JP3675214B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録用紙の幅方向に移動する記録ヘッドを有し、印刷デ−タに基づいてインク滴を記録用紙に吐出して画像を印刷するインクジェット式記録装置に関し、より詳細にはキャッピング装置周りにおけるインクの飛散による汚染を未然に防止し得るようにしたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パ−ソナルコンピュ−タの発達によりグラフィック処理が比較的簡単に実行できるようになったため、ディスプレイに表示される例えばカラ−画像のハ−ドコピ−を高品質で出力できる記録装置が求められている。
【0003】
このような要求に応えるためにインクジェット式記録ヘッドを搭載した記録装置が提供されている。このインクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成できるため、カラ−印刷を含めた多くの印刷に使用されている。
【0004】
このようなインクジェット式記録装置は、インク貯蔵手段からのインクの供給を受けるインクジェット式記録ヘッドと、記録用紙を記録ヘッドに対して相対的に移動させる紙送り手段を備え、印字信号に応じて記録ヘッドを移動させながら記録用紙にインク滴を吐出させてドットを形成することで記録が行われる。
【0005】
このようにインクという液体を扱う関係上、記録ヘッドへのインクの充填や、またインク溶媒の揮散による目詰まりを防止するために、記録ヘッドからインクを強制的に吸引排出させる処理や、また印字デ−タに関係がない駆動信号を供給してヘッドのノズル開口からインク滴を吐出させる操作が行われている。
【0006】
記録ヘッドの目詰まり解消のために行うインクの強制的な排出処理は、通常クリ−ニング操作と呼ばれ、長時間の休止後に印刷を再開する場合や、またユ−ザが記録ヘッドの目詰まりを解消するためにクリ−ニングスイッチを押下した場合に、記録ヘッドをキャッピング手段により封止して負圧を作用させてインク滴を排出させ、その後にゴムなどの弾性板からなるクリ−ニング部材により払拭するワイピング操作が伴う処理である。
【0007】
なお、記録ヘッドに駆動信号を印加してインク滴を吐出させる操作は、通常フラッシング操作と呼ばれ、クリ−ニング操作時にワイピング等でヘッドのノズル開口近傍の不揃いのメニスカスを回復させたり、また印刷中にインク滴の吐出が少ないノズル開口の目詰まりを防止する目的で一定周期ごとに実行させる操作である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記したような記録ヘッドのクリ−ニング機能を備えたインクジェット式記録装置においては、記録ヘッドがキャッピング手段から離れる際、あるいは記録ヘッドがクリ−ニング部材から離れる際に、インクが飛散することがある。このインクの飛散は、キャッピング手段あるいはクリ−ニング部材近傍の狭い範囲に限定され、記録用紙等を汚すことはない。しかしながら、飛散したインクが、前記キャッピング手段の側壁、クリ−ニング部材の側壁等に付着することがあった。
【0009】
一方、近年のインクジェット式記録装置にあっては小型化の要請から、キャッピング手段とクリ−ニング部材を近接して配置し、記録ヘッドをキャッピング手段により封止して負圧を作用させてインク滴を排出させ、その後記録ヘッドをキャッピング手段から離し、記録ヘッドを移動させゴムなどの弾性板からなるクリ−ニング部材によりワイピング操作を行っている。
【0010】
このとき、記録ヘッドから離れたキャッピング手段は、クリ−ニング部材の側壁に当接させることにより、その位置が規定されるように構成されている。
【0011】
したがって、キャッピング手段の側壁、クリ−ニング部材の側壁にインクが付着した状態において、ワイピング動作に移ると、キャッピング手段はクリ−ニング部材に当接するため、それら側壁に付着したインクは瞬間的に押圧され、より遠くに飛散する。その結果、機器内部を広範囲に汚染するのみならず、記録用紙を汚すことがあった。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、前記したようなインク飛散を発生させるような現象を解消し、記録装置内部の広範囲の汚染、特に記録用紙の汚染の問題を解決したインクジェット式記録装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するためになされた本発明は、印刷用紙上を往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに装填され、印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドと、前記キャリッジに当接することにより、前記記録ヘッドを封止する位置に移動するキャッピング手段と、前記記録ヘッドおよび前記キャッピング手段の移動経路上に進退可能となるように配置され、前記記録ヘッドのノズル開口面をワイピングするクリーニング部材と、を備えたインクジェット式記録装置であって、前記キャッピング手段の移動により前記キャッピング手段の側壁と前記クリーニング部材の側壁とが当接可能に配置されていると共に、前記キャッピング手段の側壁が当接する前記クリーニング部材の側壁が傾斜面である構成としている。
【0014】
このように、キャッピング手段の側壁が当接するクリ−ニング部材の側壁を傾斜面としたため、キャッピング手段がクリ−ニング部材に当接する際の衝撃を緩和することができると共に、接触面積を小さくすることができる。
【0015】
ここで、前記クリーニング部材の側壁には側壁の高さ方向に延設された溝が形成されていることが望ましい。
【0016】
これによりクリ−ニング部材の側壁に付着したインクは下方に流れるため、インクの飛散を抑制することができる。
【0017】
また好ましくは、印刷時に前記印刷用紙を保持するプラテンを有し、前記キャッピング手段の移動により前記キャッピング手段の側壁が前記移動経路上に進出した前記クリーニング部材の側壁に最初に当接し、その後、前記クリーニング部材が前記移動経路上から退避し、さらなる前記キャッピング手段の移動により前記キャッピング手段の側壁が前記プラテンの側壁と当接するように前記プラテンの側壁が配置される構成とされる。
【0018】
このように、キャッピング手段の側壁がクリーニング部材の側壁に当接後、プラテンの側壁に当接するため、キャッピング手段の側壁とプラテンの側壁が当接する際の衝撃を緩和することができる。
【0019】
さらに、前記クリーニング部材の側壁にはインク吸収材が形成されていてもよい。
【0020】
これによりクリーニング部材に付着したインクがインク吸収部材が吸収されるため、インクの飛散量を抑制することができる。
【0021】
また、印刷用紙上を往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに装填され、印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドと、前記キャリッジに当接することにより、前記記録ヘッドを封止する位置に移動するキャッピング手段と、印刷時に前記印刷用紙を支持するプラテンと、を備えたインクジェット式記録装置であって、前記プラテンの側壁に前記キャッピング手段の側壁が当接するように配置され、前記プラテンの側壁には側壁の高さ方向に延設された溝が形成されている構成としてもよい。
【0022】
これによりキャッピング部材の側壁とプラテンの側壁の接触面積が小さくなり、また、プラテンの側壁に付着したインクは下方に流れるため、インクの飛散を抑制することができる。
【0023】
ここで、前記溝は、断面形状が矩形形状またはV字形状に形成されているのが望ましい。特に、溝の断面形状がV字形状の場合には、インクはより下方に流れ易いため、インクの飛散を抑制することができる。
【0024】
さらに、前記プラテンの側壁にはインク吸収材が形成されていてもよい。
【0025】
これによりプラテンに付着したインクがインク吸収部材が吸収されるため、インクの飛散量を抑制することができる。
【0026】
以上のように、キャッピング手段側壁、クリ−ニング部材側壁、プラテン側壁に付着したインクが遠くに飛散することはなく、機器内部の広範囲の汚染を防止でき、記録用紙の汚染を防止することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるインクジット式記録装置について、図1乃至図8に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0028】
図1は本発明が適用されたインクジェット式記録装置において、ヘッドクリ−ニングを実行する状態を示したものであり、記録ヘッドがキャップ部材によって封止されている状態を示している。なお、図1及び以下の図5、7中、記録ヘッドの図示は省略されている。また図2は図1の側面図である。図3はクリ−ニング部材の斜視図であり、図4はプラテン側端部の斜視図である。図5は、ワイピング動作におけるキャッピング手段の位置関係を示した平面図である。図6は図5の側面図である。図7は、印字時におけるキャッピング手段の位置関係を示した平面図である。図8は図7の側面図である。
【0029】
符号1はキャリッジであり、このキャリッジ1はガイドロッド2に案内されてプラテン(用紙ガイド板)3に対向して平行に移動するように構成されている。
【0030】
そして、キャリッジ1はキャリッジモ−タ(図示せず)により駆動されるタイミングベルト(図示せず)の一部に結合されて、ガイドロッド2に沿って往復移動されるように構成されている。
【0031】
前記キャリッジ1には、記録ヘッド5がプラテン3の上面に配置された記録媒体としての記録用紙4に対向するように搭載されており、記録ヘッド5に対してインクが導入され、印刷デ−タに対応してプラテン3上の記録用紙4にインク滴を吐出して印刷することができるように構成されている。
【0032】
前記記録ヘッド5を封止するキャッピング手段としてのキャッピング装置6は、記録装置の非印刷領域に配置されており、記録ヘッド5のノズル開口面を密封空間で封止できるサイズのキャップ部材7を備え、非印字時に記録ヘッド5のノズルプレ−トを封止してノズル開口のインクの乾燥を防止する機能と、吐出能力回復操作時にポンプユニット(図示せず)から負圧の供給を受けて記録ヘッド5からインクを強制的に排出させる機能とを備えている。
【0033】
前記キャッピング装置6に配置されたキャップ部材7には、図1に示すようにインク吸引口7aが形成され、前記インク吸引口7aにはチュ−ブ(図示せず)の一端が接続され、前記チュ−ブの他端は、図示しない吸引ポンプに接続されている。また、キャップ部材7には、大気開放口7bが形成され、その大気開放口7bにはチュ−ブ17の一端が接続され、チュ−ブ17の他端はバルブ18に接続されている。
【0034】
これにより、非印字時には記録ヘッド5のノズル開口を封止し、またクリ−ニング指令を受けた場合にはそれぞれ吸引ポンプとしてのポンプユニット(図示せず)による負圧が適宜印加され、記録ヘッド5からインクを強制的に排出させることができ、またインクの強制的排出終了後には前記負圧を解除することができるように構成されている。
【0035】
なお、前記キャップ部材7にはインク吸収シ−ト7cが収容され、吸引したインクが飛散しないように構成されている。
【0036】
また、キャップ部材7は、圧縮バネ16a、16b、16c、16dを介して上下動可能に取付けられたキャップ受け部材8に収容されている。このキャップ受け部材8の係合部8a、8bがスライダ9の係止部材9c、9dに係止されることにより、キャップ受け部材8の上方向の移動は規制される。更にキャップ受け部材8の印刷領域側には、クリ−ニング部材20と当接する当接部8dが設けられている。
【0037】
また、前記スライダ9には長穴13が形成され、前記長穴13にはフレ−ム10に対して回動可能なア−ム11に設けられた軸12が移動可能に収容されている。これにより、スライダ9はフレ−ム10に対してア−ム11を介して円弧状軌跡をもって立ち上げることができる。
【0038】
また、前記スライダ9には非印刷領域側の端部両側にガイド片9aが形成されていて、フレ−ム10の案内面14に支持されている。
【0039】
前記フレ−ム10の案内面14は、先端側に低所部14aが、また後端部に水平な高所部14bが、さらにこれらを接続する傾斜部14cの3つの領域が形成されている。
【0040】
更に、図1に示すように一方のガイド片9aには、一端がフレ−ム10に固定された引っ張りバネ15の他端が固定されていて、常時印刷領域方向で、かつ記録ヘッド5から離反する方向、この実施例では下方に付勢されている。
【0041】
そして、図2に示すようにキャリッジ1がキャッピング装置6の直上に移動した際、キャリッジ1に配置された係合体1aがスライダ9の一部に取り付けられた係合部9bに当接することで、スプリング15の引張力に抗しながら、スライダ9はア−ム11を介して立ち上がり、キャップ受け部材8上に搭載されたキャップ部材7がキャリッジ1に配置された記録ヘッド5を封止することができるように構成されている。
【0042】
また、スライダ9には、前記したようにバルブ18が搭載され、このバルブ18は弁体19aによって開閉がなされるように構成されている。この弁体19aは、スプリング19bによって常時バルブ18を閉塞する状態になしている。また前記弁体19aは弁棒19cと一体に形成され、前記弁棒19cの端部がフレ−ム10に当接することにより、スプリング19bの反発力に抗しながら、バルブ18を開放するように構成されている。
【0043】
また、図1に示すようにキャッピング装置7に隣接する印字領域側には、キャリッジ1の移動に伴ってキャリッジ1に搭載された前記記録ヘッド5のノズル開口面をワイピングする、例えばゴム性のワイパ−ブレ−ド21を備えたクリ−ニング部材20が樹立されている。
【0044】
ヘッドクリ−ニング時において、前記記録ヘッド5はこのクリ−ニング部材20により、そのインク吸引前においてノズルプレ−トに付着している塵埃や紙粉などが除去され、またインク吸引後においてノズルプレ−トに付着しているインクが払拭される。
【0045】
このクリ−ニング部材20は、クリ−ニング部材駆動ユニット(図示せず)により記録ヘッド5の移動経路上のワイピング位置に対して侵入または退避できるように構成されている。
【0046】
また、図3に示すように、記録ヘッドの移動経路に沿ったクリ−ニング部材2の幅が後端部側20bから先端部側20cに向かって徐々に狭くなるような、傾斜面20aがクリ−ニング部材側壁に形成されている。すなわち、キャップ受け部材8の当接部8dは、クリ−ニング部材20の前記傾斜面20aの一部と当接するように構成されている。
【0047】
このように、キャップ受け部材8の当接部8dが傾斜面20aに当接するように構成されているため、キャップ受け部材8の当接時の衝撃を緩和することができる。また、キャップ受け部材8の当接部8dは、クリ−ニング部材20の傾斜面20aの一部と当接するため、キャップ受け部材8の側壁とクリ−ニング部材20の側壁(傾斜面)に付着したインクの挟込み(押圧)を抑制することができる。その結果、付着したインクの飛散量を少なくすることができると共に、飛散範囲を限定された狭い範囲とすることができる。
【0048】
また、図4に示すように、プラテン3の非印字側端部3aには、プラテンの端部3aの側壁の高さ方向に延設された複数の溝30が形成されている。前記溝30の断面は、矩形形状になされている。この溝30の上端部は、プラテン3の上面に臨んでいる。また溝30の下端部は、キャップ受け部材8が当接する部分より下方まで形成されている。
【0049】
このように、キャップ受け部材8の側壁8dが当接するプラテン端部3aの側壁に溝30が設けられているため、プラテン端部3aの側壁に付着したインクは溝30によって下方に流れる。また前記溝30によって、キャップ受け部材8の側壁8dと当接する面積は減少する。
【0050】
その結果、キャップ受け部材8の側壁、プラテン端部3aの側壁に付着したインクの飛散量を少なくできる共に、飛散する範囲を限定された狭い範囲とすることができる。
【0051】
次にこの実施形態の動作について説明する。
【0052】
キャリッジ1が非印字領域に移動すると、図2に示すように、スライダ9は引っ張りバネ15の張力に抗してア−ム11を回動させながら斜め方向に移動する。このとき、案内面14の高所部14bによりキャップ受け部材8が、記録ヘッド5の面に平行となるように位置決めされるため、キャリッジ1に設けられた記録ヘッド5の面に若干の段差が存在しても、圧縮バネ16a〜16dが縮むことによってキャップ部材7が記録ヘッド5を確実に封止する。
【0053】
このようにして、キャップ部材7による封止が完了した段階で、常時バルブ18は閉じられているため、キャップ部材7は大気との連通が断たれて気密状態となり、ノズル開口からのインクの蒸発を抑制して長時間の間、目づまりを防止する。このとき、クリ−ニング部材は図2に示すように記録ヘッド5の移動経路上に進入した状態に配置されている。
【0054】
一方記録ヘッド5のノズル開口に目づまりが生じた場合や、またカ−トリッジの交換等により、記録ヘッド5から強制的にインクを排出する場合には、前記キャッピング状態でポンプユニットを作動させる。これにより、キャップ部材7内に負圧が作用して、ノズル開口からインクが吸い出される。これによりノズル開口の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらには記録ヘッド5内の気泡がインクと共にキャップ部材7に排出される。記録ヘッド5から排出されたインクはインク吸収シ−ト7cに吸収され、記録ヘッド5へのインク付着を防止すると共に、また強制吐出時のインクの跳ね返りを減少させることができる。
【0055】
記録ヘッド5からのインクの強制排出が終了した後、キャリッジ1を更に印字領域と反対側に移動させて、弁体19を移動させることにより、バルブ18を開放してキャップ部材7の大気開放口7bを大気に連通させる。
【0056】
続いて、図示しないポンプユニットを作動させるとキャップ部材7に作用した負圧は大気開放口7bから空気を取り込んで、記録ヘッド5のノズル開口に無用な負圧を作用させることなく、インク吸収シ−ト7cやまたキャップ部材7に残留しているインクをポンプユニットに連通するインク吸引口7aに吸い寄せて外部に排出する。
【0057】
キャップ部材7内の廃インクの排出が終了した段階でポンプユニットを停止させ、記録ヘッド5を印刷領域方向に移動させると、この移動の過程でスライダ9は、フレ−ム10の斜面14にガイドされて中央部をア−ム11の回動で支持されながら降下する。そして、キャップ受け部材8の側壁が、図5、6に示すように記録ヘッド5の移動経路上に進入したクリ−ニング部材20に当接することによって、スライダ9の移動は停止し、その位置に規制される。
【0058】
このとき、キャップ受け部材8の側壁(当接部8d)は、クリ−ニング部材20の前記傾斜面20aの一部と当接するため、キャップ受け部材8の当接時の衝撃は緩和される。また、キャップ受け部材8の当接部8dは、クリ−ニング部材20の前記傾斜面20aの一部と当接するため、キャップ受け部材8の側壁とクリ−ニング部材20の側壁(傾斜面)に付着したインクの挟込み(押圧)を抑制することができる。その結果、付着したインクの飛散量を少なくすることができると共に、飛散範囲を限定された狭い範囲とすることができる。
【0059】
そして更に、記録ヘッド5が印刷領域側を移動することによって、記録ヘッド5のノズルプレ−ト面の清掃がなされる。
【0060】
そしてまた、記録ヘッド5のクリ−ニングが終了し、クリ−ニング部材20が記録ヘッド5の移動経路上から待避すると、図7、8に示すように、スライダ9はキャップ受け部材8の側壁が、プラテン端部3aに当接することによって、スライダ9の移動は停止し、その位置に規制される。
【0061】
前記クリ−ニング部材20が記録ヘッド5の移動経路上から待避する際、キャップ受け部材8の側壁は傾斜面20aと当接しているため、キャップ受け部材8から機械的抵抗を受けることなく、クリ−ニング部材20は移動する。
【0062】
また、プラテン端部3aとキャップ受け部材8の側壁との当接する部分には溝30が設けられているため、たとえプラテン端部3aとキャップ受け部材8の側壁とにインクが付着したとしても、付着したインクは下方に流れるため、インクの飛散量は抑制される。また、プラテン端部3aとキャップ受け部材8の側壁との接触面積が前記溝30によって減少するため、飛散範囲も限定されたものとなる。その結果、機器内部の広範囲の汚染を防止でき、記録用紙を汚すこともない。
【0063】
次に、他の実施形態について、図9、図10に基づいて説明する。
【0064】
図9に示した実施形態は、クリ−ニング部材20側壁(傾斜面20a)の高さ方向に複数の溝31が形成されている点に特徴がある。前記溝31の断面は矩形形状になされている。そして、この溝31の上端部は、クリ−ニング部材20のワイパ−ブレイド21の取付面に臨んでいる。また溝31の下端部は、キャップ受け部材8が当接する部分より下方まで形成されている。
【0065】
したがって、ワイパ−ブレード21の取付面、クリ−ニング部材20側壁(傾斜面20a)に付着下インクは、前記溝31を伝わって下方に流れるため、飛散インク量を減少させることができる。
【0066】
また、図9に示した溝31の断面形状は矩形形状であるが、その断面形状が開拡したV字形状としても良い。このようなV字形状の溝にあっては、矩形形状の溝に比べて側壁に付着したインクがより下方に流れ易く、クリ−ニング部材側壁に付着するインク量を減少させることができる。
【0067】
また、図10に示した実施形態は、クリ−ニング部材20側壁(傾斜面20a)にインク吸収部材32を貼付け等の手段によって形成したものである。このようにインク吸収部材が形成されているため、クリ−ニング部材20側壁に付着したインクを吸収でき、インクの飛散量を抑制できると共に、その飛散範囲を減少させることができる。
【0068】
また、上記実施形態にあっては、クリ−ニング部材に当接する部材として、キャップ受け部材が当接する場合について説明したが、例えばクリ−ニング部材に対して、スライダの端部が当接する場合にも適用することができる。また本発明は、図11に示すように、インク付着可能性を有する第1、第2の部材40、41を有し、第1の部材40と第2の部材41が当接する構成を備えるインクジェット式記録装置に適用することができる。即ち、図11に示すインクジェット式記録装置にあっては、インク付着可能性を有する第1、第2の部材40、41と、第1の部材40と第2の部材41が当接する際の速度を抑える傾斜面43aが形成された干渉部材43とを備えている。そして、バネ42によって第2の部材41が移動すると、第2の部材41の端部は干渉部材43の傾斜面43aに当接し、その後、第2の部材41の端部が前記傾斜面43aに当接した状態で、干渉部材43と第2の部材41移動し、第2の部材41の移動速度は抑えられる。
【0069】
その結果、第1、第2の部材が当接する際の衝撃を緩和することができると共に、接触面積を小さくすることができ、第1、第2の部材、干渉部材に付着したインクが遠くに飛散することはなく、機器内部の広範囲の汚染を防止でき、記録用紙の汚染を防止することができる。
【0070】
前記干渉部材の傾斜面の角度θが、移動方向に対して30°乃至60°なされている。前記干渉部材の傾斜面の角度が60°を越えると、第1の部材あるいは第2の部材の移動方向における干渉部材の幅が大きくなり、装置全体が大型化する。一方、干渉部材の傾斜面の角度が30°未満になると、干渉部材が干渉部材の移動方向に大きくなり、装置全体が大型化する。そのため、前記したように前記干渉部材の傾斜面の角度は30°乃至60°に形成されている。また前記干渉部材は、第2の部材41の移動面と同一面、即ち水平方向に移動するものであってもよく、また第2の部材41の移動面と垂直面、即ち上下方向に移動するものであってもよい。
【0071】
上記実施形態にあっては、記録ヘッドが1つのインクジェット式記録装置を用いて説明したが、本発明は特にこれに限定されるものではなく、2以上の記録ヘッド、2以上のキャップ部材を備えたインクジェット式記録装置に適用することができる。
【0072】
また、上記実施形態にあっては、キャップ受け部材が圧縮バネを介してスライダに装着されているインクジェット式記録装置を用いて説明したが、特にこれに限定されるものではなく、キャップ受け部材が圧縮バネを介してホルダ−に装着され、そのホルダ−がスライダに装着されるインクジェット式記録装置にも適用することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなとおり、本発明にかかるインクジェット式記録装置によれば、第1の部材と第2の部材が当接する際の速度を抑える傾斜面が形成された干渉部材が設けられているため、第1の部材と第2の部材との当接時の衝撃を緩和することができる。
【0074】
その結果、インクの飛散を抑制でき、機器内部の広範囲の汚染を防止でき、記録用紙を汚すこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるインクジェット式記録装置におけるキャッピング手段の構成を示した平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1に示されたクリ−ニング部材の斜視図である。
【図4】図1に示されたプラテン側端部の斜視図である。
【図5】ワイピング動作におけるキャッピング手段の位置関係を示した平面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】印字時におけるキャッピング手段の位置関係を示した平面図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 キャリッジ
2 ガイドロッド
3 プラテン
3a プラテン端部
4 記録用紙
5 記録ヘッド
6 キャッピング装置
7 キャップ部材
8 キャップ受け部材
9 スライダ
10 フレ−ム
11 ア−ム
14 案内面
15 引っ張りバネ
16a 圧縮バネ
16b 圧縮バネ
16c 圧縮バネ
16d 圧縮バネ
17 チュ−ブ
18 バルブ
20 クリ−ニング部材
21 ワイパ−ブレ−ド
30 溝
31 溝
32 インク吸収部材
40 第1の部材
41 第2の部材
42 バネ
43 干渉部材
Claims (7)
- 印刷用紙上を往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに装填され、印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドと、前記キャリッジに当接することにより、前記記録ヘッドを封止する位置に移動するキャッピング手段と、前記記録ヘッドおよび前記キャッピング手段の移動経路上に進退可能となるように配置され、前記記録ヘッドのノズル開口面をワイピングするクリーニング部材と、を備えたインクジェット式記録装置であって、 前記キャッピング手段の側壁と前記クリーニング部材の側壁とが前記キャッピング手段の移動により当接可能に配置されていると共に、前記キャッピング手段の側壁が当接する前記クリーニング部材の側壁が傾斜面であることを特徴とするインクジェット式記録装置。
- 前記クリーニング部材の側壁には側壁の高さ方向に延設された溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
- 印刷時に前記印刷用紙を支持するプラテンを有し、前記キャッピング手段の移動により前記キャッピング手段の側壁が前記移動経路上に進出した前記クリーニング部材の側壁に最初に当接し、その後、前記クリーニング部材が前記移動経路上から退避し、さらなる前記キャッピング手段の移動により前記キャッピング手段の側壁が前記プラテンの側壁と当接するように前記プラテンの側壁が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記クリーニング部材の側壁にはインク吸収材が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記プラテンの側壁には側壁の高さ方向に延設された溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記溝は、断面形状が矩形形状またはV字形状に形成されていることを特徴とする請求項2または5に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記プラテンの側壁にはインク吸収材が形成されていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット式記録装置。
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