JP3680408B2 - 画像読取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像読取装置に係り、より詳しくは、光電変換素子を多数備えた光電変換器によってプラテンガラス等の板状の透明部材上に載置された原稿を光学的に走査して、前記原稿に記録されている画像を読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、複写機において、プラテンガラス上に載置された原稿のサイズを検出し、検出結果に基づいて原稿に記録されている画像を複写する用紙のサイズや複写倍率等を自動的に決定する技術が知られている。プラテンガラス上に載置された原稿のサイズを検出するための最も一般的な方法は、特開昭61-20936号公報に記載されているように、プラテンガラスの下方にサイズ検出のための光センサを1個以上配設し、光センサ配設位置における原稿の有無を光センサにより検出し、光センサによる検出結果に基づいて原稿のサイズを判断する方法である。
【0003】
しかし、上述したサイズ検出方法では、各種サイズの原稿に対応して、プラテンガラス下方の互いに異なる箇所に光センサを各々配設する必要があり、現実にはプラテンガラス上に載置可能な多数種類の原稿サイズに対応して多数の光センサが必要となるので、構成が複雑になるという問題がある。
【0004】
また、原稿に記録されている画像をデジタルの画像データに変換した後に、該画像データに基づいて用紙に画像を記録(複写)する複写機(所謂デジタル複写機)やファクシミリ装置等では、ライン状に配列されたCCD等の多数の光電変換素子を備え、この光電変換素子により原稿を走査することにより原稿の画像を読み取る構成であることが一般的である。このため、この種の装置において、画像読取前に光電変換素子により原稿を走査し(所謂プレスキャン)、光電変換素子から出力される信号に基づいて原稿のサイズを検出するようにしたものも見受けられる。
【0005】
上記の検出方法では、画像を読み取るために設けられた光電変換素子により原稿のサイズの検出も行うので、プラテンガラス上に載置される原稿サイズの種類数に応じて新たに多数のセンサを設ける必要はないが、原稿が載置される毎にプレスキャンを行う必要があるので、プレスキャンが装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題があった。
【0006】
ところで、プラテンガラス上の原稿のサイズ検出は、プラテンカバーが閉じられたときに、プラテンガラス上に原稿が載置されたものとみなして行うことが一般的であるが、プラテンカバーの裏面は通常は白色であるので、載置された原稿の下地が白色、すなわち原稿の光反射率がプラテンカバーの裏面の光反射率に近い場合には、原稿のサイズを光学的に検出することが困難になる。
【0007】
このため、原稿のサイズ検出の確実性を向上させるために、プラテンカバーの裏面に光反射率の低い面を形成したり、プラテンカバーの裏面を白以外の色とすることが提案されている(特公昭62-47026号公報参照)。
【0008】
しかし、プラテンカバーの裏面の光反射率を下地が白色の原稿の光透過率に対して明らかに低下させたとすると(例えばプラテンカバーの裏面を灰色、黒色、或いは鏡面とする)、原稿のサイズ検出は容易になるものの、複写した画像の背景部分の濃度が全体的に高くなる、所謂裏写りが生ずる。この裏写りは、特にトレーシングペーパ等のように厚みが薄く光透過率が比較的高い用紙に記録された画像を複写する等の場合に顕著となる。
【0009】
また、プラテンカバーの裏面の光反射率を下地が白色の原稿の光透過率よりも大幅に低下させた場合、デジタル複写機において、プラテンカバーが閉止されて原稿の読取りが行われると、プラテンガラス上の原稿が載置されていない部分は高濃度(例えば黒色)と認識されることになり、原稿を読取ることによって得られた画像データに基づいて単に用紙への画像の複写を行ったとすると、複写画像中の前記原稿が載置されていない部分に相当する部分が例えば黒ベタとなるので好ましくない。
【0010】
これを回避するためには、例えばプレスキャンを行って原稿のサイズを判断した後に、判断した原稿のサイズに基づいてプラテンガラス上の原稿が載置されていない部分を判断し、原稿の読取時に光電変換器から出力される信号のうち、前記原稿が載置されていない部分に対応して出力される信号に電気的にマスクをかけたり、或いは前記原稿が載置されていない部分が画像データ上で濃度が0(白色)となるように、光電変換器から出力された信号を画像データに変換する際の入出力特性を自動的に変更する等の処理を行う必要があり、構成が複雑になるという問題があった。
【0011】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、簡単な構成でかつ短時間で原稿のサイズを判断できる画像読取装置を得ることが目的である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像読取装置は、原稿を載置するための板状の透明部材、及び前記透明部材を遮蔽する遮蔽位置及び前記透明部材が露出する露出位置に回動可能なカバーを備え、前記透明部材上に載置された原稿にランプにより光を照射して、光電変換素子を多数備えた光電変換器によって、前記原稿に記録されている画像を読み取り、前記カバーにより前記透明部材が遮蔽される前に前記光電変換器によって読み取られた画像情報と、前記カバーにより前記透明部材が遮蔽された後に前記光電変換器によって読み取られた画像情報と、に基づいて、前記透明部材上に載置された原稿のサイズを判断するサイズ判断手段を有する画像読取装置であって、前記透明部材の予め定めた1つの角部に前記原稿の何れか1つの角部が対応するように載置されたサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨るエリアに対応する複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報の代表値を算出する算出手段を備え、前記サイズ判断手段は、前記カバーにより前記透明部材が遮蔽される前における前記画像情報の代表値と、前記カバーにより前記透明部材が遮蔽された後における前記画像情報の代表値とを各小領域毎に比較し、各小領域毎の比較結果に基づいて各小領域毎に原稿の有無を判別することによって、前記透明部材上に載置された原稿のサイズを判断する、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記カバーが前記露出位置から前記遮蔽位置へ所定角度以上回動されたときにオン状態に変化するセンサを更に備え、前記ランプは、前記センサがオン状態に変化したときに前記透明部材上に載置された原稿に光を照射する。
また、請求項3記載の画像読取装置は、請求項2記載の画像読取装置において、前記画像の読み取り開始を指示するためのスタートボタンを更に供え、前記ランプは、前記センサがオン状態に変化する前に前記スタートボタンによって前記画像の読取り開始が指示されたときに、前記透明部材上に載置された原稿に光を照射する。
【0014】
また、請求項4記載の画像読取装置では、原稿を載置するための板状の透明部材、及び前記透明部材を遮蔽する遮蔽位置及び前記透明部材が露出する露出位置に回動可能なカバーを備え、前記透明部材上に載置された原稿にランプにより光を照射して、光電変換素子を多数備えた光電変換器によって、前記原稿に記録されている画像を読み取る画像形成装置であって、前記透明部材上の予め定めた1つの角部に前記原稿の何れか1つの角部が対応するように載置されたサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨るエリアに対応する複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報を二値化する二値化手段と、前記カバーにより前記透明部材が遮蔽される前における前記二値化された一方の値の個数と前記カバーにより透明部材が遮蔽された後における前記二値化された一方の値の個数とを各小領域毎にカウントするカウント手段と、
各小領域毎にカウントされた、透明部材が遮蔽される前における前記一方の値の個数と透明部材が遮蔽された後における前記一方の値の個数とに基づいて、透明部材上に載置された原稿のサイズを判断する原稿サイズ判断手段と、を備えている。
また、請求項5記載の画像読取装置では、請求項4に記載の画像読取装置において、前記原稿サイズ判断手段は、透明部材が遮蔽される前における前記一方の値の個数と透明部材が遮蔽された後における前記一方の値の個数との差を各小領域毎に算出し、各小領域毎に算出された一方の値の個数差に基づいて前記原稿のサイズを判断する。
【0015】
上記請求項1記載の画像読取装置では、通常、原稿に記録されている画像を読み取る際に、該原稿を透明部材上に載置し、カバーを露出位置から遮蔽位置へ移動させた後、所定の開始指示(例えば、スタートボタン操作等)を行うことにより、画像読取を開始する。
【0016】
なお、請求項1記載の発明では、透明部材上の略一定の位置各々に載置されるサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨がるエリアに対応して複数の小領域が予め定められている。
【0017】
本請求項1記載の画像読取装置では、代表値算出手段によって、複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報の代表値を算出することができる。即ち、画像読取時において、代表値算出手段は、カバーにより透明部材が遮蔽される前に各小領域内の画像情報の代表値を算出し、カバーにより透明部材が遮蔽されるようになった後で各小領域内の画像情報の代表値を算出する。
【0018】
ところで、透明部材が遮蔽されるようになった後では、透明部材上に原稿が載置されている場合、該原稿以外の部分には外部からの光が差し込まないため、当該原稿以外の部分に対応する全ての小領域の画像は白色になり、該小領域についての代表値(遮蔽後の代表値)は小さい値となる。一方、透明部材が遮蔽される前では、透明部材上に原稿が載置されている場合、該原稿以外の部分には外部からの光が差し込むため、当該原稿以外の部分に対応する全ての小領域の画像は黒色になり、該小領域についての代表値(遮蔽前の代表値)は大きい値となる。即ち、原稿以外の部分に対応する全ての小領域では、遮蔽後の代表値と遮蔽前の代表値との差は大きくなる。
【0019】
それに対し、透明部材上に原稿が載置されている場合での原稿の部分に対応する全ての小領域では、透明部材が遮蔽される前でも遮蔽された後でも該小領域についての代表値が大きく変動することは無い。即ち、原稿の部分に対応する全ての小領域では、遮蔽後の代表値と遮蔽前の代表値との差は小さい(ほとんど無いといえる)。
【0020】
そこで、サイズ判断手段は、上記遮蔽後の代表値と遮蔽前の代表値とを各小領域毎に比較し、小領域毎の比較結果(遮蔽後の代表値と遮蔽前の代表値との差)に基づいて、全ての小領域の中から原稿の部分に対応する小領域を特定することができ、その結果、透明部材上に載置された原稿のサイズを判断することができる。
【0021】
上記請求項1記載の発明では、原稿に記録されている画像を読み取るために設けられた光電変換素子を用いて上記のようにして原稿のサイズを判断するので、原稿のサイズ検出専用に多数のセンサを設ける必要はなく、装置の構成を簡単にすることができる。
【0022】
また、原稿サイズ検出のためのプリスキャンも必要としないため、プリスキャンが画像読取装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題を解消することができる。
【0023】
次に、請求項記載の画像読取装置では、二値化手段によって、複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づく画像情報を二値化することができる。即ち、画像読取時において、二値化手段は、カバーにより透明部材が遮蔽される前に各小領域内の画像情報を二値化し、さらにカバーにより透明部材が遮蔽された後で各小領域内の画像情報を二値化する。
【0024】
ところで、前述したように透明部材が遮蔽された後では、原稿以外の部分には外部からの光が差し込まないため、当該原稿以外の部分に対応する全ての小領域内の画像は白色になり、その画像情報は白画素「0」として二値化される。一方、透明部材が遮蔽される前では、原稿以外の部分には外部からの光が差し込むため、当該原稿以外の部分に対応する全ての小領域の画像は黒色になり、その画像情報は黒画素「1」として二値化される。即ち、原稿以外の部分に対応する全ての小領域では、透明部材が遮蔽される前と遮蔽された後とで二値化の結果が大きく変動する(反転する)。
【0025】
それに対し、原稿が載置された部分に対応する全ての小領域では、透明部材が遮蔽される前でも遮蔽された後でも該小領域についての二値化の結果が大きく変動することは無い。
【0026】
そこで、カウント手段は、透明部材が遮蔽される前における二値化された一方の値(即ち、「0」又は「1」の一方)の個数と透明部材が遮蔽された後における二値化された一方の値の個数とを各小領域毎にカウントし、原稿サイズ判断手段は、各小領域毎にカウントされた、透明部材が遮蔽される前における一方の値の個数と透明部材が遮蔽された後における一方の値の個数とに基づいて、透明部材上に載置された原稿のサイズを判断することができる。
【0027】
より具体的には、請求項記載の発明のように、原稿サイズ判断手段は、透明部材が遮蔽される前における一方の値の個数と透明部材が遮蔽された後における一方の値の個数との差を各小領域毎に算出し、各小領域毎に算出された一方の値の個数差に基づいて、原稿のサイズを判断することができる。
【0028】
上記請求項記載の発明においても、原稿に記録されている画像を読み取るために設けられた光電変換素子を用いて上記のようにして原稿のサイズを判断するので、原稿のサイズ検出専用に多数のセンサを設ける必要はなく、装置の構成を簡単にすることができる。
【0029】
また、同様に原稿サイズ検出のためのプリスキャンも必要としないため、プリスキャンが画像読取装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題を解消することができる。
【0030】
なお、上記請求項記載の発明では、例えば、透明部材が遮蔽される前における「1」(黒画素)の個数を各小領域毎にカウントし、そのカウント値(遮蔽前の黒画素数)が予め定めた閾値よりも大きいか否かによって各小領域が黒か白かを判断し、透明部材が遮蔽された後における「1」(黒画素)を各小領域毎にカウントし、そのカウント値(遮蔽後の黒画素数)が予め定めた閾値よりも大きいか否かによって各小領域が黒か白かを判断し、そして、各小領域についての上記2回の判断結果の組合せに基づいて、原稿のサイズを判断しても良い。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0032】
〔第1実施形態〕
図1には本実施形態に係る画像読取装置10の外観が示されている。画像読取装置10は、箱型の筐体12を備えており、この筐体12の上部には、筐体12の上部開口部を閉塞する蓋状の原稿台14が取付けられている。原稿台14は、板状で長方形の透明部材であるプラテンガラス16と、プラテンガラス16の外周に配設された長方形枠状のレジガイド板18と、を備えている。なお、本実施形態では、プラテンガラス16のうちレジガイド板18から露出している部分のサイズがA3サイズに略等しくされている。
【0033】
図3に示すように、レジガイド板18は上面の高さ位置がプラテンガラス16よりも高くされており、図1におけるプラテンガラス16の左奥側の角部に対応する位置には原稿合わせマーク20が付与されている。原稿は、画像が記録されている面がプラテンガラス16側を向き、かつ原稿の4個の角部のうちの何れかが原稿合わせマーク20が付与されている箇所に位置しているプラテンガラス16の角部に対応し、かつ原稿の2辺がレジガイド板18の内側面に当接(図3に示す原稿21参照)するようにプラテンガラス16上に載置される。これにより原稿は、そのサイズに拘らず、プラテンガラス16上の略一定の位置に載置されることになる。
【0034】
また筐体12には、一長辺側に一対のヒンジ22を介してプラテンカバー24(本発明のカバーに相当)が取付けられている。プラテンカバー24は、ヒンジ22により、図2(A)に示す起立位置(全開位置)と、図示は省略するが原稿台14を完全に閉塞する位置(全閉位置)との間を回動可能とされている。プラテンカバー24の裏面側(プラテンガラス16対向面側)には、矩形状のプラテンクッション26が貼着されている。プラテンクッション26は、プラテンガラス16に対向する面の表面が白色とされている。
【0035】
また一方のヒンジ22の配設位置の近傍には、オンオフスイッチから成り、移動子が原稿台14から突出するように設けられたアングルセンサ28が取付けられている。なお図1及び図2はアングルセンサ28の移動子のみを示している。アングルセンサ28の移動子は長手方向に沿って移動可能とされていると共に、ばね等から成る図示しない付勢手段により図1及び図2(A)に示す位置に保持されており、このときはアングルセンサ28はオフ状態となっている。プラテンカバー24が図2(A)に示す全開位置から全閉位置へ所定角度以上回動されると、図2(B)に示すように、アングルセンサ28の移動子がプラテンカバー24の裏面に当接して押圧されることにより、プラテンカバー24が全閉位置まで回動される前に(図2(B)に示す状態で)、アングルセンサ28がオン状態に変化する。
【0036】
また、プラテンカバー24の裏面には、ヒンジ22が取付けられている側の端部と反対側の端部に、図2に示すように、プラテンインタロックセンサ30が取付けられている。プラテンインタロックセンサ30は、全閉状態でない場合にはオフ状態で、プラテンカバー24が全閉状態になるとオン状態に変化するように構成されている。
【0037】
図3に示すように、筐体12内には走査装置32が設けられている。走査装置32は、プラテンガラス16に向けて光を射出するランプ34と、プラテンガラス16側からの反射光を略水平に反射する第1の反射ミラー36と、第1の反射ミラー36の光射出側に配置され第1の反射ミラー36から入射された光を略鉛直方向に沿って下方へ射出する第2の反射ミラー38と、第2の反射ミラー38の光射出側に配置され第2の反射ミラー38から入射された光を略水平に反射する第3の反射ミラー40と、を備えている。また、第3の反射ミラー40の光射出側には、結像レンズ42及び本発明の光電変換器としてのCCDラインセンサ44が設けられている。
【0038】
図3はプラテンガラス16の長辺方向に沿った断面図を示しているが、ランプ34、反射ミラー36、38、40及び結像レンズ42は各々プラテンガラス16の短辺方向(図3の紙面に直交する方向:以下主走査方向と称する)に沿ってプラテンガラス16の一端から他端に亘って各々延設されており、これにより、ランプ34からプラテンガラス16に向けて射出される光、及びプラテンガラス16側から反射され反射ミラー36、38、40及び結像レンズ42を介してCCDラインセンサ44の受光部に結像される光は、各々主走査方向に長いスリット状の光とされている。
【0039】
CCDラインセンサ44は主走査方向に沿って一定密度で配列された多数のセル(本発明の光電変換素子)を備えており、CCDラインセンサ44の受光部上の主走査方向に沿った各位置における受光量は、各セルによって各々電気信号に変換されて出力される。
【0040】
また、ランプ34及び第1の反射ミラー36は、主走査方向に直交する副走査方向(図3の矢印S方向)に沿って筐体12内を往復移動可能とされたキャッリジ部材46に取付けられており、第2の反射ミラー38及び第3の反射ミラー40は、同じく副走査方向に沿って筐体12内を往復移動可能とされたキャリッジ部材48に取付けられている。これらキャリッジ部材46、48は、図示しないワイヤーでつながっていて、原稿21で反射した光がCCDラインセンサ44の受光部に到達するまでの光路長が一定になるように構造的に調整されている。また、これらキャリッジ部材46、48はキャリッジ部材駆動部50(図4参照)により副走査方向に沿って移動される。
【0041】
図4に示すように、キャリッジ部材駆動部50は制御部54に接続されており、制御部54によって作動が制御される。なお制御部54はマイクロコンピュータ等を含んで構成されている。
【0042】
プラテンガラス16上に載置された原稿の画像の読取りを行う場合、制御部54は、キャリッジ部材駆動部50により、キャリッジ部材46を副走査方向に沿って所定速度で移動させると共にキャリッジ部材48をキャリッジ部材46の移動方向と同一の方向に前記所定速度の半分の速度で移動させる。プラテンカバー24が全閉状態の場合には、ランプ34から射出された光はプラテンガラス16上に載置された原稿21、又はプラテンガラス16に対して密着状態となっているプラテンクッション26の表面で反射されるので、上記のようにキャリッジ部材46、48を移動させることにより、副走査方向に沿ったキャリッジ部材46の位置に拘らず、ランプ34からCCDラインセンサ44に至る光路長は一定となる。
【0043】
図4に示すように、アングルセンサ28及びプラテンインタロックセンサ30は制御部54に接続されており、各センサによる検出結果は制御部54に入力される。また、制御部54にはランプ34が接続されており、制御部54によってランプ34の点滅が制御される。また、CCDラインセンサ44はCCDドライバ56及びサイズ検知部58を介して制御部54に接続されている。
【0044】
サイズ検知部58は、制御部54と同様にマイクロコンピュータ等を含んで構成されており、後述する信号生成処理やエリアセンシング処理を実行する。このようなサイズ検知部58には、制御部54からビデオクロック信号やライン同期信号等の同期信号を含む各種の信号やデータが入力される(信号やデータの内容については後述)。サイズ検知部58に入力された制御信号がCCDドライバ56を介し、CCDラインセンサ44を制御する。
【0045】
CCDラインセンサ44はビデオクロック信号に同期したタイミングで動作し、各セルの受光量を表す信号をビデオクロック信号に同期したタイミングで順に出力する。CCDラインセンサ44から出力された信号は、CCDドライバ56によって増幅されると共にデジタルの画像データに変換されてサイズ検知部58に出力される。
【0046】
また、サイズ検知部58には原稿の向きを検出するための光センサ60が接続されている。光センサ60はプラテンガラス16の下方に配設されていると共に、図5に示すように、プラテンガラス16上に原稿が横向き(長辺方向がプラテンガラス16の長手方向に一致する方向:SEF)に載置された場合には、原稿のサイズ(B5、A4、B4、A3等)に拘らず原稿が存在し、プラテンガラス16上に原稿が縦向き(長辺方向がプラテンガラスの短辺方向に一致する方向:LEF)に載置された場合には、原稿のサイズに拘らず原稿が存在しない所定位置(図5に「#0」として示す位置)における原稿の有無を検出可能な位置に配設されている。
【0047】
なお、上述した画像読取装置10はデジタル複写機(図示省略)の一部を構成しており、画像読取装置10によって読取られた原稿の画像は、複写機により用紙に複写される。また画像読取装置10によって判定された原稿のサイズ及び向き(原稿のサイズ及び向きの判定の詳細については後述)は、用紙の選択や複写倍率の決定に用いられる。
【0048】
次に本第1実施形態の作用を説明する。原稿の読取り等を行っていない待機状態(原稿サイズ判定時も含む)では、制御部54は、CCDラインセンサ44のセンシングエリアがレジガイド板18とプラテンガラス16との境界から副走査方向に沿って20mm程度内側(図5にハッチングで示す範囲)となるように、キャリッジ部材46、48の位置を制御する(所謂ホームポジション)。図5からも明らかなように、CCDラインセンサ44のセンシングエリアの主走査方向に沿った長さは、プラテンガラス16の主走査方向に沿った長さよりも若干長くされている。
【0049】
また、本第1実施形態では、原稿のサイズを判定する際に用いるCCDラインセンサ44のセンシングエリアとして、図5に#1〜#8で示す8個のセンシングエリアが定められている。各センシングエリアは、図5に示すように、プラテンガラス16上に各種サイズの原稿が縦向き又は横向きに載置されたときに、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の辺の位置を以下のように考慮してプラテンガラス16上の位置が定められている。
【0050】
すなわち、センシングエリア#2及び#3は、B5サイズの原稿がプラテンガラス16上に横向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64A)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。また、センシングエリア#4及び#5は、A4サイズの原稿が横向きに載置された場合及びA5サイズの原稿が縦向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64B)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。
【0051】
また、センシングエリア#6及び#7は、B4サイズの原稿が横向きに載置された場合及びB5サイズの原稿が縦向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64C)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。また、センシングエリア#1及び#8は、A3サイズの原稿が横向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の二つの長辺よりも若干内側(CCDラインセンサ44のセンシングエリアの両端部近傍をレジガイド板18の端部が横切っている位置よりも若干内側)となるように各々の位置が定められている。
【0052】
なお、以下では、CCDラインセンサ44のセンシングエリアとレジガイド板16の端部が交差している2箇所のうち、センシングエリア#1の近傍の箇所を第1のレジ位置、センシングエリア#8の近傍の箇所を第2のレジ位置と称する(図6も参照)。
【0053】
図6にはCCDラインセンサ44の受光部を概念的に示している。本第1実施形態では、図5に示したセンシングエリア#1〜#8に対応して、CCDラインセンサ44の受光部上にセンシング領域#1〜#8(本発明の複数の小領域に対応)が予め定められている。センシング領域#1〜#8は、各々主走査方向に沿って並ぶ複数の画素(=セル、図6では一例として34個のセル)から構成されている。また本第1実施形態では、各種サイズの原稿のCCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る辺のプラテンガラス16上における位置に対応するCCDラインセンサ44の受光部上における位置が、第1のレジ位置に対応する画素からの画素数(セル数)に換算されて予め求められている(図6参照)。
【0054】
制御部54は、各センシング領域の大きさ、及び各種サイズの原稿のセンシングエリアを横切る辺のプラテンガラス16上における位置に対応するCCDラインセンサ44の受光部上における位置に基づいて求められた、第1のレジ位置から各センシング領域が始まる位置迄の距離を画素数に換算した値を記憶しており(一例として次の表1を参照)、このデータをセンシング開始位置(センシングスタートポジションSn :nはセンシング領域の番号)としてサイズ検知部58に出力する。
【0055】
【表1】
Figure 0003680408
【0056】
またサイズ検知部58は、後述するように、各センシング領域内のセルから出力された画像データをしきい値と比較し、比較結果をステータスレジスタにセットして制御部54に出力する。制御部54は各センシング領域毎に定めた前述のしきい値をサイズ検知部58に出力すると共に、サイズ検知部58に対し、ステータスレジスタの値をホールドさせたい場合にはレジスタホールド信号を、ステータスレジスタの値をリセットしたい場合にはレジスタリセット信号を各々出力する。
【0057】
次に図7のフローチャートを参照し、信号生成処理について説明する。なお、この信号生成処理は、プラテンガラス16上に載置された原稿のサイズの検出を行うために、制御部54がレジスタホールド信号によるステータスレジスタの値のホールドを解除し、更にレジスタリセット信号を出力するとサイズ検知部58で実行される。
【0058】
ステップ100では、センシング領域番号nに1を代入し、カウンタs及びカウンタvに0を代入すると共に、センシングエリア信号及びビデオサンプリング信号(共にサイズ検知部58内部の信号)のレベルをローレベル(「L」)にする等の初期化処理を行う。次のステップ102では、制御部54から入力されるライン同期信号のレベルがハイレベル(「H」)となったか否か判定し、判定が否定された場合には判定が肯定される迄待機する。
【0059】
CCDラインセンサ44は、各セルからの信号を、ビデオクロック信号に同期して、主走査方向に沿って第1のレジ位置側に対応する側の端部に位置しているセルから順に出力することを繰り返している。前述のライン同期信号は、第1のレジ位置に対応するセルから出力された信号がCCDドライバ56を介して画像データとしてサイズ検知部58に入力されるのと同期したタイミングでハイレベルとなり、第2のレジ位置に対応するセルから出力された信号がCCDドライバ56を介して画像データとしてサイズ検知部58に入力される迄の間は、図8に示すようにハイレベルに保持される。
【0060】
ライン同期信号のレベルが「H」になると、ステップ102の判定が肯定されてステップ104へ移行し、制御部54から入力されるビデオクロック信号が立ち上がる(ハイレベルとなる)迄待機する。次のステップ106ではカウンタvの値をカウントアップし、次のステップ108ではカウンタvの値がセンシングスタートポジションSn の値に等しくなったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ104に戻り、ステップ108の判定が肯定される迄ステップ104〜108を繰り返す。
【0061】
上記では、ライン同期信号のレベルが「H」になってからのビデオクロック信号のクロック数、すなわちサイズ検知部58に画像データとして入力された画素数をカウンタvによって保持しており、カウンタvの値をセンシングスタートポジションSn と比較することにより、センシング領域#nの画像データの入力が開始されたか否か判定している。
【0062】
ステップ108の判定が肯定されると、ステップ110ではセンシングエリア信号(図8参照)のレベルを「H」にし、次のステップ111ではカウンタvの値を変数v0 に代入し、ステップ112ではビデオクロック信号が立ち上がる迄待機する。ステップ114ではビデオサンプリング信号のレベルが「H」か否か判定する。この場合は判定は否定され、ステップ118でカウンタvの値をカウントアップし、ステップ120でカウンタvの値から変数v0 の値を減算した値が「34」(「34」は単一のセンシング領域を構成する画素(セル)数)となったか否か判定する。
【0063】
判定が否定された場合には、ステップ122へ移行してカウンタsの値をカウントアップし、ステップ124でカウンタsの値が「3」となったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ112へ戻り、ステップ112〜124を繰り返す。ステップ122の処理が3回実行されるとステップ124の判定が肯定され、ステップ126でビデオサンプリング信号(図8参照)のレベルを「H」にし、ステップ128でカウンタsの値を0に戻してステップ112へ戻る。この場合、ステップ112を経た後のステップ114で判定が肯定されるのでステップ116へ移行し、ビデオサンプリング信号のレベルを「L」とした後にステップ118へ移行する。
【0064】
上記により、センシング領域#n内の各セルからの画像データが入力されている間、すなわちステップ120の判定が否定されている間(センシングエリア信号のレベルが「H」の間)は、図8にも示すように、ビデオクロック信号の3周期が経過する毎に、次の1周期の間ビデオサンプリング信号のレベルが「H」とされることになる。
【0065】
ステップ120の判定が肯定されると、センシング領域#n内の各セルからの画像データの入力が完了したと判断し、ステップ130でセンシングエリア信号のレベルを「L」にし、次のステップ132でセンシング領域番号nが「8」か否か、すなわちセンシング領域#1〜#8の全ての領域の画像データが入力されたか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ134でセンシング領域番号nの値をカウントアップした後にステップ102へ戻り、ステップ102以降の処理を繰り返す。そして、ステップ132の判定が肯定されると処理を終了する。
【0066】
次に図9のフローチャートを参照し、サイズ検知部58において、先に説明した信号生成処理と並行して実行されるエリアセンシング処理について説明する。ステップ140では、センシング領域番号nに1を代入する等の初期化処理を行う。ステップ142ではビデオクロック信号が立ち上がる迄待機し、次のステップ144ではライン同期信号のレベルが「H」か否か判定する。この判定が否定された場合はステップ142へ戻り、ステップ144の判定が肯定される迄ステップ142、144を繰り返す。ステップ144の判定が肯定されると、ステップ146でセンシングエリア信号のレベルが「H」か否か判定する。判定が否定された場合にはステップ142へ戻り、ステップ146の判定が肯定される迄、ステップ142〜146を繰り返す。
【0067】
ステップ146の判定が肯定されるとステップ148へ移行し、ビデオサンプリング信号のレベルが「H」か否か判定する。判定が否定された場合には、ステプ150でビデオクロック信号が立ち上がる迄待機し、次のステップ152でセンシングエリア信号のレベルが「H」の状態が継続しているか否か判定する。ステップ152の判定が否定された場合にはステップ148へ戻る。ステップ148の判定が肯定されると、ステップ154でCCDドライバ56から入力された1画素分の画像データを取込み、メモリ等に記憶し、次のステップ156でビデオクロック信号が立ち上がる迄待機した後にステップ148へ戻る。
【0068】
前述したように、センシングエリア信号のレベルが「H」の間は、ビデオクロック信号の3周期が経過する毎に次の1周期の間ビデオサンプリング信号のレベルが「H」とされるので、上記では、単一のセンシング領域を構成する34個の画素のうち、図6にハッチングで示す▲1▼〜▲8▼の8個の画素のデータのみが取込まれて記憶されることになる。
【0069】
単一のセンシング領域からの画像データの取込みを完了すると、ステップ152の判定が否定されることによりステップ158へ移行し、先に説明した処理によりセンシング領域nから取込んで記憶した8個の画素のデータの平均値を演算し、その演算結果をサイズ検知部58内のメモリに記憶する。なお、上記センシング領域nから取込んで記憶した8個の画素のデータの平均値は、本発明の画像情報の代表値に相当する。
【0070】
なお、サイズ検知部58内のメモリには、複数の演算結果を記憶する領域が確保されており、後述する閉じかけ時に実行されたエリアセンシング処理で演算された演算結果x、閉じた時に実行されたエリアセンシング処理で演算された演算結果y、及び開いている時に実行されたエリアセンシング処理で演算された演算結果zを記憶することが可能である。
【0071】
次のステップ160では、上記演算結果x、yが共に演算されたか否かを判定する。本エリアセンシング処理がプラテンカバー24の閉じかけ時に実行された時点では、演算結果xのみが演算されているため、ステップ160で否定判定され後述のステップ162へ進む。また、本エリアセンシング処理がプラテンカバー24の開いた時に実行された時点でも、演算結果zのみが演算されているため、ステップ160で否定判定されステップ162へ進む。
【0072】
ステップ162では、演算結果x又は演算結果zが、制御部54から入力されたセンシング領域#nの判定用の第2しきい値th2以下であるか否か判定する。
【0073】
ステップ162の判定が肯定された場合には、センシング領域#n内の各セルの受光量の平均値がプラテンカバー24の閉じかけ時(又は開いた時)に第2しきい値th2以下であるので、ステップ166でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、原稿が有ることを表す値(「1」)をセットしステップ174へ移行する。
【0074】
一方、ステップ162の判定が否定された場合には、センシング領域#n内の各セルの受光量の平均値がプラテンカバー24の閉じかけ時(又は開いた時)に第2しきい値th2よりも大きいので、ステップ164でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、原稿が無いことを表す値(「0」)をセットしてステップ174へ移行する。
【0075】
ところで、上記ステップ160で演算結果x、yが共に演算されている場合は、ステップ168へ進み、演算結果x、yの差が、制御部54から入力されたセンシング領域#nの判定用の第1しきい値th1以下であるか否か判定する。
【0076】
ステップ168の判定が肯定された場合には、センシング領域#n内の各セルの受光量の平均値がプラテンカバー24の閉じかけ時と閉じた時とで第1しきい値th1以下の差しかないので、ステップ170でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、原稿が有ることを表す値(「1」)をセットしステップ174へ移行する。
一方、ステップ168の判定が否定された場合には、センシング領域#n内の各セルの受光量の平均値においてプラテンカバー24の閉じかけ時と閉じた時とで第1しきい値th1よりも大きい差異があるので、ステップ172でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、原稿が無いことを表す値(「0」)をセットしてステップ174へ移行する。
【0077】
ステップ174ではセンシング領域番号nが「8」か否か、すなわちセンシング領域#1〜#8の全ての領域に対して上記処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ175でセンシング領域番号nの値をカウントアップした後にステップ142へ戻り、上述したステップ142以降の処理を繰り返す。
【0078】
また、ステップ174の判定が肯定されるとステップ176へ移行し、光センサ60から出力されている信号を取込む。次のステップ177では、光センサ60から取込んだ信号のレベルが、制御部54から入力された第3しきい値th3よりも大きいか否か判定する。
【0079】
上記判定が否定された場合には、光センサ60の受光量が第3しきい値th3以下であるので、ステップ178で光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに原稿が無いことを表す値(「0」)をセットして処理を終了する。一方、ステップ177の判定が肯定された場合には、光センサ60の受光量が第3しきい値th3よりも大きいので、ステップ179で光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに原稿が有ることを表す値(「1」)をセットして処理を終了する。
【0080】
上記により、センシング領域#1〜#8内の各セルの受光量及び光センサ60の受光量に基づいて、ステータスレジスタの各ビットに原稿が有るか無いかを示す値が設定されることになる。
【0081】
次に、制御部54で実行される原稿サイズ判定処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。なお、この原稿サイズ判定処理は原稿の読取り等を行っていない待機状態で実行され、キャリッジ部材46、48はホームポジションに位置しており、CCDラインセンサ44のセンシングエリアも図5にハッチングで示す範囲に位置している。
【0082】
ステップ180では、アングルセンサ28がオフ状態(プラテンカバー24が全閉状態から所定角度以上開いている状態)か否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ182で原稿の複写の開始を指示するためのスタートボタンが押されたか否か判定する。ステップ182の判定も否定された場合にはステップ180へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄、ステップ180、182を繰り返す。
【0083】
ここで、スタートボタンが押されることによってステップ182の判定が肯定された場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されているか否か、及び原稿が載置されている場合の該原稿のサイズを正確に検知することは困難であるので、ステップ184で検知不能と判定して処理を終了する。この場合には、記録用紙のサイズの選択等はユーザにより行われることになる。
【0084】
一方、アングルセンサ28がオフ状態となることによりステップ180の判定が肯定された場合には、ステップ186でスタートボタンが押されたか否か判定し、判定が否定された場合にはステップ188でアングルセンサ28がオン状態となったか(プラテンカバー24が一旦開放位置へ移動された後に、全閉位置へ向けて回動されて閉じかけの状態となったか)否か判定する。この判定も否定された場合にはステップ186へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄、ステップ186、188を繰り返す。
【0085】
アングルセンサ28がオンとなることによりステップ188の判定が肯定された場合(プラテンカバー24が閉じかけの状態になった場合)には、ステップ190でランプ34を点灯し、ステップ192ではランプ34の光量が安定化する迄所定時間(例えば20m秒)待機する。次のステップ194ではホールドレジスタを「1」にする。これにより、サイズ検知部58に対し、ステータスレジスタにセットされているデータのホールドの解除が指示されると共に、レジスタリセット信号が出力される。次のステップ196では、先に説明したエリアセンシング処理によりステータスレジスタにセットされたデータを読出し記憶する。さらら次のステップ198でホールドレジスタを「0」にする。これによりレジスタホールド信号が出力され、ステータスレジスタにセットされているデータがホールドされる。
【0086】
なお、ステップ190〜198の処理は、プラテンカバー24が閉じかけの状態、すなわち全閉状態となる前に行っており、ステップ198でホールドされるデータは、プラテンカバー24の閉じかけ時におけるセンシング領域#1〜#8内の各セルの受光量及び光センサ60の受光量に基づいてステータスレジスタの各ビットにセットされた値である。
【0087】
次のステップ216ではスタートボタンが押されたか否か判定する。ステップ216の判定が否定された場合には、ステップ220でプラテンインタロックセンサ30がオンしたか(プラテンカバー24が全閉状態となったか)否か判定する。この判定も否定された場合にはステップ216へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄ステップ216、220を繰り返す。
【0088】
ここで、プラテンカバー24が全閉状態となってプラテンインタロックセンサ30がオンする前にスタートボタンが押された場合には、ステップ216で肯定判定されステップ218へ進む。
【0089】
ステップ218では、前記ステップ196で記憶したステータスレジスタの全ビットが「0」(「原稿無し」)か否か判定する。
【0090】
上述したステップ190〜198の処理は、プラテンカバー24が閉じかけの状態で行っているので、プラテンガラス16上に原稿が載置されていなければ、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量は上記図9に示すエリアセンシング処理のステップ162の第2しきい値th2より大きくなり、ステータスレジスタの全ビットには「0」がセットされる。
【0091】
従って、ステップ218の判定が肯定された場合、すなわち全てのステータスレジスタのビットが「0」の場合には、ステップ234へ進み「原稿無し」と判定して処理を終了する。
【0092】
一方、ステップ218の判定が否定された場合、すなわちステータスレジスタの何れかのビットが「1」の場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されている場合であるので、ステップ212へ進み「原稿有り」と判定し、さらに次のステップ214においてステータスレジスタの各ビットの値に基づいてプラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを以下のようにして判定し、処理を終了する。
【0093】
なお、このステップ214では、ステータスレジスタが表すセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果を、ステータスレジスタの対応するビットの値が「1」であれば「原稿有り」、「0」であれば「原稿無し」と置き換え、次の表2に従って原稿のサイズ及び向きを判定する。
【0094】
【表2】
Figure 0003680408
【0095】
但し、表2において、「○」は「原稿有り」、「×」は「原稿無し」を表し、「−」は、通常は「原稿有り」であるが、「原稿無し」であっても判定結果を変更しない(すなわちDon't Care)ことを表す。なお、表2ではセンシング領域#1の検出結果を原稿のサイズ及び向きの判定に用いていないが、センシング領域#1の検出結果は原稿がプラテンガラス16上に正しく載置されているか否か、すなわち原稿の4個の角部のうちの何れかが原稿合わせマーク20が付与されている箇所に位置しているプラテンガラス16の角部に対応し、かつ原稿の2辺がレジガイド板18の内側面に当接するようにプラテンガラス16上に載置されているか否かの確認に用いられる。
【0096】
上記では、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを移動させることなく原稿のサイズ及び向きの判定を行っているので、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを副走査方向に沿って移動させて原稿のサイズ及び向きを判定する場合と比較して、短時間で処理が完了する。
【0097】
一方、上記ステップ220でプラテンカバー24が全閉状態となってプラテンインタロックセンサ30がオンした場合にはステップ222へ移行し、ステップ222〜226において、ステップ194〜198と同様にして、ステータスレジスタにセットされているデータを取込む。
【0098】
なお、ステップ222〜226の処理は、プラテンカバー24が全閉状態の時に行っているため、ステップ226でホールドされるデータは、前述したエリアセンシング処理(図9参照)のステップ168の判定処理に基づいてステータスレジスタの各ビットにセットされた値である。即ち、センシング領域#1〜#8内の各セルの受光量及び光センサ60の受光量のそれぞれにおける、プラテンカバー24の閉じかけ時と閉じた時との値の差に基づいてステータスレジスタの各ビットにセットされた値である。
【0099】
次のステップ228では、ステータスレジスタの全ビットが「0」(「原稿無し」)か否か判定する。
【0100】
即ち、プラテンガラス16上に原稿が載置されていなければ、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量は、プラテンカバー24の閉じかけ時と閉じた時とで大きな差があるので、エリアセンシング処理(図9参照)のステップ168で否定判定され、ステータスレジスタの全ビットには「0」がセットされる。よって、このような場合ステップ228で肯定判定され、前述したステップ234へ進み「原稿無し」と判定して処理を終了する。
【0101】
一方、プラテンガラス16上に原稿が載置されていれば、センシング領域#1〜#8内の各セルの受光量及び光センサ60の受光量のうち、プラテンカバー24の閉じかけ時と閉じた時とで殆ど差が無いものがあるので、ステータスレジスタのうちセットされた値が「1」のものがある。
【0102】
この場合、ステップ228で否定判定され、ステップ230へ進み「原稿有り」と判断した後、次のステップ232において上記ステップ216と同様にステータスレジスタの各ビットの値に基づいて、プラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを判定して処理を終了する。なお、このステップ232では、ステータスレジスタが表すセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果を、ステータスレジスタの対応するビットの値が「0」であれば「原稿無し」、「1」であれば「原稿有り」と置き換え、先の表2に従って原稿のサイズ及び向きを判定する。
【0103】
ところで、アングルセンサ28がオンとなる前に(プラテンカバー24が開状態のままで)スタートボタンが押された場合には、ステップ186の判定が肯定されてステップ200へ移行し、ステップ200〜208で先のステップ190〜198と同一の処理を行い、ステップ210でステータスレジスタの全ビットが「0」か否かを判定する。プラテンカバー24が開状態の場合にも、先に説明した閉じかけの場合と同様に、プラテンガラス16上に原稿が載置されていなければ、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量は上記図9に示すエリアセンシング処理のステップ162の第2しきい値th2より大きくなり、ステータスレジスタの全ビットには「0」がセットされる。
【0104】
従って、ステップ210の判定が肯定された場合、すなわち全てのステータスレジスタのビットが「0」の場合には、ステップ234へ進み「原稿無し」と判定して処理を終了する。
【0105】
一方、ステップ210の判定が否定された場合、すなわちステータスレジスタの何れかのビットが「1」の場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されている場合であるので、ステップ212へ進み「原稿有り」と判定し、さらに次のステップ214においてステータスレジスタの各ビットの値に基づいてプラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを前述したように判定し、処理を終了する。
【0106】
以上説明したように、本第1実施形態では、CCDラインセンサ44により原稿のサイズ及び向きを判定しているので、原稿のサイズ及び向きを検出するために多数のセンサを新たに設ける必要はない。
【0107】
また、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを移動させることなく原稿のサイズ及び向きを判定しているので、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを副走査方向に沿って走査させて原稿のサイズ及び向きを判定するプレスキャンを行う場合と比較して、短時間で処理が完了する。
【0108】
また、CCDラインセンサ44の全てのセルから出力される信号を用いて原稿のサイズを判断する場合には、各セルから出力された信号のレベル等を記憶するために大容量のメモリ等が必要となることも考えられるが、上記では、センシング領域#1〜#8内の各セルから出力される信号のみを用いるので、大容量のメモリ等を設ける必要もない。
【0109】
また、上記第1実施形態では、本発明の画像情報の代表値として、センシング領域nから取込んで記憶した8個の画素のデータの平均値を用いた実施形態を説明したが、センシング領域n内の全画素のデータの平均値を用いても良いし、最頻値や中央値等を用いても良い。
【0110】
また、上記ではサイズ検知部58に対し、センシング領域の位置として制御部54からセンシング開始位置が入力される構成であるので、検出すべき原稿のサイズの変更に伴ってセンシング領域の位置を変更したい場合にも、制御部54からサイズ検知部58に入力されるセンシング開始位置を変更することによりセンシング領域の位置の変更を容易に実現できる。従って、検出すべき原稿のサイズをレターサイズやリーガルサイズ等の特殊サイズに変更する場合にも、センサの位置を変更したりプレスキャンを行ったりする必要はない。
【0111】
更に、上記ではサイズ検知部58に対し、制御部54から原稿の有無を判定するための各種しきい値(第1しきい値th1等)が入力される構成であるので、外部から適宜各種しきい値を変更することができる。また、サイズ検知部58が予め設定された各種しきい値を記憶しておくように構成しても良い。
【0112】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、請求項3記載の発明に対応し、センシング領域#1〜#8内の各セルの受光量を二値化し、該二値化の結果に基づいてプラテンカバー24の閉じかけ時の黒画素数と閉じた時の黒画素数とを求め、それらの差に基づいて、原稿の有無及びサイズ判断を行う実施形態を説明する。
【0113】
なお、本第2実施形態は第1形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第2実施形態の作用について説明する。
【0114】
本第2実施形態では、上記第1実施形態とエリアセンシング処理の内容(図11参照)が一部異なっているので、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、本第2実施形態におけるエリアセンシング処理の制御ルーチンを図11に示す。第1実施形態におけるエリアセンシング処理(図9参照)と同じ処理には同一のステップ番号を付している。
【0115】
図11に示す本第2実施形態におけるエリアセンシング処理では、まずステップ141で、カウンタnを「1」に初期化すると共に、黒画素数カウント用のカウンタ(以下Bcounter と称す)を「0」に初期化する。
【0116】
また、ステップ148でビデオサンプリング信号のレベルが「H」の場合、ステップ151へ進み、CCDドライバ56から入力された1画素分の画像データを取込む。次のステップ153では該取り込んだ画像データを、制御部54から入力された第4しきい値th4によって二値化する。即ち、該取り込んだ画像データ(の濃度)が第4しきい値th4よりも大きいか否かを判定し、画像データが第4しきい値th4よりも大きい場合は黒画素とみなし、一方画像データが第4しきい値th4以下である場合は白画素とみなす。
【0117】
ここで、画像データが第4しきい値th4よりも大きく黒画素とみなされた場合のみ、ステップ155でBcounter を1つカウントアップする。そして、次のステップ156でビデオクロック信号が立ち上がる迄待機した後にステップ148へ戻る。
【0118】
その後、単一のセンシング領域からの画像データについての上記二値化処理及び黒画素のカウント処理を完了すると、ステップ152のセンシングエリア信号についての判定が否定されることによりステップ157へ進み、当該センシング領域内の画像データに基づくBcounter の値をサイズ検知部58内のメモリに記憶する。なお、サイズ検知部58内のメモリには、複数のBcounter の値を記憶する領域が確保されており、プラテンカバー24の閉じかけ時に実行されたエリアセンシング処理で求められたBcounter (以下、カウント値B(x)と称す)、閉じた時に実行されたエリアセンシング処理で求められたBcounter (以下、カウント値B(y)と称す)、及び開いている時に実行されたエリアセンシング処理で求められたBcounter (以下、カウント値B(z)と称す)を記憶することが可能である。
【0119】
次のステップ161では、上記カウント値B(x)、B(y)が共に記憶されたか否かを判定する。本エリアセンシング処理がプラテンカバー24の閉じかけ時に実行された時点では、カウント値B(x)のみが求められているため、ステップ161で否定判定され後述のステップ163へ進む。また、本エリアセンシング処理がプラテンカバー24の開いた時に実行された時点でも、カウント値B(z)のみが求められているため、ステップ161で否定判定されステップ163へ進む。
【0120】
ステップ163では、カウント値B(x)又はカウント値B(z)が、制御部54から入力されたセンシング領域#nの判定用の第6しきい値th6以下であるか否か判定する。
【0121】
ステップ163の判定が肯定された場合には、プラテンカバー24の閉じかけ時(又は開いた時)にセンシング領域#nにおいて黒画素数が第6しきい値th6以下であるので、ステップ166でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、原稿が有ることを表す値(「1」)をセットしステップ174へ移行する。
【0122】
一方、ステップ163の判定が否定された場合には、プラテンカバー24の閉じかけ時(又は開いた時)にセンシング領域#nにおいて黒画素数が第6しきい値th6よりも大きいので、ステップ164でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、原稿が無いことを表す値(「0」)をセットしてステップ174へ移行する。
【0123】
ところで、上記ステップ161でカウント値B(x)、B(y)が共に記憶されている場合は、ステップ169へ進み、カウント値B(x)、B(y)の差が、制御部54から入力されたセンシング領域#nの判定の第5しきい値th5以下であるか否か判定する。
【0124】
ステップ169の判定が肯定された場合には、センシング領域#nにおける黒画素数がプラテンカバー24の閉じかけ時と閉じた時とで第5しきい値th5以下の差しかないので、ステップ170でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、原稿が有ることを表す値(「1」)をセットしステップ174へ移行する。
【0125】
一方、ステップ169の判定が否定された場合には、センシング領域#nの黒画素数においてプラテンカバー24の閉じかけ時と閉じた時とで第5しきい値th5よりも大きい差異があるので、ステップ172でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、原稿が無いことを表す値(「0」)をセットしてステップ174へ移行する。
【0126】
ステップ174ではセンシング領域番号nが「8」か否か、すなわちセンシング領域#1〜#8の全ての領域に対して上記処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ175でセンシング領域番号nの値をカウントアップした後にステップ142へ戻り、上述したステップ142以降の処理を繰り返す。
【0127】
そして、センシング領域#1〜#8の全ての領域に対して上記処理が完了した時点でステップ174の判定が肯定される。その後、ステップ176〜179において上記第1実施形態と同様に、光センサ60からの出力信号に基づく原稿有無判定が行われ、光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに、原稿が無いことを表す値(「0」)又は原稿が有ることを表す値(「1」)がセットされる。
【0128】
以上説明した第2実施形態によれば、センシング領域#1〜#8の各々について、プラテンカバー24の閉じかけ時と閉じた時とにおける黒画素数の差に基づいて、ステータスレジスタの各ビットに原稿が有るか無いかを示す値が正確に設定される。
【0129】
また、プラテンカバー24が閉じる前にスタートボタンが押された場合でも、センシング領域#1〜#8の各々について、プラテンカバー24の閉じかけ時(又は開いている時)における黒画素数に基づいて、ステータスレジスタの各ビットに原稿が有るか無いかを示す値が正確に設定される。
【0130】
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、請求項2記載の発明においてカバーが遮蔽位置にある時と遮蔽手前位置にある時とで、各小領域が黒か白かを二値化の結果(例えば、黒画素数)に基づいて判断し、各小領域についての上記2回の判断結果の組合せに基づいて、原稿のサイズを判断する実施形態を説明する。
【0131】
なお、本第3実施形態は上記第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第3実施形態の作用について説明する。
【0132】
本第3実施形態では、上記第2実施形態とエリアセンシング処理の内容(図12参照)が一部異なっており、更に上記第1、第2実施形態と原稿サイズ判定処理の内容(図13参照)が一部異なっているので、これらの相違点を中心に説明する。なお、本第3実施形態におけるエリアセンシング処理の制御ルーチンを図12に示す。第2実施形態におけるエリアセンシング処理(図11参照)と同じ処理には同一のステップ番号を付している。
【0133】
図12に示す本第3実施形態におけるエリアセンシング処理では、ステップ153、155での単一のセンシング領域#nからの画像データについての二値化処理及び黒画素のカウント処理を完了すると、ステップ152のセンシングエリア信号についての判定が否定されることによりステップ159へ進む。
【0134】
ステップ159では、当該単一のセンシング領域#nに関する黒画素数(Bcounter )が、制御部54から入力されたセンシング領域#nの判定用の第7しきい値th7よりも大きいか否かを判定する。
【0135】
ステップ159の判定が肯定された場合には、センシング領域#nにおける黒画素数が第7しきい値th7よりも大きく該センシング領域#nは黒領域であると判定できるので、ステップ173でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、黒領域であることを表す値(「1」)をセットしステップ174へ移行する。
【0136】
一方、ステップ159の判定が否定された場合には、センシング領域#nにおける黒画素数が第7しきい値th7以下であり該センシング領域#nは白領域であると判定できるので、ステップ171でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、白領域であることを表す値(「0」)をセットしステップ174へ移行する。
【0137】
ステップ174ではセンシング領域番号nが「8」か否か、すなわちセンシング領域#1〜#8の全ての領域に対して上記処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ175でセンシング領域番号nの値をカウントアップした後にステップ142へ戻り、上述したステップ142以降の処理を繰り返す。
【0138】
そして、センシング領域#1〜#8の全ての領域に対して上記処理が完了した時点でステップ174の判定が肯定され、ステップ176へ進み、光センサ60から出力されている信号を取込む。次のステップ177では、光センサ60から取込んだ信号のレベルが、制御部54から入力された第3しきい値th3よりも大きいか否か判定する。
【0139】
上記判定が否定された場合には、光センサ60の受光量が第3しきい値th3以下であるので、ステップ178Aで光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに黒であることを表す値(「1」)をセットして処理を終了する。一方、ステップ177の判定が肯定された場合には、光センサ60の受光量が第3しきい値th3よりも大きいので、ステップ179Aで光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに白であることを表す値(「0」)をセットして処理を終了する。
【0140】
以上のエリアセンシング処理によれば、センシング領域#1〜#8内の黒画素数及び光センサ60の受光量に基づいて、ステータスレジスタの各ビットに画像が黒であるか又は白であるかを示す値が設定される。なお、ここでのステータスレジスタの各ビットは、画像が黒である場合、即ち該領域上に原稿が無い場合に「1」がセットされ、画像が白である場合、即ち該領域上に原稿が有る場合に「0」がセットされる。
【0141】
次に、制御部54で実行される原稿サイズ判定処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。なお、第1、第2実施形態における原稿サイズ判定処理(図10参照)と同一処理には同一のステップ番号を付し説明を省略する。
【0142】
ステップ190〜198で、プラテンカバー24が閉じかけの時のエリアセンシング処理の結果(ステータスレジスタの値)が読み出され記憶された後、スタートボタンが押される前にプラテンカバー24が全閉状態になった(即ちプラテンインターロックセンサがオンになった)場合、ステップ220で肯定判定されステップ222へ進む。
【0143】
ステップ222〜226ではプラテンカバー24が閉じた時のエリアセンシング処理の結果(ステータスレジスタの値)が読み出される。そして、次のステップ227では、センシング領域#1〜#8及び光センサ60のそれぞれについて、プラテンカバー24が閉じかけの時のステータスレジスタの値と閉じた時のステータスレジスタの値とに基づいて、以下の表3に従って原稿の有無を判定し、さらにセンシング領域#1〜#8及び光センサ60のそれぞれについての原稿有無判定結果に基づいて、プラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを前述した表2に従って判定し、処理を終了する。
【0144】
【表3】
Figure 0003680408
【0145】
なお、上記表3の**に関し、閉じかけで白(0)を検知し、閉じた後で黒(1)を検知することは通常あり得ない。検出位置が原稿端ぎりぎりの場合等で、プラテンカバー24を閉じる途中で原稿がずれた場合等であろうから「原稿有り」と判断する。
【0146】
一方、ステップ190〜198で、プラテンカバー24が閉じかけの時のエリアセンシング処理の結果(ステータスレジスタの値)が読み出され記憶された後、プラテンカバー24が全閉状態になる(即ちプラテンインターロックセンサがオンになる)前にスタートボタンが押され、ステップ216で肯定判定された場合、ステップ219へ進む。
【0147】
ステップ219では、その時点で記憶されているステータスレジスタの全てのビットが「1」(「原稿無し」)であるか否かを判定する。ここで、全てのビットが「1」である場合は原稿無しと判断することができるので、ステップ234へ進み「原稿無し」と判定して処理を終了する。
【0148】
一方、ステップ219でステータスレジスタの何れかのビットが「0」(「原稿有り」)である場合は否定判定され、ステップ212へ進み「原稿有り」と判定し、さらに次のステップ214においてステータスレジスタの各ビットの値に基づいてプラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを前述した表2に従って判定し、処理を終了する。
【0149】
但し、上記ステップ214では、ステータスレジスタが表すセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果を、ステータスレジスタの対応するビットの値が「0」であれば「原稿有り」、「1」であれば「原稿無し」と置き換え、前記表2に従って原稿のサイズ及び向きを判定する。
【0150】
さらに、図13のステップ200〜208で、プラテンカバー24が開いている時のエリアセンシング処理の結果(ステータスレジスタの値)が読み出された後のステップ209では、上記ステータスレジスタの全てのビットが「1」(「原稿無し」)であるか否かを判定する。ここで、全てのビットが「1」である場合は原稿無しと判断することができるので、ステップ234へ進み「原稿無し」と判定して処理を終了する。
【0151】
一方、ステップ209でステータスレジスタの何れかのビットが「0」(「原稿有り」)である場合は否定判定され、ステップ212へ進み「原稿有り」と判定し、さらに次のステップ214において上記と同様の要領で、ステータスレジスタの各ビットの値に基づいてプラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを前述した表2に従って判定し、処理を終了する。
【0152】
以上説明した第3実施形態によれば、センシング領域#1〜#8の各々について、プラテンカバー24の閉じかけ時の黒画素数に基づいて黒領域か白領域かを判定すると共に、プラテンカバー24が閉じた時の黒画素数に基づいて黒領域か白領域かを判定し、これら2回の判定結果の組合せ及び表3に基づいて、各センシング領域における原稿の有無を正確に判断することができる。さらに、各センシング領域における原稿の有無の判断結果及び表2に基づいて、原稿のサイズを正確に判断することができる。
【0153】
なお、上記第3実施形態では、センシング領域n内の画素をサンプリングして二値化しているが、センシング領域n内の全画素を二値化してその中の黒画素数をカウントしても良い。
【0154】
ところで、上記第1〜第3実施形態では、原稿の画像を読取るために設けられたCCDラインセンサ44を用いて原稿のサイズの判定も行うようにしていたが、これに限定されるものではなく、原稿の画像を読取ることなく、原稿を反射した光を感光体ドラムに直接照射することにより原稿の画像を記録用紙に記録する画像記録装置において、本発明に係る画像読取装置を、原稿のサイズを判定するのみの目的で設けてもよい。
【0155】
また、上記第1〜第3実施形態では光電変換器としてCCDラインセンサ44を適用した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、MOS型イメージセンサ等の公知の各種光電変換器を適用可能である。また、上記では透明部材としてプラテンガラス16を例に説明したが、ガラス以外に合成樹脂等の他の材料を用いて透明部材を構成することも可能である。
【0156】
また、上記第1〜第3実施形態では、原稿の向きを検出するために光センサ60を図5の「#0」として示す位置に配置したが、原稿の向きが予め一方に定められている場合には光センサ60を配置する必要は無い。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、原稿に記録されている画像を読み取るために設けられた光電変換素子を用いて原稿のサイズを判断するので、原稿のサイズ検出専用に多数のセンサを設ける必要はなく、装置の構成を簡単にすることができる、という優れた効果が得られる。
【0158】
また、原稿サイズ検出のためのプリスキャンも必要としないため、プリスキャンが画像読取装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題を解消することができる、という優れた効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る画像読取装置の外観を示す斜視図である。
【図2】(A)はプラテンカバーが起立している状態、(B)はプラテンカバーが起立状態から所定角度以上回動され、アングルセンサがオンされた状態を各々示す画像読取装置の側面図である。
【図3】画像読取装置の筐体内に配設された光学系の概略構成を示す断面図である。
【図4】画像読取装置の制御部及びその周辺の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】本実施形態に係るプラテンガラス上におけるセンシングエリアを示す平面図である。
【図6】本実施形態に係るCCDラインセンサの受光部上に設定された、原稿のサイズ検出の際のセンシング領域を示す概念図である。
【図7】サイズ検知部で実行される信号生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施形態に係るライン同期信号、ビデオクロック信号、センシングエリア信号、画像データ及びビデオサンプリング信号の関係を示すタイミングチャートである。
【図9】第1実施形態に係るサイズ検知部で実行されるエリアセンシング処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】第1、第2実施形態に係る制御部で実行される原稿サイズ判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】第2実施形態に係るサイズ検知部で実行されるエリアセンシング処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】第3実施形態に係るサイズ検知部で実行されるエリアセンシング処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】第3実施形態に係る制御部で実行される原稿サイズ判定処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 画像読取装置
16 プラテンガラス(透明部材)
24 プラテンカバー(カバー)
28 アングルセンサ
30 プラテンインタロックセンサ
44 CCDラインセンサ
54 制御部
58 サイズ検知部
60 光センサ

Claims (5)

  1. 原稿を載置するための板状の透明部材、及び前記透明部材を遮蔽する遮蔽位置及び前記透明部材が露出する露出位置に回動可能なカバーを備え、前記透明部材上に載置された原稿にランプにより光を照射して、光電変換素子を多数備えた光電変換器によって、前記原稿に記録されている画像を読み取り、
    前記カバーにより前記透明部材が遮蔽される前に前記光電変換器によって読み取られた画像情報と、前記カバーにより前記透明部材が遮蔽された後に前記光電変換器によって読み取られた画像情報と、に基づいて、前記透明部材上に載置された原稿のサイズを判断するサイズ判断手段を有する画像読取装置であって、
    前記透明部材の予め定めた1つの角部に前記原稿の何れか1つの角部が対応するように載置されたサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨るエリアに対応する複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報の代表値を算出する算出手段を備え、
    前記サイズ判断手段は、前記カバーにより前記透明部材が遮蔽される前における前記画像情報の代表値と、前記カバーにより前記透明部材が遮蔽された後における前記画像情報の代表値とを各小領域毎に比較し、各小領域毎の比較結果に基づいて各小領域毎に原稿の有無を判別することによって、前記透明部材上に載置された原稿のサイズを判断する画像読取装置。
  2. 前記カバーが前記露出位置から前記遮蔽位置へ所定角度以上回動されたときにオン状態に変化するセンサを更に備え、前記ランプは、前記センサがオン状態に変化したときに前記透明部材上に載置された原稿に光を照射する請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 前記画像の読み取り開始を指示するためのスタートボタンを更に供え、前記ランプは、前記センサがオン状態に変化する前に前記スタートボタンによって前記画像の読取り開始が指示されたときに、前記透明部材上に載置された原稿に光を照射する請求項2に記載の画像読取装置。
  4. 原稿を載置するための板状の透明部材、及び前記透明部材を遮蔽する遮蔽位置及び前記透明部材が露出する露出位置に回動可能なカバーを備え、前記透明部材上に載置された原稿にランプにより光を照射して、光電変換素子を多数備えた光電変換器によって、前記原稿に記録されている画像を読み取る画像形成装置であって、
    前記透明部材上の予め定めた1つの角部に前記原稿の何れか1つの角部が対応するように載置されたサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨るエリアに対応する複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報を二値化する二値化手段と、
    前記カバーにより前記透明部材が遮蔽される前における前記二値化された一方の値の個数と前記カバーにより透明部材が遮蔽された後における前記二値化された一方の値の個数とを各小領域毎にカウントするカウント手段と、
    各小領域毎にカウントされた、透明部材が遮蔽される前における前記一方の値の個数と透明部材が遮蔽された後における前記一方の値の個数とに基づいて、透明部材上に載置された原稿のサイズを判断する原稿サイズ判断手段と、
    を備えた画像読取装置。
  5. 前記原稿サイズ判断手段は、透明部材が遮蔽される前における前記一方の値の個数と透明部材が遮蔽された後における前記一方の値の個数との差を各小領域毎に算出し、各小領域毎に算出された一方の値の個数差に基づいて前記原稿のサイズを判断する請求項4に記載の画像読取装置。
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