JP3680682B2 - 非可逆回路素子および通信機装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非可逆回路素子、特に、マイクロ波帯の通信機器で使用されるアイソレータやサーキュレータ等の非可逆回路素子および通信機装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、携帯電話等の移動通信機器に採用される集中定数型アイソレータは、信号を伝送方向にのみ通過させ、逆方向への伝送を阻止する機能を有している。また、最近の移動通信機器では、その用途からして小型、軽量化とともに、低コスト化に対する要求が強くなっており、これに伴ってアイソレータにおいても小型、軽量化および低コスト化が要請されている。
【0003】
このような集中定数型アイソレータとしては、以下に記載する構造を有したものが提案されている。すなわち、磁性体金属からなる下ヨーク上に、樹脂製端子ケースを配置するとともに、端子ケース内に中心電極組立体と整合用コンデンサ等を収容し、磁性体金属からなる上ヨークを装着している。上ヨークの内面には永久磁石が貼着され、この永久磁石により中心電極組立体に直流磁界を印加するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このアイソレータは、整合用コンデンサと上ヨークが接近しており、整合用コンデンサと上ヨークのショートを防止するため、上ヨークに絶縁材料(例えばエポキシ樹脂)を塗布して絶縁膜を形成することが提案されている。しかしながら、この場合、均一な膜厚でムラなく絶縁材料を塗布することは困難であり、塗布ムラが生じた部分で整合用コンデンサと上ヨークがショートする心配がある。また、塗布作業は煩雑で作業性が悪く、コストアップの一つの要因となる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、整合用コンデンサとヨークのショートを確実に防止することができ、信頼性が高くかつ低コストの非可逆回路素子および通信機装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】
前記目的を達成するために、本発明に係る非可逆回路素子は、永久磁石と、前記永久磁石により直流磁界が印加される複数の中心電極付きフェライトと、前記フェライトに配置された1枚の金属製アース板と、ホット側コンデンサ電極を一方主面に、コールド側コンデンサ電極を他方主面に設け、前記中心電極の先端部にあたるポート部と前記アース板の端部とで挟持した状態で、前記ホット側コンデンサ電極が前記中心電極のポート部に接続され、かつ前記コールド側電極が前記アース板の端部に接続されて固定された複数の整合用コンデンサと、前記永久磁石、前記フェライト、前記アース板を順次配置するとともに、前記整合用コンデンサを収容する上ヨーク、下ヨークとを備え、前記整合用コンデンサの少なくとも1つを、コンデンサ電極面が前記フェライトの上面に対して60度以上120度以下の角度をなすように縦に配置し、縦に配置された整合用コンデンサの1つの端面と前記上ヨークとが近接して配置されており、前記上ヨークの前記縦に配置された整合用コンデンサの前記1つの端面に臨む側の面に、粘着層を有する絶縁テープを貼付し、前記縦に配置された整合用コンデンサの前記1つの端面と前記上ヨークの間に絶縁テープが配置されていること、を特徴とする。
【0007】
また、絶縁テープは、熱変形温度が200℃以上の材料からなることが好ましい。具体的には、絶縁テープの材料として、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、あるいは、フッ素樹脂などが使用され、絶縁テープの粘着層の材料として、シリコン系粘着材やアクリル系粘着材などが使用される。
【0008】
以上の構成により、ヨークと整合用コンデンサのショートが絶縁テープによって防止される。絶縁テープは均一な膜厚を有し、膜厚のムラが生じないため、ヨークと整合用コンデンサのショートが確実に防止される。
【0009】
また、本発明に係る通信機装置は、前述の特徴を有する非可逆回路素子を備えることにより、製造コストが安価で、信頼性の高いものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る非可逆回路素子および通信機装置の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。
【0011】
[第1実施形態、図1〜図6]
本発明に係る非可逆回路素子の一つの実施形態の構成を示す分解斜視図を図1に示す。該非可逆回路素子41は集中定数型アイソレータである。図1に示すように、集中定数型アイソレータ41は、下ヨーク12と、樹脂製端子ケース53と、中心電極組立体54と、永久磁石16と、上ヨーク15を備えている。
【0012】
下ヨーク12は磁性体金属からなり、左右の側壁12aと底壁12bとを有している。この下ヨーク12上に端子ケース53を配置すると共に、端子ケース53内に中心電極組立体54を収容し、磁性体金属からなる上ヨーク15を装着している。上ヨーク15は、手前側および奥側の側壁15aと蓋壁15bとを有している。
【0013】
上ヨーク15の蓋壁15bの下面には、粘着層を有する絶縁テープ65(図1において斜線にて表示)が自動機などによって貼付されている。粘着層を含めた絶縁テープ65の厚さは、製品の高さ寸法が大きくならないように、例えば0.01〜0.05mmと薄く設定される。絶縁テープ65の材料としては、ポリエステル樹脂、あるいは、熱変形温度が200℃以上の材料(例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂)が使用される。熱変形温度が200℃以上の材料を使用した場合には、アイソレータ41を半田付け実装した際に絶縁テープ65が熱変形しないので好ましい。また、絶縁テープ65の粘着層の材料としては、シリコン系粘着材やアクリル系粘着材などが使用される。
【0014】
絶縁テープ65の表面には永久磁石16が貼着され、この永久磁石16により中心電極組立体54に直流磁界を印加するようになっている。下ヨーク12と中心電極組立体54と上ヨーク15とで磁路を構成している。
【0015】
中心電極組立体54は、図2および図3に示すように、マイクロ波フェライト20の上面(第1の主面であり、一方の磁極面)に3本の中心電極21〜23を電気的絶縁状態で略120度毎に互いに交差させて配置している。これらの中心電極21〜23のうち、中心電極21,22は各々の一端側のポート部P1,P2を直角に折曲させ、中心電極23は一端側のポート部P3を水平に導出させている。さらに、中心電極21〜23の他端側の各中心電極21〜23の共通のシールド部26をフェライト20の下面(第2の主面であり、他方の磁極面)に当接させている。共通シールド部26は、フェライト20の下面を略覆っている。
【0016】
アース板42は、フェライト20の下面側に配置され、中心電極21〜23の共通シールド部26に面接触して(必要があれば、半田や導電性接着剤等を利用して)電気的に接続されている。アース板42の端部からは、コンデンサ接続部42a,42b,42cが延在している。コンデンサ接続部42a,42bは中心電極21,22のポート部P1,P2と平行になるように立ち上がり、コンデンサ接続部42cは中心電極23のポート部P3と平行になるように水平に延びている。アース板42は、端子ケース53の窓53aを通して、下ヨーク12の底壁12bに接続され、接地される。
【0017】
整合用コンデンサC1〜C3は、ホット側コンデンサ電極1がポート部P1〜P3にそれぞれ半田付けされ、コールド側コンデンサ電極2がアース板42のコンデンサ接続部42a,42b,42cに半田付けされている。このとき、整合用コンデンサC1,C2は、そのコンデンサ電極1,2の面がフェライト20の上面に対して60度以上120度以下の角度となるように配置される。本第1実施形態の場合は、その角度を90度に設定した。一方、整合用コンデンサC3は、そのコンデンサ電極1,2の面がフェライト20の上面に対して略平行となるように配置される。整合用コンデンサC1〜C3の各々は、誘電体基板3の両面にコンデンサ電極1,2を形成した単板型コンデンサである。
【0018】
整合用コンデンサC1〜C3の実装は、例えば次に示すようにして行うことができる。すなわち、アース板42には、コンデンサ接続部42a,42bを起こすことを想定して、その基部に予め屈曲部を設け、寸法的に余裕をもたせている。このアース板42のコンデンサ接続部42a〜42cに半田ペーストを塗布した後、その上に整合用コンデンサC1〜C3をコールド側コンデンサ電極2を下にして載置する。
【0019】
さらに、整合用コンデンサC1〜C3のホット側コンデンサ電極1の上に半田ペーストを塗布した後、中心電極21〜23を装着したフェライト20を上から載置する。中心電極21〜23の共通シールド部26はアース板42の上面に面接触し、ポート部P1〜P3は整合用コンデンサC1〜C3のホット側コンデンサ電極1のそれぞれに半田ペーストを介して面接触する。この状態で半田ペーストを加熱し、整合用コンデンサC1〜C3を半田付けする。次に、コンデンサ接続部42a,42b及びポート部P1,P2を折曲して、整合用コンデンサC1,C2をそのコンデンサ電極1,2の面がフェライト20の上面に対して60度以上120度以下の角度となるように配置する。こうして、中心電極組立体54が得られる。
【0020】
端子ケース53には、入出力端子31,32及びアース端子33,33がインサートモールドされている。入出力端子31,32はそれぞれ、一端がケース53の外側壁に露出し、他端がケース53の内側壁に露出して入出力接続電極部18a,18bを形成している。同様に、アース端子33,33はそれぞれ、一端がケース53の外側壁に露出し、他端がケース53の内底壁に露出してアース接続電極部17a,17bを形成している(図4参照)。
【0021】
図4および図5に示すように、以上の構成からなる端子ケース53内に、中心電極組立体54と終端抵抗Rとが収容される。中心電極21,22のポート部P1,P2のそれぞれは、半田付け等の方法により入出力接続電極部18a,18bに接続される。終端抵抗Rの一端はアース接続電極部17aに接続され、他端は中心電極23のポート部P3に接続される。コンデンサ接続部42cはアース接続電極部17bに接続される。図6に、アイソレータ41の電気等価回路を示す。
【0022】
以上の構成からなるアイソレータ41は、中心電極21〜23のポート部P1〜P3とアース板42のコンデンサ接続部42a〜42cとの間に、それぞれ整合用コンデンサC1〜C3を実装したので、整合用コンデンサC1〜C3、中心電極21〜23、アース板42及びフェライト20を一つのユニットとして取り扱うことができ、アイソレータ41の製造が容易になる。
【0023】
また、図5に示されているように、上ヨーク15の整合用コンデンサC1,C2に臨む側の、上ヨーク15と整合用コンデンサC1,C2が近接する面に絶縁テープ65を貼付しているので、上ヨーク15と整合用コンデンサC1,C2の間に絶縁テープ65が配置され、上ヨーク15と整合用コンデンサC1,C2のショートが絶縁テープ65によって防止される。絶縁テープ65は均一な膜厚を有し、膜厚のムラが生じないので、上ヨーク15と整合用コンデンサC1,C2のショートを確実に防止することができる。しかも、絶縁テープ65は上ヨーク15に粘着層で貼付されているため、絶縁テープ65の位置ずれも起きず、絶縁テープ65の位置ずれによる上ヨーク15と整合用コンデンサC1,C2のショートも防止できる。この結果、アイソレータ41の信頼性が高まる。
【0024】
[第2実施形態、図7]
第2実施形態は、本発明に係る通信機装置として、携帯電話を例にして説明する。
【0025】
図7は携帯電話120のRF部分の電気回路ブロック図である。図7において、122はアンテナ素子、123はデュプレクサ、131は送信側アイソレータ、132は送信側増幅器、133は送信側段間用バンドパスフィルタ、134は送信側ミキサ、135は受信側増幅器、136は受信側段間用バンドパスフィルタ、137は受信側ミキサ、138は電圧制御発振器(VCO)、139はローカル用バンドパスフィルタである。
【0026】
ここに、送信側アイソレータ131として、前記第1実施形態の集中定数型アイソレータ41を使用することができる。このアイソレータ41を実装することにより、安価で信頼性の高い携帯電話を実現することができる。
【0027】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の構成とすることができる。例えば、前記第1実施形態において、二つの整合用コンデンサC1,C2を縦置きにし、残る一つの整合用コンデンサC3を横置き(コンデンサ電極面を水平面に対して平行に置くこと)にしているが、整合用コンデンサC1〜C3を全て縦置き(コンデンサ電極面を水平面に対して垂直に置くこと)にしてもよい。要するに、整合用コンデンサの少なくとも一つが、コンデンサ電極面がフェライトに対して60度以上120度以下の角度をなすように配置されていればよい。
【0028】
また、整合用コンデンサC1〜C3の実装は、半田付けに代えて導電性接着剤により行うこともできる。この整合用コンデンサC1〜C3は、積層型コンデンサであってもよい。また、本発明は、アイソレータのほかに、サーキュレータ等の他の高周波部品に採用される非可逆回路素子にも適用することができる。さらに、中心電極は、金属板を打抜き、曲げ加工して形成するものの他に、基板(誘電体基板や磁性体基板や積層基板など)にパターン電極を設けることによっても形成することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ヨークと整合用コンデンサのショートは絶縁テープによって防止される。このとき、絶縁テープは均一な膜厚を有し、膜厚のムラが生じないので、ヨークと整合用コンデンサのショートを確実に防止することができ、信頼性の高い非可逆回路素子や通信機装置を得ることができる。また、絶縁テープは粘着層で簡単に貼付されるので、自動機で絶縁テープをヨークに貼付することができ、作業性が向上し、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非可逆回路素子の一実施形態の分解斜視図。
【図2】図1の非可逆回路素子の中心電極組立体の正面図。
【図3】図2の中心電極組立体の平面図。
【図4】図1の非可逆回路素子の内部構造を示す平面図。
【図5】図1の非可逆回路素子の一部断面図。
【図6】図1の非可逆回路素子の電気等価回路図。
【図7】本発明に係る通信機装置の一実施形態を示すブロック図。
【符号の説明】
12…下ヨーク
15…上ヨーク
16…永久磁石
20…フェライト
21〜23…中心電極
26…共通シールド部
41…アイソレータ
53…樹脂製端子ケース
54…中心電極組立体
65…絶縁テープ
C1〜C3…整合用コンデンサ
120…携帯電話
131…送信側アイソレータ
Claims (5)
- 永久磁石と、
前記永久磁石により直流磁界が印加される複数の中心電極付きフェライトと、
前記フェライトに配置された1枚の金属製アース板と、
ホット側コンデンサ電極を一方主面に、コールド側コンデンサ電極を他方主面に設け、前記中心電極の先端部にあたるポート部と前記アース板の端部とで挟持した状態で、前記ホット側コンデンサ電極が前記中心電極のポート部に接続され、かつ前記コールド側電極が前記アース板の端部に接続されて固定された複数の整合用コンデンサと、
前記永久磁石、前記フェライト、前記アース板を順次配置するとともに、前記整合用コンデンサを収容する上ヨーク、下ヨークとを備え、
前記整合用コンデンサの少なくとも1つを、コンデンサ電極面が前記フェライトの上面に対して60度以上120度以下の角度をなすように縦に配置し、縦に配置された整合用コンデンサの1つの端面と前記上ヨークとが近接して配置されており、
前記上ヨークの前記縦に配置された整合用コンデンサの前記1つの端面に臨む側の面に、粘着層を有する絶縁テープを貼付し、前記縦に配置された整合用コンデンサの前記1つの端面と前記上ヨークの間に絶縁テープが配置されていること、
を特徴とする非可逆回路素子。 - 前記絶縁テープが熱変形温度200℃以上の材料からなることを特徴とする請求項1記載の非可逆回路素子。
- 前記絶縁テープがポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂およびフッ素樹脂のいずれか一つからなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の非可逆回路素子。
- 前記絶縁テープの粘着層がシリコン系粘着材およびアクリル系粘着材のいずれか一つからなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の非可逆回路素子。
- 請求項1〜請求項4記載の非可逆回路素子の少なくともいずれか一つを備えたことを特徴とする通信機装置。
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