JP3673083B2 - 建設機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に関し、特に、フレームに作動油タンク、エンジン等を覆うカバーが設けられた建設機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械としては、例えば油圧ショベル等の旋回式建設機械が知られており、この旋回式建設機械は、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体の前側に設けられた作業装置とによって大略構成されている。
【0003】
また、旋回式建設機械の代表的な機械である油圧ショベルには、車幅内旋回型、超小旋回型の旋回式油圧ショベル(以下、小旋回式油圧ショベルという)があり、この小旋回式油圧ショベルは、例えば特開平8−209743号公報等によって知られている。
【0004】
そして、この従来技術による油圧ショベルは、骨組み構造をなす旋回フレームと、該旋回フレームの前部左側に設けられたキャブと、前記旋回フレームの後側に設けられたカバー支持部材と、前記旋回フレームの右側に設けられ、作動油タンク、多連弁装置を覆った固定側のタンクカバーと、該固定側タンクカバーの上側に設けられた可動側のタンクカバーと、前記旋回フレームの後側に設けられ、エンジン、ラジエータ、油圧ポンプ等を覆ったエンジンカバーとによって大略構成されている。
【0005】
ここで、前記可動側のタンクカバーは、前後方向に延びたほぼ長方形状をなし、後側がカバー支持部材に回動可能に支持され、前側が上下方向に開閉可能となっている。また、エンジンカバーは、左右方向に延び後面が円弧状となった扇形状をなし、前側が該可動側のタンクカバーに隣接した位置で前記カバー支持部材に回動可能に支持され、後側が上下方向に開閉可能となっている。
【0006】
さらに、可動側のタンクカバーとエンジンカバーとの間には、該可動側タンクカバーの後側とエンジンカバーの前側とに亘り可撓性材料によって長方形状に形成されたシート部材を上側から貼付けるように設けている。そして、シート部材は、可動側タンクカバー、エンジンカバーの開閉動作を許しつつ、各端縁間の隙間から内部に塵埃等が侵入するのを防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による油圧ショベルでは、可動側のタンクカバーとエンジンカバーとの隙間から塵埃が侵入するのを防止するため、該可動側のタンクカバーとエンジンカバーとに亘ってシート部材を貼付けている。
【0008】
しかし、このシート部材は、長期間の使用に伴う経年変化により、変形によるめくれやひび割れ等の損傷を生じてしまう。この結果、カバー内に塵埃が侵入してしまう上に、損傷したシート部材によって外観上の見栄えが悪くなるという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、各カバー間の隙間を埋めることにより、この隙間から塵埃等が侵入するのを長期間に亘り安定して防止できるようにした建設機械を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による建設機械は、フレームと、該フレームの前部左側に設けられたキャブと、前記フレームの後側に設けられたカバー支持部材と、前記フレームの右側に位置して前後方向に延び、後側が該カバー支持部材に支持され前側が上下方向に開閉可能となった第1のカバーと、前記フレームの後側に位置し、前側が該第1のカバーに隣接した位置で前記カバー支持部材に支持され後側が上下方向に開閉可能となった第2のカバーとを備えている。
【0011】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1による発明が採用する構成の特徴は、第1のカバー、第2のカバーは、両者を開扉したときに第1のカバーの後側と第2のカバーの前側とが離間し、両者を閉扉したときに第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁とが上下方向に隙間を有して前後方向で重なる位置に配設する構成とし、第1のカバーの後側端縁、第2のカバーの前側端縁のいずれか一方のカバーの端縁には、両者を閉扉したときに相対する他方のカバーに弾性力をもって当接することにより前記隙間を埋めるシール部材を設けたことにある。
【0012】
このように構成したことにより、第1のカバー、第2のカバーを開扉させたときには、該第1のカバーの後側と第2のカバーの前側とが離間するから、各カバーを独立して自由に開扉することができる。そして、第1のカバー、第2のカバーを閉扉させたときには、該第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁とが上下方向に隙間を有して前後方向で重なる位置に配設され、一方のカバーの端縁に設けられたシール部材が他方の端縁に弾性的に当接するから、第1のカバーと第2のカバーとの隙間をシール部材により埋めてシールすることができる。
しかも、第1のカバー、第2のカバーを開扉させたときには、該第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁との間の隙間によって両者を自由に開閉扉することができる。また、第1のカバー、第2のカバーをカバー支持部材に組付けるときに、組付け誤差等によって両者間に位置ずれが生じた場合でも、第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁との間には、前後方向の重なり部分があるから、この重なり部分によって位置ずれを許容することができる。
【0013】
請求項2の発明は、第1のカバーの後側端縁、第2のカバーの前側端縁はそれぞれ左右方向に伸長し、シール部材は第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁とのいずれか一方のカバーの端縁に沿って配置する構成としたことにある。
【0014】
このように構成したことにより、第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁との間に左右方向に伸長して形成される隙間をシール部材によってシールすることができる。
【0017】
また、請求項3の発明のように、第1のカバーをフレームの右側に搭載された作動油タンクを覆う固定側のタンクカバーを開閉するための可動側のタンクカバーとし、第2のカバーをフレームの後側に搭載されたエンジンを覆うエンジンカバーとしてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による建設機械として小旋回式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図8に従って詳細に説明する。
【0019】
1は下部走行体、2は該下部走行体1上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、該上部旋回体2は、図2に示す如く、旋回フレーム3と、該旋回フレーム3の前部左側に設けられたキャブとしてのキャブボックス4と、後述のカバー支持部材12、固定側のタンクカバー13、可動側のタンクカバー14、エンジンカバー16と、前記旋回フレーム3の後端部に取付けられたカウンタウェイト5とによって大略構成され、旋回フレーム3の前側には土砂の掘削作業等を行なう作業装置6が俯仰動可能に設けられている。
【0020】
7は旋回フレーム3の右側に設けられた作動油タンクで、該作動油タンク7は、下部走行体1、作業装置6等に給排される作動油を貯えるものである。また、8は作動油タンク7の前側に位置して旋回フレーム3に設けられた多連弁装置で、該多連弁装置8は、下部走行体1、作業装置6等に圧油を給排するものである。
【0021】
9はキャブボックス4の後側に位置して旋回フレーム3に搭載されたエンジンで、該エンジン9は左右方向に延在する横置き状態に配置されている。また、エンジン9の右側には図4に示すようにラジエータ10が設けられ、エンジン9の左側には油圧ポンプ11が設けられている。
【0022】
12はキャブボックス4の後側近傍に位置して旋回フレーム3に設けられたカバー支持部材で、該カバー支持部材12は、図5に示す如く、エンジン9の前側に位置して旋回フレーム3に取付けられる3本の前側脚体12Aと、エンジン9の後側に位置して旋回フレーム3に取付けられる2本の後側脚体12Bと、各前側脚体12Aのうちの2本と各後側脚体12Bとを一体的に連結した梁部12Cと、該梁部12Cに左右方向に延在した状態で取付けられたサポート12Dと、該サポート12Dから長さ方向に延長するように取付けられた延長部12Eと、該延長部12Eの先端側に固着されタンクカバー用ブラケット12Fと、前記各梁部12Cに固着されたエンジンカバー用ブラケット12G,12Gとによって大略構成されている。また、カバー支持部材12は、キャブボックス4の後側を支持するキャブ支持部材を兼ねている。
【0023】
13は旋回フレーム3の右側に設けられた固定側のタンクカバーで、該固定側のタンクカバー13は、前後方向に延び上向きに開口した箱形状に形成され、その内部には作動油タンク7、多連弁装置8等を収容している。
【0024】
14は固定側タンクカバー13の上側に設けられた第1のカバーとしての可動側のタンクカバーで、該可動側のタンクカバー14は、固定側のタンクカバー13を覆うように前後方向に延びる長方形状に形成され、その前側は前方に向けて漸次下向きに湾曲している。また、可動側のタンクカバー14は内部が中空となる樹脂製カバーとして形成されている。さらに、可動側タンクカバー14の後側には、カバーヒンジ15の一部が嵌合する円弧溝14Aが左右方向に伸長して設けられ、該円弧溝14Aから後側には、後方に向けて突出した階段状の後側端縁14Bが図3に示すように左右方向に伸長して設けられている。
【0025】
そして、可動側のタンクカバー14は、その後側がカバーヒンジ15を介してカバー支持部材12のタンクカバー用ブラケット12Fに回動可能に支持され、前側が図1中に二点鎖線で示すように上下方向に開閉可能となっている。
【0026】
15はカバー支持部材12に可動側のタンクカバー14を支持するカバーヒンジで、該カバーヒンジ15は、カバー支持部材12のタンクカバー用ブラケット12Fにボルト止めされたピン支持体15Aと、該ピン支持体15Aに支持されたピン15Bと、該ピン15Bに回動可能に取付けられ、可動側タンクカバー14の後側にボルト止めされたカバー取付板15Cとによって構成されている。これにより、カバーヒンジ15は、ピン15Bを中心として可動側のタンクカバー14を回動可能に支持している。
【0027】
16は旋回フレーム3の後側に位置し、エンジン9、ラジエータ10、油圧ポンプ11等を覆うように設けられた第2のカバーとしてのエンジンカバーで、該エンジンカバー16は、キャブボックス4の後部からカウンタウェイト5に向けて延び、該カウンタウェイト5に沿う円弧状に湾曲した樹脂製カバーとして形成されている。また、エンジンカバー16の内側には後述するカバーリンク17の上側ブラケット17Aが取付けられる段部16Aが一体的に設けられ、前端部には薄肉に形成された前側端縁16Bが図3に示すように左右方向に伸長して設けられている。
【0028】
ここで、前側端縁16Bは、図6に示す如く、可動側のタンクカバー14、エンジンカバー16の両方を閉扉させた状態で、該可動側タンクカバー14の後側端縁14Bとの間に上下方向の隙間Sを有し、また、前後方向に寸法L1 だけ重なる位置に配置されている。
【0029】
そして、エンジンカバー16は、その前側がカバーリンク17を介してカバー支持部材12の梁部12Cに回動可能に支持され、後側が図1中に二点鎖線で示すように上下方向に開閉可能となっている。
【0030】
17はカバー支持部材12とエンジンカバー16との間に設けられたカバーリンクで、該カバーリンク17は、エンジンカバー16の段部16Aにボルト止めされた上側ブラケット17Aと、カバー支持部材12のエンジンカバー用ブラケット12Gにボルト止めされた下側ブラケット17Bと、両端部が上側ブラケット17A、下側ブラケット17Bに回動可能にピン結合された回動リンク17C,17Dとによって構成されている。このように、カバーリンク17はブラケット17A,17B、回動リンク17C,17Dによってリンク機構をなし、このリンク機構によりエンジンカバー16をカバー支持部材12に開閉可能に連結している。
【0031】
18はエンジンカバー16に取付けられたシール部材で、該シール部材18は、弾性を有するゴム材料からなり、エンジンカバー16の前側端縁16Bを挟むように取付けられた挟持部18Aと、該挟持部18Aの下側に一体的に設けられ、円筒状に形成されたシール筒部18Bとによって構成されている。また、シール部材18は、前側端縁16Bに沿って左右方向に伸長して設けられ、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bとほぼ同じ長さ寸法に設定されている。
【0032】
そして、シール部材18は、図7に示すように可動側のタンクカバー14を開扉させたり、図8に示すようにエンジンカバー16を開扉させたときには、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bから離間する。一方、シール部材18は、図6に示すように、可動側タンクカバー14、エンジンカバー16の両者を閉扉させたときに、シール筒部18Bを可動側タンクカバー14の後側端縁14Bに弾性的に当接させるものである。
【0033】
本実施の形態による油圧ショベルは上述の如き構成を有するもので、次に、可動側のタンクカバー14、エンジンカバー16の開閉動作について説明する。
【0034】
まず、可動側のタンクカバー14を開扉するときには、図7に示すように、該可動側タンクカバー14の前側を持上げることにより、カバーヒンジ15を介して可動側タンクカバー14を開扉することができる。
【0035】
また、エンジンカバー16を開扉するときには、図8に示すようにエンジンカバー16の後側を持上げることにより、カバーリンク17を介してエンジンカバー16を開扉することができる。
【0036】
ここで、可動側タンクカバー14、エンジンカバー16は、その開扉時において該可動側タンクカバー14の後側端縁14Bとエンジンカバー16の前側端縁16Bとの間に上下方向の隙間Sを形成しているから、可動側タンクカバー14とエンジンカバー16とは、互いに干渉することなく、独立して開扉することができる。
【0037】
さらに、可動側のタンクカバー14、エンジンカバー16を閉扉させるときには、可動側タンクカバー14の前側を押し下げ、エンジンカバー16の後側を押し下げることにより閉扉することができる。そして、可動側タンクカバー14、エンジンカバー16の両者を閉扉させた状態では、図6に示す如く、エンジンカバー16の後側端縁16Bに設けられたシール部材18のシール筒部18Bが可動側タンクカバー14の後側端縁14Bに弾性的に当接するから、可動側タンクカバー14とエンジンカバー16との隙間をシール部材18によって安定してシールすることができ、塵埃等の侵入を防止することができる。
【0038】
一方、可動側のタンクカバー14、エンジンカバー16をカバー支持部材12に組付ける場合には、組付け誤差等によって各カバー14,16間に位置ずれが生じることがある。しかし、本実施の形態では、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bとエンジンカバー16の前側端縁16Bとを寸法L1 をもって前後方向に重ねて配置しているから、この重なり寸法L1 の範囲内で組付け誤差による位置ずれを許容することができる。
【0039】
以上のように、本実施の形態によれば、可動側のタンクカバー14、エンジンカバー16の両方を閉扉した状態で、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bとエンジンカバー16の前側端縁16Bとの間に上下方向の隙間Sを形成すると共に、エンジンカバー16の前側端縁16Bに可動側タンクカバー14の後側端縁14Bに弾性的に当接するシール部材18を取付ける構成としている。
【0040】
これにより、可動側タンクカバー14、エンジンカバー16は、これらの間の隙間Sによって、互いに干渉することなく、独立して開扉することができる。しかも、可動側タンクカバー14、エンジンカバー16の両者を閉扉した状態では、シール部材18を可動側タンクカバー14の後側端縁14Bに弾性的に当接させることができるから、各カバー14,16間の隙間Sをシール部材18によって埋めることができ、該シール部材18によって塵埃の侵入を長期に亘り安定して防止でき、信頼性を向上することができる。
【0041】
また、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bとエンジンカバー16の前側端縁16Bとは、前後方向に寸法L1 だけ重ねて配置しているから、この重なり寸法L1 によって組付け誤差が生じても、両者間の位置ずれを許容することができ、組立作業性を向上することができる。
【0042】
また、この重なり寸法L1 内にシール部材18の殆どの部分を収容することができるから、各カバー14,16間の繋ぎ部分をすっきりさせることができ、外観上の見栄えを良好にすることができる。
【0043】
さらに、シール部材18は、左右方向に伸長して形成しているから、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bとエンジンカバー16の前側端縁16Bとの間の隙間Sを埋めてシールすることができ、この隙間Sからの塵埃の侵入を確実に防止することができる。
【0044】
なお、実施の形態では、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bとエンジンカバー16の前側端縁16Bとは、前後方向に寸法L1 だけ重ねて配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、図9に示す変形例の如く、可動側タンクカバー21の後側端縁21Bとエンジンカバー22の前側端縁22Bとは前後方向に寸法L2 だけ離間させて配置してもよく、この場合には、シール部材23の挟持部23Aは、シール筒部23Bが可動側タンクカバー21の後側端縁21Bに当接するように前後方向に延ばす構成とすればよい。
【0045】
また、実施の形態では、エンジンカバー16にシール部材18を取付けた場合を例示したが、これに替えて、例えば可動側のタンクカバー14にシール部材18を設ける構成としてもよい。
【0046】
また、実施の形態では、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bを下側に配置し、エンジンカバー16の前側端縁16Bを上側に配置した場合を例に挙げて説明したが、可動側タンクカバー14の後側端縁14Bを上側に配置し、エンジンカバー16の前側端縁16Bを下側に配置し、両者の上下位置を逆転させてもよい。
【0047】
また、実施の形態では、可動側のタンクカバー14、エンジンカバー16を樹脂材料によって形成した場合を例示したが、可動側のタンクカバー14、エンジンカバー16を金属材料によって形成してもよい。
【0048】
さらに、実施の形態では、建設機械としてキャブボックス4が設けられた油圧ショベルを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、運転席の上側に迫り出したキャノピが設けられた油圧ショベルに適用してもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、第1のカバー、第2のカバーは、両者を開扉させたときに第1のカバーの後側と第2のカバーの前側とが離間し、両者を閉扉させたときに第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁とが上下方向に隙間を有して前後方向で重なる位置に配設する構成としているから、第1のカバーと第2のカバーとを独立して自由に開閉扉することができる。
【0050】
しかも、第1のカバーの後側端縁、第2のカバーの前側端縁のいずれか一方のカバーの端縁には、両者を閉扉したときに相対する他方のカバーに弾性力をもって当接するシール部材を設けているから、両者を閉扉させたときには、該第1のカバーの後側と第2のカバーの前側とを上下方向から接近させ、一方のカバーの端縁に設けられたシール部材を他方のカバーの端縁に弾性的に当接させることができ、第1のカバーと第2のカバーとの隙間をシール部材によってシールすることができる。従って、シール部材は、各カバー間に形成される隙間を埋めて塵埃等の侵入を長期間に亘り安定して防止でき、カバー内を清浄に保つことができる。
また、第1のカバー、第2のカバーを開扉させたときには、該第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁との間の隙間を利用し、これらのカバーを自由に開閉扉することができる。さらに、第1のカバー、第2のカバーをカバー支持部材に組付けるときに、組付け誤差等によって両者間に位置ずれが生じた場合でも、第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁との間には、前後方向の重なり部分があるから、この重なり部分によって位置ずれを許容することができ、組立作業性を向上することができる。
【0051】
請求項2の発明によれば、第1のカバーの後側端縁、第2のカバーの前側端縁をそれぞれ左右方向に伸長させ、シール部材を第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁とのいずれか一方のカバーの端縁に沿って配置しているから、第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁との間に左右方向に伸長して形成される隙間をシール部材により埋めることができ、該シール部材によって塵埃の侵入を確実に防止することができる。
【0053】
請求項3の発明によれば、第1のカバーをフレームの右側に搭載された作動油タンクを覆う固定側のタンクカバーを開閉するための可動側のタンクカバーに適用でき、第2のカバーをフレームの後側に搭載されたエンジンを覆うエンジンカバーに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを拡大して示す平面図である。
【図3】図2中のA部を拡大して示す拡大平面図である。
【図4】図3中の矢示IV−IV方向からみた部分断面図である。
【図5】カバー支持部材を示す外観斜視図である。
【図6】図4中のカバー支持部材、可動側のタンクカバー、カバーヒンジ、エンジンカバー、カバーリンク、シール部材を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図7】可動側のタンクカバーを開扉した状態を示す図6と同様位置からみた要部拡大断面図である。
【図8】エンジンカバーを開扉した状態を示す図6と同様位置からみた要部拡大断面図である。
【図9】本発明の変形例を示す図6と同様位置からみた要部拡大断面図である。
【符号の説明】
3 旋回フレーム
4 キャブボックス(キャブ)
7 作動油タンク
9 エンジン
12 カバー支持部材
13 固定側のタンクカバー
14,21 可動側のタンクカバー(第1のカバー)
14B,21B 後側端縁
16,22 エンジンカバー(第2のカバー)
16B,22B 前側端縁
18,23 シール部材
S 上下方向の隙間寸法
L1 前後方向の重なり寸法
Claims (3)
- フレームと、該フレームの前部左側に設けられたキャブと、前記フレームの後側に設けられたカバー支持部材と、前記フレームの右側に位置して前後方向に延び、後側が該カバー支持部材に支持され前側が上下方向に開閉可能となった第1のカバーと、前記フレームの後側に位置し、前側が該第1のカバーに隣接した位置で前記カバー支持部材に支持され後側が上下方向に開閉可能となった第2のカバーとを備えた建設機械において、
前記第1のカバー、第2のカバーは、両者を開扉したときに第1のカバーの後側と第2のカバーの前側とが離間し、両者を閉扉したときに前記第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁とが上下方向に隙間を有して前後方向で重なる位置に配設する構成とし、
前記第1のカバーの後側端縁、第2のカバーの前側端縁のいずれか一方のカバーの端縁には、両者を閉扉したときに相対する他方のカバーに弾性力をもって当接することにより前記隙間を埋めるシール部材を設けたことを特徴とする建設機械。 - 前記第1のカバーの後側端縁、第2のカバーの前側端縁はそれぞれ左右方向に伸長し、前記シール部材は第1のカバーの後側端縁と第2のカバーの前側端縁とのいずれか一方のカバーの端縁に沿って配置する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
- 前記第1のカバーは前記フレームの右側に搭載された作動油タンクを覆う固定側のタンクカバーを開閉するための可動側のタンクカバーであり、前記第2のカバーは前記フレームの後側に搭載されたエンジンを覆うエンジンカバーである請求項1または2に記載の建設機械。
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