JP3675872B2 - 防振ブッシュ用部品 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は振動体を支持体に弾性的に支持する防振ブッシュ用部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジンを車体に支持する防振ブッシュとして、円形の外筒と内筒との間に弾性体(防振ゴム)を設けてなる防振ブッシュ本体と、上記外筒を車体に支持するブラケットとからなるものは一般に知られている。
【0003】
また、他の防振ブッシュとして、略U字形に屈曲成形され且つその開口縁が外側に屈曲されて取付フランジとなしたブラケットを有し、両側端面に保持板を接合し中央に内筒を設けた防振ゴム体を上記ブラケットに圧入し、該ブラケットの開口をストッパ板で覆ったものがある(特開平5−18428号公報参照)。このものでは、上記ブラケットの頂壁及び上記ストッパ板の各々が弾性体の弾性変位量を規制するストッパとして機能する。
【0004】
ところで、自動車のエンジンをそのクランクシャフトが車幅方向に延びるように横置きにした場合、該エンジンの両端に該エンジンの荷重を主として支持する荷重支持型のエンジンマウントが設けられ、エンジンの前又は後にエンジンのローリングを主として抑えるエンジンマウントが設けられるのが通常である。
【0005】
上記荷重支持型のマウントとして防振ブッシュを用いた場合、エンジンの荷重によって弾性体が下方へ弾性変形しエンジンが沈む。従って、この沈んだ状態でエンジンが車体に対して所定の位置関係にあり、且つ該エンジンの振動を効率良く吸収することができるようにする必要がある。また一方、上記エンジンの振動特性はその重量によって異なり、さらには該重量は略同じであっても、直列4気筒かV型6気筒かなど形式の違い、あるいは使用するトランスミッションの形式の違い、ガソリンエンシン、ディーゼルエンジン等の燃焼方式の違い等によってもその振動の特性が相違する。
【0006】
このため、従来はエンジンの重量や該エンジン又はトランスミッションの種類の違いに応じて形状の異なる専用の防振ブッシュ用金型を作ることによって、つまり、防振ブッシュの形状を変えることによって振動特性の異なる各種のエンジンに対し個々に対応させているのが通常である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エンジンの種類等の違いに応じて専用の防振ブッシュを製作することは、その設計、製作に多大なコストを要するから得策ではない。これに対して、防振ブッシュの弾性体の硬さを変えると、その剛性が変化しその振動吸収特性が変わってくる。従って、防振ブッシュの形状自体は変えずに弾性体の硬さを変えることによって上記エンジンの振動特性の違いに対応することが考えられるが、エンジンの重量が変わるとその弾性体の下方への弾性変位量が異なるものになるため、エンジンと車体との位置関係を予定のものにすることができない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、防振ブッシュの振動体(例えばエンジン)側に結合される部材と、支持体(例えば車体)側に結合される部材とを、互いの相対的な位置関係を任意に変えて結合することができるようにし、上記課題を解決したものである。
【0009】
すなわち、上記課題を解決する請求項1に係る発明は、振動体を支持体に弾性的に支持する防振ブッシュ用部品であって、
相対向する固着部を備え、該両固着部に上記振動体及び支持体のうちの一方に連結される内筒が貫通状態に設けられた弾性体が固着されて保持されたホルダと、
上記ホルダが結合され上記振動体及び支持体のうちの他方に取り付けられるブラケットとを備え、
上記ブラケットは、上記ホルダを支持させるために該ホルダの各固着部が結合される相対向する支持部と、上記振動体及び支持体のうちの他方に取り付けられる取付部とを備え、
上記ブラケットの各支持部は、上記ホルダの固着部を結合する結合位置を上下の所定範囲内で任意に設定することができるように、上記固着部の当該支持部に結合される結合部よりも上下に長く形成されていることを特徴とする。
【0010】
ここに、上記ホルダの各固着部とブラケットの支持部との結合手段としては、スポット溶接、プロジェクション溶接その他の溶接、ボルト等の締結手段など種々の方法を採用することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記防振ブッシュ用部品において、
上記ホルダは、相対向する両固着部間の上側又は下側が開口し、
上記ブラケットは、相対向する両支持部を上記ホルダの開口側においてU字状に結び上記弾性体の変形量を規制するストッパ部を備えていて、該両支持部のストッパ部とは反対側に上記取付部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に係る防振ブッシュ用部品において、
上記ホルダは、上記両固着部の上記開口とは反対側が上記弾性体の変形量を規制するストッパ部によってU字状に結ばれていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、上記請求項2に係る防振ブッシュ用部品において、
上記ブラケットの各取付部は上記支持部の端より外側に張り出しており、該ブラケットは、その一端の取付部から他端の取付部に至る全長にわたって外側に開口した断面コ字形状に形成され、
上記ホルダの固着部は、上記ブラケットの断面コ字形状の支持部に内側から嵌合し且つ結合位置を決めるために該支持部に対して上下スライド可能な断面コ字形状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
【作用】
請求項1に係る発明においては、内筒が設けられる弾性体を固着し保持するホルダとブラケットとを別体とし、該ホルダの固着部とブラケットとの支持部とを結合するようにしているが、該ブラケットの支持部を上記固着部の当該支持部に結合される結合部よりも上下に長くしているから、両者の結合位置を振動体の重量に応じて変更することができる。
【0015】
すなわち、振動体の振動特性に応じて防振に最適な硬さの弾性体を選択しこれをホルダに固着したとき、振動体が重いものである場合には弾性体の変形量が大きくなって該振動体の沈み量が大きくなるが、この沈み量を見越して上記ホルダとブラケットとの結合位置を決めれば、当該振動体と支持体との位置関係を所期の状態にすることができる。振動体が比較的軽いものであれば、上記沈み量は少なくなるから、この少ない沈み量で当該振動体と支持体とが所期の位置関係になるように上記ホルダとブラケットとの結合位置を選ぶことができる。
【0016】
請求項2に係る発明においては、上記ホルダの固着部間の上側又は下側が開口しているから、上記ブラケットの両側支持部をU字状に結ぶ部分を上記弾性体の変形量を規制するストッパ部として利用することができる。
【0017】
請求項3に係る発明においては、上記ホルダの両固着部がストッパ部によってU字状に結ばれているから、ブラケットとを結合する際に該ホルダを取り扱い易くなるとともに、弾性体のストッパを別途設ける必要がない。
【0018】
請求項4に係る発明においては、ブラケットが断面コ字形状に形成されているから、薄肉にしても高い強度を得ることができ、また、ホルダの固着部を上記ブラケットの断面コ字形状の支持部に内側から嵌合し且つ上下にスライド可能に設けたから、該嵌合によってホルダとブラケットとの結合強度が高くなり、また、スライドによってホルダとブラケットとの位置決めを簡単に行なうことができるようになる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、内筒が設けられる弾性体を固着し保持するホルダとブラケットとを別体とし、ホルダの上記弾性体を固着するための相対向する固着部とブラケットの支持部との結合位置を上記振動体の重量に応じて変更することができるように、上記支持部を上記固着部の当該支持部に結合される結合部よりも上下に長く形成しているから、振動体の振動特性に応じて弾性体の硬さを選べば、該弾性体、ホルダ及びブラケットの形状を変えずとも、ホルダとブラケットとの結合位置を変えるだけで、振動体と支持体とを防振等に適した予定の位置関係に設定することができ、防振ブッシュを振動体の種類等に応じて個々に設計し金型を製作する必要がなくなり、コストを下げることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によれば、上記ホルダの相対向する両固着部間の上側又は下側を開口し、上記ブラケットの相対向する両支持部を該ホルダの開口側においてU字状に結び上記弾性体の変形量を規制するストッパ部に形成したから、弾性体のストッパを別途設ける必要がなくなり、コストの低減に有利になる。
【0021】
請求項3に係る発明によれば、上記ホルダの両固着部がストッパ部によってU字状に結ばれているから、ホルダとブラケットとを結合し易くなるとともに、防振ブッシュの構造が簡単なものになり、コストの低減に有利になる。
【0022】
請求項4に係る発明によれば、上記ブラケットの各取付部を支持部の外側に張り出させ、該ブラケットを、その一端の取付部から他端の取付部にわたって外側に開口した断面コ字形状に形成し、上記ホルダの固着部を上記ブラケットの断面コ字形状の支持部に内側から嵌合し且つ上下にスライドすることができるように断面コ字形状に形成したから、防振ブッシュの強度向上に有利になるとともに、ホルダとブラケットとの位置決め及び結合が容易になる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1には自動車のエンジンマウントに用いる防振ブッシュ1が示されており、該防振ブッシュ1において、2は弾性体(防振ゴム)、3は該弾性体2を保持するホルダ、4は該ホルダ3を支持するブラケットであり、弾性体2にその中央を貫通する内筒5が設けられている。この内筒5がエンジンに連結され、上記ブラケット4が車体に固定されるものである。
【0025】
上記ホルダ3は、図2にも示すように、上記弾性体2が固着される相対向する固着部6,6と、該両固着部6,6をU字状に結ぶストッパ部7とよりなり、両固着部6,6間は上方に開口している。このホルダ3の断面形状は、該ホルダ3の全長にわたってウェブの両端よりフランジがそれぞれ外側へ突出してなる、外側に開口したコ字形状になっている。そして、上記固着部6は、上側の垂直部と該垂直部に続いて斜め内側に延びる下側の傾斜部とよりなり、垂直部の背部(外側)に突出したフランジ6a,6aが上記ブラケット4に結合支持される結合部になっている。
【0026】
また、上記ストッパ部7は上記弾性体2の下方への弾性変形量を規制するものであり、該ストッパ部7の上面にゴム製のストッパ8が弾性体2に対向するように固着されている。
【0027】
上記ブラケット4は、上記ホルダ3の固着部6,6を支持する相対向する支持部9,9と、該両支持部9,9の上端同士を逆U字状に結ぶストッパ部11と、該両支持部9,9の各々の下端より両外側に突出した取付部12,12とよりなる。このブラケット4の断面形状も、一端の取付部12から他端の取付部12に至る全長にわたってウェブの両端よりフランジがそれぞれ外側へ突出してなる、外側に開口したコ字形状になっている。また、上記取付部12には車体に結合するボルト用の孔12aが形成されている。
【0028】
そうして、上記ブラケット4の支持部9,9のフランジ9a,9aが上記ホルダ3の固着部6,6のフランジ6a,6aと結合される結合部である。そして、上記ホルダ3の固着部6のフランジ6a,6aの間隔は、該固着部6を上記ブラケット4の支持部9に内側から嵌合するように、該支持部9のフランジ9a,9aの間隔よりも広く形成され、また、ブラケット4の支持部9は、ホルダ3の固着部6の結合位置を上下にスライドさせて定めることができるように上下に長く形成されている。
【0029】
上記ホルダ3及びブラケット4の使用に際しては、まず、ホルダ3及び内筒5を防振ブッシュ成形用の金型に組み込んで、弾性体2用のゴムをこれらに加硫接着するとともに、ストッパ8用のゴムをストッパ部7に加硫接着する。弾性体2用のゴムとしては、当該防振ゴム1を適用するエンジンの振動特性に応じて防振に適した硬度のものを選定する。
【0030】
そうして、得られた弾性体付きホルダ3の固着部6,6を図2に示すようにブラケット4の支持部9,9に嵌め、当該エンジンを支持した場合に該エンジンが車体に対して予定の位置関係になるように、弾性体2の変形によるエンジンの沈み量を考慮してブラケット4の取付部12の取付面から上記内筒5の中心に至る寸法Aを決め、この寸法Aに基づいてホルダ3の固着部6とブラケット4の支持部9との位置関係を調整し、該固着部6のフランジ6aと支持部9のフランジ9aとを溶接する。図1において、×印は溶接箇所を示す。
【0031】
エンジンやトランスミッションの種類が異なる場合は、その振動特性に応じて弾性体2の硬さを決め、ゴム材料のみを変えて先と同じ金型を用いてホルダ3に弾性体2を加硫接着する。この場合、エンジンの重量は仮に同じになっても、弾性体の剛性が異なるものになるから、上記エンジンの沈み量は先とは異なるものになる。よって、該沈み量を考慮して上記寸法Aを設定し、上記ホルダ3とブラケット4との結合を行なうことになる。
【0032】
従って、弾性体2、ホルダ3及びブラケット4の各々の形状自体は同じであっても、弾性体2の硬さの変更と、ホルダ3とブラケット4との結合位置の変更によって、エンジンを車体に対して予定どおりに位置決めしながら、種々の防振特性を得ることができ、部品及び金型の汎用性が高くなってコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 防振ブッシュの正面図
【図2】 防振ブッシュの分解斜視図
【符号の説明】
1 防振ブッシュ
2 弾性体(防振ゴム)
3 ホルダ
4 ブラケット
5 内筒
6 固着部
6a フランジ
7 ストッパ部
8 ストッパ
9 支持部
9a フランジ
11 ストッパ部
12 取付部
Claims (4)
- 振動体を支持体に弾性的に支持する防振ブッシュ用部品であって、
相対向する固着部を備え、該両固着部に上記振動体及び支持体のうちの一方に連結される内筒が貫通状態に設けられた弾性体が固着されて保持されたホルダと、
上記ホルダが結合され上記振動体及び支持体のうちの他方に取り付けられるブラケットとを備え、
上記ブラケットは、上記ホルダを支持させるために該ホルダの各固着部が結合される相対向する支持部と、上記振動体及び支持体のうちの他方に取り付けられる取付部とを備え、
上記ブラケットの各支持部は、上記ホルダの固着部を結合する結合位置を上下の所定範囲内で任意に設定することができるように、上記固着部の当該支持部に結合される結合部よりも上下に長く形成されていることを特徴とする防振ブッシュ用部品。 - 請求項1に記載されている防振ブッシュ用部品において、
上記ホルダは、相対向する両固着部間の上側又は下側が開口し、
上記ブラケットは、相対向する両支持部を上記ホルダの開口側においてU字状に結び上記弾性体の変形量を規制するストッパ部を備えていて、該両支持部のストッパ部とは反対側に上記取付部が設けられていることを特徴とする防振ブッシュ用部品。 - 請求項2に記載されている防振ブッシュ用部品において、
上記ホルダは、上記両固着部の上記開口とは反対側が上記弾性体の変形量を規制するストッパ部によってU字状に結ばれていることを特徴とする防振ブッシュ用部品。 - 請求項2に記載されている防振ブッシュ用部品において、
上記ブラケットの各取付部は上記支持部の端より外側に張り出しており、該ブラケットは、その一端の取付部から他端の取付部に至る全長にわたって外側に開口した断面コ字形状に形成され、
上記ホルダの固着部は、上記ブラケットの断面コ字形状の支持部に内側から嵌合し且つ結合位置を決めるために該支持部に対して上下スライド可能な断面コ字形状に形成されていることを特徴とする防振ブッシュ用部品。
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JP03800995A Expired - Lifetime JP3675872B2 (ja) | 1995-02-27 | 1995-02-27 | 防振ブッシュ用部品 |
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