JP3666778B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動機の動力をステアリング系に直接作用させ、ドライバの操舵力を軽減する電動パワーステアリング装置に係り、特に路面からの振動を電気的に検出して車速センサの故障を判定する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動パワーステアリング装置において、車速応動に対しての車速計測は車両のスピードメータと同一の車速センサを用いて、磁石の極をラジアル方向に車輪軸(ドライブシャフト)に取り付け、それに対向させたコイルやリードスイッチ等を配置した構成等で、車輪速の回転に伴う磁束の変化量によって発生するパルスの周期信号からCPU等で演算を行い車速を求め、その車速センサの故障を検出するために2つの車速センサを用いて、2つの車速センサ出力の差を検出して車速センサの故障を検出する方法が知られている。
【0003】
また、エンジンの回転数、パーキングブレーキ、フットブレーキの作動状態やトランスミッションのシフトレバ位置等を検出し、車速センサの信号とによって、車速センサの故障を推定する方法が知られている。
【0004】
さらに、特開平8−169355号公報に開示されているように、エンジンの回転数を2つ設定し、アイドリング時のエンジン回転数よりも高い第1の設定エンジン回転数を設け、エンジン回転数の検出信号との比較により車両の停止時と走行時を車速センサとにより判定し、さらに、アイドリング時以外のエンジン回転数の低い第2の設定エンジン回転数を設け、停止時と走行時を車速センサとにより判定する方法も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の車速センサの故障を検出する方法は、2つの車速センサを用いて、2つの車速センサ出力によって車速の差を検出して車速センサの故障を検出したり、エンジンの回転数を用いて演算等を行っているため以下のような課題がある。
【0006】
2つの車速センサを用いて、各々2つの車速センサ出力信号から車速の差を検出して車速センサの故障を検出しようとしても、出力信号が同じ車速であるため、どちらの車速センサが故障したのかが判定できない課題がある。
【0007】
また、2つの車速センサを用いて、2つの車速センサ出力信号から車速の差を検出するために、2つの車速センサのパルス周期信号をCPU等で演算するので、ECU(電子制御ユニット)の回路や車速センサの追加に伴いコストのアップを招く課題がある。
【0008】
エンジンの回転数、パーキングブレーキ、フットブレーキの作動状態やトランスミッションのシフトレバ位置等を検出し、検出信号と車速センサの信号とによって、車速センサの故障を推定する方法では、作動状態の検出する複数の回路や、複数のセンサや、これらセンサと回路とを接続するハーネス等の増加に伴ってコストアップを招く課題および車速センサの故障の推定の精度が悪いという課題がある。
【0009】
この発明は、このような課題を解決するためなされたもので、その目的は新たにセンサ等を装備せずに、操舵トルク信号もしくは電動機に流れる電流信号から車速センサの故障を検出することができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、制御手段に操舵トルク信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、制御手段に操舵トルク信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたので、操舵トルク信号に路面からの振動成分があり、且つ車速信号からの出力信号が検出されない場合に車両が走行中と見なして、車速センサの故障を検出することができる。
すなわち、車両が走行していると路面からの振動がステアリング系を介して操舵トルクセンサに作用するので、走行中は操舵トルクセンサの出力信号に所定周波数帯域(10〜15Hz)の振動成分が含まれている。この所定周波数帯域を検出し、車速センサからの信号と比較することにより車速センサの故障を検出することができる。
【0012】
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、操舵トルク対応信号検出手段からの操舵トルク対応信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、操舵トルク対応信号検出手段からの操舵トルク対応信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたので、操舵トルク対応信号に路面からの振動成分があり、且つ車速信号からの出力信号が検出されない場合に車両が走行中と見なして、車速センサの故障を検出することができる。
すなわち、操舵トルク対応信号(例えば電動機電流信号)にも前述の所定周波数帯域の振動成分が含まれている。したがってこの所定周波数帯域を検出し、車速センサからの信号と比較することにより車速センサの故障を検出することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、この発明は車速センサの故障検出を操舵トルク信号およびその対応信号に含まれる路面からの振動成分に基づいて行うことができる電動パワーステアリング装置を提供するものである。
【0015】
図1はこの発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
電動パワーステアリング装置1は、ハンドル2に一体的に設けられたステアリング軸3に自在継ぎ手4a,4bを備えた連結軸4を介してステアリングギヤボックス内に設けられたラック&ピニオン機構5によって、機械的に連結され手動操舵力発生手段6が構成される。
【0016】
ステアリング軸3の回転運動をラック&ピニオン機構5により往復運動するラック軸7は、その両端にタイロッド8を介して転動輪としての左右の前輪9が連結される。
【0017】
手動操舵力発生手段6による操舵力を軽減するため、操舵補助力を供給する電動機10をラック軸7の同軸上に配置し、また同様にボールネジ機構11を同軸上に配置し、これを介し操舵補助力を推力に変換してラック軸7に作用させる。
【0018】
ステアリングギヤボックス内には手動トルクを検出するための操舵トルクセンサ12を設け、操舵トルク信号Tを制御手段15に供給する。
【0019】
また、車の速度に対応した車速を検出するための車速センサ17を設け、車速信号Vを制御手段15に供給する。
【0020】
なお、操舵トルクセンサ12をトーションバのトルク量の変化に対応した捩れ変位を電圧に変換するポテンションメータ、車速センサ17を磁石に対向配置するコイルやリードスイッチ等で構成する。
【0021】
また、操舵トルクセンサ12は操舵の回転方向とトルク量に応じた操舵トルク信号T、車速センサ17は車の前後方向と車の速度に応じた車速信号Vをそれぞれ出力し制御手段15に供給する。
【0022】
制御手段15は、マイクロプロセッサを基本に各種演算手段、処理手段、メモリ等で構成し、少なくとも操舵トルク信号Tに対応した目標電流信号に変換し、この目標電流信号に対応した電動機制御信号VOを発生することによって電動機駆動手段16を介して電動機10を電動機電圧VMでPWM(パルス幅変調)駆動する。
【0023】
また、制御手段15は、路面からの振動を操舵トルク信号Tやその対応信号(例えば電動機電流信号IMO)に含まれる所定の周波数帯域成分から検出し、この状態を車両が走行中と推定し、この時車速信号Vが0ならば車速センサ17が故障と判定する。
【0024】
電動機駆動手段16は、例えば4個のスイッチング素子(FET:パワ用電界効果型トランジスタやIGBT:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ等)のブリッジ回路で構成し、電動機制御信号VO(PWM制御信号)に対応した電動機電圧VMを発生し、操舵トルクTの絶対値と方向に対応した双方向の電動機電流IM電動機10を正転方向または逆転方向に駆動する。
【0025】
電動機電流検出手段54は、電動機10に実際に流れる電動機電流IMを低抵抗等で電位を検出し、検出した電圧に対応する電動機電流信号IMOに変換して制御手段15に供給し、目標電流信号にフィードバック(負帰還)する。
【0026】
図2は本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態の要部ブロック構成図である。
なお、本発明は、操舵トルク信号Tから所定の周波数帯域成分を抽出し、抽出した信号が所定値以上で、且つ車速信号Vが0の場合には、車速センサの故障と判断するものである。
【0027】
図2において、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ12と、車速センサ17と、制御手段15と、電動機駆動手段16と、電動機電流検出手段54と、判定出力手段20と、電動機10とから構成する。
【0028】
制御手段15は、マイクロプロセッサを基本に構成し、フィルタ手段18と、判定手段19と、目標信号発生手段21と、駆動制御手段22および減算器52を備える。
【0029】
操舵トルクセンサ12は、操舵トルク信号Tをフィルタ手段18に供給するとともに、トルク量を制御するための操舵トルク信号Tを目標信号発生手段21に供給する。
【0030】
車速センサ17は、車速信号Vを判定手段19に供給するとともに、速度量に対応させてトルク量を制御するために車速信号Vを目標信号発生手段21に供給する。
【0031】
目標信号発生手段21は、ROM等のメモリで構成し、実験や理論計算等に基づいて設定した値をメモリより選択して算出した目標値を用いて、ステアリング状態に対応して往きと戻りの目標信号Tiを出力する。
【0032】
減算器52は、目標信号発生手段21からの目標信号Tiから電動機電流検出手段54からの電流検出信号IMOを減算し、減算信号△I(=Ti−IMO)を駆動制御手段22に供給する。
【0033】
駆動制御手段22は、減算器52からの減算信号△Iにより電動機の駆動に適した電動機制御信号VOを電動機駆動手段16に供給する。
【0034】
フィルタ手段18は、バンドパスフィルタ(BPF)、閾値設定、ROM等で構成し、操舵トルクセンサ12が検出した操舵トルク信号Tをフィルタに通し、車両の走行中に発生する路面からの振動に対応した周波数帯域成分のみを抽出し、さらに車速信号Vとの比較が容易にできるように、この抽出した信号に対し閾値を設定し、カットオフを行い周波数抽出信号Teを出力する。
【0035】
また、フィルタ手段18は、図4に示すようなBPFによって、路面からの振動成分が重畳されている操舵トルク信号Tから車両の走行中に発生する路面からの振動成分の周波数帯域の信号のみを抽出する。
【0036】
図4は、この発明に係るフィルタ手段18の特性図である。
図4はバンドパスフィルタで構成され、車両の走行中に路面からの振動成分である周波数帯域、例えば10〜15Hz程度の周波数バンドのみをパスさせる特性を有し、車両のハンドルの操舵時に路面からの振動成分が重畳した操舵トルク信号Tから、路面からの振動成分のみ抽出することができる。
【0037】
フィルタ手段18は、図4に示すように、周波数分布特性は、ハンドルの操舵時に表れる周波数帯域が0.1〜5Hz程度の低周波数成分をカットするとともに、15Hz以上の高周波数帯域成分をカットし、10〜15Hz程度の周波数帯域のみをパスさせる。
【0038】
また、図5は路面からの振動成分が重畳された操舵トルク信号Tsの波形図である。
また、ここでは便宜上操舵トルク信号Tを操舵トルク信号Tsで表わしたが操舵トルク信号Tと操舵トルク信号Tsとは同等である。
図5の(a)図は操舵トルク信号Tsの周波数帯域の波に路面からの振動成分の周波数信号Tssが重畳されている。
図5の(b)図は操舵トルク信号Tsの周波数帯域の波から、路面からの振動成分の周波数信号Tssのみの波形を抽出したものである。
【0039】
フィルタ手段18は、図5(a)のように、操舵トルク信号Tsは、操舵による操舵トルクのみの信号Tst(例えばこの信号Tstの周波数は0.1〜5Hz程度。)と車両の走行中に発生する路面からの振動成分の周波数の信号Tss(例えばこの信号Tssの周波数は10〜15Hz程度。)との信号成分とが混合されている信号Tsからなっている。
【0040】
フィルタ手段18は、図5(a)のように、重畳されている操舵トルク信号TsからBPFのようなフィルタによって、周波数の低い低周波成分からなる操舵トルクのみの信号Tstを除き、車両の走行中に発生する路面からの振動成分の周波数の信号Tssのみをパスさせて、図5(b)のような信号Tssを抽出する。(一応ここでは、信号Tstと信号Tssとの信号周波数とを比べて表現する。)
【0041】
さらに、フィルタ手段18は、ROM等に実験や理論計算等に基づいて設定した、例えば閾値Vcのようなデータを予めメモリに記憶しておき、抽出信号に対し、外来のノイズ(ホワイトノイズも含む)量を閾値Vc以下をカットオフを行い、さらに増幅、波形整形等を行って、信号レベルが所定値以上である車両の走行中に発生する走行周波数の周波数抽出信号Teを判定手段19に供給する。
【0042】
このように、フィルタ手段18は、操舵トルク信号Tsの所定周波数帯域成分を検出し、検出した信号レベルが所定値以上の時信号Teを判定手段19に供給する。
【0043】
判定手段19は、比較、波形整形等の回路を備え、車速センサ17からの車速信号Vとフィルタ手段18で抽出された周波数抽出信号Teとを同等の電位まで増幅し、さらにこれらを整流して、電位として車速信号Vと周波数抽出信号Teとの比較を行い、判定結果の信号Sgを判定出力手段20に供給する。
両方の入力信号が同時にあるか、もしくは同時にない時に出力信号をL(正常)として出力する。
【0044】
すなわち、判定手段19は、車速信号Vと周波数抽出信号Teとの両方の入力信号が同じ時に正常とし出力信号Lを出力し、一方の入力信号があるのに、他方の信号がない場合には故障とし出力信号H(故障)を出力する。
特に、周波数抽出信号Teの入力信号があるのに、車速信号Vがない時に(V=0)車速センサ17が故障と判定し、判定結果の信号Sg(車速センサが故障)を判定出力手段20に供給する。
【0045】
さらに、判定手段19は、車速センサ17が故障と判定した時に、判定結果の信号Sg(車速センサが故障)を目標信号発生手段21に供給し、目標信号発生手段21に作用して、車速センサ17からの信号を強制的に高車速(例えばV=100Km/h)に固定する。
【0046】
このように、判定手段19は、フィルタ手段18で操舵トルク信号Tから所定周波数帯域成分である車両の走行中に発生する路面からの振動成分のみを検出して信号レベルが所定値以上である周波数抽出信号Teと車速信号Vとの比較を行い、周波数抽出信号Teが検出されているにも拘らず、車速信号が0の場合には車速センサが故障であることを判定する。
【0047】
判定出力手段20は、判定手段19からの判定結果信号Sgを受け、車速センサ17が故障した場合に、故障に対する警報をランプの点灯や点滅による可視的情報ならびに、警報をブザーやスピーカによる音声等の聴覚的情報によって、運転者や搭乗者等に知らせる。
【0048】
このように、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、制御手段に操舵トルク信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたので、操舵トルク信号に路面からの振動成分があり、且つ車速信号からの出力信号が検出されない場合に車両が走行中と見なして、車速センサの故障を検出することができる。
【0049】
図3は本発明の請求項2に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態の要部ブロック構成図である。
なお、本図の構成は、操舵トルクに対応した信号として電動機に流れる電流を検出し、この電動機電流信号のうち所定の周波数帯域成分のみを抽出し、抽出した信号が所定値以上で、且つ車速信号が0の場合には、車速センサの故障と判断し出力する電動パワーステアリング装置に関する。
【0050】
図3において、電動パワーステアリング装置は、操舵トルクセンサ12と、車速センサ17と、制御手段15と、判定出力手段20と、電動機駆動手段16と、電動機電流検出手段54および電動機10とから構成する。
【0051】
制御手段15は、マイクロプロセッサを基本に構成し、フィルタ手段18と、判定手段19と、目標信号発生手段21と、駆動制御手段22および減算器52を備える。
【0052】
目標信号発生手段21と、駆動制御手段22および減算器52は図2に示す構成と同一なので説明は省略する。
【0053】
電動機電流検出手段54は、電動機駆動手段16のFETブリッジと電動機10の間に設けた低抵抗間に発生する電位から電動機10に流れる電流IMを検出し、電流検出信号IMOを減算器52にフィードバックするとともに、電流検出信号IMOを電動機電流信号Scとしてフィルタ手段18に供給する。
【0054】
フィルタ手段18は、バンドパスフィルタ(BPF)、閾値設定、ROM等で構成し、電動機電流検出手段54から検出した電動機電流信号Scをフィルタに通し、車両の走行中に発生する路面からの振動に対応した周波数帯域成分のみを抽出し、さらに車速信号Vとの比較が容易にできるように、この抽出した信号に対し閾値を設定し、カットオフを行い周波数抽出信号Seを出力する。
【0055】
また、フィルタ手段18は、図4に示すようなBPFによって、路面からの振動成分が重畳されている電動機電流信号Scから車両の走行中に発生する路面からの振動成分の周波数帯域の信号のみを抽出する。
【0056】
図4は、この発明に係るフィルタ手段18の特性図である。
図4はバンドパスフィルタで構成され、車両の走行中に路面からの振動成分である周波数帯域、例えば10〜15Hz程度の周波数バンドのみをパスさせる特性を有し、電動パワーステアリング装置のハンドルの操舵時に路面からの振動成分が重畳した電動機電流信号Scから、路面からの振動成分のみ抽出することができる。
【0057】
フィルタ手段18は、図4に示すように、周波数分布特性は、ハンドルの操舵時に表れる周波数帯域が0.1〜5Hz程度の低周波数成分をカットするとともに、15Hz以上の高周波数帯域成分をカットし、10〜15Hz程度の周波数帯域のみをパスさせる。
【0058】
図6は路面からの振動成分が重畳された電動機電流信号Scの波形図である。
図6の(a)図は電動機電流信号Scの周波数帯域の波に路面からの振動成分の周波数信号Tssが重畳されている。
図6の(b)図は電動機電流信号Scの周波数帯域の波から、路面からの振動成分の周波数信号Tssのみの波形を抽出したものである。
【0059】
フィルタ手段18は、図6(a)のように、電動機電流信号Scは、操舵による電動機10の駆動電流のみの電動機電流信号Sci(例えばこの信号Sciの周波数は0.1〜5Hz程度。)と車両の走行中に発生する路面からの振動成分の周波数の信号Tss(例えばこの信号Tssの周波数は10〜15Hz程度。)との信号成分とが混合されている信号Scからなっている。
【0060】
フィルタ手段18は、図6(a)のように、重畳されている電動機電流信号ScからBPFのようなフィルタによって、周波数の低い低周波成分からなる操舵による電動機電流信号Sciのみを除き、車両の走行中に発生する路面からの振動成分の周波数の信号Tssのみをパスさせて、図6(b)のような信号Tssを抽出する。(一応ここでは、信号Sciと信号Tssとの信号周波数とを比べて表現する。)
【0061】
さらに、フィルタ手段18は、ROM等に実験や理論計算等に基づいて設定した、例えば閾値Vdのようなデータを予めメモリに記憶しておき、抽出信号に対し、外来のノイズ(ホワイトノイズも含む)量を閾値Vd以下をカットオフを行い、さらに増幅、波形整形等を行って、信号レベルが所定値以上である車両の走行中に発生する走行周波数の周波数抽出信号Seを判定手段19に供給する。
【0062】
このように、フィルタ手段18は、電動機電流検出手段からの電動機電流信号の所定周波数帯域成分を検出し、検出した信号レベルが所定値以上の信号を判定手段19に供給する。
【0063】
判定手段19は、比較、波形整形等の回路を備え、車速センサ17からの車速信号Vとフィルタ手段18で抽出された周波数抽出信号Seとを同等の電位まで増幅し、さらにこれらを整流して、電位として車速信号Vと周波数抽出信号Seとの比較を行い、判定結果の信号Sgを判定出力手段20に供給する。
両方の入力信号が同時にあるか、もしくは同時にない時に出力信号をL(正常)として出力する。
【0064】
すなわち、判定手段19は、車速信号Vと周波数抽出信号Seとの両方の入力信号が同じ時に正常とし出力信号Lを出力し、一方の入力信号があるのに、他方の信号がない場合には故障とし出力信号H(故障)を出力する。
特に、周波数抽出信号Seの入力信号があるのに、車速信号Vがない時に(V=0)車速センサ17が故障と判定し、判定結果の信号Sg(車速センサが故障)を判定出力手段20に供給する。
【0065】
さらに、判定手段19は、車速センサ17が故障と判定した時に、判定結果の信号Sg(車速センサが故障)を目標信号発生手段21に供給して、目標信号発生手段21に作用して、車速センサ17からの信号を強制的に高車速(例えばV=100Km/h)に固定する。
【0066】
このように、判定手段19は、フィルタ手段18で電動機電流信号Scから所定周波数帯域成分である車両の走行中に発生する路面からの振動成分のみを検出して信号レベルが所定値以上である周波数抽出信号Seと車速信号Vとの比較を行い、周波数抽出信号Seが検出されているにも拘らず、車速信号が0の場合には車速センサが故障であることを判定する。
【0067】
判定出力手段20は、判定手段19からの判定結果信号Sgを受け、車速センサ17が故障した場合に、故障に対する警報をランプの点灯や点滅による可視的情報ならびに、警報をブザーやスピーカによる音声等の聴覚的情報によって、運転者や搭乗者等に知らせる。
【0068】
なお、操舵トルクに対応した信号として目標信号Tiや電動機制御信号Voを使用することもできる。
【0069】
このように、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、操舵トルク対応信号検出手段からの操舵トルク対応信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたので、操舵トルク対応信号に路面からの振動成分があり、且つ車速信号からの出力信号が検出されない場合に車両が走行中と見なして、車速センサの故障を検出することができる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、制御手段に操舵トルク信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたので、操舵トルク信号に路面からの振動成分がある時に、車速信号からの出力信号が検出されない場合に、車速センサの故障を検出することができ、新たにセンサを追加せずに車速センサの故障検出を精度良く行うことができるのでコストパフォーマンスに優れた車速センサの故障検出ができる。
【0071】
また、請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、操舵トルク対応信号検出手段からの操舵トルク対応信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたので、操舵トルク対応信号に路面からの振動成分がある時に、車速信号からの出力信号が検出されない場合に、車速センサの故障を検出することができ、新たにセンサを追加せずに車速センサの故障検出を精度良く行うことができるので安価で性能の優れた車速センサの故障検出ができる。
【0072】
よって、コストパフォーマンスに優れ、より信頼性を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図
【図2】本発明の請求項1に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態の要部ブロック構成図
【図3】本発明の請求項2に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態の要部ブロック構成図
【図4】バンドパスフィルタの周波数特性図
【図5】トルク検出信号の波形図ならびに該トルク検出信号のフィルタ出力信号波形図
【図6】電動機電流信号の波形図ならびに該電動機電流信号のフィルタ出力信号波形図
【符号の説明】
1…電動パワーステアリング装置、2…ハンドル、3…ステアリング軸、4…連結軸、4a,4b…自在継ぎ手、5…ラック&ピニオン機構、6…手動操舵力発生手段、7…ラック軸、8…タイロッド、9…前輪、10…電動機、11…ボールねじ機構、12…操舵トルクセンサ、15…制御手段、16…電動機駆動手段、17…車速センサ、18…フィルタ手段、19…判定手段、20…判定出力手段、21…目標信号発生手段、52…減算器、54…電動機電流検出手段、IM…電動機電流、IMO…電流検出信号、VO…電動機制御信号、VM…電動機駆動信号、Sc…電動機電流信号、Sci…電動機電流信号のみの信号、Se,Te…周波数抽出信号、Sg…判定結果信号、T,Ts…操舵トルク信号、Ti…目標信号、Te…周波数抽出信号、Tss…路面振動周波数の信号、Tst…操舵トルクのみの信号、V…車速信号、Vc,Vd…閾値、Vs…車速信号、△I…目標電流。
Claims (2)
- ステアリング系に補助トルクを付加する電動機と、ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の速度を検出する車速センサと、前記操舵トルクセンサからの操舵トルク信号と前記車速センサからの車速信号に基づいて電動機の駆動を制御する制御手段と、を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、操舵トルク信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、前記車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - ステアリング系に補助トルクを付加する電動機と、ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の速度を検出する車速センサと、前記操舵トルクセンサからの操舵トルク信号と前記車速センサからの車速信号に基づいて電動機の駆動を制御する制御手段と、前記操舵トルクに対応した信号を検出する操舵トルク対応信号検出手段と、を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記操舵トルク対応信号検出手段からの操舵トルク対応信号の所定周波数帯域成分を検出するフィルタ手段と、このフィルタ手段が検出した信号レベルが所定値以上で、かつ車速信号が0の場合には、前記車速センサが故障であると判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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