JP4763184B2 - 溶液製膜方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液製膜方法および装置ならびに偏光板等に係り、溶液製膜法により製膜するフイルムであって、特に偏光板等の保護膜として好適なフィルムの乾燥技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルロースエステル(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートが含まれ)フイルムは、透明性がよく、機械的強度が大きく、かつ、湿度の変化および熱にともなう寸法変動が小さい(寸法安定性がよい)ので、写真感光材料、偏光板の保護膜などに広く用いられている。このようなセルロースエステルフイルムは、溶液製膜方法により製造されており、この溶液製膜方法は、ドープ(有機溶媒に溶かしたポリマー溶液)を流延ダイから、鏡面仕上げを施した金属から成る流延支持体、例えば、流延バンド、流延ドラム上に流延し、その後乾燥固化して剥ぎ取ることにより製膜するものである。
【0003】
このような溶液製膜方法においては、流延支持体上のドープの乾燥時間を短縮することが、流延速度を上げるために必要である。流延支持体上のドープの乾燥時間を短縮する方法として、従来、乾燥風量を増加させたり、乾燥風温度を上昇させたりすることが行われていた。しかしながら、乾燥風量を増加させたり、乾燥風温度を上昇させたりすると、支持体温度が上昇し、流延ドープの端部に発泡が起こり、結果的に流延支持体からの剥離不良が発生するものであった。また、極度に乾燥風量を増加させると、流延直後の面状が悪化し、その結果、製品として平面性が悪化するものであった
通常これらの風を吹かせて乾燥させる方法( 以下、通風乾燥装置) では、調湿した風を塗布面に吹きつけることで、流延支持体中に含まれる溶媒を蒸発させて乾燥させているが、この通風乾燥は乾燥効率に優れるものの、支持体に直接もしくは多孔板、整流板などを介して風をあてるために、この風によって表面にムラを生じたり、対流によって流延膜表面での溶媒の蒸発速度が不均一になったりして、均一な表面の支持体が得られなくなってしまう問題があった。特に、乾燥初期の流延支持体中に有機溶剤が十分に含まれた状態では、有機溶剤の蒸発分布が生じやすく故障の原因になりやすかった。
【0004】
このように通風乾燥は、乾燥初期において、乾燥の不均一を招きやすいため、風を吹きつけないで乾燥させる方法が開示されている。GB1401041 には、風を吹かないで、塗布液中の溶媒を蒸発させ回収し、乾燥させる方法が開示されている。これは、ケーシング上部に支持体の入り口、出口を設け、ケーシング内では反塗布面を加熱して塗布面からの溶媒の蒸発を促進し、塗布面側に設置した凝縮板に結露させる形で溶媒を凝縮させて溶媒を回収する方法で、塗布膜を乾燥する方法である。またUS5168639 には、水平に走行する支持体の上部でドラムを使って回収する方法が開示されている。GB1401041 では、支持体の入り口、出口がケーシング上部に限定されているために、装置のレイアウトにおいて制約が大きく、既存の塗布工程に組み込むのが難しいことや、抄録に示される実施例(Fig.5) では、塗布後回収ゾーンに入るまでに一定以上の距離が必要なことや回収ゾーンに入る前にベースを反転する必要があるため、塗布直後のムラを効率良く抑えることが困難である。US5168639 では、塗布面から凝縮・溶剤回収ドラムまでの距離が塗布方向で変化することから、乾燥速度をケーシング内全領域に渡って均一にコントロールすることが難しく、またケーシング入口、出口付近では凝縮・冷却ドラムとの距離が不必要に離れてしまうため、自然対流の発生によって、別のムラを生じてしまう。US5694701 では、このレイアウトの改良方法について開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に示したこれまでの溶剤の凝縮、回収方法は、揮発性の溶媒を含む液が支持体上に塗布された場合の塗布膜の乾燥方法についての技術であり、支持体自体の乾燥、つまり溶液製膜の乾燥に用いて、表面の均一な支持体を得る方法に関する開示はなかった。
【0006】
また、これまでの溶液製膜工程では、乾燥のため蒸発させた支持体中の有機溶剤は、大気中に放出することが出来ないので、乾燥ガス中に含まれる有機溶剤を回収するための大掛かりな設備が必要であり、設備コスト、ランニング・コストともに非常に大きいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、溶液製膜法により製膜したフイルムを用いた偏光板等の支持体自体の乾燥技術に関するもので、乾燥ムラのない優れた平面性をもつフィルムを得ることのできる溶液製膜方法および装置ならびに偏光板等を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、流延ダイより走行または回転する流延支持体上にドープを流延してフイルムを製造する溶液製膜方法において、前記流延の直後に流延膜中の溶媒を凝縮、回収するドライヤを配設して前記流延膜を乾燥するようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、流延の直後に流延膜中の溶媒を凝縮、回収するドライヤを配設して前記流延膜を乾燥するようにしたので、流延直後の流延膜面に発生し易い乾燥ムラを抑制し、且つ効率良く乾燥させることができる。
【0010】
流延膜中の溶媒に有機溶剤が含まれる場合、若しくは、溶媒が全て有機溶剤で構成されている場合に、特に塗布ムラの防止効果が顕著に期待できる。ここでいう有機溶剤とは、物質を溶解する性質をもつ有機化合物を意味し、トルエン、キシレン、スチレンなどの芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、オルトージクロルベンゼンなどの塩化芳香族炭化水素類、モノクロルメタンなどのメタン誘導体、モノクロルエタンなどのエタン誘導体などを含む塩化脂肪族炭化水素類、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、エチルエーテル、1,4-ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、ノルマルヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、脂肪族または芳香族炭化水素の混合物などが該当する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る溶液製膜方法び装置ならびに偏光板の好ましい実施の形態について詳説する。
【0012】
図1は、本発明の溶液製膜装置の構成を説明する概念図である。
【0013】
図1に示すように、ミキシングタンク1にセルローストリアセテート、添加剤および溶剤などを投入してドープを調製する。このミキシングタンク1は、送液ポンプ2、ストックタンク3、定量ポンプ4、連続ろ過装置5を介して送液管6により流延ダイ7に連結されていると供に、連続ろ過装置5の下流側の送液管から分岐した逆送管は逆液ポンプを介して前記ストックタンク3に連結される。
【0014】
流延ダイ7の下方には、流延支持体としてステンレススチール製の流延バンド10が配置されており、流延バンド10は流延部側回転ドラム14および非流延部側回転ドラム15に巻き掛けられ、流延バンド10が流延部側回転ドラム14と非流延部側回転ドラム15との間を周回走行する。また、流延部側回転ドラム14と非流延部側回転ドラム15との間には、ガイドローラ18が複数設けられている。更に、流延バンド10をケーシング20で囲むように、走行する流延バンド10上に流延ダイ17から流延された流延膜中の溶媒を凝縮、回収するドライヤ21が配設される。流延膜の膜厚は20〜400μmが好ましく、更に好ましくは40〜150μmである。
【0015】
この凝縮、回収型のドライヤ21は、主として、流延バンド10の外側に流延バンド10に沿って配設された凝縮板19で構成され、流延膜から揮発した溶媒が凝縮板19に凝縮して回収され、これにより流延膜を乾燥する。
【0016】
凝縮、回収型のドライヤ21は、流延直後の自然対流による乾燥ムラを防止するため、流延後できるだけ近くに設置することが望ましい。即ち、ドライヤ21の入口は流延ダイ7による流延位置から5m以下、好ましくは2m以下、更に好ましくは0.7m以下の距離であることが好ましい。また、流延ダイ7から流延バンド10上に流延されてから凝縮、回収型のドライヤ21で乾燥が開始されるまでの時間で規定した場合には、流延後30秒以内、好ましくは流延後20秒以内であることが望ましい。
【0017】
流延バンド10が周回走行する速度である流延速度は、あまり大きすぎると、同伴風によって流延バンド10と流延膜との境界層が乱されるため、1〜300m/分、好ましくは20〜100m/分であることが望ましい。
【0018】
凝縮、回収型のドライヤ21による乾燥と通風乾燥装置による乾燥と併用する場合、乾燥ムラの発生は乾燥初期で特に起こりやすいので、流延膜を流延バンド10から剥ぎ取るまでに、ドライヤ21で凝縮、回収する流延膜中の溶媒量は、流延ダイ7からの流延時における溶媒量の少なくとも20%以上、好ましくは40%以上を凝縮、回収することが好ましい。そして、残りの溶媒を通風乾燥装置で乾燥させることが望ましい。この場合、通風乾燥装置の代わりに更に凝縮、回収型のドライヤを配設して凝縮、回収型のドライヤで多段式に乾燥してもよい。流延膜中の溶媒の何%を凝縮、回収型のドライヤ21で回収させるかは、乾燥ムラへの影響、生産効率を総合的に判断して決定するのがよい。
【0019】
凝縮、回収の方法は、流延バンド10の流延面側に溶媒を凝縮させる凝縮板19若しくは、同じ機能を兼ねる多孔板、網、簀の子、ロールなどを設置して回収することができる。US5694701 に示すような回収装置と併用してもよい。凝縮板19に用いる素材は、金属、プラスチック、木材など特に限定しないが、流延膜中に有機溶剤が含まれる場合には、その有機溶剤に対して耐性のある材料、若しくはコーティングを施すことが望ましい。なお、凝縮、回収型のドライヤ21において、凝縮した溶媒を回収する手段としては、例えば、凝縮板19お凝縮面に溝を設け、毛管力を利用して溶媒を回収する。溝の方向は、流延バンド10の走行方向でもよく、これに直交する方向でもよい。更に凝縮板19が傾斜している場合には、溶媒を回収させ易い方向に溝を付ければよい。
【0020】
流延膜中の溶媒の蒸発、凝縮を促進するため、流延バンド10若しくは流延膜、若しくはその両方を加熱するか、凝縮板19を冷却するか、若しくはその両方を用いることが望ましい。いずれの場合も、乾燥速度を制御するために、温度管理されていることが望ましい。凝縮板19は、温度コントロールできるようにし、冷却したい場合には、冷却するための設備を設置する必要がある。冷却には、冷媒等を使った水冷媒方式の熱交換器方式のもの、風を使った空冷式、電気を用いた方式などを用いることができる。流延バンド10を加熱したい場合には、ヒーターを設置して加熱することができる。また昇温可能なガイドローラ18を設置して加熱することも出来る。この場合、ヒーターやガイドローラ18の熱源として赤外線、マイクロ波を用いて加熱してもよい。
【0021】
流延バンド10、凝縮板19の温度を決定する際、注意しなければいけないのは、蒸発させた溶媒が凝縮板19以外の場所、例えばガイドローラ18の表面などに結露しないようにしなければならないことである。例えば。凝縮板19以外部分の温度は、凝縮板19の温度よりも高くしておくことで回避することが可能である。
【0022】
凝縮板19の面と流延バンド10の面の位置は、所望の流延膜の乾燥速度を考慮した上で、適当な位置に調整する必要がある。距離を小さくすると乾燥速度が上がる一方、設置距離精度の影響を受けやすい。一方、距離を大きくすると乾燥速度の大幅な低下をもたらすだけではなく、熱自然対流が起きて乾燥ムラを引き起こす。従って、凝縮板19の面と流延バンド10の面との間の距離は、0.01mm〜20cmの範囲、好ましくは0.5mm〜10cmの範囲で設置するのが望ましい。流延バンド10の走行方向は問わない。傾斜していても構わない。凝縮板19は直線である必要もなく、流延バンド10に沿って円弧状になっていても構わない。また、図2に示すように、凝縮板19と流延バンド10との距離を流延バンド10の走行方向で段階状に変化させるようにしてもよい。
【0023】
また、流延バンド10の流延膜の乾燥に凝縮、回収型の乾燥のドライヤ21を設置することに限定するものではなく、図3に示すように、流延バンド10から流延膜を剥離した後の乾燥にも凝縮、回収乾燥のドライヤ28を設置してもよい。更には、図5のように、ドープが流延される流延支持体として回転する流延ドラム22を用いる場合には、この流延ドラム22を囲むように凝縮、回収型のドライヤ30を設置してもよい。この場合も、図4に示すように、凝縮板19と流延ドラム22との距離を前記流延ドラム10の回転方向で段階状に変化させるようにしてもよい。尚、この冷却ドラム30は冷却可能な構造になっていることが必要である。
【0024】
そして、本発明の溶液製膜方法によって製膜されたフィルムは、偏光板保護膜として好適に用いることができる。この偏光板保護膜をポリビニルアルコールなどから形成された偏光膜の両面に貼付することで偏光板を形成することができる。更に、フィルム上に光学補償シートを貼付した光学補償フィルム、防眩層をフィルム上に積層させた反射防止膜などの光機能性膜として用いることもできる。これら製品からは、液晶表示装置の一部を構成することも可能である。
【0025】
【実施例】
流延膜の乾燥に通風乾燥型の乾燥装置を組み込んだ従来の溶液製膜装置(比較例1〜2)を用いて以下のドープを流延してフイルムを製造した場合と、流延膜の乾燥に凝縮、回収型のドライヤを組み込んだ本発明の溶液製膜装置(実施例1〜4)を用いて比較例と同じドープを流延してフイルムを製造した場合とで、製膜されたフィルムの塗布ムラの有無等を比較した。
【0026】
使用したドープは、塩化メチレン90重量部、メタノール10重量部の混合溶剤に、セルローストリアセテート20重量部、TPP3重量部を加えて溶解したものを調製した。
【0027】
比較例1の溶液製膜装置は、図7に示すように、流延支持体としてステンレススチール製の流延バンド10を使用し、流延バンド10上の流延膜を図示しない通風乾燥により初期乾燥したものである。通風乾燥の乾燥風は120℃に設定し、流延バンド10の上下から吹き付けた。ドープは、乾燥膜の厚さが80μmになるように調整し、また、流延バンド10上での乾燥時間は3分であった。流延バンド10上で初期乾燥された流延膜は、流延バンド10から剥離された後、乾燥部11で更に通風乾燥され、オンライン欠陥検出装置13を通ってから巻取りローラ12に巻き取られた。流延速度は100m/分とした。尚、流延ダイ7に供給するドープを調製する装置は、図1で説明した装置と同じである。
【0028】
比較例2の溶液製膜装置は、図8に示すように、流延支持体として流延ドラム22を使用し、流延ドラム22上の流延膜を通風乾燥により初期乾燥したものである。図示しない通風乾燥の乾燥風は120℃に設定し、流延ドラム22の上から吹き付けた。ドープは、乾燥膜の厚さが80μmになるように調整し、また、流延ドラム22上での乾燥時間は3分であった。流延ドラム22上で初期乾燥された流延膜は、流延ドラム22から剥離された後、前乾燥装置23で更に通風乾燥された。引き続いて塗布機24で下塗り塗布されてから通風方式の下塗り乾燥装置25を通過し、更に通風方式の後乾燥装置26を経て巻取りローラ27に巻き取られた。流延速度は100m/分とした。尚、流延ダイに供給するドープを調製する装置は、図1で説明した装置と同じである。
【0029】
実施例1の溶液製膜装置は、図1で説明した構成の装置であり、流延バンド10上の流延膜を乾燥するために凝縮、回収型のドライヤ21を使用した以外は比較例1と同様である。ドライヤ21の構成条件としては、流延バンド10から1mm離れた位置に流延バンド10に沿って凝縮板19を配設し、凝縮板19の温度をマイナス10°Cに設定すると共に、流延バンド10の温度を25°Cに設定した。また、流延ダイ7から流延バンド10上に流延されてから凝縮・乾燥型のドライヤ21で乾燥が開始されるまでの時間を20秒とした。
【0030】
実施例2の溶液製膜装置は、図3に示すように、流延バンド10上の流延膜を乾燥するために凝縮、回収型のドライヤ21を使用し、更に流延膜を剥離した後の乾燥部11での乾燥にも凝縮、回収型のドライヤ28を使用したもので、それ以外は比較例1と同様である
実施例3の溶液製膜装置は、図5に示す構成の装置であり、流延ドラム22上の流延膜を乾燥するために凝縮、回収型のドライヤ30を使用した以外は比較例2と同様である。ドライヤ30の構成条件としては、流延ドラム22から1mm離れた位置に流延ドラム22に沿って凝縮板19を配設し、凝縮板19の温度をマイナス30°Cに設定すると共に、流延ドラム22の温度をマイナス5°Cに設定した。また、流延ダイ7から流延ドラム22上に流延されてから凝縮、回収型のドライヤ30で乾燥が開始されるまでの時間を20秒とした。
【0031】
実施例4の溶液製膜装置は、図6に示すように、実施例3の流延ドラム22上の流延膜を乾燥するために凝縮、回収型のドライヤ30を使用したのに加え、前乾燥工程、下塗り乾燥工程、後乾燥工程の全ての乾燥工程に凝縮、回収型のドライヤ32、34、36を使用したものである。
【0032】
その結果、比較例1および2の溶液製膜装置により製膜されたフィルムの面には乾燥ムラが確認されたのに対し、実施例1から4の溶液製膜装置により製膜されたフィルムの面には乾燥ムラがなく平面性のよいフィルムを得ることができた。また、比較例1および2では流延したドープに発泡が認められたと共に、剥ぎ取り残りが僅かに認められたのに対し、実施例1〜4では流延したドープの発泡や剥ぎ取り残りも全く認められなかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の溶液製膜方法および装置によれば、流延膜の均一な乾燥を実現し、優れた平面性を有するフィルム等の支持体を得ることができると共に、流延支持体から流延膜の剥ぎ取り残りが発生するのを防止できる。
【0034】
また溶液製膜装置のコンパクト化、コストダウン、省エネルギー化に大きな効果がある。更に、従来の溶液製膜装置のように通風乾燥によって蒸発したガス中の有機溶剤はそのまま大気への放出することが出来ないので、蒸発した溶剤を液化して回収する必要があり、溶剤ガス回収設備が必要であるが、本発明では凝縮、回収型のドライヤで液体の状態で直接回収出来るため、溶剤ガス回収設備が不要若しくは必要であってもその装置への負荷を大幅に減らすことが出来る。また、通風乾燥を全く用いない場合には。通風乾燥に必要な風を吹くための送風設備を大幅に削減できる。そのため、空調設備費などのコストも大幅に削減出来るだけでなく、非常にコンパクトな設備にすることができる。
【0035】
また、少なくとも初期乾燥に凝縮、回収型のドライヤを配設した本発明の溶液製膜装置を用いると、乾燥初期において非常に均一な乾燥が可能なため、次のような予期しなかった効果があることがわかった。それは、蒸発ガスの流れに乱れのない非常に均一な乾燥が可能なため、単に平面性の優れた面状を得られるだけでなく、乾燥中に形成される高分子ネットワークの構造が非常に細かく、しかも均一に形成出来ることがわかった。これにより、たんに均一に乾燥させるというだけではまく、構造が細かくなることで例えば、光学フイルムの場合、新たな付加機能を追加できることにつながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶液製膜装置で流延バンドと凝縮、回収型のドライヤとを組み合わせた構成を説明する概念図
【図2】凝縮板と流延バンドとの距離を流延バンドの走行方向で段階状に変化させるようにした本発明の溶液製膜装置の説明図
【図3】本発明の溶液製膜装置で流延バンドと凝縮、回収型のドライヤとを組み合わせた別の構成を説明する概念図
【図4】凝縮板と流延ドラムとの距離を流延ドラムの回転方向で段階状に変化させるようにした本発明の溶液製膜装置の説明図
【図5】本発明の溶液製膜装置で流延ドラムと凝縮、回収型のドライヤとを組み合わせた構成を説明する概念図
【図6】本発明の溶液製膜装置で流延ドラムと凝縮、回収型のドライヤとを組み合わせた別の構成を説明する概念図
【図7】従来の溶液製膜装置で流延バンドと通風乾燥型の乾燥器とを組み合わせた構成を説明する概念図
【図8】従来の溶液製膜装置で流延ドラムと通風乾燥型の乾燥器とを組み合わせた構成を説明する概念図
【符号の説明】
1…ミキシングタンク、2…移送ポンプ、3…ストックタンク、4…定量ポンプ、5…連続濾過装置、6…送液管、7…流延ダイ、8…逆送管、9…逆送ポンプ、10…流延バンド、11…乾燥部、12…巻取りロール、13…オンライン欠陥検出装置、14…流延部側回転ドラム、15…非流延部側回転ドラム、18…ガイドローラ、19…ドライヤの凝縮板、20…ドライヤのケーシング、21、30…凝縮、回収型のドライヤ
Claims (19)
- 流延ダイより走行または回転する流延支持体上にドープを流延してフイルムを製造する溶液製膜方法において、
前記流延の直後に流延膜中の溶媒を凝縮、回収するドライヤを配設して前記流延膜を乾燥する工程を備え、
前記ドライヤ内には、前記流延膜と所定距離を置いて板状部材である凝縮板を配設し、
前記凝縮板と前記流延支持体との距離を前記流延支持体の走行方向または回転方向で段階状に変化させることを特徴とする溶液製膜方法。 - 前記凝縮、回収するドライヤの後段に通風乾燥手段を配設して前記流延膜を乾燥することを特徴とする請求項1の溶液製膜方法。
- 前記流延膜の膜厚は20〜400μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の溶液製膜方法。
- 前記流延膜を前記流延支持体から剥ぎ取るまでに、前記ドライヤで凝縮、回収する前記流延膜中の溶媒量は、前記流延ダイからの流延時における溶媒量の少なくとも20%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記凝縮板の温度、前記流延支持体の温度の少なくとも一方の温度を前記流延支持体の走行方向または回転方向に変化させるか、または前記流延支持体を加熱する加熱手段を配設して該加熱手段の温度を前記流延支持体の走行方向または回転方向で変化させるかのうちの少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記凝縮板と前記流延支持体との距離を前記流延支持体の走行方向または回転方向で段階状に変化させる区間ごとに前記ドライヤ内を仕切り板で仕切るかまたは前記区間ごとに独立したドライヤを連結することによりゾーン分割することを特徴とする請求項1〜5の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記凝縮板の温度、または前記流延支持体の温度を変化させる区間ごとに、前記ドライヤを仕切り板で仕切るかまたは前記区間ごとに独立したドライヤを連結することによりゾーン分割することを特徴とする請求項5の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイから流延支持体上への流延位置と前記ドライヤの入口との距離が5m以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイから流延支持体上への流延位置と前記ドライヤの入口との距離が0.7m以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記流延ダイより前記流延支持体上にドープを流延してから前記ドライヤで流延膜の乾燥が開始されるまでの時間が30秒以内であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記流延支持体が走行または回転する速度である流延速度は1〜300m/分であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記ドライヤの凝縮板は冷却可能であることを特徴とする請求項1〜11の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記流延支持体の加熱にヒータを配したことを特徴とする請求項1〜12の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記流延支持体の加熱に加熱ロールを配したことを特徴とする請求項1〜12の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記ヒータまたは前記加熱ロールは、赤外線またはマイクロ波を熱源とするものであることを特徴とする請求項13または14の溶液製膜方法。
- 前記流延支持体の面から前記凝縮板の面までの距離は0.01mm〜20cmの範囲であることを特徴とする請求項1〜15の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記流延支持体の両面側に前記凝縮板を配設して、前記流延支持体の両面側から前記流延膜中の溶剤を凝縮、回収することを特徴とする請求項1〜16の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 前記溶液製膜方法には前記流延膜に塗布膜を下塗りする下塗工程を含み、該下塗工程による塗布膜の乾燥にも前記凝縮、回収型のドライヤを配設したことを特徴とする請求項1〜17の何れか1に記載の溶液製膜方法。
- 流延ダイより走行または回転する流延支持体上にドープを流延してフイルムを製造する溶液製膜装置において、
前記流延の直後に流延膜中の溶媒を凝縮、回収するドライヤを配設し、
前記ドライヤ内には、前記流延膜と所定距離を置いて板状部材である凝縮板を配設し、
前記凝縮板と前記流延支持体との距離は、前記流延支持体の走行方向または回転方向で段階状に変化していることを特徴とする溶液製膜装置。
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