JP3678662B2 - 水素製造方法およびそれに用いる装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体産業向け等の高純度水素を製造する水素製造方法およびそれに用いる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、高純度水素を製造する水素発生・精製装置は、水蒸気改質法あるいは部分酸化法を用いて低純度水素ガスを発生する水素発生部と、上記低純度水素ガス中の不純物を常温吸着法および低温吸着法を用いて除去する精製部とを備えている。また、上記低温吸着法を用いた精製部の寒冷源として、外部から供給される液体窒素が用いられている。
【0003】
このような水素発生・精製装置の概略フロー図を、図2に示す。図において、11は水蒸気改質炉であり、これに導入した天然ガス(NG)とスチームをNi系触媒の作用により水蒸気改質させ、低純度水素ガス,CO等を含むプロセスガスを生成させる。12はCO変成器であり、上記水蒸気改質炉11で生成させたプロセスガスを導入し、このプロセスガス中のCOを酸化鉄系触媒の作用によりシフト転化させる。これら水蒸気改質炉11とCO変成器12で水素発生部が構成されている。13は熱交換器であり、上記CO変成器12を経たプロセスガスを、後述する低温吸着部16から導出される気液混合状態の液体窒素(LN2 )で冷却して降温させる。14は上記熱交換器13を経たプロセスガス中のドレン水(凝縮水分)を外部に放出するドレン器である。15はモレキュラーシーブ,活性アルミナ,活性炭等の吸着剤を収容する常温吸着部(常温吸着法を用いた精製部)であり、上記ドレン器14を経たプロセスガスを導入し、上記吸着剤により、プロセスガス中の不純物のうちH2 O,CO2 を常温で吸着除去する。16は上記常温吸着部15を経たプロセスガスを導入する低温吸着部(低温吸着法を用いた精製部)であり、活性炭等の吸着剤を収容する収容部(図示せず)と、外部から供給されたLN2 を通す熱交換器16aとを備えている。そして、この熱交換器16aを通過するLN2 の寒冷エネルギーで収容部を低温に保持した状態で、収容部の吸着剤により、プロセスガス中の不純物のうちCH4 ,CO,N2 ,Ar等を吸着除去する。17は上記低温吸着部16を経たプロセスガス(すなわち、高純度水素)を製品水素として取り出す製品水素取出管である。
【0004】
このような水素発生・精製装置は、低温吸着部16を設けることで製品水素の高純度化を可能にしている。また、上記低温吸着部16の熱交換器16aに外部から供給されたLN2 は、両熱交換器13,16aを通過する際に熱交換されて窒素ガス(GN2 )となったのちに熱交換器13から導出されるが、導出後にGN2 の有効な利用方法がない場合には、大気に放出される。また、原料として液化天然ガス(LNG)を用いる場合には、このLNGを気化させる蒸発器18が必要になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の水素発生・精製装置では、低温吸着部16において、吸着剤およびプロセスガスの冷却にLN2 を使用した場合に必要となるLN2 流量は低純度水素ガス流量の約10%であり、水素製造コストを大幅に増加させている。しかも、熱交換器16aに外部から供給したLN2 は、両熱交換器13,16a通過後に有効な利用方法がない場合には、そのまま大気に放出されるため、水素製造コストの増加になっている。さらに、原料としてLNGを用いる場合には、蒸発器18が必要になることに加えて、LNGの貴重な寒冷エネルギーを損失するため、設備価格やランニングコストの増加原因となっている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、水素製造コストを大幅に削減することができ、しかも、貴重な寒冷エネルギーの損失をなくし、さらに、設備価格やランニングコストを削減することのできる水素製造方法およびそれに用いる装置の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、炭化水素を原料として製造した水素を低温吸着部に導入しこの低温吸着部を通過する際に水素中の不純物を低温状態で吸着除去して精製する方法であって、上記低温状態に保持するための寒冷源として、液化炭化水素の冷熱を利用し、上記寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素を上記水素の組成原料として用いるようにした水素製造方法を第1の要旨とし、炭化水素を原料として水素を製造する水素発生部と、この水素発生部で製造した水素を導入して水素中の不純物を低温状態で吸着除去して精製する低温吸着部とを備え、上記低温状態に保持するための寒冷源として、低温吸着部に液化炭化水素を導入し、上記寒冷源としての作用を終えて気化したのち低温吸着部から導出した炭化水素を上記水素の組成原料として水素発生部に供給するように構成した水素製造装置を第2の要旨とする。
【0008】
すなわち、本発明の水素製造方法は、炭化水素を原料として製造した水素を低温吸着部に導入しこの低温吸着部を通過する際に水素中の不純物を低温状態で吸着除去して精製する方法であり、上記低温状態に保持するための寒冷源として、液化炭化水素の冷熱を利用し、上記寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素を上記水素の組成原料として用いるようにしている。このように、本発明の水素製造方法は、低温吸着部において、ここを通過する水素や低温吸着部の吸着除去手段を液化炭化水素の冷熱(すなわち、寒冷エネルギー)により冷却して低温状態に保持するとともに、上記水素や吸着除去手段との熱交換により気化した炭化水素を上記水素の組成原料として用いるようにしている。したがって、液化炭化水素の形態で炭化水素をタンク等の貯蔵手段に貯蔵し、この貯蔵手段から供給される液化炭化水素の冷熱を、上記低温状態に保持するための寒冷源として利用したのち、上記寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素を上記水素の組成原料として利用することができる。このため、従来例のように、LN2 を外部から供給して低温吸着部を冷却する必要がなく、水素製造コストを大幅に削減することができる。しかも、原料となる液化炭化水素が持つ貴重な寒冷エネルギーを損失することがない。さらに、液化炭化水素を気化させて炭化水素を生成するための特別な手段、例えば、従来例のような蒸発器18が必要でなく、設備価格やランニングコストを削減することができる。
【0009】
また、本発明の水素製造装置でも、上記水素製造方法と同様に、液化炭化水素の形態で炭化水素をタンク等の貯蔵手段に貯蔵し、この貯蔵手段から供給される液化炭化水素を低温吸着部に導入し、この低温吸着部で液化炭化水素の冷熱を、上記低温状態に保持するための寒冷源として利用し、さらに、上記寒冷源としての作用を終えて気化したのち低温吸着部から導出した炭化水素を上記水素の組成原料として利用することができる。したがって、上記水素製造方法と同様に、上記優れた効果を奏する。なお、本発明において、「液化炭化水素」としては、LNG,液化プロパンガス(LPG)等が用いられ、LNGが好適に用いられる。また、「炭化水素」としては、NG,プロパンガス(PG)等が用いられ、NGが好適に用いられる。また、本発明において、「寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素」とは、低温吸着部を通過する水素や低温吸着部の吸着除去手段との熱交換により、液化炭化水素が完全に気化して液化炭化水素の全部が炭化水素となった場合における炭化水素だけでなく、上記熱交換により液化炭化水素が部分的に気化して液化炭化水素の一部だけが炭化水素となった(気液混合状態の液化炭化水素となった)場合における炭化水素をも含んでいる。この場合には、気液混合状態の液化炭化水素を低温吸着部から導出したのち、加温器等で完全に気化してから、水素の組成原料として利用してもよいし、一部気化した炭化水素だけを水素の組成原料として利用してもよい。
【0010】
本発明の水素製造方法において、上記炭化水素を原料として製造した水素を低温吸着部に導入するに先立って、上記水素を、寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素と熱交換させることにより、炭化水素の冷熱で降温させるようにした場合、および、本発明の水素製造装置において、上記水素発生部と低温吸着部との間に、水素発生部で製造した水素および寒冷源としての作用を終えて気化したのち低温吸着部から導出した炭化水素の双方を導入する熱交換器を設け、この熱交換器で炭化水素の冷熱により降温させた水素を低温吸着部に導入するように構成した場合には、炭化水素を原料として製造した水素を低温吸着部に導入するに先立って、上記水素を降温させるための寒冷源として、寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素の冷熱を有効利用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0012】
図1は本発明の水素製造装置の一実施の形態を示す概略フロー図である。この実施の形態では、図2に示す水素発生・精製装置において、LNGをLNG貯蔵タンク(図示せず)等の貯蔵手段に貯蔵している。そして、使用時には、LNGを貯蔵手段から導出し、低温吸着部16内の吸着剤およびプロセスガスの寒冷源として低温吸着部16の熱交換器16aに導入する。この熱交換器16aで寒冷源としての作用を終えて一部が気化したLNG(すなわち、気液混合状態のLNG)を熱交換器16aから導出し、その一部を加温器4に導入するとともに、その残部をCO変成器12,ドレン器14間の熱交換器13に導入する。これら加温器4および熱交換器13で気液混合状態のLNGを完全に気化させてNGとしたのち、水蒸気改質炉11に導入することを行う。したがって、この実施の形態では、図2に示す水素発生・精製装置のように、低温吸着部16の熱交換器16aにLN2 を外部から供給していない。
【0013】
より詳しく説明すると、図1において、1はLNG貯蔵タンク等の貯蔵手段から延びる第1導出管であり、低温吸着部16の熱交換器16aに接続している。2は上記熱交換器16aから延びる第2導出管であり、第1分岐管3を介して加温器4に接続し、第2分岐管5を介してCO変成器12,ドレン器14間の熱交換器13に接続している。上記加温器4には、熱交換器16aから第2導出管2に導出された気液混合状態のLNGの一部が第1分岐管3を介して導入されており、上記LNGの一部が加温器4で加温されて完全に気化され、常温のNGとなっている。また、上記熱交換器13には、熱交換器16aから第2導出管2に導出された気液混合状態のLNGの残部が第2分岐管5を介して導入されているとともに、CO変成器12を経たプロセスガスも導入されている。そして、上記熱交換器13において、LNGの残部の寒冷エネルギーでプロセスガスが冷却されて降温されており、プロセスガスの温熱エネルギーでLNGの残部が昇温されて完全に気化され、常温のNGとなっている。6は上記熱交換器13から延びる連結管であり、加温器4と水蒸気改質炉11とを接続するNG供給管7に接続している。それ以外の部分は図2に示す水素発生・精製装置と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。なお、上述したように、この実施の形態では、低温吸着部16の熱交換器16aにLN2 を外部から供給していない。
【0014】
上記構成において、例えば、つぎのようにして高純度水素を製造することができる。すなわち、まず、LNGを貯蔵手段から第1導出管1に導出し、低温吸着部16の熱交換器16aに導入する。この低温吸着部16では、熱交換器16aを通過するLNGを、低温吸着部16の収容部の活性炭等の吸着剤および低温吸着部16内を通過するプロセスガスと熱交換させ、LNGの一部を気化させる。つぎに、この一部を気化させたLNG(すなわち、気液混合状態のLNG)を熱交換器16aから第2導出管2に導出し、そのLNGの一部を第1分岐管3を介して加温器4に導入し、その残部を第2分岐管5を介して熱交換器13に導入する。そして、加温器4で上記LNGの一部を完全に気化させて常温のNGとし、熱交換器13で上記LNGの残部を完全に気化させて常温のNGとする。
【0015】
つぎに、加温器4および熱交換器13で得られた常温のNGをNG供給管7に通し、その一部を、NG供給管7から分岐する第1分岐供給管7aを介して、水蒸気改質炉11に熱を与えるための燃料として水蒸気改質炉11に導入する。また、上記常温のNGの残部を、NG供給管7から分岐する第2分岐供給管7bを介して、原料NGとしてスチームとともに水蒸気改質炉11内に導入し、Ni系触媒の作用により水蒸気改質させて、低純度水素ガス,CO等を含むプロセスガスを生成させる。つぎに、上記水蒸気改質炉11で生成させたプロセスガスをCO変成器12に導入し、このCO変成器12内で酸化鉄系触媒の作用によりCOをシフト転化させる。つぎに、上記CO変成器12で生成させたプロセスガスを熱交換器13に導入し、第2分岐管5を介して導入されるLNGの寒冷エネルギーで冷却して降温させたのちに、ドレン器14に導入してドレン水を除去する。つぎに、上記ドレン器14を経たプロセスガスを常温吸着部15に導入し、この常温吸着部15内のモレキュラーシーブ,活性アルミナおよび活性炭等の吸着剤により、プロセスガス中の不純物のうちH2 O,CO2 を常温で吸着除去する。つぎに、常温吸着部15から導出したプロセスガスを低温吸着部16に導入し、熱交換器16aを通過するLNGの寒冷エネルギーで、低温吸着部16内の吸着剤およびプロセスガスを所定の低温状態に保持し、上記吸着剤により、プロセスガス中の不純物のうちCH4 ,CO,N2 ,Ar等を吸着除する。このようにして得られたプロセスガス(すなわち、高純度水素)を製品水素取出管17により製品水素として取り出す。
【0016】
このように、上記実施の形態では、低温吸着部16の寒冷源として、水素発生部の原料および燃料となるNGの貯蔵形態であるLNGの寒冷エネルギーを損失することなく利用しているため、水素製造コストが大幅に削減できる。さらに、LNGを気化するための蒸発器18が必要でなく、設備価格やランニングコストが削減できる。
【0017】
【実施例】
つぎに、実施例を説明する。この実施例では、まず、原料および燃料となるLNGはLNG貯蔵タンクから第1導出管1に導出され、−150℃で低温吸着部16の熱交換器16aに導入される。この導入時のLNGの構成は、CH4 :88.91mol−%、その他の炭化水素:8.71mol−%、CO2 :0.15mol−%、N2 :2.23mol−%であり、圧力は1.04MPaである。
【0018】
LNGが熱交換器16aを通過する間に、低温吸着部16内の吸着剤およびプロセスガスとの熱交換により、LNGの寒冷エネルギーが上記吸着剤およびプロセスガスに伝えられ、LNG自身は−120℃程度まで温度上昇し、約50mol−%が気化される。この約50mol−%が気化されたLNGは熱交換器16aから導出されたのち、その一部が加温器4に導入され、その残部が、CO変成器12から出るプロセスガスを冷却するための熱交換器13に導入され、それぞれが加温器4,熱交換器13で完全に気化され、常温のNGとなる。
【0019】
そして、気化された常温のNGのうち、一部のNG(30〜45mol−%)は水蒸気改質炉11に熱を与えるための燃料として用いられ、残りのNGは、原料NGとしてスチームとともに水蒸気改質炉11内に導入される。この水蒸気改質炉11では、750〜850℃でNi系触媒により、主に下記の式(1)で示される改質反応を行う。
【0020】
【化1】
【0021】
スチーム流量はモル基準で原料NGの3〜4倍である。また、水蒸気改質炉11出口のプロセスガスの組成は、H2 :45.5mol−%、CO:6.8mol−%、CH4 :3.0mol−%、H2 O:37.6mol−%、N2 :0.3mol−%であり、圧力は0.89MPaである。
【0022】
つぎに、水蒸気改質炉11から導出されたプロセスガスはCO変成器12に導入される。このCO変成器12では、230〜270℃で酸化鉄系触媒により、主に下記の式(2)で示されるCOシフト反応を起こす。
【0023】
【化2】
【0024】
また、CO変成器12出口のプロセスガスの組成は、H2 :74.5mol−%、CO2 :17.9mol−%、CO:2.0mol−%、CH4 :4.3mol−%、H2 O:0.9mol−%、N2 :0.4mol−%であり、圧力は0.79MPaである。以上が水素発生部の工程である。
【0025】
つぎに、水素発生部を出たプロセスガスは熱交換器13を通って冷却され、ドレン器14を通ってドレン水を除去されたのち、常温吸着部15に導入される。この常温吸着部15では、モレキュラーシーブ,活性アルミナおよび活性炭等が吸着剤として用いられ、圧力差による吸着容量の差を利用したPSA法が行われており、主にH2 O,CO2 が除去される。また、この常温吸着部15出口のプロセスガスの組成は、H2 :91.7mol−%、CO:2.5mol−%、CH4 :5.3mol−%、N2 :0.5mol−%であり、圧力は0.74MPaである。
【0026】
そののち、常温吸着部15から導出されたプロセスガスは低温吸着部16に導入され、低温吸着部16の熱交換器16aに導入されたLNGの寒冷エネルギーで−120℃まで冷却されながら、残りのCH4 ,CO,N2 ,Ar等の微量成分が吸着除去される。その結果、H2 純度99.99999mol−%にまで精製され、製品水素となる。この低温吸着部16では、活性炭が吸着剤として用いられ、温度差による吸着容量の差を利用したTSA法が行われており、主にCH4 ,CO,N2 ,Ar等が吸着除去される。また、低温吸着部16の精製処理中の吸着剤およびプロセスガスには常にLNGから寒冷エネルギーが補給されており、−120℃に保たれている。また、製品水素回収率については、常温吸着部15で70〜80%で、低温吸着部16で95%である。
【0027】
なお、上記実施の形態では、水蒸気改質法を用いているが、これに限定するものではなく、部分酸化法を用いてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明の水素製造方法によれば、低温吸着部において、ここを通過する水素や低温吸着部の吸着除去手段を液化炭化水素の冷熱(すなわち、寒冷エネルギー)により冷却して低温状態に保持するとともに、上記水素や吸着除去手段との熱交換により気化した炭化水素を上記水素の組成原料として用いるようにしている。したがって、液化炭化水素の形態で炭化水素をタンク等の貯蔵手段に貯蔵し、この貯蔵手段から供給される液化炭化水素の冷熱を、上記低温状態に保持するための寒冷源として利用したのち、上記寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素を上記水素の組成原料として利用することができる。このため、従来例のようにLN2 を外部から供給して低温吸着部を冷却する必要がなく、水素製造コストを大幅に削減することができる。しかも、原料となる液化炭化水素が持つ貴重な寒冷エネルギーを損失することがない。さらに、液化炭化水素を気化させて炭化水素を生成するための特別な手段、例えば、従来例のような蒸発器18が必要でなく、設備価格やランニングコストを削減することができる。
【0029】
また、本発明の水素製造装置でも、上記水素製造方法と同様に、液化炭化水素の形態で炭化水素をタンク等の貯蔵手段に貯蔵し、この貯蔵手段から供給される液化炭化水素を低温吸着部に導入し、この低温吸着部で液化炭化水素の冷熱を、上記低温状態に保持するための寒冷源として利用し、つぎに、上記寒冷源としての作用を終えて気化したのち低温吸着部から導出した炭化水素を上記水素の組成原料として利用することができる。したがって、上記水素製造方法と同様に、上記優れた効果を奏する。
【0030】
本発明の水素製造方法において、上記炭化水素を原料として製造した水素を低温吸着部に導入するに先立って、上記水素を、寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素と熱交換させることにより、炭化水素の冷熱で降温させるようにした場合、および、本発明の水素製造装置において、上記水素発生部と低温吸着部との間に、水素発生部で製造した水素および寒冷源としての作用を終えて気化したのち低温吸着部から導出した炭化水素の双方を導入する熱交換器を設け、この熱交換器で炭化水素の冷熱により降温させた水素を低温吸着部に導入するように構成した場合には、炭化水素を原料として製造した水素を低温吸着部に導入するに先立って、上記水素を降温させるための寒冷源として、寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素の冷熱を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素製造装置の一実施の形態を示す概略フロー図である。
【図2】従来例の水素発生・精製装置を示す概略フロー図である。
【符号の説明】
16 低温吸着部
Claims (6)
- 炭化水素を原料として製造した水素を低温吸着部に導入しこの低温吸着部を通過する際に水素中の不純物を低温状態で吸着除去して精製する方法であって、上記低温状態に保持するための寒冷源として、液化炭化水素の冷熱を利用し、上記寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素を上記水素の組成原料として用いるようにしたことを特徴とする水素製造方法。
- 上記炭化水素が天然ガスで、上記液化炭化水素が液化天然ガスである請求項1記載の水素製造方法。
- 上記炭化水素を原料として製造した水素を低温吸着部に導入するに先立って、上記水素を、寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素と熱交換させることにより、炭化水素の冷熱で降温させるようにした請求項1または2記載の水素製造方法。
- 炭化水素を原料として水素を製造する水素発生部と、この水素発生部で製造した水素を導入して水素中の不純物を低温状態で吸着除去して精製する低温吸着部とを備え、上記低温状態に保持するための寒冷源として、低温吸着部に液化炭化水素を導入し、上記寒冷源としての作用を終えて気化したのち低温吸着部から導出した炭化水素を上記水素の組成原料として水素発生部に供給するように構成したことを特徴とする水素製造装置。
- 上記炭化水素が天然ガスで、上記液化炭化水素が液化天然ガスである請求項4記載の水素製造装置。
- 上記水素発生部と低温吸着部との間に、水素発生部で製造した水素および寒冷源としての作用を終えて気化した炭化水素の双方を導入する熱交換器を設け、この熱交換器で炭化水素の冷熱により降温させた水素を低温吸着部に導入するように構成した請求項4または5記載の水素製造装置。
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