JP3670138B2 - 空中軌道線路搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空中に配置されたワイヤ、ケーブルあるいはレールに沿って移動物あるいは運搬物を搬送させるための空中軌道線路搬送装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
例えば、飼い犬の移動範囲を広く確保する場合、一般にワイヤ、ロープや針金を軌道線路として張り渡し、この軌道線路に接続リング等を介して鎖やロープを接続し、この鎖等に犬の首輪を取り付けたりしている。
【0003】
しかし、このような軌道線路は直線的に張り渡す場合は問題ないが、コーナー部を作ったり、蛇行させたりする場合は上記接続リングが通過できず、犬の移動ができないという問題があった。即ち、コーナー部、蛇行部等の曲り部に上記軌道線路を渡す場合は、支持棒等で軌道線路を支持する必要があり、この支持棒が上記接続リングの移動の妨げとなる。
【0004】
また、みかん、りんご、梨、ぶどう等の果樹園(畑)、あるいは起伏があり、かつ複雑な地形を有する山間部等では、地面を利用せず、空中で生産物、荷物、人等を運搬する搬送装置が従来から存在するが、これらの装置は、例えばスキー場のリフト、ロープウェー等のように、荷台を取り付けたワイヤ自体を機械で引っ張るものが多い。
しかし、この方式では、ワイヤを誘導・案内する滑車が所定間隔毎の複数地点で設けられている場合が多く、このような複数地点での滑車の保守点検が煩雑であるという問題がある。しかも、コーナー部、蛇行部では、大掛かりで複雑な装置等が必要となるので、直線的な軌道線路の二点間の運搬に多く用いられているのが現状である。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コーナー部や蛇行部等の曲り部がある軌道線路に沿って移動物あるいは運搬物をスムーズに搬送できる空中軌道線路搬送装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る空中軌道線路搬送装置は、空中に配置された垂直支柱部を有する軌道線路と、スラストニードルベアリングを用いた複数の回転体と、これらの回転体を個別に支持体で支持しかつこの回転体の側面が上記軌道線路の上側に接触して回転する状態で当該軌道線路に沿って左右交互に配置されるように構成した支持体群とを有し、上記軌道線路に沿って搬送するための搬送部と、この搬送部の支持体群が水平方向で屈曲自在となるように支持体間に隙間を設けて各支持体を連結し、上記軌道線路の曲り部では上記支持体群が蛇行しながら上記回転体の軌道線路上の位置を確保する蛇行機構と、上記搬送部の各支持体に設けられ、上記回転体を上記軌道線路の軌道方向に垂直な方向に進退可能にする進退機構と、を含んでなることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、上記回転体として、多数の小回転体を保持する中央板及びこの中央板を挟む上下板を回転軸に軸支したものを用い、この回転体の下側板の側面が上記軌道線路の上側に接触するように配置したことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、上記軌道線路に接触させた駆動ローラを回転させるモータを備え、上記搬送部を自動的に搬送することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、上記搬送部に吊り下げられた荷台には、補助線路に係合して荷台の左右の揺れを防止する係合手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、搬送部には、例えばそれぞれに回転体(スラストニードルベアリングを用いたもの)を有する7個の支持体が配置され、この搬送部の下側に、犬の所定長さの鎖や荷台あるいは車体等が取り付けられる。また、この搬送部の支持体の案内溝に垂直支柱部に支えられたワイヤあるいは金属製レール等の軌道線路が配置されると共に、この軌道線路の上に回転体の側面が載せられる。従って、この回転体は水平面内で回転しながら軌道線路の上を移動することになる。
【0008】
そうして、垂直支柱部を通過する際には、この支柱部により上記回転体が押されて後退し、当該垂直支持部の外周を回り込むようにして回転体は通過する。このとき、当該回転体は軌道線路から外れるか、又は軌道線路に僅かにかかる程度となるが、他の回転体が軌道線路に載っているので、搬送部が外れることはない。
【0009】
また、コーナー部や蛇行部等の曲り部では、補強を兼ねて垂直支柱部を一体形成した、逆T字状(断面形状)のレールが用いられるが、この場合は、回転体が後退した状態で軌道線路の左右方向に突出する線路上を移動することになる。同時に、搬送部は複数の支持部の軸支結合により屈曲可能とされているため、曲り部であっても回転体が軌道線路上の所定の位置に置かれ、回転体が軌道線路から外れることが防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1乃至図11には、実施形態例に係る空中軌道線路搬送装置の構造が示されており、図1は図2(A)のI−I線切断図で、図2(A)は搬送部の上面図、図2(B)は図1(A)のII-II線切断図、図3(A)は図1(A)のIII-III線切断図、図3(B)は図1(A)のIV−IV線切断図である。まず、図2に示されるように、当該例の搬送部1では回転体2を取り付けた支持体3を7個、ワイヤ4の渡し方向に配列しており、端部の一方の支持体3にモータ架台5、端部の他方の支持体3にバッテリー架台6が設けられる。
【0011】
図1において、上記ワイヤ4は図8にも示されるように、適当な距離毎に垂直配置された棒状支柱9で支持されている。上記支持体3内には、図2(B)にも示されるように、ワイヤ4を配置しガイドする案内溝10が設けられ、この案内溝10に連通する状態で、回転体2をガイドするための案内溝(長溝状)11Aが設けられる。また、この案内溝11Aの下側に、図3(A)にも示されるように、摺動溝12が設けられ、この摺動溝12の下側に、図3(B)にも示されるように、長溝状の案内溝11Bが設けられており、これらの案内溝11A,11B及び摺動溝12により回転体2を軌道方向に垂直な方向に進退移動させるようになっている。
【0012】
即ち、回転体2はスラストニードルベアリングを用いたものからなり、多数の小回転体を保持する中央板とこれを挟む上下板が回転軸2Aに軸支され、上下板が回転する構造となっている。この回転軸2Aの下側には、棒状支持ネジ15が設けられ、この支持ネジ15に上側から、上記案内溝11Aに配置される遊車16、上記摺動溝12に配置される摺動体17、上記案内溝11Bに配置される遊車18を取り付け、この支持ネジ15の先端にダブルナット19を取り付けることにより、回転体2は上記摺動体17に固定される。この摺動体17には、回転体2をワイヤ4の方向に引っ張るためのスプリング20が取り付けられ、このスプリング20の他端は配置溝21の端部に取り付け固定される。
【0013】
図4(A)は、図2(A)のV−V線切断図であり、上述した回転体2の部分をワイヤ4の方向から見た構成が示され、図4(B)は、図2(A)のVI−VI線切断図であり、各支持体の連結構造が示されている。当該例では、搬送部1が軌道線路の曲りに応じて屈曲するように構成されており、図2(B)で示したように、各支持体3は台形の上側に、この台形左右辺の傾き角度(内角)αよりも小さな傾き角度(内角)βを有する三角形をつないだ形状とし、これにより各支持体3間に、屈曲するための隙間(角度γ)を設けている。
【0014】
そして、図4(B)、図2(B)等に示されるように、各支持体3はシャフト24で接続され、その下側には補強用の蝶番25を備え、このシャフト24を軸として各支持体3が最大で上記の角度γを回転できるようになっており、これによって搬送部1が屈曲可能となる。なお、図1に示されるように、上記蝶番25には補強板26が取り付けられる。
【0015】
図8には、果樹園等で使用可能となる搬送装置の一形態が示されており、例えば直線部はワイヤ4を棒状支柱9で吊るし、コーナー部はワイヤ4と同じ幅のレール29を棒状支柱9で吊るす。そして、上述した搬送部1の下側に支持部材30を介して運搬かご31等を取り付けることができる。
【0016】
図5及び図6には、このような搬送部1の動作状態が示されている。図5は、直線のワイヤ4を移動する場合であり(一部省略)、棒状支柱9がない所では回転体2Kを除く回転体2で示されるように、複数の回転体2の側面がワイヤ4の上に載った状態で当該回転体2が回転することにより、搬送部1は移動自在となる。そして、棒状支柱9が存在する所では、回転体2Kで示されるようにこれが鎖線位置からワイヤ4から離れる方向に後退し、この回転体2Kは図1(B)にも示される状態で棒状支柱9の周りを通過する。このとき、他の回転体2はしっかりとワイヤ4の上に載っており、搬送部1がワイヤ4から脱落することはない。
【0017】
そして、図8のコーナー部では、ワイヤ4と同じ幅の半円状レール29を使用してるので、同様にして棒状支柱9を通過することができる。また、コーナー部では図6に示されるように、支持体3が上記角度γの範囲内で回転するので、搬送部1(支持体群)が曲り角度に応じて曲ることにより、回転体2がレール29上の安定した位置に載置される。従って、図8で示したかご31は手等で押したり、引っ張ったりする(モータは必ずしも必要ではない)ことにより、直線部、コーナー部、そして蛇行部を容易に移動させることができる。また、犬の鎖についても上記搬送部1の下側に接続することにより、犬の動きに応じて搬送部1をスムーズに移動させることができ、軌道線路を自由に設定して犬の移動範囲を拡大することが可能となる。
【0018】
図6は、コーナー部のレール幅を直線部のワイヤよりも少し広くしたものであり、このコーナー部のレール33は、垂直支柱部33Aとこの垂直支柱部33Aから左右に突出するレール部33Bを有する逆T字状(断面形状)となっている。このようなコーナー部では、図示されるように、全ての回転体2が少し後退した状態でレール33(33B)の上を回転移動することになり、この場合も各支持体3が上記角度γの範囲内で回転し搬送部1が曲り角度に応じて曲るので、回転体2をレール33上に安定して移動させることができる。なお、直線部についても上記レール33と同様の構成のレールとしてもよい。
【0019】
図7には、自動的に駆動するためのモータを取り付けた構成例が示されており、図示されるように、モータ35は図2で示したモータ架台5に取り付けられ、このモータ35を動かすためのバッテリーはバッテリー架台6に配置される。このモータ35には、その軸に取り付けられた原動車36、支持枠37、この支持枠37に支持された従動車38、この従動車38と原動車36を接続するベルト39、ワイヤ4(又は曲りレール40)に接触する駆動ローラ41が配置される。また、図7(A)に示されるように、上記駆動ローラ41と共に軌道線路を挟むための補助ローラ42、この補助ローラ42を軸支する支持部材43、そして上記駆動ローラ41と補助ローラ42を互いに引っ張るためのスプリング44が配置される。
【0020】
このようなモータ駆動部の構成によれば、モータ35の回転が原動車36、ベルト39、従動車38、そして駆動ローラ41を介して駆動ローラ41に伝達されると共に、この駆動ローラ41を上記補助ローラ42とスプリング44により軌道線路であるワイヤ4の側面にしっかりと接触させることができる。従って、搬送部1は上記駆動ローラ41の回転数に応じた速度で駆動されることになり、これによって荷物かご31等を自動的に搬送することが可能となる。
【0021】
また、図7(A)に示されるように、曲り部等でワイヤ4よりも大きな幅のレール40を用いた場合でも、当該駆動ローラ41と補助ローラ42との間隔はスプリング44の引張り力に抗して適宜広がることになるので、大きな幅のレール40の側面に駆動ローラ41をしっかりと接触させることができ、異なる幅の軌道線路においてもモータ35の回転駆動力を確実に伝達することが可能となる。
【0022】
図9乃至図11には、複数の人を運ぶことができる運搬車体を吊り下げて搬送する場合の構成例が示されており、本発明は搬送部や軌道線路等の構成を搬送物の重さに応じて大きくしまた補強することにより、車体等にも適用できる。即ち、この例では、例えば道路の上側に空中運搬車の通過空間を鉄骨等で形成し、この通過空間の上側の鉄骨47の下面に、図6(B)で示したものと同様の逆T字状のレール(直線部、曲線部共に同じもの)48を設けると共に、下側鉄骨49の上面に同様に逆T字状の補助レール50を取り付ける。
【0023】
一方、車体51には、大きさ、材質は異なるが上記搬送部1と同じ構成の搬送部53が支持部52を介して取り付けられるが、この搬送部53は車体51に対して回転自在に構成される。また、この車体51の下側では上記補助レール50に左右から接触して回転する左右一対の底部ローラ54(1対又は複数対)が設けられており、この底部ローラ54によれば車体51の横揺れが防止される。なお、上記搬送部53は、図10等に示されるように車体51の前側と後側の二箇所に配置される。そして、この場合も、図7で示したモータ駆動部あるいは上記底部ローラ54をモータで回転させる駆動部を設けるか、又は他の駆動手段を配置して自動的に運転できるように構成される。
【0024】
このような車体51であっても、二つの搬送部53の回転体2が図6(B)と同様に、レール48(垂直支柱部から左右に突出するレール部)の上を回転することにより、搬送部53に吊り下げられた車体51が動き、図11に示されるコーナー部においても、問題なく移動できることになる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スラストニードルベアリングを用いた複数の回転体と、これらの回転体の側面が軌道線路の上側に接触して回転する状態で当該軌道線路に沿って左右交互に配置されるように構成した支持体群とで搬送部を構成し、この搬送部には上記回転体を個別に軌道線路の軌道方向に垂直な方向に進退可能に支持する進退機構及び軌道線路の曲り部においても上記回転体の軌道線路上の位置を確保するための蛇行機構を備えたので、コーナー部や蛇行部等の曲り部がある軌道線路に沿って移動物あるいは運搬物をスムーズに搬送することが可能となる。
【0026】
また、請求項3の発明によれば、モータで回転する駆動ローラを備えたので、上記搬送部を自動的に駆動することができる。
更に、請求項4の発明によれば、上記搬送部に吊り下げられた荷台に、左右の揺れを防止する係合手段を設けたので、運搬物を安定して搬送することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る空中軌道線路搬送装置の回転体の支持体の断面を示し、図2(A)のI−I線切断図である。
【図2】実施形態の搬送部の構成を示し、図(A)は上面図、図(B)は図1(A)のII-II線切断図である。
【図3】実施形態の搬送部の構成を示し、図(A)は図1(A)のIII-III線切断図、図(B)は図1(A)のIV−IV線切断図であるる
【図4】実施形態の搬送部の構成を示し、図(A)は図2(A)のV−V線切断図、図(B)は図2(A)のVI−VI線切断図である。
【図5】実施形態の搬送部が直線的に渡したワイヤの垂直支柱部を通過する状態を示す上面図である。
【図6】コーナー部に配置された逆T字状のレールを搬送部が通過する状態を示し、図(A)は上面図、図(B)は進行方向から回転体部を見た図である。
【図7】実施形態例でモータを配置した場合の構成を示し、図(A)は上面図、図(B)は側面図である。
【図8】果樹園等で使用される運搬かごに適用した場合の構成を示す斜視図である。
【図9】複数の人を運ぶことができる運搬車に適用した場合の構成を示す正面断面図である。
【図10】図9の構成の側面断面図である。
【図11】図9の運搬車がコーナー部を移動する状態を示す上面図である。
【符号の説明】
1,53 … 搬送部、
2 … 回転体、
3 … 支持体、
4 … ワイヤ、
9 … 棒状支柱、
17 … 摺動体、
29,33,40,48 … レール、
35 … モータ、
41 … 駆動ローラ、
50 … 補助レール、
54 … 底部ローラ。
Claims (4)
- 空中に配置された垂直支柱部を有する軌道線路と、
スラストニードルベアリングを用いた複数の回転体と、これらの回転体を個別に支持体で支持しかつこの回転体の側面が上記軌道線路の上側に接触して回転する状態で当該軌道線路に沿って左右交互に配置されるように構成した支持体群とを有し、上記軌道線路に沿って搬送するための搬送部と、
この搬送部の支持体群が水平方向で屈曲自在となるように支持体間に隙間を設けて各支持体を連結し、上記軌道線路の曲り部では上記支持体群が蛇行しながら上記回転体の軌道線路上の位置を確保する蛇行機構と、
上記搬送部の各支持体に設けられ、上記回転体を上記軌道線路の軌道方向に垂直な方向に進退可能にする進退機構と、を含んでなる空中軌道線路搬送装置。 - 上記回転体として、多数の小回転体を保持する中央板及びこの中央板を挟む上下板を回転軸に軸支したものを用い、この回転体の下側板の側面が上記軌道線路の上側に接触するように配置したことを特徴とする上記請求項1記載の空中軌道線路搬送装置。
- 上記軌道線路に接触させた駆動ローラを回転させるモータを備え、上記搬送部を自動的に搬送することを特徴とする上記請求項1又は2記載の空中軌道線路搬送装置。
- 上記搬送部に吊り下げられた荷台には、補助線路に係合して荷台の左右の揺れを防止する係合手段を設けたことを特徴とする上記請求項1乃至3記載の空中軌道線路搬送装置。
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