JP3666728B2 - 糸通し具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中通し釣竿の糸通しに使用する糸通し具に関する。
【0002】
【従来の技術】
中通し釣竿は、釣糸が竿管内部を挿通している状態で使用するため、竿先に釣糸が絡むことが防止される等の利点のため、普及している。然しながら、釣糸をそのまま竿管内部に挿通させる作業は困難であるため、糸通し具と呼ばれる細径糸条体を使用する。その例が、本出願人による特開平8−172983号公報に見られる。この公報では、釣竿の先端から糸通し具を挿通させる、所謂、トップイン方式のものを開示している。即ち、釣糸係止部の直ぐ後ろ付近が鎖で形成された糸通し具を竿先から挿入し、この先端部が竿管周壁部に設けた釣糸導入部の長孔部に届いた際、該長孔部を下方に向ければ、先端部はその自重によって落下して長孔から外部に出るというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、釣糸導入部には、長孔部の後方位置(長孔上に位置している場合もある)であって、竿管表面から離隔した位置にガイドリングを設けていることが一般的であり、長孔部から糸通し具の先端部を出した後に、再度この先端部を持って後方のガイドリングにも挿通させなければならず、面倒な感があった。従って、糸通し具の先端部を長孔から外部に出すのみならず、このガイドリングにも挿通させることのできることが好ましく、これを究極の目標とする。しかし、糸通し具の先部が長孔から出ても、重力方向に垂れてしまう構造では前記ガイドリングに挿通させることはできない他、竿先から糸通し具を挿通させる場合にも、鎖部の腰の無さのために先端部が竿管内部に引っ掛かり易く、挿通させ難い。依って本発明は、トップイン方式の場合の糸通し作業を円滑に行なうことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み、請求項1において、細長い糸条本体を有し、該糸条本体の先部に自重程度の力によって屈曲可能に取り付けられた先端部品の前記糸条本体の軸線方向に対する最大屈曲角度が45度以下であることを特徴とする糸通し具を提供する。
最大屈曲角度が45度以下であるため、挿通操作時に竿管内部に引っ掛かり難く、挿通作業が円滑に行なえる他、釣糸導入部の竿管周壁部に設けた孔位置に達した際に、45度以下ではあるが屈曲するため、孔を下向きにしておけば、先端部品が孔から外部に出易く、また、そのまま孔の後ろのガイドリングにも挿通させ易い。
【0005】
請求項2において、細長い糸条本体を有し、該糸条本体の先部に自重程度の力によって屈曲可能に取り付けられた先端部品の前記糸条本体の軸線方向に対する屈曲角度の大きさを45度以内に調節できる調節部材を具備することを特徴とする糸通し具を提供する。
釣糸導入部の竿管周壁部に設けた孔とその後ろのガイドリングとの寸法位置関係は、原則として竿種毎に異なるが、調節部材を具備しているため、使用する竿の釣糸導入部の形態にできるだけ合うように調節でき、糸通し作業が円滑になる。
【0006】
請求項3において、前記先端部品と糸条本体との間の屈曲部から所定長さ後方位置の糸条本体に、釣竿の先端から竿管内部に挿通可能な目印を設けてなる請求項1又は2記載の糸通し具を提供する。複数箇所に目印を設けている場合も本願範囲である。
請求項1又は2の作用に加え、糸通し具の目印から屈曲部までの所定長さが、竿先から釣糸導入部の竿管周壁部に設けた孔までの距離に対応する釣竿に対して、糸通し作業の際に目印が釣竿先端に位置するまで糸通し具を押し込めば、釣糸導入部の孔を下方に向けておけば、この孔から糸通し具の先端部品が概ね自動的に出る。従って、糸通し作業が円滑になる。更には、この目印が竿先から竿管内部に挿通可能であるため、孔から糸通し具の先端部品が出た後、孔後方のガイドリングに挿通できていない場合にそこに挿通させる作業をしたり、或いは、リールからの釣糸を先端部品に係止させたりする作業のために要する糸通し具の作業長さを確保するために、釣糸導入部において糸通し具を更に引き出すことができる。
【0007】
請求項4において、前記目印は糸条本体上の位置を調節可能に構成してなる請求項3記載の糸通し具を提供する
【0008】
請求項4では、請求項3の作用に加え、目印が糸条本体上の位置を調節可能であるため、使用する釣竿の先端から釣糸導入部の竿管周壁部に設けた孔までの距離に合致するように調節できるため、1つの糸通し具が種々の釣竿に使用可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態例に基づき、更に詳細に説明する。
図1は本発明に係る糸通し具30を使用した糸通し作業中の中通し釣竿の側面図であり、図2と図3は要部拡大縦断面図である。元竿10から第1中竿12を振り出して、元竿の継合部10Tに継ぎ合わせている。その他の中竿と穂先竿14は第1中竿12に収納した状態としている。これらの竿管はエポキシ樹脂等の合成樹脂を炭素繊維等の強化繊維で強化した繊維強化樹脂製であり、元竿10の所定位置にはリール20を装着するリール固定装置18が設けられている。
【0010】
元竿の先部であって、継合部10Tの後ろ近くには、釣糸導入部16が設けられている。この釣糸導入部は、元竿竿管周壁部に長孔10Hが設けられており、この長孔の直ぐ後ろ近くには、フレーム体16Fに保持されて元竿竿管表面から離隔した高い位置に支持されたセラミックス製のガイドリング16Gが設けられている。前記長孔は、元竿竿管周壁部に直接形成した本体長孔の前端部と後端部を縁取るように配設された、夫々C形状のセラミックス製のガイド部材10G,10G’と、これらの間を接続して本体長孔を縁取るように配設された合成樹脂等の部材10Pとによって区画形成されている。
【0011】
上記状態の釣竿を図1のように、重い元竿後端を地面等につけた傾斜状の安定状態で、以下において説明する糸通し具30を、その先端部に設けた釣糸係止部30Kを先頭にして穂先竿14の先端であるトップガイド14Gから竿管内部に挿入して糸通し作業を行なう。例えば、この糸通し具30は図4に示すように構成されており、細長い糸条本体30Hの一端部に、図5以下で説明する屈曲構造を有しつつ、その先端に釣糸係止部30Kを設けている。一方、この先端部から所定長さL3だけ他端側に離れた位置に目印30M2が、所定長さL2だけ他端側に離れた位置に目印30M1が、更には、所定長さL1だけ他端側に離れた位置には抜け止め部材30Bが夫々設けられている。L1>L2>L3である。
【0012】
この場合は、糸通し具の先端部から目印30M1までの長さL2が、図1の状態の釣竿のトップガイド14Gから釣糸導入部16の長孔10H(の適宜位置)までの長さLと概ね同じに構成されており、この目印30M1がトップガイド14Gの位置に来るまで糸条本体30Hを押し込めば、糸通し具先端部(屈曲部か屈曲構造部か釣糸係止部)が長孔の位置に到達する。従って、釣糸導入部16を、図1に示すように下側に向けておけば、重力の作用で釣糸係止部30K等の糸通し具先端部が撓んで長孔から外部に出てくる。各目印30M1,30M2はその大きさ(径方向の大きさ)が釣竿の先端(トップガイド16G)から竿管内部に挿通可能な大きさに構成されている。
【0013】
撓み角度は、後述の屈曲角度θと糸条本体30Hの撓み角度αの和である。この先端部の重量、屈曲角度、そして糸条本体30Hの撓み剛性等の設定によっては、釣竿先端からの糸条本体30Hの押し込み操作をそのまま続ければ、この押し込み操作のみで、図3に示すように釣糸係止部30Kをガイドリング16Gの中を通すことができる。前記抜け止め部材30Bと先端部との長さ距離L1は、先端部がこのガイドリング16Gを通過し、その釣糸係止部30Kにリール20から引き出した釣糸22を係止させる作業に必要な長さ以上に設定する。両軸受型リールのレベルワインド機構の釣糸挿通孔にまで到達させる長さを有していてもよい。或いは、釣糸係止部が長孔10Hから出ると共に、リールから引き出した釣糸22が、リール側からガイドリング16Gを挿通した状態において、前記長孔から出た釣糸係止部30Kに釣糸先部を係止させる作業が行なえる長さ以上に設定する。
【0014】
この形態例では、目印30M2は使用されなかったが、他の中通し釣竿であって、図1の長さLが糸通し具先端部と目印30M2との長さ距離L3と概ね同じ場合に使用される。逆にその場合は、目印30M1は無くてもよいことになる。このように、図4に示す糸通し具30は2種類の中通し釣竿に使用できる。
【0015】
糸条本体30Hは、ステンレスワイヤー、形状記憶合金等の材料によって形成するとよいが、綿糸やナイロン糸でも可能である。また、細線を多数束ねて編んだり、単線で構成してもよい。竿管内部を挿通させられる適度な撓み剛性を有すると共に、障害物に当った際に適当に変形できる柔軟性も必要である。糸条本体表面にナイロン等の樹脂をコーティングすれば、糸滑り性が良くなり、円滑に糸通し可能となる。先端部の釣糸係止部30Kはステンレスワイヤー等の金属や、綿糸、ナイロン等で形成でき、釣糸が掛け止めされればよく、フック形状、クリップ式構造、折り返しによる挟み込み等の形態がある。
【0016】
抜け止め部材30Bは、釣竿先端から内部に侵入できない大きさに形成しており、糸条本体30Hに対して移動できると共に、任意位置、或いは適宜位置に保持可能に構成すると好ましい。糸条本体に当接する中心部位に、ゴムや合成樹脂等の径方向に弾性変形可能な部材を設ければ移動、保持が可能となる。こうすれば、使用する釣竿の種類に応じて調節でき、適用範囲が広がる。
【0017】
各目印は、塗料による色付けでもよく、また、ゴムや合成樹脂等の部材で構成してもよい。ゴムや合成樹脂では、糸条本体30Hを移動できて、しかも任意位置、或いは適宜位置に保持可能に構成できる。従って、その場合は目印は1つでよく、1つの糸通し具を種々の釣竿に適用できる。
以上の糸通し具に関する各種要素の説明事項を含め、以下に説明する屈曲構造の各種形態例において説明する各要素の説明事項は、互いに矛盾しない限り、他の形態例における組み合わせ事項として互いに適用してもよい。
【0018】
図5は、図4に示した糸通し具の先端部である、屈曲部の構造とその先の釣糸係止部30Kを拡大図示したものであって、(a)は屈曲前の図、(b)は屈曲状態の図である。2本の軸部材J1,J2を互いに屈曲可能に連結し、一方の軸部材J1を、筒部材T1を被せることによって糸条本体30Hに連結固定しており、他方の軸部材J2を、筒部材T2を被せることによって先端の釣糸係止部30Kに連結固定している。これらの連結用筒部材T1,T2はその対向する端面同士が互いに充分離隔しており、軸部材間の屈曲角度に影響を与えないように構成されているが、更にこれらの連結用筒部材T1,T2の外側に、屈曲角度調節用のスリーブ部材ST1,ST2を被せている。この場合、釣糸係止部30K、軸部材J2、筒部材T2、そしてスリーブ部材ST2が自重程度で屈曲可能な先端部品となる。
【0019】
即ち、当該スリーブ部材ST1,ST2の対向端面間距離を調節して、1対の軸部材の屈曲角度が所定角度θになった状態で、前記スリ−ブ部材ST1,ST2の対向端面の所定部位同士が当接し合い、それ以上屈曲することを防止する。スリーブ部材S1,ST2の対向端面間距離の調節は、何れかのスリーブ部材を軸長方向に移動させて、互いの端面間距離を調節すればよい。従って、一方のスリーブ部材ST1又はST2は固定されていてもよい。屈曲角度θは、45度以下になるようにスリーブ部材ST1とST2の間隔を調節できる。45度以下であれば、糸通し具を竿管内に挿通させる場合に、先端部が竿管内部に引っ掛かる虞を低減でき、円滑に挿通させ易い。また、好ましくは、20度以上の屈曲角度になるように設定する。これは、20度以下では、糸通し具の先端部が竿管周壁部の孔から外部に突出し難いからである。
【0020】
1対の軸部材の屈曲を自在にさせるために、図6に示すようなユニバーサルジョイント方式に構成すれば、糸通し具の方向に拘わらず、竿管周壁部の長孔等の孔から糸通し具先端部を出し易い。また、1対の軸部材に代わって、図7に示すように、糸条本体30Hに比べて柔軟な線材J12に置換しても、やはり屈曲方向に方向性が無く、ユニバーサルジョイント方式と同様に孔から出し易い。この図6と図7の場合は、屈曲角度が所定角度になれば、筒部材T1,T2の対向端面同士が当接して屈曲角度を規制する。
【0021】
図8は、互いに隣接した要素部材E間での屈曲角度は小さく、これらが複数個直列に連結されることによって、全体として所望の屈曲角度を呈するよう構成された一種の鎖部材J12(キーホルダー等に使用されている)によって屈曲させるものを示している。その各端部側は、夫々、糸条本体30Hと釣糸係止部30Kとに、筒部材T1,T2によって結合固定されている。図9は、この一種の鎖部材J12を使用した屈曲部を調節して屈曲角度を変更可能に構成している。即ち、当該一種の鎖部材J12の各端部側は筒部材T1,T2によって、夫々、糸条本体30Hと釣糸係止部30Kとに連結固定されているが、筒部材T1と鎖部材J12の上を長手方向に移動可能であって、任意の位置に停止できる屈曲角度調節用のスリーブ部材STを有している。従って、露出する要素部材Eの数を調節でき、これによって屈曲角度θを、例えば、20〜45度の範囲内の種々の角度に調節できる。従って、使用する釣竿に最も合致する角度に設定できる他、他の釣竿にも使用できる。
【0022】
図10は、3個以上の軸部材J1,J2,J3を互いに屈曲可能に連結し、両端の軸部材J1,J3は、夫々、筒部材T1,T3を介して糸条本体30Hと釣糸係止部30Kとに結合固定している。その結果、少なくとも2個所以上の屈曲部を有しており(この例では2個所)、これらの筒部材の外側に套嵌され、各筒部材の長手方向に移動可能であって、屈曲部に亘った状態で停止できる屈曲角度調節用のスリーブ部材ST1,ST2を有している。従って、例えば、図10に示すように、1個所の屈曲部をスリーブ部材ST2で屈曲不可能に拘束すれば、小さな屈曲角度θとなり、このスリーブ部材ST2による拘束を外せば、大きな屈曲角度となる。
【0023】
以上の形態のように糸通し具の先端部に屈曲部を設ける構造の他、先端部に一定の湾曲部を設けておき、これによって孔位置において外部に出易くすることもできる。この場合、操作する側である糸通し具の後部に(例えば、図4に示す目印30M1,30M2等を設ける位置等に)屈曲部の屈曲方向を認知できる他の目印を設けてもよい。勿論、図4の目印とこの目印を1つにして、両方の目印を兼ねるよう構成してもよい。更には、抜け止め部材30Bを糸条本体30Hの後部から抜き取れば、トップイン方式ではなく、釣糸導入部から釣竿先端方向に糸通し具を挿入する方式の糸通し作業にも使用可能となる。
【0024】
図11は、糸通し具の先端に釣糸係止部30Kを有していれば、竿管内部を挿通する際に引っ掛かり易くなるのでこれを防止すべく、先端は杆部材(ここでは円筒状軸部材)30Sとし、この後ろであって、糸条本体30Hとの間に釣糸係止部30Kを配設している。この形態例ではその前後を2つの筒部材T1,T2を使用して連結している。この構造では細径化された杆部材を使用できるため、先導が円滑に行なわれ得る。また、この先導する杆部材30Sを鉛のような比重の大きな材料で形成すれば、挿通時に竿管内部を落下し易く、また、孔位置において落下して外部に出やすくなる。更には、竿部材30Sの先端の角部を除去するように曲面化しているので、挿通させる際に竿管内部に引っ掛かり難い。この杆部材と糸条本体との間に釣糸係止部を設ける構造は本願の各請求項の各要件と無関係に適用できるものである。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、トップイン方式の場合の糸通し作業を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る糸通し具を使用した糸通し作業中の側面図である。
【図2】図2は図1の他の作業途中の要部拡大断面図である。
【図3】図3は図1の作業途中の要部拡大断面図である。
【図4】図4は本発明に係る糸通し具の側面図である。
【図5】図5は図4の糸通し具の要部拡大断面図である。
【図6】図6は他の糸通し具の要部断面図である。
【図7】図7は他の糸通し具の要部断面図である。
【図8】図8は他の糸通し具の要部断面図である。
【図9】図9は他の糸通し具の要部断面図である。
【図10】図10は他の糸通し具の要部断面図である。
【図11】図11は他の糸通し具の要部断面図である。
【符号の説明】
10H 長孔(竿管周壁部の孔)
16 釣糸導入部
16G ガイドリング
30 糸通し具
30B 抜け止め部材
30H 糸条本体
30K 釣糸係止部
30M1,30M2 目印
T1,T2 屈曲構造部パーツ

Claims (4)

  1. 細長い糸条本体を有し、該糸条本体の先部に自重程度の力によって屈曲可能に取り付けられた先端部品の前記糸条本体の軸線方向に対する最大屈曲角度が45度以下であることを特徴とする糸通し具。
  2. 細長い糸条本体を有し、該糸条本体の先部に自重程度の力によって屈曲可能に取り付けられた先端部品の前記糸条本体の軸線方向に対する屈曲角度の大きさを45度以内に調節できる調節部材を具備することを特徴とする糸通し具。
  3. 前記先端部品と糸条本体との間の屈曲部から所定長さ後方位置の糸条本体に、釣竿の先端から竿管内部に挿通可能な目印を設けてなる請求項1又は2記載の糸通し具。
  4. 前記目印は糸条本体上の位置を調節可能に構成してなる請求項3記載の糸通し具。
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