JP3668904B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、イグニションコイルの一次電流を断続通電するパワースイッチと、イグニションコイルとを一体化した内燃機関用点火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の内燃機関用点火装置の側面図、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図、図7は内燃機関用点火装置の電気回路図であり、合成樹脂製の絶縁ケース1の収納部1aの底中央部には孔1bが形成されている。この孔1bにはギャップ2aを有するイグニションコイルの鉄芯2が貫通している。この鉄芯2には一次ボビン3に一次コイル巻線4が巻回されている。イグニションコイルの一次コイル4の外周には二次ボビン5が配設され、この二次ボビン5に二次コイル巻線6aが巻回されている。
【0003】
収納部1aから突出した形状の補助収納部1cにはパワースイッチ7が収納されている。パワースイッチ7は、パワートランジスタ8とパワートランジスタ8を駆動、制御する集積回路(IC)とがインサート成形により樹脂で固体封止されて形成されている。パワースイッチ7の上面にはねじ10でヒートシンク9が固着されている。
【0004】
また、絶縁ケース1はイグニションコイルの高圧部である高圧端子の保持部1d、1eおよび低圧端子11の保持部1fを有している。低圧端子11の保持部1fにはコネクタハウジング1gが嵌着されている。なお、図5においてはコネクタハウジング1gは省略されている。保持部1f内には電源端子11a、信号端子11b、接地端子11cからなる低圧端子11を一体化した低圧端子アセンブリ12が配設されている。
【0005】
一次コイル巻線4aの一端部4aは、一次ボビン3の仮止め部3aに巻回された後、その先端が電源端子11aに数回巻回されて半田付けされている。一次コイル4の他端部4aは、仮止め部3aに巻回された後、その先端がパワースイッチ7の端子7aに数回巻回されて半田付けされている。信号端子11bとパワースイッチ7の端子7bとは導電ワイヤ13aで電気的に接続されている。その電気的な接続は、導電ワイヤ13aの両端をそれぞれ信号端子11b、パワースイッチ7の端子7bで数回巻回した後、半田付けして行われている。接地端子11cとパワースイッチ7の端子7cとは導電ワイヤ13bで電気的に接続されている。導電ワイヤ13bの両端もそれぞれ接地端子11c、パワースイッチ7の端子7cに数回巻回されて半田付けされている。二次コイル巻線6aの一端は高圧端子14に接続され、またその他端は保持部1d内の高圧端子に接続されている。なお、絶縁ケース1の収納部1aおよび補助収納部1cの内部には、硬化したエポキシ樹脂からなる絶縁樹脂材15が充填されている。
【0006】
上記のように構成された内燃機関用点火装置では、外部のコントロールユニットから信号端子11bに入力された信号に応じて、パワースイッチ7は、電源端子11aから一次コイル4、パワースイッチ7、接地端子11cに流れる一次電流を断続する。この一次電流の遮断時に二次コイル6には高電圧が発生し、高圧端子14を介して外部の点火プラグへ出力される。
【0007】
次に、上記構成の内燃機関用点火装置の組立手順について説明する。まず、絶縁ケース1に二次ボビン5に二次コイル巻線6aが巻回された二次コイル6を仮置きし、一次コイル巻線4aが巻回された一次ボビン3の端部を超音波融着により絶縁ケース1の底面に固着する。また、ヒートシンク9がねじ10で固着されたパワースイッチ7、低圧端子アセンブリ12を補助収納部1cに配置する。
【0008】
次に、一次コイル巻線4aの両端部4a、4aの絶縁皮膜を除去した先端を電源端子11a、パワースイッチ7の端子7aにそれぞれ人手で仮止めする。また、導電ワイヤ13a、13bもその両端をそれぞれパワースイッチ7の端子7b、7cおよび信号端子11b、接地端子11cにそれぞれ人手で仮止めする。その後、仮止めしたそれぞれの箇所を半田付けする。次に、コネクタハウジング1gを補助収納部1cに装着する。この装着作業は電源端子11a、信号端子11bおよび接地端子11cにおける仮止め、半田付けの作業の邪魔にならないようにするため、それらの接続作業後に行われている。
次に、鉄芯2を一次ボビン3に装着し、絶縁ケース1の開口側を上向きにして絶縁樹脂材15を絶縁ケース1内に充填し、炉内で絶縁樹脂材15を加熱、硬化する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の内燃機関用点火装置では、パワースイッチ7のパワートランジスタ8に一次電流が流れると、パワートランジスタ8のコレクターエミッタ間に電圧降下が生じ、発熱するが、その発熱に対して適切な放熱を行わないと、パワートランジスタ8は故障する。そのため、パワースイッチ7の放熱部にヒートシンク9を十分な接触圧で接触させる必要性があり、そのための締付具としてねじ10を用いている。したがって、締付具が必要で、かつ締付工数がそれだけかかり、製造コストが高くなるという課題があった。
【0010】
また、ねじ10の頭部の高さ寸法が必要となり、またヒートシンク9にネジを形成するためにヒートシンク9の厚みをある程度大きくする必要があり、絶縁ケース1の補助収納部1cの寸法が大きくなってしまうという課題もあった。
【0011】
さらに、絶縁ケース1内に、一次コイル巻線4aが巻回された一次ボビン3、二次コイル巻線6aが巻回された二次ボビン5、パワースイッチ7および低圧端子11a、11b、11cが一体化された低圧端子アセンブリ12を配設した後に、一次コイル巻線4aの一端部4a、他端部4aおよび導電ワイヤ13a、13bの仮止め、半田付けは人手に頼らなければならず、また作業が複雑なため、作業時間がかかり製造コストが高くという課題もあった。
また、仮止め、半田付け作業のために作業スペースが必要となり、絶縁ケース1の開口部の面積が大きくなり、装置全体の小型化が図れないという課題もあった。
【0012】
この発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、製造コストを低減できるとともに、小型化が可能な内燃機関用点火装置を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1の内燃機関用点火装置では、パワースイッチはヒートシンクに弾接係合され、一体化され、容器形状をしたヒートシンク内にパワースイッチを納め、ヒートシンクに設けられた押圧部材により、パワースイッチにヒートシンクを圧接し、ヒートシンクの一面が絶縁ケースの内面に接触し、ヒートシンクの他面が外気に通じる空気層を形成した絶縁ケースの内面に接触したものである。
【作用】
この発明の請求項1の内燃機関用点火装置においては、パワースイッチにヒートシンクを弾接係合しており、例えばネジ等の締付具を必要とせずして、パワースイッチにヒートシンクが固定される。
また、容器形状をしたヒートシンク内にパワースイッチを納めたので、ヒートシンクとパワースイッチとの接触面積は増大する。
また、ヒートシンクに設けられた押圧部材により、パワースイッチにヒートシンクを圧接したので、パワースイッチに対してヒートシンクが大きな接触圧力で接触する。
また、ヒートシンクの一面が絶縁ケースの内面に接触し、ヒートシンクの他面が外気に通じる空気層を形成した絶縁ケースの内面も接触したので、ヒートシンクは間接的に外気と接触する面積が増大する。
【実施例】
実施例1.
以下、この発明の実施例を図について説明する。図1はこの発明の一実施例を示す内燃機関用点火装置の分解斜視図、図2は図1の内燃機関用点火装置の断面図であり、図5ないし図7と同一または相当部分は同一符号を付し、その説明は省略する。
図において、電源端子11a、信号端子11bおよび接地端子11cがインサート成形された低圧端子アセンブリ20と、コネクタハウジング21とは一体化されて低圧端子ブロック22を構成している。低圧端子アセンブリ20の両側には、一次コイル巻線4aの一端部4aおよび他端部4aと接続されるUの字状をした接続端子23a、23bがそれぞれ設けられている。また、低圧端子アセンブリ20の両側には、一次コイルアセンブリ25との係止を可能にする一次ボビン用係止部24a、24bが設けられている。さらに、低圧端子アセンブリ20の両側には、ヒートシンク26との係合を可能にするヒートシンク用係止部27a、27bが設けられている。信号端子11bの先端部の接続部11bと、接地端子11cの先端部の接続部11cと、一次コイル巻線4aの他端部4aに接続される接続部11dとはそれぞれ壁部28で仕切られている。
【0014】
端子7a、7b、7cが接続部11d、11b、11cに接続されるパワースイッチ29は、片面が露出した金属放熱板30に搭載されたパワートランジスタ8とパワートランジスタ8を駆動、制御する混成集積回路(ハイブリッドIC)とがインサート成形により樹脂で固体封止されて形成されている。パワースイッチ29の裏側には、パワートランジスタ8および集積回路を搭載するインサート材を樹脂封止する時の位置決めでできる凹部31が形成されている。
【0015】
パワースイッチ29を覆う容器状をしたヒートシンク26の両側先端部には、ヒートシンク用係止部27a、27bと係止される被係止部32a、32bが形成されている。ヒートシンク26の底面には、ストッパ部33aと凸部33bとテーパ部33cとを有し、ヒートシンク26からパワースイッチ29が抜けるのを防止する押圧部材である押圧板33を有している。ヒートシンク26の下面は外気に通じる空気空間部42を形成した絶縁ケース41の内面に接触しており、ヒートシンク26の上面も絶縁ケース41の内面に接触している。
【0016】
一次ボビン3のフランジ部3bの反対側には一次コイルアセンブリ25の係止部材34が設けられている。係止部材34の上端部には係止部24a、24bに弾接係止される被係止部35a、35bが形成されている。係止部材34の両側にはつば部36a、36bが設けられている。つば部36a、36b上には間隙部37a、37bが形成され、その上部にはコイル端部仮止め部38a、38bが設けられている。一次コイル巻線4aの一端部4aは、間隔部37aを通って仮止め部38aで仮止めされ、電源側の接続端子23aに導かれるようになっている。また、一次コイル巻線4aの他端部4aは間隔部37bを通って仮止め部38bで仮止めされ、パワースイッチ29側の接続端子23bに導かれるようになっている。
【0017】
次に、上記構成の内燃機関用点火装置の組立手順について説明する。まず、ヒートシンク26にパワースイッチ29を押圧板33の弾発力に逆らって圧入して、ヒートシンク26とパワースイッチ29とが一体になったパワースイッチアセンブリ40を構成する。その後、ヒートシンク用係止部27a、27bを被係止部32a、32bに弾接係合して、パワースイッチアセンブリ40を低圧端子ブロック22と一体化する。次に、上下に重なりあった端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとを上下から溶接電極で挟み込み、端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとを溶接接合する。
【0018】
その後、係止部材34の上端部に形成された被係止部35a、35bに係止部24a、24bが係止されて、低圧端子ブロック22と一次コイルアセンブリ25とが一体化される。この一体化の際、一次コイル巻線4aの一端部4aがU字状をした接続端子23aに自動的に導かれ、また一次コイル巻線4aの他端部4aがU字状の接続端子23bに導かれる。次に、接続端子23a、23bを一次コイル巻線4aの一端部4a、他端部4aにヒュージンング等で被膜を溶かしつつ圧着して、一次コイル4と電源端子11a、および一次コイル4とパワースイッチ7との電気的接続が行われる。
【0019】
上記構成の内燃機関用点火装置では、押圧板33の弾発力に逆らってパワースイッチ29がヒートシンク26に圧入され、固定され、またパワースイッチ29の金属放熱板30とヒートシンク26とは所定の接触圧が確保される。そのため、従来必要としたパワースイッチ7とヒートシンク9とを固着するねじ10等の締結部材を必要とせず、部品点数、締結工数の削減により製造コストが低減される。また、ねじ10の頭部用のスペース、ヒートシンク26のネジ穴を形成するための厚みが不要となり、ヒートシンク26の厚さ寸法を低減することができる。
また、ヒートシンク26は容器状になっており、パワースイッチ29の周囲を覆っており、ヒートシンク26の放熱面積を大きくすることができ、パワースイッチ29内のパワートランジスタ8に一次電流が流れることにより発生する熱による温度上昇を抑えることができ、パワースイッチ29の信頼性を確保できる。 さらに、ヒートシンク26の一面が絶縁ケース41の内面に接触され、ヒートシンク26の他面も外気に通じる空気空間部42を形成した絶縁ケースの内面に接触されており、ヒートシンク26は間接的に外気と接触する面積が増大し、パワースイッチ29からの熱はヒートシンク26を介して効率よく放出される。
【0020】
また、低圧端子ブロック22とパワースイッチアセンブリ40とは、それぞれ相互に位置決めと、固定に供される一次ボビン用係止部24a、24b、被係止部32a、32bを有しており、またそれぞれの端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとは平行であるため、低圧端子ブロック22とパワースイッチアセンブリ40とを平行移動することにより、低圧端子ブロック22とパワースイッチアセンブリ40とを簡単に組みつけることができるとともに、そのときには、端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとは互いに当接しており、その後、両者は上下から溶接電極で挟み込み、端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとを溶接接合すればよい。つまり、位置合わせに人手を必要とせず、作業が簡略化される。
【0021】
また、低圧端子ブロック22に対して一次コイルアセンブリ25を垂直方向に移動することにより、係止部24a、24bが被係止部35a、35bに係合され、低圧端子ブロック22と一次コイルアセンブリ25とを簡単に組みつけることができるとともに、そのときには、接続端子23a、23bに一次コイル巻線4aの一端部4a,他端部4aが挿入されており、その後、接続端子23a、23bを圧着すればよい。
【0022】
このように、低圧端子ブロック22に対してパワースイッチアセンブリ40を水平移動し、また一次コイルアセンブリ25を垂直移動することにより、低圧端子ブロック22、パワースイッチアセンブリ40および一次コイルアセンブリ25を互いに簡単に組みつけることができるとともに、端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとの当接、および接続端子23a、23bに対する一次コイル4の一端部4a、他端部4bの挿入が自動的に行われるので、組みつけ、接続の自動化が可能となる。
【0023】
また、低圧端子ブロック22とパワースイッチアセンブリ40と一次コイルアセンブリ25とは組みつけ後、搬送時の振動等により、互いに分離することがないため、例えば本発明の組みつけを内燃機関用点火装置の最終工程ラインで行う必要がなくなり、別製造ラインで組みつけてもよく、組立工程の選択幅を拡げることができ、結果的には組みつけコストを低下することができる。
【0024】
また、端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとの電気的接続および接続端子23a、23bと一次コイル巻線4aの一端部4a、他端部4aとの電気的接続を絶縁ケース41内で行う必要がなくなり、絶縁ケース41の開口部の面積を大きくする必要性がないため、内燃機関用点火装置全体を小型化することができる。
【0025】
参考例1
図3はこの発明の参考例を示す内燃機関用点火装置の分解斜視図であり、図において、電源端子11a、信号端子11bおよび接地端子11cがインサート成形された低圧端子アセンブリ20には枠体51を有しており、この低圧端子アセンブリ20とコネクタハウジング21とは一体化されて低圧端子ブロック50を構成している。低圧端子アセンブリ20の両側には、一次コイル巻線4aの一端部4aおよび他端部4aと接続されるU字形状の接続端子23a、23bがそれぞれ設けられている。また、低圧端子アセンブリ20の両側には、一次コイルアセンブリ25との係止を可能にする一次ボビン用係止部24a、24bが設けられている。枠体51の内側には、凸部52が形成されており、この凸部52がパワースイッチ29の凹部31に嵌着することにより、パワースイッチ29は低圧端子ブロック50に対して固定される。
【0026】
パワースイッチ29の端子7a、7b、7cは予備端子53を介して接続部11d、11b、11cとそれぞれ接続される。予備端子53の一端部には端子7a,7b、7cが圧入されて溶接される第1の接合部53aが形成されており、他端部には接続部11d、11b、11cが挿入されて溶接や半田付けされる第2の接合部53bが形成されている。
【0027】
パワースイッチ29を覆うヒートシンク54の底面には、スリット55が形成されており、またその底面には、ヒートシンク54からパワースイッチ29が抜けるのを防止するとともに、ヒートシンク54とパワースイッチ29の金属放熱板30との間で所定の接触圧力を得るための突起部56が形成されている。
【0028】
次に、上記構成の内燃機関用点火装置の組立手順について説明する。まず、端子7a、7b、7cに予備端子53が嵌着されたパワースイッチ29を枠体51内に落とし込む。そのとき、予備端子53の第2の接合部53bは接続部11d、11b、11cに自動的に嵌着される。その後、ヒートシンク54をパワースイッチ29と一体化された低圧端子ブロック50に圧入し、金属放熱板30に対してヒートシンク54に所定の接触圧を与える。その後、係止部材34の上端部に形成された被係止部35a、35bに係止部24a、24bが弾接係止されて、低圧端子ブロック50と一次コイルアセンブリ25とが一体化される。
この一体化の際、一次コイル4aの一端部4aがU字状をした接続端子23aに自動的に導かれ、また一次コイル4aの他端部4aがU字状の接続端子23bに導かれ、その後に接続端子23a、23bが一次コイル4aの一端部4a、他端部4aに圧着される。
【0029】
その後、端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとの電気的接続箇所、および接続端子23a、23bと一次コイル巻線4aの一端部4a、他端部4aとの電気的接続箇所にディップ半田槽に浸漬して、接続箇所の半田付けを行う。
【0030】
この参考例では、実施例1と同様の効果を得ることができるとともに、接続箇所の半田付けを一度で行うことができる。
【0031】
参考例2
図4はこの発明の他の参考例を示す分解斜視図であり、図において、電源端子11a、信号端子11bおよび接地端子11cがインサート成形された低圧端子アセンブリ20には枠体51を有しており、この低圧端子アセンブリ20とコネクタハウジング21とは一体化されて低圧端子ブロック50を構成している。低圧端子アセンブリ20の両側には、一次コイル巻線4aの一端部4aおよび他端部4aと接続されるU字形状の接続端子23a、23bがそれぞれ設けられている。また、低圧端子アセンブリ20の両側には、一次コイルアセンブリ25との係止を可能にする一次ボビン用係止部24a、24bが設けられている。枠体51の内側には、凸部52が形成されており、この凸部52がパワースイッチ29の凹部31に嵌着することにより、低圧端子ブロック50はパワースイッチ29に対して固定される。また、枠体51の上端面にはヒートシンク58と係合可能な係合部57が形成されている。
【0032】
パワースイッチ29の上面を覆うヒートシンク58には、係合部57と係合される穴部59が形成されているとともに、そのヒートシンク58の裏面には突起部60が形成されている。この突起部60はパワースイッチ29の表面に形成された凹部61に嵌着され、またヒートシンク58とパワースイッチ29とは熱伝導率の高い接着剤を用いて一体化されている。
【0033】
この参考例の場合、内燃機関用点火装置の組立において、接着剤でヒートシンク58と一体化されたパワースイッチ29を枠体51内に落とし込み、そのとき端子7a、7b、7cと接続部11d、11b、11cとを当接し、また凸部52をパワースイッチ29の凹部31に嵌着するとともに、係合部57を穴部59に弾接係合し、低圧端子ブロック50、パワースイッチ29およびヒートシンク58を一体化する点が上記実施例1および参考例1と異なる。
【0034】
また、一連の組み立て作業を各組立部材を垂直方向に移動させることにより行うことができ、組立作業が簡単となる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の請求項1記載の内燃機関用点火装置によれば、パワースイッチはヒートシンクに弾接係合されて、一体化されたので、例えばネジ等の締付具を必要とせずして、パワースイッチにヒートシンクを固定することができ、締付具および締付工数が削減され、製造コストが低減される効果がある。
また、容器形状をしたヒートシンク内にパワースイッチを納めたので、ヒートシンクとパワースイッチとの接触面積は増大し、パワースイッチの熱はヒートシンクから効率よく外部に放出され、パワースイッチの信頼性が向上する効果もある。
また、ヒートシンクに設けられた押圧部材により、パワースイッチにヒートシンクを圧接したので、パワースイッチに対してヒートシンクが大きな接触圧力で接触することになり、パワースイッチの熱はヒートシンクから効率よく外部に放出され、パワースイッチの信頼性が向上する効果もある。
また、ヒートシンクの一面が絶縁ケースの内面に接触し、ヒートシンクの他面が外気に通じる空気層を形成した絶縁ケースの内面も接触したので、ヒートシンクは間接的に外気と接触する面積が増大し、パワースイッチの熱はヒートシンクから効率よく外部に放出され、パワースイッチの信頼性が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例を示す内燃機関用点火装置の分解斜視図である。
【図2】 図1の内燃機関用点火装置の断面図である。
【図3】 この発明の参考例を示す内燃機関用点火装置の分解斜視図である。
【図4】 この発明の他の参考例を示す内燃機関用点火装置の分解斜視図である。
【図5】 従来の内燃機関用点火装置の側面図である。
【図6】 図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】 内燃機関用点火装置の電気回路図である。
【符号の説明】
2 鉄芯、3 一次ボビン、4 一次コイル、7a、7b、7c 端子、11a 電源端子、11b 信号端子、11c 接地端子、15 絶縁樹脂材、20 低圧端子アセンブリ、22 低圧端子ブロック、23a、23b 接続端子、24a、24b 係止部、25 一次コイルアセンブリ、26 ヒートシンク、27a、27b 係止部、29 パワースイッチ、32a、32b 被係止部、33 押圧板(押圧部材)、34 係止部材、35a、35b 被係止部、40 パワースイッチアセンブリ、41 絶縁ケース、42 空気空間部、50 低圧端子ブロック、51 枠体、52 凸部、53 予備端子、54 ヒートシンク、56 突起部、57 係合部、58 ヒートシンク、59 穴部、60 突起部、61 凹部。

Claims (1)

  1. イグニションコイルの一次電流を断続通電するパワースイッチと、このパワースイッチに接触しパワースイッチで発生した熱を放熱するヒートシンクと、前記イグニションコイルの一次コイルと二次コイルとが絶縁ケース内に内蔵され、かつこの絶縁ケース内に注入された絶縁樹脂材により、前記パワースイッチ、前記ヒートシンク、前記一次コイルおよび前記二次コイルが固定化された内燃機関用点火装置において、前記パワースイッチは前記ヒートシンクに弾接係合され、一体化され、
    容器形状をした前記ヒートシンク内に前記パワースイッチが納められ、
    前記ヒートシンクに設けられた押圧部材により、前記パワースイッチにヒートシンクが圧接され、
    前記ヒートシンクの一面が前記絶縁ケースの内面に接触し、ヒートシンクの他面も外気に通じる空気層を形成した前記絶縁ケースの内面に接触したことを特徴とする内燃機関用点火装置。
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