JP3678456B2 - 走査型レーザ顕微鏡装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は反射観察光学系例えば蛍光観察光学系と透過観察光学系を具備した走査型レーザ顕微鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般の走査型レーザ顕微鏡で、試料(標本)に照射されたレーザの反射光を利用した蛍光観察と、前記レーザで試料を透過した透過光を利用した透過観察の両方を、同時に行うものとして、図13に示すものが、特願平5ー348803号明細書で出願されている。
【0003】
図13は色素Indo−1を使用したカルシウムイオンCa2+濃度測定(以下Indo−1観察と称する)と、透過観察を同時に行う走査型レーザ顕微鏡の概略図である。
【0004】
なお、Indo−1観察とは、351nmの励起光で、405nmと480nmの中心波長の蛍光を得て、それらを測光し、その比によりカルシウム濃度を求めるものである。例えば、405nmの比率が高いとカルシウム濃度が低く、480nmの比率が高いとカルシウム濃度が高いことになる。
【0005】
図13に示すように少なくとも351nmと515nmの波長のレーザビームを出射し試料10に照射するレーザ光源手段、例えばマルチラインアルゴンレーザ光源1、ビームエクスパンダ2、レーザラインフィルタ3、ダイクロイックミラー4、ガルバノメータスキャナ5,6、瞳投影レンズ7、プリズム8、対物レンズ9からなるものと、試料10により反射されるレーザビームを分離し、各々を測光用光路上に配置された複数のフォトマルチプライヤ20,26に導く測光分離手段、例えば対物レンズ9、プリズム8、瞳投影レンズ7、ガルバノメータスキャナ5,6、ダイクロイックミラー4、集光レンズ16、ダイクロイックミラー17、吸収フィルタ18、共焦点ピンホール19、反射ミラー22、吸収フィルタ24、共焦点ピンホール25からなるものと、フォトマルチプライヤ26への透過観察用可視光の入射を防ぐ光学手段、例えばダイクロイックフィルタ23とで構成され、透過観察光学系及び透過検出系を具備したものである。
【0006】
レーザ光源1から発振された351nmの励起光と、515nmの透過観察用光は、ビームエクスパンダ2により、所定の直径の光束に広げられ、レーザラインフィルタ3により、351nmと515nmのレーザ光のみ透過し、ダイクロイックミラー4により351nmと515nmが反射し、ガルバノメータスキャナ5,6を通り、瞳投影レンズ7、対物レンズ9により試料10上に集光する。
【0007】
なお、この集光位置はガルバノメータスキャナ5,6により試料10上を移動する。
ここで、試料10に集光された351nmのレーザ光は、405nmと480nmの蛍光を発生する。この2つ波長の光は、対物レンズ9、瞳投影レンズ7、ガルバノメータスキャナ5,6を前述とは逆方向に進み、ダイクロイックミラー4を透過する。
【0008】
そして、集光レンズ16を通り、測光用ダイクロィックミラー17により、405nmと480nmの光に分割され、共焦点ピンホール19,25を通り、フォトマルチプライヤ20 ,26へ導かれて検出する。
【0009】
一方、試料10に集光された515nmのレーザ光は、試料10を透過し、コンデンサレンズ11、ミラー12、集光レンズ13の透過観察光学系により、透過検出部14に導かれ、検出される。
【0010】
以上のような構成で、2つの蛍光405nmと480nmを測光するIndo−1観察と、515nmの透過光による透過観察を同時に行うことができる、走査型レーザ顕微鏡装置となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べた従来の走査型レーザ顕微鏡装置は、レーザ光の集光効果と合焦位置以外からの光を排除する共焦点光学系により、厚みのある組織標本を光学的にスライスすることができるというという特徴があり、コントラストがよく、分解能の高い観察を可能とし、またスライスした各画像を積み重ね、3次元観察を行うことも可能になる。
【0012】
以上のような効果を利用すると、試料中の異なる2面を観察し、同時に表示することが可能で、実際にカルシウム濃度測定を行う蛍光観察面と、細胞の全体像を見るための透過観察面で生細胞の厚みの中で光軸方向に異なる面を観察したいという要求がある。つまり、蛍光観察は、細胞の核等のあるところの試料の内部を、また透過観察は細胞の全体像を把握するために、試料の表層面を観察することである。
【0013】
前述した従来の走査型レーザ顕微鏡装置では、そのような観察を行う場合、最初に細胞内部の蛍光観察を行い、その後、ピエゾ素子等を用いてステージを光軸方向に移動する等で焦点面を光軸方向に動かし、細胞の表層面の透過観察を行うことになる。しかし、経時変化のない試料では前述の方法で問題がないが、生細胞のように時間と共に、常に動いて変化している試料の観察を行う場合、2つの観察をリアルタイムに行う必要があり、前述した従来の方法では正確に観察できない。
【0014】
本発明の目的は、前記不具合を解消し、光軸方向にずらした所望の2つの面の蛍光観察と透過観察を同時に行うことができる走査型レーザ顕微鏡装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、試料に照射して蛍光を励起するため又は前記試料からの反射光を得るための第1のレーザ光、並びに、この第1のレーザ光および励起される蛍光のいずれとも異なる波長であって、かつ前記試料を透過した透過光を得るための第2のレーザ光、を発振するレーザ光源と、
このレーザ光源からの第1および第2のレーザ光を前記試料上に集光させる対物レンズと、
この対物レンズと前記レーザ光源の間に配置され、前記第1および第2のレーザ光を走査するためのレーザ光走査手段と、
前記蛍光又は前記反射光を検出する第1の光検出手段と、
前記透過光を検出する第2の光検出手段と、
前記第1のレーザ光の光路および前記第2のレーザ光の光路を前記対物レンズに対して同軸に導く第1の光学手段と、
一方のレーザ光の光路に設けられ、その光路を通過するレーザ光の集光位置を他方のレーザ光の光路を通過するレーザ光の集光位置に対して任意に調節可能な第2の光学手段と、
を有する走査型レーザ顕微鏡装置である。
【0016】
前記目的を達成するため、請求項2に対応する発明は、前記第2の光学手段として、レーザ光を所定の直径に広げる複数の光学レンズからなるビームエクスパンダであって、前記光学レンズの少なくとも1個を光軸方向に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡装置である。
【0017】
前記目的を達成するため、請求項3に対応する発明は、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光が、それぞれ別のレーザ光源により発振されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡装置である。
前記目的を達成するため、請求項4に対応する発明は、前記第2の光学手段は、前記第2のレーザ光の光路に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の走査型レーザ顕微鏡装置である。
前記目的を達成するため、請求項5に対応する発明は、前記第2の光学手段は、前記対物レンズに入射する光を集束光または発散光に調節するものであることを特徴する請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡装置である。
【0018】
【作用】
請求項1に対応する発明によれば、試料からの蛍光観察を行うためのレーザ光の焦点位置に対して試料の透過光を観察するためのレーザ光の焦点位置を光軸方向に任意にずらすことが可能なので、光軸方向にずれた任意の2つの面の蛍光観察と透過観察を同時に行うことができる。
【0019】
請求項2に対応する発明によれば、透過光用レーザ光の焦点位置と蛍光用レーザ光の焦点位置をずらすために、特別光学系を必要としない。
請求項3に対応する発明によれば、第1のレーザ光と第2のレーザが、それぞれ別のレーザ光源に発振されるようにしたので、透過光用レーザ光の波長と蛍光用レーザの反射光の波長を離すことができ、透過、反射特性が向上する。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
<第1実施例>
第1実施例は図1〜図6に示すように構成され、その概略構成は次のようになっている。すなわち、第1のレーザ光としての試料10を励起して蛍光(試料10に入射した光により励起され、発生するもので、入射光とは波長の異なる光)を発生させる蛍光観察用レーザ並びに第2のレーザ光としての試料10を透過しかつ蛍光観察用レーザと発生する蛍光のいずれとも波長が異なる透過観察用レーザを得るためのレーザ光源例えばマルチラインアルゴンレーザ光源1と、
このレーザ光源1からのレーザ光を試料10上に集光させるための対物レンズ47と、この対物レンズ47とレーザ光源1の間に配置され、レーザ光を走査するためのレーザ光走査手段例えばXーYガルバノメータスキャナ43と、
前記蛍光を検出する第1の光検出手段例えばフォトマルチプライヤ58a,58bと、前記透過光を検出する第2の光検出手段例えば透過光検出器14と、前記レーザ光源1から発振された蛍光観察用レーザと透過観察用レーザをそれぞれ別の光路37、38に分岐させるダイクロイックミラー33aと、
分岐された蛍光観察用レーザの光路37と透過観察用レーザの光路38を対物レンズ47に向けて同軸に導く第1の光学手段例えばダイクロイックミラー33bと、前記透過観察用レーザ光の光路上に配置され、前記透過観察用レーザ光の焦点位置を、前記蛍光観察用レーザの焦点位置に対して光軸方向に移動可能な第2の光学手段例えばレンズ36a,36bからなるビームエクスパンダとを具備したものである。
【0021】
図1に示すように、ダイクロイックミラー33a,33bは、前記蛍光観察用レーザを透過し、透過観察用レーザを反射させるものである。ビームエクスパンダの光学系35および36a,36bは、ダイクロイックミラー33aにより分岐されたレーザ光路37および38上に配置されており、レンズ36bはレンズ枠39に保持されている。
【0022】
また、レンズ枠39は、摺動軸40を介して光軸方向に移動可能な構成となっている。また、ダイクロイックミラー33bは、光路37と38を同軸に導く位置にある。励起ダイクロイックミラー42は、蛍光観察用レーザ光と、透過観察用レーザ光を反射し、試料10から発生した蛍光の波長、この場合は405nmと480nmを透過するものである。
【0023】
XーYガルバノメータスキャナ43は、集光スポットをXーY方向に走査するものである。プリズム8は接眼観察光路に導くものである。
レーザ光源1から発振されたレーザ光は、レーザラインフィルタ32により、蛍光観察用の351nmと透過観察用の515nmのみ選択される。そして、ダイクロイックミラー33aにより351nmのレーザ光は、光路37に進み、ビームエクスパンダ35により、所定の直径の平行光に拡大される。
【0024】
また、515nmのレーザ光は、反射した光路38に進み、ビームエクスパンダ36a,36bにより、351nmのレーザ光と同様に所定の直径の平行光に拡大される。
【0025】
そして、ダイクロイックミラー33bにより、351nmのレーザ光と515nmのレーザ光は同軸に導かれ、ダイクロイックミラー42により、図1の下方に反射され、XーYガルバノメータスキャナ43、瞳投影レンズ7、結像レンズ46を通り、対物レンズ47により試料10上にスポットで焦光される。このスポットは、XーYガルバノメータスキャナ43によりXーY方向に試料10上を走査される。
【0026】
ここでは、515nmのレーザ光は、試料10を透過し、コンデンサレンズ11、ミラー12、集光レンズ13により検出器14を介してフレームメモリ15に導かれる。
【0027】
一方、試料10から発生した405nmと480nmの蛍光は、対物レンズ47、結像レンズ46、瞳投影レンズ7、XーYガルバノメータスキャナ43を前述とは逆方向に進み、ダイクロイックミラー42を通過する。そして、集光レンズ53を通り、測光ダイクロイックミラー54により405nmと480nmの2つの蛍光は分岐される。
【0028】
この分岐された405nmの蛍光は、吸収フィルタ56a、共焦点ピンホール57aを通り、フォトマルチプライヤ58aを介してフレームメモリ59aに導かれる。また分岐された480nmの蛍光は、それぞれ吸収フィルタ56b、共焦点ピンホール57bを通り、フォトマルチプライヤ58bを介してフレームメモリ59bに導かれる。
【0029】
そして、フレームメモリ59a,59bで405nmと480nmの光量比を算出し、透過観察の検出器14のフレームメモリ15のデータを処理して蛍光観察(この場合Indoー1の観察)と透過観察を同時に行うことになる。
【0030】
図2は、図1の試料10を拡大した図であり、試料10の厚さ方向で、蛍光観察面10´を蛍光観察する時に、透過観察面10aまたは10bのように、10´とは別の面を透過観察したい場合、透過観察用の光を、透過観察面10aまたは10bに集光させる必要がある。
【0031】
図3および図4は図1のビームエクスパンダ35付近を拡大した図であり、図5および図6は焦光面をずらした時の試料10、対物レンズ47の拡大図である。
【0032】
図3に示すように、透過光用レーザ光の515nmの光路上のビームエクスパンダのレンズ36a,36bのうち、レンズ枠39に固定されたレンズ36bを、左方向に所定量動かした状態を示す図である。
【0033】
この時、515nmのレーザ光は、レンズ36bを通り、透過観察用のレーザの光線38aのように発散光となる。また、蛍光観察用のレーザ光351nmは、ビームエクスパンダ35により、所定の大きさの平行光37´となる。この2つの351nmと515nmのレーザ光は、図1と同様に同じ光路を進み、図5で示すように351nmの平行光37´は対物レンズ47を出て試料10の蛍光観察面10´に集光し、515nmのレーザ光は対物レンズ47を出て試料10a面に集光する。
【0034】
図4は、透過光用レーザ光515nmの光路上のビームエクスパンダ35のレンズ36a,36bのうち、レンズ枠39に固定されたレンズ36bを右方向に所定量動かした状態を示す図である。このとき、515nmのレーザ光はレンズ36bを通り、光線38bのように集束光となる。
【0035】
また、蛍光観察用のレーザ光351nmは、図3と同じように平行光37´となる。この2つの351nmと515nmのレーザ光は、図1で説明した光路とき同じ光路を進み、図6で示すように、351nmの平行光37´は試料10の蛍光観察面10´に集光し、515nmのレーザ光38bは試料10の透過観察面10bに集光する。従って、図3および図4でのレンズ枠39の移動量を調整することにより、透過観察面(焦点面)10a,10bを光軸方向に任意にずらして観察できる。
【0036】
以上説明したように、透過光用レーザのレーザ光路上にあるビームエクスパンダの光学系であるレンズ36a,36bを動かして透過光用レーザの焦点面を蛍光観察用レーザの焦点面に対して任意にずらすことができるようにしたので、厚さのある試料10の2つの透過観察面10a,10bの透過観察、蛍光観察をリアルタイムに行うことが可能な走査型レーザ顕微鏡が得られる。
【0037】
<第2実施例>
第2実施例は図7〜図9に示すように構成され、第1実施例と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。図1とは異なる点は、図1のレーザ光源1と励起ダイクロイックミラー42の間に設けた構成を、励起ダイクロイックミラー42g、透過観察用レーザの光路61、Green HeーNeレーザ光源62、レーザラインフィルタ63、ビームエクスパンダ64、第1の光学手段を構成するダイクロイックミラー65、ビームエクスパンダのレンズ66a,66b、レンズ枠67、摺動軸68とで構成したものである。
【0038】
すなわち、レーザラインフィルタ63はレーザ光源1からのレーザ光のうち、蛍光観察用の351nmのレーザ光のみ透過させるものである。ビームエクスパンダ64は、レーザラインフィルタ63を透過したレーザ光の直径を拡大するものである。レンズ枠67にはビームエクスパンダのレンズ66bが固定され、またレンズ枠67は摺動軸68を介してこの軸線方向に摺動可能に支持されている。透過光用レーザの光路61に、第2のレーザ光源として543nmの波長のレーザ光を発振するGreen HeーNeレーザ光源62が設けられている。
【0039】
このような構成のものにおいて、レーザ光源1から発振したレーザ光は、レーザラインフィルタ63により、蛍光観察用の351nmのレーザ光のみ透過され、ビームエクスパンダ64により、所定の直径を持つ平行光となり、ダイクロイックミラー65を透過する。
【0040】
また、第2のレーザ光源62からのレーザ光は、は、ビームエクスパンダの光学系のレンズ66a,66bを通る。このうち、レンズ66bはレンズ枠67に固定されており、摺動軸68に対して光軸方向に移動可能な構成となっている。
【0041】
そして、レンズ枠67が図7の位置にある場合には、レンズ66bを通ったレーザ光は、平行光となり、また図8に示すようにレンズ66aの方に移動した場合は、レンズ66bを通ったレーザ光は、発散光61aとなり、さらに図9ようにレンズ枠67がレンズ66aと離れた方向に移動した場合は、レンズ66bを通ったレーザ光は、集束光61bとなってダイクロイックミラー65によりいずれも反射され、第1のレーザ光源1からのレーザ光と同軸に進む。
【0042】
そして、励起ダイクロイックミラー42gにより、蛍光観察用の351nmのレーザ光と、透過観察用の543nmのレーザ光が反射される。その後は、第1実施例と同様の経路で検出器14、フォトマルチプライヤ58a,58bに導かれて検出される。
【0043】
なお、図8の状態で、透過観察用のレーザ光61aは、発散光となっているので、図5のように蛍光観察用のレーザ光の焦点位置よりコンデンサレンズ11側に焦光する。また、図9の状態では、透過観察用のレーザ光61bは、集束光となっているので、図6のように蛍光観察用のレーザ光の焦点位置より対物レンズ47側に集光する。
【0044】
以上述べた第2実施例は、前述した第1実施例と同様な効果が得られることは言うまでもない。第1実施例では、試料10から発生した蛍光の1つが480nmであり、透過観察用のレーザ光の波長が515nmと近く、480nmを透過し、515nmを反射させる励起ダイクロイックミラー42の透過特性が落ちるということが考えられる。これに対して、第2実施例では透過観察用レーザ光源を別のレーザ光源にできることから、蛍光の480nmと離れた543nmの波長を発振するGreen HeーNeレーザを使用できるので、励起ダイクロイックミラー42gの透過反射特性を向上できる。
【0045】
<第3実施例>
第3実施例は図10に示すように構成されている。
レーザ光源69から発振したレーザ光は、レーザラインフィルタ70により、蛍光観察用の波長のレーザ光と、透過観察用の波長のレーザ光のみ透過され、ビームエクスパンダ71により所定の直径をもつ平行光に拡大される。ダイクロイックミラー72a,72b(第1の光学手段を構成する)は蛍光観察用レーザ光を透過し、透過観察用レーザ光を反射する特性をもつもので、蛍光観察用レーザ光は、ダイクロイックミラー72aを透過し、レーザ光路73を進み、さらにダイクロイックミラー72bも透過し、励起ダイクロイックミラー75に導かれる。
【0046】
一方、透過観察用レーザ光は、ダイクロイックミラー72aで反射し、レーザ光路74を進む。そして、レンズ76a,76bを通り、ダイクロイックミラー72bで反射され、蛍光観察用レーザ光と同軸に導かれ、励起ダイクロィックミラー75へ導かれる。ここで、レーザ光路74上の2つレンズ76aまたは76bの間隔を変えることにより、励起ダイクロイック75へ導かれるレーザ光を、平行光、発散光、集束光に変化させ、レーザ光路74を進んだ、透過観察用レーザ光の試料10上の焦点面を蛍光観察用レーザ光の焦点面に対して任意にずらすことが可能となる。
【0047】
<第4実施例>
図11に示すように、第1実施例のビームエクスパンダのレンズ36a,36b、第2実施例のビームエクスパンダのレンズ66a,66b、第3実施例のビームエクスパンダのレンズ76a,76bは、いずれも凸レンズ同士の組み合わせであったものを、凹レンズ78aと凸レンズ78bの組み合わせとし、凹レンズ78aを固定とし、かつ凸レンズ78bを光軸方向に移動自在に構成したものである。
【0048】
このように構成した移動可能な凸レンズ78bをもつビームエクスパンダを透過観察用のレーザ光路に配置されているので、凸レンズ78bを光軸方向に移動させることにより、凸レンズ78bを透過して出るレーザ光を、発散光、集束光、平行光にすることが可能になる。従って、透過観察用のレーザ光の焦点面を、蛍光観察用のレーザ光の焦点面に対して任意にずらすことが可能になる。
【0049】
<第5実施例>
図12に示すように、ダイクロイックミラー79a,79b(第1の光学手段を構成する)、ビームエクスパンダのレンズ80a,80b、蛍光観察用レーザのレーザ光路81、レーザ光源82、レーザラインフィルタ83、ミラー84a,84bからなり、以下のように構成されている。
【0050】
すなわち、透過観察用レーザ光を反射し、蛍光観察用レーザ光を透過するダイクロイックミラー79aを2群からなるビームエクスパンダ光学系のレンズ80と80bかつ80と80aの間に設け、透過観察用レーザ光の進むレーザ光路81上のレンズ80aを、光軸方向に移動させるようにして透過観察用レーザ光の焦点面に対して任意にずらすことが可能になる。
【0051】
さらに、ビームエクスパンダのレンズのうちの1つのレンズ80が、第1実施例では2個必要となるのに対し、第4実施例では透過観察用レーザと蛍光観察用レーザと共用することになり、1個で足り、安価となる。
【0052】
<変形例>
前述の実施例では、第1のレーザ光は蛍光を発生するための励起光として用い、かつ第1の光検出器では発生した蛍光を検出するものとして説明したが、これを第1のレーザ光を単なる試料の照明光として使用し、第1の光検出器で試料からの反射光を検出するようにしてもよい。
【0053】
また、前述した実施例では、第2の光学手段(ビームエクスパンダの光軸方向に移動可能なレンズ)を透過観察用レーザ(第2のレーザ)の光路に設けた構成を示したが、蛍光観察用レーザ(第1のレーザ)の光路に設けても同じ効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、光軸方向にずらした所望の2つの面の蛍光観察と透過観察を同時に行うことができる走査型レーザ顕微鏡装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走査型レーザ顕微鏡装置の第1実施例の概略構成を示す図。
【図2】図1の試料の拡大図。
【図3】図1のビームエクスパンダ付近を拡大した詳細説明図。
【図4】図1のビームエクスパンダ付近を拡大した詳細説明図。
【図5】図3および図4においてレンズ枠を動かしたときの対物レンズ近辺の拡大図。
【図6】図3および図4においてレンズ枠を動かしたときの対物レンズ近辺の拡大図。
【図7】本発明の走査型レーザ顕微鏡装置の第2実施例の概略構成を示す図。
【図8】図7のビームエクスパンダ付近を拡大した詳細説明図。
【図9】図7のビームエクスパンダ付近を拡大した詳細説明図。
【図10】本発明の走査型レーザ顕微鏡装置の第3実施例の概略構成を示す図。
【図11】本発明の走査型レーザ顕微鏡装置の第4実施例の概略構成を示す図。
【図12】本発明の走査型レーザ顕微鏡装置の第5実施例の概略構成を示す図。
【図13】従来の技術を説明するための図。
【符号の説明】
1…マルチラインアルゴンレーザ光源、2…ビームエクスパンダ、3…レーザラインフィルタ、4…ダイクロイックミラー、5,6…ガルバノメータスキャナ、7…瞳投影レンズ、8…接瞳観察光路へ導くプリズム、10…試料、10´…蛍光観察面、10a,10b…透過観察面、11…コンデンサレンズ、12…反射ミラー、13…コレタクレンズ、14…透過検出器、32…レーザラインフィルタ、33a,33b…ダイクロイックミラー、35…ビームエクスパンダ、36a,36b…ビームエクスパンダのレンズ、37…蛍光観察用レーザのレーザ光路、38…透過観察用レーザのレーザ光路、39…レンズ枠、40…摺動軸、41a,41b…ミラー、42,42g…励起ダイクロイックミラー、43…XーYガルバノメータスキャナ、46…結像レンズ、47…対物レンズ、61…透過観察用レーザの光路、62…Green HeーNeレーザ、63…レーザラインフィルタ、64…ビームエクスパンダ、65…ダイクロイックミラー、66a,66b…ビームエクスパンダのレンズ、67…レンズ枠、68…摺動軸、69…レーザ光源、70…レーザラインフィルタ、71…ビームエクスパンダ、72a,72b…ダイクロイックミラー、73…蛍光観察用レーザのレーザ光路、74…透過観察用レーザのレーザ光路、75…励起ダイクロイックミラー、76a,76b…ビームエクスパンダのレンズ、77a,77b…ミラー、78a,78b…ビームエクスパンダのレンズ、79a,79b…ダイクロイックミラー、80a,80b…ビームエクスパンダのレンズ、81…蛍光観察用レーザのレーザ光路、82…レーザ光源、83…レーザラインフィルタ、84a,84b…ミラー。
Claims (5)
- 試料に照射して蛍光を励起するため又は前記試料からの反射光を得るための第1のレーザ光、並びに、この第1のレーザ光および励起される蛍光のいずれとも異なる波長であって、かつ前記試料を透過した透過光を得るための第2のレーザ光、を発振するレーザ光源と、
このレーザ光源からの第1および第2のレーザ光を前記試料上に集光させる対物レンズと、
この対物レンズと前記レーザ光源の間に配置され、前記第1および第2のレーザ光を走査するためのレーザ光走査手段と、
前記蛍光又は前記反射光を検出する第1の光検出手段と、
前記透過光を検出する第2の光検出手段と、
前記第1のレーザ光の光路および前記第2のレーザ光の光路を前記対物レンズに対して同軸に導く第1の光学手段と、
一方のレーザ光の光路に設けられ、その光路を通過するレーザ光の集光位置を他方のレーザ光の光路を通過するレーザ光の集光位置に対して任意に調節可能な第2の光学手段と、
を有する走査型レーザ顕微鏡装置。 - 前記第2の光学手段は、レーザ光を所定の直径に広げる複数の光学レンズからなるビームエクスパンダであって、前記光学レンズの少なくとも1個を光軸方向に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡装置。
- 前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光が、それぞれ別のレーザ光源により発振されるように構成したことを特徴とする請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡装置。
- 前記第2の光学手段は、前記第2のレーザ光の光路に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の走査型レーザ顕微鏡装置。
- 前記第2の光学手段は、前記対物レンズに入射する光を集束光または発散光に調節するものであることを特徴する請求項1記載の走査型レーザ顕微鏡装置。
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