JP3562111B2 - 画像読取装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像読取装置に係り、特に、プラテンガラス等の板状の透明部材上に載置された原稿に記録されている画像を読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、複写機において、プラテンガラス上に載置された原稿のサイズを検出し、検出結果に基づいて原稿に記録されている画像を複写する用紙のサイズや複写倍率等を自動的に決定する技術が知られている。プラテンガラス上に載置された原稿のサイズを検出するための最も一般的な方法は、特開昭61−20936号公報に記載されているように、プラテンガラスの下方にサイズ検出のための光センサを1個以上配設し、光センサ配設位置における原稿の有無を光センサにより検出し、光センサによる検出結果に基づいて原稿のサイズを判断する方法である。
【0003】
しかし、上述したサイズ検出方法では、各種サイズの原稿に対応して、プラテンガラス下方の互いに異なる箇所に光センサを各々配設する必要があり、現実にはプラテンガラス上に載置可能な多数種類の原稿サイズに対応して多数の光センサが必要となるので、構成が複雑になるという問題がある。
【0004】
また、原稿に記録されている画像をデジタルの画像データに変換した後に、該画像データに基づいて用紙に画像を記録(複写)する複写機(所謂デジタル複写機)やファクシミリ装置等では、ライン状に配列されたCCD等の多数の光電変換素子を備え、この光電変換素子により原稿を走査することにより原稿の画像を読み取る構成であることが一般的である。このため、この種の装置において、画像読取前に光電変換素子により原稿を走査し(所謂プレスキャン)、光電変換素子から出力される信号に基づいて原稿のサイズを検出するようにしたものも見受けられる。
【0005】
上記の検出方法では、画像を読み取るために設けられた光電変換素子により原稿のサイズの検出も行うので、プラテンガラス上に載置される原稿サイズの種類数に応じて新たに多数のセンサを設ける必要はないが、原稿が載置される毎にプレスキャンを行う必要があるので、プレスキャンが装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題があった。
【0006】
ところで、プラテンガラス上の原稿のサイズ検出は、プラテンカバーが閉じられたときに、プラテンガラス上に原稿が載置されたものとみなして行うことが一般的であるが、プラテンカバーの裏面は通常は白色であるので、載置された原稿の下地が白色、すなわち原稿の光反射率がプラテンカバーの裏面の光反射率に近い場合には、原稿のサイズを光学的に検出することが困難になる。
【0007】
このため、原稿のサイズ検出の確実性を向上させるために、プラテンカバーの裏面に光反射率の低い面を形成したり、プラテンカバーの裏面を白以外の色とすることが提案されている(特公昭62−47026号公報参照)。
【0008】
しかし、プラテンカバーの裏面の光反射率を下地が白色の原稿の光透過率に対して明らかに低下させたとすると(例えばプラテンカバーの裏面を灰色、黒色、或いは鏡面とする)、原稿のサイズ検出は容易になるものの、複写した画像の背景部分の濃度が全体的に高くなる、所謂裏写りが生ずる。この裏写りは、特にトレーシングペーパ等のように厚みが薄く光透過率が比較的高い用紙に記録された画像を複写する等の場合に顕著となる。
【0009】
また、プラテンカバーの裏面の光反射率を下地が白色の原稿の光透過率よりも大幅に低下させた場合、デジタル複写機において、プラテンカバーが閉止されて原稿の読取りが行われると、プラテンガラス上の原稿が載置されていない部分は高濃度(例えば黒色)と認識されることになり、原稿を読取ることによって得られた画像データに基づいて単に用紙への画像の複写を行ったとすると、複写画像中の前記原稿が載置されていない部分に相当する部分が例えば黒ベタとなるので好ましくない。
【0010】
これを回避するためには、例えばプレスキャンを行って原稿のサイズを検知した後に、検知した原稿のサイズに基づいてプラテンガラス上の原稿が載置されていない部分を判断し、原稿の読取時に光電変換器から出力される信号のうち、前記原稿が載置されていない部分に対応して出力される信号に電気的にマスクをかけたり、或いは前記原稿が載置されていない部分が画像データ上で濃度が0(白色)となるように、光電変換器から出力された信号を画像データに変換する際の入出力特性を自動的に変更する等の処理を行う必要があり、構成が複雑になるという問題があった。
【0011】
さらに、従来のデジタル方式の画像読取装置において、CCDイメージセンサを用いて原稿サイズを検出する原稿サイズ検出方法が提案されている(特開昭62−76962号公報、特開平5−207239号公報参照)。
【0012】
しかしながら、この方式では、プラテンカバー閉じかけ時の検出時や開けたままでの読み取り動作での検出時に、画像読取装置が設置された環境の要因、例えば蛍光灯の下や窓際等に設置された場合における外光の影響によって原稿サイズを誤検知してしまう虞れがあった。
【0013】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、簡単な構成でかつ短時間で原稿のサイズを検知できる画像読取装置を提供することを第1の目的とし、装置が設置された環境の要因に影響されることなく原稿のサイズを正確に検知できる画像読取装置を提供することを第2の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記第1及び第2の目的を達成するために、請求項1記載の画像読取装置は、光電変換素子を多数備えた光電変換器によって板状の透明部材上に載置された原稿を光学的に走査して、前記原稿に記録されている画像を読み取る画像読取装置であって、前記透明部材を遮蔽する遮蔽位置及び透明部材が露出する露出位置に移動可能なカバーと、前記透明部材上の略一定の位置各々に載置されるサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨がるエリアに対応する複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報の代表値を算出する代表値算出手段と、前記カバーにより透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値と第1のしきい値とを比較すると共に、前記カバーにより透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値と、前記第1のしきい値と異なる第2のしきい値とを比較する比較手段と、各小領域毎の前記比較手段による比較結果の組合せに基づいて、透明部材上に載置された原稿のサイズを判断するサイズ判断手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
この請求項1記載の画像読取装置では、通常、原稿に記録されている画像を読み取る際に、該原稿を透明部材上に載置し、カバーを露出位置から遮蔽位置へ移動させた後、所定の開始指示(例えば、スタートボタン操作等)を行うことにより、画像読取を開始する。
【0016】
なお、請求項1記載の発明では、透明部材上の略一定の位置各々に載置されるサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨がるエリアに対応して複数の小領域が予め定められている。
【0017】
本請求項1記載の画像読取装置では、代表値算出手段によって、複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報の代表値を算出することができる。即ち、画像読取時において、代表値算出手段は、カバーにより透明部材が遮蔽される前に各小領域内の画像情報の代表値(以下、遮蔽前代表値と称す)を算出し、カバーにより透明部材が遮蔽されるようになった後で各小領域内の画像情報の代表値(以下、遮蔽後代表値と称す)を算出する。
【0018】
そして、比較手段は、上記算出した遮蔽前代表値と第1のしきい値とを比較すると共に、遮蔽後代表値と第2のしきい値とを比較する。
【0019】
ところで、カバーにより透明部材が遮蔽される前では、原稿以外の部分は黒くなるのが一般的であるが、外光の影響によって少し白っぽくなることがある。よって、上記比較手段による比較において、第1のしきい値を通常の値にしておくと、本来原稿以外の部分で黒と判定されるべきところを誤って白と判定される虞れがある。そこで、第1のしきい値は、上記の事態を回避するべく、少し白寄りに設定することが望ましい。
【0020】
同様に、カバーにより透明部材が遮蔽された後では、原稿以外の部分は白くなるのが一般的であるが、外光の影響によってカバーで覆われた部分の外縁部と中心部とで白さの度合いにばらつきが生じることがある。よって、上記比較手段による比較において、第2のしきい値を通常の値にしておくと、本来原稿以外の部分で白と判定されるべきところを誤って黒と判定される虞れがある。そこで、第2のしきい値は、上記の事態を回避するべく、少し黒寄りに設定することが望ましい。
【0021】
この請求項1記載の発明では、第1のしきい値と第2のしきい値とが異なるよう設定されている、例えば、第1のしきい値が白寄りに、第2のしきい値が黒寄りに設定されているので、上記のような誤まった比較結果が発生することを未然に防止することができる。
【0022】
そして、サイズ判断手段は、各小領域について上記のようにして外光の影響を考慮して正確に求められた遮蔽前代表値についての比較結果と遮蔽後代表値についての比較結果との組合せより、該小領域が黒か白かを判定し、この各小領域毎の判定結果から原稿のサイズを判断する。
【0023】
この請求項1記載の発明によれば、装置が設置された環境の要因(外光等)を考慮して正確に求められた遮蔽前代表値についての比較結果と遮蔽後代表値についての比較結果との組合せに基づいて原稿のサイズを判断するので、環境の要因に影響されることなく原稿のサイズを正確に判定することができる。
【0024】
また、請求項1記載の発明では、原稿に記録されている画像を読み取るために設けられた光電変換素子を用いて上記のようにして原稿のサイズを判断するので、原稿のサイズ検出専用に多数のセンサを設ける必要はなく、装置の構成を簡単にすることができる。
【0025】
また、原稿サイズ検出のためのプリスキャンも必要としないため、プリスキャンが画像読取装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題を解消することができる。
【0026】
次に、請求項2記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値に基づいて第1のしきい値を設定すると共に、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値に基づいて第2のしきい値を設定するしきい値設定手段を更に有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項3記載の画像読取装置では、請求項2記載の画像読取装置において、前記しきい値設定手段は、各小領域毎に第1のしきい値及び第2のしきい値を設定することを特徴とする。
【0028】
また、請求項4記載の画像読取装置では、請求項2記載の画像読取装置において、前記しきい値設定手段は、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値、及び該各小領域毎の画像情報の代表値における最大値と最小値との差に基づいて、各小領域毎に第1のしきい値を設定すると共に、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値、及び該各小領域毎の画像情報の代表値における最大値と最小値との差に基づいて、各小領域毎に第2のしきい値を設定することを特徴とする。
【0029】
ところで、原稿が透明部材上に載置されていない状態で算出した画像情報の遮蔽前代表値及び遮蔽後代表値には、前述したように外光の影響が含まれている。具体的には図16において曲線K1で示す遮蔽前代表値はほぼ「0」(黒)に近い値となるものの外縁部に近い小領域(#1や#8等)ほど該小領域における遮蔽前代表値は大きくなる(少し白寄りになる)。
【0030】
また、図17において曲線L1で示す遮蔽後代表値はほぼ「255」(白)に近い値となるものの外縁部に近い小領域ほど該小領域における遮蔽前代表値は大きくなる。
【0031】
そこで、上記請求項2記載の画像読取装置では、原稿が透明部材上に載置されていない状態での各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値(即ち上記のような外光の影響を含んだ遮蔽前代表値)に基づいて第1のしきい値を設定する。具体的には、各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値に関する加算平均値や、最大値、最小値、中間値、最頻値などを第1のしきい値として設定することができる。
【0032】
また、遮蔽前代表値と予め求められた該遮蔽前代表値に対して最適な第1のしきい値とを対応付けたテーブルを予め記憶しておき、このテーブルを参照することによって、第1のしきい値を設定しても良い。
【0033】
このように外光の影響を含んだ遮蔽前代表値に基づいて第1のしきい値を設定することにより、外光の影響分を加味した第1のしきい値を設定することができ、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響をより小さくした上で正確に行うことができる。
【0034】
上記と同様に、第2のしきい値についても、原稿が透明部材上に載置されていない状態での各小領域毎の画像情報の遮蔽後代表値(即ち上記のような外光の影響を含んだ遮蔽後代表値)に基づいて設定することにより、外光の影響分を加味した第2のしきい値を設定することができ、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽後代表値と第2のしきい値との比較を、環境の要因による影響をより小さくした上で正確に行うことができる。
【0035】
また、上記請求項2記載の画像読取装置において、請求項3記載の発明のように、しきい値設定手段が、原稿が透明部材上に載置されていない状態での各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値(即ち上記のような外光の影響を含んだ遮蔽前代表値)に基づいて、各小領域毎に第1のしきい値を設定すると、各小領域における外光の影響分を加味した適切な第1のしきい値を各小領域毎に設定することができ、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と各小領域毎の第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる。
【0036】
なお、第2のしきい値の設定についても、上記のように各小領域毎に設定すると、各小領域における外光の影響分を加味した適切な第2のしきい値を各小領域毎に設定することができ、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽後代表値と各小領域毎の第2のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる。
【0037】
更に、上記請求項2記載の画像読取装置において、請求項4記載の発明のように、しきい値設定手段が、原稿が透明部材上に載置されていない状態での各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値(即ち上記のような外光の影響を含んだ遮蔽前代表値)及び該遮蔽前代表値の最大値と最小値との差(即ち外光による最大影響分)に基づいて、各小領域毎に第1のしきい値を設定しても良い。即ち、原稿が透明部材上に載置されていない状態における各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値に基づく値を各小領域毎に求めた後、該各小領域毎に求めた値に、遮蔽前代表値の最大値と最小値との差(外光による最大影響分)を加えることにより、各小領域における外光による最大影響分を加味したより適切な第1のしきい値を各小領域毎に設定することができる。これにより、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と各小領域毎の第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる。
【0038】
なお、第2のしきい値の設定についても、上記のように各小領域毎に外光による最大影響分を加味した上で設定することにより、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽後代表値と各小領域毎の第2のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる。
【0039】
次に、請求項5記載の画像読取装置は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の画像読取装置において、前記第1のしきい値及び前記第2のしきい値の各々を所望の値に変更するためのしきい値変更手段を更に有することを特徴とする。
【0040】
また、請求項6記載の画像読取装置は、請求項5記載の画像読取装置において、変更された第1のしきい値を有効とする時間帯及び変更された第2のしきい値を有効とする時間帯の各々を所望の時間帯に設定するための有効時間帯設定手段を更に有することを特徴とする。
【0041】
また、請求項7記載の画像読取装置では、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の画像読取装置において、前記カバーは、透明部材の遮蔽時に該透明部材に対向する面が白色とされていることを特徴とする。
【0042】
上記請求項5記載の画像読取装置は、しきい値変更手段を有しているので、画像読取装置が例えば、蛍光灯の真下や、太陽光が差し込む窓際等に設置された場合でも、ユーザがしきい値変更手段によって第1のしきい値や第2のしきい値を所望の値に変更することにより、原稿サイズの誤検知を防止することができる。
【0043】
また、上記請求項6記載の画像読取装置は、有効時間帯設定手段を有しているので、画像読取装置が窓際に設置され特定の時間帯(例えば、朝日が差し込む午前中や西日が差し込む夕方等)に外光による影響がありうる場合に、ユーザは有効時間帯設定手段によって第1のしきい値を有効とする時間帯や、第2のしきい値を有効とする時間帯を所望の時間帯に設定することができる。これにより、所望の時間帯に、変更した第1のしきい値や第2のしきい値を有効とし、時間による環境の変化に適切に対応することができる。
【0044】
さらに、本発明におけるカバーは、請求項7記載の発明のように、透明部材の遮蔽時に該透明部材に対向する面が白色とされているので、裏写りによる画質への影響を無くすことができ、正確に原稿のサイズを判断することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0046】
〔第1実施形態〕
図1には本実施形態に係る画像読取装置10の外観が示されている。画像読取装置10は、箱型の筐体12を備えており、この筐体12の上部には、筐体12の上部開口部を閉塞する蓋状の原稿台14が取付けられている。原稿台14は、板状で長方形の透明部材であるプラテンガラス16と、プラテンガラス16の外周に配設された長方形枠状のレジガイド板18と、を備えている。なお、本実施形態では、プラテンガラス16のうちレジガイド板18から露出している部分のサイズがA3サイズに略等しくされている。
【0047】
図3に示すように、レジガイド板18は上面の高さ位置がプラテンガラス16よりも高くされており、図1におけるプラテンガラス16の左奥側の角部に対応する位置には原稿合わせマーク20が付与されている。原稿は、画像が記録されている面がプラテンガラス16側を向き、かつ原稿の4個の角部のうちの何れかが原稿合わせマーク20が付与されている箇所に位置しているプラテンガラス16の角部に対応し、かつ原稿の2辺がレジガイド板18の内側面に当接(図3に示す原稿21参照)するようにプラテンガラス16上に載置される。これにより原稿は、そのサイズに拘らず、プラテンガラス16上の略一定の位置に載置されることになる。
【0048】
また筐体12には、一長辺側に一対のヒンジ22を介してプラテンカバー24(本発明のカバーに相当)が取付けられている。プラテンカバー24は、ヒンジ22により、図2(A)に示す起立位置(全開位置)と、図示は省略するが原稿台14を完全に閉塞する位置(全閉位置)との間を回動可能とされている。プラテンカバー24の裏面側(プラテンガラス16対向面側)には、矩形状のプラテンクッション26が貼着されている。プラテンクッション26は、プラテンガラス16に対向する面の表面が白色とされており、いわゆる裏写りによる画質への影響を無くすよう配慮されている。
【0049】
また一方のヒンジ22の配設位置の近傍には、オンオフスイッチから成り、移動子が原稿台14から突出するように設けられたアングルセンサ28が取付けられている。なお図1及び図2はアングルセンサ28の移動子のみを示している。アングルセンサ28の移動子は長手方向に沿って移動可能とされていると共に、ばね等から成る図示しない付勢手段により図1及び図2(A)に示す位置に保持されており、このときはアングルセンサ28はオフ状態となっている。プラテンカバー24が図2(A)に示す全開位置から全閉位置へ所定角度以上回動されると、図2(B)に示すように、アングルセンサ28の移動子がプラテンカバー24の裏面に当接して押圧されることにより、プラテンカバー24が全閉位置まで回動される前に(図2(B)に示す状態で)、アングルセンサ28がオン状態に変化する。
【0050】
また、プラテンカバー24の裏面には、ヒンジ22が取付けられている側の端部と反対側の端部に、図2に示すように、プラテンインタロックセンサ30が取付けられている。プラテンインタロックセンサ30は、全閉状態でない場合にはオフ状態で、プラテンカバー24が全閉状態になるとオン状態に変化するように構成されている。
【0051】
図3に示すように、筐体12内には走査装置32が設けられている。走査装置32は、プラテンガラス16に向けて光を射出するランプ34と、プラテンガラス16側からの反射光を略水平に反射する第1の反射ミラー36と、第1の反射ミラー36の光射出側に配置され第1の反射ミラー36から入射された光を略鉛直方向に沿って下方へ射出する第2の反射ミラー38と、第2の反射ミラー38の光射出側に配置され第2の反射ミラー38から入射された光を略水平に反射する第3の反射ミラー40と、を備えている。また、第3の反射ミラー40の光射出側には、結像レンズ42及び本発明の光電変換器としてのCCDラインセンサ44が設けられている。
【0052】
図3はプラテンガラス16の長辺方向に沿った断面図を示しているが、ランプ34、反射ミラー36、38、40及び結像レンズ42は各々プラテンガラス16の短辺方向(図3の紙面に直交する方向:以下主走査方向と称する)に沿ってプラテンガラス16の一端から他端に亘って各々延設されており、これにより、ランプ34からプラテンガラス16に向けて射出される光、及びプラテンガラス16側から反射され反射ミラー36、38、40及び結像レンズ42を介してCCDラインセンサ44の受光部に結像される光は、各々主走査方向に長いスリット状の光とされている。
【0053】
CCDラインセンサ44は主走査方向に沿って一定密度で配列された多数のセル(本発明の光電変換素子)を備えており、CCDラインセンサ44の受光部上の主走査方向に沿った各位置における受光量は、各セルによって各々電気信号に変換されて出力される。
【0054】
また、ランプ34及び第1の反射ミラー36は、主走査方向に直交する副走査方向(図3の矢印S方向)に沿って筐体12内を往復移動可能とされたキャッリジ部材46に取付けられており、第2の反射ミラー38及び第3の反射ミラー40は、同じく副走査方向に沿って筐体12内を往復移動可能とされたキャリッジ部材48に取付けられている。これらキャリッジ部材46、48は、図示しないワイヤーでつながっていて、原稿21で反射した光がCCDラインセンサ44の受光部に到達するまでの光路長が一定になるように構造的に調整されている。また、これらキャリッジ部材46、48はキャリッジ部材駆動部50(図4参照)により副走査方向に沿って移動される。
【0055】
図4に示すように、キャリッジ部材駆動部50は制御部54に接続されており、制御部54によって作動が制御される。なお、制御部54はマイクロコンピュータ等を含んで構成されている。
【0056】
プラテンガラス16上に載置された原稿の画像の読取りを行う場合、制御部54は、キャリッジ部材駆動部50により、キャリッジ部材46を副走査方向に沿って所定速度で移動させると共にキャリッジ部材48をキャリッジ部材46の移動方向と同一の方向に前記所定速度の半分の速度で移動させる。プラテンカバー24が全閉状態の場合には、ランプ34から射出された光はプラテンガラス16上に載置された原稿21、又はプラテンガラス16に対して密着状態となっているプラテンクッション26の表面で反射されるので、上記のようにキャリッジ部材46、48を移動させることにより、副走査方向に沿ったキャリッジ部材46の位置に拘らず、ランプ34からCCDラインセンサ44に至る光路長は一定となる。
【0057】
図4に示すように、アングルセンサ28及びプラテンインタロックセンサ30は制御部54に接続されており、各センサによる検出結果は制御部54に入力される。また、制御部54にはランプ34が接続されており、制御部54によってランプ34の点滅が制御される。また、CCDラインセンサ44はCCDドライバ56及びサイズ検知部58を介して制御部54に接続されている。
【0058】
また、制御部54には、オペレータが所望のしきい値等を入力するためのキーボード64と、キーボード64から入力した値や制御部54からのメッセージ等を表示するためのディスプレイ62と、オペレータが画像読取処理の実行開始を指示するためのスタートボタン66が接続されている。なお、キーボード64には、ディスプレイ62に表示された問いかけメッセージに対してオペレータが肯定応答するためのYesキー64Aと、否定応答するためのNoキー64Bと、が設けられている。
【0059】
サイズ検知部58は、制御部54からビデオクロック信号やライン同期信号等の同期信号を含む各種の信号やデータが入力される(信号やデータの内容については後述)。サイズ検知部58に入力されたビデオクロック信号がCCDドライバ56を介し、CCDラインセンサ44を制御する。CCDラインセンサ44はビデオクロック信号に同期したタイミングで動作し、各セルの受光量を表す信号をビデオクロック信号に同期したタイミングで順に出力する。CCDラインセンサ44から出力された信号は、CCDドライバ56によって増幅されると共にデジタルの画像データに変換されてサイズ検知部58に出力される。
【0060】
また、サイズ検知部58には原稿の向きを検出するための光センサ60が接続されている。光センサ60は、プラテンガラス16の下方に配設されていると共に、図5に示すように、プラテンガラス16上に原稿が横向き(長辺方向がプラテンガラス16の長手方向に一致する方向:SEF)に載置された場合には、原稿のサイズ(B5、A4、B4、A3等)に拘らず原稿が存在し、プラテンガラス16上に原稿が縦向き(長辺方向がプラテンガラスの短辺方向に一致する方向:LEF)に載置された場合には、原稿のサイズに拘らず原稿が存在しない所定位置(図5に「#0」として示す位置)における原稿の有無を検出可能な位置に配設されている。
【0061】
なお、上述した画像読取装置10はデジタル複写機(図示省略)の一部を構成しており、画像読取装置10によって読取られた原稿の画像は、複写機により用紙に複写される。また画像読取装置10によって判定された原稿のサイズ及び向き(原稿のサイズ及び向きの判定の詳細については後述)は、用紙の選択や複写倍率の決定に用いられる。
【0062】
次に本第1実施形態の作用を説明する。原稿の読取り等を行っていない待機状態(原稿サイズ判定時も含む)では、制御部54は、CCDラインセンサ44のセンシングエリアがレジガイド板18とプラテンガラス16との境界から副走査方向に沿って20mm程度内側(図5にハッチングで示す範囲)となるように、キャリッジ部材46、48の位置を制御する(所謂ホームポジション)。図5からも明らかなように、CCDラインセンサ44のセンシングエリアの主走査方向に沿った長さは、プラテンガラス16の主走査方向に沿った長さよりも若干長くされている。
【0063】
また、本第1実施形態では、原稿のサイズを判定する際に用いるCCDラインセンサ44のセンシングエリアとして、図5に#1〜#8で示す8個のセンシングエリアが定められている。各センシングエリアは、図5に示すように、プラテンガラス16上に各種サイズの原稿が縦向き又は横向きに載置されたときに、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の辺のプラテンガラス16上における位置を考慮して位置が定められている。
【0064】
すなわち、センシングエリア#2及び#3は、B5サイズの原稿がプラテンガラス16上に横向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64A)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。また、センシングエリア#4及び#5は、A4サイズの原稿が横向きに載置された場合及びA5サイズの原稿が縦向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64B)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。
【0065】
また、センシングエリア#6及び#7は、B4サイズの原稿が横向きに載置された場合及びB5サイズの原稿が縦向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64C)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。また、センシングエリア#1及び#8は、A3サイズの原稿が横向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の二つの長辺よりも若干内側(CCDラインセンサ44のセンシングエリアの両端部近傍をレジガイド板18の端部が横切っている位置よりも若干内側)となるように各々の位置が定められている。
【0066】
なお、以下では、CCDラインセンサ44のセンシングエリアとレジガイド板16の端部が交差している2箇所のうち、センシングエリア#1の近傍の箇所を第1のレジ位置、センシングエリア#8の近傍の箇所を第2のレジ位置と称する(図6も参照)。
【0067】
図6にはCCDラインセンサ44の受光部を概念的に示している。本第1実施形態では、図5に示したセンシングエリア#1〜#8に対応して、CCDラインセンサ44の受光部上にセンシング領域#1〜#8(本発明の複数の小領域に対応)が予め定められている。センシング領域#1〜#8は、各々主走査方向に沿って並ぶ複数の画素(=セル、図6では一例として34個のセル)から構成されている。また本実施形態では、各種サイズの原稿のCCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る辺のプラテンガラス16上における位置に対応するCCDラインセンサ44の受光部上における位置が、第1のレジ位置に対応する画素からの画素数(セル数)に換算されて予め求められている(図6参照)。
【0068】
制御部54は、各センシング領域の大きさ、及び各種サイズの原稿のセンシングエリアを横切る辺のプラテンガラス16上における位置に対応するCCDラインセンサ44の受光部上における位置に基づいて求められた、第1のレジ位置から各センシング領域が始まる位置迄の距離を画素数に換算した値を記憶しており(一例として次の表1を参照)、このデータをセンシング開始位置(センシングスタートポジションSn :nはセンシング領域の番号)としてサイズ検知部58に出力する。
【0069】
【表1】
【0070】
またサイズ検知部58は、後述するように、各センシング領域内のセルから出力された画像データをしきい値と比較し、比較結果をステータスレジスタにセットして制御部54に出力する。制御部54は各センシング領域毎に定めた前述のしきい値をサイズ検知部58に出力すると共に、サイズ検知部58に対し、ステータスレジスタの値をホールドさせたい場合にはレジスタホールド信号を、ステータスレジスタの値をリセットしたい場合にはレジスタリセット信号を各々出力する。
【0071】
次に図7のフローチャートを参照し、信号生成処理について説明する。なお、この信号生成処理は、プラテンガラス16上に載置された原稿のサイズの検出を行うために、制御部54がレジスタホールド信号によるステータスレジスタの値のホールドを解除し、更にレジスタリセット信号を出力するとサイズ検知部58で実行される。
【0072】
ステップ100では、センシング領域番号nに1を代入し、カウンタs及びカウンタvに0を代入すると共に、センシングエリア信号及びビデオサンプリング信号(共にサイズ検知部58内部の信号)のレベルをローレベル(「L」)にする等の初期化処理を行う。次のステップ102では、制御部54から入力されるライン同期信号のレベルがハイレベル(「H」)となったか否か判定し、判定が否定された場合には判定が肯定される迄待機する。
【0073】
CCDラインセンサ44は、各セルからの信号を、ビデオクロック信号に同期して、主走査方向に沿って第1のレジ位置側に対応する側の端部に位置しているセルから順に出力することを繰り返している。前述のライン同期信号は、第1のレジ位置に対応するセルから出力された信号がCCDドライバ56を介して画像データとしてサイズ検知部58に入力されるのと同期したタイミングでハイレベルとなり、第2のレジ位置に対応するセルから出力された信号がCCDドライバ56を介して画像データとしてサイズ検知部58に入力される迄の間は、図8に示すようにハイレベルに保持される。
【0074】
ライン同期信号のレベルが「H」になると、ステップ102の判定が肯定されてステップ104へ移行し、制御部54から入力されるビデオクロック信号が立ち上がる(ハイレベルとなる)迄待機する。次のステップ106ではカウンタvの値をカウントアップし、次のステップ108ではカウンタvの値がセンシングスタートポジションSn の値に等しくなったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ104に戻り、ステップ108の判定が肯定される迄ステップ104〜108を繰り返す。
【0075】
上記では、ライン同期信号のレベルが「H」になってからのビデオクロック信号のクロック数、すなわちサイズ検知部58に画像データとして入力された画素数をカウンタvによって保持しており、カウンタvの値をセンシングスタートポジションSn と比較することにより、センシング領域#nの画像データの入力が開始されたか否か判定している。
【0076】
ステップ108の判定が肯定されると、ステップ110ではセンシングエリア信号(図8参照)のレベルを「H」にし、次のステップ111ではカウンタvの値を変数v0 に代入し、ステップ112ではビデオクロック信号が立ち上がる迄待機する。ステップ114ではビデオサンプリング信号のレベルが「H」か否か判定する。この場合は判定は否定され、ステップ118でカウンタvの値をカウントアップし、ステップ120でカウンタvの値から変数v0 の値を減算した値が「34」(「34」は単一のセンシング領域を構成する画素(セル)数)となったか否か判定する。
【0077】
判定が否定された場合には、ステップ122へ移行してカウンタsの値をカウントアップし、ステップ124でカウンタsの値が「3」となったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ112へ戻り、ステップ112〜124を繰り返す。ステップ122の処理が3回実行されるとステップ124の判定が肯定され、ステップ126でビデオサンプリング信号(図8参照)のレベルを「H」にし、ステップ128でカウンタsの値を0に戻してステップ112へ戻る。この場合、ステップ112を経た後のステップ114で判定が肯定されるのでステップ116へ移行し、ビデオサンプリング信号のレベルを「L」とした後にステップ118へ移行する。
【0078】
上記により、センシング領域#n内の各セルからの画像データが入力されている間、すなわちステップ120の判定が否定されている間(センシングエリア信号のレベルが「H」の間)は、図8にも示すように、ビデオクロック信号の3周期が経過する毎に、次の1周期の間ビデオサンプリング信号のレベルが「H」とされることになる。
【0079】
ステップ120の判定が肯定されると、センシング領域#n内の各セルからの画像データの入力が完了したと判断し、ステップ130でセンシングエリア信号のレベルを「L」にし、次のステップ132でセンシング領域番号nが「8」か否か、すなわちセンシング領域#1〜#8の全ての領域の画像データが入力されたか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ134でセンシング領域番号nの値をカウントアップした後にステップ102へ戻り、ステップ102以降の処理を繰り返す。そして、ステップ132の判定が肯定されると処理を終了する。
【0080】
次に図9のフローチャートを参照し、サイズ検知部58において、先に説明した信号生成処理と並行して実行されるエリアセンシング処理について説明する。ステップ140では、センシング領域番号nに1を代入する等の初期化処理を行う。ステップ142ではビデオクロック信号が立ち上がる迄待機し、次のステップ144ではライン同期信号のレベルが「H」か否か判定する。この判定が否定された場合はステップ142へ戻り、ステップ144の判定が肯定される迄ステップ142、144を繰り返す。ステップ144の判定が肯定されると、ステップ146でセンシングエリア信号のレベルが「H」か否か判定する。判定が否定された場合にはステップ142へ戻り、ステップ146の判定が肯定される迄、ステップ142〜146を繰り返す。
【0081】
ステップ146の判定が肯定されるとステップ148へ移行し、ビデオサンプリング信号のレベルが「H」か否か判定する。判定が否定された場合には、ステプ150でビデオクロック信号が立ち上がる迄待機し、次のステップ152でセンシングエリア信号のレベルが「H」の状態が継続しているか否か判定する。ステップ152の判定が否定された場合にはステップ148へ戻る。ステップ148の判定が肯定されると、ステップ154でCCDドライバ56から入力された1画素分の画像データを取込み、メモリ等に記憶し、次のステップ156でビデオクロック信号が立ち上がる迄待機した後にステップ148へ戻る。
【0082】
前述したように、センシングエリア信号のレベルが「H」の間は、ビデオクロック信号の3周期が経過する毎に次の1周期の間ビデオサンプリング信号のレベルが「H」とされるので、上記では、単一のセンシング領域を構成する34個の画素のうち、図6にハッチングで示す▲1▼〜▲8▼の8個の画素のデータのみが取込まれて記憶されることになる。
【0083】
単一のセンシング領域からの画像データの取込みを完了すると、ステップ152の判定が否定されることによりステップ158へ移行し、先に説明した処理によりセンシング領域nから取込んで記憶した8個の画素のデータの平均値を演算する。次のステップ160では、ステップ158で演算した平均値が、制御部54から入力されたセンシング領域#nの判定のしきい値よりも大きいか否か判定する。
【0084】
ステップ160の判定が否定された場合には、センシング領域#n内の各セルの受光量の平均値がしきい値以下であるので、ステップ162でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、受光量が低い(すなわち「黒」である)ことを表す値(「1」)をセットしてステップ166へ移行する。またステップ160の判定が肯定された場合には、センシング領域#n内の各セルの受光量の平均値がしきい値よりも大きいので、ステップ164でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、受光量が高い(すなわち「白」である)ことを表す値(「0」)をセットしステップ166へ移行する。
【0085】
ステップ166ではセンシング領域番号nが「8」か否か、すなわちセンシング領域#1〜#8の全ての領域に対して上記処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ168でセンシング領域番号nの値をカウントアップした後にステップ142へ戻り、上述したステップ142以降の処理を繰り返す。
【0086】
また、ステップ166の判定が肯定されるとステップ170へ移行し、光センサ60から出力されている信号を取込む。次のステップ172では、光センサ60から取込んだ信号のレベルが予め定められたしきい値よりも大きいか否か判定する。
【0087】
上記判定が否定された場合には、光センサ60の受光量がしきい値以下であるので、ステップ174で光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに受光量が低い(すなわち「黒」である)ことを表す値(「1」)をセットして処理を終了する。また、ステップ172の判定が肯定された場合には、光センサ60の受光量がしきい値よりも大きいので、ステップ176で光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに受光量が高い(すなわち「白」である)ことを表す値(「0」)をセットして処理を終了する。
【0088】
上記により、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量がしきい値よりも大きいか否かに応じて、ステータスレジスタの各ビットに値が設定されることになる。
【0089】
次に、制御部54で実行される原稿サイズ判定処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。なお、この原稿サイズ判定処理は原稿の読取り等を行っていない待機状態で実行され、キャリッジ部材46、48はホームポジションに位置しており、CCDラインセンサ44のセンシングエリアも図5にハッチングで示す範囲に位置している。
【0090】
ステップ180では、アングルセンサ28がオフ状態(プラテンカバー24が全閉状態から所定角度以上開いている状態)か否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ182で原稿の複写の開始を指示するためのスタートボタンが押されたか否か判定する。ステップ182の判定も否定された場合にはステップ180へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄、ステップ180、182を繰り返す。
【0091】
ここで、スタートボタンが押されることによってステップ182の判定が肯定された場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されているか否か、及び原稿が載置されている場合の該原稿のサイズを正確に検知することは困難であるので、ステップ184で検知不能と判定して処理を終了する。この場合には、記録用紙のサイズの選択等はユーザにより行われることになる。
【0092】
一方、アングルセンサ28がオフ状態となることによりステップ180の判定が肯定された場合には、ステップ186でスタートボタンが押されたか否か判定し、判定が否定された場合にはステップ188でアングルセンサ28がオン状態となったか(プラテンカバー24が一旦開放位置へ移動された後に、全閉位置へ向けて回動されて閉じかけの状態となったか)否か判定する。この判定も否定された場合にはステップ186へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄、ステップ186、188を繰り返す。
【0093】
アングルセンサ28がオンとなることによりステップ188の判定が肯定された場合には、ステップ190でランプ34を点灯し、ステップ192ではランプ34の光量が安定化する迄所定時間(例えば20m秒)待機する。次のステップ194ではホールドレジスタを「1」にする。これにより、サイズ検知部58に対し、ステータスレジスタにセットされているデータのホールドの解除が指示されると共に、レジスタリセット信号が出力される。次のステップ196では、先に説明したエリアセンシング処理によりステータスレジスタにセットされたデータを読出し、更にステップ198でホールドレジスタを「0」にする。これによりレジスタホールド信号が出力され、ステータスレジスタにセットされているデータがホールドされる。
【0094】
次のステップ200では、ステータスレジスタの全ビットが「1」(「黒」)か否か判定する。上述したステップ190〜198の処理は、プラテンカバー24が閉じかけの状態、すなわち全閉状態となる前に行っており、ランプ34から射出されてプラテンクッション26の表面で反射された光はCCDラインセンサ44には殆ど入射されないので、プラテンガラス16上に原稿が載置されていなければ、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量はしきい値以下となり、ステータスレジスタの全ビットには「1」がセットされる。
【0095】
従って、ステップ200の判定が否定された場合、すなわちステータスレジスタの少なくとも何れかのビットが「0」の場合には、ステップ214へ移行してプラテンガラス16上に下地が白色又は白色に近い色の原稿が載置されている(白原稿有り)と判断し、次のステップ216でステータスレジスタの各ビットの値に基づいてプラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを判定し、処理を終了する。
【0096】
なお、このステップ216では、ステータスレジスタが表すセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果を、ステータスレジスタの対応するビットの値が「0」であれば「原稿有り」、「1」であれば「原稿無し」と置き換え、次の表2に従って原稿のサイズ及び向きを判定する。
【0097】
【表2】
【0098】
但し、表2において、「○」は「原稿有り」、「×」は「原稿無し」を表し、「−」は、通常は「原稿有り」であるが、「原稿無し」であっても判定結果を変更しない(すなわちDon’t Care)ことを表す。なお、表2ではセンシング領域#1の検出結果を原稿のサイズ及び向きの判定に用いていないが、センシング領域#1の検出結果は原稿がプラテンガラス16上に正しく載置されているか否か、すなわち原稿の4個の角部のうちの何れかが原稿合わせマーク20が付与されている箇所に位置しているプラテンガラス16の角部に対応し、かつ原稿の2辺がレジガイド板18の内側面に当接するようにプラテンガラス16上に載置されているか否かの確認に用いられる。
【0099】
上記では、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを移動させることなく原稿のサイズ及び向きの判定を行っているので、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを副走査方向に沿って移動させて原稿のサイズ及び向きを判定する場合と比較して、短時間で処理が完了する。
【0100】
一方、ステップ200の判定が肯定された場合、すなわちプラテンカバー24が閉じかけの状態で取り込んだステータスレジスタの全ビットが「1」であった場合は、プラテンガラス16上に原稿が載置されていないか、或いはプラテンガラス16上に下地が黒色の原稿が載置されている場合であるので、ステップ218へ移行してスタートボタンが押されたか否か判定する。ステップ218の判定が否定された場合には、ステップ220でプラテンインタロックセンサ30がオンしたか(プラテンカバー24が全閉状態となったか)否か判定する。この判定も否定された場合にはステップ218へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄ステップ218、220を繰り返す。
【0101】
ここで、プラテンカバー24が全閉状態となってプラテンインタロックセンサ30がオンする前にスタートボタンが押された場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されていないのか、プラテンガラス16上に下地が黒色の原稿が載置されているのかが判別できないので、本実施形態ではステップ234で原稿無しと判定して処理を終了する。なお、プラテンガラス16上に原稿が載置されていないのか、プラテンガラス16上に下地が黒色の原稿が載置されているのかが判別できない場合に、原稿無しと判断することに代えて、検知不能と判定するようにしてもよい。
【0102】
一方、プラテンカバー24が全閉状態となってプラテンインタロックセンサ30がオンした場合にはステップ222へ移行し、ステップ222〜226において、ステップ194〜198と同様にして、ステータスレジスタにセットされているデータを取込み、次のステップ228でステータスレジスタに値が「1」のビットが有るか否か判定する。
【0103】
このステップ228の判定が実行される場合は、プラテンカバー24が閉じかけの状態において、ステータスレジスタの全ビットが「1」であった場合であるので、プラテンガラス16上に下地が白色又は白色に近い色の原稿が載置されている可能性は除外できる。プラテンクッション26の表面は白色であるので、プラテンカバー24の全閉状態の場合、プラテンガラス16上に下地が黒色又は黒色に近い色の原稿が載置されていなければ、ステータスレジスタの全てのビットは「0」(白)となる。
【0104】
従って、ステップ228の判定が否定された場合には、ステップ234で原稿無しと判定して処理を終了するが、ステップ228の判定が否定された場合は、ステップ230へ移行してプラテンガラス16上に下地が黒色又は黒色に近い色の原稿が載置されている(黒原稿有り)と判断し、次のステップ232でステータスレジスタの各ビットの値に基づいて、プラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを判定して処理を終了する。なお、このステップ232では、ステータスレジスタが表すセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果を、ステータスレジスタの対応するビットの値が「0」であれば「原稿無し」、「1」であれば「原稿有り」と置き換え、先の表2に従って原稿のサイズ及び向きを判定する。
【0105】
一方、アングルセンサ28がオンとなる前に(プラテンカバー24が開状態のままで)スタートボタンが押された場合には、ステップ186の判定が肯定されてステップ202へ移行し、ステップ202〜210で先のステップ190〜198と同一の処理を行い、ステップ212でステータスレジスタの全ビットが「1」か否か判定する。プラテンカバー24が開状態の場合にも、先に説明した閉じかけの場合と同様に、プラテンガラス16上に原稿が載置されていなければ、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量はしきい値以下となり、ステータスレジスタの全ビットには「1」がセットされる。
【0106】
このため、ステップ212の判定が否定された場合には、ステップ214へ移行して「白原稿有り」と判定し、ステップ216で前述の原稿のサイズ及び向きの判定を行う。また、ステップ212の判定が肯定された場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されていないのか、プラテンガラス16上に下地が黒色の原稿が載置されているのかが判別できないので、ステップ234で原稿無しと判定して処理を終了する。
【0107】
上記処理における原稿の有無の判断をまとめると、次の表3のようになる。
【0108】
【表3】
【0109】
以上説明したように、本第1実施形態では、CCDラインセンサ44により原稿のサイズ及び向きを判定しているので、原稿のサイズ及び向きを検出するために多数のセンサを新たに設ける必要はない。また、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを移動させることなく原稿のサイズ及び向きを判定しているので、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを副走査方向に沿って走査させて原稿のサイズ及び向きを判定するプレスキャンを行う場合と比較して、短時間で処理が完了する。
【0110】
また、プラテンカバー24が閉じかけの状態でセンシングを行ってセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果が全て「黒」であった場合には、更にプラテンカバー24が全閉状態となったときにもセンシングを行って原稿の有無を判断しているので、プラテンガラス16上に下地が黒色又は黒色に近い色の原稿が載置されたとしても、該原稿の向き及びサイズを正確に検出することができる。
【0111】
更に、CCDラインセンサ44の全てのセルから出力される信号を用いて原稿のサイズを判断する場合には、各セルから出力された信号のレベル等を記憶するために大容量のメモリ等が必要となることも考えられるが、上記では、センシング領域#1〜#8内の各セルから出力される信号のみを用いるので、大容量のメモリ等を設ける必要もない。
【0112】
また、上記ではサイズ検知部58に対し、センシング領域の位置として制御部54からセンシング開始位置が入力される構成であるので、検出すべき原稿のサイズの変更に伴ってセンシング領域の位置を変更したい場合にも、制御部54からサイズ検知部58に入力されるセンシング開始位置を変更することによりセンシング領域の位置の変更を容易に実現できる。従って、検出すべき原稿のサイズを変更する場合にも、センサの位置を変更したりプレスキャンを行ったりする必要はない。
【0113】
なお、本第1実施形態では、プラテンカバー24の閉じかけ状態でセンシングを行ってセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果の何れかが「白」であった場合には、「白原稿有り」と判断して原稿のサイズ及び向きを判定していたが、更にプラテンカバー24の全閉状態においてもセンシングを行って原稿のサイズ及び向きの判定を行うようにしてもよい。この場合、通常は有り得ないが、閉じかけ状態でのセンシングでセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果の何れかが「白」となり、かつ全閉状態でのセンシングでセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果の何れかが「黒」となることも論理的には有り得ることになるが、上記のような場合には、原稿に記録されている画像により「白」又は「黒」が検出され、かつプラテンカバー24が閉じかけ状態から全閉状態となる間に原稿の載置位置がずれた等の状況が考えられるので、原稿有りと判定することが望ましい。
【0114】
さて、ここで請求項1又は請求項2に記載の発明に係る作用を説明する。前述した図10の原稿サイズ判定処理を実行する前に、オペレータは、該原稿サイズ判定処理で使用されるしきい値として閉じかけ状態と閉じた状態とで共通のしきい値を使用する「共通モード」か、異なるしきい値を使用する「分離モード」かを選択し設定するためのモード設定処理の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図11に示すモード設定処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。
【0115】
なお、「共通モード」時に使用する共通用しきい値データth0、「分離モード」時に使用する閉じかけ状態用しきい値データth1及び閉じた状態用しきい値データth2は、制御部54のマイコン内のROMに予め記憶されている。このうち共通用しきい値データth0は「127」に設定されており、閉じかけ状態用しきい値データth1は「127」よりも白寄りに、閉じた状態用しきい値データth2は「127」よりも黒寄りに、それぞれ設定されている。
【0116】
まず図11のステップ252では「共通モードを使用しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させる。この表示を見たオペレータは、「共通モード」を使用したい場合には、キーボード64に設けられたYesキー64Aを押し、「分離モード」を使用したい場合にはNoキー64Bを押す。
【0117】
オペレータがYesキー64A又はNoキー64Bを押すと、次のステップ254で肯定判定されステップ256へ進み、押されたキーがYesキー64Aであるか否かを判定する。オペレータによってYesキー64Aが押されていた場合はステップ266へ進み、しきい値データを予め定めた共通用しきい値データth0に書き換えて処理を終了する。
【0118】
一方、オペレータによってNoキー64Bが押されていた場合はステップ256で否定判定されステップ258へ進み、「分離モードを使用しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させる。この表示を見たオペレータは、「分離モード」を使用したい場合には、キーボード64に設けられたYesキー64Aを押し、再考した結果「共通モード」を使用した方が良いと考えた場合にはNoキー64Bを押す。
【0119】
オペレータがYesキー64A又はNoキー64Bを押すと、次のステップ260で肯定判定されステップ262へ進み、押されたキーがYesキー64Aであるか否かを判定する。オペレータによってNoキー64Bが押されていた場合はステップ252へ戻り、一方、Yesキー64Aが押されていた場合はステップ264へ進み、図12に示す分離モード用しきい値設定処理を起動して処理を終了する。
【0120】
上記で起動された図12の分離モード用しきい値設定処理は、以後継続して実行され、図10の原稿サイズ判定処理の実行時も該原稿サイズ判定処理と並行して実行される。
【0121】
このような分離モード用しきい値設定処理では、図12のステップ272でプラテンカバー24の状態に変化が有ったか否かを、アングルセンサ28のオンオフ状態及びプラテンインタロックセンサ30のオンオフ状態に基づいて監視しており、プラテンカバー24の状態に変化が有った場合のみステップ274へ進み、プラテンカバー24が閉じかけ状態であるか否かを判定する。プラテンカバー24が閉じかけ状態である場合、ステップ280へ進み、しきい値データを予め定めた閉じかけ状態用しきい値データth1に書き換える。
【0122】
一方、プラテンカバー24が閉じかけ状態でない場合、ステップ276へ進み、プラテンカバー24が閉じた状態であるか否かを判定する。プラテンカバー24が閉じた状態である場合、ステップ278へ進み、しきい値データを予め定めた閉じた状態用しきい値データth2に書き換える。一方、プラテンカバー24が閉じかけ状態でも閉じた状態でもない場合、ステップ272へ戻る。
【0123】
以上説明した図11の処理によって、オペレータが所望のモードを設定することができ、分離モードが設定された場合には図12の処理によって、プラテンカバー24の状態に応じてしきい値データが自動的に閉じかけ状態用しきい値データth1又は閉じた状態用しきい値データth2に書き換えられる。そして、書き換えられたしきい値は前述したエリアセンシング処理(図9)のステップ160で使用される。
【0124】
前述したように閉じかけ状態用しきい値データth1は標準値「127」よりも白寄りに、閉じた状態用しきい値データth2は標準値「127」よりも黒寄りに、それぞれ設定されているので、エリアセンシング処理において外光の影響で誤った白黒判定が行われることを防止することができ、原稿サイズを正確に判断することができる。
【0125】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は請求項3記載の発明に対応しており、ここでは原稿がプラテンガラス16上に載置されていない状態における各センシング領域の画像データから閉じかけ状態用しきい値thA及び閉じた状態用しきい値thBを算出する実施形態を説明する。
【0126】
なお、本第2実施形態は第1形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第2実施形態の作用について説明する。
【0127】
本第2実施形態では、前述した図10の原稿サイズ判定処理を実行する前に、オペレータは、該原稿サイズ判定処理で使用されるしきい値を設定するためのしきい値設定処理の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図13に示すしきい値設定処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。
まず図13のステップ302では「プラテンカバーを閉じかけにしてスタートボタンを押して下さい」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ304ではプラテンカバー24の閉じかけ状態でスタートボタン66が押されるのを監視する。
【0128】
オペレータによってプラテンカバー24の閉じかけ状態でスタートボタン66が押されると、ステップ306へ進み、図14に示す閉じかけ状態用しきい値の算出処理のサブルーチンを実行する。
【0129】
図14のステップ322では各センシング領域の画像データを読み取り、次のステップ324では該読み取った各センシング領域の画像データの平均値DAVE を算出する。そして、次のステップ326では閉じかけ状態用しきい値thAを以下の式(1)に基づいて算出し、算出した値を記憶してリターンする。
thA=(DAVE +255)/2 ・・・(1)
上記の閉じかけ状態用しきい値の算出処理によって、図16に示すように、通常のしきい値「127」よりも白寄りの値(矢印A2に示す値)が閉じかけ状態用しきい値thAとして算出される。
【0130】
図13のメインルーチンにおける次のステップ308では「プラテンカバーを閉じてスタートボタンを押して下さい」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ310ではプラテンカバー24の閉じた状態でスタートボタン66が押されるのを監視する。
【0131】
オペレータによってプラテンカバー24の閉じた状態でスタートボタン66が押されると、ステップ312へ進み、図15に示す閉じた状態用しきい値の算出処理のサブルーチンを実行する。
【0132】
図15のステップ332では各センシング領域の画像データを読み取り、次のステップ334では該読み取った各センシング領域の画像データの平均値DAVE を算出する。そして、次のステップ336では閉じた状態用しきい値thBを以下の式(2)に基づいて算出し、算出した値を記憶してリターンする。
thB=(DAVE +0)/2 ・・・(2)
上記の閉じた状態用しきい値の算出処理によって、図17に示すように、通常のしきい値「127」よりも黒寄りの値(矢印B2に示す値)が閉じた状態用しきい値thBとして算出される。
【0133】
図13のメインルーチンにおける次のステップ314では、第1実施形態と同様の図12に示す分離モード用しきい値設定処理を起動して処理を終了する。
【0134】
以上説明した図13〜15のしきい値設定処理によって、原稿をプラテンガラス16上に載置しない状態での各センシング領域の画像データに基づいて、閉じかけ状態用しきい値thA及び閉じた状態用しきい値thBを自動的に算出することができる。また、上記ステップ314で起動された分離モード用しきい値設定処理(図12)において、プラテンカバー24の状態に応じてしきい値データが自動的に閉じかけ状態用しきい値thA又は閉じた状態用しきい値thBに書き換えられ、前述したエリアセンシング処理(図9)のステップ160で使用される。
【0135】
なお、上記実施形態では、各センシング領域の画像データの平均値DAVE を算出し、該平均値DAVE を用いて閉じかけ状態用しきい値thA又は閉じた状態用しきい値thBを算出していたが、例えば、各センシング領域の画像データの最大値DMAX を平均値DAVE に代わって上記式(1)、(2)に代入することによって閉じかけ状態用しきい値thA又は閉じた状態用しきい値thBを算出しても良い。この場合、図16に矢印A1で示す値が閉じかけ状態用しきい値thAとして、図17に矢印B1で示す値が閉じた状態用しきい値thBとして、それぞれ算出される。
【0136】
また、同様に各センシング領域の画像データの最小値DMIN を平均値DAVE に代わって上記式(1)、(2)に代入することによって閉じかけ状態用しきい値thA又は閉じた状態用しきい値thBを算出しても良い。この場合、図16に矢印A3で示す値が閉じかけ状態用しきい値thAとして、図17に矢印B3で示す値が閉じた状態用しきい値thBとして、それぞれ算出される。
【0137】
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は請求項4記載の発明に対応しており、ここでは原稿がプラテンガラス16上に載置されていない状態における各センシング領域の画像データから、各センシング領域毎に閉じかけ状態用しきい値thAn及び閉じた状態用しきい値thBnを算出する実施形態を説明する。
【0138】
なお、本第3実施形態は第1形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第3実施形態の作用について説明する。
【0139】
本第3実施形態では、閉じかけ状態用しきい値の算出処理及び閉じた状態用しきい値の算出処理の各サブルーチンのみが前述した第2実施形態と異なるため、それらの処理について説明する。
【0140】
図18に示す閉じかけ状態用しきい値の算出処理では、ステップ342で一のセンシング領域の画像データDnを読み取り、次のステップ344では、該読み取った画像データDnを以下の式(3)に適用することにより該一のセンシング領域についての閉じかけ状態用しきい値thAnを算出する。
thAn=(Dn+255)/2 ・・・(3)
そして、上記ステップ342、344の処理を全てのセンシング領域について実行し、完了した時点でリターンする。
【0141】
上記の閉じかけ状態用しきい値の算出処理によって、図20に◎で示すように、通常のしきい値「127」よりも白寄りの値が各センシング領域毎の閉じかけ状態用しきい値thAnとして算出される。
【0142】
図19に示す閉じた状態用しきい値の算出処理では、ステップ352で一のセンシング領域の画像データDnを読み取り、次のステップ354では、該読み取った画像データDnを以下の式(4)に適用することにより該一のセンシング領域についての閉じた状態用しきい値thBnを算出する。
thBn=(Dn+0)/2 ・・・(4)
そして、上記ステップ352、354の処理を全てのセンシング領域について実行し、完了した時点でリターンする。
【0143】
上記の閉じた状態用しきい値の算出処理によって、図21に◎で示すように、通常のしきい値「127」よりも黒寄りの値が各センシング領域毎の閉じかけ状態用しきい値thBnとして算出される。
【0144】
このように各センシング領域毎に、その画像データに基づいて閉じた状態用しきい値thAn及び閉じかけ状態用しきい値thBnを算出するので、各センシング領域毎の環境の要因による影響をより厳密に反映した上で、より適切なしきい値を設定することができる。
【0145】
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は請求項5記載の発明に対応しており、ここでは原稿がプラテンガラス16上に載置されていない状態における各センシング領域の画像データ及びその最大値、最小値から、各センシング領域毎に閉じかけ状態用しきい値thAn及び閉じた状態用しきい値thBnを算出する実施形態を説明する。
【0146】
なお、本第4実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第4実施形態の作用について説明する。
【0147】
本第4実施形態では、閉じかけ状態用しきい値の算出処理及び閉じた状態用しきい値の算出処理の各サブルーチンのみが前述した第2実施形態と異なるため、それらの処理について説明する。
【0148】
図22に示す閉じかけ状態用しきい値の算出処理では、ステップ362で各センシング領域の画像データを読み取り、次のステップ364では、該読み取った画像データのうちの最大値をDmax とし、最小値をDmin とする。次のステップ366では、一のセンシング領域の画像データDn、上記最大値Dmax 及び最小値Dmin を以下の式(5)に適用することにより該一のセンシング領域についての閉じかけ状態用しきい値thAnを算出し記憶する。
thAn=(Dn+255)/2+(Dmax −Dmin ) ・・・(5)
そして、上記ステップ366の処理を全てのセンシング領域について実行し、完了した時点でリターンする。
【0149】
上記の閉じかけ状態用しきい値の算出処理によって、図24に◎で示すように、各センシング領域の画像データDnに基づく値(即ち、(Dn+255)/2)に上記最大値Dmax と最小値Dmin との差を加算した値が、各センシング領域毎の閉じかけ状態用しきい値thAnとして算出される。
【0150】
図23に示す閉じた状態用しきい値の算出処理では、ステップ372で各センシング領域の画像データを読み取り、次のステップ374では、該読み取った画像データのうちの最大値をDmax とし、最小値をDmin とする。次のステップ376では、一のセンシング領域の画像データDn、上記最大値Dmax 及び最小値Dmin を以下の式(6)に適用することにより該一のセンシング領域についての閉じた状態用しきい値thBnを算出し記憶する。
thBn=(Dn+0)/2−(Dmax −Dmin ) ・・・(6)
そして、上記ステップ376の処理を全てのセンシング領域について実行し、完了した時点でリターンする。
【0151】
上記の閉じた状態用しきい値の算出処理によって、図25に◎で示すように、各センシング領域の画像データDnに基づく値(即ち、(Dn+0)/2)に上記最大値Dmax と最小値Dmin との差を減算した値が、各センシング領域毎の閉じかけ状態用しきい値thBnとして算出される。
【0152】
このように各センシング領域毎の画像データに基づく値(例えば、(Dn+255)/2等)に、画像データの最大値Dmax と最小値Dmin との差を加味した上で、閉じた状態用しきい値thAn及び閉じかけ状態用しきい値thBnを算出するので、画像読取装置10への外光の最大影響分を考慮した上で各センシング領域毎に適切なしきい値を設定することができる。
【0153】
〔第5実施形態〕
次に本発明の第5実施形態について説明する。この第5実施形態は請求項6又は請求項7に記載の発明に対応しており、ここではユーザ(オペレータ)がキーボード64によって所望のしきい値及び該しきい値の有効時間帯を入力可能とされた実施形態を説明する。
【0154】
なお、本第5実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第5実施形態の作用について説明する。
【0155】
本第5実施形態では、オペレータはまず、ユーザしきい値設定処理の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図26に示すユーザしきい値設定処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。
【0156】
まず図26のステップ402では「しきい値を変更して下さい」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ404で、変更されたしきい値の入力待ちに入る。
【0157】
オペレータにより所望のしきい値(以下、ユーザしきい値と称す)が入力されると、ステップ406へ進み「原稿をセットしてスタートボタンを押して下さい」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ408でスタートボタン66の操作待ちに入る。
【0158】
そして、オペレータがプラテンカバー24を開いて原稿をセットし、プラテンカバー24を閉じてスタートボタン66を押す。この動作に並行して、上記入力したユーザしきい値を使用して、前記セットした原稿を対象として図9のエリアセンシング処理及び図10の原稿サイズ判定処理が実行され、原稿サイズが求められる。
【0159】
スタートボタン66が押されたことにより、ステップ408で肯定判定されステップ410へ進み「原稿サイズはxxです。しきい値をセーブしてよろしいですか、yorn?」というメッセージをディスプレイ62に表示させる。なお、上記メッセージ内のxxには、上記求められた原稿サイズ(例えば、A4やB4等)が入る。そして、次のステップ412ではnボタンが押されたか否かを判定する。
【0160】
入力されたしきい値が適切な値でないため、原稿サイズが本来とは異なるサイズであると誤って判断された場合、オペレータはnボタンを押す。この場合、ステップ412で肯定判定されステップ402へ戻り、再度しきい値の入力を促すメッセージをディスプレイ62に表示させる。一方、オペレータによりnボタン以外のボタンが押された場合はステップ414へ進み、yボタンが押されたか否かを判定する。
【0161】
入力されたしきい値が適切な値であったため、原稿サイズが正しく判断された場合、オペレータはyボタンを押す。この場合、ステップ414で肯定判定され処理を終了する。
【0162】
これにより、ユーザしきい値として、上記原稿サイズを正しく判断できるような適切な値が設定されることになる。
【0163】
以上のようにして適切なユーザしきい値を設定した後、オペレータは該ユーザしきい値を使用する(有効とする)時間帯を設定するためのユーザしきい値使用時間帯設定処理の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図27に示すユーザしきい値使用時間帯設定処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。
【0164】
図27のステップ422では「ユーザしきい値を常時使用しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、その応答(yかnか)を判定する。ここでyの応答であった場合は、ユーザしきい値を常時使用すると判断できるので、後述するステップ436へ進む。
【0165】
一方、ステップ422でnの応答であった場合はステップ424へ進み「タイマーを使用しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、その応答(yかnか)を判定する。ここでnの応答であった場合は、後述するステップ436へ進む。
【0166】
一方、ステップ424でyの応答であった場合はステップ426へ進み「タイマーを設定しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、その応答(yかnか)を判定する。ここでnの応答であった場合は、後述するステップ436へ進む。
【0167】
一方、ステップ426でyの応答であった場合はステップ428へ進み「使用開始時刻を入力して下さい?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ430で使用開始時刻の入力待ちに入る。
【0168】
オペレータにより使用開始時刻T1が入力されると、ステップ432へ進み「使用終了時刻を入力して下さい?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ434で使用終了時刻の入力待ちに入る。
【0169】
オペレータにより使用終了時刻T2が入力されると、ステップ436へ進み「使用時間帯設定処理を終了しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、その応答(yかnか)を判定する。ここでnの応答であった場合はステップ422へ戻り、yの応答であった場合は処理を終了する。
【0170】
これにより、使用開始時刻T1及び使用終了時刻T2が記憶され、それらの間の時間帯(T1〜T2)がユーザしきい値使用時間帯として設定される。
【0171】
以上説明したユーザしきい値設定処理(図26)やユーザしきい値使用時間帯設定処理(図27)を実行した後に、オペレータは、ユーザしきい値が上記設定した使用時間帯に有効となるように、該ユーザしきい値をデフォルトのしきい値(以下、固定値と称す)と置換するためのユーザしきい値置換処理(図28)の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図28に示すユーザしきい値置換処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。なお、このユーザしきい値置換処理は、継続して実行され、図10の原稿サイズ判定処理の実行時も該原稿サイズ判定処理と並行して実行される。
【0172】
図28のステップ442ではタイマを使用する設定になっているか否かを判定し、タイマを使用する設定になっていない場合はステップ444へ進み、ユーザしきい値を常時使用する設定になっているか否かを判定する。ここで、常時使用する設定になっている場合にはステップ446へ進み、しきい値を固定値からユーザしきい値に置換する。
【0173】
一方、ステップ442でタイマを使用する設定になっている場合はステップ448へ進み、現在の時刻が使用開始時刻T1になったか否かをタイマを用いて判定する。現在の時刻が使用開始時刻T1になった時点でステップ448で肯定判定されステップ454へ進み、しきい値を固定値からユーザしきい値に置換する。
【0174】
一方、現在の時刻が使用開始時刻T1でない場合はステップ450へ進み、現在の時刻が使用終了時刻T2になったか否かをタイマを用いて判定する。現在の時刻が使用終了時刻T2になった時点でステップ450で肯定判定されステップ452へ進み、しきい値をユーザしきい値から固定値に置換する(戻す)。
【0175】
なお、現在の時刻が使用開始時刻T1でも使用終了時刻T2でもない場合はステップ442へ戻り処理を繰り返す。
【0176】
上記のユーザしきい値置換処理により、常時使用する設定になっている場合には直ちにユーザしきい値がしきい値として設定される。また、タイマを使用する設定になっている場合には、使用開始時刻T1から使用終了時刻T2の間だけ、ユーザしきい値がしきい値として設定される。
【0177】
このように本第5実施形態によれば、しきい値を所望の値に設定すること及び所望の時間帯に有効とすることができるので、画像読取装置10が例えば、蛍光灯の真下や、太陽光が差し込む窓際等に設置された場合でも、しきい値やそれを有効とする時間帯を適宜設定することにより、設置環境や時間による環境変化に適切に対応することができ、原稿サイズの誤検知を未然に防止することができる。
【0178】
なお、上記第1〜第5実施形態では、原稿の画像を読取るために設けられたCCDラインセンサ44を用いて原稿のサイズの判定も行うようにしていたが、これに限定されるものではなく、原稿の画像を読取ることなく、原稿を反射した光を感光体ドラムに直接照射することにより原稿の画像を記録用紙に記録する画像記録装置において、本発明に係る画像読取装置を、原稿のサイズを判定するのみの目的で設けてもよい。
【0179】
また、上記第1〜第5実施形態では光電変換器としてCCDラインセンサ44を適用した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、MOS型イメージセンサ等の公知の各種光電変換器を適用可能である。また、上記では透明部材としてプラテンガラス16を例に説明したが、ガラス以外に合成樹脂等の他の材料を用いて透明部材を構成することも可能である。
【0180】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、装置が設置された環境の要因(外光等)を考慮して正確に求められた、遮蔽前代表値についての比較結果と遮蔽後代表値についての比較結果との組合せに基づいて原稿のサイズを判断するので、環境の要因に影響されることなく原稿のサイズを正確に判定することができる、という効果が得られる。
【0181】
また、原稿に記録されている画像を読み取るために設けられた光電変換素子を用いて上記のようにして原稿のサイズを判断するので、原稿のサイズ検出専用に多数のセンサを設ける必要はなく、装置の構成を簡単にすることができる、という効果も得られる。また、原稿サイズ検出のためのプリスキャンも必要としないため、プリスキャンが画像読取装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題を解消することができる、という効果も得られる。
【0182】
また、請求項2記載の発明によれば、外光の影響分を加味した第1のしきい値を設定することができ、(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を小さくした上で正確に行うことができる、という効果が得られる。なお、第2のしきい値についても、外光の影響分を加味した値を設定することができ、環境の要因による影響を小さくした上で正確な比較を行うことができる。
【0183】
また、請求項3記載の発明によれば、各小領域における外光の影響分を加味した適切な第1のしきい値を各小領域毎に設定することができ、(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と各小領域毎の第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる、という効果が得られる。なお、第2のしきい値についても、各小領域における外光の影響分を加味した適切な値を各小領域毎に設定することができ、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確な比較を行うことができる。
【0184】
また、請求項4記載の発明によれば、各小領域における外光による最大影響分を加味したより適切な第1のしきい値を各小領域毎に設定することができ、(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と各小領域毎の第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる、という効果が得られる。なお、第2のしきい値についても、各小領域における外光による最大影響分を加味したより適切な値を各小領域毎に設定することができ、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確な比較を行うことができる。
【0185】
また、請求項5記載の発明によれば、画像読取装置が例えば、蛍光灯の真下や、太陽光が差し込む窓際等に設置された場合でも、ユーザがしきい値変更手段によって第1のしきい値や第2のしきい値を所望の値に変更することにより、原稿サイズの誤検知を防止することができる、という効果が得られる。
【0186】
また、請求項6記載の発明によれば、画像読取装置が窓際に設置され特定の時間帯(例えば、西日が差し込む夕方等)に外光による影響がありうる場合に、ユーザは有効時間帯設定手段によって第1のしきい値を有効とする時間帯や、第2のしきい値を有効とする時間帯を所望の時間帯に設定することができるので、所望の時間帯に、変更した第1のしきい値や第2のしきい値を有効とし、時間による環境の変化に適切に対応することができる、という効果が得られる。
【0187】
更に、請求項7記載の発明によれば、透明部材の遮蔽時に該透明部材に対向する面が白色とされているので、裏写りによる画質への影響を無くすことができ、正確に原稿のサイズを判断することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る画像読取装置の外観を示す斜視図である。
【図2】(A)はプラテンカバーが起立している状態、(B)はプラテンカバーが起立状態から所定角度以上回動され、アングルセンサがオンされた状態を各々示す画像読取装置の側面図である。
【図3】画像読取装置の筐体内に配設された光学系の概略構成を示す断面図である。
【図4】画像読取装置の制御部及びその周辺の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】プラテンガラス上におけるセンシングエリアを示す平面図である。
【図6】CCDラインセンサの受光部上に設定された、原稿のサイズ検出の際のセンシング領域を示す概念図である。
【図7】サイズ検知部で実行される信号生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】ライン同期信号、ビデオクロック信号、センシングエリア信号、画像データ及びビデオサンプリング信号の関係を示すタイミングチャートである。
【図9】サイズ検知部で実行されるエリアセンシング処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】制御部で実行される原稿サイズ判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】第1実施形態におけるモード設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】第1実施形態における分離モード用しきい値設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】第2、第3、第4実施形態におけるしきい値設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】第2実施形態における閉じかけ状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】第2実施形態における閉じた状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】第2実施形態における閉じかけ状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図17】第2実施形態における閉じた状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図18】第3実施形態における閉じかけ状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】第3実施形態における閉じた状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】第3実施形態における閉じかけ状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図21】第3実施形態における閉じた状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図22】第4実施形態における閉じかけ状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】第4実施形態における閉じた状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】第4実施形態における閉じかけ状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図25】第4実施形態における閉じた状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図26】第5実施形態におけるユーザしきい値設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図27】第5実施形態におけるユーザしきい値使用時間帯設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図28】第5実施形態におけるユーザしきい値置換処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 画像読取装置
16 プラテンガラス(透明部材)
24 プラテンカバー(カバー)
28 アングルセンサ
30 プラテンインタロックセンサ
44 CCDラインセンサ
54 制御部
58 サイズ検知部
60 光センサ
62 ディスプレイ
64 キーボード
【発明の属する技術分野】
本発明は画像読取装置に係り、特に、プラテンガラス等の板状の透明部材上に載置された原稿に記録されている画像を読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、複写機において、プラテンガラス上に載置された原稿のサイズを検出し、検出結果に基づいて原稿に記録されている画像を複写する用紙のサイズや複写倍率等を自動的に決定する技術が知られている。プラテンガラス上に載置された原稿のサイズを検出するための最も一般的な方法は、特開昭61−20936号公報に記載されているように、プラテンガラスの下方にサイズ検出のための光センサを1個以上配設し、光センサ配設位置における原稿の有無を光センサにより検出し、光センサによる検出結果に基づいて原稿のサイズを判断する方法である。
【0003】
しかし、上述したサイズ検出方法では、各種サイズの原稿に対応して、プラテンガラス下方の互いに異なる箇所に光センサを各々配設する必要があり、現実にはプラテンガラス上に載置可能な多数種類の原稿サイズに対応して多数の光センサが必要となるので、構成が複雑になるという問題がある。
【0004】
また、原稿に記録されている画像をデジタルの画像データに変換した後に、該画像データに基づいて用紙に画像を記録(複写)する複写機(所謂デジタル複写機)やファクシミリ装置等では、ライン状に配列されたCCD等の多数の光電変換素子を備え、この光電変換素子により原稿を走査することにより原稿の画像を読み取る構成であることが一般的である。このため、この種の装置において、画像読取前に光電変換素子により原稿を走査し(所謂プレスキャン)、光電変換素子から出力される信号に基づいて原稿のサイズを検出するようにしたものも見受けられる。
【0005】
上記の検出方法では、画像を読み取るために設けられた光電変換素子により原稿のサイズの検出も行うので、プラテンガラス上に載置される原稿サイズの種類数に応じて新たに多数のセンサを設ける必要はないが、原稿が載置される毎にプレスキャンを行う必要があるので、プレスキャンが装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題があった。
【0006】
ところで、プラテンガラス上の原稿のサイズ検出は、プラテンカバーが閉じられたときに、プラテンガラス上に原稿が載置されたものとみなして行うことが一般的であるが、プラテンカバーの裏面は通常は白色であるので、載置された原稿の下地が白色、すなわち原稿の光反射率がプラテンカバーの裏面の光反射率に近い場合には、原稿のサイズを光学的に検出することが困難になる。
【0007】
このため、原稿のサイズ検出の確実性を向上させるために、プラテンカバーの裏面に光反射率の低い面を形成したり、プラテンカバーの裏面を白以外の色とすることが提案されている(特公昭62−47026号公報参照)。
【0008】
しかし、プラテンカバーの裏面の光反射率を下地が白色の原稿の光透過率に対して明らかに低下させたとすると(例えばプラテンカバーの裏面を灰色、黒色、或いは鏡面とする)、原稿のサイズ検出は容易になるものの、複写した画像の背景部分の濃度が全体的に高くなる、所謂裏写りが生ずる。この裏写りは、特にトレーシングペーパ等のように厚みが薄く光透過率が比較的高い用紙に記録された画像を複写する等の場合に顕著となる。
【0009】
また、プラテンカバーの裏面の光反射率を下地が白色の原稿の光透過率よりも大幅に低下させた場合、デジタル複写機において、プラテンカバーが閉止されて原稿の読取りが行われると、プラテンガラス上の原稿が載置されていない部分は高濃度(例えば黒色)と認識されることになり、原稿を読取ることによって得られた画像データに基づいて単に用紙への画像の複写を行ったとすると、複写画像中の前記原稿が載置されていない部分に相当する部分が例えば黒ベタとなるので好ましくない。
【0010】
これを回避するためには、例えばプレスキャンを行って原稿のサイズを検知した後に、検知した原稿のサイズに基づいてプラテンガラス上の原稿が載置されていない部分を判断し、原稿の読取時に光電変換器から出力される信号のうち、前記原稿が載置されていない部分に対応して出力される信号に電気的にマスクをかけたり、或いは前記原稿が載置されていない部分が画像データ上で濃度が0(白色)となるように、光電変換器から出力された信号を画像データに変換する際の入出力特性を自動的に変更する等の処理を行う必要があり、構成が複雑になるという問題があった。
【0011】
さらに、従来のデジタル方式の画像読取装置において、CCDイメージセンサを用いて原稿サイズを検出する原稿サイズ検出方法が提案されている(特開昭62−76962号公報、特開平5−207239号公報参照)。
【0012】
しかしながら、この方式では、プラテンカバー閉じかけ時の検出時や開けたままでの読み取り動作での検出時に、画像読取装置が設置された環境の要因、例えば蛍光灯の下や窓際等に設置された場合における外光の影響によって原稿サイズを誤検知してしまう虞れがあった。
【0013】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、簡単な構成でかつ短時間で原稿のサイズを検知できる画像読取装置を提供することを第1の目的とし、装置が設置された環境の要因に影響されることなく原稿のサイズを正確に検知できる画像読取装置を提供することを第2の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記第1及び第2の目的を達成するために、請求項1記載の画像読取装置は、光電変換素子を多数備えた光電変換器によって板状の透明部材上に載置された原稿を光学的に走査して、前記原稿に記録されている画像を読み取る画像読取装置であって、前記透明部材を遮蔽する遮蔽位置及び透明部材が露出する露出位置に移動可能なカバーと、前記透明部材上の略一定の位置各々に載置されるサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨がるエリアに対応する複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報の代表値を算出する代表値算出手段と、前記カバーにより透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値と第1のしきい値とを比較すると共に、前記カバーにより透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値と、前記第1のしきい値と異なる第2のしきい値とを比較する比較手段と、各小領域毎の前記比較手段による比較結果の組合せに基づいて、透明部材上に載置された原稿のサイズを判断するサイズ判断手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
この請求項1記載の画像読取装置では、通常、原稿に記録されている画像を読み取る際に、該原稿を透明部材上に載置し、カバーを露出位置から遮蔽位置へ移動させた後、所定の開始指示(例えば、スタートボタン操作等)を行うことにより、画像読取を開始する。
【0016】
なお、請求項1記載の発明では、透明部材上の略一定の位置各々に載置されるサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨がるエリアに対応して複数の小領域が予め定められている。
【0017】
本請求項1記載の画像読取装置では、代表値算出手段によって、複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報の代表値を算出することができる。即ち、画像読取時において、代表値算出手段は、カバーにより透明部材が遮蔽される前に各小領域内の画像情報の代表値(以下、遮蔽前代表値と称す)を算出し、カバーにより透明部材が遮蔽されるようになった後で各小領域内の画像情報の代表値(以下、遮蔽後代表値と称す)を算出する。
【0018】
そして、比較手段は、上記算出した遮蔽前代表値と第1のしきい値とを比較すると共に、遮蔽後代表値と第2のしきい値とを比較する。
【0019】
ところで、カバーにより透明部材が遮蔽される前では、原稿以外の部分は黒くなるのが一般的であるが、外光の影響によって少し白っぽくなることがある。よって、上記比較手段による比較において、第1のしきい値を通常の値にしておくと、本来原稿以外の部分で黒と判定されるべきところを誤って白と判定される虞れがある。そこで、第1のしきい値は、上記の事態を回避するべく、少し白寄りに設定することが望ましい。
【0020】
同様に、カバーにより透明部材が遮蔽された後では、原稿以外の部分は白くなるのが一般的であるが、外光の影響によってカバーで覆われた部分の外縁部と中心部とで白さの度合いにばらつきが生じることがある。よって、上記比較手段による比較において、第2のしきい値を通常の値にしておくと、本来原稿以外の部分で白と判定されるべきところを誤って黒と判定される虞れがある。そこで、第2のしきい値は、上記の事態を回避するべく、少し黒寄りに設定することが望ましい。
【0021】
この請求項1記載の発明では、第1のしきい値と第2のしきい値とが異なるよう設定されている、例えば、第1のしきい値が白寄りに、第2のしきい値が黒寄りに設定されているので、上記のような誤まった比較結果が発生することを未然に防止することができる。
【0022】
そして、サイズ判断手段は、各小領域について上記のようにして外光の影響を考慮して正確に求められた遮蔽前代表値についての比較結果と遮蔽後代表値についての比較結果との組合せより、該小領域が黒か白かを判定し、この各小領域毎の判定結果から原稿のサイズを判断する。
【0023】
この請求項1記載の発明によれば、装置が設置された環境の要因(外光等)を考慮して正確に求められた遮蔽前代表値についての比較結果と遮蔽後代表値についての比較結果との組合せに基づいて原稿のサイズを判断するので、環境の要因に影響されることなく原稿のサイズを正確に判定することができる。
【0024】
また、請求項1記載の発明では、原稿に記録されている画像を読み取るために設けられた光電変換素子を用いて上記のようにして原稿のサイズを判断するので、原稿のサイズ検出専用に多数のセンサを設ける必要はなく、装置の構成を簡単にすることができる。
【0025】
また、原稿サイズ検出のためのプリスキャンも必要としないため、プリスキャンが画像読取装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題を解消することができる。
【0026】
次に、請求項2記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値に基づいて第1のしきい値を設定すると共に、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値に基づいて第2のしきい値を設定するしきい値設定手段を更に有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項3記載の画像読取装置では、請求項2記載の画像読取装置において、前記しきい値設定手段は、各小領域毎に第1のしきい値及び第2のしきい値を設定することを特徴とする。
【0028】
また、請求項4記載の画像読取装置では、請求項2記載の画像読取装置において、前記しきい値設定手段は、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値、及び該各小領域毎の画像情報の代表値における最大値と最小値との差に基づいて、各小領域毎に第1のしきい値を設定すると共に、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値、及び該各小領域毎の画像情報の代表値における最大値と最小値との差に基づいて、各小領域毎に第2のしきい値を設定することを特徴とする。
【0029】
ところで、原稿が透明部材上に載置されていない状態で算出した画像情報の遮蔽前代表値及び遮蔽後代表値には、前述したように外光の影響が含まれている。具体的には図16において曲線K1で示す遮蔽前代表値はほぼ「0」(黒)に近い値となるものの外縁部に近い小領域(#1や#8等)ほど該小領域における遮蔽前代表値は大きくなる(少し白寄りになる)。
【0030】
また、図17において曲線L1で示す遮蔽後代表値はほぼ「255」(白)に近い値となるものの外縁部に近い小領域ほど該小領域における遮蔽前代表値は大きくなる。
【0031】
そこで、上記請求項2記載の画像読取装置では、原稿が透明部材上に載置されていない状態での各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値(即ち上記のような外光の影響を含んだ遮蔽前代表値)に基づいて第1のしきい値を設定する。具体的には、各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値に関する加算平均値や、最大値、最小値、中間値、最頻値などを第1のしきい値として設定することができる。
【0032】
また、遮蔽前代表値と予め求められた該遮蔽前代表値に対して最適な第1のしきい値とを対応付けたテーブルを予め記憶しておき、このテーブルを参照することによって、第1のしきい値を設定しても良い。
【0033】
このように外光の影響を含んだ遮蔽前代表値に基づいて第1のしきい値を設定することにより、外光の影響分を加味した第1のしきい値を設定することができ、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響をより小さくした上で正確に行うことができる。
【0034】
上記と同様に、第2のしきい値についても、原稿が透明部材上に載置されていない状態での各小領域毎の画像情報の遮蔽後代表値(即ち上記のような外光の影響を含んだ遮蔽後代表値)に基づいて設定することにより、外光の影響分を加味した第2のしきい値を設定することができ、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽後代表値と第2のしきい値との比較を、環境の要因による影響をより小さくした上で正確に行うことができる。
【0035】
また、上記請求項2記載の画像読取装置において、請求項3記載の発明のように、しきい値設定手段が、原稿が透明部材上に載置されていない状態での各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値(即ち上記のような外光の影響を含んだ遮蔽前代表値)に基づいて、各小領域毎に第1のしきい値を設定すると、各小領域における外光の影響分を加味した適切な第1のしきい値を各小領域毎に設定することができ、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と各小領域毎の第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる。
【0036】
なお、第2のしきい値の設定についても、上記のように各小領域毎に設定すると、各小領域における外光の影響分を加味した適切な第2のしきい値を各小領域毎に設定することができ、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽後代表値と各小領域毎の第2のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる。
【0037】
更に、上記請求項2記載の画像読取装置において、請求項4記載の発明のように、しきい値設定手段が、原稿が透明部材上に載置されていない状態での各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値(即ち上記のような外光の影響を含んだ遮蔽前代表値)及び該遮蔽前代表値の最大値と最小値との差(即ち外光による最大影響分)に基づいて、各小領域毎に第1のしきい値を設定しても良い。即ち、原稿が透明部材上に載置されていない状態における各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値に基づく値を各小領域毎に求めた後、該各小領域毎に求めた値に、遮蔽前代表値の最大値と最小値との差(外光による最大影響分)を加えることにより、各小領域における外光による最大影響分を加味したより適切な第1のしきい値を各小領域毎に設定することができる。これにより、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と各小領域毎の第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる。
【0038】
なお、第2のしきい値の設定についても、上記のように各小領域毎に外光による最大影響分を加味した上で設定することにより、比較手段による(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽後代表値と各小領域毎の第2のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる。
【0039】
次に、請求項5記載の画像読取装置は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の画像読取装置において、前記第1のしきい値及び前記第2のしきい値の各々を所望の値に変更するためのしきい値変更手段を更に有することを特徴とする。
【0040】
また、請求項6記載の画像読取装置は、請求項5記載の画像読取装置において、変更された第1のしきい値を有効とする時間帯及び変更された第2のしきい値を有効とする時間帯の各々を所望の時間帯に設定するための有効時間帯設定手段を更に有することを特徴とする。
【0041】
また、請求項7記載の画像読取装置では、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の画像読取装置において、前記カバーは、透明部材の遮蔽時に該透明部材に対向する面が白色とされていることを特徴とする。
【0042】
上記請求項5記載の画像読取装置は、しきい値変更手段を有しているので、画像読取装置が例えば、蛍光灯の真下や、太陽光が差し込む窓際等に設置された場合でも、ユーザがしきい値変更手段によって第1のしきい値や第2のしきい値を所望の値に変更することにより、原稿サイズの誤検知を防止することができる。
【0043】
また、上記請求項6記載の画像読取装置は、有効時間帯設定手段を有しているので、画像読取装置が窓際に設置され特定の時間帯(例えば、朝日が差し込む午前中や西日が差し込む夕方等)に外光による影響がありうる場合に、ユーザは有効時間帯設定手段によって第1のしきい値を有効とする時間帯や、第2のしきい値を有効とする時間帯を所望の時間帯に設定することができる。これにより、所望の時間帯に、変更した第1のしきい値や第2のしきい値を有効とし、時間による環境の変化に適切に対応することができる。
【0044】
さらに、本発明におけるカバーは、請求項7記載の発明のように、透明部材の遮蔽時に該透明部材に対向する面が白色とされているので、裏写りによる画質への影響を無くすことができ、正確に原稿のサイズを判断することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0046】
〔第1実施形態〕
図1には本実施形態に係る画像読取装置10の外観が示されている。画像読取装置10は、箱型の筐体12を備えており、この筐体12の上部には、筐体12の上部開口部を閉塞する蓋状の原稿台14が取付けられている。原稿台14は、板状で長方形の透明部材であるプラテンガラス16と、プラテンガラス16の外周に配設された長方形枠状のレジガイド板18と、を備えている。なお、本実施形態では、プラテンガラス16のうちレジガイド板18から露出している部分のサイズがA3サイズに略等しくされている。
【0047】
図3に示すように、レジガイド板18は上面の高さ位置がプラテンガラス16よりも高くされており、図1におけるプラテンガラス16の左奥側の角部に対応する位置には原稿合わせマーク20が付与されている。原稿は、画像が記録されている面がプラテンガラス16側を向き、かつ原稿の4個の角部のうちの何れかが原稿合わせマーク20が付与されている箇所に位置しているプラテンガラス16の角部に対応し、かつ原稿の2辺がレジガイド板18の内側面に当接(図3に示す原稿21参照)するようにプラテンガラス16上に載置される。これにより原稿は、そのサイズに拘らず、プラテンガラス16上の略一定の位置に載置されることになる。
【0048】
また筐体12には、一長辺側に一対のヒンジ22を介してプラテンカバー24(本発明のカバーに相当)が取付けられている。プラテンカバー24は、ヒンジ22により、図2(A)に示す起立位置(全開位置)と、図示は省略するが原稿台14を完全に閉塞する位置(全閉位置)との間を回動可能とされている。プラテンカバー24の裏面側(プラテンガラス16対向面側)には、矩形状のプラテンクッション26が貼着されている。プラテンクッション26は、プラテンガラス16に対向する面の表面が白色とされており、いわゆる裏写りによる画質への影響を無くすよう配慮されている。
【0049】
また一方のヒンジ22の配設位置の近傍には、オンオフスイッチから成り、移動子が原稿台14から突出するように設けられたアングルセンサ28が取付けられている。なお図1及び図2はアングルセンサ28の移動子のみを示している。アングルセンサ28の移動子は長手方向に沿って移動可能とされていると共に、ばね等から成る図示しない付勢手段により図1及び図2(A)に示す位置に保持されており、このときはアングルセンサ28はオフ状態となっている。プラテンカバー24が図2(A)に示す全開位置から全閉位置へ所定角度以上回動されると、図2(B)に示すように、アングルセンサ28の移動子がプラテンカバー24の裏面に当接して押圧されることにより、プラテンカバー24が全閉位置まで回動される前に(図2(B)に示す状態で)、アングルセンサ28がオン状態に変化する。
【0050】
また、プラテンカバー24の裏面には、ヒンジ22が取付けられている側の端部と反対側の端部に、図2に示すように、プラテンインタロックセンサ30が取付けられている。プラテンインタロックセンサ30は、全閉状態でない場合にはオフ状態で、プラテンカバー24が全閉状態になるとオン状態に変化するように構成されている。
【0051】
図3に示すように、筐体12内には走査装置32が設けられている。走査装置32は、プラテンガラス16に向けて光を射出するランプ34と、プラテンガラス16側からの反射光を略水平に反射する第1の反射ミラー36と、第1の反射ミラー36の光射出側に配置され第1の反射ミラー36から入射された光を略鉛直方向に沿って下方へ射出する第2の反射ミラー38と、第2の反射ミラー38の光射出側に配置され第2の反射ミラー38から入射された光を略水平に反射する第3の反射ミラー40と、を備えている。また、第3の反射ミラー40の光射出側には、結像レンズ42及び本発明の光電変換器としてのCCDラインセンサ44が設けられている。
【0052】
図3はプラテンガラス16の長辺方向に沿った断面図を示しているが、ランプ34、反射ミラー36、38、40及び結像レンズ42は各々プラテンガラス16の短辺方向(図3の紙面に直交する方向:以下主走査方向と称する)に沿ってプラテンガラス16の一端から他端に亘って各々延設されており、これにより、ランプ34からプラテンガラス16に向けて射出される光、及びプラテンガラス16側から反射され反射ミラー36、38、40及び結像レンズ42を介してCCDラインセンサ44の受光部に結像される光は、各々主走査方向に長いスリット状の光とされている。
【0053】
CCDラインセンサ44は主走査方向に沿って一定密度で配列された多数のセル(本発明の光電変換素子)を備えており、CCDラインセンサ44の受光部上の主走査方向に沿った各位置における受光量は、各セルによって各々電気信号に変換されて出力される。
【0054】
また、ランプ34及び第1の反射ミラー36は、主走査方向に直交する副走査方向(図3の矢印S方向)に沿って筐体12内を往復移動可能とされたキャッリジ部材46に取付けられており、第2の反射ミラー38及び第3の反射ミラー40は、同じく副走査方向に沿って筐体12内を往復移動可能とされたキャリッジ部材48に取付けられている。これらキャリッジ部材46、48は、図示しないワイヤーでつながっていて、原稿21で反射した光がCCDラインセンサ44の受光部に到達するまでの光路長が一定になるように構造的に調整されている。また、これらキャリッジ部材46、48はキャリッジ部材駆動部50(図4参照)により副走査方向に沿って移動される。
【0055】
図4に示すように、キャリッジ部材駆動部50は制御部54に接続されており、制御部54によって作動が制御される。なお、制御部54はマイクロコンピュータ等を含んで構成されている。
【0056】
プラテンガラス16上に載置された原稿の画像の読取りを行う場合、制御部54は、キャリッジ部材駆動部50により、キャリッジ部材46を副走査方向に沿って所定速度で移動させると共にキャリッジ部材48をキャリッジ部材46の移動方向と同一の方向に前記所定速度の半分の速度で移動させる。プラテンカバー24が全閉状態の場合には、ランプ34から射出された光はプラテンガラス16上に載置された原稿21、又はプラテンガラス16に対して密着状態となっているプラテンクッション26の表面で反射されるので、上記のようにキャリッジ部材46、48を移動させることにより、副走査方向に沿ったキャリッジ部材46の位置に拘らず、ランプ34からCCDラインセンサ44に至る光路長は一定となる。
【0057】
図4に示すように、アングルセンサ28及びプラテンインタロックセンサ30は制御部54に接続されており、各センサによる検出結果は制御部54に入力される。また、制御部54にはランプ34が接続されており、制御部54によってランプ34の点滅が制御される。また、CCDラインセンサ44はCCDドライバ56及びサイズ検知部58を介して制御部54に接続されている。
【0058】
また、制御部54には、オペレータが所望のしきい値等を入力するためのキーボード64と、キーボード64から入力した値や制御部54からのメッセージ等を表示するためのディスプレイ62と、オペレータが画像読取処理の実行開始を指示するためのスタートボタン66が接続されている。なお、キーボード64には、ディスプレイ62に表示された問いかけメッセージに対してオペレータが肯定応答するためのYesキー64Aと、否定応答するためのNoキー64Bと、が設けられている。
【0059】
サイズ検知部58は、制御部54からビデオクロック信号やライン同期信号等の同期信号を含む各種の信号やデータが入力される(信号やデータの内容については後述)。サイズ検知部58に入力されたビデオクロック信号がCCDドライバ56を介し、CCDラインセンサ44を制御する。CCDラインセンサ44はビデオクロック信号に同期したタイミングで動作し、各セルの受光量を表す信号をビデオクロック信号に同期したタイミングで順に出力する。CCDラインセンサ44から出力された信号は、CCDドライバ56によって増幅されると共にデジタルの画像データに変換されてサイズ検知部58に出力される。
【0060】
また、サイズ検知部58には原稿の向きを検出するための光センサ60が接続されている。光センサ60は、プラテンガラス16の下方に配設されていると共に、図5に示すように、プラテンガラス16上に原稿が横向き(長辺方向がプラテンガラス16の長手方向に一致する方向:SEF)に載置された場合には、原稿のサイズ(B5、A4、B4、A3等)に拘らず原稿が存在し、プラテンガラス16上に原稿が縦向き(長辺方向がプラテンガラスの短辺方向に一致する方向:LEF)に載置された場合には、原稿のサイズに拘らず原稿が存在しない所定位置(図5に「#0」として示す位置)における原稿の有無を検出可能な位置に配設されている。
【0061】
なお、上述した画像読取装置10はデジタル複写機(図示省略)の一部を構成しており、画像読取装置10によって読取られた原稿の画像は、複写機により用紙に複写される。また画像読取装置10によって判定された原稿のサイズ及び向き(原稿のサイズ及び向きの判定の詳細については後述)は、用紙の選択や複写倍率の決定に用いられる。
【0062】
次に本第1実施形態の作用を説明する。原稿の読取り等を行っていない待機状態(原稿サイズ判定時も含む)では、制御部54は、CCDラインセンサ44のセンシングエリアがレジガイド板18とプラテンガラス16との境界から副走査方向に沿って20mm程度内側(図5にハッチングで示す範囲)となるように、キャリッジ部材46、48の位置を制御する(所謂ホームポジション)。図5からも明らかなように、CCDラインセンサ44のセンシングエリアの主走査方向に沿った長さは、プラテンガラス16の主走査方向に沿った長さよりも若干長くされている。
【0063】
また、本第1実施形態では、原稿のサイズを判定する際に用いるCCDラインセンサ44のセンシングエリアとして、図5に#1〜#8で示す8個のセンシングエリアが定められている。各センシングエリアは、図5に示すように、プラテンガラス16上に各種サイズの原稿が縦向き又は横向きに載置されたときに、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の辺のプラテンガラス16上における位置を考慮して位置が定められている。
【0064】
すなわち、センシングエリア#2及び#3は、B5サイズの原稿がプラテンガラス16上に横向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64A)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。また、センシングエリア#4及び#5は、A4サイズの原稿が横向きに載置された場合及びA5サイズの原稿が縦向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64B)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。
【0065】
また、センシングエリア#6及び#7は、B4サイズの原稿が横向きに載置された場合及びB5サイズの原稿が縦向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の特定の一辺(図5に示す辺64C)を所定間隔隔てて挟むように各々の位置が定められている。また、センシングエリア#1及び#8は、A3サイズの原稿が横向きに載置された場合に、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る原稿の二つの長辺よりも若干内側(CCDラインセンサ44のセンシングエリアの両端部近傍をレジガイド板18の端部が横切っている位置よりも若干内側)となるように各々の位置が定められている。
【0066】
なお、以下では、CCDラインセンサ44のセンシングエリアとレジガイド板16の端部が交差している2箇所のうち、センシングエリア#1の近傍の箇所を第1のレジ位置、センシングエリア#8の近傍の箇所を第2のレジ位置と称する(図6も参照)。
【0067】
図6にはCCDラインセンサ44の受光部を概念的に示している。本第1実施形態では、図5に示したセンシングエリア#1〜#8に対応して、CCDラインセンサ44の受光部上にセンシング領域#1〜#8(本発明の複数の小領域に対応)が予め定められている。センシング領域#1〜#8は、各々主走査方向に沿って並ぶ複数の画素(=セル、図6では一例として34個のセル)から構成されている。また本実施形態では、各種サイズの原稿のCCDラインセンサ44のセンシングエリアを横切る辺のプラテンガラス16上における位置に対応するCCDラインセンサ44の受光部上における位置が、第1のレジ位置に対応する画素からの画素数(セル数)に換算されて予め求められている(図6参照)。
【0068】
制御部54は、各センシング領域の大きさ、及び各種サイズの原稿のセンシングエリアを横切る辺のプラテンガラス16上における位置に対応するCCDラインセンサ44の受光部上における位置に基づいて求められた、第1のレジ位置から各センシング領域が始まる位置迄の距離を画素数に換算した値を記憶しており(一例として次の表1を参照)、このデータをセンシング開始位置(センシングスタートポジションSn :nはセンシング領域の番号)としてサイズ検知部58に出力する。
【0069】
【表1】
【0070】
またサイズ検知部58は、後述するように、各センシング領域内のセルから出力された画像データをしきい値と比較し、比較結果をステータスレジスタにセットして制御部54に出力する。制御部54は各センシング領域毎に定めた前述のしきい値をサイズ検知部58に出力すると共に、サイズ検知部58に対し、ステータスレジスタの値をホールドさせたい場合にはレジスタホールド信号を、ステータスレジスタの値をリセットしたい場合にはレジスタリセット信号を各々出力する。
【0071】
次に図7のフローチャートを参照し、信号生成処理について説明する。なお、この信号生成処理は、プラテンガラス16上に載置された原稿のサイズの検出を行うために、制御部54がレジスタホールド信号によるステータスレジスタの値のホールドを解除し、更にレジスタリセット信号を出力するとサイズ検知部58で実行される。
【0072】
ステップ100では、センシング領域番号nに1を代入し、カウンタs及びカウンタvに0を代入すると共に、センシングエリア信号及びビデオサンプリング信号(共にサイズ検知部58内部の信号)のレベルをローレベル(「L」)にする等の初期化処理を行う。次のステップ102では、制御部54から入力されるライン同期信号のレベルがハイレベル(「H」)となったか否か判定し、判定が否定された場合には判定が肯定される迄待機する。
【0073】
CCDラインセンサ44は、各セルからの信号を、ビデオクロック信号に同期して、主走査方向に沿って第1のレジ位置側に対応する側の端部に位置しているセルから順に出力することを繰り返している。前述のライン同期信号は、第1のレジ位置に対応するセルから出力された信号がCCDドライバ56を介して画像データとしてサイズ検知部58に入力されるのと同期したタイミングでハイレベルとなり、第2のレジ位置に対応するセルから出力された信号がCCDドライバ56を介して画像データとしてサイズ検知部58に入力される迄の間は、図8に示すようにハイレベルに保持される。
【0074】
ライン同期信号のレベルが「H」になると、ステップ102の判定が肯定されてステップ104へ移行し、制御部54から入力されるビデオクロック信号が立ち上がる(ハイレベルとなる)迄待機する。次のステップ106ではカウンタvの値をカウントアップし、次のステップ108ではカウンタvの値がセンシングスタートポジションSn の値に等しくなったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ104に戻り、ステップ108の判定が肯定される迄ステップ104〜108を繰り返す。
【0075】
上記では、ライン同期信号のレベルが「H」になってからのビデオクロック信号のクロック数、すなわちサイズ検知部58に画像データとして入力された画素数をカウンタvによって保持しており、カウンタvの値をセンシングスタートポジションSn と比較することにより、センシング領域#nの画像データの入力が開始されたか否か判定している。
【0076】
ステップ108の判定が肯定されると、ステップ110ではセンシングエリア信号(図8参照)のレベルを「H」にし、次のステップ111ではカウンタvの値を変数v0 に代入し、ステップ112ではビデオクロック信号が立ち上がる迄待機する。ステップ114ではビデオサンプリング信号のレベルが「H」か否か判定する。この場合は判定は否定され、ステップ118でカウンタvの値をカウントアップし、ステップ120でカウンタvの値から変数v0 の値を減算した値が「34」(「34」は単一のセンシング領域を構成する画素(セル)数)となったか否か判定する。
【0077】
判定が否定された場合には、ステップ122へ移行してカウンタsの値をカウントアップし、ステップ124でカウンタsの値が「3」となったか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ112へ戻り、ステップ112〜124を繰り返す。ステップ122の処理が3回実行されるとステップ124の判定が肯定され、ステップ126でビデオサンプリング信号(図8参照)のレベルを「H」にし、ステップ128でカウンタsの値を0に戻してステップ112へ戻る。この場合、ステップ112を経た後のステップ114で判定が肯定されるのでステップ116へ移行し、ビデオサンプリング信号のレベルを「L」とした後にステップ118へ移行する。
【0078】
上記により、センシング領域#n内の各セルからの画像データが入力されている間、すなわちステップ120の判定が否定されている間(センシングエリア信号のレベルが「H」の間)は、図8にも示すように、ビデオクロック信号の3周期が経過する毎に、次の1周期の間ビデオサンプリング信号のレベルが「H」とされることになる。
【0079】
ステップ120の判定が肯定されると、センシング領域#n内の各セルからの画像データの入力が完了したと判断し、ステップ130でセンシングエリア信号のレベルを「L」にし、次のステップ132でセンシング領域番号nが「8」か否か、すなわちセンシング領域#1〜#8の全ての領域の画像データが入力されたか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ134でセンシング領域番号nの値をカウントアップした後にステップ102へ戻り、ステップ102以降の処理を繰り返す。そして、ステップ132の判定が肯定されると処理を終了する。
【0080】
次に図9のフローチャートを参照し、サイズ検知部58において、先に説明した信号生成処理と並行して実行されるエリアセンシング処理について説明する。ステップ140では、センシング領域番号nに1を代入する等の初期化処理を行う。ステップ142ではビデオクロック信号が立ち上がる迄待機し、次のステップ144ではライン同期信号のレベルが「H」か否か判定する。この判定が否定された場合はステップ142へ戻り、ステップ144の判定が肯定される迄ステップ142、144を繰り返す。ステップ144の判定が肯定されると、ステップ146でセンシングエリア信号のレベルが「H」か否か判定する。判定が否定された場合にはステップ142へ戻り、ステップ146の判定が肯定される迄、ステップ142〜146を繰り返す。
【0081】
ステップ146の判定が肯定されるとステップ148へ移行し、ビデオサンプリング信号のレベルが「H」か否か判定する。判定が否定された場合には、ステプ150でビデオクロック信号が立ち上がる迄待機し、次のステップ152でセンシングエリア信号のレベルが「H」の状態が継続しているか否か判定する。ステップ152の判定が否定された場合にはステップ148へ戻る。ステップ148の判定が肯定されると、ステップ154でCCDドライバ56から入力された1画素分の画像データを取込み、メモリ等に記憶し、次のステップ156でビデオクロック信号が立ち上がる迄待機した後にステップ148へ戻る。
【0082】
前述したように、センシングエリア信号のレベルが「H」の間は、ビデオクロック信号の3周期が経過する毎に次の1周期の間ビデオサンプリング信号のレベルが「H」とされるので、上記では、単一のセンシング領域を構成する34個の画素のうち、図6にハッチングで示す▲1▼〜▲8▼の8個の画素のデータのみが取込まれて記憶されることになる。
【0083】
単一のセンシング領域からの画像データの取込みを完了すると、ステップ152の判定が否定されることによりステップ158へ移行し、先に説明した処理によりセンシング領域nから取込んで記憶した8個の画素のデータの平均値を演算する。次のステップ160では、ステップ158で演算した平均値が、制御部54から入力されたセンシング領域#nの判定のしきい値よりも大きいか否か判定する。
【0084】
ステップ160の判定が否定された場合には、センシング領域#n内の各セルの受光量の平均値がしきい値以下であるので、ステップ162でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、受光量が低い(すなわち「黒」である)ことを表す値(「1」)をセットしてステップ166へ移行する。またステップ160の判定が肯定された場合には、センシング領域#n内の各セルの受光量の平均値がしきい値よりも大きいので、ステップ164でセンシング領域#nに対応するステータスレジスタのビットに、受光量が高い(すなわち「白」である)ことを表す値(「0」)をセットしステップ166へ移行する。
【0085】
ステップ166ではセンシング領域番号nが「8」か否か、すなわちセンシング領域#1〜#8の全ての領域に対して上記処理を行ったか否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ168でセンシング領域番号nの値をカウントアップした後にステップ142へ戻り、上述したステップ142以降の処理を繰り返す。
【0086】
また、ステップ166の判定が肯定されるとステップ170へ移行し、光センサ60から出力されている信号を取込む。次のステップ172では、光センサ60から取込んだ信号のレベルが予め定められたしきい値よりも大きいか否か判定する。
【0087】
上記判定が否定された場合には、光センサ60の受光量がしきい値以下であるので、ステップ174で光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに受光量が低い(すなわち「黒」である)ことを表す値(「1」)をセットして処理を終了する。また、ステップ172の判定が肯定された場合には、光センサ60の受光量がしきい値よりも大きいので、ステップ176で光センサ60に対応するステータスレジスタのビットに受光量が高い(すなわち「白」である)ことを表す値(「0」)をセットして処理を終了する。
【0088】
上記により、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量がしきい値よりも大きいか否かに応じて、ステータスレジスタの各ビットに値が設定されることになる。
【0089】
次に、制御部54で実行される原稿サイズ判定処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。なお、この原稿サイズ判定処理は原稿の読取り等を行っていない待機状態で実行され、キャリッジ部材46、48はホームポジションに位置しており、CCDラインセンサ44のセンシングエリアも図5にハッチングで示す範囲に位置している。
【0090】
ステップ180では、アングルセンサ28がオフ状態(プラテンカバー24が全閉状態から所定角度以上開いている状態)か否か判定する。判定が否定された場合には、ステップ182で原稿の複写の開始を指示するためのスタートボタンが押されたか否か判定する。ステップ182の判定も否定された場合にはステップ180へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄、ステップ180、182を繰り返す。
【0091】
ここで、スタートボタンが押されることによってステップ182の判定が肯定された場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されているか否か、及び原稿が載置されている場合の該原稿のサイズを正確に検知することは困難であるので、ステップ184で検知不能と判定して処理を終了する。この場合には、記録用紙のサイズの選択等はユーザにより行われることになる。
【0092】
一方、アングルセンサ28がオフ状態となることによりステップ180の判定が肯定された場合には、ステップ186でスタートボタンが押されたか否か判定し、判定が否定された場合にはステップ188でアングルセンサ28がオン状態となったか(プラテンカバー24が一旦開放位置へ移動された後に、全閉位置へ向けて回動されて閉じかけの状態となったか)否か判定する。この判定も否定された場合にはステップ186へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄、ステップ186、188を繰り返す。
【0093】
アングルセンサ28がオンとなることによりステップ188の判定が肯定された場合には、ステップ190でランプ34を点灯し、ステップ192ではランプ34の光量が安定化する迄所定時間(例えば20m秒)待機する。次のステップ194ではホールドレジスタを「1」にする。これにより、サイズ検知部58に対し、ステータスレジスタにセットされているデータのホールドの解除が指示されると共に、レジスタリセット信号が出力される。次のステップ196では、先に説明したエリアセンシング処理によりステータスレジスタにセットされたデータを読出し、更にステップ198でホールドレジスタを「0」にする。これによりレジスタホールド信号が出力され、ステータスレジスタにセットされているデータがホールドされる。
【0094】
次のステップ200では、ステータスレジスタの全ビットが「1」(「黒」)か否か判定する。上述したステップ190〜198の処理は、プラテンカバー24が閉じかけの状態、すなわち全閉状態となる前に行っており、ランプ34から射出されてプラテンクッション26の表面で反射された光はCCDラインセンサ44には殆ど入射されないので、プラテンガラス16上に原稿が載置されていなければ、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量はしきい値以下となり、ステータスレジスタの全ビットには「1」がセットされる。
【0095】
従って、ステップ200の判定が否定された場合、すなわちステータスレジスタの少なくとも何れかのビットが「0」の場合には、ステップ214へ移行してプラテンガラス16上に下地が白色又は白色に近い色の原稿が載置されている(白原稿有り)と判断し、次のステップ216でステータスレジスタの各ビットの値に基づいてプラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを判定し、処理を終了する。
【0096】
なお、このステップ216では、ステータスレジスタが表すセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果を、ステータスレジスタの対応するビットの値が「0」であれば「原稿有り」、「1」であれば「原稿無し」と置き換え、次の表2に従って原稿のサイズ及び向きを判定する。
【0097】
【表2】
【0098】
但し、表2において、「○」は「原稿有り」、「×」は「原稿無し」を表し、「−」は、通常は「原稿有り」であるが、「原稿無し」であっても判定結果を変更しない(すなわちDon’t Care)ことを表す。なお、表2ではセンシング領域#1の検出結果を原稿のサイズ及び向きの判定に用いていないが、センシング領域#1の検出結果は原稿がプラテンガラス16上に正しく載置されているか否か、すなわち原稿の4個の角部のうちの何れかが原稿合わせマーク20が付与されている箇所に位置しているプラテンガラス16の角部に対応し、かつ原稿の2辺がレジガイド板18の内側面に当接するようにプラテンガラス16上に載置されているか否かの確認に用いられる。
【0099】
上記では、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを移動させることなく原稿のサイズ及び向きの判定を行っているので、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを副走査方向に沿って移動させて原稿のサイズ及び向きを判定する場合と比較して、短時間で処理が完了する。
【0100】
一方、ステップ200の判定が肯定された場合、すなわちプラテンカバー24が閉じかけの状態で取り込んだステータスレジスタの全ビットが「1」であった場合は、プラテンガラス16上に原稿が載置されていないか、或いはプラテンガラス16上に下地が黒色の原稿が載置されている場合であるので、ステップ218へ移行してスタートボタンが押されたか否か判定する。ステップ218の判定が否定された場合には、ステップ220でプラテンインタロックセンサ30がオンしたか(プラテンカバー24が全閉状態となったか)否か判定する。この判定も否定された場合にはステップ218へ戻り、上記の何れかの判定が肯定される迄ステップ218、220を繰り返す。
【0101】
ここで、プラテンカバー24が全閉状態となってプラテンインタロックセンサ30がオンする前にスタートボタンが押された場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されていないのか、プラテンガラス16上に下地が黒色の原稿が載置されているのかが判別できないので、本実施形態ではステップ234で原稿無しと判定して処理を終了する。なお、プラテンガラス16上に原稿が載置されていないのか、プラテンガラス16上に下地が黒色の原稿が載置されているのかが判別できない場合に、原稿無しと判断することに代えて、検知不能と判定するようにしてもよい。
【0102】
一方、プラテンカバー24が全閉状態となってプラテンインタロックセンサ30がオンした場合にはステップ222へ移行し、ステップ222〜226において、ステップ194〜198と同様にして、ステータスレジスタにセットされているデータを取込み、次のステップ228でステータスレジスタに値が「1」のビットが有るか否か判定する。
【0103】
このステップ228の判定が実行される場合は、プラテンカバー24が閉じかけの状態において、ステータスレジスタの全ビットが「1」であった場合であるので、プラテンガラス16上に下地が白色又は白色に近い色の原稿が載置されている可能性は除外できる。プラテンクッション26の表面は白色であるので、プラテンカバー24の全閉状態の場合、プラテンガラス16上に下地が黒色又は黒色に近い色の原稿が載置されていなければ、ステータスレジスタの全てのビットは「0」(白)となる。
【0104】
従って、ステップ228の判定が否定された場合には、ステップ234で原稿無しと判定して処理を終了するが、ステップ228の判定が否定された場合は、ステップ230へ移行してプラテンガラス16上に下地が黒色又は黒色に近い色の原稿が載置されている(黒原稿有り)と判断し、次のステップ232でステータスレジスタの各ビットの値に基づいて、プラテンガラス16上における原稿の向き及びサイズを判定して処理を終了する。なお、このステップ232では、ステータスレジスタが表すセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果を、ステータスレジスタの対応するビットの値が「0」であれば「原稿無し」、「1」であれば「原稿有り」と置き換え、先の表2に従って原稿のサイズ及び向きを判定する。
【0105】
一方、アングルセンサ28がオンとなる前に(プラテンカバー24が開状態のままで)スタートボタンが押された場合には、ステップ186の判定が肯定されてステップ202へ移行し、ステップ202〜210で先のステップ190〜198と同一の処理を行い、ステップ212でステータスレジスタの全ビットが「1」か否か判定する。プラテンカバー24が開状態の場合にも、先に説明した閉じかけの場合と同様に、プラテンガラス16上に原稿が載置されていなければ、センシング領域#1〜#8内の各セル及び光センサ60の受光量はしきい値以下となり、ステータスレジスタの全ビットには「1」がセットされる。
【0106】
このため、ステップ212の判定が否定された場合には、ステップ214へ移行して「白原稿有り」と判定し、ステップ216で前述の原稿のサイズ及び向きの判定を行う。また、ステップ212の判定が肯定された場合には、プラテンガラス16上に原稿が載置されていないのか、プラテンガラス16上に下地が黒色の原稿が載置されているのかが判別できないので、ステップ234で原稿無しと判定して処理を終了する。
【0107】
上記処理における原稿の有無の判断をまとめると、次の表3のようになる。
【0108】
【表3】
【0109】
以上説明したように、本第1実施形態では、CCDラインセンサ44により原稿のサイズ及び向きを判定しているので、原稿のサイズ及び向きを検出するために多数のセンサを新たに設ける必要はない。また、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを移動させることなく原稿のサイズ及び向きを判定しているので、CCDラインセンサ44のセンシングエリアを副走査方向に沿って走査させて原稿のサイズ及び向きを判定するプレスキャンを行う場合と比較して、短時間で処理が完了する。
【0110】
また、プラテンカバー24が閉じかけの状態でセンシングを行ってセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果が全て「黒」であった場合には、更にプラテンカバー24が全閉状態となったときにもセンシングを行って原稿の有無を判断しているので、プラテンガラス16上に下地が黒色又は黒色に近い色の原稿が載置されたとしても、該原稿の向き及びサイズを正確に検出することができる。
【0111】
更に、CCDラインセンサ44の全てのセルから出力される信号を用いて原稿のサイズを判断する場合には、各セルから出力された信号のレベル等を記憶するために大容量のメモリ等が必要となることも考えられるが、上記では、センシング領域#1〜#8内の各セルから出力される信号のみを用いるので、大容量のメモリ等を設ける必要もない。
【0112】
また、上記ではサイズ検知部58に対し、センシング領域の位置として制御部54からセンシング開始位置が入力される構成であるので、検出すべき原稿のサイズの変更に伴ってセンシング領域の位置を変更したい場合にも、制御部54からサイズ検知部58に入力されるセンシング開始位置を変更することによりセンシング領域の位置の変更を容易に実現できる。従って、検出すべき原稿のサイズを変更する場合にも、センサの位置を変更したりプレスキャンを行ったりする必要はない。
【0113】
なお、本第1実施形態では、プラテンカバー24の閉じかけ状態でセンシングを行ってセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果の何れかが「白」であった場合には、「白原稿有り」と判断して原稿のサイズ及び向きを判定していたが、更にプラテンカバー24の全閉状態においてもセンシングを行って原稿のサイズ及び向きの判定を行うようにしてもよい。この場合、通常は有り得ないが、閉じかけ状態でのセンシングでセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果の何れかが「白」となり、かつ全閉状態でのセンシングでセンシング領域#1〜#8及び光センサ60による検出結果の何れかが「黒」となることも論理的には有り得ることになるが、上記のような場合には、原稿に記録されている画像により「白」又は「黒」が検出され、かつプラテンカバー24が閉じかけ状態から全閉状態となる間に原稿の載置位置がずれた等の状況が考えられるので、原稿有りと判定することが望ましい。
【0114】
さて、ここで請求項1又は請求項2に記載の発明に係る作用を説明する。前述した図10の原稿サイズ判定処理を実行する前に、オペレータは、該原稿サイズ判定処理で使用されるしきい値として閉じかけ状態と閉じた状態とで共通のしきい値を使用する「共通モード」か、異なるしきい値を使用する「分離モード」かを選択し設定するためのモード設定処理の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図11に示すモード設定処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。
【0115】
なお、「共通モード」時に使用する共通用しきい値データth0、「分離モード」時に使用する閉じかけ状態用しきい値データth1及び閉じた状態用しきい値データth2は、制御部54のマイコン内のROMに予め記憶されている。このうち共通用しきい値データth0は「127」に設定されており、閉じかけ状態用しきい値データth1は「127」よりも白寄りに、閉じた状態用しきい値データth2は「127」よりも黒寄りに、それぞれ設定されている。
【0116】
まず図11のステップ252では「共通モードを使用しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させる。この表示を見たオペレータは、「共通モード」を使用したい場合には、キーボード64に設けられたYesキー64Aを押し、「分離モード」を使用したい場合にはNoキー64Bを押す。
【0117】
オペレータがYesキー64A又はNoキー64Bを押すと、次のステップ254で肯定判定されステップ256へ進み、押されたキーがYesキー64Aであるか否かを判定する。オペレータによってYesキー64Aが押されていた場合はステップ266へ進み、しきい値データを予め定めた共通用しきい値データth0に書き換えて処理を終了する。
【0118】
一方、オペレータによってNoキー64Bが押されていた場合はステップ256で否定判定されステップ258へ進み、「分離モードを使用しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させる。この表示を見たオペレータは、「分離モード」を使用したい場合には、キーボード64に設けられたYesキー64Aを押し、再考した結果「共通モード」を使用した方が良いと考えた場合にはNoキー64Bを押す。
【0119】
オペレータがYesキー64A又はNoキー64Bを押すと、次のステップ260で肯定判定されステップ262へ進み、押されたキーがYesキー64Aであるか否かを判定する。オペレータによってNoキー64Bが押されていた場合はステップ252へ戻り、一方、Yesキー64Aが押されていた場合はステップ264へ進み、図12に示す分離モード用しきい値設定処理を起動して処理を終了する。
【0120】
上記で起動された図12の分離モード用しきい値設定処理は、以後継続して実行され、図10の原稿サイズ判定処理の実行時も該原稿サイズ判定処理と並行して実行される。
【0121】
このような分離モード用しきい値設定処理では、図12のステップ272でプラテンカバー24の状態に変化が有ったか否かを、アングルセンサ28のオンオフ状態及びプラテンインタロックセンサ30のオンオフ状態に基づいて監視しており、プラテンカバー24の状態に変化が有った場合のみステップ274へ進み、プラテンカバー24が閉じかけ状態であるか否かを判定する。プラテンカバー24が閉じかけ状態である場合、ステップ280へ進み、しきい値データを予め定めた閉じかけ状態用しきい値データth1に書き換える。
【0122】
一方、プラテンカバー24が閉じかけ状態でない場合、ステップ276へ進み、プラテンカバー24が閉じた状態であるか否かを判定する。プラテンカバー24が閉じた状態である場合、ステップ278へ進み、しきい値データを予め定めた閉じた状態用しきい値データth2に書き換える。一方、プラテンカバー24が閉じかけ状態でも閉じた状態でもない場合、ステップ272へ戻る。
【0123】
以上説明した図11の処理によって、オペレータが所望のモードを設定することができ、分離モードが設定された場合には図12の処理によって、プラテンカバー24の状態に応じてしきい値データが自動的に閉じかけ状態用しきい値データth1又は閉じた状態用しきい値データth2に書き換えられる。そして、書き換えられたしきい値は前述したエリアセンシング処理(図9)のステップ160で使用される。
【0124】
前述したように閉じかけ状態用しきい値データth1は標準値「127」よりも白寄りに、閉じた状態用しきい値データth2は標準値「127」よりも黒寄りに、それぞれ設定されているので、エリアセンシング処理において外光の影響で誤った白黒判定が行われることを防止することができ、原稿サイズを正確に判断することができる。
【0125】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は請求項3記載の発明に対応しており、ここでは原稿がプラテンガラス16上に載置されていない状態における各センシング領域の画像データから閉じかけ状態用しきい値thA及び閉じた状態用しきい値thBを算出する実施形態を説明する。
【0126】
なお、本第2実施形態は第1形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第2実施形態の作用について説明する。
【0127】
本第2実施形態では、前述した図10の原稿サイズ判定処理を実行する前に、オペレータは、該原稿サイズ判定処理で使用されるしきい値を設定するためのしきい値設定処理の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図13に示すしきい値設定処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。
まず図13のステップ302では「プラテンカバーを閉じかけにしてスタートボタンを押して下さい」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ304ではプラテンカバー24の閉じかけ状態でスタートボタン66が押されるのを監視する。
【0128】
オペレータによってプラテンカバー24の閉じかけ状態でスタートボタン66が押されると、ステップ306へ進み、図14に示す閉じかけ状態用しきい値の算出処理のサブルーチンを実行する。
【0129】
図14のステップ322では各センシング領域の画像データを読み取り、次のステップ324では該読み取った各センシング領域の画像データの平均値DAVE を算出する。そして、次のステップ326では閉じかけ状態用しきい値thAを以下の式(1)に基づいて算出し、算出した値を記憶してリターンする。
thA=(DAVE +255)/2 ・・・(1)
上記の閉じかけ状態用しきい値の算出処理によって、図16に示すように、通常のしきい値「127」よりも白寄りの値(矢印A2に示す値)が閉じかけ状態用しきい値thAとして算出される。
【0130】
図13のメインルーチンにおける次のステップ308では「プラテンカバーを閉じてスタートボタンを押して下さい」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ310ではプラテンカバー24の閉じた状態でスタートボタン66が押されるのを監視する。
【0131】
オペレータによってプラテンカバー24の閉じた状態でスタートボタン66が押されると、ステップ312へ進み、図15に示す閉じた状態用しきい値の算出処理のサブルーチンを実行する。
【0132】
図15のステップ332では各センシング領域の画像データを読み取り、次のステップ334では該読み取った各センシング領域の画像データの平均値DAVE を算出する。そして、次のステップ336では閉じた状態用しきい値thBを以下の式(2)に基づいて算出し、算出した値を記憶してリターンする。
thB=(DAVE +0)/2 ・・・(2)
上記の閉じた状態用しきい値の算出処理によって、図17に示すように、通常のしきい値「127」よりも黒寄りの値(矢印B2に示す値)が閉じた状態用しきい値thBとして算出される。
【0133】
図13のメインルーチンにおける次のステップ314では、第1実施形態と同様の図12に示す分離モード用しきい値設定処理を起動して処理を終了する。
【0134】
以上説明した図13〜15のしきい値設定処理によって、原稿をプラテンガラス16上に載置しない状態での各センシング領域の画像データに基づいて、閉じかけ状態用しきい値thA及び閉じた状態用しきい値thBを自動的に算出することができる。また、上記ステップ314で起動された分離モード用しきい値設定処理(図12)において、プラテンカバー24の状態に応じてしきい値データが自動的に閉じかけ状態用しきい値thA又は閉じた状態用しきい値thBに書き換えられ、前述したエリアセンシング処理(図9)のステップ160で使用される。
【0135】
なお、上記実施形態では、各センシング領域の画像データの平均値DAVE を算出し、該平均値DAVE を用いて閉じかけ状態用しきい値thA又は閉じた状態用しきい値thBを算出していたが、例えば、各センシング領域の画像データの最大値DMAX を平均値DAVE に代わって上記式(1)、(2)に代入することによって閉じかけ状態用しきい値thA又は閉じた状態用しきい値thBを算出しても良い。この場合、図16に矢印A1で示す値が閉じかけ状態用しきい値thAとして、図17に矢印B1で示す値が閉じた状態用しきい値thBとして、それぞれ算出される。
【0136】
また、同様に各センシング領域の画像データの最小値DMIN を平均値DAVE に代わって上記式(1)、(2)に代入することによって閉じかけ状態用しきい値thA又は閉じた状態用しきい値thBを算出しても良い。この場合、図16に矢印A3で示す値が閉じかけ状態用しきい値thAとして、図17に矢印B3で示す値が閉じた状態用しきい値thBとして、それぞれ算出される。
【0137】
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態は請求項4記載の発明に対応しており、ここでは原稿がプラテンガラス16上に載置されていない状態における各センシング領域の画像データから、各センシング領域毎に閉じかけ状態用しきい値thAn及び閉じた状態用しきい値thBnを算出する実施形態を説明する。
【0138】
なお、本第3実施形態は第1形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第3実施形態の作用について説明する。
【0139】
本第3実施形態では、閉じかけ状態用しきい値の算出処理及び閉じた状態用しきい値の算出処理の各サブルーチンのみが前述した第2実施形態と異なるため、それらの処理について説明する。
【0140】
図18に示す閉じかけ状態用しきい値の算出処理では、ステップ342で一のセンシング領域の画像データDnを読み取り、次のステップ344では、該読み取った画像データDnを以下の式(3)に適用することにより該一のセンシング領域についての閉じかけ状態用しきい値thAnを算出する。
thAn=(Dn+255)/2 ・・・(3)
そして、上記ステップ342、344の処理を全てのセンシング領域について実行し、完了した時点でリターンする。
【0141】
上記の閉じかけ状態用しきい値の算出処理によって、図20に◎で示すように、通常のしきい値「127」よりも白寄りの値が各センシング領域毎の閉じかけ状態用しきい値thAnとして算出される。
【0142】
図19に示す閉じた状態用しきい値の算出処理では、ステップ352で一のセンシング領域の画像データDnを読み取り、次のステップ354では、該読み取った画像データDnを以下の式(4)に適用することにより該一のセンシング領域についての閉じた状態用しきい値thBnを算出する。
thBn=(Dn+0)/2 ・・・(4)
そして、上記ステップ352、354の処理を全てのセンシング領域について実行し、完了した時点でリターンする。
【0143】
上記の閉じた状態用しきい値の算出処理によって、図21に◎で示すように、通常のしきい値「127」よりも黒寄りの値が各センシング領域毎の閉じかけ状態用しきい値thBnとして算出される。
【0144】
このように各センシング領域毎に、その画像データに基づいて閉じた状態用しきい値thAn及び閉じかけ状態用しきい値thBnを算出するので、各センシング領域毎の環境の要因による影響をより厳密に反映した上で、より適切なしきい値を設定することができる。
【0145】
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態は請求項5記載の発明に対応しており、ここでは原稿がプラテンガラス16上に載置されていない状態における各センシング領域の画像データ及びその最大値、最小値から、各センシング領域毎に閉じかけ状態用しきい値thAn及び閉じた状態用しきい値thBnを算出する実施形態を説明する。
【0146】
なお、本第4実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第4実施形態の作用について説明する。
【0147】
本第4実施形態では、閉じかけ状態用しきい値の算出処理及び閉じた状態用しきい値の算出処理の各サブルーチンのみが前述した第2実施形態と異なるため、それらの処理について説明する。
【0148】
図22に示す閉じかけ状態用しきい値の算出処理では、ステップ362で各センシング領域の画像データを読み取り、次のステップ364では、該読み取った画像データのうちの最大値をDmax とし、最小値をDmin とする。次のステップ366では、一のセンシング領域の画像データDn、上記最大値Dmax 及び最小値Dmin を以下の式(5)に適用することにより該一のセンシング領域についての閉じかけ状態用しきい値thAnを算出し記憶する。
thAn=(Dn+255)/2+(Dmax −Dmin ) ・・・(5)
そして、上記ステップ366の処理を全てのセンシング領域について実行し、完了した時点でリターンする。
【0149】
上記の閉じかけ状態用しきい値の算出処理によって、図24に◎で示すように、各センシング領域の画像データDnに基づく値(即ち、(Dn+255)/2)に上記最大値Dmax と最小値Dmin との差を加算した値が、各センシング領域毎の閉じかけ状態用しきい値thAnとして算出される。
【0150】
図23に示す閉じた状態用しきい値の算出処理では、ステップ372で各センシング領域の画像データを読み取り、次のステップ374では、該読み取った画像データのうちの最大値をDmax とし、最小値をDmin とする。次のステップ376では、一のセンシング領域の画像データDn、上記最大値Dmax 及び最小値Dmin を以下の式(6)に適用することにより該一のセンシング領域についての閉じた状態用しきい値thBnを算出し記憶する。
thBn=(Dn+0)/2−(Dmax −Dmin ) ・・・(6)
そして、上記ステップ376の処理を全てのセンシング領域について実行し、完了した時点でリターンする。
【0151】
上記の閉じた状態用しきい値の算出処理によって、図25に◎で示すように、各センシング領域の画像データDnに基づく値(即ち、(Dn+0)/2)に上記最大値Dmax と最小値Dmin との差を減算した値が、各センシング領域毎の閉じかけ状態用しきい値thBnとして算出される。
【0152】
このように各センシング領域毎の画像データに基づく値(例えば、(Dn+255)/2等)に、画像データの最大値Dmax と最小値Dmin との差を加味した上で、閉じた状態用しきい値thAn及び閉じかけ状態用しきい値thBnを算出するので、画像読取装置10への外光の最大影響分を考慮した上で各センシング領域毎に適切なしきい値を設定することができる。
【0153】
〔第5実施形態〕
次に本発明の第5実施形態について説明する。この第5実施形態は請求項6又は請求項7に記載の発明に対応しており、ここではユーザ(オペレータ)がキーボード64によって所望のしきい値及び該しきい値の有効時間帯を入力可能とされた実施形態を説明する。
【0154】
なお、本第5実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下では本第5実施形態の作用について説明する。
【0155】
本第5実施形態では、オペレータはまず、ユーザしきい値設定処理の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図26に示すユーザしきい値設定処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。
【0156】
まず図26のステップ402では「しきい値を変更して下さい」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ404で、変更されたしきい値の入力待ちに入る。
【0157】
オペレータにより所望のしきい値(以下、ユーザしきい値と称す)が入力されると、ステップ406へ進み「原稿をセットしてスタートボタンを押して下さい」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ408でスタートボタン66の操作待ちに入る。
【0158】
そして、オペレータがプラテンカバー24を開いて原稿をセットし、プラテンカバー24を閉じてスタートボタン66を押す。この動作に並行して、上記入力したユーザしきい値を使用して、前記セットした原稿を対象として図9のエリアセンシング処理及び図10の原稿サイズ判定処理が実行され、原稿サイズが求められる。
【0159】
スタートボタン66が押されたことにより、ステップ408で肯定判定されステップ410へ進み「原稿サイズはxxです。しきい値をセーブしてよろしいですか、yorn?」というメッセージをディスプレイ62に表示させる。なお、上記メッセージ内のxxには、上記求められた原稿サイズ(例えば、A4やB4等)が入る。そして、次のステップ412ではnボタンが押されたか否かを判定する。
【0160】
入力されたしきい値が適切な値でないため、原稿サイズが本来とは異なるサイズであると誤って判断された場合、オペレータはnボタンを押す。この場合、ステップ412で肯定判定されステップ402へ戻り、再度しきい値の入力を促すメッセージをディスプレイ62に表示させる。一方、オペレータによりnボタン以外のボタンが押された場合はステップ414へ進み、yボタンが押されたか否かを判定する。
【0161】
入力されたしきい値が適切な値であったため、原稿サイズが正しく判断された場合、オペレータはyボタンを押す。この場合、ステップ414で肯定判定され処理を終了する。
【0162】
これにより、ユーザしきい値として、上記原稿サイズを正しく判断できるような適切な値が設定されることになる。
【0163】
以上のようにして適切なユーザしきい値を設定した後、オペレータは該ユーザしきい値を使用する(有効とする)時間帯を設定するためのユーザしきい値使用時間帯設定処理の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図27に示すユーザしきい値使用時間帯設定処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。
【0164】
図27のステップ422では「ユーザしきい値を常時使用しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、その応答(yかnか)を判定する。ここでyの応答であった場合は、ユーザしきい値を常時使用すると判断できるので、後述するステップ436へ進む。
【0165】
一方、ステップ422でnの応答であった場合はステップ424へ進み「タイマーを使用しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、その応答(yかnか)を判定する。ここでnの応答であった場合は、後述するステップ436へ進む。
【0166】
一方、ステップ424でyの応答であった場合はステップ426へ進み「タイマーを設定しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、その応答(yかnか)を判定する。ここでnの応答であった場合は、後述するステップ436へ進む。
【0167】
一方、ステップ426でyの応答であった場合はステップ428へ進み「使用開始時刻を入力して下さい?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ430で使用開始時刻の入力待ちに入る。
【0168】
オペレータにより使用開始時刻T1が入力されると、ステップ432へ進み「使用終了時刻を入力して下さい?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、次のステップ434で使用終了時刻の入力待ちに入る。
【0169】
オペレータにより使用終了時刻T2が入力されると、ステップ436へ進み「使用時間帯設定処理を終了しますか?」というメッセージをディスプレイ62に表示させ、その応答(yかnか)を判定する。ここでnの応答であった場合はステップ422へ戻り、yの応答であった場合は処理を終了する。
【0170】
これにより、使用開始時刻T1及び使用終了時刻T2が記憶され、それらの間の時間帯(T1〜T2)がユーザしきい値使用時間帯として設定される。
【0171】
以上説明したユーザしきい値設定処理(図26)やユーザしきい値使用時間帯設定処理(図27)を実行した後に、オペレータは、ユーザしきい値が上記設定した使用時間帯に有効となるように、該ユーザしきい値をデフォルトのしきい値(以下、固定値と称す)と置換するためのユーザしきい値置換処理(図28)の実行をキーボード64によって指示する。この指示により、図28に示すユーザしきい値置換処理の制御ルーチンが制御部54によって実行開始される。なお、このユーザしきい値置換処理は、継続して実行され、図10の原稿サイズ判定処理の実行時も該原稿サイズ判定処理と並行して実行される。
【0172】
図28のステップ442ではタイマを使用する設定になっているか否かを判定し、タイマを使用する設定になっていない場合はステップ444へ進み、ユーザしきい値を常時使用する設定になっているか否かを判定する。ここで、常時使用する設定になっている場合にはステップ446へ進み、しきい値を固定値からユーザしきい値に置換する。
【0173】
一方、ステップ442でタイマを使用する設定になっている場合はステップ448へ進み、現在の時刻が使用開始時刻T1になったか否かをタイマを用いて判定する。現在の時刻が使用開始時刻T1になった時点でステップ448で肯定判定されステップ454へ進み、しきい値を固定値からユーザしきい値に置換する。
【0174】
一方、現在の時刻が使用開始時刻T1でない場合はステップ450へ進み、現在の時刻が使用終了時刻T2になったか否かをタイマを用いて判定する。現在の時刻が使用終了時刻T2になった時点でステップ450で肯定判定されステップ452へ進み、しきい値をユーザしきい値から固定値に置換する(戻す)。
【0175】
なお、現在の時刻が使用開始時刻T1でも使用終了時刻T2でもない場合はステップ442へ戻り処理を繰り返す。
【0176】
上記のユーザしきい値置換処理により、常時使用する設定になっている場合には直ちにユーザしきい値がしきい値として設定される。また、タイマを使用する設定になっている場合には、使用開始時刻T1から使用終了時刻T2の間だけ、ユーザしきい値がしきい値として設定される。
【0177】
このように本第5実施形態によれば、しきい値を所望の値に設定すること及び所望の時間帯に有効とすることができるので、画像読取装置10が例えば、蛍光灯の真下や、太陽光が差し込む窓際等に設置された場合でも、しきい値やそれを有効とする時間帯を適宜設定することにより、設置環境や時間による環境変化に適切に対応することができ、原稿サイズの誤検知を未然に防止することができる。
【0178】
なお、上記第1〜第5実施形態では、原稿の画像を読取るために設けられたCCDラインセンサ44を用いて原稿のサイズの判定も行うようにしていたが、これに限定されるものではなく、原稿の画像を読取ることなく、原稿を反射した光を感光体ドラムに直接照射することにより原稿の画像を記録用紙に記録する画像記録装置において、本発明に係る画像読取装置を、原稿のサイズを判定するのみの目的で設けてもよい。
【0179】
また、上記第1〜第5実施形態では光電変換器としてCCDラインセンサ44を適用した場合を説明したが、これに限定されるものではなく、MOS型イメージセンサ等の公知の各種光電変換器を適用可能である。また、上記では透明部材としてプラテンガラス16を例に説明したが、ガラス以外に合成樹脂等の他の材料を用いて透明部材を構成することも可能である。
【0180】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、装置が設置された環境の要因(外光等)を考慮して正確に求められた、遮蔽前代表値についての比較結果と遮蔽後代表値についての比較結果との組合せに基づいて原稿のサイズを判断するので、環境の要因に影響されることなく原稿のサイズを正確に判定することができる、という効果が得られる。
【0181】
また、原稿に記録されている画像を読み取るために設けられた光電変換素子を用いて上記のようにして原稿のサイズを判断するので、原稿のサイズ検出専用に多数のセンサを設ける必要はなく、装置の構成を簡単にすることができる、という効果も得られる。また、原稿サイズ検出のためのプリスキャンも必要としないため、プリスキャンが画像読取装置の処理能力(例えば単位時間当りの複写枚数等)の向上のネックになるという問題を解消することができる、という効果も得られる。
【0182】
また、請求項2記載の発明によれば、外光の影響分を加味した第1のしきい値を設定することができ、(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を小さくした上で正確に行うことができる、という効果が得られる。なお、第2のしきい値についても、外光の影響分を加味した値を設定することができ、環境の要因による影響を小さくした上で正確な比較を行うことができる。
【0183】
また、請求項3記載の発明によれば、各小領域における外光の影響分を加味した適切な第1のしきい値を各小領域毎に設定することができ、(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と各小領域毎の第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる、という効果が得られる。なお、第2のしきい値についても、各小領域における外光の影響分を加味した適切な値を各小領域毎に設定することができ、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確な比較を行うことができる。
【0184】
また、請求項4記載の発明によれば、各小領域における外光による最大影響分を加味したより適切な第1のしきい値を各小領域毎に設定することができ、(原稿が透明部材上に載置された状態での)各小領域毎の画像情報の遮蔽前代表値と各小領域毎の第1のしきい値との比較を、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確に行うことができる、という効果が得られる。なお、第2のしきい値についても、各小領域における外光による最大影響分を加味したより適切な値を各小領域毎に設定することができ、環境の要因による影響を更に小さくした上でより正確な比較を行うことができる。
【0185】
また、請求項5記載の発明によれば、画像読取装置が例えば、蛍光灯の真下や、太陽光が差し込む窓際等に設置された場合でも、ユーザがしきい値変更手段によって第1のしきい値や第2のしきい値を所望の値に変更することにより、原稿サイズの誤検知を防止することができる、という効果が得られる。
【0186】
また、請求項6記載の発明によれば、画像読取装置が窓際に設置され特定の時間帯(例えば、西日が差し込む夕方等)に外光による影響がありうる場合に、ユーザは有効時間帯設定手段によって第1のしきい値を有効とする時間帯や、第2のしきい値を有効とする時間帯を所望の時間帯に設定することができるので、所望の時間帯に、変更した第1のしきい値や第2のしきい値を有効とし、時間による環境の変化に適切に対応することができる、という効果が得られる。
【0187】
更に、請求項7記載の発明によれば、透明部材の遮蔽時に該透明部材に対向する面が白色とされているので、裏写りによる画質への影響を無くすことができ、正確に原稿のサイズを判断することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る画像読取装置の外観を示す斜視図である。
【図2】(A)はプラテンカバーが起立している状態、(B)はプラテンカバーが起立状態から所定角度以上回動され、アングルセンサがオンされた状態を各々示す画像読取装置の側面図である。
【図3】画像読取装置の筐体内に配設された光学系の概略構成を示す断面図である。
【図4】画像読取装置の制御部及びその周辺の構成を示す概略ブロック図である。
【図5】プラテンガラス上におけるセンシングエリアを示す平面図である。
【図6】CCDラインセンサの受光部上に設定された、原稿のサイズ検出の際のセンシング領域を示す概念図である。
【図7】サイズ検知部で実行される信号生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】ライン同期信号、ビデオクロック信号、センシングエリア信号、画像データ及びビデオサンプリング信号の関係を示すタイミングチャートである。
【図9】サイズ検知部で実行されるエリアセンシング処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】制御部で実行される原稿サイズ判定処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】第1実施形態におけるモード設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】第1実施形態における分離モード用しきい値設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】第2、第3、第4実施形態におけるしきい値設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】第2実施形態における閉じかけ状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】第2実施形態における閉じた状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】第2実施形態における閉じかけ状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図17】第2実施形態における閉じた状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図18】第3実施形態における閉じかけ状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図19】第3実施形態における閉じた状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図20】第3実施形態における閉じかけ状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図21】第3実施形態における閉じた状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図22】第4実施形態における閉じかけ状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】第4実施形態における閉じた状態用しきい値の算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】第4実施形態における閉じかけ状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図25】第4実施形態における閉じた状態用しきい値の設定手順を説明するための図である。
【図26】第5実施形態におけるユーザしきい値設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図27】第5実施形態におけるユーザしきい値使用時間帯設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図28】第5実施形態におけるユーザしきい値置換処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10 画像読取装置
16 プラテンガラス(透明部材)
24 プラテンカバー(カバー)
28 アングルセンサ
30 プラテンインタロックセンサ
44 CCDラインセンサ
54 制御部
58 サイズ検知部
60 光センサ
62 ディスプレイ
64 キーボード
Claims (7)
- 光電変換素子を多数備えた光電変換器によって板状の透明部材上に載置された原稿を光学的に走査して、前記原稿に記録されている画像を読み取る画像読取装置であって、
前記透明部材を遮蔽する遮蔽位置及び透明部材が露出する露出位置に移動可能なカバーと、
前記透明部材上の略一定の位置各々に載置されるサイズの異なる複数種の原稿の各々の特定の一辺に跨がるエリアに対応する複数の小領域内の光電変換素子の各々から出力される信号に基づいて、各小領域内の画像情報の代表値を算出する代表値算出手段と、
前記カバーにより透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値と第1のしきい値とを比較すると共に、前記カバーにより透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値と、前記第1のしきい値と異なる第2のしきい値とを比較する比較手段と、
各小領域毎の前記比較手段による比較結果の組合せに基づいて、透明部材上に載置された原稿のサイズを判断するサイズ判断手段と、
を有する画像読取装置。 - 原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値に基づいて第1のしきい値を設定すると共に、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値に基づいて第2のしきい値を設定するしきい値設定手段を更に有する請求項1記載の画像読取装置。
- 前記しきい値設定手段は、
各小領域毎に第1のしきい値及び第2のしきい値を設定する、
ことを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。 - 前記しきい値設定手段は、
原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽される前における各小領域毎の画像情報の代表値、及び該各小領域毎の画像情報の代表値における最大値と最小値との差に基づいて、各小領域毎に第1のしきい値を設定すると共に、原稿が透明部材上に載置されていない状態で透明部材が遮蔽された後における各小領域毎の画像情報の代表値、及び該各小領域毎の画像情報の代表値における最大値と最小値との差に基づいて、各小領域毎に第2のしきい値を設定することを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。 - 前記第1のしきい値及び前記第2のしきい値の各々を所望の値に変更するためのしきい値変更手段を更に有する請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の画像読取装置。
- 変更された第1のしきい値を有効とする時間帯及び変更された第2のしきい値を有効とする時間帯の各々を所望の時間帯に設定するための有効時間帯設定手段を更に有する請求項5記載の画像読取装置。
- 前記カバーは、透明部材の遮蔽時に該透明部材に対向する面が白色とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の画像読取装置。
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