JP4688694B2 - 旋回作業機 - Google Patents

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Description

本発明は、バックホー等の旋回作業機に関するものである。
従来、下部走行体に旋回台が上下軸心廻りに旋回自在に枢支され、旋回台の左右一側に、燃料タンク、作動油タンク、バッテリ等の車輌補器を配備するための収容空間が設けられ、該収容空間がボンネットに覆われている旋回作業機が知られている。
この種の旋回作業機は、一般に、ボンネットを開閉自在として前記複数の車輌機器の点検整備を可能に形成されている。例えば特許文献1に記載の旋回作業機においては、ボンネットの前端部が旋回台に左右軸廻りに軸心を有するヒンジ機構を介して連結されている。これによってボンネットは、ヒンジ機構の軸心を回動軸心として収容空間の前方に向けて回動し、かかるサイドボンネットの回動に伴って収容空間が露出する。
また、特許文献2には、収容空間の上方を開放する開口部を有して該収容空間を側方より覆う側カバーと、該開口部を閉塞する上カバーとによってボンネットを構成し、該上カバーが側カバーの内壁に前後一対のヒンジ機構を介して前後軸心廻りに開閉自在に枢支されている旋回作業機が開示されている。該上カバーを開くことにより開口部が開放され、これによって収容空間の上方が露出し、該収容空間内の車輌機器の整備点検が可能となる。
特開2001−3390号公報 特開2001−260947号公報
しかしながら、上記特許文献1の旋回作業機は、ボンネットを左右軸廻りに略90度回転させて収容空間を露出させるものである。このため、ボンネットを開き姿勢に設定すると、該ボンネット全体が旋回台の前方に位置することとなり、収容空間の前方にボンネットを開き姿勢に維持するためのスペースが必要となる問題があった。また、開き姿勢のボンネットの後端が収容空間の前上方に位置することとなって作業装置の作業範囲に向けて突出し、これによって作業装置と開き姿勢のボンネットが互いに干渉し合ってしまう虞があった。
また、特許文献2の旋回作業機においては、上カバーを開き姿勢に設定すると、上カバー全体が収容空間の内側方に位置することとなる。収容空間の内側方には、一般にキャビン、運転席、作業装置の支持部等が隣接配備されているため、上カバーを開くと該上カバーがこれらのキャビンや運転席、作業装置のブーム等の装置に干渉してしまう虞があった。
そこで、本発明の目的は、収容空間の前方や側方に該収容空間を覆うカバーを開放した状態に保つためのスペースを必要とすることなくカバーを開くことができる旋回作業機を提供するようにしたものである。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、旋回台の左右一側に、複数の車輌機器を収容する収容空間と、該収容空間を覆うボンネットとが設けられ、該ボンネットには、収容空間を側方より覆って該収容空間の上方に開口部を形成する側カバーと、該開口部を開閉自在に支持された上カバーとが備えられている旋回作業機において、
前記上カバーと側カバーの間には、開口部を閉塞する閉じ位置と、該閉じ位置の上方に位置して該開口部を開放する開き位置との間で上カバーを上下動自在に移動可能なリンク機構が設けられていることを特徴とする。
これによれば、上カバーは閉じ位置よりも上方に位置することにより開き位置に設定され、開き位置の上カバーが収容空間の前方や側方に位置することはない。このため、上カバーを開いた状態に保つためのスペースを収容空間の前方や側方に必要とせず、これによって旋回台の周囲に余裕のない狭小スペースであっても上カバーを開き位置に設定することが可能となる。
また、前記開き位置に設定された上カバーは、裏面を開口部に対向させた状態で旋回台の旋回半径内に位置していることが好ましい。
これによれば、開き位置に設定された上カバーにより、収容空間に雨水が降りかかることが抑制されることとなる。さらには、該上カバーが上面に泥土等の堆積物を載せた状態で開く場合にも、該堆積物の収容空間の側方や前方への落下は可及的抑制されることとなる。
また、前記リンク機構は、閉じ位置の上カバーを前下り姿勢に設定すると共に、開き位置の上カバーを前上がり姿勢に設定することが好ましい。
これによれば、収容空間と開き位置とした上カバーの間には、特に収容空間前側にて十分な作業空間が確保され、これによって収容空間の点検整備が行い易いものとなる。
また、前記リンク機構は上カバーの後部側に配備され、後リンク部材と、該後リンク部材よりも長尺な前リンク部材とからなる前後一対のリンク部材を備えてなる4節リンク機構であり、各リンク部材は、上端部が第1枢軸を介して上カバーに枢支されると共に下端部が第2枢軸を介して側カバーに枢支され、第1枢軸間の間隔は第2枢軸間の間隔よりも小さいことが好ましい。
これによれば、上カバーと、側カバーと、前後一対のリンク部材との間に4節リンク機構による両てこ機構が形成されることとなり、これによって上カバーは、閉じ位置から開き位置に向けて平行移動すると共に前下がり姿勢から前上がり姿勢にその姿勢を変更されることとなるのである。
また、前記上カバーと側カバーの間には、上カバーを開き位置に支持し、且つ、開き位置と閉じ位置との間にて上カバーを前上がり姿勢とした中間位置に支持する支持機構が配備されていることが好ましい。
これによれば、上カバーは支持機構によって支持されるとなり、作業者が手で保持することなく開き位置に支持されることとなる。また、該支持機構は上カバーを中間位置に支持することも可能であるので、作業者は、整備目的に応じて上カバーの開き具合を調整することが可能となる。
さらに、前記上カバーの後端部は、上カバーを閉じ位置に設定した状態で開口部の後端部よりも旋回台後方に向けて延設されており、該後端部は、上カバーを中間位置に設定した状態で少なくとも開口部の後端よりも旋回台後方に突出して該開口部の後端を覆う位置まで延設されていることが好ましい。
これによれば、上カバーを中間位置とした場合であっても上カバーの後端部は収容空間よりも後方に位置して該収容空間の後部を覆うこととなるので、上カバー上の堆積物は上カバーの開き動作に伴って収容空間の後方に排出され、収容空間内、収容空間の前方及び側方に堆積物等が落下する虞はない。また、開き位置とした上カバーは雨除けとしても機能し、開き位置とした上カバーに降りかかった雨水は上カバーの後端部の先端から収容空間の後方に流れ落ち、これら雨水が収容空間に流れ込む虞はない。
本発明の旋回作業機によれば、収容空間の前方や側方に該収容空間を覆うカバーを開放した状態に保つためのスペースを必要とすることなくカバーを開くことができる。
以下、本発明を超小旋回型の旋回作業機1に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明していく。
図10に示す如く、本発明に係る旋回作業機1は、上部旋回体2と、下部走行体3とから構成されている。
下部走行体3は、トラックフレーム5の左右両側に備えたサイドフレームに、アイドラ6と駆動輪7と複数の転輪とを回転自在に支持すると共に、これらアイドラ6と駆動輪7と転輪とに亘ってクローラベルト9を巻き掛けて構成されている。
また、下部走行体3の前部には、ドーザ10が配備されている。
上部旋回体2は、下部走行体3に上下方向の軸心X廻りに枢支された旋回台11と、該旋回台11に取付け支持された作業装置12とから構成されている。
作業装置12は、旋回台11に左右軸廻りに揺動自在に支持されたブーム14と、該ブーム14の先端部に左右軸廻りに揺動自在に連結されたアーム15と、該アーム15の先端部に左右軸廻りに揺動自在に連結されたバケット16とを備えている。
ブーム14は、旋回台11との間に介装されたブームシリンダ17により上下に揺動駆動され、アーム15は、ブーム14との間に介装されたアームシリンダ18により前後に揺動駆動され、バケット16は、アーム15との間に介装されたバケットシリンダ19により掻き込み揺動駆動される。
また、ブーム14は、旋回台11に支持された第1ブーム部材20と、該第1ブーム部材20の先端部に支持軸廻りに左右揺動自在に連結された第2ブーム部材21と、該第2ブーム部材21の先端部に支持軸廻りに左右揺動自在に連結された支持ブラケット22とを備えている。また、該支持ブラケット22にアーム15の基端部が連結されている。
また、第1ブーム部材20の先端部近傍と支持ブラケット22の間にはオフセットシリンダが配備されており、該オフセットシリンダを作動させることにより、第1ブーム部材20に対して第2ブーム部材21が左右揺動し、これによってアーム15を左右方向に平行移動(オフセット)させることが可能となっている。
旋回台11は、作業装置12を支持する支持部31を備えると共に、該支持部31の一側(左側)に操縦部32を備え、さらに、該支持部31の他側(右側)に複数の車輌機器を収容する収容空間34を備えている。また、該支持部31、操縦部32及び収容空間34の後方となる位置には、エンジンEを収容するエンジンルーム33が設けられている。
また、図5に示す如く、旋回台11は、下部走行体3に支持される旋回フレーム30を備えている。該旋回フレーム30は、旋回台11の底板を形成する旋回基板35を備えている。該旋回基板35は、厚板材によって構成されており、前部及び側部を切り欠いて形成される切欠き円形状を呈している。
また、図6に示す如く、旋回基板35の後部には、ウエイト取付体を介してカウンタウエイト36が取付固定されている。
また、図5に示す如く、旋回基板35上の左右中央部から右側寄りには、平板状に形成されて旋回基板35の前後方向に伸びる左右一対の縦リブ38L、38Rが互いに対抗上に配して立設されている。該左右一対の縦リブ38L、38Rの後端部は、旋回基板35の前後方向中央部を左右方向に伸びる横リブ39に連結されている。
また、該横リブ39の背面及び旋回基板35の後部には、複数のブラケットが固設されており、左右一対の縦リブ38L、38Rの後方にて互いに対向する前後一対のブラケット40には、U字アーチ41が取り付けられている。また、図6及び図7に示す如く、旋回基板35には、該旋回基板35の外縁部に沿って側部フレーム42が配備されている。
該側部フレーム42は、一方(左側)の縦リブ38Lからカウンタウエイト35の一側(左側)まで延設された第1側部フレーム部材43Lと、他方(右側)の縦リブ38Rからカウンタウエイト35の他側(右側)まで延設された第2側部フレーム部材43Rとを備えている。
図6及び図7に示す如く、操縦部32は、第1側部フレーム部材43Lの上端部から左側の縦リブ38Lに亘って配備されたステップ60を備え、該ステップ60の前部に複数のレバーを備えて構成される操縦装置61が配備されている。また、操縦装置61の後方には、シートサポートを介してシート62が配備されている。
また、シート62と支持部31の間となる位置には、キャノピ63が配備されている。
図7及び図10に示す如く、支持部31は、左右一対の縦リブ38L、38Rの間に設けられており、作業装置12のブーム14を枢支する第1支持ブラケット64と、ブームシリンダ17を枢支する第2支持ブラケット65とを前後に備えている。
図5に示す如く、エンジンルーム33には、エンジンEが横置き配備されており、マウントを介して旋回基板35に連結支持されている。また、前記U字アーチ41は、エンジンEを跨いで配備されている。
エンジンEの左側にはラジエータ及びオイルクーラが配備されている。また、エンジンルーム33の右側には、エンジンEに連結された油圧ポンプ45が位置している。また、図6に示す如く、該油圧ポンプ45の上方にエアクリーナ46、マフラ等が配備されている。
図4〜図6に示す如く、該エンジンルーム33の右側の前部は収容空間34に連通されている。該収容空間34は、オイルタンク47、燃料タンク48、バッテリ49等からなる車輌機器を収容する空間であって、右側の縦リブ38Rと第2フレーム部材43Rとの間からエンジンルーム33の右側前部に亘って設けられている。
該収容空間34には、油圧ポンプ45と対向する位置にオイルタンク47が配備され、該オイルタンク47の前側に燃料タンク48が配備されている。これらオイルタンク47及び燃料タンク48は、右側の縦リブ38Rに沿って配備されており、該縦リブ38Rと僅かな隙間を介して対向している。また、オイルタンク47の給油口47a及び燃料タンク48の給油口48aは、上方に向けて延設されている。
また、オイルタンク47の後上方には、バッテリ49を収容するバッテリ収容部50が設けられている。該バッテリ収容部50は、右側の縦リブ38Rに支持されてエンジンルーム33に向けて伸びる延設板51と、該延設板51の後端からオイルタンク47上方に伸びて収容空間34をオイルタンク側とバッテリ側とに上下に仕切る仕切り板52とを備えている。
図1に示す如く、仕切り板52は、バッテリ49を載置する載置部53と、該載置部53の前後端から立設された一対の立壁部54f、54rと、後側の立壁部54rの上端から延設板51の後端に向けて後上方に傾斜する傾斜部55と、該傾斜部55の先端から立ち上がる突片部56とを備えている。また、図4及び図5に示す如く、仕切り板52の載置部53の下方にオイルタンク47が位置すると共に、傾斜部55の下方に油圧ポンプ45が位置している。また、該傾斜部55にはバッテリ49に接続されたハーネスをエンジンルーム33に導くためのハーネス孔57が開設されている。
図6及び図7に示す如く、これらエンジンルーム33及び収容空間34は、ボンネット70によって覆われている。該ボンネット70は、エンジンルーム33を後方より覆うリアボンネット71と、エンジンルーム33を前方から上方に亘って覆うフロントボンネット72と、収容空間34を前方から側方に亘って覆うサイドボンネット73とを備えている。リアボンネット71は、旋回台11の後方に向けて開閉自在に枢支されている。また、フロントボンネット72の後部はリアボンネット71の上部と突き合わせて形成されており、フロントボンネット72の右側前部には、左右方向右側にバッテリ収容部50の後部に沿って該後部の上縁を覆う切欠き部72aが形成されている。
サイドボンネット73は、収容空間34を側方より覆う側カバー76と、該開口部75を開閉可能に支持された上カバー77とを備えている。
図5に示す如く、側カバー76は、収容空間34に配備された車輌機器の内側面と対向する右側の縦リブ38R及び延設板51と、収容空間34の外側方及び前方から覆う外カバー部材78とにより構成されている。外カバー部材78は、右側の縦リブ38Rやフロントボンネット72等にボルト等の締結具を介して着脱自在に連結されている。また、図7に示す如く、該外カバー部材78の周縁は、上カバー77と、リアボンネット71と、カウンタウエイト36と第2側部フレーム42Rに対向して形成されている。
前記開口部75は、側カバー76を形成する外カバー部材78、右側の縦リブ38R、延設板51の上縁部と、フロントボンネット72の切欠き部72aとによって形成され、燃料タンク48及びオイルタンク47の上方、バッテリ収容部50を同時に開放可能な大開口とされている。ここで、図3に示す如く、右側の縦リブ38R及び延設板51による開口部75の内側開口縁部75aは、後部よりも前部を低位として形成されると共に、外カバー部材78による開口部75の外側開口縁部75bは、図6に示す如く後部よりも前部を低位とした突円弧状に形成されている。これにより、上カバー77を開放すると、バッテリ49の上部が露出すると共に、燃料タンク48及びオイルタンク47の給油口48a、47aが略露出することとなる。
図1及び図3に示す如く、上カバー77は、リンク機構80を介して開閉可能に支持されている。
リンク機構80は、上カバー77を、開口部75を閉塞する閉じ位置と該閉じ位置の上方であって収容空間34の上方を覆いつつ該開口部75を開放する開き位置との間で平行移動自在に支持すると共に、閉じ位置の上カバー77を前下り姿勢に設定し、開き位置の上カバー77を前上り姿勢に設定するものであって、上カバー77の後部と延設板51の上部との間に設けられている。
また、該リンク機構80は、前後一対のリンク部材81、82と、該前後一対のリンク部材81、82の上端部を第1枢軸81a、82aを介して枢支する第1枢支部材83と、下端部を第2枢軸81b、82bを介して枢支する第2枢支部材84とを備えてなる4節リンク機構であって、第1枢支部材83が上カバー77の裏面に取り付けられると共に第2枢支部材84が延設板51の上部に取り付けられている。
また、前後一対のリンク部材81、82は、前側のリンク部材(前リンク部材)81が後側のリンク部材(後リンク部材)82よりも長尺に形成されている。また、第1枢支部材83の第1枢軸81a、82a間の間隔Laは第2枢支部材84の第2枢軸81b、82b間の間隔Lbよりも小さい。即ち、該リンク機構80においては、図2に示す両てこ機構が形成されている。該両てこ機構においては、両リンク部材81、82が所定の角度範囲を往復するてことして作用する。ここで、前リンク部材81が後リンク部材82よりも長いため、両リンク部材81、82を旋回台11の後方に向けて倒した場合、前リンク部材81の第1枢軸81aと後リンク部材82の第1枢軸82aは略同じ高さ位置となる。そして、かかる状態から両リンク部材81、82を起こしていくにしたがって、前リンク部材81の第1枢軸81aが後リンク部材82の第1枢軸82aよりも高位となる。
この様なリンク機構80の作用により上カバー77は開閉動作と共にその姿勢を変更させることとなる。図1や図3に示す如く、開口部75を閉塞する閉じ位置に上カバー77を設定すると、リンク機構80の両リンク部材81、82が後側に倒れ、これによって上カバー77は、後部を前部よりも高位とする前下り姿勢に設定されることとなる。そして、かかる姿勢から上カバー77を開き姿勢に設定すると、両リンク部材81、82が倒れた状態から起きあがると共に前リンク部材81の第1枢軸81aが後リンク部材82の第1枢軸82aよりも高位となり、これによって上カバー77は、前部を後部よりも高位とする前上がり姿勢に設定されることとなる。
また、図3に示す如く、上カバー77と側カバー76の間には、上カバー77の姿勢を支持する支持機構85が配備されている。該支持機構85は、リンク機構80の前側となる位置に配備されており、上カバー77に揺動自在に枢支されたアーム86と、右側の縦リブ38Rに配備されたアーム案内部材87とを備えている。該アーム案内部材87には、アーム86の先端が係合する案内溝88が上下方向に形成されており、該案内溝88の案内によってアーム86が上下動することにより、該アーム86に上カバー77が押し引きされ、これによって該上カバー77が開閉することとなるのである。
また、案内溝88は、下端部に上カバー77を閉じ位置とした場合にアーム86の先端を嵌合させる下嵌合部88aを備えると共に、上端部に上カバー77を開き位置とした場合にアーム86の先端を嵌合させる上嵌合部88bを備え、さらには、上嵌合部88bのやや下方となる位置に上カバー77を中間位置とした場合にアーム86の先端を嵌合させる中嵌合部88cを備えている。ここで、上カバー77の中間位置とは、上カバー77を開き位置まで開く必要のない軽微な整備作業等を行う際に有効な上カバー開放状態であって、閉じ位置と開き位置の間となる位置に設けられている。また、該中間位置であっても、リンク機構80の前リンク部材81の第1枢軸81a、82aは後リンク部材82の第1枢軸81a、82aよりも高位に位置しており、これによって中間位置の上カバー77も前上がり姿勢に設定されることとなる。
図3及び図6に示す如く、上カバー77は、閉じ位置にて後端部から前端部に向かうにつれて上面が次第に低くなる前下がり形状に形成されている。
また、図8及び図9に示す如く、上カバー77の上面は、閉じ位置で右側の縦リブ38R及び延設板51と対向する内側縁部から外カバー部材78に対向する外側縁部に向かうにつれて次第に低位となる傾斜状に形成されている。また、該上カバー77の上面には、内側縁部に沿って前後方向に伸びる凸条部77aが形成されている。これによって、上カバー77上に雨水が降りかかる場合にも、該雨水の殆どは旋回台11の外側方や前方に排水されることとなり、収容空間34に隣接配備された支持部31には僅かな雨水が浸入するに過ぎない。
また、図1に示す如く、上カバー77の後端部は、開口部75の後端部を形成するフロントボンネット72の切欠き部72aよりも後方まで延設されており、閉じ位置にて該フロントボンネット72の上面に対向する。また、該上カバー77の後端部77bは、図3に示す如く、上カバー77を中間位置とした状態であっても仕切り板52の突片部56よりも後方に突出してフロントボンネット72上に位置し、これによって、上カバー77を中間位置とする場合にも、開口部75の後端部は上カバー77の後端部77bによって覆われることとなる。
また、図8及び図9に示す如く、該上カバー77の後端部77bの上面は、後縁部に向けて次第に低位となる傾斜状に形成されている。これにより、上カバー77に降りかかる雨水は後端部77bから旋回台11の後方に向けても排水されることとなる。また、少なくとも上カバー77を中間位置とするまでは、該上カバー77の後端部77bは開口部75よりも後方に位置する状態に保たれるため、上カバー77の開き動作に伴って該上カバー77上の雨水や泥土が収容空間34内に進入する虞はない。また、該上カバー77を中間位置に支持している状態で上カバー77に雨水が降りかかる場合にも、該雨水の殆どは上カバー77を伝って該上カバー77の後端部77bから旋回台11の後方に排出されることとなる。
本実施の形態によれば、リンク機構80を介して上カバー77が上下方向に平行移動することにより、上カバー77の閉じ位置の上方に上カバー77の開き位置が設けられることとなる。これによって、上カバー77は収容空間34の上方の空間を閉じ位置と開き位置との間で上下動することとなる。
したがって、上カバー77は開き位置とした場合にも旋回台11の外側方や前方から大きく突出することはなく、旋回半径以内に位置し、旋回台11の周囲に余裕のない狭小なスペースであっても該上カバー77を閉じ位置から開き位置に設定することが可能となる。
また、上カバー77は、裏面を収容空間34に対向させた状態で開閉されるため、該上カバー77の開閉に伴って上カバー77上に堆積している泥土等が支持部31や該上カバー77を開閉する作業者に向けて落下する虞はない。
また、該上カバー77は閉じ位置から開き位置とすることにより前下り姿勢から前上がり姿勢に設定される。ここで、開口部75は前下り状に形成されており、これによって、開き位置とした上カバー77は収容空間34の上方に位置すると云えども、該上カバー77の前端部と開口部75の前端部の間隔は該収容空間34内の整備点検を行うに十分なものとなるのである。また、上カバー77は、支持機構85によって開き位置と中間位置の2つの開き状態に設定可能であるので、作業者は、整備目的や整備内容に応じて適宜上カバー77の開き状態を変更することができる。
また、作業者は、支持機構85のアーム86を把持して該アーム86を上下動させることにより上カバー77を上下動させて開口部75を開閉することができ、上カバー77を開閉するために下部走行体3上に移動して上カバー77自体を把持して上下動させる必要はなく、上カバー77の開閉も簡易なものとなっている。
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、リンク機構80の両リンク部材81、82の長さや枢軸間の間隔を調整することにより、上カバー77を開き姿勢とした場合にも該上カバー77を前下り姿勢に設定することも可能である。また、リンク機構80は、閉じ位置の上カバー77を開き位置とする開閉動作に伴って該上カバー77を前下がり姿勢から前下り姿勢に設定することができるものであれば、両リンク部材81、82の第1枢軸間81a、82aの間隔Laと第2枢軸間81b、82bの間隔Lbを同一とする構成や両リンク部材81、82の長さを同一とする構成等を採用することも可能である。
また、支持機構85によって上カバー77を複数の中間位置に設定する構成を採用することも可能である。さらには、上カバー77を開き位置とする場合にも、該上カバー77によって開口部75の後端部を覆うことが可能な形状に上カバー77の後端部77bを形成することも可能である。また、側カバー76は、収容空間34の左右両側及び前部を覆う一体のカバー部材によって構成することも可能である。
リンク機構とその周囲を示す右側面図である。 両てこ機構の動きを示す線図である。 旋回フレーム、上カバー等を示す右側面図である。 旋回台の右側を示す平面図である。 旋回フレームの平面図である。 旋回台の右側面図である。 旋回台の正面図である。 閉じ位置の上カバーを示す斜視図である。 旋回台の右側を示す背面図である。 旋回作業機の右側面図である。
符号の説明
1 旋回作業機
2 上部旋回体
3 下部走行体
11 旋回台
12 作業装置
14 ブーム
17 ブームシリンダ
30 旋回フレーム
31 支持部
32 操縦部
33 エンジンルーム
34 収容空間
47 オイルタンク
48 燃料タンク
49 バッテリ
50 バッテリ収容部
70 ボンネット
73 サイドボンネット
75 開口部
76 側カバー
77 上カバー
78 外カバー部材
80 リンク機構
81 前リンク部材
82 後リンク部材
85 支持機構

Claims (5)

  1. 旋回台(11)の左右一側に、複数の車輌機器を収容する収容空間(34)と、該収容空間(34)を覆うボンネット(70)とが設けられ、該ボンネット(70)には、収容空間(34)を側方より覆って該収容空間(34)の上方に開口部(75)を形成する側カバー(76)と、該開口部(75)を開閉自在に支持された上カバー(77)とが備えられ、
    さらに、前記上カバー(77)と側カバー(76)の間には、前記上カバー(77)を開口部(75)を閉塞する閉じ位置と該閉じ位置の上方に位置して該開口部(75)を開放する開き位置との間で上下動自在に移動可能なリンク機構(80)と、前記上カバー(77)を開き位置に支持し且つ開き位置と閉じ位置との間にて前上がり姿勢とした中間位置に支持する支持機構(85)とが備えられていることを特徴とする旋回作業機。
  2. 前記開き位置に設定された上カバー(77)は、裏面を開口部(75)に対向させた状態で旋回台(11)の旋回半径内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の旋回作業機。
  3. 前記リンク機構(80)は、閉じ位置の上カバー(77)を前下り姿勢に設定すると共に、開き位置の上カバー(77)を前上がり姿勢に設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の旋回作業機。
  4. 前記リンク機構(80)は上カバー(77)の後部側に配備され、後リンク部材(82)と、該後リンク部材(82)よりも長尺な前リンク部材(81)とからなる前後一対のリンク部材(81、82)を備えてなる4節リンク機構であり、各リンク部材(81、82)は、上端部が第1枢軸(81a、82a)を介して上カバー(77)に枢支されると共に下端部が第2枢軸(81b、82b)を介して側カバー(76)に枢支され、第1枢軸(81a、82a)間の間隔(La)は第2枢軸(81b、82b)間の間隔(Lb)よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の旋回作業機。
  5. 前記上カバー(77)の後端部(77b)は、上カバー(77)を閉じ位置に設定した状態で開口部(75)の後端部よりも旋回台(11)後方に向けて延設されており、該後端部(77b)は、上カバー(77)を中間位置に設定した状態で少なくとも開口部(75)の後端よりも旋回台(11)後方に突出して該開口部(75)の後端を覆う位置まで延設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の旋回作業機。
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