JP3672842B2 - 変成器用の巻鉄心 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、強電用の変圧器、変流器(CT:Current transformer)、計器用変圧器(PT:Potential transformer)、弱電用の変成器等の変成器(トランス)に関するものであり、特に、変成器用の巻鉄心に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の変圧器としては、例えば、本出願人に係る特開平5−226168号において、図27及び図28に示すような変成器が開示されている。この変成器では、導線を所要回数巻いて環状に形成した巻線2の外周2aを絶縁テープ、絶縁シート等の絶縁部材(図示せず。)により被覆すると共に、この巻線2に電磁鋼板を所要回数巻回して巻鉄心3,3を設けている。なお、図中、4はスペーサ、5は磁気分路鉄心である。
【0003】
上記巻線2は、ベークライト等からなる分割型の巻型(図示せず。)に導線を所要回数巻き上げた後、この巻型を除去し、絶縁部材で被覆することにより製作される。
【0004】
また、上記巻鉄心3は図29(A)〜(D)に示す工程により形成される。まず、長尺な帯状の電磁鋼板8をその内径が巻線2の外径と同一寸法となるように巻回したもの(鋼板コイル7)を焼鈍した後、図29(A)に示すように、上記巻線2の鉄心巻込部2b,2bの間に、電磁鋼板8の鋼板コイル7の外周側の端部(尾端部8a)を通過させる。次に、図29(B)に示すように、上記電磁鋼板8の尾端部8aを鋼板コイル7の外周に仮止めして、鋼板コイル7よりも大径な電磁鋼板8の輪(大円9)を形成する。さらに、鋼板コイル7をローラ11,12で駆動して回転させ、矢印Aに示すように大円9に電磁鋼板8を送り込む。鋼板コイル7を回転させ続けると、図29(C)に示すように、鋼板コイル7を構成していた電磁鋼板8が全て大円9に送られる。電磁鋼板8は弾性を有するため、大円9には縮径しようとする力Bが作用している。よって、ローラ11を大円9から抜き出すと共に、上記した仮止めを解除すると、図29(D)に示すように、大円9が縮径して巻線2の鉄心巻込部2b,2bを締め付け、巻鉄心3が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の変成器には下記のような問題がある。巻鉄心を備える変成器では、図30に示すように、巻線2を構成する導線10を、各層の導線10が隣接する導線10と密接すると共に、上層の導線10,10・・・が下層の導線10,10・・・と導線10の半径r分だけずれた位置となるような巻き方(整列巻)で巻線2を形成して、導線10相互間の空気層をできるだけ少なくし、かつ、巻線2の外周2aを巻鉄心3と密着させれば、導線10に電流が流れることにより発生する熱(抵抗損)が巻鉄心3を介して効率よく放熱される。従って、巻線2を整列巻とし、かつ、巻線2の外周2aと巻鉄心3を密着させることが、巻線2の温度上昇を低減する上で好ましい。しかし、上記のように分割型の巻型を用いて巻線2を製作した場合、いったん巻型を除去してしまうと巻線2は形崩れしやすく、導線10を上記図30に示すような整列巻で密に巻いた状態のままで維持するのは困難である。また、上記のように巻線2は形崩れしやすいため、巻線2の断面形状を巻鉄心3の内径と一致した状態で維持するのは困難であり、巻線2の外周2aを巻鉄心3と密着させた状態で維持することができない。そのため、上記従来の変成器では、巻線2の発熱による温度上昇を有効に低減することができず小型化が困難であった。
【0006】
また、巻線2と巻鉄心3の絶縁性が失われると変成器として使用できないが、上記のように巻線2を絶縁部材で被覆した構造では、上記図29(C)で示す巻鉄心3を巻線2に巻回する工程の際に巻線2の外周2aと鋼板コイル7が接触したり、上記図29(D)で示す大円9を縮径させる工程の際に、大円9の内周側に位置する電磁鋼板8の端部(先端部8b)が巻線2の外周と接触することがあるため、絶縁部材が損傷して上記巻線2と巻鉄心3との絶縁性が損なわれるおそれがあった。
【0007】
さらに、上記のように巻線2の断面形状を巻鉄心3の内径と一致させるのは困難であるため、上記鋼板コイル7の内径と、鉄心巻込部2b,2bに巻き終えた状態での巻鉄心3の内径とが異なる場合がある。この場合、巻鉄心3を構成する電磁鋼板8に歪みが残留することになり、この歪みが電磁鋼板8の磁気特性が低下する原因となっていた。
【0008】
これに対して、実開昭54−177512号や特開平2−165610号には、導線を巻き付けると共に、巻鉄心を形成するためのコイルボビンが開示されている。
【0009】
上記実開昭54−177512号には、図31(A),(B)に示すように、それぞれ外周に導線10を巻き上げて巻線16A,16Bを形成するための溝17a,18aを設けた外枠17、内枠18からなるコイルボビン19が開示されている。
【0010】
また、上記特開平2−165610号に開示された変成器は、図32(A),(B)に示すように、一次用わく21と二次用わく22からなる第1ボビン23と、この第1ボビン23を取り囲む第2ボビン24とを備え、一次用わく21及び二次用わく22に設けた溝21a,22aに導線10を所定回数巻き付けて巻線25A,25Bを形成している。また、第2ボビン24の外周には、巻鉄心26を設けている。
【0011】
上記のようにコイルボビンに巻線を形成する場合、コイルボビンの外径を巻鉄心の内径と一致させておけば、巻線と巻鉄心を密着させることができる。また、コイルボビンを使用すれば、巻線に巻鉄心を巻回する際に、巻線と電磁鋼板が接触することがないため、巻線の損傷を防止することができる。しかし、コイルボビンを使用した場合にも、以下のような問題がある。
【0012】
まず、上記従来のコイルボビンでは、溝17a,18a,21a,22aの断面形状が半円形であるため、導線10を整列巻で密に巻き上げるのは困難であり、巻線16A,16B,25A,25Bは、導線10相互間の隙間に多数の空気層が形成された、いわゆる乱巻の状態となる。そのため、導線10で発生した熱を効率よく放熱することができず、巻線の温度上昇を有効に低減することができない。特に、図31(A)の外枠17、図32(B)の一次用わく21及び二次用わく22は、開口の幅Wが溝17a,21a,22aの内部の幅よりも狭くなっているため、導線10を整列巻で巻き上げるのは極めて困難である。
【0013】
また、上記従来のコイルボビンは、巻鉄心を巻回する部分の外周の断面形状が円形であるため、巻鉄心を形成する際、巻鉄心を構成する電磁鋼板8とコイルボビンとの間の摩擦が大きく、上記図29(B),(C)に示した大円9の径を大きく設定しないと円滑に電磁鋼板8をコイルボビンに巻回するのが困難である。しかし、この大円9の半径を大きく設定すると、鋼板コイル7と大円9の寸法差が大きくなるため、電磁鋼板8が弾性限度を越えて変形する部分が多くなり、巻鉄心の磁気特性が低下する。
【0014】
本発明は、巻線へ巻鉄心を巻回する際の巻線の損傷及び電磁鋼板の歪みの発生を防止することを目的としてなされたものである。また、本発明は巻線と巻鉄心との絶縁性や、巻線相互間の絶縁性を向上することを目的としてなされたものである。さらに、本発明は、巻鉄心を巻線に巻回する作業の作業性を向上することを目的としてなされたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、所要回数円筒状に巻回された電磁鋼板が焼鈍されてなる変成器用の巻鉄心であって、上記電磁鋼板の内周側の端部に、電磁鋼板を厚さ方向に突出させてなり、この巻鉄心が巻回されるコイルボビンに設けた係止用切込に係止される係止部を設け、かつこの係止部が設けられた巻鉄心の内周側の端部は最先端に向けて狭幅となる三角形状であることを特徴とする変成器用の巻鉄心を提供するものである。上記係止部は、電磁鋼板の先端部を折り曲げたり、折り返すことにより形成され、あるいは電磁鋼板の先端部にポンチ加工を施して形成した突出部であってもよい
【0016】
本発明の巻鉄心では、内周側の端部に係止部を設けているため、コイルボビンの鉄心巻込部に巻鉄心を巻回した後に、巻鉄心を回転させると、係止部がコイルボビンに形成された係止用切込に係止され、巻鉄心の鉄心巻込部に対する回転が阻止され、巻鉄心は鉄心巻込部に密着した状態で維持される。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、図面に示す実施形態に基づいて本発明について説明する。
第1参考例から第4参考例について説明する、これらは巻鉄心が係止部を備えていない点を除いて後述する本発明の実施形態と同様である。
図1から図5は、本発明の第1参考例に係る変成器30を示している。この変成器30は、樹脂製のコイルボビン31に導線10を巻き付けて巻線34A,34Bを設けると共に、このコイルボビン31に一対の巻鉄心35A,35Bを巻回している。
【0018】
上記コイルボビン31は、図6及び図7に示すように、矩形枠状の外枠37と、同様に矩形枠状であって外枠37より小型の内枠38とを備え、外枠37に内枠38を一体に組付ける構造である。
【0019】
上記外枠37は、互いに平行な一対の鉄心巻込部37a,37aと、この鉄心巻込部37a,37aを所要間隔を隔てて連結する互いに平行な一対の連結部37b,37bとを備えている。
【0020】
鉄心巻込部37a,37a及び連結部37b,37bはそれぞれ直線状であり、外枠37の中央には内枠38を組付けるための組付孔37cが形成されている。また、外枠37の外周全体に、巻線34Aを形成するための第1の凹状溝40を設けている。
【0021】
図8に示すように、この第1の凹状溝40の開口40aと対向する底壁40bは、内周面40cを平坦面としている。また、凹状溝40の両側に位置する側壁40d,40dの内周面40eを平坦面としている。底壁40bの内周面40cと側壁40d,40dの内周面40eはほぼ直交して接続しており、凹状溝40の断面形状は、底壁40b側から開口40a側まで、幅W1が一定の矩形状である。
【0022】
上記鉄心巻込部37aでは、上記凹状溝40の両側部分の外周、すなわち側壁40d,40dの外周面40fを断面円弧状の曲面としており、この曲面の曲率半径を巻鉄心35A,35Bの内径と等しく設定している。
【0023】
上記外枠37の一方の面37d側では、鉄心巻込部37aの組付孔37c側の縁部に、内枠38と係合するための断面L字状の切込溝43を設けている。また、上記外枠の他方の面37e側には、鉄心巻込部37aの組付孔37c側の縁部に、内枠38と係合するための突条44を設けている。
【0024】
さらに、外枠37の一対の連結部37b,37bのうちの一方の連結部37bには、上記凹状溝40の一方側の側部40dを切り欠いて電線引き出し部42を設けている。
【0025】
一方、上記内枠38は、互いに平行な一対の鉄心巻込部38a,38aと、この鉄心巻込部38a,38aを所要間隔を隔てて連結する互いに平行な一対の連結部38b,38bとを備えており、鉄心巻込部38a,38aと連結部38b,38bはともに直線状であって、上記外枠37と同様に全体として矩形枠状を呈している。また、内枠38の外周全体には巻線34Bを形成するための第2の凹状溝45を設けている。
【0026】
図9に示すように、この第2の凹状溝45は、開口45aと対向する底壁45bの内周面45cを平坦面としている。また、凹状溝45の側壁45d,45dの内周面は、底壁45bの内周面45cとほぼ120°の角度をなして接続する第1の内周面45eと、底壁45bの内周面45cに対して直交する(第1の内周面45eに対してほぼ120°の角度をなして接続する)第2の内周面45fとを備えている。そのため、この第2の凹状溝45の断面形状は、一方が開いた六角形状(船底状)を呈している。第2の内周面45f,45fの間隔(開口45a側での凹状溝45の幅)は、上記外枠37の凹状溝40の開口40a側の幅W1と等しく設定しており、底壁45b側での凹状溝45の幅W2より広い。
【0027】
上記鉄心巻込部38aは、上記凹状溝45の両側の外周、すなわち側壁45d,45dの外周面45gを断面円弧状の曲線としていおり、この曲面の曲率半径を巻鉄心34A,34Bの内径と等しく設定している。また、上記鉄心巻込部38aでは、上記底壁45b側の外周面45hを平坦面としている。
【0028】
内枠38の一方の面38d側には、鉄心巻込部38aの外側の縁部に断面L字状の切込溝49を設けている。また、内枠38の他方の面38e側では、鉄心巻込部38aの外側の縁部に突条50を設けている。
【0029】
上記外枠37と同様に、内枠38の連結部38b,38bのうち一方の連結部38bでは、上記凹状溝45の一方側の側部45dを切り欠いて電線引き出し部52を設けている。
【0030】
上記図7に示すように、内枠38の一方の面38d側と外枠37の一方の面37d側を対向させて内枠38を外枠37の組付孔37cに挿入すると、外枠37の切込溝43と内枠38の突条50が係合すると共に、外枠37の突条44と内枠38の切込溝49が係合し、内枠38は外枠37に一体に組付けられる。
【0031】
この外枠37に内枠38を組付けた状態では、図6に示すように、外枠37及び内枠38の凹状溝40,45の両側の外周面40e,45gが連続し、巻鉄心34A,34Bの所望の内径と等しい曲率半径を有する一つの曲面を形成する。
【0032】
また、上記外枠37と内枠38を組付けた状態では、上記のように外枠37の凹状溝40の幅W1と内枠38の凹状溝45の開口45a側の幅W1を等しく設定しているため、図5に示すように、外枠37の凹状溝40と内枠38の凹状溝45の断面は船底状を呈している。
【0033】
上記外枠37、内枠38の鉄心巻込部37a,38a及び凹状溝40,45の寸法及び形状は、以下のようにして設定している。図10において、巻鉄心35A,35Bの所望の内径と同一径の円c1よりも強度及び絶縁性確保のための最低限の肉厚tに相当する分だけ小径の円c2を設定する。また、この円c2に内接する正六角形a1,a2,a3,a4,a5,a6を設定する。次に、強度を考慮した凹状溝40,45の側壁40d,45dの厚さDに対応する分だけ円c1の両端から内側の位置に、平行な直線L1,L2を設定し、この直線L1,L2と上記正六角形a1〜a6との交点をb1,b2,b3,b4、直線L1,L2と円c2との交点をd1,d2,d3,d4とする。さらに、a1とa4を結ぶ直線と上記直線L1,L2との交点をe1,e2とする。
【0034】
このとき、六角形d1,b3,,e1,b1,a6,a5,b2,e2,b4,d2が凹状溝40と凹状溝45が構成する断面の形状であり、矩形d1,b3,e1,e2,b4,d2が第1の凹状溝40の断面形状に対応し、六角形e1,b1,a6,a5,b2,e2が第2の凹状溝45の断面形状に対応する。
【0035】
第1参考例では、凹状溝40,45の断面形状をこのようにして設定しているため、凹状溝40,45の面積は、巻鉄心35A,35Bの内周側で広い面積を占める一方、コイルボビン31に要求される強度と絶縁性も確保されている。
【0036】
また、第1参考例では、鉄心巻込部37a,38aの外形を図10中d1,f1,g1,g2,f2,d2に対応する形状に設定している。上記したように円c1は、巻鉄心35A,35Bの内径と同一径であるため、鉄心巻込部37a,38aの外形を上記のように設定することにより、巻鉄心35A,35Bの内周と鉄心巻込部37a,38aの外周を密着させることができる。
【0037】
上記コイルボビン31の外枠37及び内枠38の凹状溝40,45にはそれぞれ導線10を巻き付けて巻線34A,34Bを形成している。各巻線34A,34Bには引き出し用の電線55を接続しており、これらの電線55の先端には圧接端子56を設けている。上記凹状溝40,45に設けた巻線34A,34Bの外周は絶縁部材57(図1にのみ図示する。)により被覆している。また、鉄心巻込部37a,38aには、電磁鋼板8を巻回して巻鉄心35A,35Bを形成している。
【0038】
上記コイルボビン31、巻線34A,34B及び巻鉄心35A,35Bはフレーム60に固定している。このフレーム60は、一対の切起部61a,61aを設けた基板61とコ字状の組付部材62からなる。この組付部材62は、巻鉄心35A,35Bの外周に接触する長尺な接触部62aと、この接触部62aの両端に設けた取付部62b,62bとを備えている。コイルボビン31、巻線34A,34B及び巻鉄心35A,35Bは、ねじ63a,63bにより、上記組付部材62の取付部62b,62bを切起部61a,61aにねじ止めすることにより、基板61に固定されている。なお、フレームは60は、この構造に限定されるものではなく、例えば、上記圧接端子56を固定するためのターミナル部等をフレーム60に設けてもよい。
【0039】
この第1参考例の変成器では、上記のようにコイルボビン31の外枠37の凹状溝40の断面形状を矩形とし、コイルボビン31の内枠38の凹状溝45を船底状としているため、巻線34A,34Bを構成する導線10を上記図30に示した整列巻で密に巻き上げることができる。また、第1参考例では、上記凹状溝40,45の開口40a,45a側の幅W1を底壁40b,45b側の幅W1,W2以上に設定しているため、巻線34A,34Bを構成する導線10を容易に整列巻で巻き上げることができる。さらに、第1参考例では、鉄心巻込部37a,38aの凹状溝40,45の側壁40d,45dの外周面40f,45gを巻鉄心35A,35Bの内径と曲率半径が等しい曲面としているため、巻鉄心35A,35Bとコイルボビン31が密着している。そのため、巻線34A,34Bを構成する導線10が発生する熱は、コイルボビン31及び巻鉄心35A,35Bを介して効率よく放熱され、放熱性に優れている。
【0040】
さらに、第1参考例では、コイルボビン31は上記のように別体の外枠37と内枠38からなり、それぞれに巻線34A,34Bを設けているため、巻線34Aと巻線34Bの間の絶縁性が高い。
【0041】
次に、上記変成器を製造方法について説明する。まず、外枠37及び内枠38の凹状溝40,45に導線10を所要回数巻き付けて巻線34A,34Bを形成する。この際、上記のように外枠37、内枠38の鉄心巻込部37a,38a及び連結部37b,38bはそれぞれ直線状であり、かつ、凹状溝40,45を上記のような断面形状としているため、導線10を整列巻で容易に巻き付けることができる。次に、巻線34A,34Bの外周を絶縁部材57で被覆した後、外枠37に内枠38を組付ける。
【0042】
次に、上記図29に示す方法により、コイルボビン31の鉄心巻込部37a,38aに電磁鋼板8を巻回して巻鉄心35A,35Bを形成する。このとき、上記したように内枠38の鉄心巻込部38aは、凹状溝45の底壁45bの外周面45hを平坦面としているため、電磁鋼板8とコイルボビン31との間の摩擦が低減される。よって、第1参考例では、図29中の大円9の径を小さく設定することができ、鋼板コイル7の電磁鋼板8を大きく歪ませることなくコイルボビン37a,38aに巻回することができるため、良好な磁気特性を有する巻鉄心35A,35Bを形成することができる。
【0043】
また、上記のように巻線34A,34Bはコイルボビン31の外枠37、内枠38に設けた凹状溝40,45に形成しているため、巻鉄心35A,35Bの巻回時に、巻線34A,34Bが鋼板コイル7と接触することがなく、巻線34A,34Bの外周を覆う絶縁部材57が損傷することがないため、巻線34A,34Bと巻鉄心35A,35Bとの絶縁性が低下することがない。
【0044】
さらに、上記のようにコイルボビン31の外枠37、内枠38は、鉄心巻込部37a,38aの部分で、凹状溝40,45の側壁40d,45dの外周面40f,45gを、巻鉄心35A,35Bの内径と等しい曲率半径を有する曲面としているため、鋼板コイル7から巻鉄心35A,35Bとしてコイルボビン31に巻き上げられた電磁鋼板8には歪みが残留しておらず巻鉄心35A,35Bを構成する電磁鋼板8は良好な磁気特性を有する。上記巻鉄心35A,35Bの形成後、巻線34A,34B及び巻鉄心35A,35Bをワニスに含浸し、その後フレーム60に組付ける。
【0045】
図11に示す本発明の第2参考例では、コイルボビン31の内枠38の凹状溝45の断面形状を矩形としている。そのため、コイルボビン31の外枠37と内枠38を組付けた状態では、凹状溝40,45の断面は矩形状を呈している。第2参考例のその他の構造は、上記した第1参考例と同一である。
【0046】
この第2参考例では、外枠37及び内枠38の鉄心巻込部37a,38aの断面形状及び外枠37と内枠38の凹状溝40,45の形状を以下のように設定している。すなわち、上記した図10に示す最低減の肉厚tを考慮した円c2と、凹状溝40,45の側壁40d,45dの厚さDの分だけ円c1の内側に位置する直線L1,L2との交点をd1,d2,d3,d4とすると、凹状溝40,45の断面形状をこの点d1〜d4を結んだ矩形状としている。
【0047】
このように第2参考例においても、凹状溝40,45の形状を巻鉄心35A,35B内にできる限り広い面積に導線10を整列巻で密に巻き上げらされるようにしている。また、鉄心巻込部37a,38aの凹状溝40,45の両側壁40d,45dの外周面40f,45gを巻鉄心35A,35Bの内径と等しい曲率半径の曲面としているため、巻鉄心35A,35Bとコイルボビン31の外周が密着している。そのため、導線10が発生する熱は、コイルボビン31及び巻鉄心35A,35Bを介して効率よく放熱され、小型の場合にも良好な特性を得ることができる。また、コイルボビン31に巻回された電磁鋼板89には歪みが生じておらず、巻鉄心35A,35Bは良好な磁気特性を有する。
【0048】
さらに、第2参考例では、内枠38の鉄心巻込部38aは、凹状溝45の底壁45bの外周面45hを平坦面としているため、電磁鋼板8とコイルボビン31の摩擦が低減され、巻鉄心35A,35Bの形成時の電磁鋼板8の変形を低減して良好な磁気特性を有する巻鉄心35A,35Bを得ることができる。
【0049】
さらにまた、第2参考例では、巻鉄心35A,35Bの形成時に巻線34A,34Bが鋼板コイル7と接触することにより巻線34A,34Bと巻鉄心35A,35Bの絶縁性が低下するのを防止することができる。
【0050】
図12及び図13(A),(B)は本発明の第3参考例を示している。上記した第1参考例及び第2参考例では、コイルボビン31は外枠37に内枠38を組付けてなる、いわゆるダブルボビンであるが、この第3参考例ではコイルボビン31は一つの枠状体からなるいわゆるシングルボビンである。
【0051】
すなわち、この第3参考例では、コイルボビン31は、互いに平行な一対の直線状の鉄心巻込部31a,31aと、この鉄心巻込部31a,31aを所要間隔を隔てて連結する互いに平行な一対の直線状の連結部31b,31bとを備え、外周全体に凹状溝65を設けている。この凹状溝65の断面形状は上記第1参考例と同様に、巻鉄心の内径側のできる限り広い面積に導線10を整列巻で密に巻き上げられるような船底状としている。すなわち、凹状溝65の開口65aと対向する底壁65bの内周面65cを平坦面とし、側壁65d,65dの内周面を底壁65bの内周面65cと120°の角度をなして連続する第1の内周面65eと、この第1の内周面65eと120°の角度をなして連続する第2の内周面65fにより構成している。また、上記側壁65dの外周面65gを巻鉄心35A,35Bの内径と等しい曲率半径の曲面とするとともに、凹状溝65の底壁65cの外周面65hを平坦面としている。なお、図12及び図13(A),(B)では、フレーム60、巻線34A,34B及び巻鉄心35A,35Bを図示していないが、第3参考例のその他の構造は、第1参考例と同一である。
【0052】
この第3参考例も上記第1参考例及び第2参考例と同様に、凹状溝65の断面形状を船底状としているため、導線10を整列巻で密に巻き上げることができる。また、鉄心巻込部31aの凹状溝65の側壁65dの外周面65gの曲率半径が巻鉄心35A,35Bの内径と等しいため、巻鉄心35A,35とコイルボビン31の外周が密着する。よって、巻線34A,34Bの発生する熱は、コイルボビン31及び巻鉄心35A,35Bを介して放熱される。また、コイルボビン31に巻回された電磁鋼板8には歪みが生じておらず、巻鉄心35A,35Bは良好な磁気特性を有する。
【0053】
さらに、第3参考例においても、凹状溝65の底壁65bの外周面65hを平坦面としているため、巻鉄心35A,35Bの形成時の電磁鋼板8とコイルボビン31の摩擦が低減され、巻鉄心35A,35Bを構成する電磁鋼板8に歪みを残留させることなく巻回することができる。
【0054】
さらにまた、第3参考例においても、巻鉄心35A,35Bの形成時に巻線34A,34Bが鋼板コイル7と接触することにより巻線34A,34Bと巻鉄心35A,35Bの絶縁性が低下するのを防止することができる。
【0055】
図14及び図15(A),(B)は本発明の第4参考例を示している。この第4参考例のコイルボビン31も、上記第3参考例と同様のシングルボビンであるが、凹状溝65の断面形状を矩形状としている。この凹状溝65の断面形状は上記第2参考例と同様に、巻鉄心35A,35Bの内径側のできる限り広い面積で導線10を整列巻で密に巻き上げられように設定している。第4参考例のその他の構造及び作用は第3参考例と同一である。
【0056】
次に、図16から図18に示す、本発明の実施形態について説明する。
この実施形態に係るコイルボビン31は、第1参考例と同様の外枠37及び内枠38の断面形状を第1参考例とは異ならせると共に、外枠37及び内枠38の鉄心巻込部37a,38aに、巻鉄心35A,35Bを構成する電磁鋼板8の先端部8bを係止するための係止用切込70,71を設けている。
【0057】
図17及び図18に示すように、外枠37は、断面船底状の凹状溝40の側壁40d,40dのうち、一方の側壁40dを薄肉とし、その外周面40hを平坦面としている。また、この平坦な外周面40hに断面矩形状であって長手方向に延在する互いに平行な一対の突状73A,73Bを突設している。一方、外枠37の凹状溝40の他方の側壁40dは、第1参考例と同様に、外周面40iを巻線35A,35Bの内径と同一の曲率半径を有する断面円弧状の曲面としている。また、この側壁40dから底壁40b側に突出し、内枠38の側壁45dの外側に位置するように被覆部40jを設けている。この被覆部40jの外周面40kは、側壁40dの外周面40iと連続する巻鉄心35A,35Bの内径と同一の曲率半径を有する断面円弧状の曲面としている。一方、被覆部40jの内周面は、後述する内枠38の側壁45dの外周面と一致するように、所要角度で連結された第1の平坦面40l、第2の平坦面40m及び第3の平坦面40nを備えており、断面形状が折れ線状である。上記第1の平坦面40lには、断面矩形状であって長手方向に延在する長溝75を設けている。
【0058】
上記内枠38は、断面船底状の凹状溝45の側壁45d,45dのうち、一方の側壁45dを薄厚としており、この側壁45dの外周面を第1の平坦面45i、第2の平坦面45j及び第3の平坦面45kを所定角度で連続して設け、断面形状を折れ線状としている。これら第1の平坦面45i、第2の平坦面45j及び第3の平坦面45kは、上記外枠37の被覆部40jの内周面を構成する第1の平坦面40l、第2の平坦面40m及び第3の平坦面40nと互いに密接し、外枠37の被覆部40jと内枠38の側壁45dが一体に組み合わせられるようにしている。また、上記側壁45dの第1の平坦面45iには、断面矩形状で長手方向に延在する突条76を設けており、この突条76が上記外枠37の第1の平坦面40lに設けた長溝75に嵌まり込むことにより、外枠37と内枠38が組付状態で保持されるようにしている。
【0059】
一方、上記内枠38の凹状溝45の他方の側壁45dは、上記第1参考例の場合と同様に、外周面45lを巻鉄心35A,35Bの内径と同一の曲率半径を有する断面円弧状の曲面としている。また、この側壁45dから開口45a側に突出し、上記外枠37の側壁40dの外側に位置する被覆部45mを設けている。この被覆部45mは、外周面45nを側壁45dの外周面45lと連続する巻鉄心35A,35Bと同一の曲率半径を有する断面円弧状の曲面とする一方、内周面45pを平坦面としている。また、この内周面45pには、断面矩形状であって、上記外枠37の側壁45dの平坦な外周面40hに設けた突条73A,73Bを嵌合する、長手方向に延在する互いに平行な一対の長溝78A,78Bを設けている。
【0060】
本実施形態では、外枠37及び内枠38の鉄心巻込部37a,38aの断面形状を上記のように形成しているため、内枠38の凹状溝45に巻き付けた導線10と巻鉄心35A,35Bを構成する電磁鋼板8との間の絶縁性が向上する。
すなわち、本実施形態では、外枠37の一方の側壁40dと内枠38の被覆部45mが接合した部分では、内枠38の凹状溝45の巻線34Bを構成する導線10のうち最も開口45a側に位置する導線10−1から巻鉄心35Aの内周面まで、外枠37と内枠38の接合面sが連続しているが、この接合面sの断面形状は、点s1〜点s11で示される折れ線状である。同様に、外枠37の被覆部40jと内枠38の一方の側壁45dが接合する部分では、内枠38の凹状溝45に巻き付けた導線10のうち最も開口45a側に位置する電線10−2から巻鉄心35Aの内周面まで、外枠37と内枠38の接合面s’が連続しているが、この接合面s’の断面形状は、点s1’〜点s9’で示される折れ線状である。
【0061】
内枠38の凹状溝45に設けた巻線34Bの外周を絶縁部材で被覆しない場合、巻線34Bと巻鉄心35Aとの間は、上記接合面s,s’に形成される微小な隙間を介して連通しており、この微小な隙間に水分、塵等が侵入すると、巻線34A,34Bと巻鉄心35A,35Bとの間の絶縁性が低下し、変成器は所望の性能を発揮することができなくなるため、外枠37と内枠38の接合面s,s’の断面が構成する径路(断面径路)が長い程、巻線34Bと巻鉄心35Aとの間の絶縁性は高くなる。本実施形態では、上記のように接合面s,s’の断面径路を折れ線状としているため、外枠37、内枠38の外形や、凹状溝40,45の側壁40d,45dの厚さの割に、断面径路の長さが長くなる。よって、本実施形態では、絶縁部材で巻線34A,34Bを被覆しない場合であっても、巻線34A,34Bと巻鉄心35A,35Bとの絶縁性が高い。
【0062】
変成器の規格の一つに、巻鉄心を構成する導線(活動部)から巻鉄心を構成する電磁鋼板までの間の、樹脂等の絶縁部材が存在せず、空気のみが存在する距離で定義される沿面距離がある。一般に変成器ではこの沿面距離が所定値以上あることが要求されるが、本実施形態では、上記のように外枠37と内枠38の接合面s,s’の断面径路を折れ線状としているため、外枠37及び内枠38の寸法が小さい場合にも、この沿面距離を十分に確保することができる。
【0063】
上記外枠37の鉄心巻込部37aの被覆部40jを設けたほうの側壁40dの外周面40iに、長手方向に延在する断面V字状の係止用切込70を設けている。この係止用切込70は、鉄心巻込部37aに巻回する巻鉄心35A,35Bの巻回方向(図中矢印Rで示す。)側をほぼ鉄心巻込部37aの中心方向(鉄心巻込部37aの表面に対して垂直な方向)を向いた平坦面からなる係止面70aとしている。また、係止用切込70には、この係止面70aと所要角度で連続する平坦な傾斜面70bを設けている。
【0064】
一方、上記内枠38の鉄心巻込部38aの被覆部45mを設けたほうの側壁45dの外周面45lにも、長手方向に延在する断面V字状の係止用切込71を設けている。この係止用切込71は、上記外枠37に設けた鉄心巻込部37aに設けた係止用切込70と、外枠37及び内枠38の鉄心巻込部37a,38aの断面中心に対して180°対称な位置に設けている。この内枠38に設けた係止用切込71は、ほぼ鉄心巻込部38aの中心方向を向いた係止面71aと、この係止面71aと所定角度で連続する平坦な傾斜面71bとを備えているが、係止面71aと傾斜面71bの位置を、上記外枠37に設けた係止用切込70と逆に設定しており、巻鉄心35Aの巻回方向R側を傾斜面71bとしている。なお、係止用切込70,71の深さは、1mm程度に設定することが好ましい。
【0065】
また、本実施形態では、図19(A),(B)に示すように、円筒状の巻鉄心34A,35Bを構成する電磁鋼板8の先端部8bを最先端部側に向けて徐々に狭幅となる三角形状とし、かつ、最先端部をほぼ直角に折り曲げて係止部8cを形成している。この係止部8cの厚さgは上記係止用切込70,71の深さよりも小さく設定する。一方、電磁鋼板8の尾端部8aは、最尾端部側に向けて徐々に狭幅となる台形状としている。
【0066】
この電磁鋼板8は、図20(A),(B)に示すように、上記係止部8cを設けた先端部8b側が巻鉄心35A,35Bの内周側に位置し、尾端部8a側が巻鉄心35A,35Bの外周側に位置するように、鋼板コイル7に巻回される。
【0067】
上記図29(A)〜(D)で示した工程を経て、鉄心巻込部37a,38aに電磁鋼板8を巻回すると、図21(A)に示すように、係止部8cは、鉄心巻込部37aの表面に係止部8cが当接した状態となるが、図中矢印Tで示す方向に、巻鉄心35A,35Bを回転させると、係止部8cが係止用切込70に嵌まり込み、この係止部8cと係止用切込70の係合により、巻鉄心35A,35Bの鉄心巻込部37a,38aに対する回転が阻止され、巻鉄心35A,35Bは鉄心巻込部37a,38aに固定される。このように本実施形態では、鉄心巻込部37a,38aに巻回した巻鉄心35A,35Bを回転させるだけで、巻鉄心35A,35Bを鉄心巻込部37a,38aに対して固定することができ、この点で作業効率がよい。また、上記のように係止部8cを係止用切込70に係止させれば、巻鉄心35A,35Bが、鉄心巻込部37a,38aに対して回転することがなく、巻鉄心35A,35Bは鉄心巻込部37a,38aに密着した状態で維持される。
【0068】
なお、係止部71は、巻鉄心35A,35Bを構成する電磁鋼板8を巻回する方向を図示の例と反対向き(矢印Tの方向)とした場合に、電磁鋼板8の係止部8cが係止される。この場合、鉄心巻込部37a,38aに巻鉄心35A,35Bを巻回した後に、矢印Rの方向に巻鉄心35A,35Bを回させれば、係止部8cが係止用切込71に係止される。
【0069】
上記係止部8cの構造は、図19(A),(B)のものに限定されず、電磁鋼板8の先端部8b側で、電磁鋼板8の一部分を厚さ方向に突出させたものであればよい。例えば、図22(A),(B)に示すように、巻鉄心35A,35Bを構成する電磁鋼板8の先端部8bを僅かな長さだけ折返して電磁鋼板8を2枚重ねとし、この2枚重ねの部分からなる係止部8cを、鉄心巻込部37a,38aに設けた係止用切込70,71に係止させる構成としても良い。また、図23(A),(B)に示すように、電磁鋼板8の先端部分にポンチ加工を施して電磁鋼板8の一部分を円形状に突出させ、この突出部分からなる係止部8cを鉄心巻込37a,38aに設けた係止用切込70,71に係止させる構成としてもよい。本実施形態のその他の構成は、上記第1参考例と同様であるので、同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0070】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。まず、上記鉄心巻込部37a,38a,31aの断面形状は、上記実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、外枠37と内枠38を備えるダブルボビンでは、鉄心巻込部37a,38aを図24(A)〜(F)に示すような断面形状としてもよい。図24(A)は、第1参考例と同様に凹状溝40,45の断面形状を船底状としているが、内枠38の凹状溝45の底壁45bの外周面45hを断面円弧状の曲面としている。図24(B)は、第2参考例と同様に凹状溝40,45の断面形状を矩形状としているが、内枠38の凹状溝45の底壁45bの外周面45hを断面円弧状の曲面としている。
【0071】
図24(C)は、内枠38の凹状溝45の断面形状を、底壁45b側から開口45a側に狭幅の第1の矩形状部80aと、この第1の矩形状部80aと連続する広幅の第2の矩形状部80bとを連続して設けた形状としている。一方、外枠37の凹状溝40の断面形状は、内枠38の第2の矩形状部80bと同一幅の矩形状である。図24(D)は、内枠38の凹状溝45の断面形状を底壁45b側から開口45a側に順に広幅となる第1の矩形状部81a、第2の矩形状部81b及び第3の矩形状部81cを設けた形状としている。一方、外枠37の凹状溝40の断面形状は、内枠38の第3の矩形状部81cと同一幅の矩形状としている。図24(E),(F)は、凹状溝40,45の断面形状は上記図24(C),(D)と同一であるが、内枠38の凹状溝45の底壁45bの外周面45hを断面円弧状の曲面としている点が異なる。
【0072】
一方、シングルボビンの場合には、鉄心巻込部31aの断面形状を図25(A)〜(F)に示すように設定してもよい。図25(A)では、第3参考例と同様に凹状溝65の断面形状を船底状としているが、凹状溝65の底壁65bの外周面65hを断面円弧状の曲面としている。図25(B)では、第4参考例と同様に凹状溝65の断面形状を矩形状としているが、凹状溝65の底壁65bの外周面65hを断面円弧状の曲面としている。図25(C)では、凹状溝65の断面形状を、底壁65b側を狭幅の第1の矩形状部82aとし、この第1の矩形状部82aと連続して広幅の第2の矩形状部82bを設けている。図25(D)は、凹状溝65の断面形状を底壁65b側から開口65a側に順に広幅となる第1の矩形状部83a、第2の矩形状部83b及び第3の矩形状部83cを連続して設けた形状としている。図25(E),(F)は、凹状溝65の断面形状は、上記図25(C),(D)と同一であるが、凹状溝65の底部65bの外周面65hを断面円弧状の曲面としている点が異なる。
【0073】
このようにコイルボビン31に設ける凹状溝40,45,65の形状は、種々の変形が可能であり、上記図30に示した整列巻で導線10を巻回することができ、かつ、凹状溝40,45,65の幅が底壁40b,45b,65bから開口40a,45a,65a側まで一定であるか、あるいは、底壁40b,45b,65b側から開口40a,45a,65a側へ向けて、連続的又は段階的に幅広となる形状であればよい。
【0074】
さらに、図26に示すように、第1参考例のコイルボビン31の外枠37に、凹状溝40を幅方向に分割する仕切板部70を形成してもよい。この場合、仕切板部70で仕切られた凹状溝40の両側の部分X1,X2に別個の巻線を巻き上げることができ、これらの巻線間を確実に絶縁することができる。なお、この仕切板70をダブルボビンの内枠38の凹状溝45や、シングルボビンの凹状溝65に設けてもよい。
【0075】
【発明の効果】
本発明の巻鉄心では、内周側の端部に係止部を設けているため、コイルボビンの鉄心巻込部に巻鉄心を巻回した後に巻鉄心を回転させると、係止部がコイルボビンに形成された係止用切込に係止され、巻鉄心の鉄心巻込部に対する回転が阻止され、巻鉄心は鉄心巻込部に密着した状態で維持される。また、上記のように巻鉄心を回転させるだけで、巻鉄心を鉄心巻込部に対して回転不可に固定されるため、巻鉄心を鉄心巻込部に固定する作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1参考例に係る変成器を示す斜視図である。
【図2】 本発明の第1参考例に係る変成器を示す平面図である。
【図3】 本発明の第1参考例に係る変成器を示す側面図である。
【図4】 図2のIV−IV線での断面図である。
【図5】 図2のV−V線での断面図である。
【図6】 第1参考例のコイルボビンを示す斜視図である。
【図7】 第1参考例のコイルボビンを示す分解斜視図である。
【図8】 図7のVIII−VIII線での断面図である。
【図9】 図7のIX−IX線での断面図である。
【図10】 凹状溝及び鉄心巻込部の断面形状の設定方法を説明するための概略図である。
【図11】 本発明の第2参考例を示す断面図である。
【図12】 本発明の第3参考例を示す斜視図である。
【図13】 (A)は図12のXIII−XIII線での断面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図14】 本発明の第4参考例を示す斜視図である。
【図15】 (A)は図14のXV−XV線での断面図、(B)は(A)の部分拡大図である。
【図16】 本発明の実施形態を示す斜視図である。
【図17】 図16のXVII−XVII線での断面図である。
【図18】 図16の部分拡大図である。
【図19】 (A)は実施形態における電磁鋼板の形状を示す平面図、(B)は(A)のXIX部の要部拡大断面図である。
【図20】 (A)は鋼板コイルを示す平面図、(B)は鋼板コイルを示す側面図である。
【図21】 (A),(B)は実施形態における巻鉄心の固定作業を説明するための要部拡大図である。
【図22】 (A)は電磁鋼板の他の例を示す平面図、(B)は(A)のXXII部の要部拡大断面図である。
【図23】 (A)は電磁鋼板の他の例を示す平面図、(B)は(A)のXXIII部の要部拡大断面図である。。
【図24】 (A),(B),(C),(D),(E),(F)は、ダブルボビンの他の例を示す部分断面図である。
【図25】 (A),(B),(C),(D),(E),(F)は、シングルボビンの他の例を示す部分断面図である。
【図26】 本発明の変形例を示す斜視図である。
【図27】 従来の変成器の一例を示す概略図である。
【図28】 図27のXXVIII−XXVIII線での断面図である。
【図29】 (A),(B),(C),(D)は巻鉄心の形成作業を説明するための概略図である。
【図30】 整列巻を示す断面図である。
【図31】 (A)は従来のコイルボビンの一例を示す正面図、(B)は(A)のXXXI−XXXI線での断面図である。
【図32】 (A)は従来の変成器の他の一例を示す正面図、(B)は(A)のXXXII−XXXII線での断面図である。
【符号の説明】
31 コイルボビン
10 導線
34A,34B 巻線
35A,35B 巻鉄心
37 外枠
38 内枠
40,45,65 凹状溝

Claims (4)

  1. 所要回数円筒状に巻回された電磁鋼板が焼鈍されてなる変成器用の巻鉄心であって、この巻鉄心の内周側の端部に、電磁鋼板を厚さ方向に突出させてなり、この巻鉄心が巻回されるコイルボビンに設けた係止用切込に係止される係止部を設け、かつこの係止部が設けられた巻鉄心の内周側の端部は最先端に向けて狭幅となる三角形状であることを特徴とする変成器用の巻鉄心。
  2. 上記係止部は、上記電磁鋼板の先端部を折り曲げてなることを特徴とする、請求項1に記載の巻鉄心。
  3. 上記係止部は、上記電磁鋼板の先端部を折り返してなることを特徴とする、請求項1に記載の巻鉄心。
  4. 上記係止部は、上記先端部にポンチ加工により形成した突出部であることを特徴とする、請求項1に記載の巻鉄心。
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