JP3679470B2 - 端子間シールドコネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータのインターフェース用として使用される高速用の端子間シールドコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータでの電波の信号スピードは極めて早くなり、そのため、信号間に混線が発生する危険性が高まって、このノイズ対策が必要である。そのため、従来から絶縁性樹脂で成形された一次成形品であるシェルの壁内にシールド板を圧入することにより埋設したものがあり、このような端子間シールにより端子間に流れる電波を遮断することが必要になっている。そこで、本願出願人は、先にシェル(ハウジング)と、端子ピン挿着体と、端子ピンとからなり、上記シェルは、合成樹脂製で複数の貫通孔を有しかつ全面にシールド用の無電解メッキとして銅メッキを施してあり、上記端子ピン挿着体は、絶縁性樹脂製であり上記シェルの上記貫通孔を被覆しかつ端子ピン挿着孔を有し、上記端子ピンは、上記端子ピン挿着孔に挿着してあることを特徴とする端子間シールドコネクタを提案した(特願平7−175631号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一次成形品に施された銅メッキは、電界によるノイズ対策としては導電性が高いので有効であるが、磁界によるノイズに対しては透磁性がないためシールド効果がない。
【0004】
そこで本発明の目的は、電界、磁界の両方によるノイズに対するシールドの信頼性をさらに高め、軽量化を実現し、製造コストの低減を図ることのできる端子間シールドコネクタおよびその製法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る端子間シールドコネクタの特徴は、シェルと、端子ピン挿着体と、複数の端子ピンとからなり、上記シェルは、合成樹脂製で複数の貫通孔を有しかつ全面にシールド用メッキが施してあり、上記メッキは、下地の銅メッキに透磁性金属メッキを施した二重層構造であり、上記端子ピン挿着体は、絶縁性樹脂製であり上記シェルの上記貫通孔を被覆しかつ端子ピン挿着孔を有し、上記端子ピンは、上記端子ピン挿着孔のそれぞれに挿着してあり、上記複数の端子ピンの間及びこの端子ピンの外側は、上記シェルを芯部としてその全周は第1段、第2段の二段階のシールド作用をするための上記二重層構造のシールド用メッキによってシールドされており、上記端子ピンからの磁界ノイズは上記第1段の透磁性金属メッキでシールドされ、この透磁性金属メッキを通過した磁界ノイズは上記第2段の透磁性金属メッキによりシールドでき、上記端子ピンからの電界ノイズは上記第1段の銅メッキでシールドされ、この銅メッキを通過した電界ノイズは上記第2段の銅メッキによりシールドできるところにある。
【0006】
本発明に係る端子間シールドコネクタの第2の特徴は、上記シェルの素材が液晶ポリマーであるところにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。端子間シールドコネクタは雄型コネクタと雌型コネクタとを嵌合し、一体化させてからこの雌型コネクタを回路基板に実装するものであるが、この雄、雌の両型コネクタは本発明の技術的思想において実質的に同一構成のものであるので、本発明の実施の形態では、図6に示す雄型コネクタを参照してその製法について説明し、雌型コネクタの説明は省略する。
【0008】
先ず、図1に示すように、合成樹脂により一次成形品であるシェル(Shell)1を成形し、このシェルには複数の貫通孔1a…が上下方向に2列の貫通状態で射出成形してある。このシェル1の素材の合成樹脂としては、単一のプラスチックのみならず、ガラス繊維、ピロリン酸カルシウム、チタン酸カリウル繊維などのフィラーを混入したもの、その他液晶ポリマーが使用され、このポリマーとしては、芳香族系ポリエステル液晶ポリマー、熱可塑性結晶ポリエステル樹脂がある。その後、図2に示すように、シェル1の全面にシールド用のメッキ2が施されるが、予めこのメッキ用の触媒を付与しておくことが必要である。この触媒付与方法には、実用的なものとしてキャタリスト・アクセレータ法とセンシタイジング・アクチペーチング法とがあり、前者は、錫,パラジウム系の混合触媒液に浸漬した後、塩酸,硫酸などの酸で活性化し、シェルの表面にパラジウムを析出させる方法である。後者は、先ず塩化第1錫,次亜リン酸,塩化ヒトラジンなどの比較的強い還元剤をシェル表面に吸着させ、ついでパラジウム、金などの貴金属イオンを含む触媒溶液に浸漬し、このシェル表面に貴金属を析出させる方法である。
【0009】
シールド用のメッキ2は、図3,4に示すように、先ず下地として無電解の銅メッキ21をした後、さらにこの銅メッキの上に透磁性金属メッキ例えば電界ニッケル・鉄メッキ22を施し二重層とする。このニッケル・鉄メッキ22は、ニッケル80%、鉄20%のアロイメッキで、鉄を含んでいるため透磁性が極めて高い。また、メッキ厚は、銅メッキ21が5ミクロン、ニッケル・鉄メッキ22が10ミクロン程度であれば、低周波領域のノイズ例えば50KHz〜3GHzでのシールドは十分である。
【0010】
その後、図3〜5に示すようにシェル1の貫通孔1a内に絶縁性樹脂を充填することにより、複数の端子ピン挿着孔3a…を有する端子ピン挿着体3を射出成形して二次成形品を成形する。なお、前記の絶縁性樹脂としては、液晶ポリマーが使用され、このポリマーとしては、芳香族系ポリエステル液晶ポリマー、熱可塑性結晶ポリエステル樹脂がある。
【0011】
二次成形品の端子ピン挿着孔3a…のそれぞれには、端子ピン4…を挿着し、図6に示す完成品としての雄型コネクタ5ができる。
【0012】
したがって、雄型コネクタ5の内部構造は、図3,4に示すように、2列の端子ピン4,4の間は、シェル1を芯部としてその両側(全周)は、二重層のメッキ21,22が施してある。即ち、両端子ピン4,4の間は、シェル1を芯部として両側の二重層メッキ21,22により二段階のシールド作用を有する。さらに、2列の端子ピン4,4のそれぞれの外側も、シェル1を芯部として2段階の二重層メッキ21,22により2段階のシールド作用を有する。
【0013】
次に本発明の作用について説明すると、図7,8に示すように雄型コネクタ5のシェル1の全面にシールド用のメッキ2の銅メッキ21とニッケル・鉄メッキ22の二重層である。なお、雌型コネクタも図示していないが、雄型コネクタ5同様にそのシェルの全面にメッキが施してあり、このメッキも、銅メッキとニッケル・鉄メッキの二重層としてあるので、銅メッキ21は、その導電性により電界ノイズをシールドし、ニッケル・鉄メッキ22は、その高透磁性により磁界ノイズをシールドするものである。
【0014】
さらに具体的に説明する。先ず磁界ノイズのシールドについて説明すると、図7に示すように、端子ピン4…からのノイズN1はニッケル・鉄メッキ22によりシールドされて、ノイズN2のようにシールドされる。また、磁界ノイズN1が、もしニッケル・鉄メッキ22を通過しても、この磁界ノイズは減衰しており、この減衰した磁界ノイズは第1段の下地の銅メッキ21を通過し、ノイズN3となって芯部たるシェル1内部を通過し、第2段の銅メッキ21も通過するが、この第2段のニッケル・鉄メッキ22により完全にシールドされ、ノイズN4のように内部反射するため磁界ノイズの透過波はなくなる。これは、ニッケル・鉄メッキ22に、もしピンホールがあった場合も同様なシールド効果を有する。
【0015】
電界によるノイズは、図8のN10に示すように導電体であるニッケル・鉄メッキ22において、少なくとも一部はシールドされる。一部の電界ノイズがこのニッケル・鉄メッキを透過しても、このニッケル・鉄メッキよりも高い導電性である銅メッキ21の前面で内部反射するため、N20に示すようにこのノイズは完全にシールドされる。また、電界ノイズN10が、もし第1段の銅メッキ21を通過することがあっても、ノイズはN30に示すように直ちに減衰し、芯部たるシェル1を通過しても、このノイズはN40に示すように第2段の銅メッキ21により内部反射して遮断され、この電界ノイズの透過波はなくなり、シールド効果は完全かつ確実となる。これは第1段の銅メッキ21にピンホールがあった場合でも、電界ノイズに対するシールド効果において同一である。
【0016】
また、下地の銅メッキ21の腐食は、ニッケル・鉄メッキ22により防止されるばかりでなく、この銅メッキは、その線膨脹係数(0.1678)が、一次成形品のシェル1の素材の液晶ポリマーに比較的に近いので熱環境変化に対した密着性が確保できる。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、一次成形品であるシェルには、銅と透磁性金属の二重層のメッキしてあるので、電界、磁界両方のノイズに対するシールドの信頼性をさらに高め、二重層にすることで周波数に応じて必要最小限の厚さにすることで軽量化を実現し、構造および製造工程が簡単になっているので製造コストの低減を図ることができる。特に、端子ピンはシェルを芯部として2段階の二重層構造のシールド用メッキによってシールドされているので、電界、磁界両方のノイズに対するこのシールド効果はさらに確実である。また、一次成形品の素材として液晶ポリマーを使用した場合は、銅メッキはこの一次成形品との密着性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 雄型コネクタの一次成形品の斜視図である。
【図2】 雄型コネクタの一次成形品にシールド用メッキを施した状態の斜視図である。
【図3】 図6a−a線拡大断面図である。
【図4】 図3のA部の拡大断面図である。
【図5】 端子ピン挿着体を形成した二次成形品と端子ピンとを展開して示す斜視図である。
【図6】 雄型コネクタの完成品の斜視図である。
【図7】 図4を更に拡大し磁界によるノイズのシールド状態を示す拡大断面図である。
【図8】 図4を更に拡大し電界によるノイズのシールド状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 一次成形品(シェル)
1a 貫通孔
2 シールド用のメッキ
21 下地の銅メッキ
22 透磁性金属メッキ(ニッケル・鉄メッキ)
3 端子ピン挿着体
3a 端子ピン挿着孔
4 端子ピン
5 雄型コネクタ

Claims (2)

  1. シェルと、端子ピン挿着体と、複数の端子ピンとからなり、
    上記シェルは、合成樹脂製で複数の貫通孔を有しかつ全面にシールド用メッキが施してあり、
    上記シールド用メッキは、下地の銅メッキに透磁性金属メッキを施した二重層構造であり、
    上記端子ピン挿着体は、絶縁性樹脂製であり上記シェルの上記貫通孔を被覆しかつ端子ピン挿着孔を有し、
    上記端子ピンは、上記端子ピン挿着孔のそれぞれに挿着してあり、
    上記複数の端子ピンの間及びこの端子ピンの外側は、上記シェルを芯部としてその全周は第1段、第2段の二段階のシールド作用をするための上記二重層構造のシールド用メッキによってシールドされており、
    上記端子ピンからの磁界ノイズは上記第1段の透磁性金属メッキでシールドされ、この透磁性金属メッキを通過した磁界ノイズは上記第2段の透磁性金属メッキによりシールドでき、
    上記端子ピンからの電界ノイズは上記第1段の銅メッキでシールドされ、この銅メッキを通過した電界ノイズは上記第2段の銅メッキによりシールドできる
    ことを特徴とする端子間シールドコネクタ。
  2. 請求項1において、上記シェルの素材は液晶ポリマーである
    ことを特徴とする端子間シールドコネクタ。
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