JP3674284B2 - セルローストリアセテートフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
ハロゲン化銀写真感光材料または液晶画像表示装置に有用なセルローストリアセテートの製造方法に関し、表面性品質の優れたセルローストリアセテートフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを製造する通常の方法を図1で説明すると、通常1台のダイ2からセルローストリアセテートドープをエンドレスに走行する支持体3に流延し、該支持体が約1周したところの剥離点4でウエブ1を剥離し、ロール群6を引き回しながら乾燥装置5で乾燥し、巻き取ることによってセルローストリアセテートを製造する方法である。この溶液流延製膜法は製膜速度が遅く、いろいろな特許公報などに速度を上げる方法が開示されているが、これらの方法を使って速度を上げても、セルローストリアセテートフィルムの品質、特に縦スジ、ムラ、うねり、ダイスジ等の問題点が多々あった。
【0003】
ドープ濃度の高濃度化、セルローストリアセテートに対して貧溶媒をセルローストリアセテートの良溶媒に加えるゲル化(米国特許第2,607,704号及び同2,739,069号明細書)、10℃位の冷却ドラム上に流延することによってゲル化(特公昭62−115035号及び特開昭4−284211号公報)、2台以上のダイからドープを分割して流延する薄膜化(特公昭60−27562号公報)等により支持体から早く剥離することによって製膜速度を上げる方法等が種々提案されている。また、特公昭56−162617号公報には、一つのダイからの共流延によって、高粘度のドープを低粘度のドープで包むようにして、該高・低の両粘度のドープを同時に流延し、高粘度ドープをメルトフラクチャーを生じさせることなく、流延速度も向上させることが出来ると述べられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ドープの高濃度化では、ドープを高速でダイから押し出す際、、剪断速度も、剪断応力も大きくなり、メルトフラクチャーとかシャークスキンとか言われる現象が起こり易く、平面性を悪くする原因がすでに流延の時に出来ている。これに対して、ドープ濃度を低下させたり、ダイのスリットを広くしたりすることによって剪断速度を低下させ、また剪断応力を小さくすると、圧力むらが出来更に平面性が悪化する方向になる。10℃の冷却ドラムに流延してゲル化する方法では、流延後ドープがスムージングされる間もなくドープ膜を剥離してしまうので、剥離後ドープ膜の両面が急激に乾燥され、その不均一性が更に誇張され、やはり平面性に問題がある。また、支持体上の離れた位置にある2台のダイを使用する方法では、最初に流延される1台目ダイから流延されたドープ膜の平面性に大きく左右され易く、また1台だけの場合には差ほど問題でなかった流延の際に発生する皮膜が問題になったり、剥離がスムースでなく剥離残りが両端でおこったり、その剥離残りが皮膜となって飛散したり、後から流延する2台目のダイの流延の際に皮膜がもとになった泡を生じたりして、歩留まりが低下する等生産上の問題もあった。
【0005】
このように、セルローストリアセテートフィルムの製膜において、ダイから流延されたドープ膜に縦スジやダイスジの発生、発泡性、皮膜の発生、密着性の低下、剥離性の劣化等いろいろな欠陥あるいは作業効率の低下を来す故障が通常の生産においてよく起こる。これらの欠陥は生産性の向上を妨げるもので、これらを極力低減することが望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、第1に、縦ツレ、縦スジ、ダイスジやメルトフラクチャーの発生のない平面性の優れ、第2に、ウエブを支持体からの剥離を容易にして、生産効率の高い、そして、第3にはドープの支持体表面への密着性を良くして泡の発生を防止し、歩留を向上させ、しかも品質にもすぐれ高速製膜可能なセルローストリアセテートフィルムを得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点を解決し、上記目的を達成するためになされたものであり、従来の高速化技術にも対応したセルローストリアセテートフィルムの製造方法、特に、下記のような流延技術によって問題点を解決した。
【0008】
(1)溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、ドープをダイからの支持体上に流延する際、流延する位置の該支持体の温度が該ドープに使用する主溶媒の沸点より0.5〜55℃低く、かつ流延ドロー比が1.0以上3.0以下であることを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0009】
(2)支持体上の離れた位置にある2台のダイを用いる溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、ドープを1台目のダイからの支持体上に流延する際、流延する位置の該支持体の温度が該ドープに使用する主溶媒の沸点より0.5〜55℃低く、かつ流延ドロー比が1.0以上3.0以下であり、かつ後から流延する2台目のダイからドープを、最初に流延する1台目のダイから支持体上に流延されたドープ膜の上に流延する際、流延する位置の該ドープ膜の表面温度が、該2台目のダイから流延する該ドープに使用する主溶媒の沸点より0.5℃〜40℃低く、かつ流延ドロー比が1.0以上3.0以下であることを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0010】
(3)溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、ドープをダイからの支持体上に流延する際、ダイリップにおけるドープの温度を、該ドープに使用する主溶媒の沸点より3℃〜20℃低くすることを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0011】
(4)支持体上の離れた位置にある2台のダイを用いる溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、2台目のダイからのドープの流延幅を、1台目のダイからの流延幅より2mm以上35mm以下狭くすることを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0012】
(5)溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、支持体の表面の両端に粗面化帯を設け、該粗面化帯に共にドープの流延幅を5〜30mm重ねて流延することを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0013】
(6)前記粗面化帯の面の平均粗さが0.5〜2μmであることを特徴とする(5)に記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0014】
(7)溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、支持体表面とダイスリットとのなす角度が30°以上90°以下で、かつ該支持体表面とダイリップとの間隙が200μm以上10mm以下であることを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0015】
(8)支持体上の離れた位置にある2台のダイを用いる溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、支持体表面と1台目と2台目のダイスリットとのなす角度がいずれも30°以上90°以下で、かつ該支持体表面と1台目のダイリップとの間隙、及び2台目のダイの流延位置での1台目のダイから流延されたドープ膜の表面と2台目のダイリップとの間隙が200μm以上10mm以下であることを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0016】
(9)前記溶液流延法が2種以上のドープを共流延する方法であることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1項に記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0017】
(10)前記ダイの少なくとも1台が共流延ダイであることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1項に記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0018】
ここで2,3の用語の定義及び解説をしておく。
【0019】
本発明では、ドープはセルローストリアセテートの有機溶媒溶液で、支持体上で流延後はゲル化し膜としての固さを持ったものをドープ膜と称し、剥離可能な膜をウエブということとするが、出来上がりのセルローストリアセテートまでの乾燥過程中のフィルムを剥離以後ウエブと称することとする。しかしながら、ドープ膜、ウエブ、そしてフィルムとのそれぞれの境界は定かでなく、あいまいさをもってこれらの用語を本発明では使用していくことを断っておく。
【0020】
流延ドロー比とは、流延速度に対する支持体速度の比、つまり(支持体速度/流延速度)のことである。流延速度はダイのスリット(以降、ダイスリットという)内を通過するドープの速度であり、支持体速度はエンドレスに走行する支持体の走行速度である。
【0021】
共流延は主に2種の方法があり、一つはドープを送液するポンプとダイの導管の適当な場所で導管の外側から同心円状に他の種類のドープを導管内の外側に導入し、2種のドープは同心円円筒状に層流として導管内を送液されダイにそのままの状態で到達し、ダイスリットから3層積層されたようにスリットから支持体上に流延される方法(以降これを共流延A法とする)と、もう一つは、複数個のドープ導入口、複数のマニホールド、複数のスリットそして一つのリップを有しているダイを用いて、複数のスリットから合流した一つのダイスリットを層流の状態で一つのリップから同時に複数層のドープを流延する方法(以降これを共流延B法とする)とがある。後者のダイを共流延ダイという。
【0022】
本発明の溶媒含有率(重量%)は、任意の測定点においてサンプリングしたウエブ(ドープあるいはドープ膜)を秤量瓶に入れてウエブ(同左)重量A(g)を秤量し、後にウエブ(同上)試料を115℃で1時間加熱後、水分を吸着しないように室温まで冷却し、秤量瓶の重量を計り、乾燥ウエブ(同上)の重量B(g)と、下記の式に従って計算される。
【0023】
溶媒含有率(重量%)={(A−B)/B}×100
ドープのセルローストリアセテートの濃度は溶媒含有率の逆数として表されるが、本発明では、一貫して溶媒含有率で示すこととし、仕込まれたドープの溶媒含有率も250重量%とか、600重量%というように表示する。
【0024】
溶媒の沸点は常圧下での沸点である。
【0025】
本発明を詳述する。
【0026】
本発明のセルローストリアセテートフィルムの製造は図1〜図4に示したような溶液流延製膜装置を用いて製膜する溶液流延製膜法によるものである。
【0027】
図2はテンター8を有する溶液流延製膜装置の概略断面図であり、図3は効率的なベルト乾燥装置を有する溶液流延製膜装置の概略断面図である。図3はベルトの裏側には裏面伝熱装置11と送風乾燥装置12があり、ベルト(支持体)3の外側には送風乾燥装置13が設けられており、これらによって効率的な乾燥がなされるようになっている。図4は2台のダイ(2と2′)を有し、効率的なベルト乾燥方式を有する溶液流延製膜装置の概略断面図である。図5はダイと支持体とのなす角度を示すダイと支持体の断面図である。図5中、ダイ2のスリット(ダイスリットともいう)15と支持体3とのなす角度をθ、また、ダイ2のリップ(ダイリップともいう)16と支持体面との間隙をdとした。図6は両端に粗面化帯を有する支持体表面3′の正面図であり、ドープ膜1が粗面化帯17と重なりあっている状態を表した図である。図7は冷却ドラムを有する溶液流延製膜装置の概略断面図である。冷却ドラム18は10℃位に冷却されていて、流延されたドープがゲル化され、直ぐに剥離される。図8は大型ドラムを有する溶液流延製膜装置の概略断面図で、大型ドラム19上で乾燥されてから剥離される。図9は下引装置を有する溶液流延製膜装置の概略断面図である。図10は剥離点4の拡大図で、剥離性を調べる装置図である。図11は共流延用のドープ送液模式図であり、ドープ貯蔵釜31及び31′の底部からポンプ32及び32′でそれぞれのドープを導管33及び33′の導管を通して送液し、合流管34で導管33′からのドープを導管33の中に同心円状に導入し、層流となってダイ38から支持体3上に流延される。図12は図11の合流管34の拡大図で、導管33の芯になるドープ36が合流管34でドープ37が同心円状に積層される様子を示している。図13は図12のA−A′の導管断面図である。重層後の導管35の内面に導管33′からの第2のドープ37′が第1(内部の)ドープ36′を包んだ状態でいる様子を示している。図14は図13から送液された積層ドープがドープ導入管39を通してダイ38に入ったドープがマニホールド40でダイの幅に広がり流延幅のまま、ダイスリット41を通って支持体3の上に流延される様子を示している。なお42は3層に共流延されたドープ膜である。図15は2層及び図16は3層共流延ダイ断面図を示す。第1のドープ53と第2のドープ54とがダイの液溜まり55で重なりダイスリット56を通って支持体3の上に共流延され2層のドープ膜57′となる。図16では、第1のドープ63、第2のドープ64それに第3のドープ65が液溜まり68で重なりスリット66を通って支持体3の上に共流延され3層構造のドープ膜67及び67′となる。
【0028】
第1の本発明は、ドープをダイから流延部の支持体上に流延する際、その流延する位置の支持体の温度を、ドープに使用する主溶媒の沸点より0.5〜55℃低く、かつ流延ドロー比が1.0以上3.0以下であることを特徴としている。
【0029】
本発明に用いられるドープの有機溶媒は、通常セルローストリアセテートの溶媒が種々使用出来る。例えばメチレンクロライド(40.2℃)、エチレンクロライド(99.0℃)、酢酸メチル(56.3℃)、アセト酢酸メチル(171.7℃)、アセトン(56.3℃)、メチルエチルケトン(79.5℃)、ニトロメタン(101.3℃)、ニトロメタン(101.3℃)、ニトロエタン(115℃)、1−ニトロプロパン(131.4℃)、2−ニトロプロパン(120.1℃)、1,3−ジオキソラン(78℃)、1,4−ジオキサン(101.4℃)、フルオロアルコール類、例えば2−フルオロエタノール(103℃)、2,2,2−トリフルオロエタノール(80℃)、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(109℃)、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール(55℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール(62℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(59℃)、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール(80℃)、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブタノール(114℃)、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール(97℃)、パーフルオロ−t−ブタノール(45℃)、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール(111.5℃)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(95℃)、1−(ペンタフルオロフェニル)エタノール(82℃)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジルアルコール(115℃)等を挙げることが出来る。これらの中で、特にセルローストリアセテートに対して溶解性が高く、かつ沸点が低く乾燥負荷の少ないメチレンクロライド、1,3−ジオキソラン、2,2,2−トリフルオロエタノール、アセトン、酢酸メチル等が好ましい。もちろんこれらの溶剤は混合して用いてもよい。上記有機溶媒には、さらに貧溶媒(セルローストリアセテートを単独では溶解せず、膨潤するか溶解しない溶媒)が混合されていてもよい。あらかじめ貧溶媒によりセルロースエステルを湿潤状態または膨潤状態になるまで処理することで、良溶媒への溶解性を向上させることができる場合もある。さらに良溶媒と貧溶媒を併用したドープを支持体上に流延したドープ膜は、溶媒を多く含んだ状態でも膜の機械的強度が強く、支持体のベルトやドラム上からウエブを早く剥離出来る。貧溶媒としては、メタノール(64.7℃)、エタノール(78.3℃)、n−プロパノール(97.2℃)、イソプロパノール(82.4℃)、n−ブタノール(117.3℃)、s−ブタノール(98.5℃)、シクロヘキサノール(161.1℃)などの炭素数が1から6の低級アルコール、シクロヘキサン(80.7℃)、などを挙げることができる。中でもメタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン等が好ましい。良溶媒と貧溶媒を併用する場合、良溶媒の割合は全溶媒に対して60重量%以上、さらに75重量%以上95重量%以下が好ましい。主溶媒は良溶媒であり、上記貧溶媒よりも沸点が低いことがゲル化のために有効である。もちろん良溶媒を単独で使用してもかまわない。また、2台のダイを使用する場合や共流延する場合には、それぞれのドープに同種の溶媒系を使用しても、異種の溶媒系を使用してもよい。
【0030】
ドープを流延する位置の支持体の温度がドープの主溶媒の沸点と同じ温度あるいはそれ以上の場合には、流延されたドープ膜は直ぐに発泡してしまう。本発明は、流延する位置の支持体の温度がドープに使用する主溶媒の沸点より0.5℃〜55℃低い条件下で、つまり発泡もせず、低温によるゲル化もしない条件下で流延し、かつ流延ドロー比を1.0以上3.0以下にして流延することである。流延する位置の支持体温度がドープの主溶媒の沸点に比べ余り低すぎると主溶媒によってはゲル化が起こり易く、製膜出来なくなる場合もある。
【0031】
本発明の流延ドロー比についてであるが、前にも述べたように支持体速度は支持体の走行速度であり、流延速度は、ドープがダイスリットを通過する時の線速度である。ドープはダイリップを離れた後は速度がなくなり、支持体に引っ張られる格好で支持体に引き取られ、支持体に密着した時点でドープ膜と支持体の速度とが同一となる。支持体速度が早過ぎるとネックインが起こりドープ膜の幅が流延幅よりも狭くなるばかりでなく、泡の巻き込みや平面性が劣化する。その限度は流延ドロー比3.0までであり、本発明の流延位置の支持体温度が上記範囲内では前記流延ドロー比が2.8以下であることが好ましい条件である。特に優れた平面性を得るためには、前記流延ドロー比は2.0以下であることが好ましい。一方支持体速度が遅い方では、前記流延ドロー比が1.0つまり支持体速度と流延速度とが同速度であり、これ以上支持体速度が遅いとダイリップのところにドープが溜まり製膜出来なくなる。好ましくは前記流延ドロー比が1.1以上である。
【0032】
支持体上の離れた位置(別位置)にある2台のダイを用いる溶液流延製膜装置は最初に流延される1台目のダイ(以下第1のダイとする)(図4の2)と後で流延される2台目のダイ(以下第2のダイとする)(図4の2′)を用い、全流延量を両方のダイに振り分けて流延し、第1のダイから流延されたドープ(第1層のドープ膜)は1台のダイから1層だけのドープ膜より薄いため、支持体3上で乾燥が進み、剥離点4においてウエブ1として早く剥離が出来るという高速製膜法である。
【0033】
第2の発明は、この2台のダイを用いる溶液流延製膜装置でセルローストリアセテートフィルムを製膜するにあたり、第1のダイから流延されたドープ膜の上に第2のダイから流延する際、流延する位置の第1層のドープ膜の表面温度が、第2のダイから流延するドープに使用する主溶媒の沸点より0.5℃〜40℃低くいことを特徴とする方法である。第2のダイから流延するドープが流延される位置の第1層のドープ膜の表面温度が主溶媒沸点より高いと発泡が起こるばかりでなく、流延された第2層のドープ膜と第1層との溶解混合が起こり易く、折角乾いた被膜となっている第1層の支持体との接触部分が溶解されて剥離し難くなり、剥離するまでの時間がかかり製膜速度が遅くなる。反対に第1層の表面温度が低すぎると第1層と第2層との接着性がやや不十分で層間剥離が起こりやすくなる傾向があり、この現象は通常においては起こらないが、強制的にフィルムに機械的破壊を加えると、たまに第1層と第2層との間で剥離に近い状態が現れることがある。流延位置の第1層のドープ膜の表面温度は主溶媒の沸点より0.5℃〜40℃低いのがよく、かつ流延ドロー比は1.0以上3.0以下、好ましくは1.1以上2.0以下であり、これらの条件で皮膜や泡も発生せず、また2層の接着性が極めて良く、縦スジない平面性の良いセルローストリアセテートフィルムが高速で得られる。なお、第1のダイからの流延の場合の支持体の温度と、ドロー比は第1の発明と同様である。
【0034】
第3の発明は、ダイリップにおけるドープ温度が、該ドープに使用した主溶媒の沸点より3℃〜20℃低くすることにより、安定した流延の形を保つことが出来、沸点より3℃以内であるとダイスジと称するダイリップの所でスジが発生し、流延後も消えることなくダイリップの間隙プロファイルを修正しない限り流延を続ける限りスジが続けて発生しっぱなしになり、製品ロールに盛り上がった部分になりやすい。また沸点より20℃以上低いと、粘度が上昇し圧力がかかり過ぎ、やはり流延の形が不安定となり、全幅に渡って製品として使用出来なくなる程面が乱れてしまう。更に安定した形を得るためには、沸点より6℃〜11℃低いのが好ましい。
【0035】
第4の本発明は、2台のダイを用いる溶液流延製膜装置において、第1のダイから流延されたドープ膜(第1層)の流延幅よりも第2のダイから流延されたドープ膜(第2層)の流延幅が2mm以上35mm以下狭くすることにより、剥離が容易になり、安定した高速化が実現出来る。好ましくは4mm以上20mm以下である。一般に、ドープを流延するとドープ膜の両端部は末端のため若干膜厚が厚くなり剥離がし難くなることと、厚くなっていることから末端カールが大きくなり易く搬送に困難を伴うことがしばしば起こる。このような観点から第1層を広く第2層を狭く流延することによってこれらの課題を解決するものである。
【0036】
第5の本発明は、支持体表面3′の両端に粗面化帯17があり、該粗面化帯が共にダイからのドープの流延幅と5〜30mm重なっているようにし、粗面化帯の平均粗さRzが0.5〜2μmであることを特徴としている。一般に全く平滑な面の支持体の場合には、ウエブを剥離する際、両端が破れ易く、裂け易いことなどから破断事故で生産をしばしば中断される。これに対して粗面化帯をもうけることによって剥離性がすこぶるよくなり、皮膜の発生もなく、泡の発生もなく、非常に効果的である。幅は多少流延の位置が幅方向にずれてもよいようにドープ膜の内側5〜30mmから外側へ支持体の両端までの幅となっている。その粗面化帯の平均粗さRzは0.5μmよりRzが小さい場合には粗面化の効果がなく、接着が強すぎ剥離がし難く、また2μmよりも大きいと逆に粗面化によって接着し易くなり剥離し難くなる。好ましくはRzは0.8〜1.5μmである。
【0037】
第6と第7の本発明は、ダイスリットと流延位置の支持体表面または第1ダイから流延されたドープ膜表面とのなす角度を30°以上90°以下にして、かつ第1のダイリップまたは第2のダイリップと支持体面またはすでに流延されている第1ダイからのドープ膜表面との間隙を200μm以上10mm以下にすることによって、ドープ膜の支持体表面への密着性をよくし、空気等の巻き込み等による泡の発生を押さえることを目的としている。スリットと支持体面との角度は40°以上80°以下が、またダイリップと支持体面あるいはドープ膜表面との間隙は400μm以上1mm以下が好ましい。なお、支持体面が曲面の場合にはその位置での接線に対しての角度あるいは間隙をいう。
【0038】
第8の発明は、共流延法を用いるものである。各上記第1〜第7までの本発明の流延法を共流延法に置き換え上記条件を当てはめることにより、従来の共流延法が持つ利点(例えばメルトフラクチャーの発生が起こりにくい)はそのまま発揮しつつ、しかも更なる高速製膜が可能になり、また従来の共流延法でも発生するセルローストリアセテートフィルムの欠陥を改善することもできる。共流延の積層ドープのそれぞれの役割はそれぞれの目的に応じて設定出来る。例えば、メルトフラクチャーを防止するためには、高粘度ドープを比較的低粘度のドープで包むようにして共流延すればよく、また支持体との剥離性を改善するためには、ゲル化し易いドープを支持体側に位置するように2層共流延ダイを用いて共流延すればよく、更に平面性をよくするためには、空気側にレベリングし易いドープを配すればよい。このようにそれぞれの層に目的を持たせることによって質のよいセルローストリアセテートフィルムを得ることが出来る。共流延の場合には、共流延A法の外側のドープに粘度の低いドープを用いることが多いが、ドープ粘度を低くする手段としては、ドープ濃度を低くする他に、使用するセルローストリアセテートの重合度を低めるとか、酢化度を変えるとか、パルプ原料を変えるとかのような方法がある。ドープ濃度を低下させる方法は、共流延Aの方法では導管以降の重層するため、長時間層と層が接触していて物質移動が起こる可能性があり、セルローストリアセテートの重合度、酢化度等を変化させる方が好ましいといえる。しかし、セルローストリアセテートの重合度を低下させる方法では、乾燥後のセルローストリアセテートフィルムの機械的強さが低下する虞れもあり、膜厚、濃度等目的によってその使い分けが必要となる。このような観点から、共流延A法より共流延Bの方が、支持体側と空気側とのドープ処方を変えられる点で好ましく、層流になっている時間も短く、濃度による粘度違いのドープを共流延しても混合の虞れもほとんどないことからも共流延Bにおいて共流延ダイを使用する方が好ましい。また、本発明では、2台のダイを用いる溶液流延製膜方法において、2台のダイのいずれかあるいは両方共流延を用いることは、流延時に起こるトラブルを解決し得る手段、あるいは特徴のあるセルローストリアセテートフィルムを得るための手段となり、ドープ処方の選択肢を多く選ぶことが出来るので特に好ましい。
【0039】
本発明に使用するドープ濃度は溶媒含有率として150重量%〜600重量%の範囲のものが好ましく使用出来る。通常の製膜においては、250重量%〜600重量%のドープ濃度を用いる。共流延においては150重量%程度からの濃度を使用出来る。
【0040】
本発明で得られる最終的なセルローストリアセテートフィルムの膜厚は40〜200μmを対象にしている。製膜速度は剥離点における溶媒含有率により製膜速度が決まるが、本発明においては溶媒含有率が50から200重量%の範囲で支持体から剥離するのが好ましく、これにより製膜速度は10〜150m/minが得られる。また、本発明においては、通常の製膜方法の他に図7に示したような小型の冷却ドラムを使用した冷却ゲル化による高速溶液流延製膜方法も使用出来る。
【0041】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0042】
実施例1
セルローストリアセテートを100重量部、メチレンクロライド350重量%、エタノール12重量%、トリフェニルホスフェート12重量%からなるドープを、図3あるいは図4に示したような効果的な溶液流延製膜装置を用い、30m/minの速度で、単層(第1層のみ)流延及び2層重層流延して、下記表1及び表2のように条件で流延し、幅1.5mで、膜厚120μmのセルローストリアセテートフィルムを、単層の試料1−1〜試料1−10と2層重層の試料2−1〜試料2−10として作製した。それぞれの試料の目的に応じた評価を下記の評価法に従って評価した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
〈評価法−1、泡の発生の評価〉
仕上がったセルローストリアセテートフィルムを溶液流延製膜装置の巻き取り前に設置されたフィルム欠陥検知器で検知した箇所を、巻き取り後試料を取り出し、ルーペで観察し、泡の中に核があるかないかを判断し、ない場合を泡として、全長1000m長さあたりの個数をカウントした。
【0046】
〈評価法−2、皮膜の発生の評価〉
評価法−1と同様に、検知した箇所を、ルーペで観察し泡の中に核があり、皮膜に原因していると判断したものを皮膜として、評価法−1と同様に1000m当たりの個数をカウントした。また、製膜中の図3または図4の剥離点4後のドラム9の端を目視で皮膜の発生があるかどうかを観察し、併せて評価した。
【0047】
〈評価法−3、縦スジ(ダイスジも含む)の評価〉
仕上がったセルローストリアセテートフィルムを下記処方で下引し、その上に下記処方の染料含有塗布液を塗設して、スジを観察した。
【0048】
各フィルムに下記の処方の下引層とバック層を、図9に示したような下引装置21を用いて塗布乾燥させ、下引面に下記染料入りのゼラチン溶液を塗布乾燥させた。なお、下引層塗設済みの試料の場合は、下引塗布を省略して行った。
【0049】
(下引塗布液)
酢酸ビニル:無水マレイン酸交互共重合体 3g
アセトン 810g
イソプロパノール 150g
(バック層塗布液)
酸化スズ:酸化アンチモン複合微粒子(平均粒径0.05μm) 14g
セルロースジアセテート 6g
アセトン 800g
シクロヘキサノン 200g
(ゼラチン塗布液)
ゼラチン 4g
水 100g
メチルバイオレット(染料) 0.2g
サポニン 0.1g
各試料をシャーカステンの上に乗せ、塗布ムラを下記のように評価した。
【0050】
A:ムラがなく非常にスムースである
B:細かいムラやスジが若干ある
C:ややムラやスジがあるような感じ
D:はっきりとムラスジが見える
〈評価法−4、剥離性の評価〉
図10に示す剥離点4の拡大図において、支持体3から剥離するウエブ1の剥離し易さを、ウエブ1が支持体3から離れる点と剥離ガイドロール4′の頂点との剥離距離hを目で剥離性メジャーで目盛りを読み、その剥離し易さを評価した。特にウエブの支持体の端の部分の剥離性にポイントを置いた。なお、hが大きいほうが剥離がスムースにいっていることになる。
【0051】
〈評価法−5、密着性の評価〉
密着性の評価は評価法−1と同様に検知した欠陥を観察して、1000m当たりの縦長の泡を調べその個数をカウントして評価した。
【0052】
以上の試料の評価結果を表3、表4及び表5に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
(結果)
表3は流延位置の支持体表面温度またはドープ膜表面温度、ドロー比、ダイリップ温度をそれぞれ変化させ、泡の発生個数、皮膜の発生個数、縦スジ及びダイスジについて評価した。その結果本発明は比較に対して全てよい評価が得られた。
【0057】
表4は因子として、支持体表面粗面化、流延幅の差を変化させ、剥離性を評価した。その結果、本発明は比較より良い評価が得られた。
【0058】
表5は因子として、ダイスリット〜支持体面角度、ダイリップ〜支持体面間隔またはドープ膜表面間隔を変化させ、密着性の評価として縦長の泡の発生個数を評価した。その結果、本発明は比較に対して良い評価が得られた。
【0059】
全因子を本発明の範囲内とした試料1−1及び試料2−1はいずれの評価も満足ゆくものであった。
【0060】
実施例2
共流延用のドープ組成として、
ドープ(I)
セルローストリアセテート 100重量部
メチレンクロライド 350重量部
エタノール 67重量部
トリフェニルホスフェート 12重量部
ドープ(II)
セルローストリアセテート 100重量部
メチレンクロライド 400重量部
エタノール 17重量部
トリフェニルホスフェート 12重量部
を用い、図15の共流延ダイを、また図3の効率的なベルト乾燥装置を有する溶液流延装置で、下記表6の如く条件を組み合わせて、ドープ(I)を支持体側にして、ドープ(I)とドープ(II)のドープ流量比をI:II=20:1として流延し、幅1.5m、製膜速度30m/minで仕上がり膜厚120μmの試料3−1と3−2のセルローストリアセテートフィルムを作製し、下記表面性の評価の他に実施例1と同様の評価を行った。なお比較として、試料3−3は共流延を用いずにドープ(I)のみを単層で流延したものである。
【0061】
<評価法−5、平面性の評価>
幅90cm、長さ100cmの大きさに各試料を切り出し、50W蛍光灯を5本並べて試料台に45°の角度から照らせるように高さ1.5mの高さに固定し、試料台の上に各フィルム試料を置き、フィルム表面に反射してみえる凹凸を目で見て、次のように判定した。
【0062】
A:蛍光灯が5本とも真っすぐに見えた
B:蛍光灯が少し曲がって見えるところがある
C:蛍光灯が全体的に少し曲がり、表面がチリチリのように見える
D:蛍光灯が大きくうねって、表面が細かいチリチリがかなり見える
E:蛍光灯が大きい曲がりの中にも細かいうねりと細かいチリチリが多く見える
【0063】
【表6】
【0064】
上記評価結果を表7に示す。
【0065】
【表7】
【0066】
(結果)
表7は2層共流延及び単層流延に関する結果である。
【0067】
試料3−1は共流延で本発明の条件であり、欠陥は全くなく、平面性の優れたセルローストリアセテートフィルムを得ることが出来た。これに対して試料3−2は、条件が全て本発明の範囲外であり、泡、皮膜、縦スジ、剥離性、密着性等は悪かったが、平面性は良好であった(ただし、泡や縦スジの欠陥を避けての結果である)。試料3−3は単層流延による試料であるが、条件は本発明の範囲内としたため泡等の評価は全く問題がなかったが、平面性が非常に劣っていた。
【0068】
実施例3
共流延ドープとして
ドープ(I)
セルローストリアセテート 100重量部
メチレンクロライド 250重量部
エタノール 9重量部
トリフェニルホスフェート 12重量部
ドープ(II)
セルローストリアセテート 100重量部
メチレンクロライド 400重量部
エタノール 14重量部
トリフェニルホスフェート 12重量部
を用い、図16の共流延ダイの図4の2台のダイを有する効率的なベルト乾燥装置を有する溶液流延装置を用い、下記表8のような条件を組み合わせて、ドープ(I)を3層共流延の芯として、ドープ(I)とドープ(II)の流量比をII:I:II=1:20:1として幅1.5m、50m/minの製膜速度で、仕上がり膜厚120μmの試料4−1と試料4−2のセルローストリアセテートフィルムを作製し、実施例1と同様な評価を行った。この他にメルトフラクチャーを流延間際のところで目視で観察した。なお、試料4−3は共流延ダイを使用せず、ダイを単層ダイとした以外は同様な装置で行った。
【0069】
【表8】
【0070】
上記評価結果を表9に示した。
【0071】
【表9】
【0072】
表9は2台のダイを使用した3層共流延と単層流延に関する結果である。
【0073】
試料4−1は3共流延で全条件が本発明の範囲内にあり、欠陥は全くなく、メルトフラクチャーもなく優れたセルローストリアセテートフィルムを得ることが出来た。これに対して試料4−2は、条件が全て本発明の範囲外であり、泡、皮膜、縦スジ、剥離性、密着性等は悪かったが、メルトフラクチャーの発生はなかった。試料4−3は2台のダイを使用した単層流延による試料であり、条件は本発明の範囲内としたが、高濃度のドープを直に流延したためメルトフラクチャーが非常に発生して凸凹のセルローストリアセテートフィルムが得られた。このため、泡等の評価は全く不可能であった。
【0074】
【発明の効果】
流延中に起こる様々な欠陥、つまり泡、皮膜の発生、縦スジの発生、ダイスジ発生、支持体表面からの剥離性あるいは支持体への密着性等に対して、優れた効果を得る流延条件を設定することにより欠陥のないセルローストリアセテートフィルムを得ることが出来る。更に共流延を用いることにより高速製膜が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶液流延製膜装置の概略断面図。
【図2】テンターを有する溶液流延製膜装置の概略断面図。
【図3】効率的なベルト乾燥装置を有する溶液流延製膜装置の概略断面図。
【図4】2台のダイを有し、効率的なベルト乾燥装置を有する溶液流延製膜装置の概略断面図。
【図5】ダイと支持体とのなす角度を示すダイと支持体の断面図。
【図6】両端が粗面化帯を有する支持体表面の正面図。
【図7】冷却ドラムを有する溶液流延製膜装置の概略断面図。
【図8】大型ドラムを有する溶液流延製膜装置の概略断面図。
【図9】下引装置を有する溶液流延製膜装置の概略断面図。
【図10】剥離点の拡大図。
【図11】共流延用のドープ送液模式図。
【図12】合流管の拡大図。
【図13】図12のA−A′の導管断面図。
【図14】共流延法Aのダイ断面図。
【図15】共流延法Bの2層共流延ダイの断面図。
【図16】共流延法Bの3層共流延ダイの断面図。
【符号の説明】
1 ウエブ(ドープ膜)
2、2′ ダイ
3 支持体
4 剥離点
4′ 剥離ガイドロール
5 乾燥装置
6 ロール(ロール群)
7 乾燥風
8 テンター
9 ドラム
10 ドラム
11 裏面伝熱装置
12 送風乾燥装置
13 送風乾燥装置
14 マニホールド
15 スリット(ダイスリット)
16 リップ(ダイリップ)
17 粗面化帯
18 冷却ドラム
19 大型ドラム
20 送風乾燥装置
21 下引装置
22 下引塗布機
23 下引乾燥機
24 剥離性メジャー
31、31′ ドープ貯蔵釜
32、32′ ポンプ
33、33′ 導管
34 合流管
35 (重層後の)導管
36、36′ 第1の(芯側の)ドープ
37、37′ 第2の(重層の)ドープ
38 ダイ
39 ドープ導入管
40 マニホールド
41 ダイスリット
42 (3層共流延された)ドープ膜
50 2層共流延ダイ
51、51′ ドープ導入管
52 マニホールド
53 第1のドープ
54 第2のドープ
55 液溜まり
56 ダイスリット
57、57′ (2層共流延された)ドープ膜
58 ダイリップ
60 3層共流延ダイ
61、61′ ドープ導入管
62、62′ マニホールド
63 第1のドープ
64 第2のドープ
65 第3のドープ
66 ダイスリット
67、67′ (3層共流延された)ドープ膜
68 液溜まり
69 ダイリップ
θ ダイスリットと支持体との角度
d ダイリップと支持体面あるいはドープ膜面との間隙
h 剥離距離
Claims (10)
- 溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、ドープをダイからの支持体上に流延する際、流延する位置の該支持体の温度が該ドープに使用する主溶媒の沸点より0.5〜55℃低く、かつ流延ドロー比が1.0以上3.0以下であることを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 支持体上の離れた位置にある2台のダイを用いる溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、ドープを1台目のダイからの支持体上に流延する際、流延する位置の該支持体の温度が該ドープに使用する主溶媒の沸点より0.5〜55℃低く、かつ流延ドロー比が1.0以上3.0以下であり、かつ後から流延する2台目のダイからドープを、最初に流延する1台目のダイから支持体上に流延されたドープ膜の上に流延する際、流延する位置の該ドープ膜の表面温度が、該2台目のダイから流延する該ドープに使用する主溶媒の沸点より0.5℃〜40℃低く、かつ流延ドロー比が1.0以上3.0以下であることを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、ドープをダイからの支持体上に流延する際、ダイリップにおけるドープの温度を、該ドープに使用する主溶媒の沸点より3℃〜20℃低くすることを特徴とする請求項1または2記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 支持体上の離れた位置にある2台のダイを用いる溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、2台目のダイからのドープの流延幅を、1台目のダイからの流延幅より2mm以上35mm以下狭くすることを特徴とする請求項2記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、支持体表面の両端に粗面化帯を設け、該粗面化帯に共にドープの流延幅を5〜30mm重ねて流延することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 前記粗面化帯の面の平均粗さが0.5〜2μmであることを特徴とする請求項5に記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、支持体表面とダイスリットとのなす角度が30°以上90°以下で、かつ該支持体表面とダイリップとの間隙が200μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 支持体上の離れた位置にある2台のダイを用いる溶液流延製膜法によりセルローストリアセテートフィルムを作製するにあたり、支持体表面と1台目と2台目のダイスリットとのなす角度がいずれも30°以上90°以下で、かつ該支持体表面と1台目のダイリップとの間隙、及び2台目のダイの流延位置での1台目のダイから流延されたドープ膜の表面と2台目のダイリップとの間隙が200μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項2または4記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 前記溶液流延法が2種以上のドープを共流延する方法であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
- 前記ダイの少なくとも1台が共流延ダイであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
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