JP3670337B2 - 樹脂製部品の接合方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂製部品の接合方法に関し、自動車内装品への空調用ダクトの取付等に採用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のパネルに開口したエア出入口にダクト等を接続する場合、この両者間にシール材を介在させることは一般に行なわれている。例えば、実開昭58−186913号公報には、カウルボックスのパネルに開口したエア取入口に空調ユニットの外気導入口を接続するにあたり、該カウルボックスのエア取入口の周辺部と空調ユニットの外気導入口の周辺部との間にシール材を介在させたものが記載されている。このようなシール材はパネルに対して接着剤で接着され、このシール材を挾むように上記空調ユニット等がパネルに対してビス等によって止められているのが通常である。
【0003】
また、特開昭61−8329号公報に記載されているように、熱可塑性樹脂によって形成された自動車用内装品に対して同じく樹脂製の吸音材を固定するにあたり、吸音材を高周波加熱によって一部溶融させ上記内装品に溶着させるという技術は知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、自動車の内装品のエア吹出口と空調用ダクトとの接続部に結露や振動音の発生等を防ぐための軟質発泡体を設けるにあたり、このダクト及び発泡体の取付を簡易なものにすること、広くは2つの樹脂製部品を両者間に弾性シール材を挾んで接合するにあたり、該接合を簡易なものにすることにある。
【0005】
すなわち、上記発泡体のような弾性シール材を接着剤によって内装品のような樹脂製部品に接着したり、また、ダクトと内装品のような2つの樹脂製部品をビスによって結合するのであれば、当該接合に要する工程数が多くなるとともに、部品点数も多くなってしまい、生産性の向上には限界がある。これに対して、上記従来技術の高周波加熱は上記弾性シール材のみを一方の樹脂製部品に固定することには適用することができても、弾性シール材の固定と同時に両樹脂製部品の接合を行なうことは難しい。
【0006】
【課題を解決するための手段及びその作用】
本発明は、このような課題に対して、上記2つの樹脂製部品の接合に振動溶着法を利用し、その際に弾性シール材をこの両者に対して同時に固定することができるようにしたものである。以下、特許請求の範囲の各請求項に係る発明について具体的に説明する。
【0007】
<請求項1に係る発明>
この発明は、同じ種類の樹脂材によって形成された2つの樹脂製部品を両者間に弾性シール材を挟んで振動溶着により接合する樹脂製部品の接合方法であって、
上記2つの樹脂製部品のうちの一方に他方へ向かって突出するリブを設けておき、
上記一方の樹脂製部品のリブに、上記弾性シール材を上記振動溶着時に位置ずれを生じないように係合させ、
上記一方の樹脂製部品のリブと上記他方の樹脂製部品とを互いに押し付けながら、該押し付け方向と垂直をなす方向に振動させることにより、上記リブと上記他方の樹脂製部品とを振動溶着させることを特徴とする。
【0008】
この発明においては、一方の樹脂製部品に突設したリブを他方の樹脂製部品に振動溶着させるから、この両樹脂製部品の接合が確実なものになるとともに、ビス等の締結用部品が不要になる。また、この振動溶着させるリブに弾性シール材を係合させてその位置を規制するから、振動溶着時に弾性シール材の位置ずれを生ずることがなく、上記両樹脂製部品の振動溶着が容易になり、その後に該弾性シール材の位置ずれを生ずることも防止される。
【0009】
そうして、2つの樹脂製部品を、この両者間に弾性シール材を介在させた状態で振動溶着し該弾性シール材を挟持しているから、弾性シール材を2つの樹脂製部品のうちの一方に対して別途接着剤で接着する必要がない。上記弾性シール材は2つの樹脂製部品間に挾まれているから、シール機能を発揮するとともに、両樹脂製部品の相対的な振動を防いで振動音の発生を抑える。
【0010】
<請求項2に係る発明>
この発明は、上記請求項1に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記両樹脂製部品のうちの一方が、自動車の空調用エア吹出口が形成された内装品であり、他方が、該内装品に取り付けられる空調用ダクトであり、上記弾性シール材が軟質発泡体であることを特徴とするものである。
【0011】
この発明の場合、上記内装品とダクトとが振動溶着によって結合されているから、ビス等の締結用部品は不要である。また、内装品とダクトとをこの両者間に軟質発泡体を介在させた状態で振動溶着するから、発泡体を内装品あるいはダクトに対して別途接着剤で接着する必要がない。上記発泡体は内装品とダクトとの間に挾まれているから、シール機能 を発揮するとともに、ダクトの振動を防いで振動音の発生を抑える。
【0012】
<請求項3に係る発明>
この発明は、上記請求項2に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記内装品のエア吹出口周辺に上記リブを設けておき、該リブと上記ダクトとを、この内装品とダクトとの間に上記軟質発泡体を介在させた状態で振動溶着させ、該軟質発泡体が空調用エア通路の一部を構成するようにしたことを特徴とする。
【0013】
この発明においては、上記軟質発泡体が空調用エア通路の一部を構成しているから、エア通路中の水分を吸収しダクトに結露を生ずることを防止する。
【0014】
<請求項4に係る発明>
この発明は、上記請求項2又は請求項3に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記内装品のエア吹出口に、該エア吹出口からダクト側に突出する筒状の差込み部を有するグリルを内装品表面側から嵌め、該グリルの差込み部を上記エア吹出口に被さっている発泡体に差し込んで該発泡体を該エア吹出口の周囲に寄せることを特徴とする。
【0015】
この発明の場合、発泡体のエア吹出口に対応する部位に切れ目ないしは小径の孔を形成しておけば、エア吹出口にグリルを嵌め込むことによって該発泡体の切れ目等を外側へ押し拡げてエア通路を確保することができる。すなわち、発泡体には予めエア吹出口に合致する孔を開けておく必要がなく、また、発泡体とエア吹出口との位置関係が多少ずれていても上記グリルの嵌め込みによってエア通路を確保することができる。
【0016】
<請求項5に係る発明>
この発明は、上記請求項1に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記弾性シール材に上記リブが嵌め込まれる切れ目が形成されていることを特徴とする。
【0017】
この発明の場合、弾性シール材の切れ目を樹脂製部品のリブに嵌め込むことによって、該弾性シール材を当該樹脂製部品に位置決め保持させることができ、2つの樹脂製部品を振動溶着させる際の弾性シール材の位置ずれが防止されるため該振動溶着作業が容易になるとともに、該振動溶着後においても弾性シール材の位置がずれることが防止される。また、弾性シール材に切れ目を入れるだけでよいから、該弾性シール材の製作も容易である。
【0018】
<請求項6に係る発明>
この発明は、上記請求項2に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記弾性シール材に、上記内装品のエア吹出口に略合致する貫通孔と、上記リブが嵌め込まれる切れ目が形成されていることを特徴とする。
【0019】
この発明の場合も、自動車内装品への空調用ダクトの取付けという具体的態様において、請求項5に係る発明と同じ作用を発揮する。
【0020】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、同じ種類の樹脂材によって形成された2つの樹脂製部品を両者間に弾性シール材を挟んで振動溶着により接合する樹脂製部品の接合方法であって、上記2つの樹脂製部品のうちの一方に他方へ向かって突出するリブを設けておき、このリブに、上記弾性シール材を上記振動溶着時に位置ずれを生じないように係合させ、上記一方の樹脂製部品のリブと上記他方の樹脂製部品とを互いに押し付けながら、該押し付け 方向と垂直をなす方向に振動させることにより、上記リブと上記他方の樹脂製部品とを振動溶着させるから、振動溶着時に弾性シール材の位置ずれを生ずることがなく、振動溶着が容易になり、しかも、振動溶着後に該弾性シール材の位置ずれを生ずることも防止され、ビス等の締結用部品は不要であり、また、弾性シール材を樹脂製部品に別途接着剤で接着する必要がなくなり、弾性シール材にシール機能を確実に発揮させる、振動音を低減する、という要求を満たしながら、両樹脂製部品及び弾性シール材の三者を簡単に組み立てることができる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、上記請求項1に記載されている樹脂製部品の接合方法において、上記両樹脂製部品のうちの一方が、自動車の空調用エア吹出口が形成された内装品であり、他方が、該内装品に取り付けられる空調用ダクトであり、上記弾性シール材が軟質発泡体であるから、自動車内装品への空調用ダクトの取付けという具体的態様において、請求項1に係る発明の効果を得ることができる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、上記請求項2に記載されている樹脂製部品の接合方法において、上記内装品のエア吹出口周辺に上記リブを設けておき、該リブと上記ダクトとを、この内装品とダクトとの間に上記軟質発泡体を介在させた状態で振動溶着させ、該軟質発泡体が空調用エア通路の一部を構成するようにしたから、軟質発泡体によって空調用エア通路中の水分を吸収しダクトに結露を生ずることを防止することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、上記請求項2又は請求項3に記載されている樹脂製部品の接合方法において、上記内装品のエア吹出口に、該エア吹出口からダクト側に突出する筒状の差込み部を有するグリルを内装品表面側から嵌め、該グリルの差込み部を上記エア吹出口に被さっている発泡体に差し込んで該発泡体を該エア吹出口の周囲に寄せるようにしたから、発泡体には予めエア吹出口に合致する孔を開けておく必要がなく、また、発泡体とエア吹出口との位置関係が多少ずれていても上記グリルの嵌め込みによってエア通路を確保することができ、ダクト及び発泡体の取付が簡単になる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、上記請求項1に記載されている樹脂製部品の接合方法において、上記弾性シール材に上記リブが嵌め込まれる切れ目を形成したから、該弾性シール材の製作を難しくすることなく、これを樹脂製部品に簡単に位置決め保持して振動溶着作業を容易なものにすることができ、且つその後の弾性シール材の位置ずれを防止することができる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、上記請求項2に記載されている樹脂製部品の接合方法において、上記弾性シール材に、上記内装品のエア吹出口に略合致する貫通孔と、上記リブが嵌め込まれる切れ目が形成されているから、自動車内装品への空調用ダクトの取付けという具体的態様において、請求項5に係る発明の効果を得ることができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0027】
<実施例1>
本例は図1乃至図4に示されている。図1において、1は自動車の内装品としてのインストルメントパネルであり、該インストルメントパネル1に車内に空調用エアを送るための空調用ダクト3,5が軟質発泡体7,9を介して接続されている。上記インストルメントパネル1及びダクト3,5は同じ樹脂材によって射出成形されている。なお、これらの成形方法としてはブロー成形や真空成形等を採用することもでき、本発明はその成形方法を問うものではない。また、この例では、上記発泡体7,9の成形材料の種類は問わない。
【0028】
具体的に説明すると、図2に示すように上記インストルメントパネル1には、上面の左右に細長いデフロスタ用エア吹出口11が形成され、上面の両端2か所にデミスタ用のエア吹出口13が形成され、前面の中央及び左右の計3か所にベンチレータ用エア吹出口15が形成されている。上記ダクト3及び発泡体7はインストルメントパネル1の上面用のものであり、また、上記ダクト5及び発泡体9はインストルメントパネル1の前面用のものである。
【0029】
上記上面用のダクト3は、空調ユニットに接続される中央の筒部3aと、インストルメントパネル1の上面のエア吹出口11,13の全部を覆うように横長に広がったラッパ状の出口部3bとを備えてなる。そして、このダクト3の出口部3bには外側へ張り出したフランジ3cが形成されている。また、上記上面用の発泡体7は、板状のものであって、上記上面のエア吹出口11,13に対応する同形の孔17,19を備えている。
【0030】
上記前面用のダクト5は、空調ユニットに接続される筒部5aと、インストルメントパネル1の前面の中央エア吹出口15と左側エア吹出口15とを覆うように左右に広がったラッパ状の出口部5bと、右側エア吹出口15に接続すべきダクト(図示省略)が連結される接続部5cとを備えてなる。ダクト5の出口部5bには外側へ張り出したフランジ5dが形成されている。また、上記前面用の発泡体9は板状のものであって、上記前面の中央及び左側のエア吹出口15,15に対応する同形の孔21,21を備えている。なお、右側エア吹出口15のための発泡体については図示を省略しているが、中央に孔を有する矩形状のものが用いられる。
【0031】
上記インストルメントパネル1の上面の裏には、図3に示すように、上記エア吹出口11,13の開口縁に沿った環状の規制リブ23,25が突設され、さらに、エア吹出口11,13を囲むように複数本の結合用リブ27が突設されている。上記規制リブ23,25は、上記発泡体7の孔17,19に嵌まるものであり、該発泡体7の位置を規制する。また、上記結合用リブ27も、上記発泡体7の位置規制を兼ねるものであって、上記発泡体7の外形状に対応して配設されている。インストルメントパネル1の前面の裏にも同様の規制リブ29と結合用リブ31とが突設されている。
【0032】
そうして、上記インストルメントパネル1の結合用リブ27,31と、上記ダクト3,5のフランジ3c,5dとが振動溶着によって結合され、上記発泡体7,9は上記インストルメントパネル1の裏面と各ダクト3,5のフランジ3c,5dとの間に圧縮された状態に挾まれ、内周部が空調用エア通路の一部を構成、すなわち空調用エアが接触するようにダクト3,5内に膨出している。
【0033】
上記ダクト3及び発泡体7をインストルメントパネル1に取り付ける場合は、図3に示すように、発泡体7をインストルメントパネル14の裏面の結合用リブ27で囲まれた部位に嵌め、また、発泡体7の孔17,19をエア吹出口11,13の規制リブ23,25に外嵌する。発泡体7は、図4に示すように結合用リブ27の高さよりも厚みを大きくしておく。そして、ダクト3のフランジ3cを上記インストルメントパネル1の結合用リブ27に押し付けながら、該ダクト3を左右に振動させることによって、フランジ3c及び結合用リブ27を互いに溶融させ冷却固化させる。
【0034】
ダクト5及び発泡体9をインストルメントパネル1に取り付ける場合も、上記ダクト3及び発泡体7の場合と同様にして行なうことができる。
【0035】
従って、このような実施例においては、インストルメントパネル1とダクト3,5とを結合するにあたって、ビス等の締結用部品は不要であり、また発泡体7,9をインストルメントパネル1やダクト3,5に接着剤によって接着する必要もない。そして、発泡体7,9は結合用リブ27,31によって位置が規制されるから、上記振動溶着の過程で発泡体7,9がずれ動くことがなく、また、上記振動溶着後において該発泡体7,9の位置ずれを招くこともなく、所期のシール、結露防止、異音の発生防止の各効果を上げることができる。
【0036】
また、上記発泡体7,9を上記ダクト3,5と同じ樹脂材によって形成しておけば、該ダクト3,5をインストルメントパネル1に振動溶着させる過程で、溶融樹脂が発泡体7,9に侵入し、冷却後に該溶融樹脂が固化してインストルメントパネル1への該発泡体7,9の固定がより確実なものになる。
【0037】
<実施例2>
実施例1は結合用リブによって発泡体を周囲から保持するようにしたが、本例は、結合用リブを発泡体の切れ目に嵌め込んで該発泡体を保持するようにした点に特徴があり、図5及び図6に示されている。
【0038】
すなわち、図5に示すように、インストルメントパネル1の裏面にはエア吹出口11,13に沿って複数の結合用リブ33及び複数の結合用ピン35が突設されている。一方、発泡体7には、上記エア吹出口11,13用の孔17,19に沿って、上記リブ33及びピン35を嵌入させる直線状又は十字状の切れ目37,39が形成されている。
【0039】
ダクトの取付にあたっては、図6に示すように、上記発泡体7の切れ目37,39にインストルメントパネル1の結合用リブ33及び結合用ピン35を嵌めることによって、該発泡体7をインストルメントパネル1に保持し、そして、実施例1と同様のダクトのフランジを上記切れ目37,39より突出した結合用のリブ33及びピン35に押し付け、該ダクトをリブ33の長手方向に振動させることによって該フランジとリブ33及びピン35とを溶着させる。
【0040】
従って、本例の場合も、締結部品や接着剤を用いることなく、ダクト及び発泡体7をインストルメントパネル1に取り付けることができ、また、上記結合用のリブ33やピン35と切れ目37,39との係合により、発泡体の位置ずれを防止することができる。そうして、本例の場合、発泡体7を、その外周部ではなく該発泡体7に設けた切れ目37,39によってインストルメントパネル1に保持するから、発泡体7の外形状(寸法)をそれほど正確に定める必要がなく、発泡体7の製作及び取付が簡単になる。
【0041】
<実施例3>
本例は、実施例2の変形例であり図7乃至図11に示されている。すなわち、本例でも実施例2と同じ発泡体7を用いるが、図7及び図8に示すように発泡体7の厚さを結合用のリブ41やピン43の高さよりも厚くすることによって、発泡体7をインストルメントパネル1に装着した状態では該リブ41やピン43が発泡体7を貫通しないようにしている。結合用のリブ41及びピン43は、図9及び図10にそれぞれ示すように尖った先端41a,43aを有する。
【0042】
図11に示すように、ダクト3及び発泡体7の取付にあたっては、インストルメントパネル1に装着した発泡体7の上にダクト3のフランジ3cを押し付け、該ダクト3をリブ41の長手方向に振動させることになる。これにより、切れ目37,39から覗くインストルメントパネル1のリブ41及びピン43とダクト3のフランジ3cとが振動溶着する。
【0043】
上記リブ41及びピン43の先端41a,43aが尖っているから、該先端が溶融し易く当該振動溶着が円滑に行なわれる。このリブ41やピン43の先端1a,43aの溶融によって、ダクト3とインストルメントパネル1との間隔が狭まり、発泡体7が圧縮される。従って、本例の場合、発泡体7を圧縮した状態でインストルメントパネル1とダクト3との間に保持するため、車両運転中における発泡体7の移動が一層規制され、また、発泡体7の厚さの製作精度を高くする必要はない。
【0044】
<参考例1>
本例は図12乃至図17に示されており、先の各実施例ではインストルメントパネル1側に結合用のリブを設けたが、本例の特徴はダクト3,5側に結合用リブ45,47を設けている点にある。
【0045】
すなわち、上記ダクト3,5の結合用リブ45,47は実施例3のものと同様に先端が尖ったものである。一方、発泡体7,9は、上記インストルメントパネル1やダクト3とは異なる樹脂材によって成形されている。図13に示すように発泡体7はインストルメントパネル1のエア吹出口11,13に対応する孔17,19を備えたものであり、本例の場合は切れ目は設けられていない。この点は発泡体9も同様である。
【0046】
上記ダクト3及び発泡体7の取付にあたっては、発泡体7をインストルメントパネル1の規制リブ23に嵌めて保持し、図14に示すようにダクト3のリブ45をインストルメントパネル1に対して押し付けながら、該リブ長手方向に振動させる。これにより、上記発泡体7はリブ45の尖った先端45aとの接触部が溶断し、これによって該リブ45は発泡体7を貫通し、上記インストルメントパネル1に振動溶着する。ダクト5及び発泡体9の取付も同様である。
【0047】
図15に示すように、ダクト3,5に結合用ピン49を設ける場合にも、その先端49aは尖ったものにする。
【0048】
本例の場合も、実施例2や実施例3と同様にリブ45,47やピン49が発泡体7,9を貫通して振動溶着するから、該発泡体7,9の外形状を正確に定めておく必要がなく、発泡体7,9の成形が簡易なものになり、しかも、該発泡体7,9に切れ目を設ける必要もないから、生産性の向上に有利である。
【0049】
図16には発泡体7が上記インストルメントパネル1やダクト3と同じ樹脂材によって成形された場合の振動溶着の態様を示している。すなわち、この場合も発泡体7が結合用リブ51との摩擦によって溶けるが、インストルメントパネル1、ダクト3及び発泡体7は同じ樹脂材によって形成されているから、互いに溶け合って一体になる。本例の場合、結合用リブ51は発泡体7を溶断する必要がないから、その先端は尖らす必要はなく平坦なものにすることができる。図17に示すように、結合用ピン53の場合もその先端は尖らす必要がない。もちろん、この場合でも、上記結合用リブ51やピン53の先端を尖らせれば上記振動溶着を円滑なものにする上で好適な手段となる。
【0050】
<実施例4>
本例は図18乃至図20に示されている、図18に示すように、インストルメントパネル1には実施例2と同様にエア吹出口11,13、結合用リブ55及び結合用ピン57が設けられているが、エア吹出口11,13には規制リブは設けられていない。また、結合用のリブ55及びピン57は先端が尖っている。一方、発泡体7にはインストルメントパネル1のリブ55及びピン57に対応する切れ目37,39が形成されているが、エア吹出口11,13に対応する孔は形成されておらず、これに対応する位置に切れ目59,61が形成されている。また、図19に示すように、発泡体7の厚みはリブ55(ピン57)の高さよりも大きい。
【0051】
ダクト3及び発泡体7の取付にあたっては、図19に示すように発泡体7をインストルメントパネル1に装着し、図20に示すようにこの発泡体7の上からダクト3をインストルメントパネル1のリブ55(ピン57)に押し付け、振動させることによって該ダクト3のフランジ3cとリブ55(ピン57)とを溶着させる。
【0052】
この状態では、発泡体7はインストルメントパネル1のエア吹出口11を覆ったままである。そこで、図20に示すように、グリル63を上記エア吹出口11にインストルメントパネル表面側から嵌める。このグリル63は上記インストルメントパネル1のエア吹出口11の開口縁に係合する溝65を備えているとともに、該エア吹出口11からダクト3側に突出する筒状の差込み部67を備えている。
【0053】
従って、上記グリル63をエア吹出口11に嵌め込むと、上記差込み部67が発泡体7の切れ目59に嵌まってこれを押し拡げ、つまり、該発泡体7のエア吹出口11に被さっている部分は上記差込み部67によってエア吹出口11の周囲に圧縮された状態で寄せられ、エア通路が確保される。このため、発泡体7には予めエア吹出口11に合致する孔を開けておく必要がなく、また、発泡体7とエア吹出口11との位置関係が多少ずれていても上記グリル63の嵌め込みによってエア通路を確保することができることになる。
【0054】
<参考例2>
本例は図21乃至図23に示されている。すなわち、インストルメントパネル1には、エア吹出口11,13及び規制リブ23,25が形成されているとともに、裏面のエア吹出口11,13の周囲には複数の先細突起69が突設されている。発泡体7は上記エア吹出口11,13に対応する孔17,19を備えたものである。また、ダクト3はフランジ3cより結合用リブ71が突出したものであり、該結合用リブ71の先端は尖っている。
【0055】
ダクト3及び発泡体7の取付にあたっては、発泡体7の孔17,19を上記エア吹出口11,13の規制リブ23,25に嵌め、該発泡体7をインストルメントパネル1に押し付けると、上記突起69が発泡体7に刺さって該発泡体7がインストルメントパネル1に保持される。この状態で、ダクト3を発泡体7の上に押し付けながら振動させると、実施例4と同様に発泡体7が結合用リブ71によって溶断されて該結合用リブがインストルメントパネル1に当接して振動溶着する。
【0056】
従って、本例の場合は、発泡体7に切れ目を設けたり、インストルメントパネル1に位置の規制を兼ねた結合用リブを設けたりせずとも、インストルメントパネル1に対して発泡体7を確実に保持し、ダクト3を振動溶着する時に該発泡体7の位置ずれを招くことを避けることができる。
【0057】
なお、上記各実施例は自動車内装品への空調用ダクトの取付けに関するが、他の樹脂製部品であっても上記実施例に倣って本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のダクト取付構造を示す断面図
【図2】 同例のインストルメントパネル、ダクト及び発泡体を示す分解斜視図
【図3】 同例の発泡体を装着したインストルメントパネルとダクトとを示す斜視図
【図4】 同例のインストルメントパネル、ダクト及び発泡体の関係を示す断面図
【図5】 実施例2のインストルメントパネルと発泡体とを示す斜視図
【図6】 同例のインストルメントパネルに発泡体を装着した状態を示す斜視図
【図7】 実施例3のインストルメントパネルに発泡体を装着した状態を示す斜視図
【図8】 同例のインストルメントパネルに発泡体を装着した状態を示す断面図
【図9】 同例の結合用リブの斜視図
【図10】 同例の結合用ピンの斜視図
【図11】 同例のダクト取付構造を示す断面図
【図12】 参考例1のダクト取付構造を示す断面図
【図13】 同例のインストルメントパネルに発泡体を装着した状態を示す斜視図
【図14】 同例の結合用リブの振動溶着の状態を示す説明図(斜視図と断面図)
【図15】 同例の結合用ピンと発泡体とを示す斜視図
【図16】 同例の発泡体とダクト等との材料が異なる場合における結合用リブの振動溶着の状態を示す説明図(斜視図と断面図)
【図17】 図16の場合における結合用ピンと発泡体とを示す斜視図
【図18】 実施例4の発泡体とインストルメントパネルとを示す斜視図
【図19】 同例の発泡体をインストルメントパネルに装着した状態を示す断面図
【図20】 同例のダクト取付構造を示す断面図
【図21】 参考例2の発泡体をインストルメントパネルに装着した状態を示す斜視図
【図22】 同例の発泡体をインストルメントパネルに装着した状態を示す断面図
【図23】 同例のダクト取付構造を示す断面図
【符号の説明】
1 インストルメントパネル(内装品)
3,5 空調用ダクト
7,9 軟質発泡体
11,13,
15 エア吹出口
27,31,
35,41,
45,47,
51,55,
71 結合用リブ
63 グリル
67 差込み部
69 突起
Claims (6)
- 同じ種類の樹脂材によって形成された2つの樹脂製部品を両者間に弾性シール材を挟んで振動溶着により接合する樹脂製部品の接合方法であって、
上記2つの樹脂製部品のうちの一方に他方へ向かって突出するリブを設けておき、
上記一方の樹脂製部品のリブに、上記弾性シール材を上記振動溶着時に位置ずれを生じないように係合させ、
上記一方の樹脂製部品のリブと上記他方の樹脂製部品とを互いに押し付けながら、該押し付け方向と垂直をなす方向に振動させることにより、上記リブと上記他方の樹脂製部品とを振動溶着させることを特徴とする樹脂製部品の接合方法。 - 請求項1に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記両樹脂製部品のうちの一方が、自動車の空調用エア吹出口が形成された内装品であり、他方が、該内装品に取り付けられる空調用ダクトであり、上記弾性シール材が軟質発泡体であることを特徴とする樹脂製部品の接合方法。 - 請求項2に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記内装品のエア吹出口周辺に上記リブを設けておき、該リブと上記ダクトとを、この内装品とダクトとの間に上記軟質発泡体を介在させた状態で振動溶着させ、該軟質発泡体が空調用エア通路の一部を構成するようにしたことを特徴とする樹脂製部品の接合方法。 - 請求項2又は請求項3に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記内装品のエア吹出口に、該エア吹出口からダクト側に突出する筒状の差込み部を有するグリルを内装品表面側から嵌め、該グリルの差込み部を上記エア吹出口に被さっている発泡体に差し込んで該発泡体を該エア吹出口の周囲に寄せることを特徴とする樹脂製部品の接合方法。 - 請求項1に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記弾性シール材に上記リブが嵌め込まれる切れ目が形成されていることを特徴とする樹脂製部品の接合方法。 - 請求項2に記載されている樹脂製部品の接合方法において、
上記弾性シール材に、上記内装品のエア吹出口に略合致する貫通孔と、上記リブが嵌め込まれる切れ目が形成されていることを特徴とする樹脂製部品の接合方法。
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