JP2019012270A - 顕微鏡装置及び画像取得方法 - Google Patents

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【課題】生体試料の内部における照射光の集光強度の低下及び集光形状の広がりを抑えることができる顕微鏡装置及び画像取得方法を提供する。【解決手段】顕微鏡装置1Aは、生体試料Bを支持する生体試料台11と、生体試料台11と対向する対物レンズ12と、生体試料Bに対し、対物レンズ12を介して照射される光を出力するレーザ光源31と、生体試料Bの表面形状に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータを作成する制御ユニット40と、収差補正ホログラムデータに基づいて、レーザ光源31から生体試料Bへ照射される光を変調する第1の空間光変調器33と、生体試料Bにおいて生じた被検出光L2の強度を検出する検出器37とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、顕微鏡装置及び画像取得方法に関するものである。
特許文献1には、収差補正を行うことができる顕微鏡に関する技術が記載されている。この顕微鏡では、標本に励起光を照射し、標本において生じた蛍光を分岐して集光し、集光像をカメラにより撮像する。集光像のスポットは、収差が存在しない場合には回折限界像となるが、収差が存在する場合には歪みを伴う形状となる。そこで、この顕微鏡では、波面収差補正を適用して、スポット形状を改善させることを試みている。その為に、複数のスポット形状に対応する複数の収差条件を記憶しておき、収差条件を選択して適用することによって高速化を図っている。
特開2013−160893号公報
空間光変調器の特長は、波面を制御することによって様々な収差を補正できることである。例えば、レーザ走査型顕微鏡において、観察対象物と周辺媒質(例えば空気、水、シリコーンオイル、オイルなど)との屈折率の不整合(ミスマッチング)により球面収差が発生し、観察対象物の内部において照射光の集光点が光軸方向に伸びるという問題があるが、空間光変調器を用いて照射光の波面を制御することにより、球面収差を補正して、観察対象物の内部における集光点の伸長を抑えることができる。このような収差補正によって精細な画像を得ることができるので、例えば脳の血管像といった生体試料の内部観察画像を得るために、このような顕微鏡が好適に用いられる。
しかしながら多くの場合、生体試料の表面は平坦ではない。従って、上述した収差に加えて、生体試料の表面形状に起因する収差が発生してしまう。例えば、生体試料としてゼブラフィッシュなどの魚を観察する場合、魚の表面形状はほぼ円筒形状と見なすことができ、該円筒形状によって非点収差が発生する。また、例えば細胞標本などの生体試料は血管や細胞組織等から構成されているので、赤血球や脂質といった、屈折率がそれぞれ異なる物質が存在する。従って、生体試料の内部において収差が生じる。そして、これらの収差の影響を照射光が受けると、生体試料内部において照射光の集光強度が弱くなる、或いは集光形状が広がる等の問題が生じる。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、生体試料の内部における照射光の集光強度の低下及び集光形状の広がりを抑えることができる顕微鏡装置及び画像取得方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明による顕微鏡装置は、生体試料の画像を取得する顕微鏡装置であって、生体試料を支持する生体試料台と、生体試料台と対向する対物レンズと、生体試料に対し、対物レンズを介して光を照射する光照射部と、生体試料の表面形状、及び生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータを作成するホログラム作成部と、収差補正ホログラムデータに基づいて、光照射部から生体試料へ照射される光を変調する第1の空間光変調器と、生体試料において生じた光の強度を検出する光検出部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明による画像取得方法は、生体試料の画像を取得する方法であって、対物レンズと対向する生体試料台に支持された生体試料の表面形状、及び生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータを作成するホログラム作成ステップと、収差補正ホログラムデータに基づいて、光照射部から出射された光を第1の空間光変調器により変調し、変調後の光を生体試料へ照射する光照射ステップと、生体試料において生じた光の強度を検出する光検出ステップと、を含むことを特徴とする。
上記の顕微鏡装置及び画像取得方法では、生体試料の表面形状、及び生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータが生成され、該データに基づくホログラムによって照射光が変調される。これにより、生体試料の表面形状、及び生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に起因する収差が好適に補正されるので、生体試料の内部における照射光の集光強度の低下及び集光形状の広がりを抑えることができる。
また、上記の顕微鏡装置は、生体試料における光の照射位置を走査する光スキャナを更に備えることを特徴としてもよい。また、上記の画像取得方法は、光照射ステップにおいて、生体試料における光の照射位置を走査することを特徴としてもよい。
また、上記の顕微鏡装置は、光検出部が、光スキャナにより反射された光を検出することを特徴としてもよい。また、上記の画像取得方法は、光検出ステップにおいて、光スキャナにより反射された光を検出することを特徴としてもよい。これにより、照射光の光軸と被検出光の光軸とを互いに一致させることができる。
また、上記の顕微鏡装置は、光検出部がポイントセンサであることを特徴としてもよい。また、上記の画像取得方法は、光検出ステップにおいて、生体試料において生じた光の強度をポイントセンサにより検出することを特徴としてもよい。
また、上記の顕微鏡装置は、ホログラム作成部が、生体試料の屈折率分布に基づいて収差補正ホログラムデータを作成することを特徴としてもよい。また、上記の画像取得方法は、ホログラム作成ステップにおいて、生体試料の屈折率分布に基づいて収差補正ホログラムデータを作成することを特徴としてもよい。生体試料の屈折率分布を考慮して収差を補正することにより、照射光の高密度での集光が可能となる。
また、上記の顕微鏡装置は、生体試料の表面形状、及び生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に関する情報を取得する形状取得部を更に備えることを特徴としてもよい。また、上記の画像取得方法は、生体試料の表面形状、及び生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に関する情報を取得する形状取得ステップを更に含むことを特徴としてもよい。
本発明による顕微鏡装置及び画像取得方法によれば、生体試料の内部における照射光の集光強度の低下及び集光形状の広がりを抑えることができる。
第1実施形態に係る顕微鏡装置の構成を示す図である。 顕微鏡装置の動作を示すフローチャートである。 収差の発生の様子を概略的に示す図である。 収差補正がされていない平面波である照射光が対物レンズによって集光される際に、生体試料とその外側との境界が、光軸に対して垂直な平面から傾いているときの照射光の様子を概念的に示している。 光軸上の任意の点に光線が集中するような波面を算出する方法を説明するための図である。 2つの屈折率の境界が存在する場合を概略的に示している。 逆伝搬解析を用いて求められた波面を示す図であって、位相が濃淡によって示されている。 生体試料を側方から見た図であり、屈折率が互いに異なる媒質を含む内部構造を通過しつつ照射光が集光される様子を概念的に示す。 第2実施形態の顕微鏡装置の構成を示す図である。 顕微鏡装置の動作、及び本実施形態による画像取得方法を示すフローチャートである。 第1変形例の動作を説明するための図であって、生体試料の表面を光軸方向から見た図である。 第1変形例の走査の様子を示す図である。 第2変形例に係る顕微鏡装置の構成を示す図である。 第4変形例に係る顕微鏡装置の構成を示す図である。 第5変形例に係る顕微鏡装置の顕微鏡ユニット及び形状計測ユニットの構成を示す図である。 第6変形例に係る顕微鏡装置の構成を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明による顕微鏡装置及び画像取得方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る顕微鏡装置1Aの構成を示す図である。顕微鏡装置1Aは、生体試料Bの画像を取得するための装置であって、図1に示されるように、顕微鏡ユニット10、形状計測ユニット20、画像取得ユニット30、及び制御ユニット40を備えている。
顕微鏡ユニット10は、後述する形状計測ユニット20及び画像取得ユニット30からの照射光L1を生体試料Bに照射するとともに、生体試料Bからの被検出光L2を形状計測ユニット20及び画像取得ユニット30へそれぞれ出力する。被検出光L2は、照射光L1の反射光、照射光L1の高調波、若しくは照射光L1によって励起された蛍光である。顕微鏡ユニット10は、生体試料台11、対物レンズ12、対物レンズ移動機構13、及びビームスプリッタ14を有する。
生体試料台11は、生体試料B(若しくは生体試料Bを収容する容器)を支持するための板状の部材である。生体試料台11は、例えば照射光L1及び被検出光L2を透過する材質からなり、例えばガラスからなる。本実施形態では、照射光L1は生体試料台11の裏面に照射され、生体試料台11を透過して生体試料Bに照射される。また、生体試料Bからの被検出光L2は、生体試料台11を透過して生体試料台11の裏面から出射する。
対物レンズ12は、生体試料台11と対向するように配置され、生体試料Bの内部に照射光L1を集光する。また、対物レンズ12は、生体試料Bからの被検出光L2を集める。なお、本実施形態では照射光L1のための対物レンズと被検出光L2のための対物レンズとが共通となっているが、照射光L1のための対物レンズと被検出光L2のための対物レンズとが別個に設けられてもよい。例えば、照射光L1のために開口数(NA)が高い対物レンズを用い、収差補正により局所的に集光させてもよい。また、被検出光L2のために瞳の大きな対物レンズを用い、より多くの光を取り出せるようにしてもよい。照射光L1のための対物レンズと被検出光L2のための対物レンズとを生体試料Bを挟むように配置して、照射光L1の生体試料Bにおける透過光を被検出光L2として取得してもよい。
対物レンズ移動機構13は、対物レンズ12を照射光L1の光軸方向に移動させるための機構である。対物レンズ移動機構13は、例えばステッピングモータ若しくはピエゾアクチュエータ等によって構成される。
ビームスプリッタ14は、画像取得ユニット30との間の光路と、形状計測ユニット20との間の光路とを分割及び合成する。具体的には、ビームスプリッタ14は、画像取得ユニット30から顕微鏡ユニット10に到達した照射光L1を、対物レンズ12へ向けて反射する。また、ビームスプリッタ14は、対物レンズ12によって集められた被検出光L2を、画像取得ユニット30に向けて反射する。一方、ビームスプリッタ14は、形状計測ユニット20からの光L32、及び生体試料Bにおける光L32の反射光を透過する。ビームスプリッタ14は、例えばハーフミラーやダイクロイックミラーによって好適に構成される。なお、顕微鏡ユニット10は、光L32の光軸方向を変更する反射ミラー15を更に有する。
形状計測ユニット20は、本実施形態における形状取得部であり、生体試料Bの屈折率分布を伴う形状に関する情報、すなわち生体試料Bの表面形状(生体試料Bと周囲(空気)とによる屈折率差に伴う形状)に関する情報を取得する。形状計測ユニット20は、例えば、マイケルソン干渉計を用いた、生体試料Bの表面形状を計測する干渉光計測ユニットであってもよい。その場合、形状計測ユニット20は、図1に示されるようにコヒーレント光源21、ビームスプリッタ22、参照光用ミラー23、及び検出器24を有する。
コヒーレント光源21は、生体試料Bに照射されるコヒーレント光L3を発生する。コヒーレント光源21は、例えば半導体レーザ素子によって好適に構成される。
ビームスプリッタ22は、コヒーレント光源21からのコヒーレント光L3を、参照光L31と顕微鏡ユニット10への光L32とに分岐する。また、ビームスプリッタ22は、参照光用ミラー23において反射した参照光L31を反射させるとともに、光L32の生体試料B表面からの反射光を透過させることにより、これらの光を合成して干渉光L4を生成する。干渉光L4は、検出器24に入射する。なお、参照光用ミラー23は、参照光L31の光軸方向に対して移動可能に構成されていてもよいし、固定されていてもよい。
検出器24は、ビームスプリッタ22によって合成された干渉光L4を検出し、検出信号S1を出力する。検出器24は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの2次元光検出素子を含む。
なお、形状計測ユニットは、本実施形態の構成に限られない。例えば、形状計測ユニットは、ミロー型、リニーク型などの干渉計測方式を有してもよい。或いは、形状計測ユニットは、コンフォーカルリフレクタンス顕微鏡を有してもよく、コモンパス干渉計を有してもよい。このような顕微鏡によれば、合焦情報を用いて生体試料Bの表面形状を好適に計測することができる。また、形状計測ユニットは、エバネッセント光を用いるものであってもよい。これにより、生体試料Bが生体試料台11に接地しているか否かといった形状把握が容易となる。
画像取得ユニット30は、生体試料Bからの被検出光L2を検出し、画像を作成する。なお、以下では被検出光L2が生体試料Bからの蛍光である場合の蛍光光学系の例について説明するが、画像取得ユニットはこれに限られず、被検出光L2が生体試料Bからの反射光である場合の反射光学系、或いは被検出光L2が生体試料Bからの透過光である場合の透過光学系であってもよい。本実施形態の画像取得ユニット30は、レーザ光源31、ビームエキスパンダ32、第1の空間光変調器(Spatial Light Modulator:SLM)33、ダイクロイックミラー34、光スキャナ35、第2の空間光変調器(SLM)36、検出器37、及びフィルタ38を有する。
レーザ光源31は、本実施形態における光照射部であって、生体試料Bに対し、対物レンズ12を介して光L5を照射する。光L5は、例えば生体試料Bの励起波長を含むレーザ光である。レーザ光源31は、例えば半導体レーザ素子を含んで構成される。ビームエキスパンダ32は、例えば光L5の光軸上に並んで配置された複数のレンズ32a,32bを含んで構成され、光L5の光軸に対して垂直な断面の大きさを調整する。
第1の空間光変調器33は、生体試料Bの表面形状に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムを含むホログラムを呈示する。第1の空間光変調器33は、レーザ光源31からの光L5を変調することにより、生体試料Bへ照射される照射光L1を生成する。なお、生体試料Bの表面形状は、前述した形状計測ユニット20によって計測される。第1の空間光変調器33は、位相変調型でも良いし、振幅(強度)変調型でも良い。また、第1の空間光変調器33は、反射型及び透過型の何れであってもよい。なお、収差補正ホログラムの詳細については後述する。
ダイクロイックミラー34は、第1の空間光変調器33からの照射光L1、及び顕微鏡ユニット10からの被検出光L2のうち一方を透過し、他方を反射する。図1に示される例では、ダイクロイックミラー34は、照射光L1を透過し、被検出光L2を反射する。
光スキャナ35は、照射光L1の光軸に垂直な面内において照射光L1の光軸を移動させることにより、生体試料Bにおける照射光L1の照射位置を走査する。光スキャナ35は、例えばガルバノミラー、共振ミラー若しくはポリゴンミラーによって構成される。また、生体試料Bからの被検出光L2は、光スキャナ35を介して検出される。これにより、照射光L1の光軸と被検出光L2の光軸とを互いに一致させることができる。
第2の空間光変調器36は、生体試料Bの表面形状に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムを呈示する。第2の空間光変調器36は、ダイクロイックミラー34からの被検出光L2を変調する。なお、生体試料Bの表面形状は、前述した形状計測ユニット20によって計測される。第2の空間光変調器36は、位相変調型でも良いし、振幅(強度)変調型でも良い。また、第2の空間光変調器36は、反射型及び透過型の何れであってもよい。また、検出器24の前段にピンホールを配置する場合、収差補正ホログラムに加え、ピンホールに被検出光L2が集光するためのホログラムを第2の空間光変調器36に呈示することが好ましい。これにより、コンフォーカル効果を得ることができる。なお、二光子吸収などの多光子吸収効果を利用して、生体試料Bから発生した蛍光などの被検出光L2を検出する場合、検出器37に被検出光L2が集光するためのホログラムを収差補正用ホログラムと合わせて第2の空間光変調器36に呈示することで、コンフォーカル効果を得ることができる。なお、収差補正ホログラムの詳細については後述する。
検出器37は、本実施形態における光検出部である。検出器37は、生体試料Bから対物レンズ12を介して出射された被検出光L2の光強度を検出し、検出信号S2を出力する。検出器37は、PMT(Photomultiplier Tube)、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオードといったポイントセンサであってもよい。或いは、検出器37は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、マルチアノードPMT、フォトダイオードアレイといったエリアイメージセンサであってもよい。なお、検出器37の直前には集光レンズ37aが配置されてもよい。
フィルタ38は、ダイクロイックミラー34と検出器37との間の光軸上に配置される。フィルタ38は、検出器37に入射する光から、照射光L1の波長、及び観察に不要な蛍光等の波長をカットする。なお、フィルタ38は、集光レンズ37aの前段、後段のどちらに配置してもよい。
なお、本実施形態の画像取得ユニット30は、上記の構成に加えて、ミラー39a及び反射部材39bを更に有する。ミラー39aは、光スキャナ35と顕微鏡ユニット10のビームスプリッタ14とを光学的に結合させるために、照射光L1及び被検出光L2の光軸を屈曲させる。反射部材39bは、2つの反射面を有するプリズムであって、第2の空間光変調器36と対向して配置される。反射部材39bは、一方の反射面においてダイクロイックミラー34からの被検出光L2を第2の空間光変調器36へ向けて反射し、他方の反射面において第2の空間光変調器36からの被検出光L2を検出器37へ向けて反射する。
対物レンズ12と第1の空間光変調器33との距離が長い場合には、照射光L1及び被検出光L2の光軸上に少なくとも一つの4f光学系が設けられてもよい。一例として、図1には2つの4f光学系51及び52が示されている。4f光学系51及び52は、第1の空間光変調器33において生成された照射光L1の波面を対物レンズ12の後側焦点へ転送する役割を有する。なお、対物レンズ12と第1の空間光変調器33とが極めて近い場合には、4f光学系を省くことも可能である。
制御ユニット40は、顕微鏡ユニット10、形状計測ユニット20、及び画像取得ユニット30を制御する。例えば、制御ユニット40は、顕微鏡ユニット10において対物レンズ移動機構13を用いて対物レンズ12の光軸方向の位置を制御する。また、制御ユニット40は、生体試料Bを支持する生体試料台11を光軸方向と交差する方向に移動させる。また、制御ユニット40は、形状計測ユニット20のコヒーレント光源21、検出器24、及び参照光用ミラー23の制御を行う。更に、制御ユニット40は、画像取得ユニット30のレーザ光源31、第1の空間光変調器33、光スキャナ35、第2の空間光変調器36、及び検出器37を制御する。本実施形態の制御ユニット40は、マウスやキーボードといった入力装置41、表示装置(ディスプレイ)42、及びコンピュータ43を含んで構成される。
また、制御ユニット40は、本実施形態における形状取得部の一部を構成する。制御ユニット40は、形状計測ユニット20の検出器24からの検出信号S1を入力し、この検出信号S1に基づき、フーリエ変換を用いた方法やλ/4位相シフト干渉法を用いて、生体試料Bの表面形状に関する情報を取得する。また、制御ユニット40は、本実施形態におけるホログラム作成部であり、得られた情報に基づいて、生体試料Bの表面形状に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータを作成する。収差補正ホログラムデータは、第1の空間光変調器33及び第2の空間光変調器36に提供される。
また、制御ユニット40は、本実施形態における画像作成部である。制御ユニット40は、検出器37からの検出信号S2、及び光スキャナ35による光照射位置の情報に基づいて、生体試料Bに関する画像を作成する。作成された画像は、表示装置42に表示される。
図2は、上述した顕微鏡装置1Aの動作を示すフローチャートである。図2を参照しながら、本実施形態による画像取得方法について説明する。
まず、生体試料台11上に生体試料Bを載置する。次に、形状計測ユニット20の光源21から光L3を出射させ、生体試料B表面からの反射光と参照光L31との干渉光L4を検出器24において検出する。これにより、生体試料B表面における干渉縞が観測される。そして、この干渉縞に基づき、制御ユニット40において、生体試料Bの表面形状に関する情報が取得される(形状取得ステップS11)。
続いて、形状取得ステップS11において取得された情報に基づいて、生体試料Bの表面形状に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータが制御ユニット40により作成される(ホログラム作成ステップS12)。続いて、収差補正ホログラムデータに基づくホログラムが第1の空間光変調器33及び第2の空間光変調器36に呈示される。そして、レーザ光源31から出射された光L5が第1の空間光変調器33により変調され、変調後の照射光L1が生体試料Bへ照射される(光照射ステップS13)。
続いて、生体試料Bにおいて生じた被検出光L2の強度を検出器37において検出する(光検出ステップS14)。このとき、被検出光L2は、第2の空間光変調器36によって変調された後、検出器37に入射する。なお、本実施形態では、光スキャナ35によって照射光L1を走査しながら、光照射ステップS13及び光検出ステップS14が繰り返し(または同時に連続して)行われる。その後、光検出ステップS14における検出情報に基づき、制御ユニット40において生体試料Bの画像が作成される(画像作成ステップS15)。
以上の構成を備える本実施形態の顕微鏡装置1A及び画像取得方法によって得られる効果について説明する。多くの場合、生体試料Bの表面は平坦ではない。従って、生体試料Bの表面形状に起因する収差が発生してしまう。例えば、生体試料Bとしてゼブラフィッシュなどの魚を観察する場合、魚の表面形状がほぼ円筒形状であると仮定すると、集光過程の照射光L1がその表面を通過する際に、非点収差が強く発生することとなる。対物レンズ12の開口数(NA)が小さいか、または生体試料Bの浅い位置の観察であればその影響は小さいが、開口数(NA)が大きいか、または深い位置の観察では収差の影響を無視できなくなる。そして、このような収差の影響を照射光L1が受けると、生体試料B内部において照射光L1の集光強度が弱くなる、或いは集光形状が広がる等の問題が生じる。これにより、例えば励起領域の伸長による分解能の悪化、蛍光強度の低下、バックグラウンドノイズの増加によるSN比(Signal to Noise Ratio)の低下などが生じてしまう。
図3は、収差の発生の様子を概略的に示す図である。図3において、曲線B1は生体試料Bの表面、すなわち生体試料Bとその外側との境界を表す。なお、生体試料Bの外部の屈折率をn1とし、生体試料Bの内部の屈折率をn2(≠n1)とする。照射光L1は、対物レンズ12によって生体試料Bの内部(表面直下)に集光される。このとき、照射光L1のうち対物レンズ12の光軸A2付近を通過する光L11は、生体試料Bの表面形状の影響を殆ど受けることなく、集光点Cに向けて直進する。一方、照射光L1のうち対物レンズ12の光軸A2から離れた位置を通過する光L12は、生体試料Bの表面形状の影響を受けて屈折し、集光点Cから逸れてしまう。このような現象によって、生体試料B内部において照射光L1の集光強度が弱くなり、集光像Dが広がってしまう。
本実施形態の顕微鏡装置1A及び画像取得方法では、生体試料Bの表面形状に関する情報が取得され、その情報に基づいて、収差を補正するための収差補正ホログラムデータが生成され、該データに基づくホログラムによって照射光L1が変調される。これにより、生体試料Bの表面形状に起因する収差が好適に補正されるので、生体試料Bの内部における照射光L1の集光強度の低下及び集光像Dの広がりを抑えることができる。
また、本実施形態のように、収差補正ホログラムデータに基づくホログラムが第2の空間光変調器36に呈示され、生体試料Bにおいて生じた被検出光L2が第2の空間光変調器36によって変調されてもよい。これにより、生体試料Bの表面形状に起因する収差による被検出光L2への影響が補正されるので、ピンホールを用いたコンフォーカルを実施する場合には、ピンホールを通過する被検出光L2が増加して、生体試料Bの画像をより鮮明にすることができる。
ここで、収差補正ホログラムの設計方法の詳細について述べる。図4は、収差補正がされていない平面波である照射光L6が対物レンズ12によって集光される際に、生体試料Bとその外側との境界B1が、光軸A2に対して垂直な平面Hから角度αだけ傾いているときの照射光L6の様子を概念的に示している。ここで、図中の光線L6a、L6bは対物レンズ12の中心付近を通過した光線であって、近軸光線と称する。また、図中の光線L6c、L6dは対物レンズ12の縁付近を通過した光線であって、外周部光線と称する。
生体試料Bとその外側との境界を光線が通過するとき、次式(1)によって表されるスネルの法則によって、光線の境界B1への入射角θ1及び出射角θ2の関係が求まる。
近軸光線については入射角が小さいので入射角及び出射角の変化量は小さい。一方、外周部光線については入射角が大きいので入射角及び出射角の変化量は大きい。また、光軸A2に垂直な面に対して境界B1が傾いているので、近軸光線及び外周部光線は光軸上において重ならない。これにより、様々な収差が発生し、結果として集光像は回折限界像とは異なる歪んだ像となる。
図5は、光軸A2上の任意の点O’に光線が集中するような波面を算出する方法を説明するための図である。円弧Q,Q’は、平面波が焦点距離fの対物レンズ12を通過した後の波面であり、例えば半径一定の球冠である。仮に、生体試料Bが存在しない場合には、図中の二点鎖線で示されるように、照射光L6Aは光軸A2上の別の点Oに集光する。ここで線分OQ(若しくはOQ’)と線分OTとがなす角θmaxは、次式(2)のように表される。但し、NAは対物レンズ12の開口数である。また、Tは円弧Q,Q’と光軸A2との交点である。
照射光L6Aの光線は、紙面の左側から対物レンズ12に入射し、収束光として紙面の右側へと進む。この向きを正の伝搬方向と定義し、例えば、点O’から境界B1上の点Vを経て円弧QQ’上の点Wまでの光路を逆伝搬によって求める。本実施形態では、例えば以下に説明する逆光線追跡、波面伝播、及び電磁場解析といった方法を用いて、逆伝搬により上記光路を求める。
<逆光線追跡>
本実施形態では、光路計算の前段階において、干渉計測を用いた生体試料Bの構造把握がなされている。そこで、生体試料Bの構造から生体試料B内の屈折率分布を推定し、屈折率の境界B1を求める。この屈折率の境界B1を多項式近似あるいはマップ化することによって、位置を特定できるようにする。
次に、光線が点O’から屈折率境界B1上の点Vを経て円弧QQ’上の点Wまで到達する経路および光路長を決定する。点O’からの光線を逆伝搬させると、屈折率境界B1上の点Vに到達する。点Vは上述の多項式近似などによって求められる。光線は、境界B1の前後における屈折率差によって、スネルの法則により点Vにて屈折する。本実施形態では、不均一な(不規則な凹凸を有する)境界B1が想定されるので、次式(3)に示されるような、ベクトルと外積とを用いた3次元のスネルの法則が適用される。
但し、数式(3)において、mは点Vでの法線ベクトルであり、VW、O’Vはそれぞれ境界通過後、通過前の方向ベクトルである。屈折後、再び光線を逆伝搬させて円弧QQ’上の点Wへと伝搬させる。こうして、点O’から点Wまでの光路を調べて、光路長Lを計算する。光路長Lは、例えば次式(4)によって求められる。
上記の計算を複数の光線に対して行い、球冠に到達する光線すべての光路長を求める。これらの光路長から光路差を経て位相差を求め、この位相差を無くすようなパターンが、収差補正パターンすなわち収差補正ホログラムデータとなる。なお、実際には、屈折率の境界B1が複数存在するので、屈折率の境界B1毎に屈折をさせて光線を追跡させるとよい。その際には、数式(4)が変更される。
<波面伝搬>
フレネル回折やフレネルキルヒホッフの回折などを用いて、集光予定位置(点O’)から対物レンズ12へと徐々に逆伝播させる。このとき伝播に屈折率の境界B1を加えて計算を行う。この方法は、前述した逆光線追跡或いは後述する電磁場解析と組み合わされてもよい。例えば、屈折率の境界B1を除く部分に対して逆光線追跡を行い、屈折率の境界B1を含む部分に対して波面伝搬を行ってもよい。これにより、計算負荷を軽くすることができる。
<電磁場解析>
FDTD(Finite-Difference Time-Domain)法やRCWA(Rigorous Coupled-Wave Analysis)法を用いて、集光させたい点O’から対物レンズ12側へと解析を行う。このとき、屈折率の境界B1を境界条件に加える。この方法は、前述した逆光線追跡或いは波面伝搬と組み合わされてもよい。
上述した各方法による逆伝搬解析は、屈折率の境界が2つ存在する場合であっても適用可能である。図6は、2つの屈折率の境界B2,B3が存在する場合を概略的に示している。境界B2は光軸に対して垂直であるものとする。また、光軸A2に垂直な面Hと境界B3との成す角をαとする。境界B2の外側の屈折率をn1とし、境界B2と境界B3との間の屈折率をn2とし、境界B3の内側の屈折率をn3とする。
図7(a)及び図7(b)は、このような場合に逆伝搬解析を用いて求められた波面を示す図であって、位相が濃淡によって示されている。なお、図7は位相折り畳みという技術を用いて表現されている。図7(a)は、α=0°として求められた波面を示している。また、図7(b)は、α=0.3°として求められた波面を示している。なお、これらの波面の算出においては、n1=1、n2=1.33、n3=1.38とした。この場合、n1は空気、n2は水、n3は細胞を模擬している。n1とn2との境界B2にはカバーガラスが存在するが、カバーガラスによる収差は対物レンズ12のガラス補正機能によって補正されているものとする。光軸上における境界B2と境界B3とに挟まれる領域(すなわちカバーガラスと細胞とに挟まれる領域)は、例えばリン酸緩衝生理食塩水で満たされている。光軸上における境界B2と境界B3との距離E1は、例えば30μmである。更に、対物レンズ12の倍率を40倍、開口数(NA)を0.75とし、光軸上における点Oと境界B3との距離E2を300μmとし、点Oと点O’との距離E3を80μmとした。なお、上記の条件では、球面収差以外にコマ収差及び非点収差が波面に含まれている。図7(a)及び図7(b)に示されるように、前述した逆伝搬解析によって、照射光に必要な波面が好適に求められる。そして、その波面に基づいて、収差補正ホログラムが好適に求められる。
なお、生体試料Bの表面形状に起因する収差を補正する方法として、例えば、位相変調器(主にデフォーマブルミラー)と波面計測器(シャックハルトマンセンサ)とを組み合わせ、更に生体試料Bの内部の特定の位置に、大きさや形状が既知である蛍光ビーズを埋め込む方法が考えられる。この方法では、励起光と蛍光ビーズからの蛍光とが共に収差の影響を受ける。そこで、波面計測器を用いて蛍光強度分布を計測することにより、収差を計測する。そして、この収差を補正するようなホログラムを位相変調器に呈示させる。このとき、蛍光ビーズを参照情報として利用する。しかしながら、このような方法では、蛍光ビーズを外科的手術によって埋め込む必要があり、蛍光ビーズを埋め込むことが困難であるか、或いは蛍光ビーズを埋め込むことによって生体試料Bの状態が変化してしまうような場合には適用できない。これに対し、本実施形態の方法によれば、蛍光ビーズを埋め込む必要がない。
また、収差が低減すると想定される複数のホログラムを空間光変調器に提示し、該空間光変調器によって変調された照射光を走査して、得られた画像の輝度や解像度が向上するホログラムを選択するといった、トライアンドエラーによって収差補正ホログラムを得る方法も考えられる。しかしながら、このような方法では実験及び設計を繰り返すために長時間を要する。また、得られる収差補正ホログラムは近似解となる可能性が高く、精度が低く抑えられてしまう。これに対し、本実施形態の方法では収差補正ホログラムデータの算出をすべてコンピュータ43において行うので、操作者によるトライアンドエラーを伴う方法と比較して、所要時間を短縮することが可能となる。また、本実施形態の方法では、形状計測ユニット20において取得された表面形状の情報に基づいてコンピュータ43が収差補正ホログラムデータを作成するので、収差補正の精度を高めることができる。
また、生体試料Bにおいて生じた蛍光を分岐し、分岐した一方の蛍光をレンズにより集光し、その集光像をカメラによって撮像することにより、収差を補正する方法も考えられる(特許文献1参照)。生体試料Bの表面形状による収差が無い場合には集光像は回折限界像となるが、収差が存在する場合には、集光像は歪みを有する形状となる。そこで、この方法では、複数の集光像の形状に応じた複数の収差の条件を予め記憶しておき、それらの中から適切な条件を選択することにより、収差補正を行う。しかしながら、このような方法においても、得られる収差補正ホログラムは近似解となる可能性が高く、精度が低く抑えられてしまう。本実施形態の方法では、形状計測ユニット20において取得された表面形状の情報に基づいてコンピュータ43が収差補正ホログラムデータを作成するので、収差補正の精度を高めることができる。
なお、第1の空間光変調器33及び第2の空間光変調器36に呈示されるホログラムは、収差補正ホログラムそのものでなくてもよい。例えば、生体試料Bに照射される照射光L1の集光形状や集光位置を制御するためのホログラムといった他のホログラムと収差補正ホログラムとを重畳したホログラムであってもよい。
(第2の実施の形態)
上記第1実施形態では生体試料Bの表面形状に起因する収差の補正について述べたが、生体試料Bの表面直下の内部構造によっても収差は発生する。以下、そのような現象について詳細に説明する。
一定の光強度を有する照射光を生体試料Bに照射した場合であっても、生体試料Bの深い位置と浅い位置とでは観察される蛍光強度が異なる。これは、生体試料Bの内部構造に起因する照射光や蛍光の散乱及び収差によるものである。このような散乱及び収差の発生は、巨視的には血管などの構造、微視的には細胞を構成する器官の屈折率差によって生じる光路変化が一因となる。特に、生体試料Bの深い位置では、内部構造によって光路が変化し、照射光の集光形状が大きく変わってしまうことにより、観察される蛍光強度及び解像度の低下、及びバックグラウンドノイズによるS/N比の低下が生じてしまう。
そこで、本実施形態では、生体試料Bの表面直下における屈折率差を伴う内部構造を計測し、その内部構造に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムを含むホログラムを第1の空間光変調器33及び第2の空間光変調器36に呈示することによって、被検出光L2の強度及び解像度の低下、バックグラウンドノイズによるS/N比の低下を抑える。
図8は、生体試料Bを側方から見た図であり、屈折率が互いに異なる媒質Ba及びBbを含む内部構造を通過しつつ照射光が集光される様子を概念的に示す。図8(a)及び図8(b)は、無収差を仮定したときの照射光L7の集光の様子を示しており、それぞれ生体試料Bの浅い位置と深い位置とに集光させた場合を示している。図8(a)に示されるように、浅い位置に集光させる場合には、光路上に存在する屈折率の境界が比較的少ないが、図8(b)に示されるように、深い位置に集光させるほど、光路上に存在する屈折率の境界が増す。従って、そのような場合、実際には図8(c)に示されるように照射光は生体試料Bの内部構造による影響を受ける。図8(c)のように収差補正を行わない場合、内部構造の影響を受けてレンズ外周部付近の光線L7c,L7dは屈折する。一方、光軸A2付近の光線は屈折角が小さいので内部構造の影響を受けにくい。その結果、光軸A2付近の光線の集光位置と光線L7c,L7dの集光位置とが互いに異なることとなり、収差が発生する。図8(d)は、このような収差が補正された場合を示しており、内部構造の屈折率分布を考慮して照射光L7の波面を補正することにより、光線L7aの集光位置と光線L7c,L7dの集光位置とが互いに一致し、照射光L7の高密度での集光が可能となる。
図9は、本実施形態の顕微鏡装置1Bの構成を示す図である。顕微鏡装置1Bと第1実施形態の顕微鏡装置1Aとの相違点は、形状計測ユニット20の有無である。すなわち、本実施形態の顕微鏡装置1Bは形状計測ユニット20を備えておらず、代わりに、顕微鏡ユニット10の対物レンズ移動機構13、並びに画像取得ユニット30のレーザ光源31、光スキャナ35、及び検出器37が、生体試料Bの表面直下の内部構造に関する情報を取得する形状取得部を構成する。そして、本実施形態では、対物レンズ12を光軸方向に移動させ、得られた検出信号S2に基づいて、コンピュータ43が生体試料Bの内部構造に関する情報を取得する。
本実施形態の構成によって、生体試料Bの表面直下の内部構造に関する情報を取得可能である。すなわち、適切な蛍光材料を用いると、得られる蛍光像には生体試料Bの内部構造に関する情報が含まれる。そこで、対物レンズ移動機構13を用いて、対物レンズ12と生体試料Bとの距離を順次変化させる。生体試料B内部の深い位置に照射光(励起光)L1を集光させると、照射光(励起光)L1の光路上に存在する生体試料B内部の構造物から蛍光(自家蛍光を含む)が発する。従って、集光位置を浅くしつつ蛍光強度を取得することにより、生体試料Bの屈折率分布を把握することができる。そして、把握された屈折率分布を考慮した収差補正ホログラムを第1の空間光変調器33及び第2の空間光変調器36に呈示させることにより、収差の影響を軽減させることができる。なお、本実施形態では、生体試料Bは、蛍光色素、蛍光タンパク、自家蛍光、Second Harmonic Generation(SHG)などによって特定の部位から蛍光を発するものであるとよい。また、以下の説明において、対物レンズ移動機構13、レーザ光源31、光スキャナ35、及び検出器37による上記のような内部構造の計測のための動作を、プレスキャンと称する。
顕微鏡装置1Bのようなレーザ走査型蛍光顕微鏡では、光軸に対して垂直な面内の蛍光像を観察するために、光スキャナ35(例えばXYガルバノメータ)による走査が行われる。そして、対物レンズ12あるいは生体試料台11が光軸方向に移動することにより、深さがそれぞれ異なる複数の面内の情報が得られる。最終的に、これらを組み合わせることにより、3次元の情報が構築される。
また、形状取得部は、上記の構成に代えて、或いは上記の構成と共に、単光子の蛍光観察に用いられるライトシート光、或いは超音波などを用いて屈折率分布を計測してもよい。これにより、観察前に予め大凡の構造を把握し、該構造に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムを好適に設計することができる。
図10は、上述した顕微鏡装置1Bの動作、及び本実施形態による画像取得方法を示すフローチャートである。まず、生体試料台11上に生体試料Bを載置する。次に、対物レンズ12を光軸方向に移動しながら、生体試料Bの浅い位置から深い位置へ集光位置を徐々に移動させる。同時に、レーザ光源31から光L5を出射させ、照射光L1を生体試料Bの表面直下に集光させて、生体試料Bの表面直下の内部構造からの被検出光(蛍光)L2を検出器37において検出する。なお、このとき、第1の空間光変調器33による収差補正は行わない。これにより、生体試料Bの表面直下の内部構造に起因する深さ方向の蛍光の変化が検出される。そして、照射光L1の光軸を光スキャナ35によって移動させながら、この動作を繰り返し行う。これにより、生体試料Bの内部構造に関する3次元の情報が構築される。そして、構築された3次元情報から、屈折率分布を推定する(形状取得ステップS21)。
その後、第1実施形態と同様のホログラム作成ステップS12、光照射ステップS13、光検出ステップS14、及び画像作成ステップS15を行う。なお、深い位置での観測では、推定された屈折率分布の一部ないしは全部を照射光L1及び被検出光L2が通過するので、ホログラム作成ステップS12では、通過中の照射光L1及び被検出光L2に対する屈折率分布の影響が小さくなるように収差補正ホログラムを作成するとよい。本実施形態において、収差補正ホログラムは、幾何光学、波動光学、電磁場解析等を用いて逆伝播により求められる波面に基づいて設計される。幾何光学とは例えば逆光線追跡であり、波動光学とは例えばフレネル波面伝搬若しくはフレネルキルヒホッフの回折であり、電磁場解析とは例えばFDTD若しくはRCWAである。
なお、上記第1実施形態では生体試料Bの表面形状に基づいて収差補正ホログラムが作成され、本実施形態では生体試料Bの表面直下の屈折率分布を伴う構造に基づいて収差補正ホログラムが作成されるが、生体試料Bの表面形状と、生体試料Bの表面直下の構造との双方に基づいて収差補正ホログラムが作成されてもよい。
また、本実施形態の形状取得部は、照射光L1を照射することによって得られる蛍光を用いて生体試料Bの表面直下の構造に関する情報を取得しているが、形状取得部は、生体試料Bの表面直下における屈折率分布を、超音波を用いて計測してもよく、位相差や微分干渉を用いて表面直下の屈折率分布を計測してもよい。或いは、形状取得部は、光軸の角度を振り、若しくは浸液の屈折率を変えて、反射や透過などから表面直下の屈折率分布や散乱度合いを推定してもよい。これらにより、特に生体試料Bの表面での屈折率分布を推定することができる。例えば光軸の角度を振る場合には、ブリュースター角や角度と反射率との関係から生体試料Bの表面の屈折率や試料内部の屈折率分布を推定できる。
以上の構成を備える本実施形態の顕微鏡装置1B及び画像取得方法によって得られる効果について説明する。本実施形態の顕微鏡装置1B及び画像取得方法では、生体試料Bの表面直下の内部構造に関する情報が取得され、その情報に基づいて、収差を補正するための収差補正ホログラムデータが生成され、該データに基づくホログラムによって照射光L1が変調される。これにより、生体試料Bの表面直下の内部構造に起因する収差が好適に補正されるので、生体試料Bの内部における照射光L1の集光強度の低下及び集光形状の広がりを抑えることができる。
また、本実施形態においても、収差補正ホログラムデータに基づくホログラムが第2の空間光変調器36に呈示され、生体試料Bにおいて生じた被検出光L2が第2の空間光変調器36によって変調されてもよい。これにより、生体試料Bの表面直下の内部構造に起因する収差による被検出光L2への影響が補正されるので、生体試料Bの画像をより鮮明にすることができる。
(第1の変形例)
図11は、第1変形例の動作を説明するための図であって、生体試料Bの表面を光軸方向から見た図である。第2実施形態においては、形状取得部が(形状取得ステップにおいて)、図11に示されるように生体試料Bの表面を格子状の複数の領域F1〜F4に分割し、各領域F1〜F4毎に小面積での走査を並行して行ってもよい。この場合、各領域F1〜F4毎に個別の収差補正ホログラムが作成され、第1の空間光変調器33には、収差補正及び多点生成の効果を有するホログラムが呈示される。
図12(a)及び図12(b)は、生体試料Bの外側との境界B1の一例を示す図である。図12(a)に示されるように、照射光L1が広い領域を走査する場合には、対物レンズ12と境界B1との距離及び生体試料Bの表面直下の内部構造が大きく変化するので、収差補正ホログラムを途中で切り替えてもよい。しかしながら、その場合、空間光変調器の動作が遅いので時間のロスにつながる。これに対し、図12(b)に示されるように、複数の領域F1〜F4に分割して走査領域を小さくすると、収差補正ホログラムを切り替える必要がなく、高精度かつ高速な走査が実現される。
(第2の変形例)
図13は、第2変形例に係る顕微鏡装置1Cの構成を示す図である。本変形例の顕微鏡装置1Cでは、形状計測ユニット20Bが形状取得部を構成する。形状計測ユニット20Bは、光源25、ダイクロイックミラー26、光スキャナ27、検出器28、及びフィルタ29を有する。
光源25は、生体試料Bに照射される励起光L8を出射する。なお、本変形例においても、第2実施形態と同様に、生体試料Bは、蛍光色素、蛍光タンパク、自家蛍光、SHGなどによって特定の部位から蛍光を発するものであるとよい。そして、励起光L8は生体試料Bを励起する波長を含む光である。励起光L8は、レーザ光源31から出射される光L5と同じ波長の光であってもよいし、異なる波長の光であってもよい。
ダイクロイックミラー26は、光源25からの励起光L8、及び顕微鏡ユニット10からの蛍光L9のうち一方を透過し、他方を反射する。図13に示される例では、ダイクロイックミラー26は、励起光L8を反射し、蛍光L9を透過する。
光スキャナ27は、励起光L8の光軸に垂直な面内において励起光L8の光軸を移動させることにより、生体試料Bにおける励起光L8の照射位置を走査する。光スキャナ27は、例えばガルバノミラー、共振ミラー若しくはポリゴンミラーによって構成される。また、生体試料Bからの蛍光L9は、光スキャナ27を介して検出される。これにより、励起光L8の光軸と蛍光L9の光軸とを互いに一致させることができる。
検出器28は、生体試料Bから対物レンズ12を介して出射された蛍光L9の光強度を検出し、検出信号S3を出力する。検出器28は、PMT、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオードといったポイントセンサであってもよい。或いは、検出器28は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、マルチアノードPMT、フォトダイオードアレイといったエリアイメージセンサであってもよい。なお、検出器28の前段にピンホールが配置されることにより、コンフォーカル効果が与えられてもよい。
フィルタ29は、ダイクロイックミラー26と検出器28との間の光軸上に配置される。フィルタ29は、検出器28に入射する光から、励起光L8の波長、及び観察に不要な蛍光等の波長をカットする。
対物レンズ12と光源25との距離が長い場合には、励起光L8及び蛍光L9の光軸上に少なくとも一つの4f光学系が設けられてもよい。一例として、図1には一つの4f光学系53が示されている。4f光学系53は、光スキャナ27とビームスプリッタ14との間の光軸上に配置されている。
本変形例では、まず、生体試料台11上に生体試料Bが載置される。次に、対物レンズ12を光軸方向に移動しながら、生体試料Bの浅い位置から深い位置へ集光位置を徐々に移動させる。同時に、光源25から励起光L8を出射させ、生体試料Bの表面直下の内部構造からの蛍光L9を検出器28において検出する。これにより、生体試料Bの表面直下の内部構造に起因する深さ方向の蛍光の変化が検出される。そして、励起光L8の光軸を光スキャナ27によって移動させながら、この動作を繰り返し行う。これにより、生体試料Bの内部構造に関する3次元の情報が構築される。そして、構築された3次元情報から、屈折率分布が推定される。以降の動作は、前述した第2実施形態と同様である。
(第3の変形例)
前述した第2実施形態において、プレスキャンを複数回繰り返し、2回目以降のプレスキャンにおいて、前回のプレスキャンの結果に基づいて第1の空間光変調器33により光L5の収差を補正してもよい。これにより、光L5を生体試料Bに照射する際に、生体試料Bの内部構造に起因する収差の影響を軽減して、生体試料Bの構造をより正確に把握し、更に高解像度の画像を得ることができる。
具体的には、最初のプレスキャンの際には収差補正を実施しないため照射光L1は平面波となるが、2回目のプレスキャンでは収差を補正するような波面を照射光L1に与える。そして、2回目以降のプレスキャンによって得られた生体試料Bの構造に基づいて、収差補正ホログラムを設計する。或いは、最初のプレスキャンによって大凡の収差補正を行い、2回目以降のプレスキャンによって更に細かい収差補正を行ってもよい。
(第4の変形例)
図14は、第4変形例に係る顕微鏡装置1Dの構成を示す図である。本変形例では、生体試料Bの表面形状の計測に、エバネッセント場を利用する。これにより、生体試料Bが生体試料台11に接地しているか否かといった形状把握が容易となる。なお、本変形例では、エバネッセント場を発生させるために、全反射が生じるような対物レンズ12及び生体試料台11(カバーガラス)が用いられる。
本変形例の顕微鏡装置1Dでは、形状計測ユニット20Cが形状取得部を構成する。形状計測ユニット20Cは、光源25、ダイクロイックミラー26、検出器28、フィルタ29、及び集光レンズ61を有する。なお、光源25、ダイクロイックミラー26、検出器28、及びフィルタ29の構成は第3変形例と同様である。
集光レンズ61は、励起光L8が面照明である場合に設けられ、ダイクロイックミラー26と顕微鏡ユニット10との間の光軸上に配置される。集光レンズ61は、対物レンズ12の後側焦点面に励起光L8を集光させる。なお、励起光L8が点照明である場合には、集光レンズ61は不要である。その場合には、例えば平面波である励起光L8を対物レンズ12の全反射が生じる領域に入射させ、光スキャナ若しくは生体試料台11の平行移動によって励起光L8の走査を行うとよい。また、対物レンズ12に代えて、プリズムや光ファイバが用いられてもよい。
(第5の変形例)
図15は、第5変形例に係る顕微鏡装置の顕微鏡ユニット10B及び形状計測ユニット20Dの構成を示す図である。本変形例では、超音波により生体試料Bの弾性を計測し、生体試料Bの領域間の弾性差を利用して生体試料Bの構造を得る。そして、得られた構造に基づいて、収差補正ホログラムを作成する。なお、図15では、図1及び図9に示された画像取得ユニット30及び制御ユニット40の図示を省略している。
図15に示されるように、本変形例の形状計測ユニット20Dは、パルス発生源62及び受信器63を有する。パルス発生源62は、超音波を発生させるためのパルス信号S4を発生する。受信器63は、生体試料Bの内部構造に関する情報を含むパルス信号S5を受信する。
顕微鏡ユニット10Bは、図1及び図9に示された顕微鏡ユニット10の対物レンズ12に代えて、圧電薄膜付きレンズ64を有する。なお、他の構成については顕微鏡ユニット10と同様である。圧電薄膜付きレンズ64は、生体試料Bに対向するように配置され、圧電薄膜によってパルス信号S4を超音波に変換して該超音波を生体試料Bに照射し、また、生体試料Bにおいて反射した超音波をパルス信号S5に変換する。なお、本変形例ではパルス信号S4とパルス信号S5とに対して共通の圧電薄膜付きレンズが用いられているが、パルス信号S4用の圧電薄膜付きレンズと、パルス信号S5用の圧電薄膜付きレンズとが個別に設けられてもよい。
(第6の変形例)
図16は、第6変形例に係る顕微鏡装置1Eの構成を示す図である。本変形例では、生体試料Bの表面形状の計測に、位相差・微分干渉を利用する。本変形例の顕微鏡装置1Eでは、形状計測ユニット20Eが形状取得部を構成する。形状計測ユニット20Eは、光源21、ビームスプリッタ22、検出器24、微分干渉(DIC)プリズム66、及び偏光子67を有する。なお、光源21、ビームスプリッタ22、検出器24の構成は第1実施形態と同様である。
DICプリズム66及び偏光子67は、ビームスプリッタ22と対物レンズ12との間の光路上に並んで配置されている。DICプリズム66は、光源21からの光L3を2本に分岐し、また、生体試料Bからの戻り光L10を重ね合わせる。偏光子67は、光L3及びL10の偏光を制限する。生体試料BからDICプリズム66及び偏光子67を経てビームスプリッタ22に到達した光L10は、ビームスプリッタ22を透過して検出器24に入射する。
本発明による顕微鏡装置及び画像取得方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、第1の空間光変調器及び第2の空間光変調器に収差補正ホログラムが呈示されるが、収差補正ホログラムは、第1の空間光変調器のみに呈示されてもよい。このような場合であっても、生体試料の内部における照射光の集光強度の低下及び集光形状の広がりを抑えることができる。また、上述した実施形態では、顕微鏡ユニット10が倒立型顕微鏡である場合について説明したが、顕微鏡ユニット10は正立型顕微鏡であってもよい。
(付記)
本発明による顕微鏡装置及び画像取得方法は、下記の特徴を有してもよい。
本発明による顕微鏡装置は、生体試料の画像を取得する顕微鏡装置であって、生体試料を支持する生体試料台と、生体試料台と対向する対物レンズと、生体試料に対し、対物レンズを介して光を照射する光照射部と、生体試料の表面形状、及び生体試料の表面直下の構造のうち少なくとも一方に関する情報を取得する形状取得部と、形状取得部において取得された情報に基づいて、少なくとも一方に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータを作成するホログラム作成部と、収差補正ホログラムデータに基づくホログラムが呈示され、光照射部から生体試料へ照射される光を変調する空間光変調器と、生体試料において生じた光の強度を検出する光検出部と、光検出部からの出力に基づいて生体試料の画像を作成する画像作成部と、を備えることを特徴としてもよい。
また、本発明による画像取得方法は、生体試料の画像を取得する方法であって、対物レンズと対向する生体試料台に支持された生体試料の表面形状、及び生体試料の表面直下の構造のうち少なくとも一方に関する情報を取得する形状取得ステップと、形状取得ステップにおいて取得された情報に基づいて、少なくとも一方に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータを作成するホログラム作成ステップと、収差補正ホログラムデータに基づくホログラムを空間光変調器に呈示し、光照射部から出射された光を空間光変調器により変調し、変調後の光を生体試料へ照射する光照射ステップと、生体試料において生じた光の強度を検出する光検出ステップと、光検出ステップにおける検出情報に基づいて生体試料の画像を作成する画像作成ステップと、含むことを特徴としてもよい。
上記の顕微鏡装置及び画像取得方法では、生体試料の表面形状、及び生体試料の表面直下の構造のうち少なくとも一方に関する情報が取得され、その情報に基づいて、収差を補正するための収差補正ホログラムデータが生成され、該データに基づくホログラムによって照射光が変調される。これにより、生体試料の表面形状、及び生体試料の表面直下の構造のうち少なくとも一方に起因する収差が好適に補正されるので、生体試料の内部における照射光の集光強度の低下及び集光形状の広がりを抑えることができる。
また、上記の顕微鏡装置は、収差補正ホログラムデータに基づくホログラムが呈示され、生体試料において生じた光を変調する第2の空間光変調器を更に備えることを特徴としてもよい。また、上記の画像取得方法は、光検出ステップにおいて、収差補正ホログラムデータに基づくホログラムを第2の空間光変調器に呈示し、生体試料において生じた光を第2の空間光変調器により変調し、変調後の光の強度を検出することを特徴としてもよい。これにより、生体試料の表面形状、及び生体試料の表面直下の構造のうち少なくとも一方に起因する収差による、生体試料において生じた光への影響が補正されるので、生体試料の画像をより鮮明にすることができる。
1A〜1E…顕微鏡装置、10,10B…顕微鏡ユニット、11…生体試料台、12…対物レンズ、13…対物レンズ移動機構、14…ビームスプリッタ、15…反射ミラー、20,20B〜20E…形状計測ユニット、21…コヒーレント光源、22…ビームスプリッタ、23…参照光用ミラー、24…検出器、30…画像取得ユニット、31…レーザ光源、32…ビームエキスパンダ、33…第1の空間光変調器、34…ダイクロイックミラー、35…光スキャナ、36…第2の空間光変調器、37…検出器、40…制御ユニット、A2…光軸、B…生体試料、L1…照射光、L2…被検出光、L3…コヒーレント光、L4…干渉光。

Claims (12)

  1. 生体試料の画像を取得する顕微鏡装置であって、
    前記生体試料を支持する生体試料台と、
    前記生体試料台と対向する対物レンズと、
    前記生体試料に対し、前記対物レンズを介して光を照射する光照射部と、
    前記生体試料の表面形状、及び前記生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータを作成するホログラム作成部と、
    前記収差補正ホログラムデータに基づいて、前記光照射部から前記生体試料へ照射される光を変調する第1の空間光変調器と、
    前記生体試料において生じた光の強度を検出する光検出部と、
    を備えることを特徴とする顕微鏡装置。
  2. 前記生体試料における光の照射位置を走査する光スキャナを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡装置。
  3. 前記光検出部は、前記光スキャナにより反射された光を検出することを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡装置。
  4. 前記光検出部はポイントセンサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
  5. 前記ホログラム作成部は、前記生体試料の屈折率分布に基づいて前記収差補正ホログラムデータを作成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
  6. 前記生体試料の表面形状、及び前記生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に関する情報を取得する形状取得部を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
  7. 生体試料の画像を取得する方法であって、
    対物レンズと対向する生体試料台に支持された前記生体試料の表面形状、及び前記生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に起因する収差を補正するための収差補正ホログラムデータを作成するホログラム作成ステップと、
    前記収差補正ホログラムデータに基づいて、光照射部から出射された光を第1の空間光変調器により変調し、変調後の光を前記生体試料へ照射する光照射ステップと、
    前記生体試料において生じた光の強度を検出する光検出ステップと、
    を含むことを特徴とする画像取得方法。
  8. 前記光照射ステップにおいて、前記生体試料における光の照射位置を走査することを特徴とする請求項7に記載の画像取得方法。
  9. 前記光検出ステップにおいて、光スキャナにより反射された光を検出することを特徴とする請求項8に記載の画像取得方法。
  10. 前記光検出ステップにおいて、前記生体試料において生じた光の強度をポイントセンサにより検出することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像取得方法。
  11. 前記ホログラム作成ステップにおいて、前記生体試料の屈折率分布に基づいて前記収差補正ホログラムデータを作成することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像取得方法。
  12. 前記生体試料の表面形状、及び前記生体試料の内部構造のうち少なくとも一方に関する情報を取得する形状取得ステップを更に含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の画像取得方法。
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