JP3456732B2 - 芳香族ポリカーボネート - Google Patents

芳香族ポリカーボネート

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JP3456732B2
JP3456732B2 JP00389694A JP389694A JP3456732B2 JP 3456732 B2 JP3456732 B2 JP 3456732B2 JP 00389694 A JP00389694 A JP 00389694A JP 389694 A JP389694 A JP 389694A JP 3456732 B2 JP3456732 B2 JP 3456732B2
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由之 戸谷
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリカーボネー
トに関する。さらに詳しくは、末端基として特定構造の
基を有する芳香族ポリカーボネートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、芳香族ポリカーボネートは、
透明性、機械的強度、寸法安定性等に優れたエンジニア
リングプラスチックとして知られており、自動車、電気
製品等の部品として幅広く用いられている。通常、芳香
族ポリカーボネートを製造するには、製造される芳香族
ポリカーボネートの分子量を調節する目的で、末端封止
剤(分子量調節剤、重合停止剤、連鎖停止剤、末端停止
剤などとも呼ばれている)を添加し重合している(例え
ば、米国特許第3028365号)。その中でも、末端
封止剤として、フェノール、または、p−tert−ブチル
フェノールなどのフェノール類が、最も一般的に広く使
用されている。しかし、末端封止剤として、これらのフ
ェノール類を使用して製造される芳香族ポリカーボネー
トは、熱安定性(ガラス転移温度)が比較的低く、その
利用範囲に制限がある。また、末端封止剤としてヒドロ
キシフタルイミド類(例えば、N−メチル−4−ヒドロ
キシフタルイミド)を用いて製造される、末端の結合基
がカーボネート結合を有するポリカーボネートも開示さ
れている(特開平1−163213号公報)。しかし、
このフェノール類を末端封止剤とするポリカーボネート
(例えば、ビスフェノールAより誘導される芳香族ポリ
カーボネート)の熱安定性は、やはり比較的低いもので
ある。
【0003】さらに、種々の構造を有する化合物が末端
封止剤として有用であることが報告されている。例え
ば、アルカノールアミン類(米国特許第3085992
号)、イミド類(米国特許第3399172号)、アニ
リン、メチルアニリン(米国特許第3275601
号)、アンモニウム化合物類、1級または2級のアミン
類(米国特許第4111910号)を、末端封止剤とし
て使用することが提案されている。しかし、一方では、
少量のモノエタノールアミンまたはモルホリンのような
アミン類は、高分子量のポリカーボネートを低分子量の
ポリカーボネートに分解する作用を有することが報告さ
れている(米国特許第3223678号)。このよう
に、ポリカーボネートの末端封止剤に関しては、種々報
告されてはいるものの、どのような種類の化合物あるい
は化合物群が、末端封止剤として有効に機能するかは、
いまだもって充分には解明されていない。さらに、特定
構造の化合物が末端封止剤として有用であっても、その
ような化合物を末端基として有するポリカーボネート
が、どのような物性または機能を有するかは、まったく
予測すらできず、この分野の化学を一層深く解明するた
めには、実験的な方法論によるさらなるアプローチが必
要とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、熱安
定性に優れた芳香族ポリカーボネートを提供することで
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、芳香族ポ
リカーボネートに関し鋭意検討した結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明は、末端基の少なくとも1つ
が、一般式(1)(化2)で表される基である芳香族ポ
リカーボネートに関するものである。
【0006】
【化2】 (式中、R1 はアルキル基、アルケニル基、アラルキル
基またはアリール基を表し、X1 、X2 およびX3 は水
素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子
を表す)
【0007】本発明に係る一般式(1)で表される基に
おいて、R1 はアルキル基、アルケニル基、アラルキル
基またはアリール基を表し、好ましくは、置換基を有し
ていてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいア
ルケニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、
置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有して
いてもよいナフチル基、または、置換基を有していても
よい複素芳香環基である。R1 のアルキル基およびアル
ケニル基は、置換基を有していてもよく、例えば、炭素
数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜10のアルケニ
ルオキシ基、炭素数7〜14のアラルキルオキシ基、炭
素数6〜14のアリールオキシ基、ヘテロ原子含有の環
状アルキル基またはハロゲン原子等で、単置換あるいは
多置換されていてもよい。さらに、これらの置換基に含
まれるアリール基は、さらに炭素数1〜6のアルキル
基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子等で置
換されていてもよい。
【0008】また、R1 のアラルキル基およびアリール
基中のアリール基は置換基を有していてもよく、例え
ば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のア
ルケニル基、炭素数7〜14のアラルキル基、炭素数6
〜14のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、
炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、炭素数7〜14
のアラルキルオキシ基、炭素数6〜14のアリールオキ
シ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基、炭素数
8〜14のアラルキルカルボニル基、炭素数7〜14の
アリールカルボニル基、炭素数2〜10のアルコキシカ
ルボニル基、炭素数3〜10のアルケニルオキシカルボ
ニル基、炭素数8〜14のアラルキルオキシカルボニル
基、炭素数7〜14のアリールオキシカルボニル基、炭
素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数3
〜10のアルケニルカルボニルオキシ基、炭素数8〜1
4のアラルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜14の
アリールカルボニルオキシ基、ニトロ基、ハロゲン原
子、シアノ基等で単置換あるいは多置換されていてもよ
い。さらに、これらの置換基に含まれるアリール基は、
さらに炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアル
コキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0009】好ましくは、R1 は置換基を有していても
よい総炭素数1〜16のアルキル基、置換基を有してい
てもよい総炭素数2〜16のアルケニル基、置換基を有
していてもよい総炭素数7〜24のアラルキル基または
置換基を有していてもよい総炭素数6〜24のアリール
基である。さらに好ましくは、置換基を有していてもよ
い総炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していて
もよい総炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有し
ていてもよい総炭素数7〜14のアラルキル基または置
換基を有していてもよい総炭素数6〜14のアリール基
である。特に好ましくは、置換基を有していてもよい総
炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい
総炭素数3〜8のアルケニル基、置換基を有していても
よい総炭素数7〜10のアラルキル基または置換基を有
していてもよい総炭素数6〜10のアリール基である。
【0010】一般式(1)で表される基において、R1
の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、sec −ブチル基、1−エチルプロピル基、n−ペ
ンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、
4−メチルブチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−2
−ペンチル基、2−エチルブチル基、nーヘプチル基、
1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2,4
−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、5−メチルヘ
プチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、2,
6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチ
ルヘキシル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−
ドデシル基、3−メチルドデシル基、n−テトラデシル
基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキ
シル基、3−メチルシクロヘキシル基、2−メチルシク
ロヘキシル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、
3,5−ジメチルシクロヘキシル基、3,3,5−トリ
メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキ
シル基、4−フェニルシクロヘキシル基、2−フェニル
シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル
基、2−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、シクロ
ヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基、
【0011】ビニル基、アリル基、2−メチル−2−プ
ロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニ
ル基、1−メチル−4−ペンテニル基、4−ペンテニル
基、5−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、1−シクロ
ヘキセニル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエ
チル基、2−イソプロポキシエチル基、2−n−ブトキ
シエチル基、2−n−ヘキシルオキシエチル基、2−n
−オクチルオキシエチル基、2−n−デシルオキシエチ
ル基、2−シクロヘキシルオキシエチル基、3−メトキ
シプロピル基、3−エトキシプロピル基、3−n−プロ
ポキシプロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、3
−n−ブトキシプロピル基、3−イソブトキシプロピル
基、3−(2’−エチルヘキシルオキシ)プロピル基、
3−n−デシルオキシプロピル基、4−エトキシブチル
基、6−エトキシヘキシル基、2−アリルオキシエチル
基、2−(4’−ペンテニルオキシ)エチル基、3−ア
リルオキシプロピル基、2−ベンジルオキシエチル基、
2−(4’−メチルベンジルオキシ)エチル基、2−
(4’−クロロベンジルオキシ)エチル基、フェノキシ
メチル基、2−フェノキシエチル基、2−(4’−クロ
ロフェニルオキシ)エチル基、2−(4’−メチルフェ
ニルオキシ)エチル基、2−(4'−メトキシフェニルオ
キシ)エチル基、3−フェノキシプロピル基、2−(2'
−ナフチルオキシ)エチル基、テトラヒドロフルフリル
基、ピペリジノ−N−エチル基、モルホリノ−N−プロ
ピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、
パーフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、8−フ
ルオロオクチル基、
【0012】ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェ
ネチル基、4−メチルベンジル基、3−メチルベンジル
基、2−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基、
4−(4’−メチルフェニル)ベンジル基、4−メトキ
シベンジル基、4−アリルオキシベンジル基、4−ベン
ジルオキシベンジル基、4−フェノキシベンジル基、4
−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、2−クロ
ロベンジル基、ジフェニルメチル基、フルフリル基、フ
ェニル基、2−ナフチル基、1−ナフチル基、3−ピリ
ジル基、2−ピリミジル基、4−キナルジル基、2−ベ
ンゾチアゾリル基、4−メチルフェニル基、3−メチル
フェニル基、2−メチルフェニル基、2−エチルフェニ
ル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピル
フェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−tert−ブ
チルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−シ
クロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル
基、4−イソプロペニルフェニル基、3−イソプロペニ
ルフェニル基、4−(1’−シクロヘキセニル)フェニ
ル基、4−ベンジルフェニル基、4−クミルフェニル
基、4−(4’−メトキシクミル)フェニル基、4−
(4’−ベンジルオキシ)クミルフェニル基、4−フェ
ニルフェニル基、2−フェニルフェニル基、4−(4’
−メトキシフェニル)フェニル基、
【0013】4−メトキシフェニル基、3−メトキシフ
ェニル基、2−メトキシフェニル基、2−エトキシフェ
ニル基、4−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブト
キシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル
基、4−メトキシ−1−ナフチル基、7−エトキシ−2
−ナフチル基、4−アリルオキシフェニル基、4−アリ
ルオキシ−1−ナフチル基、4−ベンジルオキシフェニ
ル基、2−ベンジルオキシフェニル基、4−フェノキシ
フェニル基、2−フェノキシフェニル基、4−(4'−メ
トキシフェノキシ)フェニル基、4−(4’−クロロフ
ェノキシ)フェニル基、4−フェノキシ−1−ナフチル
基、4−アセチルフェニル基、2−n−ブチルカルボニ
ルフェニル基、4−シクロヘキシルカルボニルフェニル
基、4−アセチル−1−ナフチル基、4−アリルカルボ
ニルフェニル基、4−ベンジルカルボニルフェニル基、
4−フェニルカルボニルフェニル基、4−(4’−メチ
ルフェニル)カルボニルフェニル基、4−メトキシカル
ボニルフェニル基、3−エトキシカルボニルフェニル
基、4−n−ブトキシカルボニルフェニル基、4−アリ
ルオキシカルボニルフェニル基、4−ベンジルオキシカ
ルボニルフェニル基、6−ベンジルオキシカルボニル−
2−ナフチル基、4−フェニルオキシカルボニルフェニ
ル基、4−(4’−クロロフェニル)オキシカルボニル
フェニル基、4−(4’−エトキシフェニル)オキシカ
ルボニルフェニル基、4−アセチルオキシフェニル基、
3−アセチルオキシフェニル基、2−エチルカルボニル
オキシフェニル基、4−n−ペンチルカルボニルオキシ
フェニル基、4−アセチルオキシ−1−ナフチル基、6
−エチルカルボニルオキシ−2−ナフチル基、4−アリ
ルカルボニルオキシフェニル基、4−ベンジルカルボニ
ルオキシフェニル基、4−フェニルカルボニルオキシフ
ェニル基、4−(4’−メチルフェニル)カルボニルオ
キシフェニル基、
【0014】4−フルオロフェニル基、3−フルオロフ
ェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニ
ル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、
4−ブロモフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ク
ロロ−1−ナフチル基、4−ニトロフェニル基、3−ニ
トロフェニル基、4−シアノフェニル基、2−シアノフ
ェニル基、2−クロロ−4−ニトロフェニル基、2−メ
チル−3−クロロフェニル基、2−クロロ−6−メチル
フェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−
メチル−4−ニトロフェニル基、2−メチル−4−イソ
プロペニルフェニル基、2−メチル−4−n−ブチルフ
ェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメ
チルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5
−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、
2,6−ジエチルフェニル基、5−インダニル基、5,
6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル基、2,4,
6−トリメチルフェニル基、2,6−ジメチル−4−ク
ロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4
−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、
2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニ
ル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−メトキシ−4
−メチルフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、
3,5−ジエトキシフェニル基、3,4−メチレンジオ
キシフェニル基、2,4−ジクロロ−1−ナフチル基を
例示することができる。
【0015】本発明に係る一般式(1)で表される基に
おいて、X1 、X2 およびX3 は、水素原子、アルキル
基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、好ましく
は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜
8のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子または臭素原
子であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4の
アルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基または塩素原
子であり、特に水素原子は好ましい。本発明に係る一般
式(1)で表される基において、−COO−基の置換位
置は、−CO−基に対して、オルト位またはメタ位であ
り、X1 、X2 およびX3 の置換位置は、−CO−基に
対して、オルト位、メタ位またはパラ位である。本発明
の末端基の少なくとも1つが、一般式(1)で表される
基である芳香族ポリカーボネートを製造する際に、使用
する好適な末端封止剤としては、一般式(1−A)(化
3)で表される化合物を挙げることができる。
【0016】
【化3】 (式中、R1 、X1 、X2 およびX3 は前記に同じであ
り、Yは−COOH基、−COOM基または−COZ基
を表し、Mは金属イオン、Zはハロゲン原子を表す)
【0017】本発明に係る一般式(1−A)で表される
化合物において、Yは−COOH基、−COOM基また
は−COZ基を表し、Mは金属イオンを表し、Zはハロ
ゲン原子を表す。Mとしては、好ましくは、1価または
2価のアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオ
ンであり、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウ
ムイオン、カルシウムイオン等を具体例として挙げるこ
とができる。Zとしては、好ましくは、フッソ原子、塩
素原子、臭素原子を挙げることができ、より好ましく
は、塩素原子である。一般式(1−A)で表される化合
物は、其自体公知の方法により製造することができる。
例えば、一般式(1−A)において、Yが−COOH基
で表される化合物は、特開昭52−83366号公報、
特開昭61−246161号公報等に記載の方法により
製造することができる。すなわち、代表的には、一般式
(a)(化4)で表される無水フタル酸誘導体に、一般
式(b)で表されるアミン誘導体を作用させることによ
り製造することができる。
【0018】
【化4】 (式中、X1 、X2 およびX3 は前記に同じ) R1 −NH2 (b) (式中、R1 は前記に同じ)
【0019】一般式(1−A)において、Yが−COO
M基で表される化合物は、Yが、−COOH基である化
合物に、例えば、水溶液中で、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属塩基ま
たはアルカリ土類金属塩基を作用させて製造することが
できる。一般式(1−A)において、Yが−COZ基で
表される化合物において、例えば、Zが塩素原子である
化合物は、Yが−COOH基である化合物に、例えば、
塩化チオニルまたはオギザリルクロライドを作用させ製
造することができる。本発明の末端基の少なくとも1つ
が、一般式(1)で表される基である芳香族ポリカーボ
ネートにおいて、一般式(1)で表される基としては、
代表的には、以下に示す基を挙げることができるが、勿
論本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】 例示番号 基 1.N−メチルフタルイミド−3−カルボニルオキシ基 2.N−n−ブチルフタルイミド−3−カルボニルオキ
シ基 3.N−(2’−メチルブチル)フタルイミド−3−カ
ルボニルオキシ基 4.N−(2’,4’−ジメチルペンチル)フタルイミ
ド−3−カルボニルオキシ基 5.N−n−オクチルフタルイミド−3−カルボニルオ
キシ基 6.N−n−ヘキサデシルフタルイミド−3−カルボニ
ルオキシ基 7.N−シクロヘキシルフタルイミド−3−カルボニル
オキシ基 8.N−シクロヘキシルメチルフタルイミド−3−カル
ボニルオキシ基 9.N−(2’−メトキシエチル)フタルイミド−3−
カルボニルオキシ基 10.N−(3’−n−エトキシプロピル)フタルイミ
ド−3−カルボニルオキシ基 11.N−(パーフルオロブチル)フタルイミド−3−
カルボニルオキシ基 12.N−ベンジルフタルイミド−3−カルボニルオキ
シ基 13.N−(4’−クロロベンジル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 14.N−フェネチルフタルイミド−3−カルボニルオ
キシ基 15.N−フェニルフタルイミド−3−カルボニルオキ
シ基
【0021】 16.N−(2’−ナフチル)フタルイミド−3−カル
ボニルオキシ基 17.N−(2’−メチルフェニル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 18.N−(3’−メチルフェニル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 19.N−(4’−tert−ブチルフェニル)フタルイミ
ド−3−カルボニルオキシ基 20.N−(4’−シクロヘキシルフェニル)フタルイ
ミド−3−カルボニルオキシ基 21.N−(2'−メトキシフェニル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 22.N−(4’−フェノキシフェニル)フタルイミド
−3−カルボニルオキシ基 23.N−(4'−アセチルフェニル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 24.N−(4’−メトキシカルボニルフェニル)フタ
ルイミド−3−カルボニルオキシ基 25.N−(4’−ベンジルカルボニルオキシフェニ
ル)フタルイミド−3−カルボニルオキシ基
【0022】 26.N−(2'−フルオロフェニル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 27.N−(4’−クロロフェニル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 28.N−(3’−ニトロフェニル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 29.N−(4’−シアノフェニル)フタルイミド−3
−カルボニルオキシ基 30.N−(2’−クロロ−4’−ニトロフェニル)フ
タルイミド−3−カルボニルオキシ基 31.N−(2’,4’−ジメチルフェニル)フタルイ
ミド−3−カルボニルオキシ基 32.N−(2’,4’−ジクロロフェニル)フタルイ
ミド−3−カルボニルオキシ基 33.N−(2’,6’−ジメトキシフェニル)フタル
イミド−3−カルボニルオキシ基 34.N−n−ブチルフタルイミド−5−メチル−3−
カルボニルオキシ基 35.N−ベンジルフタルイミド−5−クロロ−3−カ
ルボニルオキシ基
【0023】 36.N−メチルフタルイミド−4−カルボニルオキシ
基 37.N−エチルフタルイミド−4−カルボニルオキシ
基 38.N−n−プロピルフタルイミド−4−カルボニル
オキシ基 39.N−イソプロピルフタルイミド−4−カルボニル
オキシ基 40.N−イソブチルフタルイミド−4−カルボニルオ
キシ基 41.N−n−ヘキシルフタルイミド−4−カルボニル
オキシ基 42.N−(2’−エチルヘキシル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 43.N−n−デシルフタルイミド−4−カルボニルオ
キシ基 44.N−シクロヘキシルフタルイミド−4−カルボニ
ルオキシ基 45.N−(4’−メチルシクロヘキシル)フタルイミ
ド−4−カルボニルオキシ基 46.N−アリルフタルイミド−4−カルボニルオキシ
基 47.N−(2’−エトキシエチル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 48.N−(2'−フェノキシエチル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 49.N−(3’−n−メトキシプロピル)フタルイミ
ド−4−カルボニルオキシ基 50.N−(3’−イソプロポキシプロピル)フタルイ
ミド−4−カルボニルオキシ基
【0024】 51.N−テトラヒドロフルフリルフタルイミド−4−
カルボニルオキシ基 52.N−パーフルオロエチルフタルイミド−4−カル
ボニルオキシ基 53.N−ベンジルフタルイミド−4−カルボニルオキ
シ基 54.N−(α−メチルベンジル)フタルイミド−4−
カルボニルオキシ基 55.N−(4’−メチルベンジル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 56.N−(2’−クロロベンジル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 57.N−フェニルフタルイミド−4−カルボニルオキ
シ基 58.N−(1’−ナフチル)フタルイミド−4−カル
ボニルオキシ基 59.N−(2'−ベンゾチアゾリル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 60.N−(4’−メチルフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 61.N−(2’−メチルフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 62.N−(4’−tert−ブチルフェニル)フタルイミ
ド−4−カルボニルオキシ基 63.N−(4’−シクロヘキシルフェニル)フタルイ
ミド−4−カルボニルオキシ基 64.N−(4’−イソプロペニルフェニル)フタルイ
ミド−4−カルボニルオキシ基 65.N−(4’−クミルフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 66.N−(4'−フェニルフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 67.N−(2'−メトキシフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 68.N−(3'−エトキシフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 69.N−(4’−シクロヘキシルオキシフェニル)フ
タルイミド−4−カルボニルオキシ基 70.N−(4’−アリルオキシフェニル)フタルイミ
ド−4−カルボニルオキシ基 71.N−(4’−ベンジルオキシフェニル)フタルイ
ミド−4−カルボニルオキシ基 72.N−(4'−アセチルフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 73.N−(4’−フェニルカルボニルフェニル)フタ
ルイミド−4−カルボニルオキシ基 74.N−(4’−メトキシカルボニルフェニル)フタ
ルイミド−4−カルボニルオキシ基 75.N−(4’−エチルカルボニルオキシフェニル)
フタルイミド−4−カルボニルオキシ基 76.N−(2'−フルオロフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 77.N−(2’−クロロフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 78.N−(3’−クロロフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 79.N−(2’−ブロモフェニル)フタルイミド−4
−カルボニルオキシ基 80.N−(2’,4’−ジメチルフェニル)フタルイ
ミド−4−カルボニルオキシ基
【0025】 81.N−(3’,5’−ジメチルフェニル)フタルイ
ミド−4−カルボニルオキシ基 82.N−(2’,6’−ジメトキシフェニル)フタル
イミド−4−カルボニルオキシ基 83.N−(2’−メチル−4’−ニトロフェニル)フ
タルイミド−4−カルボニルオキシ基 84.N−(2’−メチル−4’−クロロフェニル)フ
タルイミド−4−カルボニルオキシ基 85.N−(2’,6’−ジクロロフェニル)フタルイ
ミド−4−カルボニルオキシ基 86.N−メチルフタルイミド−5−メチル−4−カル
ボニルオキシ基 87.N−n−ペンチルフタルイミド−6−エトキシ−
4−カルボニルオキシ基 88.N−フェニルフタルイミド−6−クロロ−4−カ
ルボニルオキシ基
【0026】本発明の芳香族ポリカーボネートは、少な
くとも1種の芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート
前駆体、および、少なくとも1種の一般式(1−A)で
表される化合物から製造することができる。その製造方
法としては、例えば、"Encyclopedia of Polymer Scien
ce and Technology" vol.10, Polycarbonate,Intersci
ence Publishing, p.710-764(1969) 、H.Schnell, "Che
mistry andPhysics of Polycarbonate", Interscience
Publishing, p.33-41(1964) に記載されている方法、例
えば、界面重合法、溶液重合法、または、エステル交換
法を利用することができ、特に、界面重合法は好ましい
製造方法である。本発明の新規な末端基を有する芳香族
ポリカーボネートを製造する際に、一般式(1−A)で
表される化合物は末端封止剤として作用し、本発明の芳
香族ポリカーボネートの製造工程において芳香族ポリカ
ーボネートの分子量を制御又は調整するのに役立つ。こ
れらの末端封止剤と、芳香族ジヒドロキシ化合物とは、
カーボネート前駆体の作用により、エステル結合を形成
し、本発明の一般式(1)で表される末端基を有する芳
香族ポリカーボネートを生成する。
【0027】一般式(1−A)で表される末端封止剤
は、一般に、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート
前駆体との反応において、最初に、すなわちカーボネー
ト前駆体の添加に先立って、芳香族ジヒドロキシ化合物
と共に存在させてもよく、またはカーボネート前駆体の
添加に伴い、逐次連続的に供給することもできる。本発
明の芳香族ポリカーボネートの製造に際して、一般式
(1−A)で表される化合物は、単独で使用しても、あ
るいは、複数併用してもよい。更に、一般式(1−A)
で表される化合物は、本発明の所望の効果を損なわない
範囲で、他の公知の末端封止剤と組み合わせて使用する
ことも可能である。他の公知の末端封止剤を併用する場
合、全末端封止剤中、一般式(1−A)で表される化合
物の割合は、30モル%以上であることが好ましく、6
0モル%以上であることがより好ましい。
【0028】一般式(1−A)で表される化合物以外の
末端封止剤としては、例えば、1価のヒドロキシ芳香族
化合物、1価のヒドロキシ芳香族化合物のハロホーメー
ト誘導体、1価のカルボキシル基を有する化合物および
1価のカルボニルハライド誘導体等である。1価のヒド
ロキシ芳香族化合物としては、例えば、フェノール、p
−クレゾール、o−エチルフェノール、p−エチルフェ
ノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチ
ルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキ
シルフェノール、p−n−オクチルフェノール、p−イ
ソオクチルフェノール、p−n−ノニルフェノール、
2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−
n−ヘキシルオキシフェノール、p−n−デシルオキシ
フェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノ
ール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、
ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p
−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノー
ル、2,4−ジ(1−メチル−1−フェニルエチル)フ
ェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−
(2’,4’,4’−トリメチルクロマニル)フェノー
ル、2−(4’−メトキシフェニル)−2−(4”−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類である。
1価のヒドロキシ芳香族化合物のハロホーメート誘導体
としては、上述の1価のヒドロキシ芳香族化合物のハロ
ホーメート誘導体等である。
【0029】1価のカルボキシル基を有する化合物とし
ては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カ
プロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、2,2−ジメチル
プロピオン酸、3−メチル酪酸、3,3−ジメチル酪
酸、4−メチル吉草酸、3,3−ジメチル吉草酸、4−
メチルカプロン酸、2,4−ジメチル吉草酸、3,5−
ジメチルカプロン酸、フェノキシ酢酸等の脂肪酸類、安
息香酸、p−メチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香
酸、p−n−プロピルオキシ安息香酸、p−n−ブトキ
シ安息香酸、p−n−ヘキシルオキシ安息香酸、p−n
−オクチルオキシ安息香酸、p−フェニル安息香酸、p
−ベンジル安息香酸、p−クロロ安息香酸等の安息香酸
類である。1価のカルボニルハライド誘導体としては、
上記の1価のカルボキシル基を有する化合物のハライド
誘導体等である。尚、上述の1価のヒドロキシ芳香族化
合物または1価のカルボキシル基を有する化合物のアル
カリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)
塩、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も末端
封止剤として使用できる。
【0030】末端封止剤の使用量は、目的とする芳香族
ポリカーボネートの平均分子量に応じて変化させること
ができる。本発明においては、一般式(1−A)で表さ
れる化合物を単独または複数、あるいは他の公知の末端
封止剤と併用して使用するが、一般式(1−A)で表さ
れる化合物と他の公知の末端封止剤と併用する場合に
は、それらの化合物の合計のモル数を末端封止剤の使用
量とする。末端封止剤の使用量と芳香族ポリカーボネー
ト平均分子量の関係は、一般に、末端封止剤の使用量の
増加に伴い芳香族ポリカーボネートの平均分子量が低下
し、末端封止剤の使用量の減少に伴い平均分子量が増大
する傾向がある。本発明の芳香族ポリカーボネートは、
末端封止剤の使用量により任意の分子量をとることがで
きるが、製造される芳香族ポリカーボネートの成形加工
性、耐熱性、機械的強度等の物性を考慮すると、約15
000〜約150000の重量平均分子量であることが
好ましく、約20000〜約100000の重量平均分
子量であることがより好ましく、約30000〜約70
000の重量平均分子量であることがより好ましい。上
記の範囲の重量平均分子量の芳香族ポリカーボネートを
製造するために必要な末端封止剤の使用量は、使用する
芳香族ジヒドロキシ化合物の量に対して、約1〜約10
モル%であるのが好ましく、さらには、約1.5〜約7
モル%使用するのがより好ましい。
【0031】本発明の芳香族ポリカーボネートを製造す
る際に使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、一
般式(2)または一般式(3)で表される化合物を挙げ
ることができる。 HO−Ar1−X−Ar2−OH (2) HO−Ar3−OH (3) (式中、Ar1、Ar2およびAr3は2価の芳香族基を表
し、XはAr1とAr2を結び付ける連結基を表す)一般式
(2)および一般式(3)において、Ar1、Ar2および
Ar3は、各々2価の芳香族基を表し、好ましくは、フェ
ニレン基、もしくは置換基を有する置換フェニレン基で
ある。置換フェニレン基の置換基としては、アルキル
基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、ア
ルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
【0032】Ar1とAr2は、両方ともが置換基を有して
いてもよいp−フェニレン基、m−フェニレン基または
o−フェニレン基、あるいは一方がp−フェニレン基で
あり、一方がm−フェニレン基またはo−フェニレン基
であるのが好ましく、Ar1とAr2の両方がp−フェニレ
ン基であるのが特に好ましい。Ar3は、置換基を有して
いてもよいp−フェニレン基、m−フェニレン基または
o−フェニレン基であり、好ましくは、p−フェニレン
基またはm−フェニレン基である。Xは、Ar1とAr2
結び付ける連結基であり、単結合、もしくは、2価の炭
化水素基、更には、−O−、−S−、−SO−、−SO
2 −、−CO−等の炭素と水素以外の原子を含む基であ
っても良い。2価の炭化水素基とは、飽和の炭化水素
基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−プロピリデ
ン、シクロヘキシリデン等のアルキリデン基があげられ
るが、アリール基等で置換された基も包含され、また、
芳香族基やその他の不飽和の炭化水素基を含有する炭化
水素基であってもよい。
【0033】芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例として
は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン〔”ビスフェノールA”〕、1,3−ビス(4'−ヒド
ロキシフェニル)−1,1−ジメチルプロパン、2−
(4’−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキ
シフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)ノナン、ビス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2
−ビス(3'−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3’−エチル−4’−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−n−プロピ
ル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(3’−イソプロピル−4'−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3’−sec −ブチル−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−te
rt−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3’−シクロヘキシル−4’−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−アリル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒド
ロキシフェニル) プロパン、2,2−ビス(2’,
3’,5’,6’−テトラメチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−クロロ−4’
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシフェニル)
プロパン、2,2−ビス(3’−ブロモ−4’−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−
ジブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(2’,6’−ジブロモ−3’,5’−ジメチ
ル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シアノメタン、1−シアノ−3,
3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、
【0034】1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)シクロペンタン、1,1−ビス(4'−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’−メチル
−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1
−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’,5’−ジ
クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチ
ルシクロヘキサン、1,1−ビス (4’−ヒドロキシフ
ェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘプ
タン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シク
ロオクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)シクロノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)ノルボルナン、8,8−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)トリシクロ〔5.2.1.02.6
デカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ア
ダマンタン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアル
カン類、
【0035】4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリー
ル)エーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルス
ルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキ
シジフェニルスルフィド、3,3’−ジシクロヘキシル
−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,
3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のビス(ヒ
ドロキシアリール)スルフィド類、4,4’−ジヒドロ
キシジフェニルスルホキシド、3,3’−ジメチル−
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等のビス
(ヒドロキシアリール)スルホキシド類、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’
−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスル
ホン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スル
ホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビ
ス(ヒドロキシアリール)ケトン類、
【0036】更には、6,6’−ジヒドロキシ−2,
2’,3,3’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テ
トラメチル−1,1’−スピロビ(1H−インデ
ン)〔”スピロビインダンビスフェノール”〕、7,7
−ジヒドロキシ−3,3’,4,4’−テトラヒドロ−
4,4,4’,4’−テトラメチル−2,2’−スピロ
ビ(2H−1−ベンゾピラン)〔”スピロビクロマ
ン”〕、トランス−2,3−ビス(4'−ヒドロキシフェ
ニル)−2−ブテン、9,9−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)フルオレン、3,3−ビス(4’−ヒドロキ
シフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、1,1
−ジクロロ−2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−
2,2−ビス(3’−フェノキシ−4’−ヒドロキシフ
ェニル)エチレン、α,α,α’,α’−テトラメチル
−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キ
シレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシレン、
3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタリド、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,4−ジヒドロ
キシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、
2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキ
シナフタレン、ハイドロキノン、レゾルシン等が挙げら
れる。更には、例えば、ビスフェノールA2モルとイソ
フタロイルクロライド又はテレフタロイルクロライド1
モルとを反応させることにより製造されるエステル結合
を含むビスフェノール類も有用である。これらは単独で
使用しても、あるいは複数併用してもよい。特に好まし
い芳香族ジヒドロキシ化合物は、ビス(ヒドロキシアリ
ール)アルカン類、ビス(ヒドロキシアリール)シクロ
アルカン類であり、中でも好ましくは、ビスフェノール
Aである。
【0037】カーボネート前駆体としては、ハロゲン化
カルボニル化合物、ハロホーメート化合物、ジアルキル
カーボネート化合物、ジアリールカーボネート化合物、
アルキルアリールカーボネート化合物を挙げることがで
き、好ましくは、ハロゲン化カルボニル化合物およびハ
ロホーメート化合物である。ハロゲン化カルボニル化合
物としては、通常、ホスゲンと呼ばれる塩化カルボニ
ル、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニル、フッ化カルボ
ニルおよびそれらの混合物が挙げられる。さらには、ホ
スゲンの二量体であるトリクロロメチルクロロホーメー
ト、ホスゲンの三量体であるビス(トリクロロメチル)
カーボネートも使用することができる。ハロホーメート
化合物としては、モノまたはビスハロホーメート化合
物、オリゴマー状のモノまたはビスハロホーメート化合
物が用いられ、代表的には一般式(4)で表される化合
物を挙げることができる。
【0038】 W−(O−R’−O−C(=O))n −O−R’−O−W (4) (式中、Wは水素原子またはハロカルボニル基を表し、
少なくとも1個のWはハロカルボニル基であり、R’は
2価の脂肪族基または芳香族基を表し、nは0または正
の整数を表す)一般式(4)で表される化合物は、脂肪
族ジヒドロキシ化合物から誘導されるモノまたはビスハ
ロホーメート化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物から誘
導されるモノまたはビスハロホーメート化合物、および
これらの化合物のオリゴマー状のモノまたはビスハロホ
ーメート化合物である。尚、オリゴマー状のモノまたは
ビスハロホーメート化合物の場合には、同一分子中に構
造の異なるR’基を有していてもよい。これらのハロホ
ーメート化合物は、単独あるいは複数併用してもよく、
さらにはハロゲン化カルボニル化合物と併用することも
可能である。
【0039】一般式(4)において、R’は脂肪族ジヒ
ドロキシ化合物または芳香族ジヒドロキシ化合物から誘
導される2価の基である。脂肪族ジヒドロキシ化合物と
しては、ジヒドロキシアルカン、ジヒドロキシシクロア
ルカン、一般式(5)で表される化合物が挙げられる。 HO−R”−Ar4 −R”−OH (5) (式中、R”は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、A
4 は炭素数6〜12の2価の芳香族基を表す)脂肪族
ジヒドロキシ化合物としては、好ましくは、炭素数2〜
20のジヒドロキシアルカン、炭素数4〜12のジヒド
ロキシシクロアルカン、一般式(5)で表されるジヒド
ロキシ化合物を挙げることができる。
【0040】脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例として
は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11
−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、
ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサ
ンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等
のジヒドロキシアルカン、1,3−ジヒドロキシシクロ
ヘキサン、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、2,
2−ビス(4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン
等のジヒドロキシシクロアルカン、1,2−ビス(ヒド
ロキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメ
チル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベ
ンゼン、1,4−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ベン
ゼン、1,4−ビス(3’−ヒドロキシプロピル)ベン
ゼン、1,4−ビス(4’−ヒドロキシブチル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(5'−ヒドロキシペンチル)ベンゼ
ン、1,4−ビス(6’−ヒドロキシヘキシル)ベンゼ
ン等のジヒドロキシ化合物を挙げることができる。
【0041】また、芳香族ジヒドロキシ化合物として
は、前述した一般式(2)または一般式(3)で表され
る芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば、ビスフェノール
A、ハイドロキノン等を挙げることができる。ジアルキ
ルカーボネート化合物、ジアリールカーボネート化合
物、アルキルアリールカーボネート化合物としては、ジ
メチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチル
フェニルカーボネート化合物、ハロゲン原子、ニトロ基
等で置換されたジフェニルカーボネート等が挙げられ
る。これらは単独で使用しても、あるいは、複数併用し
てもよい。
【0042】界面重合法により本発明の芳香族ポリカー
ボネートを製造する場合、カーボネート前駆体として
は、ハロゲン化カルボニル化合物または/およびハロホ
ーメート化合物が好ましく使用される。カーボネート前
駆体は、気体、液体、固体のいずれの状態で使用しても
よい。ハロゲン化カルボニル化合物を使用する場合に
は、気体状態あるいは有機溶媒に溶解させて有機溶媒溶
液として使用することが好ましく、ハロホーメート化合
物を使用する場合には、固体状態あるいは有機溶媒に溶
解させて有機溶媒溶液として使用することが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネートを、界面重合法により
製造するに際し、カーボネート前駆体として、例えば、
ハロゲン化カルボニル化合物を使用する場合、その使用
量は、芳香族ジヒドロキシ化合物の量に対し約1.0〜
約1.3倍モル使用するのが好ましい。本発明の芳香族
ポリカーボネートを、界面重合法により製造する場合に
は、公知の方法を用いることができる。例えば、少なく
とも1種の芳香族ジヒドロキシ化合物とアルカリ金属も
しくはアルカリ土類金属塩基、水および水と実質的に不
溶性の有機溶媒の2相混合溶媒中で、ハロゲン化カルボ
ニル化合物または/およびハロホーメート化合物を、一
般式(1−A)で表される化合物の存在下で作用させ
て、芳香族ポリカーボネートを製造する方法であり、よ
り好ましくは、ポリカーボネート生成触媒の存在下で製
造する方法である。
【0043】有機溶媒は、水に対して実質的に不溶性で
あり、かつ反応に対して不活性であり、芳香族ポリカー
ボネートを溶解するものであれば、任意に使用可能であ
る。好ましい有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタ
ン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−
ジクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエ
タン、ジクロロプロパン等の脂肪族塩素化炭化水素系溶
媒、あるいは、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の
芳香族塩素化炭化水素系溶媒等の塩素化炭化水素系溶媒
またはこれらの混合溶媒が挙げられる。さらには、これ
らの塩素化炭化水素系溶媒と、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、あるいはヘキ
サン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系
溶媒との混合溶媒が挙げられる。特に好ましい有機溶媒
はジクロロメタンである。有機溶媒の使用量は、通常、
重合終了時の芳香族ポリカーボネートを含有する有機溶
媒溶液中の芳香族ポリカーボネートの濃度が約5〜約3
5重量%になるように有機溶媒を使用するのが好まし
い。
【0044】また、反応に使用する有機溶媒と水の使用
量は、反応混合物が実質的に均一な乳化状態を維持する
に必要な量であれば良く、通常、水相対有機相の容量比
は約0.4〜約1.5:1とするのが好ましい。本発明
の芳香族ポリカーボネートを製造する際に使用するアル
カリ金属もしくはアルカリ土類金属塩基(以下、塩基と
略記する)としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化カルシウムを挙げることができる。
塩基の使用量は、好ましくは、芳香族ジヒドロキシ化合
物に対して、約1.0〜約1.6倍当量である。塩基
は、通常、水溶液の状態で用いられ、更にこの水溶液に
芳香族ジヒドロキシ化合物を溶解させて反応に使用する
ことが好ましい。この場合、酸化防止剤として、亜硫酸
ナトリウム、ソジウムハイドロサルファイトあるいはソ
ジウムボロハイドライド等を添加して、芳香族ジヒドロ
キシ化合物の塩基性水溶液を調製してもよい。
【0045】界面重合法において、所望により使用する
ポリカーボネート生成触媒(重合触媒とも呼ばれてい
る)としては、3級アミン、4級アンモニウム塩、3級
ホスフィン、4級ホスホニウム塩、あるいは含窒素複素
環化合物及びその塩、イミノエーテル及びその塩、アミ
ド基を有する化合物等が挙げられる。好ましくは、3級
アミンであり、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−
プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、トリ
−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシル
アミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−
エチルピペリジン等が挙げられる。これらのポリカーボ
ネート生成触媒は、単独あるいは複数併用することがで
きる。ポリカーボネート生成触媒の使用量は、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物のモル数に対して、約0.0005〜
約1.5モル%が好ましい。ポリカーボネート生成触媒
の添加時期は、本発明の芳香族ポリカーボネートを製造
する際、反応前あるいは反応中に加えることができる。
界面重合法においては、反応温度は、約10℃〜反応に
使用する有機溶媒の沸点温度で本発明の芳香族ポリカー
ボネートを製造することが好ましい。反応は、通常、大
気圧下で実施するが、所望により、加圧下または減圧下
で実施してもよい。
【0046】また、本発明の芳香族ポリカーボネートを
製造する際には、公知の溶液重合法を利用することもで
きる。例えば、ピリジン溶液中で、芳香族ジヒドロキシ
化合物、ハロゲン化カルボニル化合物または/およびハ
ロホーメート化合物および一般式(1−A)で表される
化合物を、約0〜約50℃で作用させて製造することが
できる。カーボネート前駆体として、ジアルキルカーボ
ネート化合物、アルキルアリールカーボネート化合物ま
たは/およびジアリールカーボネート化合物を用いて、
本発明の芳香族ポリカーボネートを製造する場合には、
ジアルキルカーボネート化合物、アルキルアリールカー
ボネート化合物または/およびジアリールカーボネート
化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物と一般式(1−A)
で表される化合物との混合物を、約60〜約300℃の
温度で、常圧下、加圧下または減圧下で、必要に応じ
て、エステル交換触媒(例えば、金属酸化物、金属水酸
化物、金属炭酸塩等)の存在下で、公知のエステル交換
法により製造することができる。
【0047】尚、本発明の芳香族ポリカーボネートは、
所望により、製造時に分岐化剤を添加することにより、
分岐化された芳香族ポリカーボネートとすることができ
る。分岐化剤としては、3つ以上のフェノール性ヒドロ
キシル基、ハロホーメート基、カルボキシル基、カルボ
ニルハライド基、活性なハロゲン原子を有する化合物が
挙げられる。分岐化剤の具体例としては、フロログルシ
ノール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4’
−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメ
チル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4’−ヒドロキシ
フェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4’−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−
ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α’−トリス
(4’−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソ
プロピルベンゼン、2,4−ビス〔α−メチル−α−
(4'−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェノール、2−
(4’−ヒドロキシフェニル)−2−(2”,4”−ジ
ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)ホスフィン、1,1,4,4−テトラキス
(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2
−ビス〔4’,4’−ビス(4”−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキシル〕プロパン、
【0048】α,α,α’,α’−テトラキス(4’−
ヒドロキシフェニル)−1,4−ジエチルベンゼン、
2,2,5,5−テトラキス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)ヘキサン、1,1,2,3−テトラキス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(4’,
4”−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、
3,3’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルエー
テル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ビス
(クロロカルボニルオキシ)安息香酸、4−ヒドロキシ
イソフタル酸、4−クロロカルボニルオキシイソフタル
酸、5−ヒドロキシフタル酸、5−クロロカルボニルオ
キシフタル酸、トリメシン酸トリクロライド、シアヌル
酸クロライド、3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,
3−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−メチルフェニル)
−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール等を挙げる
ことができる。これらの分岐化剤は単独あるいは複数併
用することができる。分岐化剤の使用量は、目的とする
分岐化した芳香族ポリカーボネートの分岐度にあわせて
変化させることができ、通常、芳香族ジヒドロキシ化合
物に対して0.05〜2.0モル%程度用いるのが好ま
しい。
【0049】さらに、本発明の芳香族ポリカーボネート
は、芳香族ポリエステルカーボネートをも包含するもの
であり、少なくとも1種の芳香族ジヒドロキシ化合物
〔例えば、一般式(2)または一般式(3)で表される
化合物〕、カーボネート前駆体(例えば、ホスゲン)、
芳香族または脂肪族の2価のカルボン酸または該化合物
のハライド誘導体(例えば、米国特許第3169121
号に記載のイソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸
ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、アジピン
酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸)および一般式(1−A)で表される化合物を用い、
公知の方法(例えば、米国特許第3169121号、米
国特許第4156069号、英国特許第897640号
に記載の方法)により芳香族ポリエステルカーボネート
を製造することができる。この際、芳香族または脂肪族
の2価のカルボン酸またはカルボン酸ハライドの使用量
は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、30〜80モル
%程度用いるのが好ましい。
【0050】本発明の芳香族ポリカーボネートは、界面
重合法または溶液重合法により製造した場合、通常、該
芳香族ポリカーボネートを含有する有機溶媒溶液を水層
と分離した後、水洗浄により、実質的に電解質が無くな
るまで洗浄した後、該有機溶媒溶液から公知の方法によ
り有機溶媒を除去して、本発明の芳香族ポリカーボネー
トを得ることができる。また、エステル交換法により製
造する場合、製造条件下で溶融した芳香族ポリカーボネ
ートを、直接ペレット化あるいは成形物へと加工するこ
とも可能である。本発明の芳香族ポリカーボネートは、
他の芳香族ポリカーボネート、あるいは他のポリマーと
混合して成形材料として使用することが可能である。他
のポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、
ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、
ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
テルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パ
ラオキシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリレート、
ポリスルフィド等が挙げられる。
【0051】また、本発明の芳香族ポリカーボネートに
は、芳香族ポリカーボネートの製造時または製造後に、
公知の方法で、染料、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、加
水分解安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、有機ハロゲン化
合物、アルカリ金属スルホン酸塩、ガラス繊維、炭素繊
維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO2 等の各種添
加剤を1種以上添加しても良い。本発明の芳香族ポリカ
ーボネートは、単独もしくは他のポリマーと混合して、
所望により、各種添加剤を添加し、電気機器等のシャー
シーやハウジング材、電子部品、自動車部品、コンパク
トディスク等の情報記録媒体の基板、カメラや眼鏡のレ
ンズ等の光学材料、ガラス代替の建材等に成形加工する
ことができる。本発明の芳香族ポリカーボネートは、熱
可塑性であり、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、
フィラー等への含浸等が可能であり、公知の方法により
容易に成形加工することができる。また、本発明の芳香
族ポリカーボネートは、特定の有機溶媒(例えば、ジク
ロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒)に可溶であ
り、該有機溶媒溶液よりキャストし、フィルム等に成形
加工できる。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 例示番号15の末端基を有する芳香族ポリカ
ーボネートの製造 10リットルのバッフル付フラスコに、三段六枚羽根の
攪拌機および還流冷却管を取付け、このフラスコに、ビ
スフェノールA912g(4.0モル)、N−フェニル
フタルイミド−3−カルボン酸36.3g(0.136
モル、ビスフェノールAに対して3.4モル%)、ジク
ロロメタン4リットル及び脱イオン水4リットルを入
れ、懸濁液とし、フラスコ内の酸素を除去する為に窒素
パージを行った。次に、上記懸濁液に、ソジウムハイド
ロサルファイト1.2gおよび苛性ソーダ432g(1
0.8モル)を溶解した水溶液2.2リットルを供給
し、15℃でビスフェノールAを溶解した。この溶液
に、ホスゲン495g(5.0モル)を、8.25g/
分の速度で供給した。反応温度は39℃まで上昇し、ジ
クロロメタンの還流が確認された。ホスゲンの供給が完
了した後、トリエチルアミン0.64gを添加して、反
応液をさらに90分間攪拌し、重合反応を行った。その
後、反応液を静置し、有機層を分液し、塩酸により中和
し、電解質が無くなるまで脱イオン水で洗浄した。この
ようにして得られた芳香族ポリカーボネートのジクロロ
メタン溶液に、トルエン2リットルと水5リットルを加
え、98℃まで加熱することによりジクロロメタン及び
トルエンを留去して、芳香族ポリカーボネートの粉体を
得た。得られた芳香族ポリカーボネートの数平均分子量
は20700、重量平均分子量は50900であった。
【0053】実施例2 例示番号36の末端基を有する
芳香族ポリカーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−メチルフタルイミド−
4−カルボン酸クロライド30.4g(ビスフェノール
Aに対して3.4モル%)を用いた以外は、実施例1と
同様にして、芳香族ポリカーボネートを製造した。得ら
れた芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は2080
0、重量平均分子量は51000であった。 実施例3 例示番号38の末端基を有する芳香族ポリカ
ーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−n−プロピルフタルイ
ミド−4−カルボン酸31.7g(ビスフェノールAに
対して3.4モル%)を用いた以外は、実施例1と同様
にして、芳香族ポリカーボネートを製造した。得られた
芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は21100、
重量平均分子量は51200であった。
【0054】実施例4 例示番号44の末端基を有する
芳香族ポリカーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−シクロヘキシルフタル
イミド−4−カルボン酸クロライド39.6g(ビスフ
ェノールAに対して3.4モル%)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、芳香族ポリカーボネートを製造し
た。得られた芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は
20700、重量平均分子量は51100であった。 実施例5 例示番号46の末端基を有する芳香族ポリカ
ーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−アリルフタルイミド−
4−カルボン酸31.4g(ビスフェノールAに対して
3.4モル%)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、芳香族ポリカーボネートを製造した。得られた芳香
族ポリカーボネートの数平均分子量は20500、重量
平均分子量は50700であった。
【0055】実施例6 例示番号47の末端基を有する
芳香族ポリカーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−(2’−エトキシエチ
ル)フタルイミド−4−カルボン酸クロライド38.3
g(ビスフェノールAに対して3.4モル%)を用いた
以外は、実施例1と同様にして、芳香族ポリカーボネー
トを製造した。得られた芳香族ポリカーボネートの数平
均分子量は20900、重量平均分子量は50800で
あった。 実施例7 例示番号50の末端基を有する芳香族ポリカ
ーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−(3’−イソプロポキ
シプロピル)フタルイミド−4−カルボン酸37.2g
(ビスフェノールAに対して3.2モル%)を用いた以
外は、実施例1と同様にして、芳香族ポリカーボネート
を製造した。得られた芳香族ポリカーボネートの数平均
分子量は22100、重量平均分子量は53100であ
った。
【0056】実施例8 例示番号53の末端基を有する
芳香族ポリカーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−ベンジルフタルイミド
−4−カルボン酸38.2g(ビスフェノールAに対し
て3.4モル%)を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、芳香族ポリカーボネートを製造した。得られた芳香
族ポリカーボネートの数平均分子量は、21000、重
量平均分子量は51100であった。 実施例9 例示番号57の末端基を有する芳香族ポリカ
ーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−フェニルフタルイミド
−4−カルボン酸クロライド38.8g(ビスフェノー
ルAに対して3.4モル%)を用いた以外は、実施例1
と同様にして、芳香族ポリカーボネートを製造した。得
られた芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は206
00、重量平均分子量は50900であった。
【0057】実施例10 例示番号80の末端基を有す
る芳香族ポリカーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−(2’,4’−ジメチ
ルフェニル)フタルイミド−4−カルボン酸クロライド
42.6g(ビスフェノールAに対して3.4モル%)
を用いた以外は、実施例1と同様にして、芳香族ポリカ
ーボネートを製造した。得られた芳香族ポリカーボネー
トの数平均分子量は21000、重量平均分子量は51
200であった。 実施例11 例示番号84の末端基を有する芳香族ポリ
カーボネートの製造 実施例1において、N−フェニルフタルイミド−3−カ
ルボン酸を用いる代わりに、N−(2’−メチル−4’
−クロロフェニル)フタルイミド−4−カルボン酸4
2.9g(ビスフェノールAに対して3.4モル%)を
用いた以外は、実施例1と同様にして、芳香族ポリカー
ボネートを製造した。得られた芳香族ポリカーボネート
の数平均分子量は20800、重量平均分子量は509
00であった。
【0058】比較例1 比較のため、実施例1において、末端封止剤としてN−
フェニルフタルイミド−3−カルボン酸を用いる代わり
に、p−tert−ブチルフェノール20.4g(ビスフェ
ノールAに対して3.4モル%)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、芳香族ポリカーボネートを製造し
た。得られた芳香族ポリカーボネートの数平均分子量は
21000、重量平均分子量は51200であった。 比較例2 比較のため、実施例1において、末端封止剤としてN−
フェニルフタルイミド−3−カルボン酸を用いる代わり
に、N−メチル−4−ヒドロキシフタルイミド24.1
g(ビスフェノールAに対して3.4モル%)を用いた
以外は、実施例1と同様にして、芳香族ポリカーボネー
トを製造した。得られた芳香族ポリカーボネートの数平
均分子量は20800、重量平均分子量は51600で
あった。
【0059】尚、各実施例および各比較例で製造した各
芳香族ポリカーボネートの分子量は、GPC〔ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー、昭和電工(株)社
製、GPCシステム−11〕で測定した。第1表(表
1)には、各実施例および比較例で製造した各芳香族ポ
リカーボネートのガラス転移点(Tg)の測定結果を示
した。ガラス転移点(Tg、℃)は、DSC〔マックサ
イエンス(株)社製、DSC−3100〕を用い、昇温
速度は16℃/分の条件で測定した。
【0060】
【表1】 第1表に示した結果から、本発明の芳香族ポリカーボネ
ートは、末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール
またはN−メチル−4−ヒドロキシフタルイミドを用い
て製造される芳香族ポリカーボネートに比べ、ガラス転
移点が高く、熱安定性に優れていることが判明した。
【0061】
【発明の効果】本発明により、熱安定性に優れた芳香族
ポリカーボネートを提供することが可能になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 友倫 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三 井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 米国特許4853458(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G08G 64/00 - 64/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端基の少なくとも1つが、一般式
    (1)(化1)で表される基である芳香族ポリカーボネ
    ート。 【化1】 (式中、R1 はアルキル基、アルケニル基、アラルキル
    基またはアリール基を表し、X1 、X2 およびX3 は水
    素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子
    を表す)
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、R1 がC1-16
    アルキル基、C2-16のアルケニル基、C7-24のアラルキ
    ル基またはC6-24のアリール基、X1 、X2、X3 が水
    素原子、C1-8 のアルキル基、C1-8 のアルコキシ基ま
    たはハロゲン原子である請求項1記載の芳香族ポリカー
    ボネート。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R1 がC1-8
    アルキル基、C3-8のアルケニル基、C7-10のアラルキ
    ル基またはC6-10のアリール基、X1 、X2、X3 が水
    素原子である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート。
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