JP3308399B2 - 芳香族ポリカーボネート - Google Patents

芳香族ポリカーボネート

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JP3308399B2 JP16966394A JP16966394A JP3308399B2 JP 3308399 B2 JP3308399 B2 JP 3308399B2 JP 16966394 A JP16966394 A JP 16966394A JP 16966394 A JP16966394 A JP 16966394A JP 3308399 B2 JP3308399 B2 JP 3308399B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリカーボネー
トに関する。さらに詳しくは、分岐化された芳香族ポリ
カーボネートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、芳香族ポリカーボネートは、
透明性、耐熱性、機械的強度、寸法安定性等に優れたエ
ンジニアリングプラスチックとして知られており、自動
車、電気製品等の部品として幅広く用いられている。通
常、芳香族ポリカーボネートは、2,2−ビス(4'−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン〔”ビスフェノールA”〕
等の芳香族ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン等のカーボ
ネート前駆体との反応により製造されており、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物が互いにカーボネート結合により結合
された線状のポリマーである。これらの線状の芳香族ポ
リカーボネートは、溶融流動特性の点において他の大部
分の熱可塑性ポリマーとは相違している。
【0003】大部分の熱可塑性ポリマーは、殆どすべて
の溶融加工条件にわたって非ニュートン流動特性を示
す。ニュートン流動は、剪断速度が剪断応力に正比例す
る液体系に生じる流れの形式として定義される。しかし
ながら、大部分の熱可塑性ポリマーとは対照的に、芳香
族ジヒドロキシ化合物から製造される線状の芳香族ポリ
カーボネートは、通常の加工温度での溶融状態ではニュ
ートン流体として挙動するため、所定の押し出し量を得
るために必要とされる応力が大きく、また溶融弾性ある
いは溶融強度が低く、このために吹き込み成形法による
大型の中空成形体を製造することが困難であるという問
題点があった。なお、溶融弾性とは吹き込み成形時にか
かる剪断応力による分子のひずみまたは配列から回復す
る溶融物中に蓄積されている弾性エネルギーである。ま
た溶融強度とは、溶融ストランドの強度として説明する
のが簡単で、溶融物が応力を支える能力を示す。これら
2つの特性は両方ともに押し出し成形、特に押し出し吹
き込み成形加工の際の重要な因子である。
【0004】一方、熱可塑性のランダムに分岐化された
芳香族ポリカーボネートは、非ニュートン流動特性を示
し、優れた溶融弾性および溶融強度を有しており、この
ような特性のために、線状の芳香族ポリカーボネートで
は容易には製造しにくいボトル等の中空成形物の製造材
料に適していることが知られている。このような特性を
有する分岐化された芳香族ポリカーボネートは、3価あ
るいは4価のフェノール化合物と、芳香族ジヒドロキシ
化合物とカーボネート前駆体から誘導されることが知ら
れている(米国再発行特許27682号)。米国再発行
特許第27682号には、幾つかの3価あるいは4価の
フェノール化合物が開示されており、例えば、1,1,
1−トリス(4'−ヒドロキシフェニル)エタンは、分岐
化されたポリカーボネートを製造するための有用な分岐
化剤であることが開示されている。しかしながら、該3
価のフェノール化合物を分岐化剤とする分岐化された芳
香族ポリカーボネートは、溶融状態では改良された流動
特性を示すものの、通常のビスフェノールA等から製造
される線状芳香族ポリカーボネートに比べ、得られる樹
脂の色相および成形体の透明性が劣る等幾つかの問題点
があった。現在では、これらの問題点を改良した溶融特
性が良好で、かつ、色相が良好な芳香族ポリカーボネー
トが強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、溶融
特性が良好で、吹き込み成形用材料に適し、かつ、色相
が良好な芳香族ポリカーボネートを提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、芳香族ポ
リカーボネートに関し鋭意検討した結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合
物、カーボネート前駆体、および、2−(α,α−ジメ
チル−4'−ヒドロキシベンジル)−4−(α,α−ジメ
チル−3',4'−ジヒドロキシベンジル)フェノールまた
は該フェノール誘導体より誘導される芳香族ポリカーボ
ネートに関するものである。本発明に係る2−(α,α
−ジメチル−4'−ヒドロキシベンジル)−4−(α,α
−ジメチル−3',4'−ジヒドロキシベンジル)フェノー
ルまたは該フェノール誘導体(以下、分岐化剤Aと略記
する)としては、一般式(1)(化1)で表される化合
物を挙げることができる。
【0007】
【化1】 〔式中、A1 、A2 、A3 およびA4 は−OH基、−O
M基または−OCOZ基を表す。但し、Mは金属イオ
ン、Zはハロゲン原子を表す〕 一般式(1)において、A1 、A2 、A3 およびA4
−OH基、−OM基または−OCOZ基を表し、Mは金
属イオン、Zはハロゲン原子を表す。Mとしては、好ま
しくは、1価または2価のアルカリ金属イオンまたはア
ルカリ土類金属イオンであり、リチウムイオン、ナトリ
ウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン等を具
体例として挙げることができる。Zとしては、好ましく
は、フッソ原子、塩素原子、臭素原子を挙げることがで
き、より好ましくは、塩素原子である。
【0008】一般式(1)で表される化合物は、公知の
方法により製造することができる。例えば、一般式
(1)において、A1 、A2 、A3 およびA4 が、−O
H基で表される化合物(融点163〜165℃)は、例
えば、特開平6−116190号公報に記載の方法によ
り製造することができる。すなわち、ハロゲン化水素酸
の存在下、カテコール1モルに対し、4−イソプロペニ
ルフェノール約2モルを作用させることにより製造する
ことができる。また、一般式(1)において、A1 、A
2 、A3 およびA4 が−OM基で表される化合物は、A
1 、A2 、A3 およびA4 が−OH基である化合物に、
例えば、水溶液中で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属塩基またはアル
カリ土類金属塩基を作用させて製造することができる。
さらに、一般式(1)において、A1 、A2 、A3 およ
びA4 が−OCOZ基で表される化合物において、例え
ば、Zが塩素原子である化合物は、A1 、A2 、A3
よびA4 が−OH基である化合物に、ホスゲンを作用さ
せて製造することができる。
【0009】本発明の芳香族ポリカーボネートは、少な
くとも1種の芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート
前駆体および分岐化剤Aから製造することができる。そ
の製造方法としては、例えば、”Encyclopedia of Poly
mer Science and Tec-hnology" vol.10, Polycarbonat
e, Interscience Publishing, p.710-764(1969)、H.Sch
nell, "Chemistry and Physics of Polycarbonate", In
terscience Pub-lishing, p.31-76(1964)に記載されて
いる方法、例えば、界面重合法、溶液重合法、またはエ
ステル交換法を利用することができ、特に、界面重合法
は好ましい製造方法である。
【0010】本発明の芳香族ポリカーボネートを製造す
る際に、分岐化剤Aは、製造される芳香族ポリカーボネ
ートを分岐化するのに役立つ。分岐化剤Aは、一般に、
芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体との反
応において、最初に、すなわち、カーボネート前駆体の
添加に先立って、芳香族ジヒドロキシ化合物と共に共存
させてもよく、または、カーボネート前駆体の添加に伴
い、逐次連続的に供給することもできる。本発明の芳香
族ポリカーボネートの製造に際して、分岐化剤Aは、単
独で使用しても、または複数併用してもよい。分岐化剤
Aの使用量は、特に制限されるものではなく、芳香族ポ
リカーボネートを実質的に分岐化するのに足る量であれ
ばよく、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、
0.01〜5モル%を使用することが好ましく、0.0
5〜3モル%であることがより好ましく、0.1〜2モ
ル%が特に好ましい。
【0011】本発明のポリカーボネートを製造する際に
は、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、分岐化剤
A以外の他の分岐化剤を併用することも可能である。こ
の場合、全分岐化剤中、分岐化剤Aの割合は、30モル
%以上であることが好ましく、60モル%以上であるこ
とがより好ましい。分岐化剤A以外の分岐化剤として
は、例えば、3つ以上のフェノール性ヒドロキシ基、ハ
ロホーメート基、カルボキシル基、カルボニルハライド
基、または活性なハロゲン原子等を有する化合物が挙げ
られる。分岐化剤A以外の分岐化剤の具体例としては、
フロログルシノール、4,6−ジメチル−2,4,6−
トリス(4'−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、
4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4'−ヒドロキ
シフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4'−ヒド
ロキシフェニル)ベンゼン、1,1,2−トリス(4'−
ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス
(4'−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプ
ロピルベンゼン、
【0012】2,4−ビス〔α−メチル−α−(4'−ヒ
ドロキシフェニル)エチル〕フェノール、2−(4'−ヒ
ドロキシフェニル)−2−(2",4"−ジヒドロキシフェ
ニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホ
スフィン、1,1,4,4−テトラキス(4'−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス〔4',4'−
ビス(4”−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プ
ロパン、α,α,α’,α’−テトラキス(4'−ヒドロ
キシフェニル)−1,4−ジエチルベンゼン、2,2,
5,5−テトラキス(4'−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン、1,1,2,3−テトラキス(4'−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,4−ビス(4',4"−ジヒドロキシ
トリフェニルメチル)ベンゼン、3,3',5,5'−テト
ラヒドロキシジフェニルエーテル、3,5−ジヒドロキ
シ安息香酸、3,5−ビス(クロロカルボニルオキシ)
安息香酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、4−クロロカ
ルボニルオキシイソフタル酸、5−ヒドロキシフタル
酸、5−クロロカルボニルオキシフタル酸、トリメシン
酸トリクロライド、シアヌル酸クロライド、3,3−ビ
ス(4'−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−
ジヒドロインドール、3,3−ビス(4'−ヒドロキシ−
3'−メチルフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ
インドール等を挙げることができ、これらの分岐化剤
は、複数併用することもできる。
【0013】本発明の芳香族ポリカーボネートを製造す
る際に使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、一
般式(2)または一般式(3)で表される化合物を挙げ
ることができる。 HO−Ar1−X−Ar2−OH (2) HO−Ar3−OH (3) (式中、Ar1、Ar2およびAr3は2価の芳香族基を表
し、XはAr1とAr2を結び付ける連結基を表す) 一般式(2)および一般式(3)において、Ar1、Ar2
およびAr3は、各々2価の芳香族基を表し、好ましく
は、フェニレン基、または置換基を有する置換フェニレ
ン基である。置換フェニレン基の置換基としては、アル
キル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール
基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基等が挙げら
れる。
【0014】Ar1とAr2は、両方ともが置換基を有して
いてもよいp−フェニレン基、m−フェニレン基または
o−フェニレン基、あるいは一方がp−フェニレン基で
あり、一方がm−フェニレン基またはo−フェニレン基
であるのが好ましく、Ar1とAr2の両方がp−フェニレ
ン基であるのが特に好ましい。Ar3は、置換基を有して
いてもよいp−フェニレン基、m−フェニレン基または
o−フェニレン基であり、好ましくは、p−フェニレン
基またはm−フェニレン基である。Xは、Ar1とAr2
結び付ける連結基であり、単結合、もしくは2価の炭化
水素基、更には−O−、−S−、−SO−、−SO
2 −、−CO−等の炭素と水素以外の原子を含む基であ
ってもよい。2価の炭化水素基とは、飽和の炭化水素
基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−プロピリデ
ン、シクロヘキシリデン等のアルキリデン基が挙げられ
るが、アリール基等で置換された基も包含され、また、
芳香族基やその他の不飽和の炭化水素基を含有する炭化
水素基であってもよい。
【0015】芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例として
は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス
(4'−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4'−ヒ
ドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビ
ス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン〔”ビスフェノ
ールA”〕、1,3−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)
−1,1−ジメチルプロパン、2−(4'−ヒドロキシフ
ェニル)−2−(3'−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,
2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
【0016】2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)
ペンタン、3,3−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ペ
ンタン、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)−4
−メチルペンタン、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェ
ニル)ヘキサン、4,4−ビス(4'−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプタン、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニ
ル)オクタン、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニ
ル)ノナン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、2,2−ビス(3'−メチル−4'−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3'−エチ
ル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3'−n−プロピル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3'−イソプロピル−4'−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3'−sec −ブチル
−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3'−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3'−シクロヘキシル−4'−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、
【0017】2,2−ビス(3'−アリル−4'−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2−ビス(3'−メトキシ−
4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3',5'−ジメチル−4'−ヒドロキシフェニル) プロパ
ン、2,2−ビス(2',3',5',6'−テトラメチル−4'
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3'−
クロロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3',5'−ジクロロ−4'−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3'−ブロモ−4'−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3',5'−ジブロモ−
4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(2’,6'−ジブロモ−3',5'−ジメチル−4'−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シアノメタン、1−シアノ−3,3−ビス(4'−ヒ
ドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4'−ヒドロ
キシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒド
ロキシアリール)アルカン類、
【0018】1,1−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)
シクロペンタン、1,1−ビス(4'−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3'−メチル−4'−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(3',5'−ジメチル−4'−ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサン、1,1−ビス(3',5'−ジクロロ−4'−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4'−
ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス (4'−ヒドロキシフェニル)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4'−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4'−
ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス
(4'−ヒドロキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビ
ス(4'−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1
−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、8,
8−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)トリシクロ〔5,2,
1,02.6〕デカン、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニ
ル)アダマンタン等のビス(ヒドロキシアリール)シク
ロアルカン類、
【0019】4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリール)エ
ーテル類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィ
ド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルフィド、3,3'−ジシクロヘキシル−4,4'−ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジフェニル
−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,
3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフ
ェニルスルフィド等のビス(ヒドロキシアリール)スル
フィド類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルスルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)スルホ
キシド類、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,3'−ジメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルス
ルホン、3,3'−ジフェニル−4,4'−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジヒド
ロキシジフェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリー
ル)スルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ケト
ン等のビス(ヒドロキシアリール)ケトン類、
【0020】更には、6,6'−ジヒドロキシ−2,2',
3,3'−テトラヒドロ−3,3,3',3'−テトラメチル
−1,1'−スピロビ(1H−インデン)〔”スピロビイ
ンダンビスフェノール”〕、7,7−ジヒドロキシ−
3,3',4,4'−テトラヒドロ−4,4,4',4'−テト
ラメチル−2,2'−スピロビ(2H−1−ベンゾピラ
ン)〔”スピロビクロマン”〕、トランス−2,3−ビ
ス(4'−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、9,9−
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3−
ビス(4'−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,
6−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサ
ンジオン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4'−ヒド
ロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2
−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−
ジクロロ−2,2−ビス(3'−フェノキシ−4'−ヒドロ
キシフェニル)エチレン、α,α,α’,α’−テトラ
メチル−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシ
レン、
【0021】3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
フタリド、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、1,4−
ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタ
レン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒ
ドロキシナフタレン、ハイドロキノン、レゾルシン等が
挙げられる。更には、例えば、ビスフェノールA2モル
とイソフタロイルクロライド又はテレフタロイルクロラ
イド1モルとを反応させることにより製造することがで
きるエステル結合を含むビスフェノール類も有用であ
る。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で使用し
ても、あるいは複数併用してもよい。特に好ましい芳香
族ジヒドロキシ化合物は、ビス(ヒドロキシアリール)
アルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカ
ン類であり、中でも好ましくは、ビスフェノールAであ
る。
【0022】カーボネート前駆体としては、ハロゲン化
カルボニル化合物、ハロホーメート化合物、ジアルキル
カーボネート化合物、ジアリールカーボネート化合物、
アルキルアリールカーボネート化合物を挙げることがで
き、好ましくは、ハロゲン化カルボニル化合物およびハ
ロホーメート化合物である。ハロゲン化カルボニル化合
物としては、塩化カルボニル(ホスゲン)、臭化カルボ
ニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カルボニル、およびこ
れらの混合物が挙げられる。さらには、ホスゲンの二量
体であるトリクロロメチルクロロホーメート、ホスゲン
の三量体であるビス(トリクロロメチル)カーボネート
も使用することができる。
【0023】ハロホーメート化合物としては、モノまた
はビスハロホーメート化合物、オリゴマー状のモノまた
はビスハロホーメート化合物が用いられ、代表的には、
一般式(4)で表される化合物を挙げることができる。 W−(O−R’−O−C(=O))n −O−R’−O−W (4) (式中、Wは水素原子またはハロカルボニル基を表し、
少なくとも1個のWはハロカルボニル基であり、R’は
2価の脂肪族基または芳香族基を表し、nは0または正
の整数を表す) 一般式(4)で表される化合物は、脂肪族ジヒドロキシ
化合物から誘導されるモノまたはビスハロホーメート化
合物、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導されるモノま
たはビスハロホーメート化合物、およびこれらの化合物
のオリゴマー状のモノまたはビスハロホーメート化合物
である。尚、オリゴマー状のモノまたはビスハロホーメ
ート化合物の場合には、同一分子中に構造の異なるR’
基を有していてもよい。これらのハロホーメート化合物
は、単独で使用しても、あるいは複数併用してもよく、
さらにはハロゲン化カルボニル化合物と併用することも
可能である。一般式(4)において、R’は脂肪族ジヒ
ドロキシ化合物または芳香族ジヒドロキシ化合物から誘
導される2価の基である。
【0024】脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、ジヒ
ドロキシアルカン、ジヒドロキシシクロアルカン、一般
式(5)で表される化合物が挙げられる。 HO−R”−Ar4−R”−OH (5) (式中、R”は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、A
r4は炭素数6〜12の2価の芳香族基を表す) 脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、好ましくは、炭素
数2〜20のジヒドロキシアルカン、炭素数4〜12の
ジヒドロキシシクロアルカン、一般式(5)で表される
化合物を挙げることができる。
【0025】脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例として
は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11
−ウンダカンジオール、1,12−ドデカンジオール、
ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサ
ンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等
のジヒドロキシアルカン、1,3−ジヒドロキシシクロ
ヘキサン、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、2,
2−ビス(4'−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等
のジヒドロキシシクロアルカン、1,2−ビス(ヒドロ
キシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメチ
ル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベン
ゼン、1,4−ビス(2'−ヒドロキシエチル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(3'−ヒドロキシプロピル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(4'−ヒドロキシブチル)ベンゼン、
1,4−ビス(5'−ヒドロキシペンチル)ベンゼン、
1,4−ビス(6'−ヒドロキシヘキシル)ベンゼン等の
ジヒドロキシ化合物を挙げることができる。
【0026】また、芳香族ジヒドロキシ化合物として
は、前述した一般式(2)または一般式(3)で表され
る芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば、ビスフェノール
A、ハイドロキノン等を挙げることができる。ジアルキ
ルカーボネート化合物、ジアリールカーボネート化合
物、アルキルアリールカーボネート化合物としては、ジ
メチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチル
フェニルカーボネート化合物、ハロゲン原子、ニトロ基
等で置換されたジフェニルカーボネート等が挙げられ
る。これらは単独で使用しても、あるいは複数併用して
もよい。
【0027】界面重合法により本発明の芳香族ポリカー
ボネートを製造する場合、カーボネート前駆体として
は、ハロゲン化カルボニル化合物または/およびハロホ
ーメート化合物が好ましく使用される。カーボネート前
駆体は、気体、液体、固体のいずれの状態で使用しても
よい。ハロゲン化カルボニル化合物を使用する場合に
は、気体状態あるいは有機溶媒に溶解させて有機溶媒溶
液として使用することが好ましく、ハロホーメート化合
物を使用する場合には、固体状態あるいは有機溶媒に溶
解させて有機溶媒溶液として使用することが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネートを、界面重合法により
製造するに際し、カーボネート前駆体として、例えば、
ハロゲン化カルボニル化合物を使用する場合、その使用
量は、芳香族ジヒドロキシ化合物の量に対し、約1.0
〜約1.3倍モル使用するのが好ましい。
【0028】本発明の芳香族ポリカーボネートを、界面
重合法により製造する場合には、公知の方法を用いるこ
とができる。例えば、少なくとも一種の芳香族ジヒドロ
キシ化合物とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩
基、水および水に実質的に不溶性の有機溶媒の2相混合
溶媒中で、ハロゲン化カルボニル化合物または/および
ハロホーメート化合物を分岐化剤Aの存在下で作用させ
て、芳香族ポリカーボネートを製造する方法である、よ
り好ましくは、ポリカーボネート生成触媒および末端封
止剤(分子量調節剤、連鎖停止剤とも呼ばれている)の
存在下で製造する方法である。
【0029】有機溶媒は、水に対して実質的に不溶性で
あり、かつ反応に対して不活性であり、芳香族ポリカー
ボネートを溶解するものであれば、任意に使用可能であ
る。好ましい有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−
ジクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエ
タン、ジクロロプロパン等の脂肪族塩素化炭化水素系溶
媒、あるいは、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の
芳香族塩素化炭化水素系溶媒等の塩素化炭化水素系溶
媒、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。さらには、
これらの塩素化炭化水素系溶媒と、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、あるい
はヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化
水素系溶媒との混合溶媒が挙げられる。特に好ましい有
機溶媒は、ジクロロメタンである。有機溶媒の使用量
は、通常、重合終了時の芳香族ポリカーボネートを含有
する有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボネートの濃度
が、約5〜約35重量%程度になるように使用するのが
好ましい。また、界面重合法に使用する有機溶媒と水の
使用量は、反応混合物が実質的に均一な乳化状態を維持
するに必要な量であればよく、通常、水相対有機相の容
量比は、約0.4〜約1.5:1とするのが好ましい。
【0030】界面重合法により本発明の芳香族ポリカー
ボネートを製造する際に使用するアルカリ金属もしくは
アルカリ土類金属塩基(以下、塩基と略記する)として
は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化カルシウム等を挙げることができる。塩基の使用量
は、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、
約1.0〜約1.6倍当量である。塩基は、通常、水溶
液の状態で用いられ、更にこの水溶液に芳香族ジヒドロ
キシ化合物を溶解させて反応に使用されることが好まし
い。この場合、酸化防止剤として、亜硫酸ナトリウム、
ソジウムハイドロサルファイトあるいはソジウムボロハ
イドライド等を添加して、芳香族ジヒドロキシ化合物の
塩基性水溶液を調製してもよい。
【0031】界面重合法において、所望により使用する
ポリカーボネート生成触媒(重合触媒とも呼ばれてい
る)としては、3級アミン、4級アンモニウム塩、3級
ホスフィン、4級ホスホニウム塩、あるいは含窒素複素
環化合物及びその塩、イミノエーテル及びその塩、アミ
ド基を有する化合物等が挙げられる。好ましくは、3級
アミンであり、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−
プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、トリ
−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシル
アミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−
エチルピペリジン等が挙げられる。これらのポリカーボ
ネート生成触媒は、単独で使用しても、あるいは複数併
用してもよい。ポリカーボネート生成触媒の使用量は、
芳香族ジヒドロキシ化合物のモル数に対して、約0.0
005〜約1.5モル%が好ましい。ポリカーボネート
生成触媒の添加時期は、本発明の芳香族ポリカーボネー
トを製造する際、反応前あるいは反応中に加えることが
できる。界面重合は、通常、約10℃〜反応に使用する
有機溶媒の沸点温度で実施することが好ましい。また、
該重合は、通常、大気圧下で実施するが、所望により、
加圧下または減圧下で実施してもよい。
【0032】また、本発明の芳香族ポリカーボネートを
製造する際には、公知の溶液重合法を利用することもで
きる。例えば、ピリジン溶液中で、芳香族ジヒドロキシ
化合物、ハロゲン化カルボニル化合物または/およびハ
ロホーメート化合物および分岐化剤Aを、約0〜約50
℃で作用させて製造することができる。カーボネート前
駆体として、ジアルキルカーボネート化合物、アルキル
アリールカーボネート化合物または/およびジアリール
カーボネート化合物を用いて、本発明の芳香族ポリカー
ボネートを製造する場合には、ジアルキルカーボネート
化合物、アルキルアリールカーボネート化合物または/
およびジアリールカーボネート化合物、芳香族ジヒドロ
キシ化合物と分岐化剤Aとの混合物を、約60〜約30
0℃の温度で、常圧下、加圧下または減圧下で、必要に
応じてエステル交換触媒(例えば、金属酸化物、水酸化
物、炭酸塩等)の存在下で、公知のエステル交換法によ
り製造することができる。
【0033】本発明のポリカーボネートを製造する際
に、所望に応じて使用する末端封止剤とは、芳香族ポリ
カーボネートを製造する過程で分子量を調節するための
ものであり、例えば、1価のヒドロキシ芳香族化合物、
1価のヒドロキシ芳香族化合物のハロホーメート誘導
体、1価のカルボキシル基を有する化合物および1価の
カルボニルハライド誘導体等を挙げることができる。1
価のヒドロキシ芳香族化合物として、例えば、フェノー
ル、p−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチ
ルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert
−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シク
ロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−
ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキ
シフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デ
シルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−ク
ロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフ
ェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェ
ノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニル
フェノール、2,4−ジ(1−メチル−1−フェニルエ
チル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、
p−(2’,4',4'−トリメチルクロマニル)フェノー
ル、2−(4'−メトキシフェニル)−2−(4”−ヒド
ロキシフェニル)プロパン等のフェノール類が挙げられ
る。1価のヒドロキシ芳香族化合物のハロホーメート誘
導体としては、上記の1価のヒドロキシ芳香族化合物の
ハロホーメート誘導体等である。
【0034】1価のカルボキシル基を有する化合物とし
て、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプ
ロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2,2−ジメチルプ
ロピオン酸、3−メチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、
4−メチル吉草酸、3,3−ジメチル吉草酸、4−メチ
ルカプロン酸、2,4−ジメチル吉草酸、3,5−ジメ
チルカプロン酸、フェノキシ酢酸等の脂肪酸類、安息香
酸、p−メチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、
p−プロピルオキシ安息香酸、p−ブトキシ安息香酸、
p−ヘキシルオキシ安息香酸、p−オクチルオキシ安息
香酸、p−フェニル安息香酸、p−ベンジル安息香酸、
p−クロロ安息香酸等の安息香酸類が挙げられる。1価
のカルボニルハライド誘導体としては、上記の1価のカ
ルボキシル基を有する化合物のハライド誘導体等であ
る。尚、上述の1価のヒドロキシ芳香族化合物または1
価のカルボキシル基を有する化合物のアルカリ金属(例
えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)塩、アルカリ
土類金属(例えば、カルシウム)塩を末端封止剤として
使用できる。これらの分子量調節剤は、単独使用して
も、あるいは複数併用してもよい。特に、フェノール、
p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール
は、好ましい末端封止剤である。
【0035】末端封止剤の使用量は、目的とする芳香族
ポリカーボネートの平均分子量に応じて変化させること
ができる。末端封止剤の使用量と芳香族ポリカーボネー
トの平均分子量の関係は、一般に、末端封止剤の使用量
の増加に伴い芳香族ポリカーボネートの平均分子量が低
下し、末端封止剤の使用量の減少に伴い平均分子量が増
大する傾向がある。本発明の芳香族ポリカーボネート
は、末端封止剤の使用量により任意の分子量をとること
ができるが、製造される芳香族ポリカーボネートの成形
加工性、耐熱性、機械的強度等の物性を考慮すると、約
15000〜約150000の重量平均分子量であるこ
とが好ましく、約20000〜約100000の重量平
均分子量であることがより好ましく、約30000〜約
70000の重量平均分子量であることが特に好まし
い。
【0036】上記の範囲の重量平均分子量の芳香族ポリ
カーボネートを製造するために必要な末端封止剤の使用
量は、使用する芳香族ジヒドロキシ化合物の量に対し
て、約1〜約10モル%であるのが好ましく、さらに
は、約1.5〜約7モル%使用するのがより好ましい。
末端封止剤は、一般に、芳香族ジヒドロキシ化合物とカ
ーボネート前駆体との反応において、最初に、すなわ
ち、カーボネート前駆体の添加に先立って、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物と共に存在させてもよく、または、カー
ボネート前駆体の添加に伴い、逐次連続的に供給するこ
ともできる。
【0037】さらに、本発明の芳香族ポリカーボネート
は、芳香族ポリエステルカーボネートをも包含するもの
であり、少なくとも1種の芳香族ジヒドロキシ化合物
〔例えば、一般式(2)または一般式(3)で表される
化合物〕、カーボネート前駆体(例えば、ホスゲン)、
芳香族または脂肪族の2価のカルボン酸または該化合物
のハライド誘導体(例えば、米国特許第3169121
号に記載のイソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸
ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、アジピン
酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸)および一般式(1−A)で表される化合物を用い、
公知の方法(例えば、米国特許第3169121号、米
国特許第4156069号、英国特許第897640号
に記載の方法)により芳香族ポリエステルカーボネート
を製造することができる。この際、芳香族または脂肪族
の2価のカルボン酸またはカルボン酸ハライドの使用量
は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、30〜80モル
%程度用いるのが好ましい。
【0038】本発明の芳香族ポリカーボネートは、界面
重合法または溶液重合法により製造した場合、通常、該
芳香族ポリカーボネートを含有する有機溶媒溶液を水層
と分離した後、水洗浄により、実質的に電解質が無くな
るまで洗浄した後、該有機溶媒溶液から公知の方法によ
り有機溶媒を除去して、本発明の芳香族ポリカーボネー
トを得ることができる。また、エステル交換法により製
造する場合、製造条件下で溶融した芳香族ポリカーボネ
ートを、直接ペレット化あるいは成形物へと加工するこ
とも可能である。
【0039】本発明の芳香族ポリカーボネートは、他の
芳香族ポリカーボネート、あるいは他のポリマーと混合
して成形材料として使用することが可能である。他のポ
リマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ
トリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
アミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテル
イミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオ
キシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリレート、ポリ
スルフィド等が挙げられる。
【0040】また、本発明の芳香族ポリカーボネートに
は、芳香族ポリカーボネートの製造時または製造後に、
公知の方法で、染料、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、加
水分解安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、有機ハロゲン化
合物、アルカリ金属スルホン酸塩、ガラス繊維、炭素繊
維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO2 等の各種添
加剤を1種以上添加してもよい。本発明の芳香族ポリカ
ーボネートは、単独で、あるいは他のポリマーと混合し
て、所望により、各種添加剤を添加して、電気機器等の
シャーシーやハウジング材、電子部品、自動車部品、コ
ンパクトディスク等の情報記録媒体の基板、カメラや眼
鏡のレンズ等の光学材料、ガラス代替の建材等に成形加
工することができる。本発明の芳香族ポリカーボネート
は、熱可塑性であり、射出成形、押し出し成形、ブロー
成形、フィラー等への含浸等が可能であり、公知の方法
により容易に成形加工することができる。また、本発明
の芳香族ポリカーボネートは、特定の有機溶媒(例え
ば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒)に
可溶であり、該有機溶媒溶液よりキャストし、フィルム
等に成形加工できる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の
攪拌機および還流冷却管、ホスゲン供給用浸漬管を設け
た。このフラスコに、ビスフェノールA912g(4.
0モル)、p−tert−ブチルフェノール20.66g
(0.1377モル)、2−(α,α−ジメチル−4'−
ヒドロキシベンジル)−4−(α,α−ジメチル−3',
4'−ジヒドロキシベンジル)フェノール7.56g(ビ
スフェノールAに対して0.5モル%)、ジクロロメタ
ン4リットル及び脱イオン水4リットルを入れ、懸濁液
とし、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素パージを行
った。次に、上記懸濁液に、ソジウムハイドロサルファ
イト1.2g及び水酸化ナトリウム432g(10.8
モル)を溶解した水溶液2.2リットルを供給し、15
℃でビスフェノールAを溶解した。この溶液に、ホスゲ
ン495g(5.0モル)を60分で供給した。反応温
度は上昇し、ジクロロメタンの還流が確認された。ホス
ゲンの供給が完了した後、トリエチルアミン0.64g
を添加して、反応液をさらに90分間攪拌し、重合反応
を行った。その後、反応液を静置し、有機層を分液し、
塩酸により中和し、電解質が無くなるまで脱イオン水で
洗浄した。得られた芳香族ポリカーボネートのジクロロ
メタン溶液にトルエン2リットルと水5リットルを加
え、98℃まで加熱することによりジクロロメタン及び
トルエンを留去して、芳香族ポリカーボネートの粉体を
得た。得られた芳香族ポリカーボネートの分子量は、数
平均分子量が20400、重量平均分子量が66600
であった。また、得られたポリマーは無色であり、この
芳香族ポリカーボネートを用いて作製したプレスシート
(厚さ:1mm)は無色透明であった。
【0042】実施例2 実施例1において、2−(α,α−ジメチル−4'−ヒド
ロキシベンジル)−4−(α,α−ジメチル−3',4'−
ジヒドロキシベンジル)フェノールを7.56g用いる
代わりに、3.78g(ビスフェノールAに対して0.
25モル%)用いた以外は、実施例1と同様にして、芳
香族ポリカーボネートを製造した。得られた芳香族ポリ
カーボネートの分子量は、数平均分子量が20000、
重量平均分子量が56100であった。また得られたポ
リマーは無色であり、この芳香族ポリカーボネートを用
いて作製したプレスシート(厚さ:1mm)は無色透明
であった。
【0043】比較例1 比較のため、実施例1において、分岐化剤として1,3
−ジヒドロキシ−4,6−ビス〔α−メチル−α−(4'
−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン7.56gを
用いる代わりに、1,1,1−トリス(4'−ヒドロキシ
フェニル)エタン6.12g(ビスフェノールAに対し
て0.5モル%)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、芳香族ポリカーボネートを製造した。得られた芳香
族ポリカーボネートの分子量は数平均分子量が2040
0、重量平均分子量が64700であったが、得られた
ポリマーは淡緑黄色に着色しており、実用上商品価値の
低い芳香族ポリカーボネートであった。
【0044】参考例1 実施例1において分岐化剤である1,3−ジヒドロキシ
−4,6−ビス〔α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフ
ェニル)エチル〕ベンゼンを添加せずに実施例1と同様
の操作により線状の芳香族ポリカーボネートを製造し
た。得られた芳香族ポリカーボネートの分子量は数平均
分子量が21000、重量平均分子量が51200であ
った。
【0045】各実施例および参考例で製造した芳香族ポ
リカーボネートのメルトフローインデックス(MI)を
測定し、結果を第1表(表1)に示した。尚、メルトフ
ローインデックス(MI)は東洋精機製S−01メルト
インデックサーにより温度280℃、荷重2.16kg
で測定し、10分間に溶出するポリマーの量(単位:グ
ラム)で示した。また、メルトフローインデックス比
(MIR)は二つの異なる剪断レベルでの溶融流量の比
で与えられ、ポリマーの非ニュートン流動特性の尺度で
ある。試験温度280℃で、荷重12.5kgと荷重
2.16kgにおけるそれぞれのメルトインデックス
〔MI(12.5kg)、MI(2.16kg)〕を、
上記の方法で測定し、その比として求めた。
【0046】
【表1】 ニュートン流体として挙動する線状の芳香族ポリカーボ
ネートのMIR値は、通常6.4以下である。本願の実
施例で得られた芳香族ポリカーボネートのMIR値が
7.0以上であることは、本願の芳香族ポリカーボネー
トが溶融時に非ニュートン流体として挙動するポリマー
であることを示し、吹き込み成形等に適したポリマーで
あることを示している。
【0047】
【発明の効果】本発明により、吹き込み成形材料等に適
した溶融特性を有し、かつ、色相の良好な分岐化された
芳香族ポリカーボネートを提供することが可能になっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 審査官 森川 聡 (56)参考文献 特開 平6−49196(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネー
    ト前駆体、および、2−(α,α−ジメチル−4'−ヒド
    ロキシベンジル)−4−(α,α−ジメチル−3',4'−
    ジヒドロキシベンジル)フェノールまたは該フェノール
    誘導体より誘導される分岐化芳香族ポリカーボネート。
  2. 【請求項2】 芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、2
    −(α,α−ジメチル−4'−ヒドロキシベンジル)−4
    −(α,α−ジメチル−3',4'−ジヒドロキシベンジ
    ル)フェノールまたは該フェノール誘導体を0.01〜
    5モル%使用して得られる請求項1記載の芳香族ポリカ
    ーボネート。
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