香族ジヒドロキシ化合物の濃度がほぼ最低値を示す時点で再び末端封止剤を添加して重合反応を行わせ高分子量のポリカーボネートを形成させることを特徴とするポリカーボネートの製造方法である。この方法は、ホスゲン導入前または導入直後に末端封止剤を添加して芳香族ポリカーボネートを製造している。
【0004】
特開平2−133425号公報には、有機溶媒の存在下で、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液とホスゲンとを反応させて、低分子量のポリカーボネートオリゴマーを形成させ、次いで、該オリゴマーを乳化状態に維持して重合させることにより、高分子量の芳香族ポリカーボネートを製造する方法が記載されている。この方法は、乳化状態にあるポリカーボネートの分子量が、目標とする分子量の70%以上になった時点で3級アミンを添加し、高分子量の芳香族ポリカーボネートを形成させることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法である。この方法では、低分子量のポリカーボネートオリゴマーに末端封止剤を添加した後、乳化状態とし、芳香族ポリカーボネートを製造している。
【0005】
特開平3−199231号公報には、有機溶媒の存在下で、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液とホスゲンとを反応させて、クロロホーメート基を含有する低分子量のポリカーボネートオリゴマーを形成させ、次に、塩基の存在下、該オリゴマーを油中水型乳化状態で重合させることにより、芳香族ポリカーボネートを製造する方法が記載されている。この方法は、該油中水型乳化状態における分散水相の液滴径が平均10μm以下となった後に、3級アミンを添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法である。この方法では、低分子量のポリカーボネートオリゴマーに末端封止剤を添加した後、乳化状態とし、芳香族ポリカーボネートを製造している。
【0006】
特開平4−277521号公報には、赤外分光光度計により測定される末端のOHとCOの吸光度比から算出されるOH/COが、0.25以下であるポリカーボネート樹脂の製造方法が記載されている。この方法は、有機溶媒の存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液とホスゲンとの反応により得られるオリゴマーを含有する反応混合物に、末端封止剤を加えた後乳化させ、次いで、反応混合物を乳化状態で静置して重合することを特徴とする方法である。この方法では、低分子量オリゴマー(オリゴマー)に末端封止剤を添加した後、乳化状態とし、芳香族ポリカーボネートを製造している。
しかし、上記のいずれの方法を用いても、得られる芳香族ポリカーボネートは、低分子量オリゴマーの含有量が多く、分子量分布が広い。
現在、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布の狭い芳香族ポリカーボネートを製造する方法が要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布の狭い芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の要望に応えるべく、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関し鋭意検討した結果、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は、
少なくとも一種の芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水および有機溶媒を含む反応系において、
(A)末端封止剤およびポリカーボネート生成触媒の不存在下に界面重合反応を行い、オリゴマーを形成し、
(B)該オリゴマーを、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になるまで、乳化状態で界面重合反応を続け、プレポリマーを形成し、
(C)次いで、末端封止剤を添加し、さらに界面重合反応を行う、
工程からなる芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【0009】
本発明の製造方法では、芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水、有機溶媒および末端封止剤が使用される。
本発明の製造方法において、使用される芳香族ジヒドロキシ化合物は、好ましくは、式(1)または式(2)で表される化合物である。
HO−Ar1−Y−Ar2−OH (1)
HO−Ar3−OH (2)
(式中、Ar1、Ar2およびAr3は各々2価の芳香族基を、YはAr1とAr2を結び付ける連結基を表す)
【0010】
式(1)または式(2)において、Ar1、Ar2およびAr3は、各々2価の芳香族基であり、好ましくは、置換または無置換のフェニレン基である。置換フェニレン基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基等である。Ar1とAr2は、好ましくは、両方が、p−フェニレン基、m−フェニレン基またはo−フェニレン基、または、一方がp−フェニレン基であり、一方がm−フェニレン基またはo−フェニレン基である。Ar1とAr2は、特に好ましくは、両方がp−フェニレン基である。
Ar3は、p−フェニレン基、m−フェニレン基またはo−フェニレン基であり、好ましくは、p−フェニレン基またはm−フェニレン基である。
Yは、Ar1とAr2を結び付ける連結基であり、単結合または2価の炭化水素基、または−O−、−S−、−SO−、−SO2 −、−CO−等の炭素と水素以外の原子を含む基である。2価の炭化水素基は、例えば、メチレン基、エチレン基、2,2−プロピリデン基、シクロヘキシリデン基等のアルキリデン基、アリール基等で置換されたアルキリデン基、芳香族基やその他の不飽和の炭化水素基を含有する炭化水素基である。
【0011】
芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジメチルプロパン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン〔”ビスフェノールA”〕、2−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−(3”−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ノナン、
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、
【0012】
2,2−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−エチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3'−n−プロピル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−イソプロピル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3'−sec −ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−シクロヘキシル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−アリル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル) プロパン、2,2−ビス(2’,3’,5’,6’−テトラメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−ブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2’,6’−ジブロモ−3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シアノメタン、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−シアノブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、
【0013】
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス (4’−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、8,8−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)トリシクロ〔5,2,1,02,6 〕デカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)アダマンタン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、
【0014】
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリール)エーテル類、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジシクロヘキシル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、3,3’−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類、
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スルホン類、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキシアリール)ケトン類、
【0015】
更には、3,3,3’,3’−テトラメチル−6,6’−ジヒドロキシスピロ(ビス)インダン〔”スピロビインダンビスフェノール”〕、3,3’,4,4’−テトラヒドロ−4,4,4’,4’−テトラメチル−2,2’−スピロビ(2H−1−ベンゾピラン)−7,7’−ジオール〔”スピロビクロマン”〕、トランス−2,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(3’−フェノキシ−4’−ヒドロキシフェニル)エチレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシレン、
3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチイン、9,10−ジメチル−2,7−ジヒドロキシフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシピレン、ハイドロキノン、レゾルシン等である。また、ビスフェノールA2モルとイソフタロイルクロライド又はテレフタロイルクロライド1モルとの反応により製造されるエステル結合を含む芳香族ジヒドロキシ化合物も有用である。
これらは単独で、または複数併用してもよい。本発明の製造方法において好ましく使用される芳香族ジヒドロキシ化合物は、ビスフェノールAである。
【0016】
本発明の製造方法において使用されるカーボネート前駆体は、好ましくは、ハロゲン化カルボニル化合物またはハロホーメート化合物である。
ハロゲン化カルボニル化合物としては、通常、ホスゲンと呼ばれる塩化カルボニルが使用される。また、塩素以外のハロゲンより誘導されるハロゲン化カルボニル化合物、例えば、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カルボニルも有用である。また、ハロホーメート基を形成させる能力を有する化合物、例えば、ホスゲンの2量体であるトリクロロメチルクロロホーメートやホスゲンの3量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネートも有用である。これらは単独で、または複数併用してもよい。通常、好ましく使用されるハロゲン化カルボニル化合物はホスゲンである。
【0017】
ハロホーメート化合物は、モノまたはビスハロホーメート化合物、またはオリゴマー状のハロホーメート化合物であり、代表的には式(3)で表される化合物である。
X−(O−R−O−C(=O))n −O−R−O−X (3)
(式中、Xは水素原子またはハロカルボニル基を表し、少なくとも1個のXはハロカルボニル基であり、Rは2価の脂肪族基または芳香族基を表し、nは0または正の整数を表す)
式(3)で表される化合物は、脂肪族ジヒドロキシ化合物から誘導されるモノまたはビスハロホーメート化合物、またはオリゴマー状のハロホーメート化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されるモノまたはビスハロホーメート化合物、またはオリゴマー状のハロホーメート化合物である。尚、オリゴマー状のハロホーメート化合物は、同一分子中に構造の異なるR基を有していてもよい。これらのハロホーメート化合物は単独で、または混合物として使用してもよく、さらにはハロゲン化カルボニル化合物と併用してもよい。
【0018】
式(3)において、2価の脂肪族基Rは、炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数4〜12のシクロアルキレン基または式(4)で表される基である。
−R’−Ar4 −R’− (4)
(式中、R’基は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、Ar4 基は、炭素数6〜12の2価の芳香族基を表す)
【0019】
式(3)において、R基が脂肪族基である脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、キシリレンジオール、1,4−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−ビス(3’−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(4’−ヒドロキシブチル)ベンゼン、1,4−ビス(5’−ヒドロキシペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(6’−ヒドロキシヘキシル)ベンゼン等である。
式(3)において、R基が芳香族基である芳香族ジヒドロキシ化合物は、式(1)または式(2)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物であり、例えば、ビスフェノールA、ハイドロキノンである。
【0020】
本発明の製造方法において、特に好ましく使用されるカーボネート前駆体は、ホスゲン、ビスフェノールAのビスクロロホーメートまたはビスフェノールAのオリゴマー状のクロロホーメート化合物である。
カーボネート前駆体の使用量は、ハロゲン化カルボニル化合物を使用する場合、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、約0.9〜約2.0倍モルが好ましく、
約1.0〜約1.5倍モルがより好ましい。ハロホーメート化合物を使用する場合、ハロホーメート化合物に含まれるハロホーメート基数は、ハロホーメート化合物および芳香族ジヒドロキシ化合物に含まれるヒドロキシ基数に対し、約0.9〜約1.5倍当量が好ましく、約1.0〜約1.3倍当量がより好ましい。
カーボネート前駆体は、気体、液体、固体のいずれの状態でも使用することができる。ハロゲン化カルボニル化合物を使用する場合には、気体状態、または有機溶媒に溶解させた有機溶媒溶液として使用することが好ましい。ハロホーメート化合物を使用する場合には、液体状態、固体状態または有機溶媒に溶解させた有機溶媒溶液として使用することが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法において使用されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基(以下、塩基と略記する)は、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である。これらは単独で、または複数併用してもよい。好ましい塩基は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
塩基の使用量は、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、約1.0〜約1.6倍当量である。塩基は通常、水溶液として使用される。また、この水溶液に芳香族ジヒドロキシ化合物を溶解させて使用することもできる。この場合、酸化防止剤として亜硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイトあるいはナトリウムボロハイドライド等を添加してもよい。
塩基は、その全量を工程(A)で使用してもよく、また、一部の量を工程(A)で使用し、残りの量を工程(B)および/または工程(C)において、使用してもよい。また塩基は、工程(A)、工程(B)または工程(C)において、それぞれ1度に全量を使用する必要はなく、断続的または連続的に反応系に添加してもよく、その際、pHを一定値または一定範囲に制御しながら反応系に添加してもよい。
【0022】
本発明の製造方法において使用される水は、蒸留水、イオン交換水、または芳香族ポリカーボネートを製造する際に生じる回収水等であり、さらにそれらを混合したものであってもよい。水は、好ましくは、塩基水溶液、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液、および/または末端封止剤の塩基水溶液として使用される。
水の使用量は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、約0.5〜約5リットルである。芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液を調製する場合、使用される水の量は、芳香族ジヒドロキシ化合物と塩基を溶解させるのに必要な量以上あればよい。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物がビスフェノールAである場合、その量は、ビスフェノールA1モルに対し、約0.8〜約2.2リットルである。
【0023】
本発明の製造方法において使用される有機溶媒は、反応に対して実質的に不活性であり、水に対して実質的に不溶性であり、かつ、芳香族ポリカーボネートを溶解するものであればよい。有機溶媒は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等の脂肪族塩素化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族塩素化炭化水素、またはそれらの混合物である。また、それらの塩素化炭化水素またはそれらの混合物に、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等を混合した有機溶媒でもよい。特に好ましい有機溶媒は、ジクロロメタンである。
また、本発明の製造方法において使用される有機溶媒は、芳香族ポリカーボネートを製造する際に生じる回収有機溶媒でもよい。さらに、その回収有機溶媒と新しい有機溶媒を混合した有機溶媒でもよい。
有機溶媒の使用量は、通常、重合終了時の芳香族ポリカーボネートを含有する有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボネートの濃度が約5〜約35重量%程度になるように使用するのが好ましく、約10〜約20重量%になるように使用するのがより好ましい。
【0024】
本発明の製造方法において使用される末端封止剤は、工程(B)で形成されるプレポリマーの末端基と反応して末端を封止するためのものである。プレポリマーの末端基は、ハロホーメート基またはヒドロキシ基である。
末端封止剤は、1価の芳香族ヒドロキシ化合物、1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体、1価のカルボン酸または1価のカルボン酸のハライド誘導体等である。1価の芳香族ヒドロキシ化合物は、例えば、フェノール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ジ(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2’,4’,4’−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4’−メトキシフェニル)−2−(4”−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩である。
1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体は、上記の1価の芳香族ヒドロキシ化合物のハロホーメート誘導体等である。
【0025】
1価のカルボン酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、3,3−ジメチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、2,4−ジメチル吉草酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フェノキシ酢酸等の脂肪酸類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、安息香酸、p−メチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−プロピルオキシ安息香酸、p−ブトキシ安息香酸、p−ヘキシルオキシ安息香酸、p−オクチルオキシ安息香酸、p−フェニル安息香酸、p−ベンジル安息香酸、p−クロロ安息香酸等の安息香酸類またはそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩である。
1価のカルボン酸のハライド誘導体は、上記の1価のカルボン酸のハライド誘導体等である。これらは単独で、または複数併用してもよい。
好ましく使用される末端封止剤は、フェノール、p−tert−ブチルフェノールまたはp−クミルフェノールである。
【0026】
末端封止剤の使用量により、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量が決定される。得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は、約15000〜約150000であり、好ましくは、約20000〜約100000であり、より好ましくは、約25000〜約90000であり、特に好ましくは、約30000〜約80000である。上記の範囲の重量平均分子量の芳香族ポリカーボネートを製造するために必要とされる末端封止剤の量は、芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して、約1.0〜約10.0モル%であり、好ましくは、約1.5〜約8.0モル%であり、より好ましくは、約1.7〜約7.0モル%であり、特に好ましくは、約2.0〜約6.0モル%である。
末端封止剤は、固体状態、または液体状態で使用してもよく、有機溶媒溶液、水溶液または塩基水溶液として使用してもよい。
【0027】
本発明の製造方法は、少なくとも一種の芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水および有機溶媒を含む反応系において、
(A)末端封止剤およびポリカーボネート生成触媒の不存在下に界面重合反応を行い、オリゴマーを形成し、
(B)該オリゴマーを、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になるまで、乳化状態で界面重合反応を続け、プレポリマーを形成し、
(C)次いで、末端封止剤を添加し、さらに界面重合反応を行う、
工程からなる芳香族ポリカーボネートの製造方法である。
【0028】
工程(A)では、末端封止剤およびポリカーボネート生成触媒の不存在下に界面重合反応が行われ、オリゴマーが形成される。本明細書におけるオリゴマーとは、低分子量の初期生成物を意味する。この工程は、反応混合物を撹拌せずに界面重合反応を行うことも可能であるが、重合時間を短縮できるという点で、反応混合物を撹拌して界面重合反応を行うことが好ましい。その際、工程(A)の初めから終わりまで撹拌を続ける必要はなく、必要に応じ、有機相と水相の分離を防止する程度に撹拌すればよい。通常、撹拌条件は、有機相と水相が均一に混合する程度が好ましい。また場合により、激しい撹拌条件下で、工程(A)の界面重合反応を行ってもよい。尚、本明細書における界面重合反応とは、本発明の方法により芳香族ポリカーボネートを製造する際に起こるすべての反応がこれに含まれ、それらの反応は、主に、有機相と水相の界面で起こる。
【0029】
次いで、工程(B)では、工程(A)で得られたオリゴマーを乳化状態で界面重合することにより、プレポリマーが形成される。本明細書における乳化状態とは、例えば、乳化状態とした後、撹拌等を行わずに静置しても、界面重合反応が終結するまで、有機相と水相が分離しない状態を意味する。
乳化状態を得る方法としては、撹拌装置で撹拌する方法、またはアルカリ水溶液を添加する方法等がある。撹拌装置としては、パドル、プロペラ、タービンまたはカイ型翼等の単純な撹拌装置、ホモジナイザー、ミキサー、ホモミキサー等の高速撹拌機、スタティックミキサー、コロイドミル、オリフィスミキサー、フロージェットミキサー、超音波乳化装置等がある。
乳化状態を調べる方法としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD1100)等により、分散相の平均液滴径を測定する方法等がある。この方法により測定される乳化状態での分散相の平均液滴径は、例えば、数十μm程度である。
さらに、乳化状態としては、好ましくは、数時間以内、より好ましくは、2〜3時間以内に界面重合反応が終結するような高度な乳化状態が好ましい。そのような高度な乳化状態を得るための撹拌装置としては、ホモジナイザー、ミキサー、ホモミキサー等の高速撹拌機、スタティックミキサー、コロイドミル、オリフィスミキサー、フロージェットミキサー、超音波乳化装置等の撹拌装置がある。以上の方法によりオリゴマーを乳化状態、好ましくは、高度な乳化状態とし、さらに界面重合反応を行うことにより、プレポリマーを形成させる。乳化状態とした後の撹拌条件には特に制限はなく、上述の任意の撹拌装置を使用することができる。また、乳化状態とした後は、撹拌を行わずに静置して、界面重合反応を行うことも可能である。
【0030】
以上の操作により、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%、好ましくは、35%〜95%、より好ましくは、40%〜90%、特に好ましくは、50%〜90%になるまで界面重合反応が続けられる。乳化状態で界面重合反応を行うことにより、重合速度が速くなる。したがって、重合速度を速めることを目的としたポリカーボネート生成触媒は、使用する必要がない。
尚、本明細書におけるプレポリマーとは、工程(B)で得られる、末端が封止されていない芳香族ポリカーボネートを意味する。プレポリマーの重量平均分子量は、約3000〜約149000であり、好ましくは、約7000〜約95000であり、より好ましくは、約10000〜約81000であり、特に好ましくは、約15000〜約72000である。
プレポリマーの重量平均分子量を調べる方法としては、工程(B)で得られる反応混合物の一部を取り出し、静置分離の後、有機相を分液し、酸により中和し、電解質がなくなるまで水で洗浄した後、有機溶媒を留去することにより得られるポリマー成分を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)等により分析する方法がある。
【0031】
次いで、工程(C)では、工程(B)で得られたプレポリマーに、末端封止剤が添加され、さらに界面重合反応を行われ、芳香族ポリカーボネートが製造される。
末端封止剤の添加時期として、例えば、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20%になる以前に、末端封止剤を添加した場合、両末端が封止されたオリゴマーが多量に生成する。また、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の99%になった後に、末端封止剤を添加した場合、重量平均分子量の制御が困難である。したがって、末端封止剤の添加時期は、プレポリマーの重量平均分子量が、上述の重量平均分子量になった時点が好ましい。
工程(C)での、末端封止剤添加後の撹拌条件には、特に制限はなく、上述の任意の撹拌装置を使用することができる。好ましくは、乳化状態で、より好ましくは、高度な乳化状態で界面重合反応を行う。例えば、工程(B)での乳化状態を維持したまま、任意の撹拌装置でさらに撹拌を続ける方法、乳化状態を形成させる撹拌装置を使用して、乳化状態を再形成し、その後、任意の撹拌装置を使用して、または静置で界面重合反応を行う方法等がある。また工程(C)では、ポリカーボネート生成触媒を使用してもよく、その場合も、撹拌条件には特に制限はない。
また、上記の時期に末端封止剤を添加することにより、分子量3000以下の低分子量オリゴマーが3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満であり、重量平均分子量が約15000〜約150000、好ましくは、約20000〜約100000、より好ましくは、約25000〜約90000、特に好ましくは、約30000〜約80000である芳香族ポリカーボネートを製造することができる。
【0032】
本発明の製造方法の工程(A)および工程(B)の界面重合反応は、ポリカーボネート生成触媒の不存在下で行われる。工程(A)および/または工程(B)において、ポリカーボネート生成触媒が存在すると、得られる芳香族ポリカーボネートの窒素含有量が多くなるため、好ましくない。工程(C)の界面重合反応は、ポリカーボネート生成触媒の不存在下で行ってもよく、またポリカーボネート生成触媒の存在下で行ってもよい。ポリカーボネート生成触媒の不存在下で、工程(C)の界面重合反応を行う場合には、乳化状態で行うことが好ましい。
本発明の製造方法に適するポリカーボネート生成触媒は、3級アミン、4級アンモニウム塩、3級ホスフィン、4級ホスホニウム塩、含窒素複素環化合物及びその塩、イミノエーテル及びその塩、アミド基を有する化合物等である。
【0033】
ポリカーボネート生成触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−テトラメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−n−ブチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−エチルピペリジン、N−メチルモルホリン、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、フェニルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチル−n−オクタデシルアンモニウムクロライド、ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムフルオライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムアイオダイド、m−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、トリス(p−クロロフェニル)ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン、テトラ(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロライド、ベンジルトリエチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、4−メチルピリジン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、3−メチルピリダジン、4,6−ジメチルピリミジン、1−シクロヘキシル−3,5−ジメチルピラゾール、2,3,5,6−テトラメチルピラジン等が挙げられる。これらは単独で、または複数併用してもよい。
ポリカーボネート生成触媒は、好ましくは3級アミンであり、より好ましくは、総炭素数3〜30の3級アミンであり、特に好ましくは、トリエチルアミンである。
【0034】
工程(C)の界面重合反応を、ポリカーボネート生成触媒の存在下で行う場合、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して、約0.0005モル%以上あればよい。また、その量が過度に多くても、顕著な効果は期待できない。ポリカーボネート生成触媒の量は、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して、約0.0005〜約5モル%である。
ポリカーボネート生成触媒は、液体状態または固体状態で使用してもよく、有機溶媒溶液または水溶液として使用してもよい。
工程(C)の界面重合反応を、ポリカーボネート生成触媒の存在下で行う場合、工程(C)の任意の時点で反応系に添加してもよく、断続的に、または連続的に反応系に添加してもよい。
【0035】
本発明の製造方法は、分岐化剤の使用により、分岐化された芳香族ポリカーボネートを製造することもできる。本発明の製造方法に適する分岐化剤は、芳香族性ヒドロキシ基、ハロホーメート基、カルボン酸基、カルボン酸ハライド基または活性なハロゲン原子等から選ばれる反応基を3つ以上(同種でも異種でもよい)有する化合物である。
分岐化剤の具体例としては、フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、2,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェノール、2−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−(2",4”−ジヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、1,1,4,4−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス〔4’,4’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、α,α,α’,α’−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジエチルベンゼン、2,2,5,5−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1,2,3−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4’,4”−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、3,3’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルエーテル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ビス(クロロカルボニルオキシ)安息香酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、4−クロロカルボニルオキシイソフタル酸、5−ヒドロキシフタル酸、5−クロロカルボニルオキシフタル酸、トリメシン酸トリクロライド、シアヌル酸クロライド、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール等である。
【0036】
分岐化剤の使用量は、製造される芳香族ポリカーボネートの分岐度に応じて決定される。好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して約0.05〜約2.0モル%である。分岐化剤は、固体状態または液体状態で使用してもよく、有機溶媒溶液、水溶液または塩基水溶液として使用してもよい。分岐化剤の添加時期は、特に制限はない。分岐化剤は、反応前に予め加えておいてもよく、反応の任意の時点で添加してもよい。これらは単独で、または複数併用してもよい。
本発明の製造方法は、通常、約10℃〜反応に使用される有機溶媒の沸点温度で実施される。本発明の製造方法は、通常、大気圧下で実施され、所望により、大気圧以下、または大気圧以上の条件下でも実施できる。
【0037】
本発明の製造方法は、バッチ式で実施してもよく、連続式で実施してもよい。本発明の製造方法に使用される反応装置は、槽型反応器、管型反応器または充填塔等の公知の反応装置、またはそれらの反応装置を任意に組み合わせた反応装置等である。これらの反応装置は、先に挙げた撹拌装置を任意に備えることができる。
本発明の製造方法は、槽型反応器の使用により、バッチ式で実施することができる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物、塩基、水および有機溶媒を含む反応系に、カーボネート前駆体またはカーボネート前駆体の有機溶媒溶液を供給し、界面重合反応を行い、オリゴマーが形成され、工程(A)が実施される。次いで、乳化状態として界面重合反応が行われ、プレポリマーが形成され、工程(B)が実施される。次に、末端封止剤が添加され、さらに界面重合反応が行われ、工程(C)が実施される。
【0038】
本発明の製造方法は、槽型反応器の使用により、セミバッチ式で実施することができる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液、有機溶媒およびカーボネート前駆体、またはカーボネート前駆体の有機溶媒溶液を反応系に連続的に供給し、界面重合反応を行い、オリゴマーが形成され、工程(A)が実施される。その後の操作は、バッチ式の場合と同様である。
また、本発明の製造方法は、槽型反応器を数個連続に接続した槽型連続反応装置の使用により、連続式で実施することができる。例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物を含む塩基水溶液、カーボネート前駆体および有機溶媒、またはカーボネート前駆体の有機溶媒溶液を第1槽に連続的に供給する。第1槽において一定の滞留時間の後、反応混合物は第2槽に連続的に排出される。以下同様に、一定の滞留時間の後、反応混合物は次の反応槽に連続的に排出され、芳香族ポリカーボネートが製造される。その際、任意の、1つまたは複数の反応槽に、乳化状態を形成させるための撹拌装置を備え付ける。末端封止剤は、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になった以降の任意の反応槽に連続的に添加される。この場合、乳化状態を形成させるための撹拌装置が備えられている反応槽以前の1つまたは複数の反応槽が工程(A)の界面重合反応を行う反応装置に相当し、乳化状態を形成させるための撹拌装置が備えられている反応槽から、末端封止剤を添加する反応槽以前までの1つまたは複数の反応槽が工程(B)の界面重合反応を行う反応装置に相当し、末端封止剤の添加以後の1つまたは複数の反応槽が工程(C)の界面重合反応を行う反応装置に相当する。以上のような槽型連続反応装置を使用する方法は、安定した分子量および分子量分布を有する芳香族ポリカーボネートを連続的に製造することができる。
【0039】
さらに、本発明の製造方法は、管型反応器の使用により、連続式で実施することもできる。この場合、槽型連続反応装置を使用する場合と同様の操作により、本発明の製造方法を実施することができる。その際末端封止剤は、プレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になった以降の管の途中の任意の位置から連続的に添加される。
本発明の製造方法は、槽型反応器、管型反応器または充填塔等の反応装置を任意に組み合わせた連続反応装置の使用により、セミバッチ式または連続式で実施することができる。例えば、反応の初期に、槽型反応器、管型反応器、充填塔および/または反応溶液の初期接触を行わせる装置等を設け、界面重合反応を行い、オリゴマーを連続的に形成させ、工程(A)が実施される。次に、乳化状態を形成させるための撹拌装置を備えた槽型反応器または管型反応器等を使用して、乳化状態とし、さらに槽型反応器および/または管型反応器を使用して界面重合反応を行い、プレポリマーを形成させ、工程(B)が実施される。次いで、その後の任意の反応装置に末端封止剤が添加され、さらに界面重合反応が行われ、工程(C)が実施される。以上のような操作により、本発明の製造方法が実施される。
【0040】
本発明の方法により製造された、芳香族ポリカーボネートを含む反応混合物は、次に、連続操作またはバッチ操作により処理され、芳香族ポリカーボネートが回収される。反応混合物の処理としては、芳香族ポリカーボネートを含む有機相と水相とを分液し、芳香族ポリカーボネートを含む有機相を、必要に応じ、水または希薄アルカリ水溶液により洗浄する。次に、希薄酸水溶液により中和する。その際、使用される酸は、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸等である。その後、実質的に電解質が存在しなくなるまで、繰り返し水で洗浄する。そして、洗浄された芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液から、公知の方法により芳香族ポリカーボネートを回収する。芳香族ポリカーボネートを回収する方法は、蒸留または水蒸気蒸留により有機溶媒を除去する方法、または芳香族ポリカーボネートを溶解しない有機溶媒(貧溶媒)を芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液に添加して、芳香族ポリカーボネートを固体状態とし、得られた芳香族ポリカーボネートの有機溶媒スラリーからろ過等の方法により有機溶媒を分離する方法等がある。
【0041】
さらに具体的には、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液から有機溶媒を蒸留除去し、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液を飽和状態とすることにより芳香族ポリカーボネートを結晶化させ、これを粉砕した後に乾燥して含有する有機溶媒を除去する方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液から有機溶媒を除去しながら加熱して、芳香族ポリカーボネートを溶融状態から直接ペレット化する方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液を温水中に供給して、有機溶媒を除去しながら生成するゲル状物を粉砕する方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液に貧溶媒または非溶媒、および水を添加し、加熱濃縮し、固体状態の芳香族ポリカーボネートを水スラリーとして得る方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液を芳香族ポリカーボネートの粉体を含む温水中に添加して有機溶媒を蒸発留去することにより固体状態の芳香族ポリカーボネートを水スラリーとして得る方法、芳香族ポリカーボネートの有機溶媒溶液を芳香族ポリカーボネートの粉体および貧溶媒を含む温水中に供給しながら有機溶媒を蒸発留去し、固体状態の芳香族ポリカーボネートを水スラリーとして得る方法等がある。
貧溶媒または非溶媒の具体例は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類等である。
【0042】
本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、単独で、または他のポリマーと混合して成形材料として使用することができる。他のポリマーの具体例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオキシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレート、ポリスルフィド等である。
本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、単独または他のポリマーと混合して、芳香族ポリカーボネートの製造時または製造後に公知の方法で、顔料、染料、加工および熱安定剤、酸化防止剤、加水分解安定剤、耐衝撃安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、有機ハロゲン化合物、アルカリ金属スルホン酸塩、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO2 等の公知の添加剤を一種以上添加してもよい。
【0043】
本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、特定の有機溶媒(例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒)に可溶であり、該有機溶媒溶液よりフィルムのような成形加工品に加工することができる。本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、熱可塑性であり、溶融物から射出成形、押し出し成形、吹き込み成形、積層等の公知の成形法により容易に成形加工することができる。また、本発明の方法により製造される芳香族ポリカーボネートは、単独または他のポリマーと混合した状態で、所望により、上記の添加剤を添加して、電気機器等のシャーシやハウジング材、電子部品、自動車部品、ガラス代替えの建材、データ保存用ディスクまたはオーディオ用コンパクトディスク等の情報記録媒体の基盤、カメラまたは眼鏡のレンズ等の光学材料等に成形することが可能である。
【0044】
【実施例】
以下の実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム442g(11.04モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン471g(4.76モル)を30分間で供給し、オリゴマー溶液を得た。次に、三段六枚羽根の攪拌機を取り外し、代わりにSL型ホモミキサー〔特殊機化工業(株)製〕を取り付け、5000rpmで3分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そしてふたたびSL型ホモミキサーを取り外して、三段六枚羽根の攪拌機を取り付け、さらに7分間撹拌し、プレポリマー溶液を得た。
その後、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して、3.44モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して、0.08モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加して、30分間攪拌し、反応を終結させた。なお、末端封止剤を添加した時点での、プレポリマーの重量平均分子量を第1表(表1)に示した。
その後、反応混合物を静置し、有機相を分液し、塩酸により中和し、電解質が無くなるまで、水で繰り返し洗浄した。得られた芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液に、トルエン2リットルと水5リットルを加え、98℃まで加熱し、ジクロロメタン及びトルエンを留去して、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0045】
実施例2
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム442g(11.04モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン471g(4.76モル)を30分間で供給し、オリゴマー溶液を得た。次に、三段六枚羽根の攪拌機を取り外し、代わりにSL型ホモミキサーを取り付け、7000rpmで2分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そしてそのまま撹拌せずに、静置のまま18分間界面重合反応を行い、プレポリマー溶液を得た。
その後、SL型ホモミキサーを取り外し、ふたたび三段六枚羽根の攪拌機を取り付け、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して3.44モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して、0.08モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加して30分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0046】
実施例3
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム442g(11.04モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン471g(4.76モル)を30分間で供給し、オリゴマー溶液を得た。次に、三段六枚羽根の攪拌機を取り外し、代わりにSL型ホモミキサーを取り付け、5000rpmで3分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そしてふたたびSL型ホモミキサーを取り外して、三段六枚羽根の攪拌機を取り付け、さらに27分間撹拌し、プレポリマー溶液を得た。
その後、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して、3.44モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して、0.08モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加して、30分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0047】
実施例4
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム442g(11.04モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン471g(4.76モル)を30分間で供給し、オリゴマー溶液を得た。次に、三段六枚羽根の攪拌機を取り外し、代わりにSL型ホモミキサーを取り付け、6000rpmで3分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そしてそのまま撹拌せずに、静置のまま57分間界面重合反応を行い、プレポリマー溶液を得た。
その後、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して、3.44モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して、0.08モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加し、6000rpmで3分間撹拌した後、そのまま撹拌せずに、静置のまま27分間界面重合反応を行い、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0048】
実施例5
10リットルのバッフル付フラスコに、SL型ホモミキサーおよび還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA438g(1.92モル)及び水3リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム192g(4.8モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にビスフェノールAのビスクロロホーメート735g(2.08モル)を溶解したジクロロメタン溶液4リットルを添加し、オリゴマー溶液を得た。次に、10000rpmで2分間撹拌し、高度な乳化状態とし、そのまま撹拌せずに58分間静置で界面重合させ、プレポリマー溶液を得た。
その後、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して、3.44モル%)のジクロロメタン溶液50mlを添加した。そしてふたたび10000rpmで2分間撹拌し、高度な乳化状態とし、そのまま撹拌せずに28分間静置で界面重合させ、反応を終結させた。その後の操作は実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0049】
実施例6
実施例5において、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して3.44モル%)を使用する代わりに、p−tert−ブチルフェノール22.9g(ビスフェノールAに対して3.80モル%)およびトリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して0.08モル%)を使用した以外は、実施例5と同様の操作により、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0050】
実施例7
還流冷却管を取り付けたバッフル付フラスコを、オーバーフロー用の排出口により4個連続に接続した槽型連続反応装置を使用した。第1槽、第3槽および第4槽の容量は5リットルであり、三段六枚羽根の攪拌機が取り付けられ、第2槽の容量は0.5リットルであり、SL型ホモミキサーが取り付けられた。
撹拌下、第1槽に、ビスフェノールA3653g(16モル)、水酸化ナトリウム1746g(43.65モル)、ナトリウムハイドロサルファイト7.2gを18kgの水に溶解させた総重量23.4kgの水溶液、ホスゲン、ジクロロメタンを、それぞれ97.50g/分、7.78g/分(0.0786モル/分)、88.67g/分で供給した。約37分の滞留時間の後、オリゴマー溶液は第2槽に194.0g/分の速度で排出された。
第2槽がオリゴマー溶液で満たされた時点より、SL型ホモミキサーを5000rpmで回転させ、撹拌を開始した。第2槽において、約4分の滞留時間の後、反応混合物は第3槽に排出され、第3槽では第1槽と同じ滞留時間の後、プレポリマー溶液は第4槽に排出された。
第4槽への排出が始まった時点より、第4槽に、p−tert−ブチルフェノール62.0g(0.413モル)およびトリエチルアミン0.97g(0.0096モル)のジクロロメタン溶液180mlを、1ml/分で供給した。第4槽では第1槽と同じ滞留時間の後、芳香族ポリカーボネートを含む反応混合物が排出された。
p−tert−ブチルフェノールの供給を開始した時点で、第3槽から排出されるプレポリマーの重量平均分子量を測定し、結果を第1表に示した。
第1槽への供給が開始された時点から4時間連続運転した。その間、第3槽および第4槽から連続的に排出される、プレポリマーおよび芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量を30分おきに測定したところ、常に同じ結果が得られ安定していた。
その後、第4槽から排出された反応混合物を分液し、水相を除去し、有機相を塩酸により中和し、電解質が無くなるまで繰り返し水で洗浄した。得られた芳香族ポリカーボネートのジクロロメタン溶液に、トルエン5リットルと水12.5リットルを加え、98℃まで加熱し、ジクロロメタン及びトルエンを留去して、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0051】
実施例8
第1槽、オーバーフロー用の排出口を介して第2槽、第1管型反応器、第3槽、および第2管型反応器の順に接続された連続反応装置を使用した。第1槽は、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管が取り付けられた5リットルのバッフル付フラスコであり、第2槽および第3槽は、SL型ホモミキサーおよび還流冷却管を取り付けた0.5リットルのフラスコであり、第1管型反応器および第2管型反応器は、内径4cm、全長4mの管型反応器である。
撹拌下、第1槽に、ビスフェノールA3653g(16モル)、水酸化ナトリウム1746g(43.65モル)、ナトリウムハイドロサルファイト7.2gを18kgの水に溶解させた総重量23.4kgの水溶液、ホスゲン、ジクロロメタンを、それぞれ97.50g/分、7.78g/分(0.0786モル/分)、88.67g/分で供給した。約37分の滞留時間の後、オリゴマー溶液は第2槽に194.0g/分の速度で排出された。第2槽がオリゴマー溶液で満たされた時点より、SL型ホモミキサーを5000rpmで回転させ、撹拌を開始した。第2槽において、約4分の滞留時間の後、反応混合物は第1管型反応器に排出された。第1管型反応器では、第1槽と同じ滞留時間の後、プレポリマー溶液が第3槽に排出された。
第3槽への排出が始まった時点より、第3槽に、p−tert−ブチルフェノール62.0g(0.413モル)のジクロロメタン溶液180mlを、1ml/分で供給した。第3槽がプレポリマー溶液で満たされた時点より、SL型ホモミキサーを5000rpmで回転させ、撹拌を開始した。第3槽において、約4分の滞留時間の後、反応混合物は第2管型反応器に排出された。第2管型反応器では、第1槽と同じ滞留時間の後、芳香族ポリカーボネートを含む反応混合物が排出された。
p−tert−ブチルフェノールの供給を開始した時点で、第1管型反応器から排出されるプレポリマーの重量平均分子量を測定し、結果を第1表に示した。
第1槽への供給が開始された時点から4時間連続運転した。その間、第1管型反応器および第2管型反応器から連続的に排出される、プレポリマーおよび芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量を30分おきに測定したところ、常に同じ結果が得られ安定していた。その後の操作は、実施例7と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0052】
比較例1(米国特許第3,275,601号記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、p−tert−ブチルフェノール20.7g(ビスフェノールAに対して3.44モル%)、ジクロロメタン4リットル及び水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム436g(10.91モル)の水溶液1.5リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物に、ホスゲン467g(4.72モル)を30分間で供給した。その後、トリエチルアミン0.32g(ビスフェノールAに対して0.08モル%)を添加して60分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0053】
比較例2(特公昭37−2198号公報記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA684g(3.0モル)、ジクロロメタン1.8リットル及び水2.1リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液にナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム336g(8.4モル)の水溶液1リットルを供給し、15℃でビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物にホスゲン336g(3.4モル)を50分間で供給した。次に、反応混合物の1部をビーカーに取り出し、SL型ホモミキサーを使用して、10000rpmで1分間撹拌し、高度な乳化状態とした。この乳化液を、フラスコ内に戻し、その後ふたたび三段六枚羽根の攪拌機にて2時間撹拌した。その後の操作は実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0054】
比較例3(特開昭62−89723号公報記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA1115g(4.88モル)およびジクロロメタン3.38リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液に、水酸化ナトリウム535g(13.4モル)の水溶液5リットルを供給し、ビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物に、ホスゲン560g(5.66モル)を90分間で供給した。反応温度は25±1℃であった。次に、p−tert−ブチルフェノール18.8g(ビスフェノールAに対して2.57モル%)および水酸化ナトリウム6g(0.15モル)の水溶液300mlを添加した。第1表には、1度目の末端封止剤添加時の、プレポリマーの重量平均分子量を示した。
次に、SL型ホモミキサーを使用して回転数8000rpmで2分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そして再び三段六枚羽根の撹拌機にて20分間撹拌し、その後、p−tert−ブチルフェノール14.1g(ビスフェノールAに対して1.92モル%)のジクロロメタン溶液100mlを添加して110分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0055】
比較例4(特開平2−133425号公報記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.0モル)、ジクロロメタン4リットルおよび水4リットルを入れ、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行った。次に、上記懸濁液に、ナトリウムハイドロサルファイト1.8gおよび水酸化ナトリウム400g(10モル)の水溶液2.3リットルを供給し、ビスフェノールAを溶解した。
撹拌下、この混合物に、ホスゲン468g(4.73モル)を90分間で供給した。次に、p−tert−ブチルフェノール20.4g(ビスフェノールAに対して3.39モル%)のジクロロメタン溶液0.5リットルおよび水酸化ナトリウム96gの水溶液1.5リットルを添加した。次に、SL型ホモミキサーを使用して回転数6000rpmで3分間撹拌し、高度な乳化状態とした。そして、再び三段六枚羽根の撹拌機にて60分間撹拌した。その時点での重量平均分子量は、41000であった(目標の75%)。その時点で、トリエチルアミン0.4g(ビスフェノールAに対して0.1モル%)の水溶液10mlを添加してさらに60分間攪拌し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0056】
比較例5(特開平4−277521号公報記載の方法)
10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の攪拌機および還流冷却管を取り付けた。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4モル)、ナトリウムハイドロサルファイト2.1g、水酸化ナトリウム438g(10.95モル)、およびジクロロメタン2.8リットルを装入し、水4リットルを加えて溶解させた。
撹拌下、この混合物に、ホスゲン459g(4.64モル)を90分間で供給した。反応温度は25±1℃であった。次に、p−tert−ブチルフェノール16.67g(ビスフェノールAに対して、2.78モル%)および水酸化ナトリウム3.2g(0.08モル)の水溶液250mlを添加した。
その後、SL型ホモミキサーにより回転数8000rpmで2分間撹拌することにより高度な乳化状態とし、そのまま撹拌せずに30±1℃に保持して2時間静置し、反応を終結させた。その後の操作は、実施例1と同様に行い、芳香族ポリカーボネートの粉体を得た。
【0057】
第1表に、各実施例および各比較例における、末端封止剤添加時のプレポリマーの重量平均分子量(Mw)、得られた芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量に対する、プレポリマーの重量平均分子量の到達率(%)を示した。
第2表(表2)に、重合終了後の重量平均分子量(Mw)、分子量分布〔重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)、Mw/Mnが小さいほど、分子量分布が狭いことを示す〕、分子量3000以下の低分子量オリゴマーの含有量(重量%)、およびガラス転移点(Tg、℃)を示した。
なお、測定法は下記に示した通りである。
・重量平均分子量、到達率、分子量分布および低分子量オリゴマーの含有量の測定:
反応混合物を静置し、有機相を分液し、塩酸により中和し、電解質が無くなるまで水で洗浄した後、ジクロロメタンを留去してプレポリマーまたは芳香族ポリカーボネートを得る。得られたプレポリマーまたは芳香族ポリカーボネート0.02gをクロロホルム10gに溶解する。この溶液を、GPC〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、昭和電工(株)社製、GPCシステム−11〕により測定する。プレポリマーについては、重量平均分子量(Mw)および到達率(%)を算出した。芳香族ポリカーボネートについては、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)および分子量3000以下の低分子量オリゴマーの含有量(重量%)を算出した。
・ガラス転移点(Tg、℃):DSC〔マックサイエンス(株)社製、DSC−3100〕を用い、昇温速度は16℃/分の条件で測定した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
実施例1〜8より、本発明の製造方法により、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布が狭く、かつ耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネートを好適に製造できることが判る。
また実施例1〜8、比較例1および3〜5より、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布の狭い芳香族ポリカーボネートを製造するためには、本発明の製造方法における末端封止剤の添加時期が非常に重要であることが判る。
また実施例7および8より、本発明の製造方法が連続反応装置を用いて好適に実施できることが判る。
比較例2の製造方法では、目標とする重量平均分子量まで到達していないことが判る。
比較例1〜5の従来の製造方法では、低分子量オリゴマーの含有量が多く、分子量分布の広い芳香族ポリカーボネートしか製造できないことが判る。
以上の結果から、本発明の製造方法により、従来の製造方法と比較して、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布が狭く、かつ耐熱性に優れた芳香族ポリカーボネートを製造することが可能となった。
【0061】
【発明の効果】
本発明により、低分子量オリゴマーの含有量が少なく、分子量分布の狭い芳香族ポリカーボネートを提供することが可能になった。
Claims (4)
- 少なくとも一種の芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水および有機溶媒を含む反応系において、
(A)末端封止剤およびポリカーボネート生成触媒の不存在下に界面重合反応を行い、オリゴマーを形成する工程、
(B)該オリゴマーをプレポリマーの重量平均分子量が、得られる芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量の20〜99%になるまで、乳化状態で界面重合反応を続け、プレポリマーを形成する工程、
(C)次いで、末端封止剤を添加し、さらに界面重合反応を行う工程、
からなることを特徴とする、
分子量3000以下の低分子量オリゴマー含有量が3重量%未満の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 工程(C)の界面重合反応を、乳化状態で行うことを特徴とする、
請求項1に記載した芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 工程(C)の界面重合反応を、ポリカーボネート生成触媒の存在下で行うことを特徴とする、
請求項1または2に記載した芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 請求項1乃至3の何れかに記載した製造方法により得られた分子量3000以下の低分子量オリゴマー含有量が3重量%未満の芳香族ポリカーボネート。
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