JP2004018623A - 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法 Download PDF

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Hidenori Nakagawa
中川 秀則
Hiroyuki Muneta
棟田 寛之
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金子 隆
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Abstract

【課題】ポリマー中の末端OH基量や末端クロロホーメート基量が少なく、熱安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させてカーボネートオリゴマー反応液を得て、次いでカーボネートオリゴマー反応液を重合させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法において、反応液の水層中の未反応モノマー濃度が1.0g/L以下となり、且つ得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の30〜60%の粘度平均分子量まで重合反応が進行した時点でアミン系触媒を添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。更に詳しくは高度に末端が封鎖された熱安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、二価フェノールのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基水溶液とホスゲンとの反応によってカーボネートオリゴマーを得て、次いでカーボネートオリゴマーを重合し芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法は知られている。
【0003】
例えば、特公昭37−2198号公報ではオリゴマー溶液を乳化させた後、反応槽で120〜300rpm攪拌下に乳化状態で重合反応を行っており、非乳化状態での重合反応に比べ、迅速に高分子量ポリカーボネート樹脂を形成する利点を有する反面、極めて安定な乳化状態を形成するため、反応終了後のポリマー溶液から不純物を分離し精製するために多くの労力を要し、また得られる製品はポリマー末端OH基が多く残り、熱安定性が劣る欠点を有する。
【0004】
ホスゲン化時に触媒を用いる例としては、特開平4−255717号公報、特開平6−329782号公報、特開平6−107781号公報などがある。これらの方法では、触媒である三級アミンがクロロホーメート基と反応し、熱的に不安定なウレタン結合が多く形成されるため、高温成型時に着色するという問題が残る。
【0005】
また、特開平2−133425号公報では、乳化状態にあるポリカーボネート樹脂の分子量が所定の値の70%以上になった時点で、三級アミンを添加することが示されている。この方法では、熱的に不安定な三級アミンによるウレタン結合は少なくなるものの、分子量を所定の値の70%以上まで重合反応を進めるのに、多くの時間や強力な乳化設備が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリマー中の末端OH基量や末端クロロホーメート基量が少なく、熱安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を効率よく製造する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、反応液の水層中の未反応モノマー濃度が1.0g/L以下となり、且つ得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の30〜60%の粘度平均分子量まで重合反応が進行した時点でアミン系触媒を添加することにより、末端OH基量や末端クロロホーメート基量が少なく、熱安定性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂を製造できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明によれば、二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させてカーボネートオリゴマー反応液を得て、次いでカーボネートオリゴマー反応液を重合させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法において、反応液の水層中の未反応モノマー濃度が1.0g/L以下となり、且つ得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の30〜60%の粘度平均分子量まで重合反応が進行した時点でアミン系触媒を添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法が提供される。
【0009】
本発明において、芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下に界面重合反応せしめて得られるものである。
【0010】
本発明で使用される二価フェノールの例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0011】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用される。
【0012】
アルカリ水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液が好ましく使用される。アルカリ水溶液の濃度は通常5〜10重量%である。また、アルカリ金属水酸化物の使用量は、二価フェノールに対して2.2〜3倍モル用いるのが好ましい。
【0013】
有機溶剤としては、ジクロロメタン(塩化メチレン)、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、ジクロロエチレンなどの脂肪族塩素化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族塩素化炭化水素、またはこれらの混合物などが挙げられ、塩化メチレンが特に好ましい。また、これらの塩素化炭化水素とジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトフェノンなどの有機溶剤との混合物などでも使用できる。また、それらの塩素化炭化水素またはそれらの混合物に、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素などを混合した有機溶剤であってもよい。
【0014】
本発明においては、まず二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下に反応させて、分子末端にクロロホーメート基を有するカーボネートオリゴマーを得る。
【0015】
ホスゲンの使用量は、二価フェノールに対して1.05〜1.15倍モル用いるのが好ましい。また、ホスゲン化時の反応温度は15〜25℃が好ましい。
【0016】
前記ホスゲン化反応により得られたカーボネートオリゴマー反応液は、次いで重合反応させ、ポリカーボネート樹脂を製造する。
【0017】
本発明ではかかる重合反応において、まず前記ホスゲン化反応により得られたカーボネートオリゴマー反応液に分子量調節剤および所望によりアルカリ水溶液を加え、次いで攪拌混合し油中水型の乳化状態にさせる。
【0018】
分子量調節剤としては、公知の単官能フェノール類を用いることができ、取り扱い性やコスト等からフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールが好ましく使用される。分子量調節剤は例えばそのままあるいは有機溶媒に溶解し溶液状態で添加される。ホスゲン化後に分子量調節剤を加えることにより、分子量調節剤のカーボネート化合物の生成量が少なく得られるポリカーボネート樹脂は熱安定性に優れ、また乳化前に分子量調節剤を加えることにより、乳化状態が安定化する利点がある。
【0019】
また、カーボネートオリゴマー反応液を乳化させる前に、アルカリ水溶液をアルカリ金属水酸化物の量として二価フェノール1モルに対して0.3〜0.8モル追加することが安定な乳化状態となり反応性に優れるので好ましい。
【0020】
カーボネートオリゴマー反応液を攪拌、混合して油中水型の乳化状態とさせる装置としては、ホモミキサー、ホモジナイザーなどの高速撹拌機、コロイドミルなどがある。
【0021】
また、反応促進のために用いるアミン系触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒が挙げられ、特に工業的にトリエチルアミンが好ましく用いられる。アミン系触媒の添加量は、使用する二価フェノールに対し0.05〜0.5モル%が好ましい。
【0022】
アミン系触媒の添加時期は、反応液の水層中の未反応モノマー濃度が1.0g/L以下となり、且つ得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の30〜60%の粘度平均分子量まで重合反応が進行した時点である。反応液の水層中の未反応モノマー濃度が1.0g/Lより高い反応液にアミン系触媒を添加すると、反応終了時の水層中の未反応モノマー濃度が高くなり反応収率に劣り、また水層中から未反応モノマーを回収するのに多大な労力が必要となる。また、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の30%に達する前にアミン系触媒を添加すると、熱的に不安定なウレタン結合や末端OH基が多く形成されるため、得られるポリカーボネート樹脂は高温成型時に着色しやすくなる。逆に、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の60%を超えてアミン系触媒を添加する場合は、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の60%まで重合反応を進めるのに、多くの時間や強力な乳化設備などが必要となり、生産性に劣り好ましくない。この問題は、粘度平均分子量が大きくなるほど顕著となる。
【0023】
界面重合法による反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つことが好ましい。
【0024】
重合反応後のポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液は、触媒等の不純物を除去するために好ましくは酸性水溶液、アルカリ水溶液および水による洗浄が施される。
【0025】
酸性水溶液としてはリン酸、塩酸、硫酸等の水溶液が好ましく用いられ、0.0004〜40g/L濃度(またはpH5以下)の水溶液が好ましく使用される。酸性水溶液とポリカーボネート有機溶媒溶液との割合は、酸性水溶液/有機溶媒溶液(容量比)で表して0.2〜1.5の範囲で用いるのが、洗浄が効率的に行われ好ましい。
【0026】
また、酸性水溶液で処理されたポリカーボネート有機溶剤溶液はアルカリ洗浄を行うことも好ましい。アルカリ洗浄に用いるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物が挙げられ、特に水酸化ナトリウムが好ましく用いられ、好ましくは0.1〜20g/L濃度(またはpH11.5以上)の水溶液が使用される。アルカリ水溶液とポリカーボネート有機溶剤溶液との割合は、アルカリ水溶液/有機溶剤溶液(容量比)で表して0.2〜1.5の範囲で用いるのが、洗浄が効率的に行われ好ましい。
【0027】
また、重合反応後のポリカーボネート有機溶剤溶液は最終的に水洗浄が施される。この水洗工程は、好ましくはイオン交換水等の電気伝導度10μS/cm以下、より好ましくは1μS/cm以下の水により行われ、かかる有機溶剤溶液と水とを混合、攪拌した後、静置してあるいは遠心分離機等を用いて有機相と水相とを分液させ、有機相を取り出すことを繰り返し行い、水溶性不純物を除去する。洗浄を行うことにより水溶性不純物が除去され、得られるポリカーボネート樹脂の色相は良好なものとなる。
【0028】
前記水洗浄が施されたポリカーボネート有機溶剤溶液は、次いで、溶剤を除去してポリカーボネート樹脂を固体として回収する操作が行われる。ポリカーボネート樹脂を固体として回収する方法としては、ポリカーボネート樹脂に対する非溶媒または貧溶媒と有機溶剤溶液とを混合する方法が好ましく採用される。特にポリカーボネート樹脂溶液と水とを接触混合させて、ポリカーボネート樹脂を固体粉末として分離するのが工業的に有利である。
【0029】
本発明で製造されたポリカーボネート樹脂は、その分子末端のOH基量が3eq/ton以下であることが熱安定性に優れ好ましい。末端OH基量はより好ましくは2.5eq/ton以下、さらに好ましくは2eq/ton以下である。末端OH基量はH−NMR測定により求めることができる。
【0030】
また、本発明で製造されたポリカーボネート樹脂は、その分子末端のクロロホーメート基由来の塩素原子量が0.2ppm以下であることが熱安定性に優れ好ましい。末端クロロホーメート基由来の塩素原子量はより好ましくは0.15ppm以下、さらに好ましくは0.1ppm以下である。末端クロロホーメート基由来の塩素原子量は、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液に4−(p−ニトロベンジル)ピリジンを加え発色させて、その溶液の440nmの吸光度から定量することができる。
【0031】
本発明で製造されたポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10000〜100000が好ましく、12000〜50000がより好ましく、13000〜40000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。かかる粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
【0032】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂には、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤(脂肪酸エステル等)、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、増白剤、紫外線吸収剤、耐候剤、抗菌剤、顔料、染料、充填剤、強化剤、他樹脂やゴム等の重合体、難燃剤等の改質改良剤を適宜添加して用いることができる。
【0033】
なかでも熱安定剤はリン系の熱安定剤が好ましく用いられ、例えば亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、及び4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)等が好ましく使用され、特にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及び4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)が好ましい。これらは単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.1重量部、好ましくは0.002〜0.05重量部である。
【0034】
前記熱安定剤をポリカーボネート樹脂に配合する方法としては、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法、ポリカーボネート樹脂粉粒体に添加する方法のいずれの方法で加えてもよい。特に、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法が得られるポリカーボネート樹脂の色相および熱安定性がより向上し好ましく、精製終了後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法または温水で造粒する際に温水中に添加する方法が好ましい。熱安定剤は、溶媒に溶解してあるいはそのまま添加しても構わない。
【0035】
本発明の製造方法により得られるポリカーボネート樹脂は、熱安定性等に優れることから、押出成形品や射出成形品等の材料として好適に使用され、具体的には光磁気ディスク、各種追記型ディスク、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)等の光学ディスク基板、光拡散板、導光板、光カード、光学用プリズム、光ファイバーまたはレンズ等の光学用成形品用の材料として好適に使用できる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例に従って、本発明を具体的に説明するが本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、評価は次に示す方法で行った。
【0037】
(1)粘度平均分子量(Mv)
粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液をオストワルド粘度計にて20℃で測定して求めた。
【0038】
(2)末端OH基量
重クロロホルム0.5mLにポリカーボネート樹脂0.03gを溶解して、H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)により求めた。
【0039】
(3)末端クロロホーメート基由来の塩素原子量
ポリカーボネート樹脂0.5gの塩化メチレン溶液に4−(p−ニトロベンジル)ピリジンの1重量%塩化メチレン溶液を加え発色させて10mLとした後、440nmの吸光度から定量した。
【0040】
(4)熱安定性
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で試験片(厚さ2mmの50mm角板)を作成した。この試験片を130℃で20日間処理した。色差計[スガ試験機(株)製]を用いて処理前後の色相(b値)を測定し、評価した。
【0041】
[実施例1]
(A)攪拌機付き500L反応槽において、1時間当たりビスフェノールA44kg、亜二チオン酸ナトリウム92g、水酸化ナトリウム水溶液(25重量%)54kg、水170kg、ホスゲン21kg、塩化メチレン130kgを連続的に供給した。温度は熱交換器を使用して20±1℃、平均滞留時間は5分で、粘度平均分子量1800のカーボネートオリゴマー反応液を得た。
【0042】
(B)撹拌機付き反応容器に、該オリゴマー反応液1.5kg、分子量調節剤としてp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液(p−tert−ブチルフェノール濃度11重量%)32g、水酸化ナトリウム水溶液(48.5重量%)28gを投入し、MK型ホモミキサーを用いて回転数6000rpmで1分間攪拌することにより高度の乳化状態とした。400rpm攪拌下、約10分後、粘度平均分子量が12600となった後、トリエチルアミンの塩化メチレン溶液(1容量%)1.1mLを加え約10分間触媒重合を行った。重合終了後のポリカーボネート樹脂溶液に塩化メチレン800gを加えて希釈した。反応終了後の溶液を有機相と水相とに分離し、分離して得られた有機相と塩酸水溶液とを攪拌混合し、水層を分離除去した後、導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで繰り返し水洗した。次いでこのポリカーボネート樹脂の溶液をニーダーに仕込み、溶媒を除去してポリカーボネート樹脂の粉粒体を得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により140℃で10時間乾燥した後、押出機により280℃でペレット化した。得られたポリカーボネート樹脂ペレットによる評価結果を表1に示した。
【0043】
[実施例2]
1時間当たり実施例1(A)で得られたオリゴマー反応液375L、分子量調節剤としてp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液(p−tert−ブチルフェノール濃度11重量%)5.9L、水酸化ナトリウム水溶液(48.5重量%)5.2Lを内径10mmエレメント数10のハイミキサー〔東レ(株)製〕に連続的に供給して油中水型乳化状態とした後、内径25mm、長さ100mの管型反応器に連続的に導入し、温度28℃、滞留時間10分で無触媒重合を行った。粘度平均分子量が14000となった後、1時間当たりトリエチルアミンの塩化メチレン溶液(1容量%)6.0Lを加え、さらに内径25mm長さ100mの管型反応器において温度33℃、滞留時間10分で触媒重合を行った。重合終了後のポリカーボネート樹脂溶液に1時間当たり塩化メチレン240Lを加えて希釈した。その後の処理は実施例1に記載した方法と同一の方法を行った。得られたポリカーボネート樹脂ペレットによる評価結果を表1に示した。
【0044】
[比較例1]
触媒であるトリエチルアミンの塩化メチレン溶液の添加時期を、高度の乳化状態の後、1分後(粘度平均分子量が8900となった後)とした以外は実施例1に記載した方法と同一の方法を行った。得られたポリカーボネート樹脂ペレットによる評価結果を表1に示した。
【0045】
[比較例2]
触媒であるトリエチルアミンの塩化メチレン溶液の添加時期を、高度の乳化状態の前、すなわち粘度平均分子量が1800のカーボネートオリゴマー反応液にトリエチルアミンの塩化メチレン溶液を添加した以外は実施例1に記載した方法と同一の方法を行った。得られたポリカーボネート樹脂ペレットによる評価結果を表1に示した。
【0046】
[比較例3]
触媒であるトリエチルアミンの塩化メチレン溶液の添加時期を、高度の乳化状態の後、50分後(粘度平均分子量が21000となった後)とした以外は実施例1に記載した方法と同一の方法を行った。得られたポリカーボネート樹脂ペレットによる評価結果を表1に示した。得られたポリカーボネート樹脂の品質は実施例1と同様に優れているものの、反応時間が長く生産性に劣る方法であった。
【0047】
[比較例4]
1時間当たり実施例1(A)で得られたオリゴマー反応液375L、水酸化ナトリウム水溶液(48.5重量%)5.2L、分子量調節剤としてp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液(p−tert−ブチルフェノール濃度11重量%)5.9L、塩化メチレン50Lを内径10mmエレメント数5のハイミキサー〔東レ(株)製〕に連続的に供給して油中水型乳化状態とした後、内径25mm、長さ100mの管型反応器に連続的に導入し、温度28℃、滞留時間5分で無触媒重合を行った。粘度平均分子量が8300となった後、1時間当たりトリエチルアミンの塩化メチレン溶液(1容量%)6.0Lを加え、さらに内径25mm長さ100mの管型反応器において温度33℃、滞留時間10分で触媒重合を行った。重合終了後のポリカーボネート樹脂溶液に1時間当たり塩化メチレン190Lを加えて希釈した。その後の処理は実施例1に記載した方法と同一の方法を行った。得られたポリカーボネート樹脂ペレットによる評価結果を表1に示した。
【0048】
[比較例5]
触媒であるトリエチルアミンの塩化メチレン溶液を加えない以外は実施例1に記載した方法と同一の方法を行った。得られたポリカーボネート樹脂ペレットによる評価結果を表1に示した。
【0049】
[比較例6]
触媒であるトリエチルアミンの塩化メチレン溶液を加えない以外は実施例2に記載した方法と同一の方法を行った。得られたポリカーボネート樹脂ペレットによる評価結果を表1に示した。
【0050】
【表1】
Figure 2004018623
【0051】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、ポリマー中の末端OH基量や末端クロロホーメート基量が少なく、熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂を効率よく製造することができ、その奏する工業的効果は格別である。

Claims (1)

  1. 二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンとを有機溶媒の存在下で反応させてカーボネートオリゴマー反応液を得て、次いでカーボネートオリゴマー反応液を重合させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造する方法において、反応液の水層中の未反応モノマー濃度が1.0g/L以下となり、且つ得られる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の30〜60%の粘度平均分子量まで重合反応が進行した時点で、アミン系触媒を添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
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